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投稿者 okonomono 日時 2013 年 4 月 03 日 21:03:59: ufgCmUGS6CG6M
 

(回答先: test 投稿者 okonomono 日時 2013 年 3 月 19 日 00:29:21)

出典:『憲法 第五版』 芦部信喜著 高橋和之補訂 2011年 岩波書店(91-97ページ) 
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/0227810.html

第五章 基本的人権の原理
四 人権の享有主体
3 外国人

 外国人の人権の問題は、人権の享有主体の問題のうちでもとくに多くの問題がある。

 人権が前国家的・前憲法的な性格を有するものであり、また、憲法が国際主義の立場から条約および確立された国際法規の遵守を定め(98条)、かつ、国際人権規約等にみられるように人権の国際化の傾向が顕著にみられるようになったことを考慮するならば、外国人にも、権利の性質上適用可能な人権規定は、すべて及ぶと考えるのが妥当である。通説および判例にも、そう解する。問題は、いかなる人権がどの程度に外国人に保障されるのかを具体的に判断していくことである。その際、外国人にも、一時的な旅行者などの一般外国人のほか、日本に生活の本拠をもちしかも永住資格を認められた定住外国人(「出入国管理及び難民認定法」上の永住者または「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に定める特別永住者等)、難民など、類型を著しく異にするものがあることに、とくに注意しなければならない。

(一)保障されない人権

 従来、外国人に保障されない人権の代表的なものとして、参政権、社会権、入国の自由が挙げられている。

(1) 参政権は、国民が自己の属する国の政治に参加する権利であり、その性質上、当該国家の国民にのみ認められる権利である。したがって、狭義の参政権(選挙権・被選挙権)は外国人には及ばない(公職選挙法9条・10条、地方自治法18条参照)。しかし、地方自治体、とくに市町村という住民の生活に最も密着した地方自治体のレベルにおける選挙権は、永住資格を有する定住外国人に認めることもできる、と解すべきであろう。判例も、定住外国人に法律で選挙権を付与することは憲法上禁止されていないとする(最判平成7・2・28民集49巻2号639頁)。

 また、広義の参政権と考えられてきた公務員就任権(または資格)は狭義の参政権と異なるので、外国人がすべての公務に就任することができないわけではない。たとえば、従来、政府の公定解釈により、「公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員」は日本国民に限るとされ、この基準に照らして、外国人の国公立大学教員への任用は否定されていたが、1982年(昭和57年)に外国人教員の任用を可能とする特別の立法が制定された。公定解釈の基準はあまりにも包括的すぎ、漠然としているので、公権力を行使する職務であっても、少なくとも直接国の政策に影響を及ぼすところの少ない調査的・諮問的・教育的な職務などは、定住外国人に道を拓くことを考慮する必要があろう(東京高判平成9・11・26判タ960号79頁は、@公権力の行使または公の意思の形成に参画することによって直接的に統治作用に関わる管理職に就くことはできないが、Aもっぱら専門的・技術的な分野においてスタッフとしての職務に従事するなど、統治作用に関わる程度の弱い管理職と、Bそれ以外の、上司の命令を受けて行う補佐的・補助的な事務またはもっぱら学術的・技術的な専門分野の事務に従事する公務員に就くことは、必ずしも国民主権の原理に反しない、と説いている[「本件の上告審判決」についての側注を省略─投稿者])。最近、公定解釈の基準をしぼって解釈し、一定の職種に限って公務就任要件から国籍条項をはずす地方自治体が、増加している。

(2) 社会権も、各人の所属する国によって保障されるべき権利であるが、参政権と異なり、外国人に対して原理的に認められないものではない。財政事情等の支障がないかぎり、法律において外国人に社会権の保障を及ぼすことは、憲法上何ら問題はないのである。とりわけ、わが国に定住する在日韓国・朝鮮人および中国人については、その歴史的経緯およびわが国での生活の実態等を考慮すれば、むしろできるかぎり、日本国民と同じ扱いをすることが憲法の趣旨に合致する。国際人権規約の批准(社会権規約2条2項は、その保障する各種の社会権について、差別禁止・内外人平等取扱いの原則を掲げる)および「難民の地位に関する条約」の批准(第四章において、福祉について内外人平等原則をうたう)という新しい事態に対応するため、1981年、社会保障関係法令の国籍要件は原則として撤廃された。

(3) 入国の自由が外国人に保障されないことは、今日の国際慣習法上当然であると解するのが通説・判例(最大判昭和32・6・19刑集11巻6号1663頁)である。国際法上、国家が自己の安全と福祉に危害を及ぼすおそれのある外国人の入国を拒否することは、当該国家の主権的権利に属し、入国の拒否は当該国家の自由裁量によるとされている。ただし、それは、決して、国家が恣意的に許否を決定できることを意味しない。不法入国者であっても、人身の自由(たとえば憲法31条の適正手続)は保障されなければならない。入国の自由がない以上、在留の権利も憲法上保障されているとは言えない(最大判昭和53・10・4民集32巻7号1223頁)。もっとも、正規の手続で入国を許可された者、とくに定住外国人は、その在留資格をみだりに奪われないことを保障されていると解される。
 
 この点との関連で問題になるのが、再入国の自由である。

 最高裁は、憲法22条2項を根拠として外国人の出国の自由を認めるが(最大判昭和32・12・25刑集11巻14号3377頁)、そう考えると、出国は一般には当然帰国(再入国)を前提とするので、再入国の自由もまた外国人に保障される、ということになりそうである。しかし最高裁は、入国の自由と在留権を否認した右判例の趣旨に徴すると、外国人には「憲法上、外へ一時旅行する自由を保障されているものではない」から、再入国の自由も保障されないと説いている(最判平成4・11・16裁集民事166号575頁[「森川キャサリーン事件」についての側注を省略─投稿者])。もっとも、近時の法改正により特別永住者[「指紋押捺許否事件」についての側注を省略─投稿者]の再入国は規制が若干緩められた(入管特例法10条[現行23条]参照)。

 学説では、外国人の出国の自由が認められる根拠も国際慣習法にあるとし、再入国については、外国人の場合は、在留地である「外国」への入国という性質をもつので、新規の入国と異なる特別の配慮を加える必要はあるが、最小限度の規制は許され、「著しくかつ直接にわが国の利益を害することのない限り、再入国が許可されるべきである」と解く見解が有力である。

(二)保障される人権の限界

 以上の権利のほかの自由権、平等権、受益権は、外国人にも保障されるが、その保障の程度・限界は、日本国民とまったく同じというわけではない。とくに問題となるのは、精神的自由権のうち、参政権的な機能を果たす政治活動の自由である。種々の議論があるが、外国人には国政レベルの選挙権など一定の参政権が否定されているので、日本国民よりも大きな制約を受けると解すべきであろう。少なくとも、日本の政治に直接介入するための政治結社の組織、政府打倒の運動などは禁止しうると言えよう[「マクリーン事件」についての側注を省略─投稿者]。

 また、経済的自由権は、権利の性質上、国民と異なる特別の制約を加える必要があるので、種々の制限が課せられている(公証人法12条、弁理士法2条[現行7条。2000年の改正により、外国人に対する制約は削除されている。]、電波法5条、鉱業法17条・87条、銀行法47条、船舶法3条、外国人土地法1条等参照)。居住・移転の自由との関係では、外国人登録法による規制がある[「指紋押捺許否事件」についての側注を省略─投稿者]。

 ────────────────────────────

投稿者注:
側注は省略し、省略箇所と見出しを文中に注記した。
原文は縦書きである。
読みやすさを考慮し、改行、空行を入れた。
また、文中の漢数字は基本的に算用数字に変更した。  

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