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投稿者 高橋是清会 日時 2012 年 11 月 10 日 23:00:41: fqnvpSFGv5aiA
 

「TPPが締結されれば庶民はまともな医療が受けられなくなる」
 
TPPに関しては、雑談板でもすこし書いたので、繰り返しになりますが、
みなさんも、もうご存知のとおり、
大きな打撃を受けるのは、農業と医療と金融なんです。

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの食料自給率は、70%〜130%に対して、
関税を撤廃することによって、日本の食料自給率は、わずか10%ほどになってしまいます。

つまり、大まかに言って、日本の食料の90%は外国産になります。

中でも、アメリカからは、
抗生物質や成長ホルモンなどで飼育された、わけのわからない牛肉や豚肉が入ってきます。
遺伝子組み換えの野菜も大量に入ってきます。

でも、これらの危険な輸入食品は、TPPによる法律によって、
小売業(スーパーなど)は消費者に対して、非表示にしなくてはいけないのです。

日本の消費者は、選択できずに、遺伝子組み換え食品を購入せざるを得なくなるのです。

そして、なにより、この関税の撤廃によって、
日本の農業や畜産業に従事する約350万人の人が、失業してしまいます。

350万人ですよ。

日本の農業従事者の平均年齢は、65歳だ。
つまり、農業従事者の半分は老人なのだ。

国民年金(満額で6万5千円。平均で5万円)だけでは、生活ができないから、
老人になっても、彼らは働いてるわけだが、

そんな田舎の老人が失業してしまったら、どうするんだ。

まず、失業じたいが不幸だし、
老人が失業したら、ホームレスになるしかない。

でも、65歳を過ぎた老人を、そのまま道端にほっておくわけいかないだろう。

彼ら、失業した老人を救済するには、生活保護しかない。
つまり、ただでさえ生活保護受給者がたくさんいるのに、
さらに増加するのだ。

その生活保護者の激増は、並の数じゃないだろう。

なんていったって、350万人が失業して、
その半分は、65歳以上の老人なんだから。

まあ、仕方ないでしょう。
そんな老人をホームレスにさせとくわけいかないのだから。

で、医療。

アメリカの目的は、
混合診療の完全自由化と、国民皆保険を崩壊させることだ。

この2つが成就されれば、庶民は今までのようなまともな医療は受けられなくなります。
お金持ちはいいですが、貧乏人は病気になっても、もうふつうの医療は受けられなくなるのです。

米国の民間健康保険会社、米国の製薬会社、米国の医療機器メーカーが、虎視眈々と狙っているのです。

混合診療を全面解禁すれば、診療報酬によらない自由価格の医療市場が拡大します。
これは、外資を含む民間資本に対し、魅力的で大きな市場が開放されることを意味します。

TPPに含まれる、混合診療と医療への株式会社参入の解禁は、
日本の平等で良質な医療システムの息の根を止めるためのものなのです。

ちなみに、財務官僚がこのTPPを歓迎してるのは、
医療財政を抑制できると考えてるからです。

この阿修羅掲示板には、原発問題に対しては、神経過敏になってる人が多いが、
そういう人に限って、なぜかTPP問題には無関心だ。

でも、それでいいのだろうか。

もし、ほんとにTPPが締結されたら、
放射能によって、将来、病気にかかっても、もうその頃には、
今までのような日本の安全な医療システムは、崩壊されてる可能性が高いのだ。

それでも黙っているのか。

で、このTPPは、いろんな項目があるんですよね。
農業や医療や金融だけでも、めちゃくちゃ大変なのに、
それだけじゃないんですよ。

TPPは、アメリカによる「日本列島大改造計画」なのです。

もし、TPPが締結されたら、それらが施行されるのはいつか。
という問いがありますが、
一応、「10年以内」となっています。

10年以内、と聞くと、10年後のような気がして、
ずいぶん先のように思われる人もいるかと思いますが、
「10年以内」ですから、1年後も10年以内になります。

けっきょく、項目が多いので、全部終わらすためには、
10年以内で終わらす。ということなのです。

じゃ、TPPはこの辺にしといて、
話しを次に進めましょう。

「この10年で日本人の可処分所得は月で約4万円も減った」 

この統計を見てもらっても、わかるように、
2001年から2011年までの10年間で、
日本国民の一世帯の可処分所得が、月で38600円も減ってしまいました。

月で、約4万。
年にすると、48万円もの可処分所得が、この10年で減ったことになります。

可処分所得とは、例えばサラリーマンでいうと、
給料から、税金・社会保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などを引いた
いわゆる「手取り」のことです。

この手取りの月給が、この10年で、4万円も減ったのです。

単純に計算すると、もう9年後の2021年辺りには、
2001年からの20年で、月に8万円の手取りの給料が減ることになります。

つまり、日本は2001年からの20年で、
年で、約96万円の可処分所得が減ることになるのです。

なぜ10年間で、手取りの月給が、4万円も減ったか。

原因は、大きく分けると、4つあります。

・不況
・新自由主義
・グローバル化
・企業の内部留保

まず、不況から言いますと、
バブルが崩壊した90年代前半から、日本の経済はゼロ成長なんです。

もっとも、90年代でも、前半や半ば辺りまでは、
公共事業の拡大で、今と比べれば、日本の経済はだいぶよかったんですけどね。

しかし、それが90年代後半になると、本格的な不況になります。
橋本政権による、橋本財政構造改革が始まります。
まあ、これは緊縮財政策ですね。

増税をして、歳出削減をする。
経済が好調でもないのに、この緊縮財政をやると、
本格的な不況に突入します。

この緊縮財政による不況によって、橋本政権は98年の参議院選挙で大敗。
橋本首相は退陣します。

変わって、次に首相になったのが、小渕恵三。
この小渕政権というのは、新自由主義とケインズ主義をミックスさせた政策をとったんですな。

新自由主義というか、サッチャリズムですかね。
所得税(住民税含む)の最高税率を65%から50%に引き下げたり、
法人税率を34,5%から30%に引き下げたり、

あとは、リストラ減税ですな。
民間企業が積極的にリストラすれば、政府はその企業に対して減税しますよ。
という、異常な政府のリストラ支援策があったんですよ。

以上のように、小渕政権は、金持ち・大企業減税をしました。

そのうえ、労働者派遣法というものも作ります。
それまでは、派遣社員というと、通訳とか翻訳などの専門職に限定されていたのですが、
この小渕政権の労働者派遣法によって、一般事務職、営業職、販売職なども、派遣社員化が認められました。

まあ、このように、小渕も小泉に負けず劣らず、悪政をしたんですな。

ただ、小渕政権の唯一のメリットは、財政出動をしたんですね。
小渕政治は、新自由主義とケインズ主義をミックスさせた政治というのは、そういうことです。

財政出動=主に公共事業費の拡大ですね。

これで、橋本政権の緊縮財政による不況から、
ちょっと改善したのです。

ところが、2000年に小渕氏は亡くなり、
変わって首相になったのが、森首相です。

この人は、小渕政権の財政出動策を踏襲すると言ったのですが、
けっきょく、踏襲せずに、なにもしなかったので、
日本の景気は、また雲行きが怪しくなります。

そして、森氏や、側近の中川秀直氏などのスキャンダル報道、
いわゆるマスコミの”森叩き”によって、森は退陣に向かいます。

ここで出てきたのが、小泉純一郎です。
日本のターニングポイントですね。

小泉純一郎の登場というのは、
これは政治もそうですけど、
それよりも、それまでの「日本人」や「日本の社会」というものが、一変してしまったことなんですな。。

悪く。悪くね。。

で、この小泉という人は、どんな政治をしたのかというと、
橋本政権と同じ「緊縮財政策」をしたんですよ。

まあ、この人の場合は、増税より歳出削減のほうなんですね。

ただ、橋本の歳出削減よりも、もっと厳しく、
公共事業費の大幅削減(約4割カット)、補助金や地方交付税の削減(三位一体改革差し引きで6兆円カット)。

これで、建設関連(労働者人口では約15%を占める産業)の人たちの生活と、地方の経済はボロボロになりました。

そして、この小泉の公共事業費の削減の悪いとこは、
まず、不況なのに削減してしまったこと。

そして、大手ゼネコンなどが得をする無駄な大型公共事業はそのまま温存し、
地域の小さな必要な公共事業を大幅に削減してしまったことなんですね。

いや、これにはほんとに参りましたよ。。。
ほんとに。。。
。。。。。

そして、小渕と同じように、小泉も金持ち・大企業減税をするんですね。
小泉も、あの「リストラ減税」を続けたんですよ。

で、このように小泉は橋本と同じように、緊縮財政(金持ち・大企業には減税ですが)をとるんですが、
橋本と小泉の違いは、運の強さなんですね。

通常、このままだったら、大不況まっしぐらなんですが、
2003年頃から、アメリカで、不動産バブル・金融バブルが始まり、
アメリカは好景気になります。

このアメリカの好景気によって、日本の輸出産業が潤い、
日本の経済にも、それらが還元されるんですね。

2002年の後期から、2003年の前期辺りまでの凄まじい不況を解決してくれたのは、
このアメリカの「不動産バブルと金融バブル」なんですね。

ですから、このアメリカの好況によって、
日本の経済も、2003年の後期辺りから、回復してくるんですが、

この好景気は、外需だけによるものですから、
内需関連の企業には、ほとんどその恩恵にあずかることはできませんでした。

理由は、直接に恩恵を受けたのは、輸出産業と大企業なんですが、
ここで、これらの企業は「内部留保」というものをするんですね。

つまり、企業じたいは大きな収益があったのに、
その企業が、儲けたお金を溜め込み、社員の給料を少ししか上げなかったんですよ。

社員の給料が大きく上がれば、それだけ消費が増えるわけですから、
日本の景気はほんとに良くなるはずだったんですが、
そうしなかったので、ほんとに得をしたのは大企業の役員や、株主くらいだったんです。

ようするに、小泉時代の好景気というのは、
見せかけの好景気だったのです。

ちなみに、この企業の内部留保は今も続いています。

あと、竹中平蔵と木村剛による「不良債権処理」が日本の景気をよくした。
と言う人がいますが、
これ、ほとんど関係ないですよ。

説明したとおり、
小泉時代の2003年後期辺りから、日本の景気がすこし改善したのは、
アメリカの不動産バブルと金融バブルが、原因ですからね。

90年代から、竹中・木村までの不良債権処理で、
ぼろ儲けしたのは、ヤクザと外資だけですよ。

公的資金で救済された銀行も、儲けましたけどね。

で、景気はちょっとよくなったんですが、
バブルはバブルで、文字通り、泡になります。

2007年には、不動産バブルが崩壊し、
2008年には、ご存知のとおり、金融バブルも崩壊します。

リーマンショック・世界同時不況の始まりです。

当然、日本もまた不況に入ります。

ここでマスコミなどで話題になったのは、派遣切りですよね。

この派遣切りというのは、小渕政権と同様、小泉政権も労働の規制緩和をしたからです。
小泉は、製造業の派遣社員化も認めてしまったから、この派遣切りが流行ったんですね。

輸出産業の仕事が減れば、真っ先にクビを切られるのは、派遣社員やパート・アルバイトだからです。

つまり、こういうことなのです。
この10年で、日本人の平均の手取りの給料が、月に4万円も減った原因を4つ上げました。

・不況
・新自由主義
・グローバル化
・企業の内部留保

説明してないのは、グローバル化ですね。

グローバル化とは、「地球規模で考える」という意味なんですけど、
いろいろと用途が幅広いので、まず雇用の面を簡単に。

これは、90年代から始まったことなんですけど、
企業が、生産拠点(工場)を海外に移転させたんですね。

主に、中国や東南アジアにです。

いわゆる、産業の空洞化というやつで、
国内の工場の閉鎖により、それだけ雇用が大きく減ったのです。

しかも、この国内工場の海外移転というのは、現在進行形です。
つまり、これからも日本の雇用は減る一方なのです。

それによって、失業した人は、新たに職に就けたとしても、同じ程度の給料をもらえる人は少なく、
たいていは、それまでよりも低い賃金で働かされるのです。

・不況
・新自由主義
・グローバル化
・企業の内部留保

で、これらに加えて、これからの日本をさらに蝕むものがあります。

「少子高齢化社会」です。

簡単に説明すると、高齢化だけに、
老人が増えて、年金や社会保障費が膨大に膨らみ続けます。

しかし、少子化も伴ってるので、労働者人口は減り続けます。

労働者人口は減り続ける。
年金・社会保障費は増え続ける。

これらによって、当然、増税は不可避になります。

しかも、その増税額は、増え続けるばかりになります。

「増税、増税」の雨あられでは、当然、消費が冷え込み、
日本は、不況スパイラルに陥るばかりになります。

増税は不可避なんですけど、問題はどの税金を増やすかなんですよね。
税金といっても、いろいろですから。

ただ、経済のことを考えれば、
まずは、金持ちから税金を取るべきなんです。

資産課税を強化したり、
所得税(住民税含む)の最高税率を、今の50%から、
80年代の頃みたいに、80%に戻すべきなんです。

これは、政治板にも書いたんですけど、
金融資産に1%課税するだけで、年間で14兆円もの税収が増えるんですよ。

金持ちから、ちゃんと税金を取りまくって、
そのうえで、消費税を上げるなら、庶民も納得するからです。

しかし、政治家、財界人、財務官僚、マスコミの悪の枢軸は、
以上のようなことは、まったく考えていない。

とくに、悪いのはマスコミだ。庶民を守るべきはずのマスコミは、
「消費税を上げろ」の一点張りで、
「金持ち増税をしろ」なんて報道はまったくやらない。

ま、なにわともあれ、増税は不可避。ということで、
日本の不況は延々に続くのです。

つまり、これからの日本人の可処分所得は、10年で月に4万減るどころか、
もっともっと減り、日本人は貧しくなるばかりなのです。

残念なことですが、これが日本の行く末です。

可処分所得が減る話しは、これで終わりました。
我ながら、長かったな。。。

最後まで読んで頂いた方、
ありがとうございました。


 

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