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シリア反政府武装闘争は是か非か  どうせダメなのか  混迷シリア 見えない出口
http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/122.html
投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 10 日 21:18:22: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 国民が殺され続けているシリア ついに知人のアハマドさんも 投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 10 日 12:48:36)

2012/09/09(日) 12:51:38| 未分類 | トラックバック:0 | コメント:2
旧友からの手紙その2
 旧友のA山さんから、再び長文のメールをいただきました。
(右下「最新のコメント」欄にリンクがあります)


 シリア反政府武装闘争は是か非か?

という問題で、私の考えを述べてみます。

 シリア国民を抑圧するアサド独裁体制を瓦解させるのは、シリア国民のために「善」であることは、世界中のほとんどの方が賛同されると思います(「アサドは結構いい人だ」とか「自由シリア軍はアメリカやカタールの傀儡だ」と信じたい少数派の方々は、申し訳ありませんが今回は放置されていただきます)。

 そこで問題となるのは、A山さんが指摘される「いつかはソフトランディングが期待できるので、今日の抑圧に甘んじても、犠牲は絶対に避けるべき。武装闘争はガマンすべき」なのかどうか?ということです。これが、イラクでもリビアでもシリアでも問題の核心ということになろうかと思います。
 私はこの問題に、2つの点を指摘したいと思います。

 まず、これは「考え方は人それぞれ」ということです。人命は何より尊いことはその通りで、それを最優先するという考えは正しいと思います。
 しかし、他方で、いま人命の被害を出しても長い目でみて人々を不幸にする抑圧を打倒すべきという考えも正しいと思います。これは、個人の考え方の問題で、どちらが正しいとは決められません。各人が自分の考えを自問すべきことで、他人に自分の考えを強制はできません。どちらが正しいという「解」は存在しないと思いますが、これは私たちのような部外の外国人だけでなく、実際の当事者たち、イラクやシリアの方々にとっても同様です。

 次に、これは「程度の問題」であろうかと思います。
 たとえばエジプトの政変でもたしか数千人程度の犠牲が出たと思いますが、ムバラク政権追放は大方のエジプト人に支持されています。日本では、戦前の軍国主義が放逐されたことは多くの国民が支持していますが(軍国主義のほうがよかった、とする少数派の方々も、まことに失礼ではありますが、ここでは放置させていただきます)、「日本が負けてよかった」と言えないのは、犠牲があまりにも多大だったからではないかと思います(日本が負けてよかった、と躊躇なく言い切れる少数派の方々も、めんどくさいんで放置させていただきます)。
 A山さんのご指摘は正しいと思いますが、結局、人の考え方はそれぞれで、しかも状況によって変化します。A山さんがシリアのケースでこう思い至ったのは、おそらく「シリアでは残念ながら結果が許容範囲を超えてしまった」という実感があるからではないかと愚考します。

 じつは、この問題は、昨年3月に抗議行動が開始され、南部を中心に虐殺が始まった時点で、私も自分なりに考えました。というのも、アサド政権の独裁の強固さを多少知る者としては、当初、さらなる虐殺が予想されるなかで、「これはまずいのではないか」との不安を強く感じたからです。
 この点は、反体制派のSNSでも最初から議論になっていました。しかも、反体制派の中でも内戦化(つまり軍による大量殺戮)を危惧する声は非常に強く、当初は非暴力デモ支持派が圧倒的優勢でした。虐殺が始まった後も、武装闘争はさらなる虐殺の口実になるとして、非暴力デモ支持派は多数いました。
 デモの仕掛け人のひとりであるシリア地域調整委員会のオマル・イドリビーさんを昨年7月にベイルートに訪ねたとき、この問題を彼とさんざん議論したこともあります。イドリビーさんは非暴力路線呼びかけの中心人物のひとりでもあったわけですが、その時点ではすでに状況がかなり悪化しており、革命がすでに不可逆段階に至ったなかで、私は非暴力路線で状況が好転するということにかなり懐疑的でした。
 イドリビーさんだけでなく、ブルハン・ガリユン氏も含め反体制派主流派も昨年秋頃までは、実際に反政府武装勢力が無力に近かったこともあって、非暴力闘争を提唱していました。
 その後、イドリビーさんも国民評議会も、武装闘争に転じています。彼らは彼らなりにたいへんな葛藤があったわけですが、「もはや仕方がない」という状況に至ったということです。
 これだけ犠牲者が出た今となっては、結果的には、シリアでは「デモしなければよかった」ということがいえるかもしれないですが、事態がここに至れば、もう止まりません。ということで、私は昨年秋の武装闘争本格化の時期から、「トータルの犠牲を減らすために、徹底した武装闘争が有効だろう」と分析するようになっています(国連アナン調停など、最初から無意味だと拙ブログでも主張してきました)。
 たとえば、今、反政府側が闘争を中止し、アサド政権に完全降伏すれば、毎日100人以上が殺害されているような今の状況は停止されます(毎日数百人逮捕され、うち数十人くらいは密殺される可能性がありますが、犠牲の総数は間違いなく減りますし、とくに女性や子供の犠牲状況は劇的に好転するでしょう)。
 ですが、反体制派が降伏することは、現実的に考えられません。内戦は今後も続きます。であれば、唯一の道は、反体制派が1日も早くアサド体制を打倒することであり、その後押しをするために国際社会はもっと反体制派を積極支援すべきであるというのが、私の現時点の分析です。

 

2012/09/09(日) 11:24:40| 未分類 | トラックバック:0 | コメント:0
シリア報道について
 昨日、NHK『クローズアップ現代』がシリア問題について放送しました。私は所用で拝見していないのですが、番組のサイトが内容をテキストで起こしていたので、拝読しました。
▽混迷シリア 見えない出口
 シリア問題を全国放送で採り上げるというのはたいへん意味のあることだと思いますが、2つの点で、恣意的な編集と感じました。
 まず、番組ではシリア内戦を「代理戦争」と描いていましたが、まったく事実ではないと思います。
 私の戦争取材デビューは、80年代のニカラグア内戦でした。左翼政権「サンディニスタ」はソ連に強力に支援され、ソ連製兵器で武装し、政府軍の背後にはソ連の軍事顧問団が控えていました。
 対する反政府軍「コントラ」はアメリカが全経費を支給し、ゲリラをアメリカ国内で訓練していました。こういうのを「代理戦争」と呼びます。
 シリアでは、政府をロシア、イランが、反政府側をサウジアラビア、カタール、トルコ、アメリカ、イギリス、フランスなどが支援していますが、その規模は両陣営ともまったく小さいもので、とても代理戦争と呼べるレベルではありません。シリア人同士が、アサド派と反アサド派に割れ、双方の陣営ともにほぼ自力で戦っているのが現実です。番組ではたとえば反政府派の支援ルートなどの取材をしていましたが、あんな程度では戦況を左右できないことは明らかです。

 もう1点は、反体制派側が割れていることを、実態以上に強調していることです。
 古今東西、身内同士の内ゲバというのは普通にあることで、往々にして「本来の敵」との戦いよりも先鋭化することがあります。シリアの反体制派がなかなかまとまらないのも、事実です。
 しかし、シリアで反体制派の内ゲバが、反政府闘争よりひどいかのような報道は、明らかに間違いです。たとえば、番組では、国民評議会のブルハン・ガリユン前代表(初代代表)のインタビューを放映していて、彼に反体制派内部の抗争について語らせています。
 私はガリユンと直接会ったことはありませんが、側近に知人がいることもあり、彼の言動はずっとフォローしており、彼の考えはほぼ理解しているつもりです。彼が内部対立に苦労していたことはそのとおりで、彼自身それを批判もしていますが、それは彼の主張の中では、反アサドに比べればはるかに小さなことです。
 おそらくガリユンは日本から来たテレビ取材班に対し、アサド政権批判を長く語ったはずですが、ほんの一部の内部抗争についてのコメントのみを抜き出したのでしょう。率直に言って、この放送内容を今回の取材協力者、さらに言えばシリアの人々が目にすれば、たぶん多くの人が失望するか、激怒すると思います。
 どんな問題も多面性を持っていて、多角的な視点は必要です。今回のNHKの番組のような見方があっても、べつに構わないとは思いますし、同様の報道が海外メディアに皆無というわけでもありません。が、それはきわめて少数派です。
 少数派の意見は無視すべきだとは言いませんが、天下のNHKで放送されると、それが世界のスタンダードのように日本国内で思われてしまうのでちょっと残念です。


 

どうせダメなのか?
 もう一点、考えたことを書きます。
 どんな国でも国民性というものはあります。ですが、アラブ人は所詮ダメとの考えには賛同しません。
 過去の実績からすると、たとえばアサド政権後のシリアがろくなものにならないとの危惧は確率からいって理解できますが、論理的にそれは確定事項ではありません。
 たとえば、シリアでは危惧されたようなスンニ派によるアラウィ派虐殺が、現時点で発生していません。どこにもチンピラはいますから、追い剥ぎの類は出てますが、組織的な宗派差別暴力が、反体制派側から出ていません。
(町によってはスンニ派地域とアラウィ派地域が分断され、アラウィ派住民が追放された例もあるようですが、私の聞き及ぶかぎりでは、むしろアラウィ派地域がシャビーハの拠点になって宗派対立を煽ったケースが多いようです。それでもいずれにせよスンニ派からの組織的な一般住民無差別殺害には至っていません)

 人権団体(ロシア政府もですが)が反体制派の暴力をときおり指弾しますが、ほとんどのケースで、シャビーハや政府軍兵士の捕虜に対する暴力です。人道の考え方はいろいろあるので、そこには立ち入りませんが、「住民を虐殺しまくった連中を即決処刑」するのと「非武装の一般住民を虐殺する」のとでは、少なくとも戦場の常識では同列ではありません。
 おそらく反体制派の現場でも、「アラウィ派の連中を女子供含めて皆殺しにしろ!」と叫ぶ輩が皆無ではないと思います。必ずしもサラフィストに限らず、自分の妻や子供が殺害された人なら、そうした復讐心を持ってもおかしくありません。が、そうした意見は、スンニ派ゲリラの世界で支持されないということです。これは、非常に期待を感じる傾向だと思っています。

 シリアの反体制派陣営でこうしたある種の良識が確立されているのは、もともと宗派性が小さいシリア社会の影響、あるいはシリア人の国民性などもあるでしょうが、反体制派陣営内では言論が開かれているということも大きいと思います。テロリズムを研究してきた立場でいうと、排他的で過激な組織的行動が生まれる背景には、閉ざされた言論空間で非常に強力な同調圧力が存在するケースがほとんどです。
 シリア反体制派の場合、そこがおそらく緩いのだろうと思われます。

 チュニジアやエジプトでイスラム系政権が誕生しても、過激路線は支持されないことを彼ら自身も理解しているようにみえます。私は、アサド後の新政権がイスラム過激派政府になる可能性はかなり低いとみていますし、対立は多発するでしょうが、互いにテロし合うような「イラク化」には至らないだろうと分析しています。

 ちょっと前まで、中南米や東南アジアの国々の多くも、どうせダメダメだといわれていたものですが、いまや見違えるほど様変わりしています。まずはアサド政権打倒が最優先ですが、その後が必ずしもダメダメになるとは限りません。

http://wldintel.blog60.fc2.com/

混迷シリア 見えない出口

出口が見えない内戦状態が続く中東シリア。
多くの人々が戦闘に巻き込まれ、犠牲者の数は2万人を超えました。

「こんなことが許されていいのか」

歯止めの利かない暴力の応酬。
周辺国からの武器や資金の供給が戦闘を一層、激しくさせています。

反政府勢力の協力者
「まだ武器は全然足りない」

アサド政権を崩壊に追い込み、新しい政府の樹立を目指すシリア国民評議会。
内部の対立から国づくりの道筋は全く描けていません。

シリア国民評議会 前議長
「それぞれの勢力の意見が一致し、協力し合うことなど、ありえない」

混迷の度を深めていくシリア情勢。
その行方を探ります。

動画を見る
混迷するシリア 激化する戦闘

激しい戦闘が続くシリア。
政府軍は、戦闘機や戦車など圧倒的な武力で容赦ない攻撃を続けています。
対する反政府勢力・自由シリア軍。
政府軍を離反した兵士に一般の若者が加わり、市街地でゲリラ戦を展開しています。
先週には政府軍のヘリコプターを撃墜しました。

「アサドはもう終わりだ。
必ず倒してやる」

動画を見る
潜入 反政府勢力 武器供給ルート
反政府運動が始まってから1年半。
政府軍との戦闘を続ける自由シリア軍はどこから支援を受けているのか。
私たち(NHK)はシリアの隣国レバノンで、あるグループと接触することが出来ました。


国境から1キロほど離れた小さな村にある民家。
ここに自由シリア軍に渡すための武器がひそかに集められていました。

「戦闘で主に使われるのが、このカラシニコフだ」

「銃弾も400発用意した」

政府軍の監視を避けるため、武器は小分けにされ、リュックに詰められます。
山岳地帯を5時間かけて歩いて国境を越えていると言います。

自由シリア軍の協力者
「政府軍に見つかれば、すぐに発砲されますが、最後までやり遂げます。
仲間を見捨てるわけにはいきませんから」


武器を運んでいるのは戦闘を逃れて避難してきたシリアの若者たちです。
その多くが、家族や友人をアサド政権に殺されたと言います。

「今、私たちが戦っているのは政府軍の戦闘機や戦車です。
もっと多くの武器を手に入れなければなりません」


武器を供給し続けるには膨大な資金が必要です。
その鍵を握る人物がサウジアラビアにいました。
7年前にシリアから移り住んだオマル・ハリリさんです。
湾岸諸国で暮らすシリア人たちと連携して、広く資金提供を呼びかけています。


資金集めが行われるのは主に、サウジアラビアやカタール、トルコなどです。
イスラム教スンニ派が中心の自由シリア軍を同じスンニ派が多数を占める国々が、支援しているのです。


反政府勢力の活動家 オマル・ハリリさん
「サウジアラビアやカタールなど、湾岸諸国の多くの人々が共感してくれています。
各国の政府も、我々の活動を認め、支持してくれています」

この日、ハリリさんはアラブ首長国連邦を訪れました。


仲間と落ち合い、各国で集められた資金をまとめてシリアへ送るためです。
資金は、信頼できる協力者を経て、シリア国内に届けられると言います。

「今月は12万ドル(約1000万円)集まった」

ハリリさん
「もっと協力者を増やし、多額の資金を集めなければなりません。
ヨーロッパにも活動の範囲を広げたいと考えています」

動画を見る
アサド政権支える イラン・ヒズボラ

対するアサド政権。
強力に支援しているのはシリアと同盟関係にあるイラン、そして、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラです。


先週、イランで開かれた非同盟諸国の会議です。
最高指導者、ハメネイ師はアメリカと同盟国が反政府勢力を支えていることが事態を悪化させていると非難しました。


イラン最高指導者 ハメネイ師
「アメリカと共犯者たちが行っているのは、他国への軍事介入だ。
民主主義の名のもとに攻撃を繰り返し、無防備な市民が犠牲になっている」

しかし、そのイランもアサド政権に対して武器を提供していると指摘されています。


今年1月、イランからトルコを経由してシリアへ向かっていたトラックが国境の検問所で摘発されました。
トラックからは大量の爆発物が押収されました。
シリアの元外交官もイランとシリアの密接な関係を証言しています。


元シリア外交官 ナワフ・ファレス氏
「イランは、アサド政権に武器や資金を提供し、軍事専門家も派遣しています。
イラン政府の高官はアサド政権を、最後まで後押しすると話していました」

隣国レバノンのシーア派組織ヒズボラも関与を強めています。
シリアの反政府勢力の関係者が拉致される事件が相次ぎ、その背後に、ヒズボラがいると疑われているのです。
周辺国を巻き込みながら混迷の度を深めるシリア情勢。
アサド大統領は一歩も引かない構えです。

アサド大統領
「我々は中東地域での国際的な紛争のさなかにある。
どんなに時間がかかろうと、最終的には必ず勝利する」

動画を見る
混迷シリア 激化する戦闘
ゲスト青山弘之さん(東京外国語大学准教授)

まず、国連監視団の役割に関してなんですけれども、その効果っていうのは、賛否両論あるし、評価は分かれるかと思うんですけれども、今、この段階でアサド政権が重火器を使って、ものすごい激しい攻撃をしているということを考えると、武装もしていませんし、人数も少なかったんだけれども、アサド政権、そして反体制力双方の暴力を低下させるという意味では、ある一定の効果があったんだというふうに思います。
というのは、国連監視団がいるということは、その国連監視団の是非を巡って国連が審議が出来ると、つまり国際社会のテーブルの上にシリアが乗るということなんですけど、今、国際社会はシリア問題について、具体的に論じる場所っていうのを、監視団がいなくなったことによって、実質的に失ってしまいました。
そうすると、暴力っていうのはある種、たがが外れてしまった形で行われて、最終的に絶対的に暴力を持っているアサド政権の攻勢っていうのが、非常に目立つようになっているかと思います。

●アサド大統領の発言をうけて
そもそも、アサド政権っていうのは、紛争が始まった当初から、民主的なデモっていうのは、実は国民がやっているものではなくて、外国のテロリストであるとか、外国の支援を受けた、そういうかいらいであるというふうに主張してきました。
紛争当初は、この主張っていうのは、恐らくプロパガンダであって、一般の人たちは実際に参加していたわけですけれども、紛争が長期化して、暴力が激化する中で、反体制勢力は常に劣勢なわけですから、それを打開しようとして、外国の支援を招きいれてしまったと。
そうすると、アサド政権が言ってきたプロパガンダというのが、現実味を帯びてしまって、アサド政権としては、なんて言うんでしょうね、これまで言ってきたことが正当だということで、国際紛争だという主張を、これまで以上に強めているんだと思います。

●ここまで内戦状態が激しいわけは
そもそも、シリアの反体制運動っていうのは、ほかの国と同じように平和的なデモから始まりました。
ただこれに対する弾圧、アサド政権の弾圧というのは、極めて激しく展開します。
この激しさゆえに、少しずつ紛争の性格が変わってきたということが言えるかと思います。
まず最初に何が変わったかというと、デモに参加していた一般の人たちっていうのが再び恐怖におびえてしまって、参加しなくなる。
そうすると政治組織であるとか、軍事組織というものが、反体制運動を主導するようになると。
平和的なデモっていうのが、軍事化っていう、武装化してしまって、これまたちょっと違った様相になるということがまず、あるかと思います。
さらにその上に武装闘争になった反体制運動は、とはいっても、アサド政権に比べると弱いわけですから、劣勢を打開するために、なんらかの新しい手が必要になって、今度は外国の支援というものを求めることになります。
外国はリビアのように軍事的な介入をすればいいわけですけれども、シリアっていうのは地域の核を形成していて、シリアの不安定って、ほかにも波及してしまう危険があるので、なかなか踏み切れないと。
そうした中で、兵たん支援、武器支援、さらには外国の戦闘員を国内に送るというような形で、もう泥沼化しているというのが、現実かと思います。

動画を見る
反政府勢力 深まる内部対立

シリア国民評議会 議長
「我々、シリア国民評議会は、国内外の反政府勢力を代表する。
アサド政権の打倒に向けて、全力を尽くす」

シリアでアサド政権による弾圧が激しさを増していた去年(2011年)10月。
トルコのイスタンブールで、反政府勢力のシリア国民評議会が設立されました。
アサド政権に代わって、シリアの新たな国づくりを担うと期待されました。


国民評議会のメンバーはイスラム教徒やキリスト教徒、特定の宗教にこだわらない世俗派など、さまざまです。
シリア国内でアサド政権と戦う自由シリア軍との連携を掲げています。


しかし、設立から1年近くたった今も国づくりの道筋は描けていません。
今年5月まで国民評議会の議長を務めたブルハン・ガリユーン氏です。
反政府勢力が結束出来ないことが最大の問題だと指摘しています。

ブルハン・ガリユーン氏
「アサド政権では政治への参加が全く認められていません。
政治経験の無い勢力がまとまり合意することは非常に難しいのです」

さまざまな勢力が集まったシリア国民評議会。
将来の国の在り方を巡っても、大きな意見の隔たりがあります。
国民評議会の最大勢力であるイスラム組織のムスリム同胞団です。
アサド政権によって非合法化されトルコに拠点を移していました。
アサド政権を倒したあとは祖国に戻り、イスラム教の教えに基づいた国づくりを目指そうとしています。


ムスリム同胞団指導者 ムハンマド・シャクファ氏
「私たちの国づくりで最も重要となるのが、イスラム教の聖典、コーランと預言者ムハンマドの教えです」


同胞団は、今、シリアの人々の支持の拡大を目指して活動しています。
戦闘でけがをした自由シリア軍の若者のために施設を確保し治療費も、すべて負担しています。


「あなたはどこをけがしたのですか」

「ここです」

「必要なことがあれば、何でも言ってください」

ムスリム同胞団指導者 ムハンマド・シャクファ氏
「私たちはより多くの人と接することで支持者を増やそうとしています。
どんな政治勢力でも同じことをしています。
それが民主主義というものでしょう」


同胞団に対抗するグループの1つ、国民評議会の世俗派です。
イスラム教の教えに基づいた国づくりを目指す同胞団が、政治に強い影響力を持つことを警戒しています。

「同胞団は閉鎖的で、保守的なイスラム教徒しか見ていない」

「同胞団は将来、シリアの政治を独占するつもりなのだろうか」


世俗派グループ ペキル・アタジャン副代表
「我々が目指すのは、より開かれた自由な国づくりです。
同胞団による独占支配は断じて受け入れられません」


国民評議会の議長を務めていたガリユーン氏は、この対立が続くかぎり新たな国づくりの展望は開けないと言います。


シリア国民評議会 ブルハン・ガリユーン前議長
「国民評議会では、今、ムスリム同胞団と世俗派が競い合って緊張が高まっています。
互いが協力し合わなければ、独裁体制に対抗することなど出来ません」

国民評議会が連携を目指そうとしていた自由シリア軍からも批判の声が今、上がり始めています。
シリア国内の最前線で戦闘を指揮する自由シリア軍の副司令官に国境付近で話を聞くことができました。
政権打倒に必要な、国際社会の協力を得られていないと国民評議会を批判しています。


自由シリア軍 マリキ・クルディ副司令官
「我々は政府軍の激しい攻撃に日々、さらされている。
国民評議会は、国際社会からの支援を取り付けるためにもっと真剣に努力をすべきだ」

1日も早い、アサド政権の打倒を目指す反政府勢力。
しかし、内部の対立が深まり新たな国づくりの行方は全く見えていません。

動画を見る
反政府勢力 対立の背景

紛争が早い間に解決すれば恐らくそういう(アサド政権打倒でまとまる)ことは出来たかと思うんですけれども、さまざまな要素が入ってしまって混迷してしまっているもんですから、例えばアサド政権を倒すかどうかというところ、しかも倒し方をどうするのかというところでも、意見が分かれてしまっています。
例えば平和的にデモで倒すのか、軍事的な手段で倒すのか、倒すにしても外国の支援は、いるのか、いらないのか、あとは外国の支援は平和的な支援なのか、軍事的な支援なのかということで、倒し方からまず、意見が対立してしまっている感じになります。
加えて仮に倒れた場合、今度、将来の民主的シリアの国をどうするのかっていうので、例えばムスリム同胞団は、イスラム主義に基づいている、それ以外にもアラブ民族主義に基づいて国をつくりたい。
あとは例えば、いろんなクルド人であるとか、アルメジア人であるとかといったマイノリティーが権利が尊重されるような、多元的な国家を目指すというような形で、将来の国の青写真についても合意がなされていないということになってしまいます。
それっていうのは、シリアがさまざまな宗教、宗派が混在するモザイクであるというところが、大きな理由で、それをある種、私はこういう宗派だ、私はこういう民族だっていうことを主張することで、要求するような、何かを要求するような動きさえ出てきてしまっていて、その組織の数って今、確認できるだけでも、大体100以上。
そういう状況になっています。

●これからのシリア情勢 起こりうるシナリオは
今、こういう反体制勢力の、なんて言うんでしょう、分裂要素、あとは政権の容赦ない弾圧っていうことがあります。
その対立、非常に長期化していますけれども、どちらかが完全に勝つっていうことは、恐らくありえないんだと思います。
最悪の場合、湾岸戦争後のイラクみたいに、いわゆる強権支配は、都市部にあるんだけれども、周辺部では例えばクルドが台頭したりっていうようなそういう中で、紛争がずっと続いて、その中で、多くの人が日々、命を撃ち落とし、また避難生活を余儀なくされてしまうっていうそれが最悪なんですけれども、一番起こりうるシナリオかというふうに思います。

●混迷シリア 国際社会は
今のまま、介入を続けないと、非常に問題かと思います。
シリアの人、今、何よりもまず大義はともかくとして、戦いをやめてほしいというのが大多数の声かというふうに理解しています。
そうした場合、国際社会としては、これまでと同じような方法ではなくて、また別なアプローチ、ないしはその前提条件抜きで、その紛争を解決するための努力っていうのが必要なんだと思います。

(前提条件抜きというのは?)例えば西側っていうのは今、アサド政権と完全に断交状態にありますけれども、果たして紛争解決にはそれがいいのか、ないしはロシアはアサド政権を支援してますけど、そのままでいいのかっていう、そういうところも考える。

重要なのは民主化なのか、その人道なのかってところなのかと思います。

動画を見る
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3242_all.html
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3242.html  

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コメント
 
01. 2012年9月10日 21:21:28 : cqRnZH2CUM

>どうせダメなのか?

ダメだろう

日本の国益を考えたら、欧米と協調しながら、あまり負担にならない程度に、適当につきあうくらいしか選択肢はないだろうな



02. 2012年9月11日 06:16:50 : l1NPjWZAfD
黒井の文章を読んでいて奇異に映るのは独裁政権というキーワードが、何故かイスラム色の強くない世俗主義を採っている国の権力体制にだけ適用されていることである。

これはダイナモもそうだが、弾圧と独裁により民衆の自由を奪うのみならず、領土拡張の野心を捨てず抜け目の無さで時には大国の顔色を見て漁夫の利を得んとしてアラブの大儀を平気で反故にする危険な政権とシリアやリビアを決めつけるが、不思議なことに他の湾岸アラブ諸国家の権力体制がどうなっているのかあまり言及しない。
実は黒井文太郎がワールド・インテリジェンスと称して軍事研究に書いていた文章は、同誌を定期的にチェックしていたこともあり折に触れて読んでいたので黒井の文章の傾向を知らないわけではない。

黒井が主に取り上げるのは国際的にはテログループであり、独裁国家と目される(この場合、そう主張しているのはアメリカだが)体制下で反体制運動を地下で行っているグループは抵抗組織という扱いになる、いわゆる大国のご都合主義で立場が入れ替るいつものダブル・スタンダードを踏襲しているに過ぎない。
というよりも、テロリストという言葉は石川啄木も読んでいるように20世紀初頭の剥き出しの帝国主義が跋扈していた時代、それら狂犬どもに歯向かう悲しき者たちの渾名として意味を持っていたのであるが、いつのまにかテロリストは上に「狂気の」という冠をつけられ唾棄される言葉に変わった。
今日、情報がいくつも錯綜する混迷の世界にあっていつまでもインテリジェンスを標榜する者だけがそうした国際情報のエキスパートとして一過言持つ時代は終わっていると俺は思う。

騙されてはいけないとわれわれに賢しらに語って来る者こそ、われわれを騙しに来ていると疑ってかかったほうがいい。
アメリカはイラクやアフガンで得た失敗の反省を民衆の情動に利用し扇動する戦略に切り替えている。
そういうとき、その前衛になるのは黒井やダイナモのような圧殺された民衆の人権をことさら持ち出す善意の仮面をかぶった連中であることは言を待たない。
仮面の下には、当人たち(黒井文太郎はともかくダイナモは使いまわされているようだが)はそう思っていなくても結果的にそうならざるえない帝国主義の尖兵を担ってしまっている無意識の悪意で引きつった顔があるということも。


03. 2012年9月11日 13:44:54 : sONU0li7Tg
>>02

> 仮面の下には、当人たち(黒井文太郎はともかくダイナモは使いまわされているようだが)はそう思っていなくても結果的にそうならざるえない帝国主義の尖兵を担ってしまっている無意識の悪意で引きつった顔があるということも。

まったく同感です。
黒井氏の結論である以下の部分を読んだとき、アレっと思いました。

> ですが、反体制派が降伏することは、現実的に考えられません。内戦は今後も続きます。であれば、唯一の道は、反体制派が1日も早くアサド体制を打倒することであり、その後押しをするために国際社会はもっと反体制派を積極支援すべきであるというのが、私の現時点の分析です。

反体制派の積極的支援はエスカレートすれば他国の軍事介入になるわけで、国際社会による内政干渉は平和的なもの以外は許されないということを否定しているように読めたからです。


04. 2012年9月11日 13:51:47 : sONU0li7Tg
>>03です。

ちょっと、修正します。平和的な内政干渉というより、体制派と反体制派の両者にとって公平な干渉以外は許されないということを言うべきでした。
言いかえるなら、国際社会は、喧嘩両成敗との判断で内政干渉することまでなら許されるでしょうということです。


05. 2012年9月11日 15:09:13 : DcxDg6lzRM
アメリカがシリアでやろうとしていることは半永久的な内戦状態の創出に他ならない。
中米でニカラグア、サンディ二スタ革命政権の影響を受けた隣国エル・サルバドルのファラブンド・マルティ反政府軍とアメリカの支援する現政府軍の紛争にアメリカが関与し叩き潰したことをもってエル・サルバドル方式と呼ばれるものだ。
最終的に国連停戦監視団(この場合の監視団とはロシア中国などいわゆるシリア政府よりと目されている安保理事国が呼びかけたものでなく、いうまでもなくアメリカやEUの意に添ったもの)を入れ、紛争処理をする事態にまで国内をグチャグチャにして、シリア国民が政府から人心離反してしまうまで反政府武装勢力に武器と資金と人を与え続ける。

>>03氏が言及した黒井文太郎の文章、「ですが、反体制派が降伏することは、現実的に考えられません。内戦は今後も続きます。であれば、唯一の道は、反体制派が1日も早くアサド体制を打倒することであり、その後押しをするために国際社会はもっと反体制派を積極支援すべきであるというのが、私の現時点の分析です。」はまさにエル・サルバドル方式そのものを指している。
黒井の心証が何処にあるか、俺にはたちどころに分る。


06. 2012年9月11日 21:11:18 : KbozhQrFdw
>03 が引用している黒井文太郎の文章の最後に
>私の現時点の分析です。
なんて書いてあるが、これって分析になるのかなあ?どう見ても(>05の言葉を借りれば「エル・サルバドルのようになれぇ」という)希望・願望を書いているようにしか見えないのだが。「現実を見ずに希望的観測におぼれる」というのは旧日本軍が破滅した原因としてあげられるものだが、現在の軍事周辺者にもそれが脈々と受け継がれているということなのか?!


07. 2012年9月20日 05:44:29 : 4sLgJ6dTRM
黒井自身は分析はせず、感情のままに書いているだけ。客観的な記事がひとつもない。ブログのコメント欄は極右の罵詈雑言は野放しにするが、否定的なコメントは削除や投稿拒否をしているとの噂もある。

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