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北朝鮮の最終目標は水爆搭載ICBM [春名幹男「国際情報を読む」] (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/710.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 2 月 22 日 00:14:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8109.html
2013/2/21 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


「小型化、軽量化された原子爆弾」と豪語した3回目の北朝鮮核実験。

専門家の中には北朝鮮一流の誇張とみる向きもあるが、米国からは技術の高度化を警告する指摘が相次いでいる。

小型・軽量化について、実は1999年の米国防情報局(DIA)の報告書で「初期世代の(核)弾頭は650〜750キロ」との判断が示されていたことが分かった。

長崎に投下された原爆は爆発力21キロトンだが、重量は4トンもあり、B29爆撃機で運搬した。これと比べれば、軽さが分かる。

米科学国際安全保障研究所(ISIS)も小型化成功の可能性を認め、中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)に搭載可能と指摘した。日本のほぼ全域が既に核ミサイルの射程内に収められたことになる。

今度実験された核弾頭は昨年4月の軍事パレードで初登場した開発中の3段式長距離弾道ミサイルKN08への搭載も可能との見方も一部にある。北朝鮮の核兵器開発をめぐっては、脱北者キム・イルド氏の興味深い証言がある。

「4キロのプルトニウムを使って重さ1トンの核弾頭を造ったのだが、科学者は大型の核兵器をうまく作動させる自信がなく、現在は重さ500キロの小型を開発中」と2005年当時、韓国国家情報院で供述したというのだ。キム氏は核・ミサイル開発を担当する国防委員会第2経済委員会に所属、高度な情報を直接得ていたようだ。

確かに、翌06年の核実験は爆発規模推定0・9キロトン以下と小さく、失敗とみられている。しかし、09年の実験は米国務省の委託研究で4・6キロトンと改善、今回は過小評価の傾向がある韓国国防省推定でも10キロトンとしている。

実は、北朝鮮がパキスタン経由で入手したと伝えられる核兵器の設計図も小型向けといわれている。

今度の核実験では改定値でマグニチュード5・1の地震を観測、06年4・3、09年4・7と比較して規模が大きく、北朝鮮は核の小型化と爆発規模の大型化を同時に達成したことになる。

では北朝鮮の最終目標は何か。モントレー国際研究所のジェフリー・ルイス博士は「ミサイル搭載水爆の蓄積」と警告する。これほどまでに北朝鮮の核開発を放置した責任はオバマ米政権にもある。

◇春名幹男 早大客員教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。


 

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コメント
 
01. ヒットラー・ジュニア 2013年2月22日 02:54:51 : d1CXd31Bqa8JM : DsyruJaNCY
 北の核などはりこの虎に決まっておる。
 とほざいているだけではまずいので、この際に北にも中国にもおみまいできる核の開発を提案する。担当は元のオウムの優秀なABC兵器の担当者だ。
 福島の原発では核兵器の開発をしていたようだ。しかしいまとなっては敵(アメリカなど)に知られて破壊されたらしい。民主党政権では敵もそれをやりやすかったが、いまの自民党ではそうはいかんぞ。
 アメリカは広島・長崎の復讐を極度に恐れているようだ。日本に核兵器の独自開発など許すわけないから、おそらく北と中国に核のプレゼントをするのはアメリカかも知れん。

02. ヒットラー・ジュニア 2013年2月22日 03:37:58 : d1CXd31Bqa8JM : DsyruJaNCY
 オウムと北の核の関連性について

 オウムへの仮説  −ヤヌスの双面としての自衛隊 影の闇 http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/222.html
自衛隊は、その名の通り、国防軍的な側面と、その出自から、米軍の下部組織=米衛隊的な側面が有ります。
冷戦期までは渾然となっていたものが、最近の陸海空の自衛隊幹部の言動によりハッキリと現れてる通り、米衛隊の側面が極めて強く、大きくなっております。 その枝分かれしたのが、やはり、この辺りに在ったのではないか?と考えると、オウムについての残された謎も見えて来るようです、、、
CIAリポートで指摘する「100人に上る現役自衛隊員」や「米国防総省を凌駕する、多数の科学者・科学技術者の存在」、また村井が記者会見で豪語した「1000億の資産」、ついでに「金丸氏宅と同じ<金の延べ棒>がオウムに在ったこと」。
これらを、相互に矛盾無く、説明出来る<仮説>とは、オウムが、防衛族のドン金丸信氏の地元である山梨県、富士山麓の自衛隊駐屯地や演習場に近い場所にサティアン群を置いた事からして、軍事関連の背景があり、しかもそれが冷戦後の思惑も重なっていたと考えると、そこには、ABC兵器も含めた高度の軍事兵器の研究・開発を行うべく、自衛隊の国防軍的な部分からの影響が及んでいた、と考えるのが自然です。 多数の科学者・科学技術者が集まっていたことや高度の軍事技術や兵器に異常な関心を示してアプローチしていたこともこれで説明出来るし、多数の現役自衛官(元も入れれば更に増えるはず)は技術的なアドバイザーとかコーチ、或いは外部からのスパイを防ぐ防諜関係の役回りもあったのかも知れません。 また、潤沢な資金の出処は、その辺の決して表には出て来ない類のものだったのでしょう、<金の延べ棒>が在ったということからして。


 福島の原発をサティアンとよんだ石原ジュニア、福島原発に核兵器開発のにおいを嗅ぎ付けたからでしょう。
 オウムはあれほどの事件を起こしながら、解散させられることなく、今はアレフと光の輪の2グループに分かれている。
 オウムは、ロシアでHAAPや地震兵器の情報収集、米国では核の秘密を探っていたとか。おそらく民族派と北朝鮮などの派閥にわかれていたようだ。そこに米国のCIAなど諜報機関が探りをいれてきた、あとは角栄や小沢を陥れるような警察と検察を動かしてのおおとりもの。山梨県のサティアンではサリンなどの化学兵器を少量しか開発できないが、核兵器などは旧日本陸軍が残した兵器庫もかねる地下壕で行ってたのだろう。だからオウム事件は長野や山梨が表舞台になるのであろう。
 いまの北朝鮮の核もミサイルも日本のオウムなど地下組織の開発したものであろう。麻原も林も北朝鮮系だということが北朝鮮のオウムへの関与を示唆していないだろうか。


03. 2013年2月22日 08:14:12 : xEBOc6ttRg

北朝鮮の核実験にピント外れの号外
目を向けるべきなのは600基の戦域弾道ミサイル
2013年02月22日(Fri) 北村 淳
 日本のマスコミの多くは、中国や北朝鮮による軍事関連事件が生ずると、まずはアメリカの動向、すなわちアメリカ大統領はじめ政府高官の公式声明から、知日派と称される“お決まりの”アメリカ人の論評などまでを、あたかもアメリカ全体の意見であるかのごとく紹介するのが常態化している。その姿はまるで日本の軍事的対米従属を強化する尖兵となっているようである。

またもや米国の反応を“我田引水”

 今回の北朝鮮核実験に関しても、ちょうど翌日にオバマ大統領の2013年度一般教書演説が行われたため、アメリカ政府がどのような反応をしたかを“お決まりの通り”に報道した。そして、その報道内容は誇張あるいは牽強付会とまでは言えないまでも「アメリカは北朝鮮に対して強硬な態度を示すことによって、日本を核兵器の脅威から護ってほしい」といった願望を裏付けするような論調で、さもオバマ大統領が一般教書演説において、北朝鮮の核実験を極めて深刻な脅威と受け止めて強烈な警告を発したかのような報道が目についた。

 確かに一般教書演説では、北朝鮮の核実験実施を名指しで非難し「国際社会による制裁を覚悟せよ」といった警告を発している。しかし、核実験の前日には核実験実施の通告を受けたアメリカ政府にとっては、寝耳に水の実施というわけではなく、一般教書演説における核不拡散の文脈にバランスよく引用された具体的事件といった取り扱いであった。

 ちなみに、「オバマ大統領が一般教書演説で具体的に北朝鮮の核実験を取り上げ強く非難した」といった報道からは、あたかも一般教書演説で相当この問題が重要視された問題であったかのようなニュアンスで受け止められかねない。

 しかし実際には、オバマ大統領の演説のうちで外交軍事問題が占めた割合は2割程度であり、健康保険制度、移民法改正、産業・経済再生それに銃規制といった国内問題が中心であった。そのようにかなり分量が少ないと言える外交安全保障分野の、そのまた一部(2割以下)が、核不拡散に関する言明に割り当てられていた。

 それは以下の通りである。

 「米国は世界で最も危険な兵器の拡散を防止する努力を主導していく。北朝鮮政権は、彼らが国際的責務を果たすことによってのみ安全保障と繁栄を勝ち取ることができる、ということを心得ねばならない。われわれが昨夜目にしたような挑発行為は、われわれ(米国)が同盟諸国の力になり、われわれ自身のミサイル防衛を強化し、このような脅威に対抗する強固な行動を国際社会に取らせるように仕向けることにより、彼ら(北朝鮮政権)をさらに孤立させるだけである。

 同様に、イラン指導者たちは、わが多国籍軍側が彼らが義務を履行するよう要求するために団結しており、われわれが彼らが核兵器を手にすることを妨げるために必要な手段を実施するゆえ、今こそ外交的解決の時期であるということを肝に銘じなければならない。

 それと同時に、われわれ(米国)はロシアにわれわれ(米国・ロシア)の核兵器保有量のさらなる縮減を進展させるための約束をさせるとともに、誤った者たちの手に入りかねない核物質の安全を確保する世界的努力を主導し続けるであろう。他者に影響を及ぼすわれわれの能力は、われわれが主導しようとする意欲に依存するのである」

直面している危険には騒がないマスコミ

 アメリカの軍事力にすがりつこうという日本政府や、そのような態度に疑問を発していない多くのマスコミが、上記のようなアメリカ政府の声明に対する我田引水的な報道をなすのはこれまでもままある話であり、驚くには値しない。

 もちろん、そのような政府の方針とマスコミの姿勢は、今後ますます軍事力削減に向かっているアメリカの現実を考えるならば、日本の国防にとっては極めて深刻であり、決して容認してはならない。

 このような体たらくの日本の新聞各社であるが、北朝鮮による核実験実施に関して号外を発行したのにはさらなる驚きを禁じ得ない。CNNをはじめとする米国の報道でも、街角で新聞の号外を手にして不安げな表情をする日本の人々の姿が紹介されていた。ロイターの報道では、「日本の人々からは『怖い、本当に怖い』といった声も聞かれた」というコメントも伝えていた。

 新聞の号外を見た人々が、本当に「怖い」と思ったのか、また何に対して恐怖心を抱いたのか、は知る由もない。だが、日本社会では、正確な核兵器に関する知識が普及していないところに福島第一原発事故による深刻な放射能汚染も目にしているために、ますます核兵器や核実験という言葉に対する恐怖心が蔓延している。その中で「北朝鮮が核実験を実施」との号外を発行すれば、いやが上でも人々の恐怖心を煽り立てることは、いかなる新聞社といえども承知しているはずである。実際にニュースでは「戦争が起きそうで怖い」と言っている人まで映し出されていた。

 もちろん、すでに日本全土を射程圏に収めている弾道ミサイルを多数保有している北朝鮮が核実験を重ねていき、核爆弾の小型化や多弾頭核ミサイルの開発に成功した場合には、日本に対する強力な核攻撃能力を北朝鮮が手にすることを意味し、もはや日本はこれまで以上にアメリカにすがりつかなければ北朝鮮に対しても手も足も出ない立場に追い込まれてしまう。

 このような意味では、北朝鮮の核実験は確かに日本にとって深刻な問題ではある。だが号外をばらまいて、あたかも日本が今にも核攻撃を受けるようなニュアンスを人々に与えてしまうほど差し迫った脅威の段階にはほど遠い。

 もし、軍事に疎い多くの人々に北朝鮮の軍事的脅威を伝達するのならば、今回の核実験とは比較にならないほど深刻かつ現実的な軍事的脅威に日本が直面していることを、なぜ日本のマスコミは取り上げないのであろうか?

日本を攻撃するための600基の戦域弾道ミサイルを保有

 北朝鮮が中国の反対を押し切ってまでも推し進めている核実験は、弾道ミサイルの弾頭に搭載可能な小型核爆弾の開発である。そして、小型化・多弾頭化に成功した場合に搭載するのは、やはり現在開発が急ピッチで進んでいるアメリカ攻撃用大陸間弾道ミサイルということになる。

 大陸間弾道ミサイルの実験の際には、日本領土上空を通過するために、何らかの不具合により落下物がないものか日本では大騒ぎをして、弾道ミサイル迎撃システムまで展開させている。しかし、北朝鮮が日本を攻撃する場合には大陸間弾道ミサイルではなく、すでに実戦配備されている多数の戦域弾道ミサイルが用いられる。

 北朝鮮の保有する弾道ミサイルのうち、最大射程距離800キロメートルと言われている「スカッド-ER」短距離弾道ミサイルを用いると、長崎の五島列島から敦賀湾岸地域までが射程圏に収まり、大阪や瀬戸内沿岸諸都市そして北九州から長崎にかけての諸都市が全て含まれる。


地上移動式発射装置(TEL)に搭載されたノドン-A
 また、「ノドン-A」中距離弾道ミサイルの最大射程は1300キロメートルと言われており、発射位置を移動させることにより、沖縄本島から北海道までの日本列島がすっぽりと射程圏に収まっている。

 そして、新型の「ノドン-B」あるいは「ムスダン」中距離弾道ミサイルの最大射程距離は3000キロメートルとも4000キロメートルとも言われており、いずれにしても日本領域全体を完全に射程圏に収めていることは間違いがない。

 最新鋭のノドン-B/ムスダンはいまだに数十基しか配備されていないと見なされているが、スカッド-ERは350基程度、ノドン-Aは200基以上が配備されていると米・英をはじめとする情報筋は分析している。つまり、朝鮮人民軍は日本を攻撃するためのおよそ600基の戦域弾道ミサイルを、現時点において、保有しているのである。


TELに搭載されたノドン-B
 それらの戦域弾道ミサイルには高性能爆薬弾頭が搭載されており、将来的には、つまり核実験が重ねられて小型核弾頭の開発に成功したならば、核弾頭も搭載可能となる。しかしながら、非核保有国である日本を、何らかの理由によって攻撃する場合には、非核の高性能爆薬弾頭が使用されることになる。

 基本的には、相互確証破壊(敵の核先制攻撃に対して、被攻撃側が核報復攻撃を実施し、双方ともに核攻撃により破壊される、という原則を前提として核兵器保有国は核兵器の使用を躊躇する、という伝統的核抑止理論)に基づく核抑止状態が存在している(もちろん、テロリストが何らかの核兵器を手にした場合にはその限りではないかもしれないが)。そのため、日本に対してあえて核攻撃を実施して、アメリカにより日本の代理核報復攻撃(これは、ほぼ間違いなく実施される)をこうむって北朝鮮支配体制が崩壊してしまっては元も子もない。そこで、対日攻撃には現在のままの非核弾道ミサイルが用いられるのである。

 つまり、現在推し進められている核実験が成功しようが失敗しようが、日本の国防にとっては現在北朝鮮が保有しているスカッド-ER、ノドン-A、ノドン-B/ムスダンといった戦域弾道ミサイルは十二分以上に深刻な軍事的脅威と言うことができる。

自衛隊は最大36地点しか「PAC-3」を配備できない

 一方、いま現在もそれらの戦域弾道ミサイルの脅威に対峙している自衛隊は、それらのミサイル攻撃を撃破することができるのであろうか?

 確かに朝鮮人民軍の弾道ミサイルは、中国人民解放軍が保有する様々な対日攻撃用弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルと比較すると、性能的には時代遅れと言えるかもしれない。しかしながらなんといっても600基の弾道ミサイルを手にしているということは、自衛隊が有する弾道ミサイル防衛システムにとって、手強い脅威と言うことができる。

 朝鮮人民軍が弾道ミサイルを発射した場合、まずそれらのミサイルを迎撃する任務にあたるのは海上自衛隊のイージス駆逐艦に搭載されているイージスBMDである。

 もちろん、イージス駆逐艦が日本海で弾道ミサイル警戒任務についていなければ、イージスBMDによる迎撃が作動しないのは当然である。そして、北朝鮮から日本列島に向かって飛翔する弾道ミサイルを捕捉し撃破するためには少なくとも2隻の、理想的には3隻のイージスBMD搭載駆逐艦が日本海上をパトロールしていなければならない。さらに、現状では、たとえ北朝鮮の弾道ミサイルを捕捉するのに成功したとしても、100%近い高確率でミサイルを撃墜するだけの完成度までは達成していない。

 イージスBMDで撃ち漏らした弾道ミサイルは、地上に配備されている航空自衛隊が運用する「PAC-3」で迎撃することになる。PAC-3の撃墜成功率はかなり高いため、PAC-3を配備した地点には、弾道ミサイル攻撃はなされない公算が大きい。したがって、PAC-3には敵の弾道ミサイルを迎撃する以上に攻撃を回避させる抑止力が備わっている(もちろん、高い確率で撃墜されるのを承知で攻撃が敢行されることが皆無とは言えない)。しかしながら、航空自衛隊は36セットのPAC-3しか保有していないため、通常で18カ所、最大でも36地点しかPAC-3を配備することはできない。

 北朝鮮からスカッド-ER、ノドン-A、ノドン-B/ムスダンといった戦域弾道ミサイルが発射されてから、日本各地の攻撃目標(各種発電施設、変電所、石油・液化天然ガス貯蔵施設、石油精製施設、警察官公庁、放送局など)にミサイル弾頭が着弾するまでに5〜7分程度しかかからない。いつどこから攻撃してくるか不明である実戦において、どれだけ弾道ミサイル防衛システムが機能するかは未知数ではあるが、現状ではそれほど高い信頼を置くわけにはいかないというのが軍事常識である。

 もっとも、このような受け身のミサイル防衛でははなはだ心もとないため、有事の際には北朝鮮のミサイル発射装置を先制的に破壊してしまえば対日弾道ミサイル攻撃は不可能になる、という敵基地攻撃論のようなものが一部では浮上しているようである。

 しかしながら、朝鮮人民軍の対日攻撃用弾道ミサイルはいずれも地上移動式発射装置(TELと呼ばれる大型トレーラーのような発射装置)から発射される。「テポドン」や「銀河3号」を打ち上げる際に目にする巨大なロケット発射台とは違って、TELを発見・捕捉して先制攻撃を加えて破壊するのは至難の業であり、ましてそのTELが数百輌も動き回っているとなると、先制攻撃によって朝鮮人民軍の対日弾道ミサイル攻撃能力を撃破することは不可能と考えざるを得ない。

 このように、自衛隊が擁する弾道ミサイル防衛システムは、現状では国民の生命財産の保護をそれだけに頼って安心できるレベルにはほど遠い状態である。そして、敵基地攻撃論は朝鮮人民軍の対日攻撃用弾道ミサイルには通用しない。

 (このような状況は、中国人民解放軍の各種対日攻撃用長射程ミサイルに対しても同様である。中国に関しては拙著『尖閣を守れない自衛隊』を参照していただきたい)

 それでは、どうすべきなのか? 北朝鮮の軍事的脅威を排除してもらうために現在以上にアメリカに擦り寄って頼り切らねばならないのか?

 長引く対テロ戦争で軍事的にも財政的にも疲弊しているアメリカにとって、日本が現在以上に自主防衛努力を欠いたまま頼り切ろうとすれば、それこそ「いい加減に目を覚まし、自分の国はまず自分で護る努力をしたらどうなのか」と現在も口に出して言いたい本音がついに噴出することになるであろう。

 日本は、何とかして自主防衛能力を高めることによって、その不足を補うために日米同盟を使うという真の意味での日米同盟の深化(国際的センスでの正常化)を計らなければならない。このあたりの事情、そしてその具体的方策は別の機会に述べさせていただく。


04. 2013年2月25日 14:55:29 : xEBOc6ttRg
米韓軍事演習なら「悲惨な破滅の運命」、北朝鮮が米司令官に警告
2013年 02月 25日 06:24 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]


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[ソウル 23日 ロイター] 北朝鮮は23日、韓国に駐留する米軍司令官に対し、米韓両軍が定例の合同演習を実施すれば、「悲惨な破滅の運命」を迎えると警告した。朝鮮中央通信社(KCNA)が報じた。

それによると、朝鮮人民軍板門店代表部の朴林銖代表は米軍のジェームズ・サーマン司令官に「戦争の導火線に火を付けたものは、悲惨な破壊の運命を迎えることになる」と伝えたという。

米韓両軍は3月11─25日に定例の合同演習「キー・リゾルブ」を予定しており、韓国軍から1万人、米軍から3500人が参加する。また両軍は3月1日から2カ月間、野外機動訓練「フォール・イーグル」を行い、韓国軍から約20万人、米軍から1万人が参加する見通し。

北朝鮮は今月、3回目となる核実験を実施し、国際社会から非難が相次いでいる。
 

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コラム:「厄介な隣人」の扱いで試される韓国新政権
2013年 02月 22日 17:30 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]


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By Clare Richardson

「信念の人」で有能、そして独裁者の娘――。今月25日に韓国初の女性大統領に就任する朴槿恵(パク・クンヘ)氏は、こう評されてきた。経験豊富な保守政治家であり、故・朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の娘として育った同氏にとって、厄介な隣人である北朝鮮をどう扱うかが、今後の政権運用の鍵を握るといっていいだろう。

北朝鮮は12日、3度目となる核実験を強行し、国際社会から非難を浴びたが、報道や大統領選での朴氏の公約からは、韓国の北朝鮮政策は、李明博(イ・ミョンバク)政権よりは柔軟な姿勢に転じるとみられる。朴氏が李政権の外交政策を批判していたことを考えると、新政権の対北姿勢は前政権の強硬路線と、大統領選で朴氏の対抗馬となった文在寅(ムン・ジェイン)氏が再導入を提唱した「太陽政策」の中間になるとみられる。

米国防総省の東アジア政策の元上級顧問で、現在はカーネギー財団アジア研究部門の上級研究員を務めるジェームズ・ショフ氏は、朴氏の北朝鮮政策について「強硬過ぎず、穏健過ぎず」といったものとなると指摘。北朝鮮との関係を再構築するという観点から、李政権と比べてもっと柔軟な姿勢を示す可能性があると述べた。

北朝鮮との通商を停止し、人道支援も削減した李政権は南北関係を悪化させ、北朝鮮の核実験を阻止することもできなかった。同政権の強硬路線が、北朝鮮に敵対行為を正当化させる理由を与えているとの批判もある。

朴氏は大統領選期間中、李政権の北朝鮮問題での失政を批判するとともに、北朝鮮と「信頼に基づいた」関係を築いて関係を改善すると約束した。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、朴氏は「人道支援と政治は切り離す」とし、北朝鮮の最高指導者、金正恩第1書記と交渉する意向を示しているが、支援の前提条件として核兵器プログラムの断念を求めている。

しかし、金正恩氏がこれまでの型を破るとは考えにくい。今回の核実験で、金正恩氏が父親より柔軟な指導者かもしれないという期待は打ち砕かれた。19日には、北朝鮮外交官が国連の軍縮会議の席で、「韓国の異常な行動は最終的な崩壊」につながると警告し、他の出席者から反発を受けた。朝鮮戦争が休戦してから約60年がたつものの、厳密には両国はなお戦争状態にある。

朴氏にとって、朝鮮戦争は個人的な経験とともに記憶されている。当時22歳だった朴氏は、父親の朴正煕大統領を狙おうとした男に、母親が殺されるのを目の当たりにした。ジェフリー・ケイン氏は米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」の中で、男が「北朝鮮の指示を受けて動いていた」と指摘している。

ワシントン・ポスト紙によると、朴氏は大統領選前に「国家分断は全ての朝鮮人にとって不幸なことだが、私には想像を絶するような個人的苦痛として記憶されている」と語ったという。

また、ニューヨーク・タイムズ紙は、父親の訃報を聞いた朴氏が「北朝鮮との国境は万全か」と尋ねたとされる同氏のタフさを物語るエピソードを紹介している。

朴氏は2011年に米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」誌に寄稿した論文の中で、朝鮮半島の統一外交安保政策について、「信頼外交」を目指すと述べている。同氏はまた、歴代の政権が実施してきた硬軟どちらかに偏った北朝鮮政策が失敗に終わったことを強調。代わりに、朴氏は「強硬路線」と「交渉にも応じる柔軟政策」を組み合わせた「均衡政策」を提唱。こうした政策には、北朝鮮への人道支援や文化交流の再開が含まれるという。

朴氏自身の「過去」を振り返れば、同氏が中道路線を行く可能性が見て取れる。

(21日 ロイター)

*クレア・リチャードソン氏は、ロイター・ドットコムのワールドエディター。前職はニュースサイト、ハフィントン・ポストのワールド・エディター。


 

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05. 2013年2月27日 00:50:40 : xEBOc6ttRg
核実験でも北朝鮮との融和に向かう韓国世論

グーグル会長の招請は米国に向けた北のシグナル

2013年2月27日(水)  森 永輔

 北朝鮮が、2月12日に3回目の核実験を実施したと発表した。その背景と今後の展望について、朝鮮半島問題の第一人者である延世大学の武貞秀士教授に聞いた。「韓国世論は、北朝鮮との協議を進めないとひどいことになる」と考え始めている。
(聞き手は森 永輔)
今回の核実験は、なぜ2月12日だったのでしょうか。朴槿恵氏が2月25日に韓国大統領に就任しました。同氏が就任する前にやっておけば、実験で南北関係が悪化しても、就任後にリセットできる可能性がある。朴槿恵氏を高く評価しているから、それを狙ったと考えられないでしょうか。

武貞:北朝鮮が彼女に大きな期待を持っているのは間違いない。しかし、その狙いだけで実験をしたわけではありません。


武貞 秀士(たけさだ・ひでし)氏
韓国延世大学国際学部 専任教授
専門は朝鮮半島論。
延世大学の社会科学系学部で、日本人の専任教授は初めて。英語による課目「朝鮮半島の戦略的問題」「日本と北東アジア」を担当している。
著書に『北朝鮮深層分析』(KKベストセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。北朝鮮動向、朝鮮半島の軍事問題、国際関係などに関して、月刊誌やテレビに論文やコメントを発表している。
 朴槿恵氏を見る北朝鮮の目は徐々に変わってきました。大統領選挙の期間中は、「維新体制のお姫様」と形容して、皮肉っていました。人権を抑圧した大統領の娘じゃないか、という意味です。彼女の父親である朴正煕・元大統領が1972年に維新体制を始めました。彼はこの時、維新憲法をつくり自由を制限しながら、与党の安定多数が続く仕組みをつくりました。

 北朝鮮は朴槿恵氏に対するネガティブキャンペーンを張っていました。北朝鮮に対して融和的な、進歩系の文在寅氏を当選させたかったからです。彼は金大中・元大統領、盧武鉉・元大統領の後継者です。無条件で、すぐに南北首脳会談をやると言っていました。李明博大統領と逆の政策を採ることを約束していたのです。

 ミサイルを昨年12月12日に発射したのも、韓国の大統領選挙に影響を与える意図がありました。韓国民はこれを受けて「李明博政権が北朝鮮との対話を拒否して、北を追い込んだから、ミサイル発射にまで至った」と考えました。北朝鮮のこの目論見は実際に効果を発揮しました。開票直後に公表された世論調査の結果では、投票日3日前には文在寅候補の支持率が朴槿恵氏を上回ったのです。

 ただし、最後の3日間で、朴槿恵氏が一挙に盛り返しました。自分の票田である慶尚北道の有権者に動員をかけたのです。50〜60代の人々が朝の6時から投票所に行列しました。それで百数十万票差で当選しました。

セヌリ党は批判、朴槿恵は批判せず

 北朝鮮は選挙のあと、巧妙に姿勢を改めました。北朝鮮はセヌリ党を批判しながらも、朴槿恵氏を直接批判することは避け、1月は彼女に言及していません。

 朴槿恵氏はかつて平壌を訪問して金正日総書記と会っています。金正日総書記は、朴正煕・元大統領の政策に関心を持っていました。人権を抑圧しつつも、大変な経済成長――漢江の奇跡――を成し遂げたからです。それもあって、金正日総書記は朴槿恵氏を評価していた。金正恩第1書記もその評価を引き継いでいると思います。

朴槿恵氏が大統領に就任した後に核実験を実施すると、彼女に対していきなりガツンと先制パンチを食らわせることになる。なので李明博氏が大統領であるうちにやった。

武貞:日本から見ると何かそんなタイミングのように見えますけど、少し違います。韓国では大統領当選者は、当選日から実質大統領とみなされていますから。朴「実質」大統領へのメッセージです。

 この数年、韓国の世論は変化しています。「核実験をする北朝鮮との対話をきちっとやるべき。融和政策を採らなければ、北朝鮮は孤立してどんどん乱暴なことをする。だから李明博政権の統一政策は間違っている」というのが韓国の多数意見です。

 2010年3月、北朝鮮の潜水艦が韓国の哨戒艦「天安」を撃沈した時も、昨年12月12日にミサイルを発射した時も、韓国民は対北融和策に傾斜しています。豊かになった韓国社会では特にこの4〜5年、北朝鮮が脅威をちらつかせた後は必ず南北融和の声が高まっています。北朝鮮に対する余裕からでしょう。

 さらに「ここまで北が強硬になったならば、制裁に傾くアメリカとの間に一線を引いてでも、南北の協議を再開しなければ」と考えるようになっています。国民の6〜7割がそう答えるでしょう。

 10〜20年前の韓国世論はかなり違いました。北朝鮮が韓国に対して強硬姿勢を取ると、「やっぱり北の対話姿勢は嘘なんだ」「北朝鮮は韓国に対して軍事的な野望を抱いている」と考える人が半分以上でした。

今回の核実験は、「融和姿勢を取らないとまたひどいことになるぞ」という朴槿恵氏に対するメッセージということですか。

武貞:ええ、そうです。それと核保有国としての北の優位を認めろというメッセージを含んでいます。

オバマ第2期政権に秋波

金正日総書記の誕生日が2月16日でした。これとの関連はどう解釈すればよいでしょう。

武貞:金正日総書記の誕生日の前にやることで、北朝鮮の国民に対してアピールしたのでしょう。国民が「『核とミサイルをしっかりとやりなさい』という遺言を守る親孝行の息子だから後継者としてふさわしい」と思うと計算したのでしょうね。

今回の核実験は、バラク・オバマ米大統領が一般教書演説をする直前でした。

武貞:北朝鮮がミサイルと核の実験が成功したことを最も伝えたい相手はアメリカです。大陸間弾道弾を成功させ、小型化軽量化した核実験を行ったと発表しました。「アメリカが北朝鮮と戦うことになったら、ワシントン、ニューヨークが火の海になる」というメッセージを込めているのは間違いありません。

北朝鮮はオバマ大統領をどのように評価しているのでしょう。2期目のオバマ政権は話し合いに応じる可能性が従来よりも高いとにらんでいるのではないでしょうか。オバマ大統領にとって、次の大統領選挙はありませんから、妥協しやすい環境にあります。「核なき世界」をうたってノーベル平和賞まで受賞しながら、イランと北朝鮮の問題では前進がありません。オバマ大統領は対話で実績を作りたいところでしょう。

武貞:その通りですね。ヒラリー・クリントン前国務長官も去年、「北との対話を拒否しているわけじゃない」と発言しています。北朝鮮とアメリカの間に連絡事務所のようなものを開くことも視野に入れている、と言っていました。連絡事務所は大使館準備のためのものです。

 米国だけでなく、韓国も北朝鮮に対して融和的な方向に向かっています。大統領選の最中、次の大統領は北朝鮮との問題で何をすべきか、というテーマで大統領候補者が議論する機会がありました。「北との対話をどう再開するか」について候補者たちが競い合ってアピールしていました。

 進歩派の文在寅氏は「1年以内に南北首脳会談をやります」と「いつ」ということまで言っていました。朴槿恵氏も「自分が大統領になったら南北首脳会談を視野に入れたい」「必要であれば交流協力事務所を設置する」と発表していた。

 北朝鮮がこうした変化を前向きにとらえていることは間違いないでしょう。たとえば北朝鮮は1月、米グーグルのエリック・シュミット会長を招き、米国との関係改善と朴槿恵政権との対話に期待しているというメッセージを託している。

 グーグルは情報の共有と発信を重視する会社ですよね。情報の制限にことごとく反対する企業でしょう。その会長を呼んだわけです。「情報閉鎖社会というイメージを変えて、アメリカとの関係改善を」と金正恩第一書記が思っている証拠と言えます。

なるほど。シュミット会長を招いたことにはそういう大きな意味があったんですね。情報を公開する方向に進むぞという意思表示だった。

武貞:はい。北朝鮮が昨年来、アメリカに秋波を送っているのは間違いないです。

 北朝鮮は日本に対しても、配慮しています。第二次大戦の時の遺骨が残っているということで、北朝鮮の担当者が日本からの訪問団を案内しました。そして遺骨の収集ついていろいろとケアした。

でも、交渉したかったら「交渉しようよ」と言えばいいのに、ミサイルを撃ってみたり、核の実験をしてみたり。日本人の感覚から見ると、北朝鮮は不思議な行動を取ります。

武貞:米朝協議について言えば、2012年の2月29日、米朝間で以下の点について合意ができました。1)北朝鮮は長距離弾道ミサイルと核兵器の実験を凍結、寧辺の核施設におけるウラン濃縮を一時停止。2)北朝鮮は、寧辺の核施設に対する国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる。3)米国は24万トンの栄養補助食品及び追加的食糧支援で努力する。

 ところが北朝鮮はこの直後の3月、ミサイル発射の準備をしていると発表しました。国際社会、特にアメリカは当惑しました。この理由についてメディアでは、北朝鮮の中で右派と左派の対立があったとか、労働党と軍の対立があった、という説明がされていました。それは違います。

 これが北朝鮮の一貫したやり方なのです。米国との2カ国間協議を進めたい時に、ミサイルを発射したり、核実験を実施したりするのです。北朝鮮はすごめば「相手は北にとってもっと有利な条件を片手に対話の場に出てくるだろう」と考えるのです。

 唯一、違うのは日本に対する政策です。昨年12月、北朝鮮の希望で日朝協議を開催する予定でした。しかし、北朝鮮がミサイルの発射を予告。日本が協議を延期するということがありました。日本に対して「すごんだあとに交渉を提案」というのはあまりない。まだ日本との協議、対話の経験が浅いからからだと思います。

豊富な埋蔵量を持つウランにシフト

今回の核実験における技術的な注目点は何でしょう。

武貞:ウラン濃縮型の実験をした可能性があります。今回がそうだったかは不明です。しかし、北朝鮮がいつかはやりたいと思っていることは間違いない。2010年11月、寧辺にある遠心分離器2000基をスタンフォード大学のヘッカー博士らに見せて世界を驚かした。大量のウラン鉱石を埋蔵しています。ウラン濃縮を得意としているイランとは、2012年9月に技術協力協定を締結しており、国際的なネットワークは完備しています。

 ウラン濃縮型を開発することと弾頭の小型化、運搬手段(ミサイル)の射程の延伸――この3つは今、北朝鮮の重要な目標です。

北朝鮮はウランが豊富に取れるからですね。

武貞:ええ。北朝鮮のウラン鉱石の埋蔵量は400万トンと言われています。ただ、この数字は誇大です。北朝鮮発の宣伝ではないでしょうか。確定した数字がなかなか見当たらないのが現実です。

 カザフスタン、カナダ、オーストラリア、ナミビア、モンゴル、北朝鮮――これらがウランの6大埋蔵国です。北朝鮮を除く世界全体の埋蔵量は北朝鮮のその3分の1ぐらいと言われています。

400万トンという数字は誇大かもしれないけど、豊富にあるという意味で言えば間違いない。

武貞:それは間違いないです。だから北朝鮮は朝鮮戦争の直後から、ウラン鉱石を活用して核兵器を開発しようと考え始めました。プルトニウム型の開発計画を進める前はウラン濃縮型が本命だったのです。しかし、ソ連といろいろと交渉したり、ソ連に留学生を送ったりする過程で、原子炉を導入する道が開かれた。そして、プルトニウム型核兵器を推進するようになった。

 北朝鮮はプルトニウム型の核弾頭を8〜10個ぐらい作ったようです。でも、これではちょっと数が足りない。アメリカのミサイル防衛網をくぐって、ワシントンに届くだけの弾頭数が必要です。しかしプルトニウムはもう生成できないのです。どうも技術的な問題があって黒鉛減速炉が稼働してない。だからウラン濃縮という本命に戻ったわけです。

今回の実験はウラン型だったとお考えですか。

武貞:分かりません。空中の放射性物質を収集・分析すればウラン濃縮型だったかプルトニウム型だったか分かります。けれども、空中の放射性物質を分析するのに十分な量を収集することは至難の業です。2009年の核実験の時は収集できませんでした。

 今回は、残りのプルトニウムをかき集めて実験しただけかもしれない。ウラン濃縮型の爆発装置はできていないけど、できているふりをする。それはありうることです。地震波だけでは、判断できないので証明の方法がありません。

 今回、どんなタイプの爆発を起こしたのか、北朝鮮の公式発表があっても永久に闇の中かもしれません。

小型化は進んでいると思いますか。

武貞:小型軽量化はやった可能性が高いと思います。この1年、北朝鮮のいろいろな発言・報道にはうそがあまりありません。去年の4月にミサイル発射で失敗した時も、うまくいかなかったと認めています。2006年、2009年の核爆発のときは小爆発だったのに「小型化軽量化」とは言わなかった。これらが進んでいないのに「成功した」と言う必要はありません。

(次回に続く。2月28日に公開する予定です)


森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長。


キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。


 


朴槿恵氏が韓国大統領に就任――早くも公約違反を非難する声

経済民主化と年金で後退

2013年2月27日(水)  趙 章恩

 2月25日、ソウル市国会議事堂前の広場で朴槿恵大統領の就任式が行われた。

 政府の国政ビジョンは「国民の幸せ、希望の新時代」、就任式のテーマは「統合と前進、国民の生活の中へ」だった。

 「国民」にフォーカスするテーマに違わず、歴代大統領就任式の中で最多、3万5000人の一般国民が参加した。ネットと郵便で参加を申し込んだ8万9000人から3万5000人が選ばれた。このほか、同じく3万5000人の政府関係者、大統領と縁のある人、海外からの来賓が出席した。

 大統領の引き継ぎは2月25日午前0時と憲法が定めている。25日の0時には、新しい大統領の任期が始まったということで、ソウル市の普信閣の鐘を33回鳴らした。ふだんは除夜の鐘として使われているものだ。

 朴槿恵氏は18代目の大統領なので、国民の代表として選ばれた18人が鐘を鳴らした。脱北者、軍人、消防士、科学者、アニメーター、ボランティア活動家、スポーツ選手、韓国人と結婚したベトナム女性、女子高生、アイドル歌手などで、多彩な顔ぶれだった。

 朴大統領は就任式の朝、国立顯忠院を参拝してから式場に向かった。同院は朝鮮戦争で戦死した兵士や歴代大統領を安置した場所だ。KPOP歌手やオペラ歌手のコンサートが式典を彩った。その後、朴大統領はカーパレードを行い、大統領官邸に向かった。途中、大統領官邸の近くにある光化門広場で、国民が大統領へ送ったメッセージカードをいくつか開くイベントを行った。夕方からは大統領官邸迎賓館に外交使節を招き、晩餐会を行った。

 就任式の模様をテレビが生中継した。加えて動画共有サイト「ユーストリーム」のアリランテレビ公式チャンネルが、海外に向けて英語同時通訳付きの生中継をした。

 大統領就任式はお祭りでもある。朴大統領の就任を記念して国立故宮博物館と宮殿は、25日の入場料を無料にした。郵便局は朴大統領の就任を記念する切手シートを発売した。

就任前から課題山積の朴政権

 朴大統領の任期は2013年2月25日から2018年2月24日までの5年である。朴大統領は就任後できるだけ早く米国と中国を訪問して首脳会談を行うとしている。2014年9月には仁川アジア競技大会、2018年2月にはピョンチャン冬季オリンピックがあるので、任期中に2度も世界的行事を開催する大統領になる。

 韓国に住む人から見ると、大統領選挙が終わってからの2カ月がとても長く感じられた。1日も静かで平穏な日がなかったと言えるほど、たくさんの事件が起きたからである。

 年金問題、福祉公約の財源問題、国家情報院職員によるネット世論工作事件(2012年12月の大統領選挙の際に、国の安全保障を担当する国家機関である国家情報院の職員が、民主統合党の文在寅候補を落選させる目的でネット掲示板に複数のIDで書き込みをした証拠が見つかった事件)、北朝鮮による核実験など、ニュースが尽きなかった。

 それに、朴大統領が指名する長官(大臣)候補の多くに、過去の不正――賄賂、明確な理由なく兵役を免除されていた――が発覚し、組閣が二転三転した。就任式が終わってもまだ人選と組織構成をめぐり国会でもめている。調査をすればするほど疑惑が出てくる長官候補らのことを、「たまねぎ」に比喩する新聞記事もあった。何重にも層が重なっているたまねぎのように、一皮むくとまた別の疑惑が登場するからだ。

雇用の拡大を最優先

 新しい政府のスタートを前に、大統領職引き継ぎ委員会は朴政府の5大国政ロードマップと21の国政戦略、140の細部課題を発表した。

5大国政目標
1)雇用拡大につながる産業を育成する(ICT、文化、コンテンツ、サービス産業を融合して、付加価値の高い新しい産業を生み出す)
2)国民一人ひとりに合わせた雇用・福祉
3)創意教育と文化のある生活
4)安全と統合の社会
5)幸せな統一時代の基盤構築

 大統領職引き継ぎ委員会は、朴政権の国政ビジョンを「国民の幸せ、希望の新時代」と決めた。財閥大手企業の業績は好調なのに国民個人の生活水準・幸福水準は低いままであることを認識し、国民の幸せと国家発展が好循環する社会を作ることを目指している。就任から100日以内にできるだけ多くの公約を実現する方針だ。

 大統領職引き継ぎ委員会は、「国民の幸せ」「未来」「希望」「雇用」という言葉を強調する。
 中でも雇用の拡大を経済政策で最優先する。経済成長率を重視していた李明博前大統領とは異なる。大統領職引き継ぎ委員会は、雇用を増やして国民が安定した収入を得られるようにすることで格差や世代葛藤も解決できると断言した。

 朴大統領は、何よりも「未来に対して希望が持てる国を作りたい」としている。20~30代の国民から上がる以下の声を意識したようだ。「就職できないから結婚できない。結婚できないから出産もできない。未来の計画なんてない」「非正規職で所得が低いから今日を生きるだけで精一杯。いつクビになるかわからないので未来の計画なんて立てられない」。

ロードマップから消えた「経済民主化」

 朴大統領は大統領選挙期間中、所得の二極化解消、経済的弱者の権利保護、財閥大手企業のオーナーに集中する利益を分散させるために何よりも大事なのは「経済民主化」であると強調した。しかし、「経済民主化」という言葉は国政ロードマップには取り上げなかった。

 野党の民主統合党は、この点を非難している。「朴大統領は経済民主化をあきらめたのか」「福祉に関する公約をたくさん並べているが、財源をどう確保するかについては一言も言わない」と。大統領職引き継ぎ委員会はこれに対して、「雇用中心の創造経済」を支えるための細部計画として、「市場経済秩序を確立する」と盛り込んだ。これは「経済民主化」を言い換えたものだと釈明した。

 大統領職引き継ぎ委員会は、経済民主化だけでなく福祉公約も修正した(関連記事「もらえないかもしれない年金より今の幸せ」)。国民年金の積立金を原資にして老人基礎年金を支払う方針を撤回した。国民年金の廃止を求める署名運動が拡大するなど、若い世代の反発があまりにも大きかったからだ。

 若者だけでなく、国民年金に加入しているシニア層まで「それはおかしい」と反発した。国民年金に加入している人は、老人基礎年金の受給額が減らされるからだ。国民年金加入者は「老人基礎年金は国が65歳以上の国民すべてに支給される年金だ。従って、国民年金の加入者も平等に全額受給できるようにするべき」と反論している。年金問題はまだまだ解決の糸口が見えない。

 朴大統領は就任する前、今まで国民健康保険が適用されなかった癌、心臓疾患、脳血管疾患、希少難治性疾患の4大重症疾患にも保険を適用すると公約していた。ところが、このうち病室入院料と選択診療費(一般医ではなく専門医が診療する際に発生する費用)は除外した。実は4大重症疾患にかかった人ほど入院することが多く、専門医に診てもらう必要も高まる。4大重症疾患を患う人たちの経済的負担は重いまま変わらない。これに対しても、野党と市民団体が「公約を破るもの」と非難している。

 朴大統領は大統領選挙運動期間中に、「公約は必ず守る」と国民に約束した。朴大統領は大統領職引き継ぎ委員会の会議でも、「やってもやらなくてもいいようなことを私は公約していません。必ずやらねばならないと悩んだ末の公約です」と発言。大統領職引き継ぎ委員会メンバーに、公約をすべて実現する意思をもって、省庁が協力する政策枠組みを提示するよう注文した。就任式前に発表した国政目標の細部計画には含まれていなくても、朴大統領が常に強調してきた雇用と福祉公約は内容を変えたり縮小したりせず守ってくれることを期待したくなる場面である。

 今まで、5年の大統領任期を終える時に、国民に惜しまれながら笑顔で官邸を後にした大統領は一人もいなかったような気がする。朴大統領こそは、就任式演説で見せた大統領としての覚悟と情熱を任期末まで維持してほしい。後ろ指を差されることのない清廉で国民に好かれる大統領になってくれることを願うばかりだ。


趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。


日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?


06. 2013年2月27日 00:52:47 : xEBOc6ttRg
混迷する朝鮮半島
朴政権の経済政策〜過度の中国依存をリバランスする可能性

日韓関係を強める政治力学も働く

2013年2月27日(水)  向山 英彦

 2月25日、韓国で朴槿恵大統領が誕生した。新政権の経済政策は、グローバル化を維持しつつも、国民の生活向上をより重視したものになるだろう。対外経済関係では、中国との関係を引き続き重視しつつも、新たな動きを始めると予想される。

雇用を重視した経済政策

 韓国では2000年代に入って、財閥グループがグローバルな事業展開を加速させた。政府もそれを後押しするように、FTA(自由貿易協定)を積極的に締結してきた。

 しかし、財閥グループが世界で躍進する一方、国民の生活はそれに見合うほど改善しなかった。特に非正規職の増加や若年層の就職難、格差の拡大などが問題になった。また李明博政権が実施した規制緩和により財閥への経済力集中が進んだため、「大企業寄り」の政策を進めてきた政府への批判が高まった。

 朴槿恵大統領は「国民幸福社会」の実現を掲げ、財閥のグローバル化に依拠したこれまでの成長を改め、国民の生活向上につながる経済発展を目指している。財閥グループには、政府が推進する政策(雇用の拡大・質の改善、中小企業との共生など)への協力、「国民とともに歩む」経営の確立を求めることになろう。

 政策では雇用関連政策に大きな比重を置く。李明博大統領が成長を最優先目標に置き、成長を加速して雇用を作り出す考えであったのに対して、朴槿恵大統領は雇用率の引き上げ(現在の60%からOECD諸国平均の70%に)を最優先する。雇用を増やすために、ICT(情報通信技術)を活用した新産業の育成や中小企業の振興などを進める。

 新産業の育成を担う新たな機構として未来創造科学部を新設するとともに、中小企業庁の機能強化も計画している。「成長を通して雇用」ではなく、「雇用を伴う成長」を目指す方針と言える。

自由貿易の成果を国民に還元

 雇用とならんで重視するのが、国民の不安解消だ。所得が伸び悩む一方、債務返済や教育費などが家計を圧迫している。債務対策としては、金融機関が保有している延滞債権を「国民幸福基金」が買い入れて、申請者が長期返済できるようにする構想がある。

 将来への不安はより大きい。2017年に、生産年齢人口(15〜64歳)が減少に転じるとともに、「高齢社会」への移行が予想されている。高齢者の貧困が深刻になっているため、福祉・年金・医療制度の拡充は喫緊の課題である。朴政権は、その取り組みを強化していく計画だ。

 新政権下の経済政策は国内の課題解決を目指した「内向き」が強まる可能性が高い。このため、対外経済政策面ではグローバル化を維持しつつも、国民生活の向上につながる仕組み作りが進められるだろう。

 韓国はすでに主要な国・地域との間で自由貿易協定(FTA)を締結しており、その成果を国民生活の向上に結びつけることが必要になっている。外交通商部にあった通商業務を産業通商資源部(現在の知識経済部から名称変更予定)に移管するのはこのためである。

 このように朴槿恵大統領は新たな経済発展を目指すことになるが、財閥との関係や財源の確保、中小企業の育成など課題は多い。景気が低迷しているだけに、改革が後退して財閥への依存を強めざるを得なくなる、という懸念も残る。

過度の中国依存をリバランス

 前述したように、韓国は米国、EU(欧州連合)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インドなど主要な国・地域とFTAを既に締結している。残る主要相手国は中国と日本である。韓国と中国はFTA交渉を既に2012年5月に開始している。3カ国間のFTA交渉は今後開始する予定だ。

 対外経済関係で予想される動きとしては、以下の3点が指摘できよう。

 第1は、中国との関係を引き続き重視しつつも、「中国リスク」に備えて他の地域との経済関係を強化する動きが広がることである。対中関係を重視するのは、北朝鮮情勢を含む安全保障上の理由に加えて、中国が韓国の最大の貿易相手国になっていることによる。

 韓国の対日輸出依存度は2000年の11.9%から2012年には7.1%に低下した。同様に対日輸入依存度が19.8%から12.4%に低下している。これに対して、同期間に対中輸出依存度は10.7%から24.5%(図1)に、同輸入依存度は8.0%から15.6%へ上昇した。韓国が経済外交面で中国を重視するようになった背景にこうした変化があり、ある意味で当然と言える。


 しかし、対中依存度は中国以外の新興国の台頭に伴い、今後徐々に低下していく可能性が高い。中国における労働力不足や賃金の上昇などを背景に、中国以外の生産比率を高める動きが既に見られる。サムスン電子は、ベトナムを携帯電話の主力生産拠点にしている。マクロ的にも、韓国経済が中国の経済動向に大きく左右されるようになったため、「過度な」対中依存度を是正する力が働くだろう。

 第2に、ASEANとの経済関係が強まる。近年、インフラの整備や人的資源の開発、貿易・投資の拡大に力が入れられている。これは、中国リスクへの備えと関連する。実際、ASEAN向けの輸出が近年伸び、輸出依存度が上昇している(図2)。


 この背景には、ASEAN諸国が経済統合に向かう動きがある。アジアでは貿易と投資を通じて、実体経済面における相互依存関係が形成された。制度面では、ASEAN域内の経済統合(2015年に「経済共同体」を実現)、ASEANと域外国(中国、韓国、日本、インドなど)との経済連携協定締結という形で進んできた。

 こうした将来の市場統合をにらんで、海外からASEAN諸国への直接投資が増加している。「中国リスク」への対応などから、生産拠点としても注目されるようになった。所得の増加を背景に「中間層」が増加しているため、韓国企業の市場開拓も活発になっている、

日韓関係を強める政治力学

 第3に、日本との関係を強める政治力学が働く可能性が十分にある。領土問題や歴史認識など懸案事項はあるものの、日本と韓国との政府間関係は比較的早期に正常化されるものと予想される。東アジア地域で軍事的、経済的に影響力を増す中国は韓国にとっても脅威である。アジアの経済統合を進める上で、民主主義と市場経済原理の価値を共有する国との協調は欠かせない。

 また貿易依存度が低下したため、韓国にとって日本が重要な存在ではなくなったという見方があるが、それは誤りである。

 確かに輸入先の多角化や国産化(日本企業の現地生産を含む)の進展に伴い、対日依存度は低下している。しかし日本企業は、韓国企業の生産に欠かせない基幹部品や高品質素材、製造装置を供給している。

 注意したいのは、「輸出から投資へ」の動きが生じていることである。韓国では対日貿易赤字の削減と産業高度化を図る目的で、日本からの輸入が多い部品・素材産業の強化を図ってきた。近年では「部品・素材専用工業団地」を相次いで設置し、日本からの投資を積極的に誘致している。

 納入先である韓国企業の生産拡大に加え、低い生産コスト(低い法人実効税率、安い電力料金などを含む)やFTA発効などに伴う輸出生産拠点としての魅力向上などにより、日本からの投資が増加傾向にある。韓国知識経済部の統計(申告ベース)では、2012年の海外からの直接投資は前年比98.4%増となった。日本は全体の27.9%を占め、最大の投資国である。投資分野は部品・素材分野が多い 。

 さらに、趨勢的に低下してきた韓国の対日輸出依存度が2010年をボトムに上昇に転じたことも注目される。自動車部品の対日輸出の増加が示すように、両国をまたぐ形でサプライチェーンが形成され始めたことが影響している。このように、日本と韓国が相互に重要にパートナーであることがわかる。この点で、日韓経済連携協定の締結が望まれる。


向山 英彦(むこうやま・ひでひこ)

日本総合研究所 調査部上席主任研究員。
専門は韓国を含むアジア経済。
中央大学法学部博士後期過程中退、ニューヨーク大学修士。
2006年より中央大学経済学部兼任講師。


混迷する朝鮮半島

朝鮮半島の動向から目が離せない。

金正恩政権は、事実上のミサイル実験と見られる「人工衛星打ち上げ」を計画。
この成否は、日本に対する核の脅威を変質させる可能性がある。
金正恩氏の政治基盤の安定にも影響する。

一方、韓国では4月に議会選挙が、12月に大統領選挙が予定されている。
現・李明博大統領は日米と緊密に連携している。
しかし、次期政権が同様とは限らない。

韓国の動きも、北朝鮮の変化も、日本の政治・経済・社会に直接の影響を及ぼす。
その変化をウォッチし、専門家の解説をお送りする。


07. 2013年2月28日 01:28:12 : Zag6oDNMIo
今度こそ本気の韓国の「核武装論」

日本の核武装も認め、米国への言い訳に

2013年2月28日(木)  鈴置 高史

 韓国で核武装論が盛り上がる。北朝鮮が3回目の核実験を実施したうえ、韓国への「核恫喝」に乗り出したからだ。「日本の核武装を認め、自国の核保有のテコに使おう」との意見さえ韓国には浮上した。

軍事的な対処を独自に模索するしかない


大統領就任式に臨む朴瑾恵氏。2月25日、ソウルで(写真:AP/アフロ)
 韓国紙がついに「核武装論」を社説で主張した。朴瑾恵(パク・クンヘ)大統領の就任式当日の3月25日、最大手紙の朝鮮日報は「北の核を切り抜ける新しい国家安保戦略が必須だ」との見出しの社説を掲げた。その社説の骨子は以下の通りだ。

・6カ国協議を再開しても、これまでと同様に北朝鮮に対し核兵器を持たせるための時間的余裕を与えることになるだけだろう(なぜなら周辺各国は北朝鮮の核除去ではなく、他の思惑で動いているからだ)。

・制裁が米国の軍事介入の名分となることを恐れ、中国とロシアは北への厳しい制裁は避けるべきだと言い出した。

・米国は北朝鮮への制裁を通じ「日米同盟強化」、つまり中国牽制を狙っている。

・日本は北朝鮮の核実験を機に「平和憲法見直し」に向け国内外の環境整備に乗り出している。

・北朝鮮から「最終的な破壊」と核兵器で脅迫されている韓国としては、国際協力とは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない。

・国家と国民の保護という厳粛な課題を大統領が実践しようとするなら米日中ロに対し、我々の切迫した必要を満たしてくれない場合には我々自らが解決策をとるしかないということをはっきりと伝えなければならない。

「韓国の最終的破壊につながる」

 「核武装」という言葉は1度も使っていない。しかし、「国際協力とは別次元の軍事的・政治的な対処方法」や「我々自らが解決策をとるしかない」という文言は「核武装」以外の何物でもない。明確に核武装を訴えれば北朝鮮に核武装の名分を与えてしまうため、こうした表現を使っているに過ぎない。

 これまで韓国人が核武装論を語る時、必ずしも本気ではなかった。「北朝鮮の核に対抗して韓国が核武装を唱えれば、日本も追従するであろう。すると日本の核武装を嫌う中国や米国が本気になって北朝鮮の核武装を抑えてくれるはず」――という「口先介入効果」が本音だった。

 だが、今度は本気だ。2月12日の北朝鮮の3回目の核実験は「広島級の3分の1程度の威力」を発揮したとされ、北朝鮮の核兵器が実用段階に達したことがほぼ確実になったからだ。

 さらに、この社説でも触れられているように北朝鮮が韓国を核で威嚇するなど、早くも「北の核保有の実害」が出始めたことも韓国の焦燥を募らせた。

 韓国各紙によると、ジュネーブでの国連軍縮会議で2月19日、ジュネーブ駐在の北朝鮮の一等書記官が「生まれたばかりの子犬は虎の恐ろしさを知らない」ということわざを引用しながら「韓国の軽々しい行動は最終的破壊につながる」と語った。「最終的破壊」とは核攻撃を意味し、これは露骨な韓国への威嚇と受け止められている。

3人に2人が核武装に賛成

 韓国民の3人に2人が「核武装に賛成」――。世論調査会社の韓国ギャラップは2月20日、こんな調査を発表した。調査時点は3回目の核実験の翌日の13日から15日。「北の核威嚇」以前だが「我々も核兵器を保有すべきか」との質問に対し64%が賛成し、反対した人は半分以下の28%だった。

 ただ、「北の核実験は脅威か」に関しては76%が「脅威だ」と答えた半面、「脅威ではない」とした人も21%いた。調査時点では北朝鮮は「核ミサイルは対米用」とだけ宣伝していた。もし、韓国への核威嚇の後に調査したら「脅威だ」という認識と「核武装すべきだ」という意見がもっと増えていた可能性が高い。

 韓国の民間研究所、峨山政策研究院も北朝鮮の核実験を受けて同じ期間、世論調査を実施した。それによると、66.5%が「韓国も核兵器を開発すべきだ」と答え、「核兵器開発に反対する」の31.1%の2倍に達した。

 しかし、「有事の際には北朝鮮の核施設を先制攻撃すべきか」との問いに対しては「戦争の可能性があるので避けるべきだ」という回答が59.1%を占め、「すべきだ」の36.3%を大きく上回った。ただ、この質問も「核威嚇後」に聞いたら、回答の比率は相当に変わったに違いない。

韓国の核武装論を必死で抑える米国

 こうした韓国の「空気」の変化を見てのことだろう、米国は必死で韓国の核武装論を抑え込み始めた。20日、ソン・キム駐韓米大使は核武装論について「韓国がそのような行動をとれば大きな失敗を犯すことになる」と財界団体の集まりで述べた。

 キム大使は「そのような行動は朝鮮半島非核化に向けた(米韓)共同の努力を阻害する」とも語り、韓国の核武装が北朝鮮の核武装に名分を与え、非核化の放棄を意味することを指摘。さらに「重要なことはもっとも強力な抑止力をいかに維持するかだ」と述べ、米国の核抑止力を信頼するよう呼びかけた。

 ただ、この説得が韓国人を十分に納得させたかは疑わしい。北朝鮮が米国まで届く長距離ミサイルを持った今、米国が自国への核攻撃のリスクを甘受しつつ北朝鮮の核基地を攻撃してくれるか、100%信頼できないからだ。

 1年前、米大統領の国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー氏が新著の中で「米国の衰退により、日本や韓国は米国の核の傘を期待できなくなる。日韓両国は新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と書いて、韓国人にショックを与えたこともある(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。

米国の核の傘は破れた

 日本のメディアがこの本に全く関心を払わなかったのに対し、韓国各紙は一斉にとりあげた。韓国人は米国の核の傘が本当に機能するのか、真剣に見守っているのだ。

 19日、与党・セヌリ党の大物議員、鄭夢準(チョン・モンジュン)氏は自身が理事長を務める峨山政策研究院の主催した核フォーラムで「米国の核の傘は破れた傘だ。それを直さねばならない」と演説した(中央日報2月20日付)。鄭夢準氏は「破れた傘」との表現で米国の核の傘が機能するかに疑念を呈したうえ、持論の核武装を改めて主張したのだ。

 これに対し1993年の第1次北朝鮮核危機当時、米国務次官補を務めたロバート・ガルーチ米マッカサー財団会長は「そのような表現には同意しがたい」と反論。

 「米韓同盟に基づいて韓国に核の脅威を与えるどの国に関しても米国は核抑止力を提供するという確固たる意思は今も変わらない。韓国を核攻撃した場合、米国の核報復が必ずあることは北朝鮮を含むすべての国が知っている」と核抑止力が依然として健在であると強調した。

米韓同盟を打ち切るぞ

 韓国の核武装に対する米国の「抑止力」は2つある。まず、米韓原子力協定により、核兵器の原材料となるプルトニウムや濃縮ウラニウムを韓国には持たせないようにしていること。ただ、「韓国は決意すれば6カ月で核兵器を完成する能力がある」(中央日報2月22日付「核武装論、得失を探ると」)。

 もう1つの抑止力は、もし韓国が核兵器開発に踏み切れば「米韓同盟を打ち切る」あるいは「経済制裁する」との脅しである。朴正煕政権末期、韓国は密かに核・ミサイル開発に邁進した。

 それを察知した米国は核兵器研究を中止させる一方、ミサイルの射程に歯止めをかけた(「『ミサイルの足かせ』はずそうと米国に『NO!』と言う韓国」参照)。韓国を従わせたのはもちろん、「米韓同盟を打ち切っても、あるいは経済制裁してもいいのか」という脅しだった。

核武装したインドと米国は関係を改善した

 このため「韓国が核武装するには米国と決別し、米韓同盟を破棄する決意があって初めて可能」と韓国人は信じてきた。だが、北朝鮮の第3次核実験の後、保守派は前面突破論を主張し始めた。

 保守派のイデオローグである趙甲済氏は自身のウェブサイトに「韓国の核武装はなぜ可能か」という記事を載せた(2月18日)。要約すると以下の通りだ。

・韓国は交戦相手のテロ集団から核兵器で挑発されており、核兵器による正当防衛の権利がある。「北朝鮮が核を放棄すれば我々も放棄する」と約束して核開発すれば、米国民の支持を得られる。

・米韓FTAと米韓同盟により、米国は韓国に対し経済制裁を下すことができない。

・韓国の国力と戦略的価値の大きさから、核兵器を持った韓国に経済制裁できる国はない。

・インドは核実験の後、米国と親密になった。米国は中国を牽制する役割をインドに見いだしたからだ。

(注)この記事は日本語でも読める。URLはこちら。

 趙甲済氏の強硬策を果たして米国が受け入れるのか、判断は難しい。しかし、韓国内でこの主張に賛成する人は急速に増えると思われる。北朝鮮が核兵器を持ったうえ、それを持って脅してくるという厳しい現実に直面したからだ。そして「これだけ国力を付けた以上は、もう昔のように米国の思い通りにならないぞ」との思いも韓国に高まっているからだ。

韓国保守派が勧める「日本も核武装を」

 興味深いのは、保守派が核武装を主張する際に「日本の核武装」にしばしば触れ、肯定的に受け止めるよう韓国民に訴えることだ。

 「日本が核武装に動けば米国や中国が焦って北朝鮮の核武装を本気で阻止する」という期待からだけではない。最近は日本が「核保有に動く」だけでなく「本当に保有する」ことを歓迎する空気も出てきた。

 活字ではまだ、あまり書かれないが、韓国の核保有論者が日本の保守派に対しそう語ることが増えた。「核拡散に対する米国の反対」をまず、日本に突破させることにより、韓国は容易に核武装できるようになる、という計算だ。

 いくら保守派とはいえ、核コンプレックスの強い日本人は韓国保守派の「核武装の勧め」に驚く人が多い。でも、確かに「米国の核の傘」が日本に対してだけ破れていないという保証はない。

 ことに日本は、北朝鮮だけではなく中国の核ミサイルにもしっかりと狙われている。そして中国に近い日本人が「尖閣という小さな島を守るために、中国から核ミサイルをワシントンやNYに撃ち込まれるリスクはとりませんよ」とささやき始めてもいる。今度こそ本気の韓国の核武装論は日本にも必ずや影響するに違いない。


朴大統領は選挙戦で「日本抜き」の対北協議を提案していた

金正恩は政権を既に掌握している

2013年2月28日(木)  森 永輔

 北朝鮮が、2月12日に3回目の核実験を実施したと発表した。その背景と今後の展望について、朝鮮半島問題の第一人者である延世大学の武貞秀士教授に聞いた。後編は、北朝鮮と韓国の国内事情にフォーカスする。「朴大統領は北朝鮮問題を韓中米北で議論しましょうと言っています」(武貞氏)。
(聞き手は森 永輔)
(前回から読む)

武貞さんは北朝鮮の戦略について次のように見ていらっしゃいます――北朝鮮は米朝協議を進めて平和協定を結ぶ。平和協定を結んだら、「戦争が終わったんだから朝鮮半島に米軍がいる必要はない」として撤退を要求する。

 米軍が出ていった後の半島統一については、どのようなイメージを持たれているんですか。北朝鮮が軍事的に統一を図る?


武貞 秀士(たけさだ・ひでし)氏
韓国延世大学国際学部 専任教授
専門は朝鮮半島論。
延世大学の社会科学系学部で、日本人の専任教授は初めて。英語による課目「朝鮮半島の戦略的問題」「日本と北東アジア」を担当している。
著書に『北朝鮮深層分析』(KKベトスセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。北朝鮮動向、朝鮮半島の軍事問題、国際関係などに関して、月刊誌やテレビに論文やコメントを発表している。
武貞:アメリカの介入を阻止した上で、北朝鮮主導の統一を進めるというシナリオは消えてないですね。北朝鮮が核とミサイルを開発する目的は、朝鮮半島を統一する時にアメリカの介入を阻止することです。

 北朝鮮は、在韓米軍がいったん撤退してしまえば、その後、大陸間弾道弾を含む核兵器を持って統一を進めようとします。その時、アメリカは介入しないと計算をしているのです。アメリカは、韓国を守るためにワシントンやニューヨークを火の海にすることはできない。戦争は起きないまま、アメリカの介入なく朝鮮半島は北朝鮮により統一される。これは北朝鮮のいう「自主的平和統一」そのものです。

韓国と北朝鮮が描く統一へのシナリオ

 ただし、米軍が韓国に駐留している場合はそういう計算は成り立ちません。米軍は自動的に介入するでしょう。朝鮮半島にいる2万5000人のアメリカ人の命が危ういとなれば、ニューヨークが危なくなるから介入をあきらめるなんて考えません。

米軍が韓国に駐留しているか、いないかで、大きな差がある。

武貞:そうです。北朝鮮が実験を進めつつ、在韓米軍の駐留をしきりに批判しているのは、それが彼らの核戦略の中の一駒だからです。気まぐれで言っているわけではありません。

 一方、北朝鮮が崩壊して、韓国が併合するケースもあり得るでしょう。かつて東ドイツが西ドイツに合流したように。

韓国の人は、統一するとすれば韓国主導でと思っています。

武貞:それは当然ですよ。国際的地位、経済、軍事、どれをとっても北主導なんてあり得ない、空想である、机上の空論である――というのが韓国の基本的な見方でしょう。

そうだとすると、韓国内で「北朝鮮と協議しないともっとひどいことになる。北と協議しよう」という世論が高まったとしても、協議してどうするのでしょう?北主導の統一は受け入れられないし、北朝鮮もおいそれと統一されるわけではない。

武貞:金大中・元大統領がなだらかな3段階統一論を構想していました。これに近い形を進めるのではないでしょうか。最初は交流。次に対話をして、ギャップ――体制の違いや経済格差――を縮めていく。この時、38度線はそのままです。北朝鮮の人が韓国の学校に通うことはできない。そして、最後に統一という構想です。

 北朝鮮も韓国も、このなだらかな統一に向けて交流すべき、という点では一致しています。しかし、統一議会の議席を南北でどう配分するかは不明です。統一コリアの大統領、外務大臣、国防大臣をどちら側が出すかでも両者は一致していません。なだらかな3段階の統一という構想は曖昧です。

金正恩は政権を掌握している

次に北朝鮮の内部の事情についてお伺いします。金正恩は政権を掌握しているのか、政治基盤は安定しているのか、武貞さんはどう評価していますか。以前、日経ビジネスオンラインに「金正恩第1書記はもう政権をちゃんと握っている」とお書きいただきました。状況は変わっていないでしょうか。

武貞:反金正恩派がいるようには見えません。名前が挙がってこないですよね。失脚、左遷、降格した人はいます。

軍の長老がなかなか従わないという記事をよく目にします。

武貞:朝鮮労働党に比べて朝鮮人民軍の力は相対的に低下しており、軍の中で不満がくすぶっているのは確かでしょう。しかし、そういった不満が組織化されて、それが異様な人事とか、組織の間の葛藤とかいう具体的な兆候として現れているのかというと、それはない。昨年7月、李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長が解任される過程で軍内の流血騒動があったという情報があります。人事をめぐり軍内部で交戦というのはあり得ることです。体制の基盤を脅かす話ではありませんでした。

 金正恩第1書記の就任後、軍の人、特に野戦系統の人たちはほとんどが失脚しています。そして、昨年4月、総政治局長になった崔竜海(チェ・リョンヘ)が軍の力を実質的に握りました。彼は労働党の経験が長かった人です。野戦、すなわちフィールドでの戦闘で頭角を現した人ではありません。

 彼よりも上位にいるのは、金正日総書記の妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)氏と、その夫で国防副委員長の張成沢(チャン・ソンテク)氏です。いずれも軍人出身ではありません。

なるほど。そうすると、昨年12月のミサイル発射や今回の核の実験は、政権基盤が揺らいでいるのでやったという見立ては違うわけですね。

武貞:違います。

韓国のハード路線は今だけ

韓国のレスポンスについてお伺いします。最近の動きを見ていると、すごくとがった対応をしているように見えます。北朝鮮の全土を射程に収める巡航ミサイルを配備するとか、軍の要人が先制攻撃もあり得ると発言するとか。韓国の反応はどう評価されていますか。

武貞:今は、危機管理の状態です。だから情報発信についても韓国の国防部が主導権を握っています。ところが、それが韓国全体の世論かといえばそうではない。

 国防部は去年の6月、日韓の日韓軍事情報包括保護協定を結ばないと韓国の安全が心配だ、と考えていました。ところが、それを推進したところ横やりが入った。

親分である李明博大統領が日和ってしまった。

武貞:ええ。署名の2時間前に、「これは署名できません」と言って断ってきたんです。外交通商部の金星煥(キム・ソンファン)長官が、「韓国世論は、慰安婦問題などで日本の姿勢に不満を持っている。こういう時期に日韓軍事情報包括保護協定を結ぶとは何事だ、との反対がある。このため見送ることにした」と述べています。

あの時はびっくりしましたね。

武貞:私は日韓軍事情報包括保護協定について、韓国でかなり議論しました。ソウルで開かれたある会議で「韓国の安全のために日韓安保協力を」と言ったら、「慰安婦問題を解決していないのに、日韓の安保協力に言及するのは誠意がない」と罵倒されました。

 そうなんですか。その会議に参加したのはどういう立場の人ですか。

武貞:有名大学の学者たちが集まる30人ぐらいの会議です。私はこう説明しました。日韓の間で情報を共有しなければ、朝鮮半島有事の時に国連軍はすぐに駆けつけることができない。国連軍は在日米軍の基地を利用するのですから。

 さらに、北朝鮮がミサイルを発射した時は日米韓が共同でミサイル防衛システムを運用すればいい。それができないのは日韓の間の協定がないからです、と。だから、韓国の安全のために保護協定はあるんだと。

韓国軍と世論との間には温度差があるのですね。

武貞:そうです。今は危機管理のモードなので韓国国防部のいろいろな措置が、韓国の政策の主流であるかのように見えます。でも、2〜3週間も過ぎたら、まったく元に戻ってしまうでしょう。

ということは日韓関係の改善にもつながらない。

武貞:つながりません。韓国の世論は相当、頑固ですよ。

韓国は、アメリカから離れて中国寄りになっていく、という分析が増えています。武貞さんはどう覧になっていますか。

武貞:その通りだと思います。韓国では大統領選挙の後、各国大使が当選者にお祝いを言いに行きます。これまではアメリカ、日本、中国、ロシアという順でした。しかし、昨年、朴槿恵氏に「おめでとう」と言ったのは、1番目が米国大使で、2番目が中国大使でした。

 日本と中国が入れ替わった。

武貞:年が明けて1月、朴槿恵氏は中国に最初の特使を送りました。

今度は朴槿恵氏が送る側ですね。

武貞:そう、朴槿恵氏が送る側。特使の第2陣が米国向けでした。

朴槿恵氏の対日政策はどの方向に向かうのでしょうか?

武貞:韓国の世論を無視して政策を進めることはできないでしょう。だから「日本は歴史認識をまったく変える必要がある。これが日韓改善の前提だ」という考えです。慰安婦問題では「日本が謝罪する。補償をきちっとすることを日本政府が約束する」ことを求める。

 2月14日に、河野洋平氏をマスコミ関係主催の会議で韓国に呼んでいます。河野氏はその会議で特別基調演説をしました。河野氏は宮沢内閣の官房長官時代に、政府ぐるみの慰安婦事業が存在したと認める談話を発表しました。「この談話を安倍政権はちゃんと認めるべきだ」という思いを込めて、河野さんを呼んだわけです。この時、テレビカメラがずらっと並んでいるなか、朴槿恵氏と河野氏が談笑する風景を世界に発信しました。

文在寅氏と比べて、朴槿恵氏の方が日韓関係が改善するというイメージがありました。しかし、そんなに簡単ではないですね。

武貞:簡単ではないでしょう。ただ、もし文在寅氏が大統領になっていたら、日韓関係はめちゃくちゃになったと思いますよ。金大中政権や盧武鉉政権の時よりもるかに悪くなった。30年以上、逆戻りしたでしょうね。

30年ですか。それは、すごいですね。

武貞:まあ、李明博氏の姿勢も、1998年の金大中政権より前の状態に戻っていました。例えば天皇陛下のことを「日王」と呼んだ。金大中氏が国賓として日本を訪問する直前に「日王」という呼び方はこれからはしませんという約束をして公式発表しているんです。

「日王」はランクの低い呼び方ですよね。

武貞:韓国で「皇帝」と呼んでよいのは、ローマ法王とエリザベス女王くらい。「日王」と呼ぶことで、日本の天皇が彼らと同じランクではない、ということを強調したわけです。

韓国が中国寄りになっていくことで、北朝鮮に対する韓国の対応に何か変化が起こるでしょうか。

武貞:それはもう直に影響します。韓国は中国に配慮して、北朝鮮問題は韓中米北で議論しましょうと言っています。つまりロシア、日本外しです。朴槿恵氏も大統領キャンペーン中に同様の提案をしていました。それに、中国、韓国、アメリカで戦略対話をするとかね。いずれも公約に近いものです。

 ちなみに日本についてはほとんど言及しません。本当に驚くべきことですが。

 一方、韓国が中国に前のめりになっていくと、それが中朝関係にどう影響するか。中国は韓国に配慮する必要なく北朝鮮を支援できることになるでしょう。

韓国が反発しないからですね。中国が北朝鮮への支援を継続・拡大するならば、今の状況は全然、変わらない。したがって核の放棄はあり得ない。

武貞:あり得ないですよ。

 「核のない朝鮮半島」を考えるのは非常に難しい。韓国が独自に核武装する可能性も否定できません。核武装論が既に韓国の中で出てきています。

 ただし、韓国にとって今重要なのは米韓同盟の強化です。韓国が核武装すれば米韓同盟が相当傷つきます。

中国シフトしているとはいえ、米韓同盟は強化なんですね。

武貞:そうです。経済は中国を向いています。昨年1月から10月までの韓国の輸出額のうち、24.1パーセントは中国向けでした。米国向けは10.7バーセント、日本向けは7.1パーセントで横ばいです。韓国経済は中国依存度が高い。

 外交は米国と中国を中心に考えていれば問題ないと見ているでしょう。朴政権は中国と次元の高い戦略対話を進める考えです。軍事では米国の核の傘と在韓米軍抜きにして北朝鮮の軍事力に対処できません。戦争の時に米韓がどう合同して戦うかについては、米韓は一心同体です。戦争に負けるわけにはいかないですから。

 ただ米韓同盟が基軸と言っても、長期的には自主国防が完成するまでの手段なのです。軍事分野の韓国の長期目標は「自立」でしょう。中国シフトと米韓同盟強化は矛盾していません。建国以来、北は「主体」(チュチェ)、南は「自主」(チャジュ)を追求してきました。

 韓国は日本と軍事的関わりがないので、経済的自信がついた段階で日本離れという「自主」が噴出しました。李明博大統領任期の最後の1年がそれです。韓国の究極目標は、強力な軍事力を持ち繁栄した統一コリアが北東アジアのバランサー役を演じるという構図でしょう。


韓国新政権、公約実現のカギ握る「地下経済」
GDPの15%? 26%? 算出難しく増税論議にも影響必至 
2013年02月28日(Thu) 玉置 直司
 2013年2月25日に発足した韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権は、本格的な少子高齢化社会の到来に向けて社会保障制度の拡充を目玉政策に置いている。年金や医療費の支出拡充を打ち出しているが、ではその財源はどうするのか。

 朴槿恵大統領はかねて「増税はしない」と主張している。そこで浮上しているのが「地下経済」の大々的な摘発だが、前途は容易ではない。

父親が達成した「漢江の奇跡」を再び


韓国新大統領就任式を報じる毎日経済新聞「第2の漢江の奇跡 偉大な挑戦をしよう」
 「第2の漢江の奇跡に挑戦しよう」――。2月25日。国会議事堂前の大統領就任式に集まった7万人もの聴衆を前に新大統領はこう繰り返した。

 父親である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が達成した超高度経済成長を意味する「漢江の奇跡」。ここしばらく韓国ではあまり耳にしなかった言葉だが、就任式の演説では4回も登場した。

 とはいえ、新政権が「成長一本やり」を志向しているわけではない。むしろ、これまでの政権が経済成長率目標を数字で掲げてきたのに対し、新政権はこうした「目標数値」は打ち出していないのが特徴だ。

 政権発足を目前に控えた2月21日。大統領選挙での公約を土台に新政権の政策の骨格を作っていた「大統領職引き継ぎ委員会」が、48日間の活動内容を「政策5大目標、5大戦略、140細部課題」として発表した。

 200ページを超える報告書は、国政ビジョンを「国民の幸福、希望の新時代」とし、5大目標として「雇用中心の創造経済」「ニーズに合わせた教育・福祉」「創意教育と文化がある生活」「安全と統合の時代」「幸せな統一時代の基盤構築」を掲げた。

政策の要はやはり「社会保障制度の拡充」

 専門家が集まって政策を延々と議論した結果、目標は抽象的な文言になってしまったが、ポイントは選挙戦期間中に打ち出した通り、「社会保障制度の拡充」と言える。

 朴槿恵大統領が選挙期間中に掲げた社会保障関連公約の中で、有権者の関心を最も引いたのは、基礎年金支給と4大重症疾患医療費の全額負担、さらに住宅不動産対策だった。

 いずれも政府支出によって賄うもので、選挙が終わったあとで政府や与党内部からも「財源などを考慮して政策を修正すべきだ」との意見が出ていた。簡単に言えば、お金がない限り骨抜きにしようという主張だった。

 だが、「約束したことは必ず守る」と選挙期間中に繰り返してきた朴槿恵氏にとって「骨抜き」など飲めるはずがない。一貫して3つの公約を実行するための具体策を策定するよう大統領職引き継ぎ委員会に求めてきた。

 朴槿恵大統領は、選挙公約で65歳以上の高齢者に月20万ウォン(1円=12ウォン)の基礎年金を支給すると約束した。結局、毎月一定金額を積み立てる「国民年金」に加入しているかどうか、さらに所得水準がいくらかなどに応じて毎月4万〜20万ウォンの基礎年金を支給することになった。

 がんなど4大重症疾患の医療費についても選択診療費や差額ベット費用などを除く「必須的な医療費」については全額政府負担となった。また、不動産価格の下落で生活苦に陥っている国民のために金融機関などが持つ不動産担保債権などを一時買い取る「国民幸福基金」の設立も決めた。

 こうした社会保険制度の新設や拡充にかかる費用は、とりあえず政権5年間で135兆ウォンと見られている。

肝心の財源が「地下経済」のあぶり出し

 では、この財源はどう手当てをするのか。大統領職引き継ぎ委員会の分厚い報告書を見ても財源については出てこない。もちろん、大学教授や官僚が集まった引き継ぎ委員会で財源についての議論がなかったわけではない。それどころか、時に激しい議論もあった。

 ところが結局、最終的な報告書には財源についての記述がなかったのだ。なぜそうなったのか。2月21日の報告書発表の会見で、引き継ぎ委員会の幹部が記者に質問に答えてこう語っている。

 「財源調達方法については内部でも深く検討した。ただ、地下経済の規模について専門委員の間で認識の差が大きく、結局、今後も検討するということになった」

 なんと、その原因は「地下経済」だったのだ。

 地下経済――。日本では日常あまり接することのない言葉だが、韓国では2012年の大統領選挙期間中に頻繁に登場した。

 大統領選挙で華々しい公約を掲げ、「財源はどうするのか」と聞かれて与野党を問わずに「地下経済を浮かび上がらせる」とひとまず答えるのが常套手段になっていた。

 「社会保障の拡充」を掲げた朴槿恵氏は「地下経済」のあぶり出しをより鮮明に掲げていた。日本で言えば、ちょっと前に頻繁に使われた「埋蔵金」のような感じで頻繁に言及されていたのだ。

地下経済の規模はギリシャ並み?

 当たり前のことだが、「地下経済」にこれだけスポットが当たるということは、それだけ税金を逃れた「地下経済」の規模が大きいとの認識が与野党を問わずにあるからだ。

 では一体どのくらいあるのか。大統領職引き継ぎ委員会では専門委員の間で「国内総生産(GDP)の15%から26%」までさまざまな試算が飛び出したという。

 「毎日経済新聞」は2013年1月5日付紙面で、地下経済についての海外の学者の推計を紹介した。それによると、対GDPでの地下経済の比率は、27.6%で、米国(7.9%)、日本(8.8%)、英国(10.3%)、フランス(13.2%)などに比べて群を抜いて高いだけではく、ギリシャ(26.3%)、イタリア(23.2%)さえも上回る水準だという。

 同紙は、朴槿恵大統領当選者(新聞発行時点)や与党はGDP比24%で「370兆ウォン」前後あると見ているとも紹介した。

 また、「朝鮮日報」(2013年1月11日付)は、韓国の地下経済の規模が300兆ウォンで、大統領職引き継ぎ委員会は「大々的な税務調査で年間6兆ウォンの税収を確保するという報告をする予定だ」と報じていた。

景気減速下で難しくなる税収増

 結局、こうした数字は報告書には盛り込まれなかったが、年間6兆ウォンだとすれば大統領の5年間の任期中に30兆ウォンの財源を新たに手当てできる。本当に実現できれば、財源手当ても楽になることは確かだ。

 地下経済がこれほどまでに大きいとすれば、政策立案にも大きな影響を与えるのは当然だろう。

 韓国経済は2012年以降、減速傾向が鮮明になっている。実質GDP成長率は2010年の6.3%から2011年3.6%、2012年2.0%と下がっている。

 4半期ベースで見ると、2012年4〜6月期以降は3四半期連続で1%台だった。ウォン高の進行で2013年の高成長は期待できず、それだけ税収増も難しくなっている。地下経済への期待が高まるのは当然でもある。

 それにしてもどうしてこれほどまでに地下経済の規模が大きいのか。

現金払いによる脱税が蔓延、大企業の機密資金作りも

 「現金で払ってくれればもう10%値引きしてもいいよ」――。韓国で生活していると、飲食店や普通の商店で頻繁にこんな話を聞く。売上高に数%がかかるカード手数料のことかと思ってもみたが、10%や20%でも平気で値引くことを考えれば、そうでもあるまい。

 「現金」による脱税は社会全体で広く蔓延していると言えるだろう。

 大企業でも、機密資金作りが摘発されることが珍しくない。

 こんな話もある。韓国では2009年に最高額紙幣として5万ウォン札ができた。だが、この5万ウォン紙幣の「市場での流通比率」は1万ウォン札や5000ウォン札に比べてはるかに低い。本来、市中に出回っているはずの紙幣がどこかで眠っているのだ。


政府も現金での取引に目を光らせている〔AFPBB News〕

 「不透明な資金、機密資金を隠匿するために保管されているのではないか」(韓国紙デスク)という見方は多い。

 もちろん、政府も「地下経済が大きい」という汚名返上に乗り出している。金融監督院の金融情報分析院では、1000万ウォン以上の現金をATM(現金自動預け払い機)などで引き出した取引記録などを「マネーロンダリング疑惑取引」として監視している。

 国税庁も「地下経済」を摘発するための調査員の陣容を最近、400人増やすことを決めたという。新大統領が「地下経済」に頻繁に言及している以上、政府機関もこれに合わせた動きに出始めたと言える。

 だが、果たしてどこまで効果があるのか。ある韓国紙デスクは「2000年代初めにも、脱税摘発の切り札としてクレジットカードの普及を後押しし、一定の効果を上げた。

政権の成否をも決する戦いに

 それでも、意図的に現金で取り引きをして脱税を図る動きは止まらなかった。大企業の機密資金作りや、偽ブランド品輸出業者、風俗産業や麻薬取引などは、緻密な手口で長年、地下経済を構成しており、よほど腹を据えて取り掛からないと摘発は簡単ではない」と警告する。

 朴槿恵氏は韓国初の女性大統領で、身辺がクリーンであることでも知られる。社会保障の拡大を重点政策に掲げるクリーンな新政権にとって、「地下経済との戦い」は政権の成否を決する一大事でもある。


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