北朝鮮人工衛星打ち上げミサイル、PAC3で撃墜の意味

　北朝鮮は基本的にロシアを間に介してアメリカのリモコンが効いているのだと思う。たとえば、北朝鮮に原発を作ったのはアメリカだ。だから、今回の北朝鮮による人工衛星打ち上げに名を借りたミサイル打ち上げはアメリカの少なくとも了解のもとに行われている。理由は幾つかあり、ひとつは確かに新しくリーダーになった金正恩の関係があるのかもしれない。北朝鮮の建国の父金日成の生誕100周年記念もあるのだろう。しかし、それにしては金のかけすぎだ。あそこまで窮乏している国がこれ以上見栄のために国家予算の何年分もの資金を費やす意味がないと思う。

　ではその他の理由は何か。ひとつはオバマ大統領の点数稼ぎかもしれない。北朝鮮に強く出させておいて、それをオバマ大統領の仲介で止めるのだ。古典的な手口でわかりやすい説明だが、オバマ大統領の再選はかなり確実でこんな面倒くさいことをやる必要があるとはなかなか思えない。

　もうひとつはオバマ大統領が二期目に入るので閣僚の交代に絡んで、任期中に利権漁りをやりたい連中がいるという可能性だ。北朝鮮にミサイル打ち上げをやらせてPAC3などで撃墜をさせて見せ、韓国や日本にPAC3やＳＭ３を買わせたいということだ。今3月の末になった時点で考えるとこの可能性が最も高いような気がする。

　他にも傍証があるからだ。

１．オバマ大統領は基本的に核兵器削減を基本にしている。軍縮にも比較的熱心だ。これらは最近の民主党の政策であり、民主党政権が続く限り軍事産業は何らかの手を打つ必要がある。そのため、オバマ大統領の知らないところで、または黙認の上、北朝鮮にミサイル打ち上げをやらせて軍備強化、または軍備維持の印象付けをやりたい。

２．近い将来、日本の財政破綻がほぼ避けられない。次の大地震か原発震災が起これば、日本は確実に財政破綻する。そうなれば世界中に影響が及び、高価なミサイル防衛システムが売れなくなる。そうなる前に韓国や日本に売っておきたい。出来れば、そのほかの国々、つまり中東諸国やブラジルなどにも買わせたい。

３．中国にミサイル防衛システムのすごさを印象付け、アメリカに対抗しようとすることが無駄だと思わせ、軍備増強をやらせないようにする。

４．北朝鮮は世間的にはアメリカと対立をしている国であり、その国が打ち上げたミサイルをアメリカの兵器が撃ち落せばミサイル防衛システムの有効性を世界に印象付けることが出来る。アメリカの軍事的優位性を世界に見せつけるいい機会になる。
　
　以上のような傍証もあり、今回は北朝鮮による人工衛星打ち上げがされて、しかもミサイル防衛システムが機能して撃墜も一応成功するのだと思う。一応成功するとは実際に撃墜する必要はなく、そもそも人工衛星打ち上げのミサイルそのものが現実に発射される必要さえなく、尖閣沖の中国漁船拿捕のときのビデオテープのようにそう装えばいいからだ。自衛隊や海上保安庁関係者が撃墜されたミサイルの破片でも回収してテレビで見せれば、誰でもが信用する。

　実際問題としてミサイル防衛システムなど機能するはずがない。攻撃側のミサイルが常に進歩するわけで、途中で軌道や速度を微妙に変えたり、弾頭が分裂したり、いろいろなことが出来るわけで、そういったことに対応するのはほぼ無理だ。

　しかも、そういった実際は無意味な武器を買わせて持たせることにより相手国の軍備を実質的に無意味化できる。ミサイル防衛システムがあるのだから他の軍備はいらないと説得できるわけだ。もし何か実際に戦争になってしまっても敵国のミサイルが想定外に進歩していたと言い訳が常に出来る。

　もともと北朝鮮に高度な軍事技術があるわけがなく、南方向に打ち上げなど出来るはずがない。南方向を選んだのは地上から観察されにくいからだ。打ち上げも、撃墜もどちらも普通の一般市民がなかなか観察できない。すべてが関係者了解の下のお芝居である可能性は高い。

　もっとも最初自分はPAC3の発射は絶対にないと思っていた。実際に発射して撃墜に失敗すれば面目丸つぶれだからだ。でも考えてみると、現実はすでにいくらでも作ることが出来るようになっている。いくらでもうそをつけるのだ。最も効果のあるうそは何かを考えると、以上のような結論になるのだと思う。皆さんはどう考えるだろうか。

＊6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは？」から連番号を付しています。＜＜1057＞＞
TC:37549, BC:152380, PC:？, Mc:？ 　

コメント
01. 戦争とはこういう物 2012年3月30日 22:22:16 : N0qgFY7SzZrIQ : 5JAkJg7Ic6 >実際問題としてミサイル防衛システムなど機能するはずがない。 　それが「ミサイル脅威」扇動報道で隠されているのが現状。 今回の「ﾛｹｯﾄ打ち上げ」「迎撃ミサイル配備」で得するのが誰と誰なのか、割りを食うのが誰と誰等か。それを突き詰めなければ「お花見ミサイル騒動」浪費が何度でも繰り返される。
02. 2012年3月30日 23:02:21 : pqR4c7Avl6 弾道弾をPAC3で迎撃するとすれば、既に至近距離に侵入したものを撃つということになり、それが核なり生物化学兵器の弾頭であれば、弾頭を破壊しても被害を受けるという段階の話になる。　その意味ではPAC3の展開は、無意味だと言っても良い。　PAC3の迎撃範囲は半径15キロ程度の筈で、迎撃可能な高度もそれほど高いものではない。　イージス艦に搭載しているSTDミサイルは、PAC3よりは高度も距離も大きくなるのと、迎撃が海上で行われるから上手くすれば被害が地上には及ぶことがないと言えるかも知れない。　東京の都心部にPAC3を配備すれば、皇居なり首相官邸や霞ヶ関を防衛することは出来るかもしれない。　日本人に被害が出ないようにすると言うのであれば、無数のPAC3迎撃設備を日本中に配備することが必要だが、そんなことが出来るとは思えない。　弾道弾迎撃システムを装備したイージス艦は今の海上自衛隊に4隻あり、今回準備命令を受けて配備されるのは3隻、それも北朝鮮の発表したコースに沿って配置されると言う。　一体何処に飛んで来るのかは解らないから、コースが外れれば対処できる話じゃない。　北朝鮮が発表したとおりのコースに発射して、運がよければ当たるかもしれない程度の話だろうと思っている。　N.T
03. taked4700 2012年3月31日 00:57:06 : 9XFNe/BiX575U : xcpOZjh6xI >>02 ＞弾道弾をPAC3で迎撃するとすれば、既に至近距離に侵入したものを撃つということになり、それが核なり生物化学兵器の弾頭であれば、弾頭を破壊しても被害を受けるという段階の話になる。　その意味ではPAC3の展開は、無意味だと言っても良い。 ＞イージス艦に搭載しているSTDミサイルは、PAC3よりは高度も距離も大きくなるのと、迎撃が海上で行われるから上手くすれば被害が地上には及ぶことがないと言えるかも知れない。 そうですね。実際のPAC3とかの効果について考えていませんでした。勉強になります。 ＞一体何処に飛んで来るのかは解らないから、コースが外れれば対処できる話じゃない。 まったくです。自分は間違って九州の都市部に突っ込む可能性もあると当初心配していました。でも多分、北朝鮮は南に打つ技術そのものをまだ持っていないのではと思います。多分、今回のことはほぼすべてが作り物のような気がするのです。
04. 2012年3月31日 17:32:21 : EdQemnepkG >実際問題としてミサイル防衛システムなど機能するはずがない 実際機能しなかったら 傍証だとかを真っ向否定するな >北朝鮮は南に打つ技術そのものをまだ持っていないのではと思います 既に日本海はもちろん、日本の領空、東北の上空を跨いでミサイル打ってきてるぞ 日本じゃ命中しても 一発だけなら誤射かもしれないと暢気なものだが
05. taked4700 2012年4月03日 00:59:27 : 9XFNe/BiX575U : V0IkfcBghg >>04 ＞既に日本海はもちろん、日本の領空、東北の上空を跨いでミサイル打ってきてるぞ 南にうつのは人工衛星を北極と南極を通る地球周回軌道に乗せるという意味なんだそうです。こうすると、地球の自転のために全地表面の観察が出来るのでスパイ衛星としての働きができるのです。ともかく、北極と南極を正確に通過する必要があるので、かなり難しいのです。 東にうつのは単に地球周回軌道に乗せればいいので、単に高度が出ればいいのです。
06. 2012年4月10日 19:03:29 : cUqQ10tEi6 みなさん、いろいろ書いてますね。 迎撃できるできないかは、実際やってみないと分からないだそうです。 余談だが、開発当初は1990年代の航空脅威に対処する性能とされていたが、経年による脅威変化などに対応するため、各種改良が施され、現在の運用に至っている。 ＞弾道弾をPAC3で迎撃するとすれば、既に至近距離に侵入したものを撃つということになり、それが核なり生物化学兵器の弾頭であれば、弾頭を破壊しても被害を受けるという段階の話になる。 多少違います。 まず、弾道ミサイルに化学兵器、生物兵器は搭載しません。 落下中の摩擦熱により化学生物兵器は無効化されます。 化学生物兵器は恐ろしい兵器ですが、高温に弱いのです。 だだ、核兵器は違います。 迎撃が成功した時、核爆発は起きませんが、放射性物質をまき散らします。 まあ、核攻撃よりかはマシかと。現在の技術では、これが精一杯。 ＞攻撃側のミサイルが常に進歩するわけで、途中で軌道や速度を微妙に変えたり、弾頭が分裂したり、いろいろなことが出来るわけで、そういったことに対応するのはほぼ無理だ。 弾道ミサイルはそういう操作はできません。それは、巡航ミサイルです。 弾道ミサイルは発射位置を変えるぐらいしかできません。 ミサイルと言いますが、種類がたくさんあります。 素人の考えを読むよりも兵器について勉強してみればいいかと。 ＞中国にミサイル防衛システムのすごさを印象付け、アメリカに対抗しようとすることが無駄だと思わせ、軍備増強をやらせないようにする。 なんかすごい記事が書いてある。中国はなんとも思わないし、これから先、軍備増強するだろう。 ＞実際は無意味な武器を買わせて持たせることにより相手国の軍備を実質的に無意味化できる。ミサイル防衛システムがあるのだから他の軍備はいらないと説得できるわけだ。もし何か実際に戦争になってしまっても敵国のミサイルが想定外に進歩していたと言い訳が常に出来る。 これもある意味すごい記事。というか、完全に軍事については素人の考え。 PAC3の存在意味は、弾道ミサイルによる攻撃を防ぐ目的。 弾道ミサイルはほとんどの国は核を搭載している。 つまり、万が一核戦争になったら、核搭載の弾道ミサイルを迎撃して、国や国民を守るという事。核軍縮しているが、核廃絶ではない。 核兵器はこの世から姿を消した訳でもない。危機管理がお粗末なのは日本ぐらい。 また、軍事技術は年々向上しているが、アメリカだけではない。どこの国でも戦争技術は進歩している。その事を頭にいれておくように。
07. 2012年4月14日 22:25:14 : pqR4c7Avl6 PAC3は元は海軍の対艦ミサイル迎撃用のものですから、速度の遅い巡航ミサイルを迎撃するように出来ていた筈です。　弾道弾と呼ばれるミサイルは大気圏外にまで打ち上げられてから突入してくるから、巡航ミサイルより速度が大きいが目標に対する命中精度はずっと低いでしょう。　その代わりに核爆弾のように、破壊範囲が大きい弾頭を装備する。　北朝鮮のロケットは弾道弾ですから、巡航ミサイルのような命中精度は考えられない。　PAC3で対処すると言うこと自体が、見当違いということです。　見当違いというのは、用途の違うものを配備すると言うことで、自己宣伝の心算ならわかるのですが、一言で言ってしまえば税金の無駄遣いでしかないでしょうね。　N.T
08. 2012年4月17日 20:02:44 : cUqQ10tEi6 >07 >PAC3は元は海軍の対艦ミサイル迎撃用のものですから、速度の遅い巡航ミサイルを迎撃するように出来ていた筈です。 違います。本来、PAC-3は大変有能な対航空機迎撃ミサイルです。 それを大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃用として機能・プログラムを加えたものです。 >弾道弾と呼ばれるミサイルは大気圏外にまで打ち上げられてから突入してくるから、巡航ミサイルより速度が大きいが目標に対する命中精度はずっと低いでしょう。 >北朝鮮のロケットは弾道弾ですから、巡航ミサイルのような命中精度は考えられない。　 それを言うなら、北朝鮮に限らず、米露中は勿論、弾道ミサイル保有国はなぜ弾道ミサイルを持っているのか？となります。 弾道ミサイル照準の設定方法は、座標と慣性誘導（＋基準星による較正）が基本。弾道の傾きによって おおよその調整を行います。具体的にはノズルのジンバルによる方向 制御です。 これに軌道上でバスから弾頭を離す時のタイミングと速度 調整が加わります。 まあ、技術要素を説明しても分からないと思いますが、要はそんなに難しい技術ではありません。 余談ですが、第二次世界大戦時、ナチス・ドイツはイギリス（正確にはロンドン）に向けてV2ロケット(弾道ミサイルの先祖)を使用しました。当時でさえ、命中精度は意外と高かったみたいです。 >速度の遅い巡航ミサイルを迎撃するように出来ていた筈です。 残念ですが、巡航ミサイルも厄介です。巡航ミサイルは地上すれすれを飛行するので、迎撃どころか、発見すら難しい。特に潜水艦発射型の巡航ミサイルには今のところ対応が難しい。 日本本土から200kmぐらいまで接近してミサイルを撃たれると着弾まで10数分。F-15Jの迎撃も間に合わない。 巡航ミサイルは海面すれすれを飛行するのでイージスでも水平線の向こうにいれば役に立たない。 PAC-3だけが頼りなわけだが、PAC-3は射程わずか20kmで日本の海岸線全てをカバーするだけ配備する予定も無い。 P-3Cなどで予め潜水艦を探知すれば良いのだが、日本本土周辺の海域全てをカバーするのは難しい。これが現状。 >見当違いというのは、用途の違うものを配備すると言うことで、自己宣伝の心算ならわかるのですが、一言で言ってしまえば税金の無駄遣いでしかないでしょうね。 役に立つ、立たない問わずこの世に万能兵器は存在しません。税金の無駄遣いとか言われますが、ミサイル防衛(MD)は、これが精一杯というのが現状。SF映画みたいにバリアとかそんなのがあれば別ですが・・・。

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