http://japanese.ruvr.ru/2012_07_25/shiria-no-kagakuheiki-wa-jouhousensou-no-tsuuru/

(転載開始)
シリアの化学兵器は情報戦争のツール
T ケリモフ, A ガジエフ, I ザハロフ 25.07.2012, 22:18

© Collage by The Voice of Russia

シリア政府指導部は化学兵器の保管倉庫を反体制派の武装戦闘員らが強奪する恐れはないと明言した。これより以前、シリアの化学兵器がレバノンの武装集団ヒズボラをはじめとする武装戦闘員らによって強奪されるのではないかという懸念の声はイスラエル政府から数度にわたって出されていた。

イスラエルが懸念を表したことで、このテーマは世界のマスメディアで討議されるようになり、挙句はシリアのマクディシ外相が２３日、化学兵器の保有を認める声明を表すところまで発展した。マクディシ外相はこの際、いかなる状況となってもこの兵器が反体制派の手に渡ることはないと明言している。

こうした一方で多くの専門家らは、シリアの化学兵器というテーマは情報戦争のひとつのツールにすぎないとの見方を表している。それではなぜ、どういう目的でこのテーマが急に持ち上がったのだろうか？　イラン、トルコ、イスラエルの３人の専門家らがそれぞれにこの疑問への見解を述べてくれた。まずはイランのパルスＴＶ放送で政治アナリストを務めるハサン・ベヘシチプラ氏の発言をご紹介したい。

「シリア指導部が化学兵器を使用する可能性があるというのは西側のマスコミの流したデマだ。なぜこのデマが今流されているのか？　それは米国を中心とする西側がシリアの内政干渉を行うための土壌作りをしているからだ。それにシリア指導部側には反体制派と戦うために化学兵器のようなラディカルな手段を使う必要性はないと私は思う。」

トルコの戦略調査研究所に勤務するメフメト・アキフ・オクル教授は、シリア外相が表した声明の主要な目的は西側が介入を行わないよう、これを退けることにあったとして、次のように語る。

「西側がシリア内政干渉を行うために、シリアが化学兵器を使用しうる問題を討議しているとは私には思えない。軍事作戦が行われたイラクや外の国の状況とは異なり、シリアに対してはそこまで断固とした姿勢は今のところない。シリア政府は化学兵器のテーマを外圧を退けるために利用している。というのも、シリアがロシアの対空防衛システムとともに化学兵器を保有していることで、外部からの干渉が非常に難しくなっているからだ。」

イスラエル人で中東問題に詳しい政治学者のアリエ・グート氏はシリアには現在、武装戦闘員があまりに多く、これが地域全体に危機を及ぼす要因になっていること、また化学兵器が彼らの手に渡る危険性もその一因になっていることを指摘し、次のように語った。

「イスラエルにとっても中東地域全体にとっても、こうした兵器の管理がアサド大統領の手に握られているほうが絶対にいい。というのも反体制派がいったい何者で構成されているのか、将来の目的は何か、アサド大統領が退けられた場合、どのような体制になるのか、全く何も分からないからだ。

現在米国は、アサド大統領は退陣すべきと主張しているが、それに代わる人物を想定しているのだろうか？　この問いに対する答えは米国にはない。現米政権はこの地域で何が起きているのか、想像ができないのだ。」

(転載終了)

●シリア情勢は、政府軍の全土完全掌握と言う形で、オリンピック開催中に落ち着くと思います。