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多くのムスリムが抱いていた”イスラーム国はアメリカとイスラエルの手先”が、空爆で…/アブドルバーリ
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/321.html
投稿者 仁王像 日時 2015 年 12 月 14 日 20:09:46: jdZgmZ21Prm8E
 


「イスラーム国」アブドルバーリ・アトワーン/集英社’15年(はじめに)から抜粋

≪はじめにー知っておくべきこと≫
イスラーム国は、アルカーイダの「新たなコピー」ではない。イスラーム国は、地域社会の崩壊や中央政府の弱体化、西欧の軍事介入、国民的リーダーの不在、宗派対立の激化、政府によって周縁化し遠ざけられた国民の怒りといった事態を好機と捉え、混乱に乗じる形で、自らのイデオロギーに基いた国家を建設することを第一の目標としている。
 イスラーム国のイデオロギーは、アルカーイダや他のサラフィー・ジハード主義組織と共通している。イスラーム国は他のジハード主義組織と異なり、イラクとシリアの広大な土地、石油と水(チグリス・ユーフラテス川)を手中に収め、自らの法律を施行し税を徴収し、そして「シャリーアとアキーダ」に反した領民に法定刑を科しているのである。
 アラブ諸国の人々、特にSNSで広く流布している説に、「イスラーム国はアメリカが作った」というものがある。しかし実態は、アメリカがアラブ人、ムスリムを標的としたイラク占領などーの結果、イスラーム国が誕生したと考えられる。イスラーム国の誕生は、アメリカのイラク占領の当然の帰結ともいえる。

 当時ブレア首相は、アラブの春を、「こうした変革運動は良い兆候だ」としながら、「ただし、こうした運動は西欧の利益に資するようにコントロールされる必要がある」と述べていた。これはアラブの春を失敗させ、正しい発展を歪め、軍事化と武装闘争へと舵を切らせるための西欧諸国の介入の隠れた意図である。
 アラブの革命は、必然の動きであったことは間違いない。腐敗した暴力的なアラブの独裁政権は、結果としてアメリカとイスラエルの安全を保障していた。が、こうした革命運動にも欧米の介入が存在していた。
 アメリカによるイラク占領と占領がもたらした数十万の死は、イスラーム国の種に「肥沃な土地」を提供したようなものであった。

 マリへの軍事介入、「独裁政権打倒を目指すシリア革命の支援」と称して行われた欧米アラブ諸国によるシリアへの介入もまた、イスラーム国台頭と強大化、短期間での急速な拡大の原因を作った。
 アメリカ政府と情報機関は、イスラーム国を「容易に打倒できる組織」と考え、その実力を見誤った。
 多くのムスリムは当初、「イスラーム国はアメリカとイスラエルによって作られた」と信じていたが、イスラーム国がシリアとイラクで広大な地域を制圧し、欧米諸国の軍事介入が行われたことによってその考えは改められ、「イスラーム国は欧米と腐敗したアラブ諸国によって弾圧されている」と信じるようになった。
 アメリカ等によるイスラーム国を標的とした空爆は、逆にイスラーム国を利したと言える。空爆により多くのムスリムが抱いていたイスラーム国のイメージ(イスラーム国はアメリカとイスラエルの手先)を正すことができ、数千人の若者の獲得に成功した。加えて彼らは、自らの血塗られた残虐なイデオロギーが正しいものであったことを再確認し、他のサラフィー・ジハード主義者との間で生じていた対立を解消できたのである。

 私は本書の執筆にあたり、中立性、事実、学術的客観性を心がけ、単に擁護したり逆に攻撃したりする論調から距離を置くこととし、(明確な立場で主張したいので)本当は好まない中立を選んだ。

【アブドルバーリ・アトワーン】:1950年、パレスチナ、ガザ生まれ。作家、ジャーナリスト。公式サイト有り。
 著者は、『アラビアンビジネス』誌の「最も力あるアラブ人100人」、『ミドルイーストマガジン』誌の「最も影響力のあるアラブ人50人」に選ばれたアラブを代表するジャーナリストの一人。
 同志社大学の招きで来日、「イスラーム国」の問題で講演している。

(アマゾン書評)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%9B%BD-%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%B3/dp/4797672986/ref=sr_1_5?s=books&ie=UTF8&qid=1449831569&sr=1-5
 

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