誰か東北を思はざる:青き故郷に戻んねば
毎日新聞　2013年05月18日　大阪夕刊

http://mainichi.jp/area/news/20130518ddf012040035000c.html

　♪山は青き故郷（ふるさと）　水は清き故郷

　深夜、隣室から途切れがちに響く歌声に、大内秀一（ひでかつ）さん（６４）はハッとした。８７歳の母次子さんは「お前についていく。心配すんな」と話していたのに。自宅から約１０キロ離れた借り上げ住宅で、年老いた母が口ずさむ唱歌を３番まで聞き終えた時、大内さんは「故郷に戻んねば」と決心を固めた。

　阿武隈山地にある福島県川俣町山木屋（やまきや）。山に山菜やキノコ、清流にイワナが戯れた山里は今、セイタカアワダチソウなどに覆われた道路を野生動物が駆ける。子どもや飲んべえが集った自宅の作業小屋では、サルノコシカケやコウタケ、どぶろくがほこりをかぶっていた。いのちを汚した放射能汚染の罪深さに、戦慄（せんりつ）が走る。

　福島第１原発事故で強制避難を余儀なくされた福島県の１１市町村は今月までに、年間被ばく線量によって「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の３区域への再編が決まった。だが、２０キロ圏外の山木屋は唯一「計画的避難区域」のまま。一時帰宅する度に人が住めない現実を目の当たりにしてきた大内さんは、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌で笑い飛ばす。

　♪川俣町には銭がねえ　役場の職員やる気がねえ　首長には頭がねえ

　今月初め、あの日のまま作業小屋に放置したそば打ち台を清め、２年２カ月ぶりに福井から取り寄せた粉を練った。送り先は、阪神大震災で一人息子を亡くした同い年の加藤りつこさん（６４）＝広島市安佐北区。昨秋、加藤さんが山木屋を訪れて以来、電話や文通を続ける。

　この夏、大内さんは父佐一さん（８３）が少年兵として入市被爆した広島に、加藤さんや核廃絶署名活動を続ける高校生らを訪ねる。

　「放射線に負けない体作り、孫たちのこれからについても学びたい。いくら東電から賠償金を積まれても、魂までは売り渡さねえ」

　人と出会い、支え合い、立ち上がる。６４歳の決意だ。【中尾卓英】
　

コメント
01. 2013年5月19日 07:51:46 : Kse53zYp5s ……で、ジャック・どんどんさんは、どういうつもりで この駄文記事を貼ったの？ 原発被災地の周辺には、こういう間の抜けたサイレントマジョリティーが いまだに住んでいるから、原発全廃は到底不可能だという、黙示として このお爺さんの事例を出したのか？ 福島の被災地周辺には、不安を抱えながらも積極的に原発と闘っている人たちが いるはずなのに、毎日新聞もこんな爺さんを持ち上げて「棄民政策」の片棒を 担いでいるんだから、破廉恥で情けない！
02. 2013年5月19日 08:20:32 : YFLN7GcBO6 原発という麻薬に取り付かれ盲目的に手を出したということは、イコール住み慣れたふるさとを失うことだったと早く悟るべきですね。 これは福島や東北の地に限らず、これからの日本にも共通する真理です。
03. 2013年5月19日 09:07:02 : syvFZWXF46 ＞作業小屋に放置したそば打ち台を清め、２年２カ月ぶりに福井から取り寄せた粉を練った。 放射性物質について誤解がある。残念だ。 「放射線に負けない体作り」よりは、新天地で生きる心作りをする方が困難度は低いし、命の希望があるように思える。 新天地にも、そよぐ風、さわやぐ緑、さえずる鳥、輝く水、金色の夕日はある。
04. 2013年5月19日 09:45:52 : 5OXNt64MKI 悪いけどそんな蕎麦食べたくない。 　伊藤園の静岡茶、飲まない人は飲まないよ。故郷を謳うようなドラマ仕立てのコマーシャルは止めようよ。此処は冷静さが必要です。 　故郷に帰らなければ金くれないのでしょう。帰還可能と国家が認定すれば、帰還しない者にはモウ金はくれませんよ何処もそうなるでしょう。素直に高濃度汚染で実際居住不能地に帰還する者には金が配られる。 　其の国策に従うことが魂を売ることになるのが分からぬはずが無い。自己欺瞞で泣き寝入りを選ぶ輩ですか。自分で自分を騙すのですから救いようが無い。
05. 日本はひとつのチームなんです 2013年5月19日 12:56:40 : SOiJ6RcUWMrH. : qY7CVKkq3I > 「魂までは売り渡さねえ」 をしゃれやギャグでなく本気で思っているなら、１０基もの原発を誘致して半世紀もの間推進派の知事を輩出し続けるなよな。
06. 2013年5月19日 18:52:51 : A4GQ7o9O02 遺伝子の基本分子であるDNAの分子結合は数eV（エレクトロン・ボルト） 放射線の電離エネルギーは、数万eV（エレクトロン・ボルト） 生物である限り、「放射線に負けない体作り」は無理でゴザンす。 生物学的な知識があれば、放射能が大丈夫なんて口が避けても言えません。
07. 日高見連邦共和国 2013年5月20日 08:33:14 : ZtjAE5Qu8buIw : C7Wqvb1wZA いままで東北の歴史は『国破れて山河あり』だった。 ここに至った危機的事態は『山河破れて国あり』だ。 “本当の危機感”は、血の涙を流し、大事な山河の前で“おろおろ歩く”中でしか生まれてこない。
08. 2013年5月20日 11:47:02 : QPsgXrQrUc 自分の母親と言えども８７歳の気持ちを優先して、自分や子ども・孫まで被ばくさせようとすることは愚かなことだ。 川俣町には銭がねえ　役場の職員やる気がねえ　首長には頭がねえ、オレには機転がねえ、と言うことだ。 古里に似た地を西日本で探し、ばあちゃんとともに移り住まんことを切に願う。
09. 2013年5月21日 11:38:34 : Kse53zYp5s ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 福島県が世界中から子供2000人を召集　佐藤知事「多少被爆しても大丈夫と世界に発信してもらう」 1 名前： スペインオオヤマネコ(埼玉県) 2013/05/20(月) 19:59:49.53 ID:2pYGtK5mP ?PLT(12000) ポイント特典 本県で世界子ども会議　２７年、１９０カ国から２０００人超 　政府は平成２７年３月に本県などで開かれる国連防災世界会議の同時関連イベントとして、防災をテーマにした 世界規模の「子ども会議」を県内で開催する。古屋圭司国土強靱（きょうじん）化担当相が１９日、県庁で佐藤雄平知事に伝えた。 国連加盟の約１９０カ国から、２０００人以上の子どもの参加を見込んでいる。東京電力福島第一原発事故からの復興を目指す 本県の現状を正しく理解し、各国で発信してもらう。 ■国連防災会議に合わせ 　子ども会議は初めての開催となり、県が会場を選定する。政府は県内各地の放射線量などのデータを伝え、各国とも１０人以上、 派遣するよう呼び掛ける。対象とする年齢層は今後、検討する。政府とＮＰＯ法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの共催になる。 　会議では東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した本県をはじめ、世界の子どもが防災についての考えを発表する。意見は各種の防災・ 減災計画に反映させる。 　帰国後、子どもたちに本県についての正しい情報を発信してもらい、原発事故による風評の払拭（ふっしょく）につなげる。 http://www.minpo.jp/news/detail/201305208517 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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