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原発は国家を滅ぼす−−(書評)西尾幹二(著)「『平和主義』ではない脱原発」(文藝春秋・2011年)    西岡昌紀
http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/615.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2013 年 9 月 17 日 18:23:51: of0poCGGoydL.
 

(書評)西尾幹二(著)「『平和主義』ではない脱原発」(文藝春秋/2011
年)
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8C%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%8D%E2%80%95%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E6%96%87%E6%98%8E%E8%AB%96-%E8%A5%BF%E5%B0%BE-%E5%B9%B9%E4%BA%8C/dp/4163748903/ref=cm_cr-mr-title

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原発は国家を滅ぼす。,


2013/9/17


 私は、憲法9条改正論者であり、靖国神社国家護持論者であり、大東亜戦争の正義は日本に在ったと考える一人である。又、私は、日米安保条約は必要だと思ふし、オスプレイ配備にも賛成である。

 そうした私の意見からすれば、私も「保守」の一人と言ふ事に成るのかも知れない。だが、同時に、私は脱原発派である。誰が決めたのか知らないが、「保守」は原発を支持しなければいけないと言ふ空気が有る。そして、空気の支配が続くこの国では、「保守」を自認する人々の多くが、今だに原発を支持して居る。

 おかしな事である。この地震と津波が繰り返し襲ふ日本列島に、日本は原子炉を50基以上も建設した。しかも、それらの原子炉の中の初期の物はマーク1と言ふ旧式の原子炉で、これを設計したアメリカの会社は地震対策も津波対策も考慮せずにこの型の原子炉を設計して居たと言ふのに、である。

 その一方で、その「保守」を自称する人々は、原発に反対する者を「左翼」呼ばはりし、本来、「左右」の対立とは別次元の、理科系的な技術論と冷徹な経済論で論じられるべき原発問題を「左右」対立の項目の一つにして来た。それも、専門知識を全く持たない文科系の「文化人」だか「評論家」だか知らない人々が中心に成って、である。

 そんな、今だに原発支持を捨てない自称「保守」の人々は、次の文章をどう読むのだろうか?

---------------

 ここで食い止めなければ事故の規模はどのくらいになったのか、と私が最初に質問すると、吉田さんは「チェルノブイリの10倍です」と、答えた。
「福島第一には、六基の原子炉があります。ひとつの原子炉が暴走を始めたら、もうこれを制御する人間が近づくことはできません。そのために次々と原子炉が暴発して、当然、(10キロ南にある)福島第二原発にもいられなくなります。ここにも四基の原子炉がありますから、これもやられて十基の原子炉がすべて暴走を始めたでしょう。(想定される事態は)チェルノブイリ事故の10倍と見てもらえばいいと思います」
 もちろんチェルノブイリは黒鉛炉で、福島は軽水炉だから原子炉の型が違う。しかし、十基の原子炉がすべて暴走する事態を想像したら、誰もが背筋が寒くなるだろう。(中略)
 当然、東京にも住めなくなるわけで、事故の拡大を防げなかったら、日本の首都は「大阪」になっていたことになる。吉田さんのその言葉で、吉田さんを含め現場の人間がどういう被害規模を想定して闘ったのかが、私にはわかった。
 のちに原子力安全委員会の斑目(まだらめ)春樹委員長(当時)は、筆者にこう答えている。
「あの時、もし事故の拡大を止められなかったら、福島第一と第二だけでなく、茨城にある東海第二発電所もやられますから、(被害規模は)吉田さんの言う“チェルノブイリの十倍”よりももっと大きくなったと思います。私は、日本は無事な北海道と西日本、そして汚染によって住めなくなった“東日本”の三つに“分割”されていた、と思います」
 それは、日本が“三分割”されるか否かの闘いだったのである。

(門田隆将「日本を救った男『吉田昌郎』の遺言」(月刊Will(ウィル) 2013年 9月号30〜39ページ )同誌同号33〜34ページ)

---------------

 あの時、日本は、ここまで追ひ込まれて居たのである。東京に人が住めなく成り、国土が三分割されて、東日本を放棄しなければならなく成って居たかも知れないのである。原発とは、国家をここまで追ひ込む危険をはらむ存在なのである。そして、原発は、今回の様な天災でなくても、内部からのテロによって、わが国を同様の危機に追ひ込む事が有り得るテロリストの「標的」なのである。日本に敵意を持つ周辺国がこの手を使はないと言ふ保証が何処に有るのだろうか?−−これが、原発なのである。

 そんな原発を、天然ガスの過剰生産時代に突入するこれからの時代に、何故、維持する必要が有るのだろうか?

 保守系月刊誌などに「原発は必要だ」と書き続けて居る人々の多くは、福島第一原発事故の後も、事故の原因の分析もせず、科学的根拠も示さず「日本の原発技術は優秀だ」とか、「大した事故ではなかった」などといい加減な言説を繰り返して居る。又、天然ガス火力によって日本が安価な電力を、原発よりはるかに安全な方法で得られるこれからの時代に、何故これほど危険な原発が必要なのかを説明もせずに、である。更には、医学の事など全くの素人であるのに、「福島くらいの放射線は体にいい」などと無責任な言説を書き続ける人々も居る。

 これが「保守」なのだろうか?

 そんな保守言論人の中で、孤立を恐れず、原発の危険性を警告し、国家民族のために脱原発を唱える西尾幹二氏こそは、真の愛国者である。1980年代から、日本の保守系言論人の中には、馬野周二氏や藤井厳喜氏(藤井昇氏)の様な脱原発派が実は居たが、原子力ロビーの強い影響下に在った当時の「保守」系マスコミの中で、そうした声が広がる事は不幸にしてなかった。そんな中で、遅すぎた感は有るが、福島第一原発事故後、西尾氏のこの著作をはじめとする保守化からの脱原発論が湧き出た事は、幸いであった。

 本書には、真の愛国者のみが語り得る憂国の言葉があふれて居る。その西尾氏の言葉を「保守」を自認しながら今だに原発を支持して居る不勉強者たちは真摯に読むべきである。又、脱原発派の中の左翼系の人々も、過去のいきさつにとらわれず、この本を読んで、西尾氏との違いは違いとして留保しながら、共有できる意見は共有し、西尾氏に公平なエールを送るべきである。

 放射能は、人間を「右」と「左」で選んではくれないのだから。


(西岡昌紀・内科医/小泉訪朝(北朝鮮が日本人拉致を認めた日)から11年目の日に)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/6818475.html

*  

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コメント
 
01. 2013年9月17日 18:39:49 : yhV1AGOoD2
おれはべつに原発が100%ダメだとはおもっていない。
しかし、
この日本という国に関しては「絶対に」原発なんか建設しても運転してもいけないとおもう。
これは「絶対に」だ。
なぜ日本では「絶対に」原発なんかやっちゃだめか。
それはこの投稿のように日本が地震国であるとか、火山国であるとかいった地質的な理由からじゃない。
あるいは原子炉は危険だから、でもない。
もっとべつの理由からだ。
おれ自身、北陸に日本ではじめて原発が建設されたとき、その原子炉で○立エンジニアリングという会社の下請け労働者として働いたことがある。
それはそれはひどいものだった。
おれは建設中というか建設が終わった原子炉本体に入って炉内の空気の還流が順調にいっているかどうか、つまり空調設備の点検のために全施設を歩いて回る特権を与えられていた。
毎日、くまなく歩き回った。
しかしこの日本という国は不思議な国なんだな。
安全を報告すれば文句をいわないが、不審な点や注意点、問題点を報告すると嫌がる。
何層もの段階的な下請けシステムが、「問題があったって正直に指摘しちゃだめだよ。そんなことをいったら、上の会社が困るし、さらにその上の元受けも困るし、さらにその元受けの元受けも困るからね」という暗黙の了解ができあがってしまうのだ。
ふつうの会社では考えられない妙な空気が原発建設の周りには漂っているわけだ。
つまり日本の原発にあっては建設でも運転でも「問題的は指摘できない」。という悪癖がしこりのように巣食っている。
この日本独特のおかしな傾向を解消できないかぎり「絶対に」原発なんか建設も運転してもダメだとおれはおもうのだ。

02. 2013年9月17日 19:25:28 : m2nohvN0kk
あはは。そうだ、放射能は右も左も関係ない。金持ちも貧乏人も関係ない。拡散すれば誰も逃げられなくなる。ざまあみろ。

03. 2013年9月17日 21:25:18 : 7wJCqOq2nZ
>西岡:「・・・私は、日米安保条約は必要だと思ふし、オスプレイ配備にも賛成である。」

肝心の安保5条には日本を守るなどとはどこにも書いてない。またただの輸送機で墜落十八番機のオスプレイなどに抑守力など何もない。いずれも米軍駐留経費や武器売りつけなど日本の貢を当て込んだ米国のタカリである。さらに今はそのいい加減な安保さえチャラにして日米同盟にすり替え、自衛隊を米軍の傭兵化することを狙っている。

そんな米国による植民地化に賛成する保守でもなんでない。奴隷というんだよ。

保守などとあまりウソは言うなよ、西岡。


04. 2013年9月17日 21:27:00 : 7wJCqOq2nZ
>>03訂正

× 植民地化に賛成する保守でもなんでない。
○ 植民地化に賛成するのは保守でもなんでない。


05. 2013年9月17日 21:28:11 : 7wJCqOq2nZ
>>05再訂正

植民地化に賛成するのは保守でもなんでもない。


06. 2013年9月17日 21:46:30 : tzvyp0TNTM
放射能は右と左には関係ないかもしれないが、少なくとも、金持ちと貧乏人には、地球上にまんべんなく広がらない限り、違いがある。

金持ちは放射能の少ない場所に簡単に移住できるし、必要なら、海外にだって簡単に行ける。お金をかければ安全な食材だけを選んで食べることもできる。仕事は空調の利いた一等地にあるオフィスでできる安全なデスクワーク。放射能が舞い上がる雑踏を歩いたり満員電車で通勤する必要もない。


原発も、一番ひどく被ばくさせられるのは末端の貧しい労働者。

日本の原発奴隷
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm


放射能をよりたくさん浴びるのは貧乏人というのが悲しいが現実。


07. 2013年9月18日 01:16:36 : 7OpGsifAXA
保守ならばむしろ脱原発でなければいかん。
いままで原発推進をしてきたのは、あれは保守ではない。

08. 2013年9月18日 02:02:30 : KZtw2Ps1ZY
原発をやるべきか止めるべきかの他に
「いったい誰が、原発問題を右か左にしてるのか?」
ってことは、更なるビッグ・イッシューだと思う。
先に出た、菅や政府や東電への不起訴判断
(実は菅も政府や東電もといった立て付けもおかしいのだが)
も検察側の担当はなんと検察公安部だったとのこと。

刑事告訴を取り扱うのが、検察公安部???
原発に関しては、不思議な事が盛り沢山。
江川女史の途中からの「路線修正」もこの辺りにあるのか?

ニュース・コメンタリー (2013年09月14日)
福島原発訴訟で不起訴処分・検察は本当に捜査を尽くしたのか(神保哲生&宮台真司)
https://www.youtube.com/watch?v=okNOXaDVwnI


09. 2013年9月18日 05:39:18 : HDwovAiKsc
 西尾幹二氏の反原発論だけには大賛成です。
 マスコミは、西尾氏の原発廃止論以外の主張はよく取り上げます(「取り上げました」が正解か?最近あまり話題に上らないようで、やはり干されてしまったのか)が、彼の反・脱原発論には沈黙を保っているようです。

10. 無段活用 2013年9月18日 05:53:06 : 2iUYbJALJ4TtU : ddGVSlWexS
>>01

「見ぬもの清し」、そういう頭の人は本当に多い。

モノは上から下に落ちる、水は100度で沸騰する、、、、。

これらは当たり前のことで、モノを造ったり動かしたりしているんだから、物理の
ルールが最優先されるのは当然なことなんだけど、それが例えば、企業内のピラ
ミッドや「元請け−下請け」のピラミッドの中では、通用しなくなることがある。

そのような姿を見て、「こいつら精神病か?」と本気で思ったことがあったけど、
こんなことをやっているから事故が起きたわけでしょう?


11. 2013年9月18日 07:18:39 : 0OTACSPbMY
日本のウヨは全員底抜けの阿呆と思っていたが、本来、原発に反対するのに右も左もないはず。

しかしウヨ雑誌の記事にはあきれる。放射能を毎日食べましょう、福島原発事故は誰も悪くない。そんなことばかり書いてある。


12. おじゃま一郎 2013年9月18日 11:11:30 : Oo1MUxFRAsqXk : lJMAkFwC3Q
>理科系的な技術論と冷徹な経済論で論じられるべき原発問題を「左右」対立の項目の一つにして来た。

西尾幹二は、かつては筋金入りの右翼であったが、討論会では、時々切れて支離滅裂になっていたことを思い出す。
そして福島原発事故をきっかけに、その筋金が折れてしまったのか、それとも柔軟性が増したのだろうか。

原発問題は、理科系の技術論や冷徹な経済論では解決できない問題なのである。原発の事故発生の確率は非常に低いが、一旦事故が起きれば、その被害は格段に大きく、二次的問題も含めて国内全体ばかりでなく
海外までに影響してしまう。しがたがってマルチな分野をトランスした見地から解決を図っていく必要があるだろう。
ましてや、右や左、原発推進か反対かの二元論では解決できない問題である。
しかし、日本人は立場や認識が違うとコミュニケーションが困難な社会であり、独断的な決断に支持が集まってしまうので解決はできそうもない。


13. 2013年9月19日 01:06:57 : 83MpzOCC16
>12

「原発は推進か反対かの二元論では解決できない問題」だ。そこには賛成する。原発は廃棄するしか人類が生き延びる道はない。

しかし、おじゃま一郎よ、あんた自身が立場や認識がちがう相手と議論できず、ただひたすら小沢一郎のネガキャンをはるだけの人間なのに、よく言うよ、笑わせてもらったね。自分の愚かさを「日本人」とか「社会」のせいにするんじゃないぞ!
日本人のすべてがあんた程の愚物ばかりではない。


14. 2013年9月19日 07:44:20 : yQAsopSZjw
ニセ保守の原発推進者の嘘がどんどんバレてる

ホラ吹きの原発推進者は反対を左翼だとホラ吹く

実は原発推進者どもが国を無にしようとする真の左翼だ
福島原発により国の崩壊進行中


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