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除染費用にも国費投入、東電救済のアリ地獄 機構法に基づく支援の破綻で見直し不可避 (週刊東洋経済) 
http://www.asyura2.com/13/genpatu34/msg/727.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 11 月 17 日 08:36:00: igsppGRN/E9PQ
 

除染費用にも国費投入、東電救済のアリ地獄 機構法に基づく支援の破綻で見直し不可避
http://toyokeizai.net/articles/-/23983
2013年11月17日 中村 稔 :東洋経済 記者


東京電力を生かしたままのなし崩し的な国費投入──。

自由民主党の東日本大震災復興加速化本部(大島理森本部長)がまとめた政府への提言が、廃炉・汚染水対策に続き、除染・中間貯蔵施設にも国費投入を行うとしたことで、論議を呼んでいる。

■膨張続ける国民負担

この提言は、原子力損害賠償については従来どおり「東電が最後の一人まで責任を持って対応する」とした。

一方、除染の進捗を加速するため、現在計画済み以外の追加分は国が被災地復興のための「公共事業的観点から」取り組むべきとし、国の負担を求めた。財源は、大震災の復興特別会計(復興特別所得税・法人税など)となる。

さらに、除去した汚染土などを保管する中間貯蔵施設については、30年にわたって安定的に継続する事業であり、施設建設・管理には「費用の確保を含めて国が万全を期す」として、1兆〜2兆円の建設費の国費負担を提言。財源は復興財源ではなく、「エネルギー施策の中で」確保に努めるべきとした。電気料金を原資とし、原発立地自治体に交付金を配る電源開発促進税を想定したものだ。

公明党は11月5日、これを了承。与党案として政府に提出される。政府内でも「民主党政権は政府の関与なしで東電に(事故対応を)やらせる道を選んだが、見直す時に来ている」(菅義偉官房長官)、「東電だけに全責任があるかのごとき話にするのはいかがなものか」(麻生太郎財務相)など国費投入に前向きの発言が相次ぐ。今後は来年の通常国会での関連法改正を含めて、具体策を検討する方向だ。

■国費の規模は見えない

だが問題点は多い。とりわけ、除染に投入される国費の規模が見えないことだ。これまでに財政措置された除染費用は2014年度予算概算要求を含め約1.8兆円。国費はそれを超える追加分が投入されるが、除染費用の総額は5兆円を超える可能性がある。

国費投入は除染だけではない。政府は福島第一原発の廃炉支援として13年度当初予算まで、すでに977億円を予算計上し、新たに凍土壁などの汚染水対策で470億円の支出を決めたばかり。提言は「国がより前面に出る」方策を求めており、今後も長期にわたり負担は増える方向だ。

廃炉費用に関しては今秋、廃炉作業開始後も必要な設備の資産計上を認め、その減価償却費を電気料金に転嫁できるように会計制度の改定も行われた。これも国民負担を伴う東電支援策の布石である。

そもそも今回の提言は、民主党政権下で成立した原子力損害賠償支援機構法や放射性物質汚染対処特措法に基づく賠償・除染負担の枠組みを崩すものだ。

現行の枠組みでは、国が機構を通じて賠償・除染費用を交付金(贈与=特別利益)の形で支援することで東電の破綻を防ぎつつ、何十年もかけて東電(一般・特別負担金)と電力業界(一般負担金)が返済するものとなっている。今回の提言は、除染費用の一部を東電や電力業界が返済しなくてもいいように変えるものだ。

植田和弘・京都大学大学院教授は「喫緊の課題である汚染水対策に国が責任を持って取り組むことは重要。だが、除染を含めてずるずると国費を投入するのなら、機構法に基づくこれまでのやり方が“破綻”したといえる」と語る。

植田氏は、「このままだとモラルハザードが起こる。従来の枠組みが破綻した以上、原点に返って東電の経営者や株主、貸手の責任を明確にしたうえで、次のステップに進むべきだ」と説く。

なし崩しで支援範囲を拡大
http://tk.ismedia-deliver.jp/mwimgs/3/c/570/img_3cc52ea4e3ab560dc8f79aa1d5c37277199156.jpg

■破綻処理論も再燃

政府はこれまで、原発事故の一義的責任は東電にあるとしてきた。その東電の負担が国費や電気料金の形で次々と肩代わりされていく現状に対し、「なし崩しの国民負担、東電救済であり、透明性や説明責任を欠く」(電力政策の民間研究員)との受け止めは与野党議員を含めて多い。

国民に新たな負担を求める以上、東電をどうすべきか、破綻処理を含めて根本的に議論し直すべきとの主張だ。機構法の附則にも、事故原因の検証や賠償状況などを踏まえ、政府や東電の株主、その他の利害関係者(銀行など)の負担のあり方を早期に検討すると明記されている。

ただ、破綻処理となると、これも簡単な話ではない。安倍晋三首相は国会で、会社更生法に沿って東電の法的整理を進めた場合、「被害者への賠償や現場で事故収束作業に当たる関係企業の取引債権に対し十分に支払いできないおそれ」があるほか、「海外からの燃料調達や権益確保に支障が生じるおそれがある」として、否定的な考えを示している。昨年7月に機構(国と電力業界の折半出資)を通じて東電に出資された1兆円も戻ってこなくなる。

金融市場関係者の懸念も強い。「破綻処理は現実的ではない」と、米格付け会社ムーディーズで電力業界を担当する廣瀬和貞・シニアクレジットオフィサーは指摘する。「東電向け融資(残高4兆円弱)が毀損すれば、銀行は東電にここから先、ビタ一文出せなくなる。何かと資金が必要な状況で民間銀行の支援がなければ、政府はさらに税金を投入せざるをえない」。

また、東電には4兆円を超す社債の残高がある。「電力債は一般担保がついており、返済順位は高い。とはいえ、破綻処理の場合、全額返ってくるかは裁判所の判断もあり不透明。他の電力債、ひいては日本国内の社債市場全体(残高約60兆円)への影響も懸念される。もし市場が暴落すれば、第2のリーマンショックの引き金ともなりかねない」(廣瀬氏)。

一方、破綻処理後も東電の社債がカットされる可能性は低く、金融不安は回避できるとの見方もある。「銀行が経営難に陥れば、公的資金を投入すればいい」(河野太郎・自民党副幹事長)し、破綻処理後に東電を国有化し、銀行の新規融資に国が債務保証をつけるという案もある。被害者への賠償についても、東電に代わって国が全面的に責任を持つべきとの意見があり、なお議論の余地がある。

今回の提言は、廃炉・汚染水対策の実施体制を明確化するため、東電の廃炉部門を分社化することも求めている。これを受け、東電は社内分社化を軸に検討している。だが、東電の事故収束対策がうまくいっていないのは、福島の廃炉作業と同時に、柏崎刈羽原発の再稼働を経営課題とするという分裂状況にこそ原因があるとも指摘される。今の東電には原発再稼働の資格はなく、柏崎刈羽原発は廃炉もしくは東電から分離売却すべきとの議論だ。

今後国会では、原発運営者としての東電のあるべき姿も含め、国民が納得のいく抜本的な議論が求められる。

(週刊東洋経済2013年11月16日号)


 

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