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バラマキ予算も不発 株価1万円割れ懸念浮上 (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/160.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 1 月 28 日 21:37:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-7941.html
2013/1/28 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


[10-12月期]決算発表ラッシュ

危ない1週間がスタートした。今週から企業の第3四半期決算(10―12月)発表が本格化するが、「公表される数字によって株式市場は暴落しかねない。1万円割れもあり得る」(市場関係者)と囁かれているからだ。アベノミクス幻想による期待先行の株高は終わろうとしている。

平均株価はこの1カ月間で8・4%も上昇した。野田前首相が解散宣言した昨年11月14日と比べると26・1%の上昇だ(25日まで)。マーケット関係者は、「過熱感が充満している。これから始まる業績相場を乗り切れるかどうか」と不安を隠さない。

円安・株高によって忘れられていた悪材料が、決算発表で続々と噴出する危険性だ。その兆しは、すでに出ている。

25日に四半期決算を発表した電気機器のファナックは13年3月期予想(通期)を下方修正した。「欧州債務問題による欧州市場の低迷」「中国市場の冷え込み」が理由だ。24日公表の日本電産も、「デジカメ関連、液晶パネル関連が急激な需要減少に見舞われた」と通期予想を下方修正した。

東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏が言う。

「海外の売上比率が高い企業は、円安効果による上方修正もあるでしょう。しかし、円安がすべての企業にプラスに働くわけではありません。資材や食料などの輸入品は高コストになり、業績を悪化させます。それに中国リスク、欧州危機は消えていません。この先、下方修正が相次ぐ危険も捨て切れません」

コマツや日立建機といった建機大手や自動車各社は、中国の販売減が業績を直撃する。シャープやパナソニック、ソニーは薄型テレビの販売競争で韓国勢に太刀打ちできない状況が続いている。

「マーケットは、こうした悪材料を無視してきました。金融緩和期待だけにすがり、上昇相場をつくってきたのです。ところが、ここへきて海外からアベノミクス批判が次々と聞かれます。マーケットが催促するさらなる金融緩和はもはや無理。政府・日銀の金融緩和路線は行き詰まりです」(株式評論家の黒岩泰氏)

独中央銀行総裁は、「日本は新政権が中銀に大きく干渉している」と非難し、英中央銀行総裁も、「通貨安を通じて輸出を増やそうとする国が増えている」と安倍政権の円安政策を牽制した。先週、一時1ドル=91円台前半まで円安は進行したものの、またたく間に90円台に逆戻り。この水準が限界と見るマーケット関係者は増えている。

しかも来月15、16日にロシアでG20(財務相・中銀総裁会議)が開かれる。G20で日本が“為替操作国”と名指しされてはオオゴトだから、政府・日銀はこれ以上動けない。となるとドル円相場は現状維持がせいぜいだ。市場の関心は企業業績に向かわざるを得なくなるが、そこには目をそむけてきた悪材料が転がっている。

「テクニカル的には1万400円が下限です。そこを割り込むと、次は1万円割れ。恐怖です」(市場関係者)

今週は約930社、来週は1200社以上の決算発表を控える。狂乱相場の終焉が近づいている。


主な決算 発表予定

1月28日(月)
KDDI
松井証券
信越ポリマー

1月29日(火)
コマツ
富士フイルムHD
東北電力
JR東海
ハウス食品
ヤフー
小林製薬
三井住友FG
1月30日(水)
日立建機
任天堂
日立金属
日野自動車
九州電力
北海道電力
JR西日本
オムロン
キヤノン
カシオ計算機

1月31日(木)
ホンダ
みずほFG
京セラ
村田製作所
コニカミノルタHD
日本ハム
大正製薬HD
東芝
日本郵船
関西電力
中部電力
ソフトバンク
味の素
JFEHD
JR東日本
新生銀行

2月1日(金)
アステラス製薬
神戸製鋼所
デンソー
丸紅
三菱商事
アサヒHD
トヨタ紡織
京王電鉄
四半期決算、本決算

 

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コメント
 
01. 2013年1月28日 23:25:14 : sAHcQ1WxTA
10年前の日本は若かった。20年前の日本はもっと若かった。カネを使って成長するなら、とっくに目的を果たしていた。若い時の借金の累積が完全に日本の成長を不可能にした。成長なんて寝ぼけた事を妄想するのはやめろ。

国家破産の危機に対応する過程にしか日本は再生の決め手はない。本当の日本再生は増税後の地獄から始まる。


02. 2013年1月29日 00:44:18 : NrnWIa4XYo
阿修羅の原発カテゴリーで投稿されている、「小出裕章ジャーナル」文字起こし <もっとも危険な状態にある4号機の現状と事故収束の展望>に説明されている危機が果たして本当はどのようなものか、他の情報源でも「震度7なら四号機燃料プール建物が倒壊し東日本に人は住めなくなる」とか「北半球もダメだ」とか「3.11のときよりやや小さめの放射能被害で済む」「いや殆ど何もない」とか諸説あってどれもはっきりせず、かと言って国が今後10年で200兆円とも言われる予算のうち、数兆円でも投じて原発全体を囲む数十メートルの高さの堤防と土塁を作って全体を水没させるか、と言うとそれもしない。本当にどういう状況なのかの公式発表もないのです。
ジャワスマトラ沖地震の余震は8年経った今でもかなり大きなものが続いているのを見ると、福島でも震度7位の地震が発生する可能性は低くない、と考えるのが普通で、また大飯原発も運転中で怖い、更に南海トラフやトリプルジャンクションによる地震と津波も考えると、とても怖くて日本株の多くは手が出せない人が多いのではないでしょうか。
それと20兆円の追加予算の中身を見ると、津波危険地域にあたる低標高地域の住居や学校などについて、高台、内陸への移転や津波対策の土塁などやそのためのインフラ整備についての予算が殆ど見当たらないのです。
これでは多くの庶民の不安は消えない、つまり国民の幸福感とは乖離したお金の使い方とわかり、それなら仮に株を買うにしても、何も危険な日本株を買う必要などない。かと言って空売りなどすると思わぬ上昇が怖いからやれない。
いざ原発災害、津波、地震など大災害となったら外国に逃げるのには外国株や外貨を合わせて買う方が安全、と考えてしまいます。
そもそも円安になった分くらいか、またはそれにオマケがついた程度しか今の日本の現状では株は上昇しないだろうし、その日本株も外貨換算すればそれ程上昇はしないのではないか?と個人的には思えてしまい、仮に上昇してもそれは庶民の幸福感を無視したものだから自分には関係ないし日本株を持っていて日本に居ても意味はない、と考えてしまうのです。



03. 2013年1月29日 01:30:01 : xEBOc6ttRg

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
「アベノミクス」の物価上昇計画を脅かす賃金下落
2013年01月29日(Tue) Financial Times
(2013年1月26/27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 木曜日午後5時の東京・中目黒。全国展開しているディスカウントストアチェーン、ドン・キホーテの中目黒本店は客でいっぱいになり始めている。この界隈にはレストランやブティックが立ち並び自由な雰囲気も漂うだけに、ビルの複数階を占めているこの店のけばけばしさは妙な感じもする。

 しかし、しつこいデフレにとりつかれて給料もボーナスも減る一方の日本において、「ドンキ」という愛称で親しまれるこの会社は、掛け値なしの勝ち組である。何しろ同社は、20年連続で増収増益を果たしている数少ない上場企業の1つなのだ。

「ドンキ」の賑わいに見る消費者の意識


デフレ脱却を目指す安倍首相〔AFPBB News〕

 「アベノミクス」の真価はここで試されることになる。日本の新首相・安倍晋三氏は、企業や家計がため込んできた現金を使う可能性が高まるように、この国をデフレから脱却させると約束している。

 今のところ、安倍氏は財政支出を伴う景気刺激策と金融緩和に力を入れている。同氏の計画にある「3本の矢」の残りの1本――構造改革と規制緩和――の詳細は今年の夏までに打ち出される見通しだ。

 「(デフレ期待から・・・)インフレ期待に変わらない限り、雇用は生まれないし、投資も出てこない」。安倍氏は今月、自身の経済タスクフォースである経済財政諮問会議の第1回会合でこう述べた。「10年間ずっとデフレが続いてきたのだから、そうではない(伝統的ではない)手法を今度は取る」

 25日に発表された昨年12月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は前年同月比で0.2%下落し、過去7カ月間で6度目の前年比マイナスとなった。安倍氏が挑む課題の大きさを際立たせる数字だ。

 一方、麺やソースがうずたかく積まれて迷路の様相を呈しているドンキの売り場でイケダ・サクラさん(36歳・主婦)に話を聞いたところ、安倍首相が公約する2%のインフレはどちらかと言えば怖い感じがするという。

 「お給料も一緒に上がってくれるんなら、まあインフレはいいことです・・・でも、そうなってくれるとは思えませんよね。景気が良くなっているという感じはありません」

アベノミクスの前に立ちはだかる障害物

 これこそが安倍氏が直面している障害物だ。デフレと低成長が何年も続いた結果、人々は同じ状況が今後も続くという見方を強めている。またこの国では生産年齢人口が1995年に比べて約8%減少しており、市場シェアの低下を恐れる企業は投入コストの増加を価格に転嫁することに消極的だ。

 日本では労働関係の法律が厳しく、従業員を解雇することはほとんど不可能であるため、代わりに給与が引き下げられている。そのせいで需要がさらに低迷するという循環が強まっており、日本はここ5年間で3度目の景気後退に陥っている。

 給与の減少はこれまでのところ、消費者にとってそれほど過酷なものにはなっていない。1990年代半ば以降の現金給与総額の減少率は、財・サービスを最も幅広く網羅した物価指数の下落率よりも小さなものにとどまっている。

 しかし、その意味で購買力は実質的に向上しているものの、消費を喚起するには至っていない。自分の給与はこれからさらに減るのではないか、という不安感があるからだ。その結果、国民の多くは、物価が上昇すれば生活水準は低下すると考えている。

 日銀が一般の国民を対象に行っているアンケートによれば、昨年春の(燃料価格上昇による)物価上昇を認識した回答者の80%以上は、物価の上昇はどちらかと言えば困ったことだと答えている。

目先は見込めない賃金上昇

 安倍氏のインフレ目標を渋々受け入れた日銀総裁の白川方明氏は25日、1980年代後半のバブル期においてもインフレ率は平均で1.3%にすぎなかったと指摘した。

 「性別、年齢、職業を問わず、多くの国民が望んでいる『物価の安定』とは、雇用の増加と賃金の上昇、企業収益の増加などを伴いながら経済がバランスよく持続的に改善し、その結果として物価の緩やかな上昇が実現する状態だ」と白川氏は述べた。

 早朝に放送されている人気情報番組「やじうまテレビ!」は先日、2%のインフレに「対処する」戦略を特集した。提案された対策の中には、保存食を買いだめするというものもあった。

 物価の上昇には賃金の上昇が伴わなければならない、と安倍氏は強調している。内閣からは、給与やボーナスを引き上げた企業を対象に減税を行うという構想も浮上している。

 しかし、今のところ見通しはあまり芳しくない。企業のロビー団体である経団連は今年の春に行われる伝統的な労使交渉「春闘」で、「ベースアップ」を実施する「余地はない」と断言している。景気が悪いというのがその理由だ。

 経団連は先日、企業の経営側は来年度についての議論で「企業の存続と従業員の雇用の維持・安定を最優先する」と語った。しかし三井住友銀行のアナリスト、岡川聡氏によれば、安倍氏の金融緩和発言を機に進んだ2ケタの円安・ドル高がガス・電力料金上昇の引き金になり始める日は近いかもしれない。

収入より先に生活費が上昇する恐れも

 物価の上昇を相殺する賃金上昇が実現する可能性があるのは2014年の春闘以降だということになれば、「収入より先に生活費が上昇する恐れがあり」、そうなれば消費をさらに抑制するだろうと岡川氏は述べている。

 ドン・キホーテの創業者である安田隆夫会長は、インフレになるとの見通しは需要を喚起する「南風」だと表現し、これを歓迎すると話している。「インフレになれば物価に対する感度が高まる・・・そうすればみんな、値上がりする前に急いでモノを買わなきゃいけないという感じになる」そうだ。

 しかし、ドンキの売り場にはそれとは異なる雰囲気が漂っている。「(2%のインフレ目標のことは)ニュースで聞いたけど、どういうことだかよく分かりません」。ツジイ・チエコさん(72歳)はこう話す。「でも、心配は心配ですね。私は年金暮らしで、収入はもう増えませんから」

By Ben McLannahan


04. 2013年1月29日 02:12:04 : xEBOc6ttRg
【第208回】 2013年1月29日 成瀬順也(大和証券チーフストラテジスト)
アベノミクスを外国人は高評価
1万2000円は年内の通過点
 日本株の上昇トレンドが続いている。1月18日の日経平均株価の終値は1万0913円。2010年4月30日以来の高値水準である。野田佳彦前首相による昨年11月14日の解散表明から25%上昇したことになる。

 投資主体別に売買動向を見た場合、相場の主役は海外投資家といえよう。1月第2週の海外投資家による日本株買い越し額(3市場1・2部と先物の合計)は4173億円。「野田解散」から累計すると、9週間で計3.5兆円と巨額の買い越しを記録している。

 前回の安倍政権は「お友達内閣」とやゆされたが、今回は首相自ら「危機突破内閣」と命名。ネーミングの判定は後に任せるとして、閣僚や官邸スタッフの顔触れからは官邸主導で経済再生に取り組もうとする意気込みがうかがえる。

 官邸主導といえば、小泉政権が思い出されよう。05年の「小泉郵政解散」時は、その後9週間で計3.7兆円の外国人買いが続いた。今回、それに匹敵するペースで買い越しが続いていることになる。郵政解散時は累計8.4兆円に達するまで8カ月余り、ほぼ右肩上がりの買い越しが続いた。「安倍トレード」は「小泉郵政相場」を超えられるだろうか。


拡大画像表示
 小泉政権で期待されたのは「大きく」「抽象的な」モノであった。「構造改革」という壮大なビジョンが、中長期の景気回復につながるという期待だった。しかし、現在の日本経済には、そのような時間を要する期待で満足できる余裕はない。安倍政権に求められているのは「小さく」てよいから「具体的な」モノであろう。短中期の景気回復期待である。

 円高対策、日本銀行との連携、緊急経済対策から補正予算へと、「短期」の対策については合格とみられているようだ。「中期」については課題山積であるが、いずれも逆「捕らぬたぬきの皮算用」的な、早過ぎる懸念に見える。

 例えば、円安誘導で米国が文句を言わないか。国内でも悪影響があるのでは。もちろん円安誘導には異論もあろうが、まだ円高修正の域を出ていないだろう。

 本当に物価上昇率が2%になるか。1%を目指していてはゼロ%がやっとである。2%を目指すからこそ1%も見えてくるだろう。

 財政拡大路線によって日本も「ギリシャ化」しないのか。昨年4〜6月期からのマイナス成長脱出が先である。短期的な課題さえ解決できなかったら、中期的な解決など見えてこない。

 現状の外国人買いは依然としてインデックス(株価指数)投資、ないしは大型優良株物色が中心とみられる。今回のように急激な基調変化が生じると、スピード重視の観点からいったんインデックス投資で対応し、徐々に個別銘柄へ切り替えていくのが一般的だ。

 しかし、長期にわたる日本株への投資縮小の過程で、日本株の調査体制を縮小した海外投資家も少なくない。今回はインデックス投資による全体相場が比較的長く続くこととなろう。野田解散前に13年の高値と想定していた日経平均1万2000円は、単なる通過点となりそうだ。

 (大和証券チーフストラテジスト 成瀬順也)

 


【第74回】 2013年1月29日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役社長]
アベノミクスで経済政策は理論から実践の段階へ
政府は学者や官僚より現場の経営者の声に耳を傾けよ
 総選挙での大勝を受けて成立した安倍内閣は、矢継ぎ早に積極的な経済政策を打ち出した。このスピード感自体は評価されていい。いわゆるアベノミクスの即断実行である。アベノミクスは、一般には「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢から構成される政策パッケージであると目されている。

日銀はルビコン川を渡った

 1月22日、政府・日銀は、デフレ脱却を経済成長に向けて一層の連携を強めるため、共同声明を発表した。その眼目は、「物価上昇率目標として2%を明記し、金融緩和を続ける」というところにある。多くの識者が指摘するように、政府・日銀が目標とする2%の消費者物価上昇率は平均1.3%でしかなかったのだ。

 そうであれば、今回の措置は、「半永久的に」金融緩和を継続すると政府・日銀が宣言したに等しい。容易なことでは達成できない目標であるということは、加えて量的緩和が恐らく「無制限に拡大」していくということになる。日銀は、人跡未踏の領域に向けて、ルビコン川を渡ったのである。

 わが国のこれまでの経験では、ゼロ金利のもとでいくら量的緩和を続けても、物価は上がらなかった。ここ数年来の欧米の経験でも、結果は似たり寄ったりである。経済学者の間では、概して、アベノミクス、中でも金融政策については、評価が低い。米国の評価も、どちらかと言えば厳しいものが多いように見受けられる。

 しかし、ルビコンを渡る前ならいざ知らず、渡り切った後でアベノミクスを批判することにいかほどに実際的な意味があるのだろう。総括は後世の経済史家に委ねるとして、今、為すべきことは、未踏の領域に踏み込んだ日銀の営為を、通貨への信認が棄損されないかどうか注意深く見守り、その効果を丹念に検証していくことに尽きるのではないか。わが国の金融政策は、理論闘争の段階から実績検証のステージに移ったように思われる。

財政規律を重視する
欧米との違い

 アベノミクスの第2の矢は、機動的な財政政策であるが、これは公共事業の増大による景気刺激策、と言い換えた方が、わかりやすいだろう。1月15日に閣議決定された補正予算案は13.1兆円にのぼり、過去2番目の大きさとなった。財源の大半は国債に依存し、今年度の新規国債発行額52兆円に達する。前政権が定めた「44兆円枠」は、いとも簡単に突破されてしまった。

 アメリカやEUも、この数年来、積極的な金融緩和策を捗っているが、彼我の大きな違いは、アメリカやEUは財政規律重視のパッケージで量的緩和を行っていることだ。わが国に比べれば、財政赤字の小さいEUやアメリカ(例えば、2012年の政府の純債務残高対GDP比でみると、わが国の134.1%に対して、アメリカは85.3%、ドイツは51.5%、フランス66.3%)が財政規律を重視し、財政赤字の大きいわが国が、相対的に見れば放漫な財政運営を続けるということは、誰がどう考えてもサステイナブルではない。すなわち、財政は、とりわけわが国に於いては、真っ当に考えれば、使える時間のごく限られた政策なのだ。

民間の声を
成長戦略に取り込め

 金融政策も財政政策も、例えばどんなに優れた政策であっても、とどのつまりは「時間を買う」ものでしかない。実体経済が上向かない限り、わが国経済の持続的な成長はあり得ないのである。政府は3本目の矢を放つべく、1月23日、産業競争力会議を開催して、成長戦略の議論に着手した。

 今回、新たに設置された産業競争力会議は、関係官僚と10人の民間議員で構成されているが、特筆すべきは、現役の社長5人、会長2人を含めて民間の経営者が8人も起用されていることだ。23日の会合では、積極的な要望が相次いだ模様である。

 新聞報道(1月24日日経朝刊)によると、労働市場の流動化(解雇規制の緩和)を社長2人が主張。ゾンビ起業の市場からの退場(≒過当競争による消耗戦の排除)を会長・社長2名が主張。大規模な農業市場の創出を社長1名が、外国人の労働・移民手続き見直しを社長1名が、TPP・日中韓FTA・東アジア地域包括的経済連携の同時推進を相談役1名がそれぞれ主張したとされている。何れも大胆な規制緩和を伴うものである、民間の商売の感覚からすれば、腑に落ちるものばかりである。さすがに、第一線の経営者が集まっただけのことはあると感じた。

 一方、甘利経済相は、健康、エネルギー、次世代インフラ、農業・観光など、地域資源の4分野で戦略目標を設定し、政府主導で戦略的に新市場を創り出すターゲティングポリシー(戦略市場創造プラン)の考えを示したようだ。これに対して民間議員からは、「国は特定の産業を決めて支援するのではなく、環境整備に努めるべきだ」という指摘がなされたという。全くの正論である。

 政策立案にあたるわが国のキャリア官僚の優秀さには折り紙をつけていいと思う。しかし、わが国では官と民が厳しく分断されており、キャリア官僚は一度も商売をしたことのない人々の集団である。そんな人々主導で、新しい市場が本当に創造できるのだろうか。大いに疑問なしとしない。

 せっかく第一線の経営者を数多く集めたのであるから、ここはひとつ、政府に民間の声を素直に取り込む度量をぜひとも見せてほしいものだ。アベノミクスの第1と第2の矢は、取り敢えずわが国の景状感を好転させた。金融政策と財政政策という強力な2本の同時カンフル注射は、即効性という教科書通りの成果を収めたのである。

 このカンフル注射が効いている間に、実態経済に上手くバトンタッチをしなければならない。その1点に、アベノミクスの成否がかかっていると考える。そのためには、学者や官僚の頭脳よりも、修羅場を乗り越えて、さまざまな経験を積んできた第一線経営者の、現場からの声に素直に耳を傾けるのが一番の早道ではないか。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)

【第261回】 2013年1月29日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
中央銀行総裁の資質を示唆する
カナダ中銀の「総裁求人広告」
 英「エコノミスト」誌(1月12日号)に興味深い広告が載っていた。カナダ銀行(中央銀行)の「総裁求人広告」である。同行はカーニー総裁をイングランド銀行に引き抜かれてしまったため、後任の公募が始まっている。その広告を英国の雑誌に載せているところがまた面白い。しかし、文面を読むと、こんなに厳しい条件に合う人はなかなか見つからないのではないかという気がしてくる。

「カナダ銀行総裁は、カナダ経済に最も直接的に影響を与える数少ない職のうちの一つです。職務として、組織の文化・価値観を形成し、カナダ銀行の廉潔性、知的規律、率直なコミュニケーションを推進することがあります。またカナダ銀行の高い評価を維持するために、個々人の能力を伸ばし、維持することも必要です」

 応募資格は、「金融政策、そしてマクロ経済において専門的能力があり、金融部門(国内ならびに国際的な金融機関、金融市場)に関して高度な理解力を持つ」「複雑かつ知識集約型な組織においてリーダーシップを発揮した経験があり、卓越したコミュニケーション能力を持ち、英語・フランス語両公用語にて金融政策と経済問題広範に亘るカナダ銀行の決定を伝達することができる」「カナダ国民で、高度に複雑化した環境において健全な判断をし、競合する優先事項を管理し、戦略的な優先事項の順位付けを行う確かな能力がある」「説得によって指導することを好む特徴を持ったリーダーシップスタイルを取り、原則・方針を貫く姿勢を示す決意がある」方だ。

「総裁の信頼性は、金融界、商業メディア、一般社会の信頼を築く上で非常に大切です。この職務についてさらにお尋ねになりたい場合は、416−×××−1990のポール・スタンレーか、613−×××−3200のロン・ロバートソンに連絡してください」

 この広告を読んで、「おっ、これなら俺にもできそうだ。ポールに電話してみよう」と思う人がもし巷にいたら驚異的である。

 それはそれとして、この広告は、現代の中央銀行総裁は、マクロ経済に詳しいだけでは務まらないことを示唆しているともいえる。特に、金融規制監督やプルーデンス関連の国際会議では、お付きの人や通訳は伴わずに中央銀行総裁だけが密室に入り、丁々発止で高度に専門的な議論を闘わせて国益をぶつけ合っている。また、多くの国際会議は、副総裁が代理で出席すると発言力が大幅に落ちてしまうものらしい。日銀の白川方明総裁の後任人事では、単に「デフレ脱却ができる人」ではなく、そういった観点の議論も非常に重要だ。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)


05. 2013年1月29日 02:46:52 : xEBOc6ttRg
2013年 1月 28日 11:21 JST
日本政府、控えめの企業・投資減税−財界は不十分と不満
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By MITSURU OBE

【東京】日本政府は景気浮揚策の一環として、大規模な政府支出と日銀による追加的な金融緩和に加えて、控えめの企業・投資減税を盛り込む。

 しかし経営者団体は、減税規模があまりにも不十分としてこの計画に冷淡な対応をしている。この減税計画は、安倍新政権が企業に対する奨励措置の必要性を認めながらも、長年の経済不振脱却のため、減税にほとんど信を置かず、直接的な政府支出に大きく依存していることを示している。

画像を拡大する

Bloomberg
安倍首相

 日本の膨大な政府債務抑制のため昨年法案を可決させた消費増税計画を合わせると、日本の全体的な税負担は、安倍政権の新たな減税措置にもかかわらず、大幅に増えることになる。

 最大の経営者団体である経団連の米倉弘昌会長は24日の記者会見で、「もっと本格的な税制論議を近く始める必要がある」と述べた。

 安倍内閣は、連立与党の自民党と公明党が24日公表したこの税制改正大綱を今週承認する見通しだ。財務省は、これにより年間の税負担は2700億円(約30億ドル)軽減され、主として企業の税負担が軽減すると試算している。

 税制改正大綱によれば、前年度を上回る投資を行う企業には総投資額の3%相当の税額が控除される。研究・開発費(R&D)を増やした企業や従業員に対する給与を引き上げる企業も法人税から増額分が控除される。また個人投資家向けの配当やキャピタルゲイン(譲渡益)の税額控除のほか、エネルギー節約のための企業減税措置も織り込んだ。

 しかし、多くの措置の実施は向こうわずか2年間だけだ。2700億円という減税総額は、安倍内閣が今月承認した13兆1000億円の景気刺激策、さらには計画されている消費税引き上げからの年間増収額13兆5000億円に比べれば極めて小規模だ。

 消費税増税法案は国内総生産(GDP)の2倍に膨らんだ日本の政府債務に歯止めをかけるために可決された。日本は現在、年間政府支出100兆円のうち約半分を国債発行で賄っている。

 自民党の野田毅税制調査会長は新しい税制改正大綱について、「主要な目標の一つは経済刺激措置を下支えすることだ」と述べ、その景気刺激要素の面が大きいことをことさら強調した。

 しかし多くのエコノミストは、減税規模が小さく、実施期間も短いとして、その景気浮揚効果に懐疑的だ。

 元財務省高官の森信茂樹中央大学教授は「政府が本当に経済成長を刺激したいのなら、もっと基本的な争点、つまり日本の法人税に取り組むべきだ」と述べた。

 日本の企業の実効税率は現在38%で、他のアジア諸国の25%を大きく上回っている。法人税は前政権の下で引き下げられたが、東日本大震災に伴う復興費用を賄うための企業一時増税でおおむね相殺された。森信教授は「法人税は少なくとも30%に引き下げるべきだ」と述べた。

 税制大綱に基づく法案は週明け28日に開幕する通常国会に来月提出される予定だ。政府は3月末までに国会を通過させたいと希望しているが、与党が参院で過半数議席を保有していないため、4月までずれ込む可能性があると専門家はみている。

 4月1日から実施される税制計画の下で、企業は若干の税負担が軽減されるが、連立政権は富裕層に対する増税で税収を若干増やすことによって、その総コストを抑えたい考えだ。政府は年間4000万円を超える最富裕層に対する限界最高所得税率を40%から45%に引き上げ、600億円の税収を確保したい考えだ。現在、40%という最高税率は1800万円超の収入を得ている人々に適用されている。この変更で、約5万人が影響を受ける見通し。

 相続税もまた、免税対象となる相続額を引き下げ、最高税率を50%から55%に引き上げることで2400億円の税収増を図る。所得税と相続税の引き上げはいずれも2015年1月に実施する予定だ。


06. 2013年1月29日 02:47:35 : xEBOc6ttRg
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名実逆転できるのか?
2013/01/28 (月) 14:34


 本日、午前の臨時閣議で2013年度の経済見通しが閣議了解されました。

 2013年度の実質GDPは2.5%になる見込みだ、と。

 さて、ここで貴方に質問をしたいと思いますが、貴方は、熱烈な安倍ファンですか? 

 もし、そうであって、その理由が安倍総理の経済政策に魅力を感じるからというのであれば、次の質問にしっかり答えて欲しいのです。

 では、質問です。

 安倍政権は、これから14か月後の2013年度が終了したとき、物価の上昇率をどのように想定しているのでしょうか? つまり、2013年度の物価上昇率はどの位になると予想しているのでしょう?

 何か言いたそうですね。2%に決まっているではないか、と言いたいのですよね。何故かと言えば、先日、日銀に対して、2%の物価目標値を採用させたばかりだからですよね。

 答えを言う前に、質問をもう一つしたいと思います。

 もし、新しい日銀総裁が選出され、その新総裁の下で無制限の金融緩和策が次々と打ち出され‥しかし、2013年度の結果をみてみたところ、2013年の消費者物価の上昇率が0.5%程度であったり、或いは、GDPデフレーターの上昇率が0.2%程度であったとすれば、貴方は、そうした結果に満足することができるでしょうか?

 そうですよね、満足できないですよね、特にインフレターゲットを強く支持してきた人だったら。

 何故ならば、消費者物価の上昇率が0.5%程度では、旧来の日銀の物価上昇率の目途であった1%にさえ届かない訳ですから。

 だったら、そんな新しい日銀に対して、安倍政権はどのように対応することになるでしょう?

 日銀をどやしつける?

 決してそんなことにはならないでしょう。

 何故か?

 というのも、2013年度中の消費者物価指数の上昇率は0.5%にしかならず、また、GDPデフレーターは、それよりさらに低い0.2%しか上昇しないと、本日閣議了解したからなのです。

 いいんですか、そんなに甘い態度で? そんなことでデフレから脱却できるのですか?

 いずれにしても、本日、閣議了解された2013年度の経済見通しによれば、GDPの「名実逆転」が16年振りに解消されることになるのだとか。

 名実逆転とは、名目GDPの伸び率の方が実質GDPの伸び率を下回る現象なのです。

 では、そうした逆転現象が何故起きるのかと言えば‥そうなのです、物価上昇率がマイナスになっていると、名目GDPの伸び率よりも実質GDPの伸び率が上回ることとなるのです。

 そして、サラリーマンからすれば、幾ら実質GDPが伸びたと言っても、名目でマイナスになっていると、それに伴って賃金が減少しがちになるので、名目GDPを何とかして増やして欲しいという気になるのでしょう。

 では、ここでもう一つ質問です。

 16年ぶりに「名実逆転」が解消されるということは、その間、ずっと物価が下落していたということを意味するのですが、そのことを貴方はどうお思いになるでしょう?
 
 確かに、デフレがずっと続いているという感覚があるかもしれませんが、しかし、時には物価上昇率がプラスに転じた年もあるのではないでしょうか?

 現に、2001年度以降の消費者物価指数の動き(年度末の指数)をみても、2006年度、2007年度、2008年度の3年間は連続して物価が上がっているのです。

 それなのに、何故16年ぶりだと言うのか?

 答えは‥それは、物価指数には違いがないのですが、実質GDPを算出する物価指数というのは、GDPデフレーターという、消費者物価指数とは異なる物価指数が採用されているからなのです。

 しかし、ここでまた疑問が生じます。

 消費者物価指数の伸び率は、2001年度以降プラスの値を示したことがあったのに、何故GDPデフレーターの伸び率はこれまでプラスに転じたことがなかったのか?

 その原因の一つは、消費者物価指数とGDPデフレーターは、指数を構成する品目の対象が異なるからなのです。

 それに、急に為替レートが大きく変動するようなときに、異なった反応をするからでもあるのです。

 例えば、急に円安が進んだようなときには、物価にどのような影響を与えるか?

 円安になれば、海外から輸入する原油の価格が上昇し、そして、それが様々な商品に波及することが考えられますが、消費者が購入する製品価格にまで転嫁されるにはある程度の期間がかかるのが普通です。もちろん、例えば、ガソリンの価格や灯油の価格は直ぐに反応するでしょうが、幾ら石油等が原材料の一部として使用されていても、その割合が小さな商品であれば、実際に価格が上がるまでには相当の時間がかかるです。

 一方、我が国が外国から原油や液化天然ガスを購入する際の価格は、円安になった分、円建ての価格にそのまま反映されるのです。そして、そうして輸入価格が上がると、GDPデフレーターは低下する仕組みになっているので、GDPデフレーターは、円安によって最初はむしろ低下することが多いと言えるでしょう。

 近年、GDPデフレーターがどのように推移しているか、次の数値をご覧いただきたいと思います。

<近年のGDPの推移>

      名目GDP  実質GDP  GDPデフレーター
2001年度  -1.8%   -0.4%   -1.4%
2002年度  -0.7%   1.1%   -1.8%
2003年度   0.8%   2.3%   -1.5%
2004年度   0.2%   1.5%   -1.3%
2005年度   0.5%   1.9%   -1.3%
2006年度   0.7%   1.8%   -1.0%
2007年度   0.8%   1.8%   -1.0%
2008年度 -4.6%   -3.7%   -0.9%
2009年度  -3.2%   -2.0%   -1.2%
2010年度   1.3%   3.4%   -2.0%
2011年度  -1.4%   0.3%   -1.7%

2012年度 ( 0.3%) ( 1.0%) (-0.7%)
2013年度 ( 2.7%) ( 2.5%) ( 0.2%)

(注) 括弧書きは、政府の見通し


<最近のGDP(前年比)の推移>

2011年4Q   -1.8%   -0.2%   -1.6%
2012年1Q   2.3%   3.4%   -1.1%
2012年2Q   2.9%   3.9%   -1.0%
2012年3Q  -0.3%   0.5%   -0.8%


 如何でしょう?

 今までの推移をみていると、GDPデフレーターが2%近くになるなんて、簡単なことでないことが容易に想像されると思います。

 従って、GDPデフレーターの伸び率がたった0.2%ではあってもプラスに転じれば、それだけでも明るい材料として受け止められる可能性が大なのです。

 但し、もちろん幾らデフレーターの伸び率がプラスに転じても、実質GDPが伸びなければ意味がありません。

 いずれにしても、日本経済の今後の行方は、海外の動向次第なのではないでしょうか?

 何故ならば、ユーロ危機が収まり、そして、米国の経済が明るさを取り戻すならば、否が応でも円安がが進むからで、そして、同時に海外の需要が回復することが予想されるので、その2つの意味で日本の輸出が促進されることになるからです。

 私としては、名実逆転が実現しなくても、実質GDPが2%以上の上昇率を示せばそれで上出来だと考えます。

以上

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07. 2013年1月30日 00:29:24 : UKs568CCrU
まだ、基本的に何もやってないけどな、安倍ちゃん。

08. 2013年1月30日 08:22:35 : xEBOc6ttRg
公共投資の経済効果を考える

私はなぜ公共投資主導型の経済政策に反対するのか(中)〜政権復帰の経済学3

2013年1月30日(水)  小峰 隆夫

 私が公共投資主導型の経済政策に反対する理由には、短期的な側面と長期的な側面がある。短期的な反対理由は、公共投資が経済を成長させる効果はそれほど大きくなく、むしろ財政赤字を増やすという副作用が心配というものだ。今回述べるのは、この短期的な側面である。長期的な側面の問題は次回述べることにする。

短期的に見た公共投資の問題点

 まず、短期的な視点からの反対理由の概要を述べておこう。前回も述べたように、公共投資は経済にとって必要である。これを否定する人はいない。しかし、それには、公共投資によって整備される社会資本がもたらす便益が十分大きいという前提が必要だ。

 一方、公共投資で景気を良くしようという発想は、「公共投資を実行すればお金が落ちる」という効果(需要効果)を期待したものである。この場合は、極端に言うと「どんな公共投資でもいい」ということになる。景気対策で「5兆円公共投資を増やそう」という掛け声がかかると、必ずしも社会資本としての便益が十分大きいとは言えないような分野にも金がばらまかれる恐れがある。これが第1の懸念だ。

 また、それは本来一時的なものである。公共投資の景気刺激効果は、公共投資を実行している時にだけ現われるものだからだ。公共事業が完成してしまうと、その時点で景気刺激効果は止まり、その後は公共投資が減った分だけ経済にマイナスの圧力が出る。しばしば公共投資による景気刺激は「カンフル剤」のようなものだと言われる。公共投資で成長し続けるには、カンフル剤を打ち続けなければならないのだ。

 それでも、リーマンショック後のように、極端に経済が落ち込んだような時はカンフル剤が必要だという議論も分からないではない。しかし明らかに、現時点はリーマンショック後のように大きく経済が停滞しているわけではない。不必要なカンフル剤を打つことになるのではないか。これが第2の懸念だ。

 一方、財政赤字は確実に拡大する。時々、公共投資で景気を刺激すれば、税収が増えるのだから赤字は増えないという議論も出るが、それが正しいとすると、「歳出を増やせば増やすほど政府の歳入が増える」という夢のような世界が実現することになる。そんなうまい話はない。考えてみれば当然のことだ。政府が1兆円の公共投資業を行い、その1兆円が建設業者に渡ったとしよう。この1兆円の支払いが回り回って建設業関連分野の企業収益や従業員の所得となり、全体で1兆円の所得(付加価値)が形成されるわけだが、これら増加した所得から1兆円以上税金が支払われることはあり得ない。

 ただでさえ深刻な日本の財政がさらに深刻な状態になり、破綻に至る日を早めることになる。これが第3の懸念だ。

 要するに、経済の状況、財政の現状を踏まえれば、公共投資で無理に経済を刺激するような状況ではないということである。

 さらに私は、その公共投資の成長促進効果そのものにかなり疑問を持っている。以下、詳しく説明しよう。

公共投資の成長促進効果

 政府は、1月11日に「緊急経済対策」を決定したが、その本文で経済効果について次のように述べている。「この対策の予算措置による経済効果を現時点で概算すれば、実質GDP押し上げ効果は概ね2%程度、雇用創出効果は60万人程度と見込まれる」

 この「成長率2%、雇用創出60万人」は、分かりやすいので新聞の見出しにもなったりしているが、民間エコノミストからは過大だという批判が出ているようだ(日本経済新聞2013年1月12日「『雇用60万人増』疑問の声」)。

 では、政府はどのようにしてこの数字を出したのか。私はこれに実際にタッチしたわけではないので、確かなことは言えないが、ある程度見当はつく。この手の計算には計量モデルの「乗数」というものを使う。では「乗数」とは何か。そもそも経済は実験ができないので「試しにやってみる」ということができない。そこで、経済の動きを数式で表した計量モデルを作る。この計量モデルでは、世界経済などの外的環境や財政・金融政策などの政策変数は、モデルを操作する人が外から与える(これを「外生変数」という)。出発点の経済状況とワンセットの外生変数をモデルに入れると、あとは自動的に民間需要、GDP、物価、雇用などがモデルから計算されてくる(これを「内生変数」という)。

 さてこの計量モデルを用意すれば「実験」ができる。公共投資の効果を求める場合を説明しよう。まず標準的な外生変数のセットをモデルに入れると、標準的な経済の姿が出てくる(これを「標準ケース」という)。次に、公共投資の部分だけを、例えば、名目GDPの1%だけ増やしたセットをモデルに入れて経済の姿を見る(これをケースAとしよう)。標準ケースとケースAの差は、公共投資を増やしたことだけによってもたらされたものである。したがって、この両ケースの差が公共投資の効果だということになる。

 内閣府経済社会総合研究所の計量モデルによると、名目GDPの1%分公共投資を増やすと、1年目の名目GDPは1.2%増えるという結果が得られている。つまり、1単位の公共投資を追加すると、1.2単位のGDPが増えることになる。この1.2を「乗数」という。これが1より大きいことを指して「乗数効果」と呼ぶこともある。昔の話を掘り返して恐縮だが、かつて菅元総理が財務大臣の時、国会答弁で「乗数効果」と「消費性向」を混同したことがあったようだが、その「乗数」がこれである。

 この乗数を使って、1月に決まった経済対策の効果を計算してみる。経済対策でこの乗数の対象になりそうなものとしては、復興防災対策の事業規模5.5兆円、民間投資の喚起が3.2兆円で、合計8.5兆円がある。乗数が1.2とするとGDPは10.2兆円増えることになる。これは2012年度の名目GDP(約475兆円)の2.1%になるから、2%の成長率押し上げ効果というのはある程度は根拠がある。ただし、ここで紹介した計算は私が勝手に2%になるような計算をやってみただけであり、実際はもう少し精緻な計算をしているはずだ。

 しかし実は私も、今回の公共投資の成長促進効果は、「2%、60万人」よりはずっと小さいだろうと考えている。

公共投資をめぐる90年代の苦い経験

 公共投資による景気刺激策については、日本には苦い経験がある。バブル崩壊後の90年代に公共投資主導型の景気対策を繰り返したのだが、成長率は一向に高まらなかったという経験だ。

 これについては、私はかなりしつこく調べたことがあり、その成果は、内閣府経済社会総合研究所が刊行した「日本経済の記録」という本に収録されている(第1巻第3部第3章「経済対策の発動と景気回復」)。これは私が代表編集者となってバブルとその後の日本経済の記録を全2巻約1200ページにまとめたものである。税金で作成したものなので、全巻公開されている(リンクはこちら)。

 ただし断っておくが、私が編集した歴史編は、読んでも面白くないから、「ぜひ読んでください」とは言いにくい。座長を務めた寺西重郎先生が「これは歴史の記録なのだから、面白くなくても、無味乾燥でも良い。とにかく客観的に叙述する。それでこそ価値があるのだ」という方針を示したからだ。

 この中で私は、1992年以降次々に打ち出された経済対策について、原典に当たって調べてみたのだが、この間に打ち出された公共投資は、92年から99年の6回の経済対策で合計38.8兆円にもなる。で、その経済効果だが、これらの対策が発表されるたびに政府は「これによってGDPが○%増える」という試算を明らかにしている。この経済効果の試算は正式文書としては存在しないので、これをたどるのにえらく苦労したのだが、その苦労話を始めると長くなるので結論だけ述べると、この間の経済対策の効果を合計するとGDPは11.7%も拡大することになる。

 しかし、これほど大規模な公共投資が追加されても、90年代を通じて経済は低迷した。90年代の公共投資はどうして効果がなかったのか。これは私の大疑問だったのだが、その後、小泉内閣以後は、公共投資を削減する政策に転じたので、この問題を考える意味がなくなり、しだいに忘れつつあった。その公共投資が、今回のアベノミクスによって再び脚光を浴びるようになった。そこで、なぜ公共投資の増加は効果がなかったのかをもう一度考えてみることにする。

 効果がなかったとすれば、二つの理由が考えられる。一つは、公共投資そのものが計画通りの規模で実行されなかったことであり、もう一つは、実行しても思ったほど波及効果がなかったことだ。

実際は増えなかった公共投資

 前者の「公共投資が計画通り行われない」ということがあるのだろうか。政府が予算を付けたのだから、実行されないということはあり得ないと誰もが思う。ところがこれがあり得るのだ。

 この点について、1995年に発足した村山内閣で経済企画庁長官を務め、経済対策の取りまとめに当たった宮崎勇氏は、次のように述べている。「補正予算の時に追加対策が積み上がって、その時には『わあ、増えたな』ということになるんですが、翌年度の本予算の時に絞り込む形になるんです」「公共投資を中心にした固定資本形成は(筆者注:正確には公的固定資本形成)は、増えたと言われていますが、実はあまり増えていないんです」と述べている(『証言 戦後日本経済』岩波書店、2005年)。

 国全体の公共投資の動きは、GDPの名目公的固定資本形成によって見ることができる。その動きを見ると、92、93年度は増えているが、94年度は減少している。その後、95年度は再び増えたが、96、97年度は減少している。絶対額で見ても、91年度の31.7兆円からスタートして93年度には40.3兆円になったのだが、その後は一進一退であり、99年度は37.4兆円である。確かに、国全体としての公共投資はあまり増えていなかったのだ。

 なぜそんなことが起きたのか。これには二つの理由が考えられる。一つは、宮崎氏が指摘しているように、補正で増やした後、本予算で減らしている可能性がある。経済対策を実行するには補正予算を組む必要がある。ここで公共投資を増やし、「経済対策を打った」とアピールする。しかし、次の本予算の時には、補正で十分手当てしたからという理由で、公共投資の予算を減らす。補正と本予算を合計してみると、公共投資は経済対策で計画したほどには増えないというわけだ。

 もう一つは(私はこちらの方があり得ると考えているのだが)、地方政府が公共投資を減らすことだ。それはこういうことだ。地方政府が行う公共投資には、国からの補助を受ける「補助事業」と、地方独自の財源で行う「単独事業」がある。国が経済対策で公共投資予算を増やすと、地方にとっての補助事業が増える。すると、地方の公共投資の財源を補助事業の方に使ってしまうから、単独事業の方を削る。この場合も、国全体の公共投資は、経済対策で計画したほどには増えないことになる。

 つまり、「経済対策で1兆円公共投資を増やせば、国全体の公共投資も1兆円増えるはずだ」と考えるのは、「他の部分は不変である」という部分均衡的な発想なのだ。補正予算で国の公共投資を増やすと、本予算の公共投資や地方の公共投資が減ってしまう可能性があるわけだ。

公共投資の波及効果は低下したのか

 次に、波及効果について考えよう。前述のように、最新の計量モデルでは、公共投資の乗数は1.2である。1兆円の公共投資を行うと、それ自身がGDPを1兆円増やす(ただし、輸入に漏れる部分があるので、1兆円は増えないのだが、ここではとりあえず無視する)。残りの0.2兆円が波及効果によって生み出された需要である。

 この点については、しばしばかつてよりも乗数が低下しているのではないかという指摘がある。この指摘の実例を探していたら、あと1時間で原稿を送るというギリギリのタイミングで実例が目の前に現われた(探している情報は向こうからやってくる)。1月26日の日本経済新聞「膨張・公共事業(下)」がそれで、その中に「内閣府の計量モデルによると、…乗数は1前後にとどまる。高度成長期の1960年代には2を超えていた」という文章がある。

 確かに、私が経済企画庁で計量分析を行っていた頃の乗数は大きかった。経済企画庁の経済研究所が1970年に作成したモデルの乗数は2.02、76年モデルは1.86だった。これを見ると、公共投資の波及効果は昔より小さくなったと言えそうだ。

 しかし、この議論は正確ではない。違うモデルで異なった時点の経済を比較しているからだ。これは、基準の違う温度計で異なった地点の温度を測っているようなものだ。例えば、70年代のモデルの消費関数は、基本的には「現時点の消費は現時点の可処分所得で決まる」というタイプのものだった。しかし、最近では、恒常所得の考え方に基づいて、「ある程度持続的な所得でないと消費は増えない」というタイプの消費関数を使うようになっている。

 すると、古いモデルでは、公共投資によって増えた所得が直ちに次のラウンドの消費を増やすから、乗数は大きくなる。しかし、恒常所得モデルでは、一時点だけの所得増はすぐには消費を増やさないので、乗数は小さくなる。つまり、「経済がどう変わったか」ではなく「モデル(またはその背景としての経済理論)がどう変わったか」によって乗数は変わってしまうのである。

 この点を克服するには、同じモデルで過去の経済と現在の経済を表現するモデルを作り、乗数を比較すれば良い。「すれば良い」と言うのは簡単だが、これはマニアックな分析の極致のようなもので、大変な労力を必要とする。ところが経済研究所はこれをやったことがあるのだ(その結果は98年の計量モデルの報告に出ている)。それは次のようなものだ。

 まず、85〜97年のデータを使ってモデルを作る(最新モデル)。次にデータだけ77〜89年に変更して同じようにモデルを作り(80年代モデル)、両者の乗数を比較するのである。すると、乗数は最新モデルが1.21、80年代モデルが1.30となった。結論は、最新の方が乗数が小さくなってはいるものの、それほど顕著な低下ではないということである。

 それでも乗数は下がっているのだが、これは先ほど説明を省略した輸入の影響だと思われる。つまり、国内で輸入が増えた時、所得が海外に漏れ出してしまう割合が大きくなるため、乗数が小さくなるのである。日本では傾向的に輸入性向が上昇しているので、これが乗数を低下させているものと考えられる。この点については、1994年の「経済白書」が、輸入性向の上昇が公共投資の乗数を低下させているという結論を出している。

 さらに議論を進めると、私は、最新モデルの結果である「乗数1.2」という点についても「怪しい」と考えている。それは次のようなことである。公共投資はGDPを増やす。GDPが増えると、消費や設備投資が増える。これが乗数効果を生む。ところが、普通の計量モデルでは、基本的には、どんな需要でも、とにかくGDPが増えたらその後の波及効果は同じという構造になっている。例えば、減税をすると消費が増えてGDPが増えるが、その増えたGDPがもたらす波及効果は公共投資と同じである(ただし、公共投資の方が最初のGDPを増やす効果が大きいので、乗数は公共投資の方が減税よりも大きい)。

 私は、この点について異論があるのだ。つまり、経済対策によって追加する公共投資は「一時的に増えた需要」だと多くの人が認識するはずだ。そういう認識の下では、設備投資や安定的な雇用が増えることはないだろう。簡単に言えば、建設業者の売り上げが一時的に増えても、その業者は新しい建設機械を買ったり、正規雇用を増やしたりはしないのではないかということだ。

 以上、経済対策で追加された公共投資の成長押し上げ効果はあまり大きくないというのが私の結論である。(1)公共投資の総額が追加分ほどには増えない可能性があること、(2)輸入に漏れる分が増えていること、(3)一時的な需要の増加にとどまるので、波及効果が小さいことなどがその理由である。

(次回は、長期的な公共投資のあり方について考えます。掲載は2月13日の予定です)


小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授。日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。著書に『日本経済の構造変動―日本型システムはどこに行くのか』、『超長期予測 老いるアジア―変貌する世界人口・経済地図』『女性が変える日本経済』、『データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問』、『政権交代の経済学』、『人口負荷社会(日経プレミアシリーズ)』ほか多数。新著に『最新|日本経済入門(第4版)』


小峰隆夫の日本経済に明日はあるのか

進まない財政再建と社会保障改革、急速に進む少子高齢化、見えない成長戦略…。日本経済が抱える問題点は明かになっているにもかかわらず、政治には危機感は感じられない。日本経済を40年以上観察し続けてきたエコノミストである著者が、日本経済に本気で警鐘を鳴らす。


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