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65歳定年制導入で30〜40代社員の賃金まで抑制される可能性も (週刊ポスト) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/209.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 2 月 07 日 07:31:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://www.news-postseven.com/archives/20130207_169949.html
週刊ポスト 2013年2月15・22日号


 この4月から施行される65歳定年制(雇用延長義務づけ)導入で企業の賃金体系見直しが進んでいる。三菱電機などが採用する「定年年齢選択型給料」では、55歳時に、給料は現状維持のまま60歳で退職するか、それとも給料ダウンで65歳まで働くかを選択するというものだ。

 だが、切実な人生の選択を迫られるのは50歳代の中高年サラリーマンだけではない。

 今回の改正高年齢者雇用安定法は、この4月から企業に、希望する社員全員の65歳までの雇用延長を義務づけた。現在、60歳から支給されているサラリーマンの部分年金(40年勤務の標準モデルで月額約10万円)が段階的に65歳支給に引き上げられ、60歳で定年退職すると給料も年金もない「年金空白」の期間が生じるからだ。

 NTTグループや三菱電機は「年金空白」による収入減を補うために4月から60歳以上の雇用延長社員の給料を引き上げる方針を出し、他の大手企業も続く構えをみせている。

 だが、同法に詳しい社会保険労務士の佐藤広一氏は、しわ寄せを最も受けるのは若い世代のサラリーマンだと指摘する。

「この法律改正によって、企業側は雇用を延長した社員を容易にクビにはできなくなる。企業はそのかわりとして、増加する人件費を抑制するために、年齢が上がれば給料が上昇する年功序列型の賃金体系を抜本的に見直し、若いうちから給料水準を抑制する動きが始まっています」

 そのさきがけと見られているのが、NTTグループ8社が、10月からの導入を決めた、「フラット型」とも呼べる新たな賃金体系だ。

 同グループの現在の賃金体系は、入社から50歳まで給料が上昇し、その後は雇用選択制になる。それに対して、新賃金体系は、30歳代から給料上昇が抑制され、41歳以降は60歳まで横ばいになる。そのかわりに、雇用延長される60歳以降の年間給料を現在の約200万円から300万円(最高400万円)まで引き上げるという内容だ。

 東日本NTT関連合同労働組合の試算では、30〜40代は年間ざっと100万円の減収、トータルでは1500万円の賃金が減らされ、それが60歳以降の賃金の財源に充てられる。東日本NTT関連合同労働組合(第2組合)の斎藤隆靖・幹事は「企業側は再雇用義務化で人件費を増やさないですむことになります」という。

 従来の雇用選択制度との決定的な違いは、「50歳の選択」なら60歳定年を選ぶことで生涯賃金を満額受け取ることができたが、30代や40代の社員にはそうした選択の余地さえ与えられないことだ。60歳退職なら生涯賃金がざっと1割カットされ、65歳まで働いてようやくこれまでと同じ生涯賃金に届く。

 65歳定年制という名の賃下げなのだ。


 

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コメント
 
01. 2013年2月07日 12:51:24 : xEBOc6ttRg
ローソン、20代後半から40代社員の年収を平均3%引き上げへ
2013年 02月 7日 11:50  
トップニュース
雇用「無視していない」、リスク回避後退が円高是正要因=日銀総裁
中国が大気汚染対策、自動車燃料品質を段階的引き上げ
伊モンテ・パスキ、デリバティブ取引3件に絡む損失は7.3億ユーロ
機械受注持ち直しに転じる、2期連続増加見通し

[東京 7日 ロイター] ローソン(2651.T: 株価, ニュース, レポート)は7日、20代後半から40代の社員の年収を平均で3%引き上げると発表した。消費意欲が高い世代の年収が増えることで消費の活性化につながるほか、子育て支援にも資するとしている。

対象は、ローソンと九九プラス、ローソンHMVエンタテイメントの全社員5120人の約65%にあたる。5月と11月に支給している年2回の賞与で支給する。中学生までの子供を持つ社員には、人数に応じてアップ率を高くする方針。ローソンによると、子供が3人いる場合には、最大で30万円程度の増額になる。

同社では今後、若い世代の個人所得を上昇させるような賃金カーブに体系を改めていく。また、加盟店の収益を増加させる施策についても、3月から実施するとしている。

同社の新浪剛史社長は、成長戦略を策定している政府の産業競争力会議のメンバー。

(ロイターニュース 清水 律子)  


 


雇用「無視していない」、リスク回避後退が円高是正要因=日銀総裁
2013年 02月 7日 11:55 JST
[東京 7日 ロイター] 白川方明日銀総裁は7日午前の衆議院予算委員会で、日銀が物価と金融システムの安定を図ることで経済も安定し、雇用も最大化していくと説明し、日銀は雇用について「決して無視しているわけではない」と述べた。前原誠司委員(民主党)の質問に答えた。

白川総裁は、金融政策と雇用の関連について「日本銀行が物価の安定、金融システムの安定に全力を尽くすことで経済環境も安定化し、その下で雇用も最大化していく」と説明。その上で「日銀は雇用、景気について決して無視しているわけではない」と強調し、「物価の安定を通じて経済の安定に貢献していくとの思い」で金融政策を運営していると語った。

また、最近の経済・市場動向に関しては「国際金融市場でリスク回避姿勢がかなり後退してきた」と述べ、「その結果、安全資産である円買い需要が減り、円高是正要因として働いている」と指摘。海外経済も「回復見通しが、昨秋に比べて高まっている」とし、こうした環境の中で「日銀の経済・物価の見通しも少し上がってきている」と語った。

日銀は、1月の金融政策決定会合で消費者物価の前年比上昇率で2%とする新たな目標を導入した。2%という高めの目標が必要とする安倍晋三首相の意向を踏まえたものだが、日銀法改正を阻止するために日銀政策委員会メンバーを説得したのではないか、との質問に対して白川総裁は「そうした事実はない」と否定。目指す物価上昇率が変わっても、日銀法に定められている「金融政策の基本理念が変わったわけではない」と語った。

(ロイターニュース 伊藤純夫;編集 宮崎亜巳) 


 

 

デフレは貨幣現象、金融政策で変えられる=安倍首相
2013年 02月 7日 11:25 JST
[東京 7日 ロイター] 安倍晋三首相は7日午前の衆議院予算委員会で、デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられるとの認識を示した。民主党の前原誠司委員の質問に答えた。

人口が減少するなかで、構造問題を解決しないとデフレは脱却できないのではないかとの質問に、安倍首相は「人口減少とデフレを結びつける考え方を私はとらない。デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられる。人口が減少している国はあるが、デフレになっている国はほとんどない」と答えた。

日銀の物価目標について当初2─3%が必要と主張していた点については「デフレ脱却にはマインドの変換が必要だ。エコノミストと話した時も、ショックを与える意味でも3%とか4%とかという数字を出すべきだという話だったので、強めの数字を言った」と説明。「政治は多くの人の理解を得る必要があるので、結果を出すということで(最後は)2%にした」と述べた。

自身が日銀法改正に言及してきたことに関しては「日本以外の多くの国が採用している中銀と政府、国民との関係に戻す必要があるのではないかという問題意識があった。一つはインフレターゲット、もう一つは雇用に対しても責任を持つということだ」とした上で、「今の段階で日銀がそういう認識を持ち始めたことは良かったと思っている」と語った。

(ロイターニュース 石田仁志、伊藤純夫:編集 吉瀬邦彦)

 


通貨安競争を目的としてやっているわけではない=麻生財務相
2013年 02月 7日 12:20 JST
[東京 7日 ロイター] 麻生太郎財務相は7日午前の衆議院予算委員会で、安倍政権の経済政策を受けて円安が進んでいることに関して「通貨安競争を目的としてやっているわけではない」と語った。

自民党の伊藤達也委員の質問に答えた。

麻生財務相は「通貨安とか円安誘導という話をしているのはドイツだけだろう。IMF(国際通貨基金)もその気は全くない」と指摘。「デフレ不況から脱却するために金融緩和政策をやるというのが、結果として円安・株高になっている。(円安は)本来の目的とは違う」と語った。

(ロイターニュース 石田仁志:編集 佐々木美和)

 
麻生・リプトン会談、IMFとして「日本の政策をサポート」 2013年2月6日
日銀総裁、大きな組織運営するには経営の経験必要=麻生財務相 2013年2月5日
為替動向引き続き注視、景気回復確実にし閉塞感払しょくへ=財務相 2013年2月4日
円安はデフレ脱却政策の結果、為替は市場の声に耳傾ける=財務相 2013年2月3日


 

ユーロ圏ではビッグマックも「緊縮」傾向、例外はイタリア
2013年 02月 7日 11:35

[ブリュッセル 6日 ロイター] 厳しい局面にある欧州経済の状況を知るには雇用統計や鉱工業生産などがあるが、どの国が緊縮策に真面目に取り組んでいるかを知るには、ハンバーガーの価格が有効かもしれない。

ブリュッセルに本拠を置くシンクタンク、ブリューゲルのエコノミストであるグントラム・ウルフ氏は、ユーロ圏各国を対象に、2011年7月─2013年1月に米マクドナルド(MCD.N: 株価, 企業情報, レポート)の「ビッグマック」の販売価格がどう推移したかを調査。その結果、アイルランドなど債務危機で経済が悪化している国では、ビッグマックの価格も「緊縮」傾向にあることが分かったという。

同氏によれば、ギリシャやポルトガル、スペインでのビッグマックの価格上昇率は、ユーロ圏平均を下回る水準だった。アイルランドでは、3.80ユーロから3.50ユーロ以下に値下がりさえしていた。これらの国はいずれも、債務危機の影響で抜本的な経済改革を強いられている。

対照的に、ドイツでのビッグマックの価格は、ユーロ圏平均を上回って上昇したという。

ただ、目を引く例外が1つだけある。重債務国であるはずのイタリアでは、ビッグマックの価格は3.85ユーロと、ドイツの3.64ユーロを上回り、ユーロ圏で最も高くなっている。

「イタリアは高インフレに対処する正しい政策を採用すべきだ」とウルフ氏は語っている。


 


債券上昇、米長期金利低下や緩和期待で買い−2年債は02年来低水準 
  2月7日(ブルームバーグ):債券相場は上昇。前日の米長期金利の低下や日本銀行による金融緩和策への期待感が強まっていることを受けて、買いが優勢となった。新発5年債利回りは過去最低水準に並び、新発2年債利回りは約10年半ぶりの低水準を記録した。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀の緩和期待が続いており、中短期債利回りの低下が全体の相場を押し上げている。前週の2年債入札以降、金融緩和期待が高まっている状況下で、日銀総裁・副総裁人事についても、今後報道が出てくる見通し。前日に欧州懸念が強まり、欧米金利が低下し、国内株価が反落していることも支援材料となっている」と説明した。
東京先物市場で中心限月の3月物は前日比07銭高の144円08銭で始まった後、すぐに17銭高の144円18銭まで上昇し、1日以来の高値を付けた。午前の相場は結局、13銭高の144円14銭で終えた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の327回債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp)低い0.765%で開始。午前取引の終わりにかけては、1日以来の低水準となる0.76%で推移している。
前日に続いて中期債が買われている。新発5年物107回債利回りは0.5bp低い0.14%に低下し、前日につけた過去最低に並んだ。新発2年物325回債利回りは1.5bp低い0.03%と2002年9月19日以来の低水準をつけた。
JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストによると、「昨日から2年債、5年債が強くて相場を主導している。日銀緩和期待があり、輪番オペ(国債買い切りオペ)増額などの思惑もあるため、10年債も堅調」と言う。
超長期債も堅調。新発20年物141回債利回りは1bp低い1.78%で始まった後、午前の取引後半にかけては1.785%で推移している。新発30年物37回債利回りは0.5bp低い1.995%で取引が成立した。
日銀の白川方明総裁は5日、4月8日の任期満了を待たずに、両副総裁の任期が到来する3月19日に辞職することを安倍晋三首相に伝えた。6日の外国為替市場では、日本の金融緩和強化観測を背景に、円売りが一段と進み、ドル・円相場は一時1ドル=94円台に乗せ、10年5月以来の安値を更新した。
6日の米国債市場では、米10年国債利回り が前日比4ベーシスポイント(bp)低下の1.96%程度で引けた。一方、米株相場は小じっかりで、S&P500種株価指数の終値は0.1%上昇の1512.12だった。
JPモルガンの山脇氏は、米国市場について、「企業決算好調で米国株はしっかりながらも、歳出が強制削減されれば、2013年の経済成長率は2%を下回るとの観測が出ており、米国債は冷静な動き」と語った。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/07 11:50 JST


02. 2013年2月07日 15:50:51 : xEBOc6ttRg

若者にワークライフバランスなんていらない

城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(中)

ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家2013年2月6日

グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。

(司会・構成:佐々木紀彦)

――今回の「グローバルエリートは見た!」は、人事コンサルタントの城繁幸さんを特別ゲストにお迎えして、対談形式で進めていきます。

テーマは、不況が続く日本の中で、国内だけに依存しないキャリアをどう築くか、です。ムーギーさんには、シンガポールなど海外の視点から、城さんには国内の視点から、幸せなキャリアを築くために大事なことについて、語っていただきたいと思います。

※ 対談(上)はこちら

誰でもできる仕事は、日本から消える

キム:最近は、参入障壁のない仕事をやってしまうと、グローバルな競争に巻き込まれてしまって、インドや中国の人たちとの戦いになっちゃうんですよね。彼らは賢いうえ努力家だから、何でもかんでもすぐに学んでしまう。私が今住んでるフランスでも、夜9時以降や週末に開いてるのは中華料理屋かインドカレー屋くらいで、平均年間休暇8週間のフランスにいると「アジア人は頑張っとるな」と実感するわけです。

1つ面白いエピソードを紹介すると、先日、新日本プロレスの木谷高明会長にインタビューをさせてもらったんですが、そのテープ起こしをどうしようか困っていたんです。そしたら、いつもはコストに厳しい新米編集長が、「テープ起こしはこちらでやりますよ」と快諾してくれたんで不思議に思ったら、今は中国に音声ファイルを送ると、1週間くらいでテープを起こしてもらえるそうなんですよ。しかも、激安価格で。

城:そうなんですか! でもそうなると、フリーライターの人は失業してしまいますね。取材などで編集者にひっついてきて、テープ起こし代わりにまとめるという仕事が国内から消失してしまうわけで。

キム:そういうことなんですよ。つまり、テープ起こしのように、時間があれば誰にでもできるタイプの仕事は、全部グローバルな戦いが起きて、日本からなくなってしまうわけです。

たとえば金融業界でも、財務モデルの基本となる雛形を作ったり、財務モデルに数字を入れたりする仕事は、随分前からインドのオフィスにかなりアウトソースしています。今までは、日本で若手のアナリストにやってもらっていたんですが、インドなら日本の10分の1のコストでできてしまう。だから単純労働をやっている人は、これからますます厳しくなりますね。

城:でも僕は、仕事ってそういうものだと思うんですよ。別に仕事で成長しないといけない理由はないし、まして企業がその人を成長させないといけない理由もない。もっと言うと、その人の人生設計まで企業が考えて食べさせてやる必要はないわけで。第三者がやるとしてもせいぜい政府の仕事であって、終身雇用であるべきや否やというのは、政府の大小とはまったく関係ない話です。


城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルタント
1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。人事部門にて新人事制度導入直後からその運営に携わり、同社退職後に執筆活動を始める。雇用問題 のスペシャリストとして、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各メディアで発信中。最新著書に『若者を殺すのは誰か?』
キム:企業にどのような社会的使命を担わせるかという大きな問題につながってくるわけですが、企業が面倒を見てくれる、ないし見る余裕のある時代が長く続いてしまったので、それが当たり前になってしまったんでしょうね。実際に職業訓練機能に関しては大学は一切機能を担わず、企業が終身雇用の前提の下、手厚い社内訓練を施してこれたわけですから。

ただ不幸なことに学校教育では現実に起きていることを教えてもらえないし、メディアでは無責任な評論家の先生方が「企業は個人の幸せの最大化のために社会的責任を……」とおっしゃる。そして従業員の幸福を追求させる余裕のある一部の成功企業を取り上げて、まるですべての企業がそうしなければならない、ないしできるかのような幻想を与えている。

若いうちに自己責任で付加価値をつけ、特定の企業という文脈に頼らずとも食べていける、自分にしかできない仕事をやっていないと、本当に月給10万のワーキングプアになってしまうことへの切迫感がないんでしょうね。

グローバル市場での労働賃金に関して一物一価が適用されていく中で、国外に目を向けたときの競争環境激変への心の準備もないままに、いきなりそういう状況に追い込まれて、なんで会社は面倒見てくれないんだ、なんで学校や社会は面倒見てくれないんだ、となってしまっている人がいます。

城:大学に行って話をすると、東大や慶応といった首都圏のいい大学の学生はわかっているけれど、それ以外の学生はまだあんまりわかっていない。だから、誰かがきちんと教えてあげないといけない。そうでないと、本当に人生取り返しがつかないことになってしまう気がするんですよね。

幸い中の不幸〜ゆでガエルになれた日本経済

城:数年前、東大でOBと在学生の交流会みたいなのがあって顔出したんですが、「これから自分はどうやってキャリアを積めばいいんでしょうか?」と質問した学 生に「大丈夫だ、東大生なんだからもっと胸を張ってどんと構えてろ」と言ってるOBがいて、蹴っ飛ばしてやろうかと本気で思いましたね。ああいう年長者が まだまだ多くて、せっかくつきかけた火をもみ消したりしている。

ムーギー:その意味で日本は、「不幸中の幸い」の逆の「幸い中の不幸」というか、ゆでガエルになれる過保護経済なんですよね。つまり、親世代に貯蓄がいっぱいあるので、親世代の援助で子世代はどうにか生きていけるところがある。子どもが生まれても、おじいちゃんとおばあちゃんが、やたらと面倒を見てくれたりする。自分で稼げなくても、親の貯蓄を食い潰して生きていけるところがあります。国の財政面でも、個人のキャリアの面でも、過去の貯蓄があまりにも大きいがゆえに、ゆでガエルになれる環境があったわけですよね。

それに対して、韓国の場合は、1997年のIMF危機のときに、外国からおカネを引っ張ってくるしかなくなって、厳しい大リストラを受けざるをえなかったわけです。

城:ああ、そうですよね。あのときまでサムスンなんて日の丸電機のライバルだなどと誰も考えていなかった。でも5年後にはブランドと技術力以外で負け始め、今ではブランドでも負けている。

ムーギー:韓国の場合は、脆弱なところがあったからこそ、グローバル競争に対応するため急激な改革をせざるをえなかったわけですが、日本の場合は、体力があったから、ゆでガエルになれるほど生温かい温度を20年間も続けることができた。強かったからこそ、それが今の自助努力の遅れにつながっているのかもしれません。

城:「企業は個人を成長させてくれなきゃダメだ。それができない会社はブラックなんだ」という論調は、僕は違うと思っていて。

ムーギー:自分でやれと。

城:そう、基本は自分でやれと。確かにユニクロには問題があるんだろうし、厳しいんだろうけど、ユニクロはもう、「安定していればいい」という人には向いていない会社なんですよ。

若いころは「ワークバランス」ではなく、「ワークワーク」が当然

ムーギー:ユニクロの内実について私は存じ上げないので個別企業に関して申すつもりはないのですが、一般論としてワークライフバランスを求めている人がちょっと甘いなと思うのは、私も今でこそワークライフバランスが昔よりそこそこよくなっていますけど、そこに至るまでは、やっぱりもうワークワークだらけでしたよ。

大学卒業後に最初に勤めた投資銀行やその後のコンサルティングファーム時代なんて、毎日、朝の8時から夜中の2時まで、ずっと休みもなく働いていましたからね。でも、そうした時期があったからこそ、キャリアとスキルのベースがしっかりして、働く国や会社の文脈から抜け出ても働けるようになれるわけじゃないですか。

そうしてファイナンスのキャリアやコンサルティングのキャリアに、香港やシンガポールでの経験や人脈をくっつけることによって、参入障壁が上がって、競争相手の数がちょっと減ってくる。すると、どんぐりの背比べの戦いから抜け出すことができて、以下は私のことではないのですが、給料は上がるし、面白い仕事のオファーは来るし、死ぬほど働かなくていいし、というサイクルに入っていくわけです。

城:それはありますね。以前、某キー局のプロデューサーとブラック企業問題について話していたとき、最後に「でも、考えてみればうちもバリバリのブラック企業なんですよね」と言っていた(笑)。

ムーギー:それなのに、今の新卒の学生で緊張感のない人は、「どれだけ休みがあるんですか?」とか、「ワークライフバランスが充実していますか?」とか質問してくるんですが、そんなことを気にしている時点でダメですよ。

城:確かに僕も今39歳だけど、同じ世代の連中を見ていて、ワークライフバランス実現してる奴は、だいたい20代に超ブラック職場で働いていた人が多い。20代に必死に働いて、ある程度のポジションを得たり、おカネを貯めて事業をやったりして、今になってワークライフバランスを実現できている。逆に、20代にしっかり働いていない奴は、今一番ワークライフバランスがない気がする。

ムーギー:そうなんですよ。だから、「俺だからこそできる」という仕事があって、初めて市場から自分への需要が積み上がり、ある程度ラクに稼ぐことができるようになるわけです。

グローバルエリートからの講評

今回の対談で印象に残ったのは、城氏が“ブラック企業”および“労使の使い捨て”についてしきりに言及されたことだ。私は“ブラック企業”について見識が浅く、仕事を通じて成長を志向して参入障壁を築けという話をしていたため、ここでの議論に若干かみ合わない点がある。これは以下で説明するように、労働者と人財の間で二極化が進んでいて、我々がそれぞれ異なる労働市場を想定して議論していたためだろう。

いわゆるエリート層の獲得に奔走するグローバル企業は、自社の差別化要素となる“人財”を引き付け、引き留めるために、ますます社員の幸福や自己実現を重視するようになってきている。これは労働力の二極化にともない、企業側も“人財社員”と代替可能な“労働力”とみなす社員への対応に明確な差をつけるようになっているためであろう。

そもそも世間で語られる “ブラック企業”とは何か。本来はおそらく労働者を搾取し、その外面と反社会的な実態がかけ離れているような悪徳企業を指したのだろうが、今では労働者を単純に投入コストとみなす企業をも指すようになっている。

グローバル化が進めば、参入障壁が低くグローバル競争にさらされる性質の労働者への分配率は日本国内の規制では守れずグローバルなオープンマーケットで決まる。よって仮に田中さんなり佐藤さんが、差別化された付加価値を会社にもたらす“人財”ではなく、グローバル競争にさらされる単純労働しか提供できないのであれば、企業の労働者に対する責任からの“労使契約以外の要素の排除”は必然の流れといえよう。

厳しい言い方になるが、仮に田中さんや佐藤さんがゆでガエル経済に護られてきて、グローバル市場の観点からは “代替可能な労働者”であるならば、ワークライフバランスや自己実現を要求できないということだ。それを望む前に、企業の差別化要素となる人財になることをまず目指せ、というある種当たり前の話を再認識することが重要であろう。

ただし私は決して“労働者の使い捨て”に与しているわけではない。むしろ、“企業を使い捨てられる”ように、若い頃に全力で自己研鑽に努めてほしい、というのが趣旨である。タイトルは新米編集長の意向でやや刺激的に“若者にワークライフバランスなんていらない”となっているが、真意は「ワークライフバランスや自己実現を企業に求める交渉力が身に付くよう、独自の付加価値と生産性を高めてほしい」という暖かい応援メッセージだと受け止めていただければ幸いだ。

城繁幸氏との対談感動の最終章である次回コラムでは、今後のキャリア設計に向けた建設的提案と、グローバルな争奪戦となっている"人財"を獲得するために、日本企業がなすべきことを語らせていただきたい。

※ 対談の続きは2月8日(金)に掲載します

(撮影:今井康一)


03. 2013年2月08日 05:43:47 : mb0UXcp1ss
「雇用の喪失」の背景を解明する
雇用を奪ったのは業務の海外委託でも規制でもない

『機械との競争』第1章を公開 テクノロジーが雇用と経済に与える影響(下)

2013年2月8日(金)  エリック・ブリニョルフソン 、 アンドリュー・マカフィー

 マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン・スクールのデジタル・ビジネスセンターに所属するエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーの2人による、近未来の技術と人間に関するこの報告書、“Race Against The Machine”は、2011年に公にされると米国内で大きな話題を呼んだ。
 その内容を一言で言えば、「人間はコンピュータに仕事を奪われていく」ということ。リーマン・ショック後の世界不況からようやく立ち直りつつあった米国国内で大きな話題となり、その反響の大きさから、2012年にはペーパーバック版として出版された。
 今回公開するのは、この報告書の邦訳版『機械との競争』の第1章の後半部分である。
(『機械との競争』第1章の前半は、こちらからお読みください)

 この重大な変化をもたらしたのは、コンピュータである。「いずれは高度なソフトウェア技術によって、文明は労働者がほとんどいない世界に近づいていくだろう。今日、経済のあらゆる部門は技術による置き換えに直面しており、数百万単位の労働者が不要になっている」とリフキンは指摘し、これに対処することが「今世紀において最も急を要する社会的課題」だと主張する。

 雇用喪失説を唱えてきたのは、あのジョン・メイナード・ケインズ、そして経営理論の開祖ピーター・ドラッカー、ノーベル賞受賞経済学者ワシーリー・レオンチェフなどである。

 レオンチェフは1983年に「最も重要な生産要素としての人間の役割は減っていく運命にある。ちょうど農業において、トラクターの導入によって馬の役割が最初は減り、次いで完全に排除されたように」と指摘した。

 ソフトウェア開発会社の経営者であるマーティン・フォードも、2009年の著書『トンネルの先の灯り』(未邦訳)の中で、「未来のいつかの時点で、それは数年先かもしれないし数十年先かもしれないが、ともかくいつかの時点で、“平均的な”人間の大多数が従事している仕事を機械がこなせるようになるだろう。そしてこの人たちは、新たな職を見つけることはできまい」と書いている。

 複雑系理論で名高いブライアン・アーサーも、まだ目には見えないが広大な裾野を持つ「第二の経済」が、デジタル・オートメーションの形ですでに存在していると述べた。

 雇用喪失説は、直感的に頷けるところがある。たとえば窓口係から手渡されるのではなくATMから現金を引き出すとき、あるいは空港でセルフサービスのチェックイン機を利用するとき、私たちはテクノロジーが人手を駆逐したのを目の当たりにする。

 だがアメリカの失業率は1980年代、90年代、さらに21世紀最初の7年間すべてを通じて低かったため、雇用喪失説はいっこうに信用されず、今日の「雇用なき景気回復」論議でもこの説は主流にはなっていない。

 たとえば連邦準備制度理事会(FRB)が2010年に発表した報告書「長期的な失業率上昇の潜在的な原因と影響」では、コンピュータ、ハードウェア、ソフトウェアといった言葉は本文中に登場しない。

 国際通貨基金(IMF)が2011年に発表した調査報告書「失業の循環的および構造的原因に関する新たなデータ」や「大不況はアメリカの構造的失業を拡大させたか」も、やはりテクノロジーには言及していない。

 テクノロジーにくわしいジャーナリストのファハド・マンジョーは、オンライン・マガジン「スレート」で次のように現状を総括している。「ほとんどの経済学者はこうした懸念を真剣に取り上げていない。コンピュータが人間の労働市場を大きく混乱させ、ただでさえ弱体化しているグローバル経済を一段と脆弱にしかねないという見方は、いまのところ傍流にとどまっている」

テクノロジーに注目せよ

 私たちは、この見方を主流にすべき時が来たと考えている。テクノロジーが人間のスキルや賃金や雇用に与えるインパクトにもっと注意を払わなければならない。大不況からの回復に時間がかかることはもちろん認めるし、現在の需要の低迷が今日の失業の大きな原因であることも理解している。

 だが循環的な需要の低迷だけが原因とは考えない。停滞説は、深刻な長期要因が働いているという点では正しい。大不況はその存在を一段と顕著にしたが、停滞そのものはその前から続いていた。

 停滞説は、世帯所得の中央値などアメリカ経済の健全性を示す重要な指標を取り上げ、しばらく前からその堅調な伸びが止まっていると指摘した。この指摘自体は正しい。だがその原因には同意できない。

 彼らは技術革新のペースがスローダウンしたからだと主張するが、私たちは、ペースが速くなりすぎて人間が取り残されているのだと考える。言い換えれば、多くの労働者がテクノロジーとの競争に負けているのである。

 いや、負けているのは労働者だけではない。技術の進歩、とりわけコンピュータ、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの進化はあまりに速く、あまりに予想を超えているため、今日の企業も、政府機関も政策も、そして人々の考え方や価値観も、もはやついていけなくなっている。この視点から見れば、グローバリゼーションの加速は失業問題の別の要因ではなく、テクノロジーの高度化と浸透がもたらす結果の一つに過ぎない。

 このように私たちは、コンピュータリゼーションが根深い変化をもたらすとする点で、雇用喪失説に与する。だが私たちは喪失論者のように悲観的ではなく、労働者がみな陳腐化するとは思っていない。

 むしろ逆に、途方もなく強力で高度なデジタル技術の時代が到来しても、人間のある種のスキルはこれまで以上に価値が高まると信じている。ただしそれ以外のスキルは価値がなくなるだろう。価値の乏しくなったスキルしか持ち合わせていない人々は、雇用主にアピールできるものがなくなってきたことに気づき始めている。この人たちはテクノロジーとの競争に負けつつあり、それが雇用統計に反映されているのである。

 私たちがこの本を書いたのは、今日の経済を動かす重要な原動力の一つがデジタル技術だと考えるからである。この技術は仕事のあり方を変えるとともに、生産性と成長を牽引する。にもかかわらず、デジタル技術が雇用におよぼす影響は十分に理解されていないし、どうみても十分に評価されていない。

 今日のアメリカで失業問題が話題になるときには、たいていの人が景気循環、アウトソーシング(業務の社外委託)やオフショアリング(業務の海外委託)、税制と規制を槍玉に挙げ、よい知恵はないか、何か新しい景気刺激策はないか、と論じる。もちろんこうした要素が重要であることは言を俟たない。そもそも経済とは、複雑で多面的なものである。

 それにしても、テクノロジーの加速的進化がほとんど話題にも上らないのは、どうしたことか。進歩が加速すると大勢の人々の賃金や雇用が脅かされるとは、たしかに逆説的に見えるかもしれない。だが、現に起きているのはこれである。

 以下で見ていくように、従来人間にしかできないと思われていた多くのことをコンピュータがこなせるようになっている。コンピュータが人間の領分をこのような速度と規模で浸食しはじめたのは、比較的最近のことだが、その経済的な影響は計り知れない。

 この現象で最も重要な点は、おそらく、こうだ。デジタル技術の進歩は経済全体のパイを大きくするだろう。少なくとも大きくする可能性はある。だが一部の人々、いや大勢の人々はそのパイにありつくことはできず、困窮することになる。

 しかもコンピュータ(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク)は、この先さらにパワフルに、さらに高度になる一方である。そして仕事、スキル、経済全体に、これまで以上に大きなインパクトを与えるようになるだろう。

 いま私たちが直面している問題の根本原因は、大不況でも大停滞でもない。人々が「大再構築(Great Restructuring)」の産みの苦しみに投げ込まれているということである。テクノロジーは先行し、人間のスキルや組織構造の多くは後れをとっている。したがってこの現象を理解して影響を検討し、労働者が技術に対抗するのではなく、技術とともにこれからの競争を乗り切っていけるよう、戦略を練らなければならない。これは、差し迫った課題である。

デジタル・オプティミストとしての結論とは

 本書ではこの課題を以下の順序で論じていく。

 第2章では、コンピュータがなぜ労働者に先んじたのか、その原因を探るとともに、それに対して打つ手があるかどうかを考える。デジタル技術の最近の展開がいかに驚くべきものかを示す例を紹介し、コンピュータにできること・できないことに関する従来の考えを、テクノロジーがあざやかに覆してみせたことを説明する。現在直面している進歩は、将来には一段と加速するだろう。そうした進歩の原動力について論じると同時に、その限界も指摘する。

 第3章では、技術の急速な進歩が経済におよぼす影響を論じるとともに、勝ち組と負け組の経済的格差が拡大していくことに警鐘を鳴らす。技術の進歩は社会全体としてみれば恩恵をもたらす一方で、一部の人々を置き去りにしかねない。ここでは、高度なスキルを持つ人と持たない人、スーパースターとふつうの人、資本家と労働者という三通りの格差拡大に注目し、それぞれについて具体例を挙げて説明する。

 第2章と第3章で技術の動向とその経済的影響を明らかにしたのを受けて、第4章ではその対策と提言を述べる。失業問題を始め、現在進行中のテクノロジーとの競争がもたらした好ましくない影響に対処するために、私たちには何ができるのか、また何をすべきなのか。コンピュータが今後も引き続き進化することを考えれば、この競争に勝つことはまず不可能であろう。だがコンピュータを敵に回すのではなく味方につけ、コンピュータとともに競争していく術を学ぶことは可能である。これを実践する方法として、組織革新の推進と人的資本の強化について論じる。

 第5章で、私たちは楽観的な結論に到達する。高止まりする失業率といっこうに上がらない賃金に悩まされ、経済成長が停滞している時期に、それも雇用と経済について書いた本の結論としては、いささか奇妙に見えるかもしれない。

 だが本書は基本的にはデジタル技術を取り上げた本である。現在と未来にコンピュータとネットワークがもたらすインパクトを考えたら、やはり楽観的になろうというものだ。これらのツールは、世界を、そして私たちの生活をよりよくしてきたし、これからもそれは続くだろう。私たちは根っからのデジタル・オプティミストである。そして読者のみなさんにもそうなってほしいと願っている。

翻訳:村井 章子(むらい・あきこ)

 翻訳家。上智大学文学部卒業。主な訳書にロゴフ『国家は破綻する――金融危機の800年』、フリードマン『資本主義と自由』、エセル『怒れ!憤れ!』、ミル『ミル自伝』、カーネマン『ファスト&スロー』、コリアー『収奪の星』ほか。

人間は機械との競争に負けたのか?


『機械との競争』
 本欄で紹介したように、書籍『機械との競争』では章を追って、テクノロジーの進歩と経済に及ぼす影響、経済的格差の具体例、そして機械を味方につけるための組織革新とはどんなものかについて論じています。
 機械との競争に敗れる人間、という悲観的な結論になりそうですが、著者も述べているように結論はとても楽観的。第4章では19項目の具体的解決策も述べられています。解説は法政大学大学院の小峰隆夫教授。イギリスのラッダイト運動始め、昔から指摘されていた人間と機械との競争について理解が深まるとともに、日本もこの大きな波に飲み込まれていることに気づかされます。


アンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)

MITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センター主任リサーチサイエンティスト。著書に“Enterprize 2:0"。

エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)

MITスローン・スクール経済学教授。デジタル・ビジネス・センターのディレクター。スローン・マネジメント・レビュー誌編集長。著書に『インタンジブル・アセット』(ダイヤモンド社)、『デジタル・エコノミーを制する知恵』(東洋経済新報社、共著)など。


04. 2013年2月18日 15:55:02 : xEBOc6ttRg
“バブル収入”今は昔の弁護士業界 最難関資格の名が泣いている
2013.2.10 17:00

 5〜6年前に大量発生した消費者金融の過払い金返還訴訟。その“バブル収入”も今は昔となった弁護士業界では、特に都市部に拠点を置く面々の窮乏ぶりが顕在化している。

 仕事が増えぬ一方で、司法改革で弁護士が急増したせいとされるが、大手事務所でも給与を遅配したり、賃料の支払いに難渋しているとも囁かれ、個々の弁護士も、事務所に居候する“イソ弁”どころか、籍だけ置く“ノキ弁(軒先)”、寄り合いでアパートを借りる“アパ弁”、ケータイ1つで徘徊するケータイ弁等々、最難関資格の名が泣くような呼び名が拡散している。

 「そんな奴は見たことないぞ」と首を傾げる同業者もいるが、実際にジリ貧の一端を示すデータはある。

 国税庁の統計によれば、2009年の東京を拠点とする弁護士1万5894人のうち、年間所得70万円以下が実にその3割に当たる4610人もいるのだ。

 「その2年前に比べて倍増。地方と比べても突出しています。東京の弁護士は、異様なくらい食えてない」

 ある若手弁護士はそう嘆く。無論、純粋な売り上げではなく経費を差し引いた申告所得だから、経費を水増ししている可能性も十分にある。が、節税に長けた弁護士がいきなり倍増したとは考えにくい。

 「月10万円のワンルームにパソコン、ケータイ。ライフコストが最低20万円として、1件7万〜8万円の国選弁護人を月に2〜3件こなせばギリギリ回せる。

 刑事事件は打ち合わせ場所が警察か拘置所だから事務所は不要(苦笑)」(同)。割に合わないと敬遠されてきた国選も、今は「朝9時に弁護士会館で公開され、そこに弁護士が殺到して奪い合う状態」(都内の中堅弁護士)という。

 東京で仕事をする弁護士の場合、日本弁護士連合会(日弁連)を筆頭とした2次団体・3次団体にそれぞれ月数万円の会費を支払わねばならない。この“上納金”が払えずに弁護士登録すらできない者も多い。登録しなければ弁護士の業務はできないから、まさに八方塞がりだ。

 「よくニュースになるのが、依頼客からの預かり金の使い込み。バレたら即死(除名処分)です。事務所の経費に困っているからか、年配の先生に多い」(中堅)

 業界全体がそんなジリ貧状態だから、ルーキーもつらい。司法試験合格者がここ数年、毎年約2000人。弁護士志望者1600〜1700人中、400人以上が“就職浪人”だという。

 「日弁連は、登録した者の動向しか把握できない。登録していない連中が何をしているのかは不明」(同)

 弁護士業界では、車内広告やCMを出すにはまだまだ抵抗がある。ネット広告で取れる客は、「多重債務、離婚相談、交通事故の3つだけ」(同)。口コミやリピーター以外の客をつかむ場といえば、弁護士が主催する一般人相手の「法律相談」だが、今は客足が激減している。

 「弁護士会のすぐ近くで、法テラス(日本司法支援センター)が無料で法律相談をやっている。そりゃ、タダのほうに流れますよね」(若手)

 法テラスは、国が運営する相談窓口。一般人には有り難いが、相談相手である弁護士の報酬は7万〜10万円と一律に低く抑えられている。

 「でも、仕方なく仕事を貰っていますよ。法務省の管轄である法テラスの“犬”と化してます」(同)

 貧すれば何とやら、在野精神どころではない現状をどう打開する?(西川修一=文 PANA=写真)

 ※すべて雑誌掲載当時

急増中!認知症の金持ちを狙う暴力団・悪徳弁護士

「儲かる時代はとうに終わった」赤貧・歯科医の告白

転職・独立希望者必見! 第二の人生でお金が取れる資格


 

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インド人の頭脳は、家庭教育で作られる!
アメリカのNASA科学者や博士号の4割を占める
2013年02月17日(Sun) パッハー 眞理
世界最高レベルの理系大学


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インド工科大学デリー校。世界最高の研究水準と評されている。
インドと聞いて、みなさんは何を想像するだろうか? かつては「カレー」や「神聖な牛が道を闊歩している姿」「ガンジス川での沐浴」や「ヨガ」あたりが代表格だったかもしれないが、近年では「ITエンジニア大国」、そして話題の「インド式算数」を挙げる人も多いはずだ。

インド政府人材開発省が2008年に発表したところによると、アメリカにおいては航空宇宙局(NASA)の科学者の中の36%がインド人だ。また、博士号保持者の38%はインド人で占められ、米マイクロソフト社の職員のうち34%がインド人。外科医の10%がインド人だし、一方、英国では医師の40%以上がインド出身だ。これらのデータから見ると、インド人は知的で、特に理系の分野では非常に優秀であることがわかる。

この国で最難関といわれるインド工科大学(ITT=15の国立高等教育機関の総称)には、大学で講義が行われない試験休み期間になると、世界中の有名企業がリクルーティングにやってくる。たとえばヤフー、インフォシーク、シティバンク、シーメンス、IBM、メリルリンチなど160社が教室を借りて、各社2日間で企業説明会から入社試験・面接まで行い、一気に採用まで決めてしまうのだ。グズグズしていたら優秀な人材を他社に横取りされてしまうので、決定権のある役員も欧米の本社からやってきて、即決。採用された学生たちの多くは欧米に渡るが、初年度から年収1千万円を約束される人も少なくない。

PISAの結果はブービー賞

そんなIT・数学・理系大国のインドにショッキングな事件が起きたのは2009年のことだ。

各国の学力を測るテストとして有名なものに、00年から3年に1度行われているPISA(Programme for International Student Assessment=OECD生徒の学習到達度調査)がある。そこで目を覆うような結果が出たのだ。

PISAは日本を含むOECD(経済協力開発機構)加盟国の多くが参加し、15歳の生徒を対象に読解力、数学的リテラシー(知識と能力)、科学的リテラシーなどを比較調査するもの。09年のテストに正式に参加したのは65の国と地域だが、インドの大手新聞「ザ・タイムズ・オブ・インディア」などによると、2つの州(タミル・ナードゥ州とヒマチャル・プラデーシュ州)は他のいくつかの国や地域とともに、試験的に参加したという。

さて、インドの2つの州の結果だが「読解力」では74の国と地域の中で、72位と73位。「科学的リテラシー」では72位と最下位の74位。頼みの綱の「数学的リテラシー」でも72位と73位とまさに惨敗。このショッキングな結果を受けて、インドは12年のPISAへの参加を取りやめた。

インド政府はこの原因について、「出された問題がインドの生徒に社会的・文化的になじみのないものだったから」とのコメントも出しているが、果たしてそれだけの理由だろうか。「読解力」という分野なら社会的・文化的背景の違いにより大きくスコアを落とすことも考えられるが、「数学的リテラシー」に関しては、ただの言い訳にしか感じられない。

インド式算数はどこへいった?

インドの教育現場に、何が起こっているのか。インド人が特に理系の分野で優秀であることの理由としてよく挙げられるのが、小学校時代から徹底的にたたきこまれるという「インド式算数」だが、なぜPISAの「数学的リテラシー」では惨敗したのか。


カラフルなチップで、6ケタのかけ算の復習中。指導するアンジェリー先生。
その謎を調べるべく、首都デリーから車で1時間半ほどのところにある、ウッタル・プラデーシュ州ノイダにある私立の小学校の授業を取材してみた。

まずは7歳児の小学校2年生の教室。1クラス15人の少人数であるのみならず、何と算数の先生が2人もいる。全員に目が行き届き、落ちこぼれが出にくいシステムを取っている。

授業で使っていたのは、プラスチック製のカラフルな四角いチップに数字が書かれている教材。これはゲーム感覚で楽しくかけ算を勉強するためのものだが、2人一組で早く計算を終えたチームの勝ちという競争も取り入れている。だから子供たちも真剣なまなざし。楽しくモチベーションを高める工夫を凝らしているのだ。

えーと、えーと、と一生懸命に宙に指で数字を書いてはチップを慎重に置く姿は、ほほえましい。正解したチームの子供たちには、ニコニコ笑顔の先生がハイタッチ。「思い切り褒めてやる」ということも大切にしている。「重要な教科である算数を楽しみながら興味を持って学べるように、教材にも教え方にも工夫をしているんです」とは、このクラスの担任のアンジェリー先生の弁。

確かに楽しそうではある。ただ……、日本でよく知られている「インド式算数」とは、どうも様子が違う。「20×20まで暗記する」とか「99×99まで2ケタのかけ算はすべて瞬時にできる」などといわれる、ある意味ですさまじい「インド式算数」はどこへいったのか?

昔は暗記するまで夕食抜き

「ああ、ヴェーダ数学ですね。じつは今は取り入れていない学校も多いんですよ」とアンジェリー先生は意外なことをおっしゃる。

「ヴェーダ」とは、紀元前6世紀ごろにまでさかのぼるという、古代インドの祭礼儀式が記された教典。その「ヴェーダ教典」を解読して16巻にまとめたのが、数学者でもあったティールタジー(1884−1960)だが、すべて紛失してしまい、晩年にたった1冊だけ記したのが「ヴェーダ数学」という名前の本だ。

シンプルかつ合理的な計算方法を紹介したこの「ヴェーダ数学」は、間もなく実際の教育現場でも取り入れられるようになった。これが「インド式算数」として日本でも紹介され、一躍注目の的となったわけだ。

ところが今から10年以上前、インドの算数教育界にも「グローバル化」の波が押し寄せた。それはもしかしたら「『2000年問題』の解決に大きく貢献した」とインド人のITエンジニアたちがもてはやされたことと無関係ではないのかもしれない。将来、ITエンジニアとして子供たちが世界に羽ばたくためには、インド独自の方法ではダメだ、と。

その結果、欧米や日本で行われているのと同じ「国際的な」つまりは「グローバルスタンダードの計算方法」が取り入れられて、「インド式算数(ヴェーダ数字)」の授業は正規のカリキュラムから外されてしまったのだ。

もちろん10年以上前に小学生だったアンジェリー先生は、10歳のときにはすでに20×20まで暗記していたという。これはアンジェリー先生が特別だったわけではなく、「クラス全員が暗記していた」とのことだ。「毎日の算数の授業でもノートも教科書も机の上に出さず、ただただみんなで暗唱していましたね」

ただし、九九の81個と違い、20×20の計算は400個。授業中だけで覚えきれるものではない。


週末には勉強好きの生徒が、先生の自宅に集まって自主学習。
「家では両親から、今日はここまで暗記しなさい、と目標を設定されるわけです。できれば夕食が食べられますが、できなければ夕飯抜きと言われてね。食べ盛りの子供にとって空腹は最大の敵ですから、みんな必死で覚えましたよ。ええ、みんなです。できたら食事あり、ダメなら食事抜きというルールは、どこの家庭でもありました」

三つ子の魂百までというが、子供のころにインド式算数をたたきこまれたアンジェリー先生の計算は確かに早くて正確だ。「基本の20×20までさえ暗記しておけば、あとは応用できますから」と、たとえば45×45などの暗算はものの2、3秒で解く。やはり恐るべきインド式算数。だが体罰や大声などで威圧する教育ではなく、「夕食という幸せにありつくために暗記する」という、ある意味での前向きさが感じられる。

インド式算数を守る教師たち

正規のカリキュラムから外されてしまったインド式算数だが、今でも教えている教師はいる。アンジェリー先生もその一人だ。

「私自身、20×20のかけ算の暗記をし、暗算を繰り返すことで、きちんと『数学脳』が磨かれ、ハイスクールや大学の数学の授業でも苦労はしませんでした。だから、自分の生徒たちにも教えるようにしているんです。彼らの将来のために」

一応の目安は6歳(1年生)までに、1から4の段のかけ算を暗記させる。8歳までに9の段まで。そして理想的には20×20を5年生の10歳までに覚えさせたいと言う。

「ただどこまで徹底できるかはわかりません。昔と違って、夕飯抜きとまではいかないので……。少なくとも10歳までには12×12までは覚えさせたいのですが……」

時代の流れからか、アンジェリー先生のインド式算数の教え方も、夕食抜きというスパルタ式からゲーム感覚を取り入れ、より現代っ子に受け入れられやすいソフトなものに変わっているようだ。

こうした熱心なインド式算数の信奉者である先生もいれば、あくまでも正規カリキュラムにのっとった「ゆとり教育」を行う先生もいる。この教育格差が、PISAの散々な結果や、インド工科大学に進むエリート候補生とその他の学生の差を生み出す原因なのかもしれない。

クリケット観戦も暗算訓練の場

インド式算数が学校の正規カリキュラムから消えたことを憂慮して、家庭でもっと暗算に親しませようとする人たちも多い。

デリー近郊のグルガオン市に住むクマール家。家族みんなで車に乗っているとき、渋滞につかまった。車の中で、ただイライラしてもつまらない。そこでお父さんが、「四則演算を使って、前の車のナンバープレートで10をつくってみようよ」と声をかける。

そして親子そろって必死になって取りかかる。その姿は、電車の切符を買えば、「4ケタの通し番号の数字を加減乗除して10をつくる」といった遊びをしていた我々の子供のころの姿によく似ている。

夕食のカレー料理のときには家族みんなで、チャパティ(丸い薄焼きのパンで家庭料理に欠かせない)を使って、分数の時間に早変わりだ。お母さんが問題を出す。

「この1枚のチャパティを3つに分けてみましょう。さあ、そのことをなんて言うのかな?」

8歳のお兄さんにまじって6歳の妹も真剣そのもの。

「3分の1!」

「そうね。では、もう1枚のチャパティを4人用に切って分けてくれる? それをさらに半分に切ったらどのくらいの大きさになる?」

興味のあるものと計算を組み合わせたほうが、やる気が湧く。デリーから西北に450km、パンジャーブ州に住むキール家のシャウリャー君(8歳)はクリケットの大ファン。

そこでご両親は一緒にテレビ中継の試合を見ながら、「AチームはBチームの何倍得点をしている?」とか、「あと何点取ったら追いつくかな?」と暗算させるようにしている。ちなみにクリケットの試合では、得点は通常3ケタになる。

ボードゲームも計算、計算、計算

家庭での計算に関する会話が「ゲーム感覚」に満ちているだけでなく、家族で遊ぶ実際の「ゲーム」でも算数に関するものが人気だ。たとえば「スクラブル算数ゲーム」。「スクラブル」とは英語圏で非常に人気のあるボードゲームで、ボード上に置かれたアルファベットの駒に、各プレーヤーが順繰りに手持ちの駒をくっつけて単語をつくり、各自の得点を競う。長い単語ができたり、英単語ではあまり使用されないアルファベット(たとえば「Q」や「Z」)の駒を用いてつくれたりすると得点が高くなる仕組み。縦と横の両方向に並べられるので、ゲームが進むとちょうど完成したクロスワードパズルのように見える。

「スクラブル算数ゲーム」はこの数式バージョン。「0」から「9」までの数字と「+」「−」「×」「÷」の四則演算の駒を用いて、単語の代わりに縦方向か横方向に数式をつくっていくのだ。これも英単語版の「スクラブル」と同様、長く複雑な数式をつくったほうが高得点となる。手持ちの駒だけでつくればいいわけではなく、必ずボード上にある駒と組み合わせなければいけないし、他のプレーヤーがつくった数式によって置ける駒も変わってくる。刻一刻と変わる状況に合わせて、常に暗算し続ける。これが非常に人気で、どの玩具店でも品切れだ。

もう一つの人気ボードゲームは「マス・マジック」。ボード上に置かれたカードに、手持ちのカードをつなぎ合わせる。1枚のカードは辺ごとに最大4色に分かれていて、同じ色同士しかつなぎ合わせることはできない。黄色同士は足し算、青は引き算、緑はかけ算、赤は割り算。最低1辺は合わせなければならないが、2辺、3辺と色が合えばその合計が点数として加算される(色が合わない辺はカードを置けない)。各プレーヤーが交互にカードを置き、制限時間内で最も多くの点数を得た人が勝ちだ。どのカードをどこに置くか、暗算を何度も何度も繰り返すゲームだ。

ゆとり教育の弊害により、試験的に参加したPISAでは散々な結果だったインド。だが、自主的にインド式算数を教え続ける先生たちがいて、家庭では楽しい暗算トレーニングが日常的に行われている。こういった強固な土台があるかぎり、この国は今後も世界のIT業界を席巻し続けていくはずだ。


「算数は好き?」と聞くと「イエース!」。


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