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経済危機に続き、通貨戦争が起こる(DW English)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/263.html
投稿者 無段活用 日時 2013 年 2 月 17 日 06:17:23: 2iUYbJALJ4TtU
 

(Currency war follows financial crisis : DW English)
http://www.dw.de/currency-war-follows-financial-crisis/a-16580111


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為替

経済危機に続き、通貨戦争が起こる



2011年にブラジルの財務相が通貨戦争について最初に言及したが、いまや戦線は膠着しつつある。どの国が最も早く通貨を引き下げられるかで、日本がこのレースの新たなラウンドを始めたためだ。

「いまのところ、何の懸念もなく日本を見ることはできないと、私は言いたい」と、アンゲラ・メルケル連邦首相はダヴォスの世界経済フォーラムで語った。

連邦首相が懸念しているのは、国内のデフレを終わらせる手法として、円を市場に溢れさせようと日本が意図していることだ。印刷機の回転を上げることで、日本銀行は円を切り下げ、日本の輸出を促進している。


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政府債務が円とドルを押し下げている


通貨政策について緩和的な方針を打ち出している国は日本だけではない。米連銀はドル紙幣の束を新たに印刷することに対して、新しい名前を見つけた。量的緩和だ。金融・経済危機が始まってから、この米国の中央銀行は金利をゼロ近くまで落とし、数兆ドル分の国債を買い上げた。

「危険なことは、この危機を切り抜けようとして、私たち皆が通貨政策を緩めることだ」と、ケルン大学経済政策研究所のアーヒム・ワムバッハ所長はDWに語った。


皆が苦しむ

一般に、ある通貨が下落すると他の通貨は上昇する。これはつまり、米連銀が新たに印刷したお金のために、ブラジルは苦しんできたということだ。ブラジルのレアルがこの2年間で50%価値を上げ、ブラジルの財務相は通貨戦争が進行中だと言うに至った。韓国は日銀の決定に悪影響を受けたと認識している。このアジアの両国は、自動車と電気製品を全世界に売っているが、韓国通貨ウォンが円に対して3分の1価値を上げると、韓国の多くの輸出企業は輸出が落ち込んだ。

世界第2位の経済大国・中国は、この通貨戦争の犯人でもあり、被害者でもある。中国人民銀行は、元の価値が上がらないようにするために大量の米国債を購入し、中国は輸出が急増した。いま、中国はドルの価値が溶解しつつあるのを目の当たりにしている。先進国の消費が低下に加え、いまだに高い元もまた、中国の輸出の問題を生んでいる。


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欧州中銀は多額のお金を市場に流している


ドルの価値が下がり元の価値が上がる一方で、ユーロは天井知らずだ。欧州中銀は主要金利を歴史的な低い水準に維持し、問題と格闘する国々の国債を買い取り、融資の門戸を開いているにも係わらず、ユーロ高は続いている。

コメルツバンクのアナリストであるマルコ・ワーグナー氏が説明する。「中央銀行が互いにどう行動するかを見比べる必要がある」と、同氏は語る。「欧州中銀がどれだけのお金を印刷しており、米連銀がどれだけのお金を印刷しているかだ。」

言い換えれば、この米国の中央銀行は欧州中銀に比べてかなり強引なアプローチをとっている。マリオ・ドラギ欧州中銀総裁が、共通通貨は存在し続けると約束して以降、ユーロの信用は回復した。欧州中銀はインフレを防止するために、市場に付加していた流動性を引き揚げることを計画している。この動きを、メルケル氏は讃えた。

「皆が欧州中銀のように行動すれば、世界はこれほど多くの問題を抱えずに済んだろう」と、同氏は語った。


強いユーロと共に生きることを学ぶ

当分の間、南欧各国は強いユーロに慣れねばならないだろう。外国に製品を売って収入を得ることがどうしても必要な時なのに、ユーロ高のために、その国の製品はより高価となり、輸出がより難しくなる。コメルツバンクのワーグナー氏にすれば、問題と格闘する国々のその次のステップは、為替レートと無関係のものだ。

「私たちの観点では、こうした国々は国内で減価を行う必要がある」と、同氏は語った。「つまり、こうした国々では構造改革を行わねばならない。」

痛みを伴う改革が既に実施されており、欧州中銀がこれの進捗に満足しているかを、いま、こうした国々は見守らねばならない。長期的には、危機に対する欧州のアプローチが正しいと証明され、一方、通貨切り下げという日本の道は惨事に至るかも知れない。日本の政府債務は既にGDPの230%を超えている。もし、自国のだらけた経済を日本政府が借金をさらに重ねることにより復活させようとすれば、債務のスパイラルが発生するだろうと、ワーグナー氏は語った。それはつまり、「債務の水準が上昇を続け、ある時点で民間の投資家が日本国債に背を向けるだろう。」


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ヒュンダイなどの韓国企業は、日本の政策に苦しんでいる


ワーグナー氏の話では、日本は2010年代のどこかで臨界点に達すると同氏は予測しており、米国の通貨政策変更も効果が表れていないと、同氏は付け加えた。米国経済の回復は緩慢で、失業率は8%と高い状態が続いている。

それでも、ケルン大学のワムバッハ氏は世界的な危機を克服するための世界的な協力を呼びかけており、「そうしなければ、最終的には誰も勝利できないような競争に、私たち全てが放り込まれるという、不完全な解決策しか残らない。」

このような競争は、敗者が、拡張的財政政策をとることで次の金融危機の種を蒔くか、あるいは、単に保護貿易主義の推進に走るか、という結果にしかならない。

ブラジル・韓国の両国は、国内産業に補助金を支給し、輸入関税を引き上げる政策をとった。同様の政策は十分なほど存在し、通貨戦争を貿易戦争に変えてしまうかも知れない。


発表 2012年2月7日
執筆 Zhang Danhong / sms
編集 Michael Lawton



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(投稿者より)

ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。

少し前の記事ですが、問題の大局を捉えているので、周回遅れにはならないのかな、と思いました。この記事の見方が正しいかどうか、私には判断できないのですが、日本が外からどう見えるか(これはドイツの記事ですが)を知っておくのも、悪くはないと思います。

 

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コメント
 
01. Panbet 2013年2月18日 12:33:16 : 4eawpyhzNkpGg : 1FeE6aK4Vw

   いや、とてもタイムリーです。貴重な情報をありがとうございました。


02. 2013年2月18日 14:21:28 : IOzibbQO0w
http://ikedanobuo.livedoor.biz/ 

2013年02月15日 12:06 経済
「通貨安競争」の幻想
G7の共同声明が日本政府の円安誘導を容認したとか牽制したとか話題になっているが、そもそも政府が為替を操作できるのだろうか。

マネタリーベース(緑)と為替レート(赤)の変化率

上の図は日銀のマネタリーベースとドル/円レートの変化率を比べたものだが、ほとんど逆相関になっている。リフレ派は「2006年に日銀が量的緩和をやめたからデフレから脱却できなかった」というが、2006〜7年に1ドル=120円以上になった円安は、日銀が量的緩和をやめたあと起こっているのだ。

最近の円高も、日銀が2011年から「包括緩和」をしているにもかかわらず起こっている。ここからいえることは、マネタリーベースと為替レートは無関係だということである。これは理論的にも当然だ。ゼロ金利ではマネタリーベースを増やしてもマネーストックが増えず、インフレにならないから通貨価値も変わらないのである。

ではここ数ヶ月の円安は何で説明できるのだろうか。それは多くの為替トレーダーのいうように、相場観の変化である。特にユーロの崩壊を恐れてリスクオフになっていた資金が、2012年なかばからヨーロッパに戻り始めた。そこに安倍総裁の口先介入が加わって、円の先安感が出たのだ。この間、マネタリーベースはほとんど増えていない。

では相場観は何で決まるのだろうか。トレーダーの気分である。合理的な理由はない。相場が合理的に動いていたら、経済学者はみんな大富豪になれるだろう。「金融工学」なるものがいかに当てにならないかは、2008年にわかったはずだ。要するに、安倍首相の発言を材料にして相場がはやしているだけなのだ。

日本政府の首脳の発言が円安を誘発しているのは事実だが、彼らが何をいおうとマーケットが材料にしなければ相場は動かない。かつて日本政府は「円高は行き過ぎだ」と言い続けたが、マーケットは相手にしなかった。今は相場の流れに乗っているから材料になるのだ。

したがって日本政府が「円安誘導はしていない」というのは嘘だが、海外の中銀などが「日本は意図的な円安政策をとっている」というのも嘘である。よくも悪くも、日本政府にそんな能力はない。彼らが思いつきでいっている発言が、たまたま相場の流れに乗っているだけだ。

このままだと1ドル=100円を抜くのは時間の問題だと思うが、そうなってから安倍首相が「円安は行き過ぎだ」と発言しても、マーケットは相手にしないだろう。1日5兆ドルが動く外為市場で、数百億ドルしか介入できない日本政府のできることは、相場の話題をつくることぐらいしかないのだ。

追記:正確にいうと、ドル/円レートに対応するのは両国のマネタリーベース比率だが、そのソロスチャートを見ても相関はない。

 

2013年02月16日 08:29 経済
日経平均の根拠なき熱狂
ゆうべのアゴラチャンネルでは、小幡績氏と一緒にアベノミクスのゆくえを考えた(アーカイブで見られる)。彼も指摘していたが、最近の日経平均の動きは為替に比べても上ぶれしており、これは日本経済の実態を反映しないバブルである。

今まで日本株は出遅れていたので水準訂正するのは理解できるが、日経平均はPERでみると25倍を超えており、NYダウ(12倍)やFT100(11倍)の2倍以上である。収益が今後、劇的に改善するとすれば株高も正当化できるが、円安のメリットは日経225に大きく組み入れられているグローバル企業に片寄っており、日本経済全体の指標にはならない。

安倍首相の頭には、彼が前に首相をやっていたころの円安による好景気のイメージがあるものと思われるが、そのころと今の日本には大きな違いがある。日本は今や貿易赤字国なのだ。昨年の貿易収支は5.8兆円の赤字で、円建て輸出額よりドル建て輸入額のほうが多い。したがってドル高によって貿易赤字は増えるのだ。

しかし受益者が財界主流の大企業だから、円安の被害者の声はあまり出てこない。最大の被害者は消費者である。ここ3ヶ月のドル高によって化石燃料の輸入額は2割ぐらい上がり、4兆円以上が吹っ飛んだ。この影響は経営の悪化している電力会社だけではなく、すべての製造業に薄く広くきいてくる。2008年の前半にCPI上昇率が年率1%を上回ったのは原油高が原因だが、そういう輸入インフレが起こる可能性がある。

労働者も被害者だ。浜田宏一氏が正直にいうように、インフレは労働者の実質賃金を下げる所得政策の一種であり、彼らから企業に所得移転する政策だからである。安倍首相はそれも知らないで企業に賃上げを要求しているが、経営者が応じるはずがない。そもそも日本の名目賃金は下がって失業率は低いのだから、さらにインフレで賃下げする必要なんかないのだ。

安倍氏や浜田氏の頭には日本が貿易立国で外貨を稼ぎ、高度成長で毎年ベースアップが行なわれた時期の残像がまだあるようだが、もう日本経済は変わってしまったのだ。これから今までの蓄えを食いつぶして生きてゆく日本人が円安を喜んでいるのは、年金生活者が年金の目減りを喜んでいるような滑稽な光景である。

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円安・株高で新たな「バブルの物語」は生まれるか
2013年02月05日(火)16時14分
 日経平均株価は2年9ヶ月ぶりに1万1000円を突破し、為替は1ドル=92円台に乗って、市場は久しぶりに活気を取り戻している。この円安は「アベノミクス」のおかげだと思っている人が多いようだが、次の図のようにユーロ高が始まったのは昨年9月、ドル高が始まったのは10月である。
日経平均株価(赤)とドル/円(緑)とユーロ/円(青)Yahoo!ファイナンス調べ

 これはECB(欧州中央銀行)が8月に南欧諸国の財政支援を約束したことがきっかけで、リスクを避けて円に逃避していた「リスクオフ」の資金が欧米に戻ったためといわれる。自民党の安倍総裁が激しく日銀にインフレを迫り始めたのは11月16日の衆議院解散のあとだから、むしろこのユーロ高・ドル高の波に乗ったものだ。
 株価も世界的にみると、1月に入ってアメリカのダウ工業平均は7.5%と上がって史上最高値に迫っている。日経平均の7.2%はそれほど突出した上昇率ではなく、今までの出遅れを取り戻したものと見たほうがいい。東証上場企業のPBR(株価純資産倍率)は平均1.2倍で、これがアメリカの2.4倍に近づくだけでもかなり上昇の余地がある。
 問題は株価ではなく、企業業績がいいのかということだ。東証1部上場企業の平均ROE(株主資本利益率)は7.7%で、アメリカの15%の半分である。輸出企業は今回の円安で業績が改善すると予想されるが、日本はすでに貿易赤字国であり、ドル建ての輸入増の悪影響のほうが大きい。特に年間20兆円の化石燃料のドル建て輸入額は、ここ3ヶ月で20%近く上がっており、これだけでGDP(国内総生産)の1%近くが吹っ飛ぶので、上場企業全体ではいい材料とも限らない。
 このように実体経済をみると株価がこれほど急上昇する材料はないのに、株価が上の図のようにユーロとほぼパラレルに上がっているのは為替要因が大きい。東証の最大の投資家は外国人であり、彼らにとっては、日本企業の業績が大したことなくても、円が2割も下がればドル建てでは割安になるので、買っておいて損はないのだ。つまり今の株高は円安による金融相場である。
 このように実体経済がよくなっていないのに、株価が上がるのは危険信号である。1980年代の後半にも、消費者物価指数は平均1.3%しか上昇しなかったのに、日経平均株価は3.3倍になった。このとき日銀はバブルを警戒したが、当時の日銀は大蔵省の下部機関だったので、「円高不況」の対策として、地価と株価が急騰している1987年に公定歩合を史上最低の2.5%まで下げ、これがバブルの原因になった。
 では、これから80年代のような株価・不動産のバブルは起こるだろうか。私は起こらないと思う。実はバブルには金余りだけではなく、物語が必要だからである。80年代
には「日本企業が世界を制覇した」という物語がメディアで語られ、「これからはストック経済なので、企業業績よりも資産価値を見るべきだ」といった話を証券会社がかつぎ回った。
 国土庁が「東京のオフィス・スペースは今の2.5倍必要だ」という報告を発表し、それによって地価が上がると企業の資産価値が上がるので、業績の悪化していた重厚長大企業が「内需関連株」として買われ、企業がその不動産を担保にして銀行の融資を受けて「財テク」で株式を買う......というように地価と株価がスパイラル状に上がった。しかし企業収益はあまり改善しなかったので、インフレは起こらなかった。
 ところが日銀がバランスシートを2倍近くに膨張させた2000年代の量的緩和では、多くの人がバブルを心配したが、何も起こらなかった。これは日本経済が長期停滞に入って物語が生まれなかったためだ。その代わり「ゼロ金利の円で借りてアメリカに投資すれば確実にもうかる」という物語が生まれ、「ミセス・ワタナベ」と呼ばれる個人投資家が大挙してFX(外国為替証拠金取引)に参加した。このときは「ハイテク金融技術でリスクはすべてヘッジされる」という物語が住宅バブルを生んだのだ。
 これから日本で成長物語を生み出すことは、残念ながらむずかしい。前の安倍政権のころの円安局面とは違って、今の日本は人口が減少して貿易赤字を抱える老大国なので、「インフレ期待」をいくら起こしてみたところで、実体経済が改善しなければバブルさえ起こらないだろう。必要なのはインフレではなく、労働生産性を高めて潜在成長率を上げる地道な改革である。

2013年02月13日 17:22 経済
日経新聞のあおる「内需拡大」バブル
ニューズウィークにも書いたことだが、バブルは金余りだけでは起こらない。「21世紀は日本の世紀になる」とか「金融技術ですべてのリスクはヘッジできる」といった物語が出てくることが必要だ。日本でそういう物語のお先棒をかつぐのが日経新聞である。きょうの前田昌孝記者の記事は、財界は安倍首相の賃上げ要請に応じろという。

産業界は発想を切り替え、賃上げを起点にして景気の好循環を引き起こすぐらいの戦略性を持ってもいいのではないか。これまでは賃金が下がるから、内需が膨らまない。だから企業は収益を確保するために外需に依存せざるをえず、海外で稼ごうと積極的に動いてきた。[中略]

ところが、賃上げから始まれば、一部は貯蓄されても、商品やサービスに対する需要も増える。企業は脱外需依存の余地が生まれるし、懐に余裕ができた消費者は輸入品も購入する。この結果、為替市場には円安圧力が加わり、企業にはさらなる賃上げの余裕ができる。

この図は、普通の経済学では理解不能だ。企業収益が上がらないまま賃上げしたらゼロサムゲームだから、まず起こるのは企業収益の圧迫であり、次いで雇用の縮小である。デフレの原因は投資需要が減退して企業が貯蓄過剰になっていることだから、賃上げしたらますます「内需」は縮小し、失業率が上昇してデフレは悪化する。そのあとのフローチャートも

内需拡大→脱外需依存→内需が増える

という同語反復である。こういう「賃上げで内需が拡大して企業ももうかる」というのは、春闘で労組のいつも持ち出す話だが、それが本当なら春闘なんかやめて経営側は労組の要求を丸のみすればいい。日経はそれで景気がよくなると本気で思っているのだろうか。

80年代にも日経は「内需拡大」のお先棒をかつぎ、野村証券が「大量に不動産を保有する企業は割安だ」と収益の悪化した重厚長大産業を「内需関連株」としてはやした。こういうとき出てくるのが、「産業界は発想を切り替えよ」とか「パラダイムが変わった」という類の話だ。日経がこういうチョウチン記事を書くようになったら危険信号である。


2013年02月17日 12:57 科学/文化
ダーウィンの大聖堂
日本が陥っているのは安倍首相が信じているような「デフレ不況」ではなく、慢性的な停滞である。その原因は高度成長期から続いてきた日本型システムで達成可能な労働生産性の天井(アメリカの75%)にぶつかったからで、これを解決するために必要なのはマクロ政策ではなく組織や意思決定の革新である。

これは狭義の経済学を超える大きな問題だが、その一つの手がかりは宗教にある。山本七平は「日本教」の特徴はキリスト教のような普遍的な体系をもたず、村ごとの御神体の臨在感的把握によって人々が動くことだと指摘した。これはマルクス的にいうと「物神化」であり、人類にきわめて普遍的な現象だ。
本書はこうした信じるという機能を生物学的に分析したものだ。それは自明ではなく、類人猿にはものを信じる行動はみられない。人間でも4歳児にならないとみられず、自閉症の患者には欠けているので、人間関係を調整するための心的メカニズムと考えられる。これを著者は集団淘汰の理論で説明する。

飢えと戦争のリスクに直面する人々が集団として生き残るための淘汰圧はきわめて強かったので、個人を犠牲にしても集団を守る感情が進化した。その一つはフリーライダーを憎む感情だが、もう一つは同じものを信じる感情である。たとえば言葉の音素とその意味の間には必然的な関係はないが、その意味をいちいち合理的に決めていてはコミュニケーションは成り立たないので、暗黙知を共有する能力が円滑な人間関係の条件だ。

特に紛争を解決するためには規範の共有が必要だが、それは自明ではない。たとえば「他人の物を盗むな」というモラルは個人的には不合理だが、それを人々が信じないと社会が崩壊する。こういうモラルをenforceするために、超自然的な実体を人々が信じて「神様の罰が当たる」と信じることが必要になる。こうした信仰をもたない「合理的個人」からなる個体群は、とっくに滅亡しただろう。

このように宗教的な権威は集団を統合する装置なので、共同体の中では同一だが他の共同体とは異なり、紛争が起こる。それを解決して「大きな社会」を統合するためには、ローカルな共同体を超える規範が必要だ。それがキリスト教、特にカルヴィニズムのもたらした革新だった、というのが本書の主要な主張である。

ローカルな御神体の「臨在感」に依拠しているかぎり、普遍的な宗教にはなりえない。このためキリスト教は偶像崇拝を厳禁したが、カトリック教会は堕落して世俗的な権威になった。カルヴィニズムはカトリック教会の権威も否定して、神以外の価値をすべて拒否した。これによってキリスト教は、ローカルな価値の違いを超えた抽象的な観念のみに依拠する世界的なsuperorganismを実現したのだ。

カルヴィニズムのこうした普遍主義は、ヨーロッパ全域で数百年にわたって繰り返された戦争の中で進化してきたもので、他の文化圏には容易にまねられない。そもそも文化の違いを超えた普遍的な価値が存在するというのも信仰の一つにすぎない。西洋型システムが集団淘汰の勝者であることは明らかだが、ローカルな臨在感で生きてきた日本人がそれに適応するには、まだ数十年はかかるのではなかろうか。
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03. 2013年2月18日 14:24:50 : IOzibbQO0w

通貨戦争と言っても、国内インフレ率や金利と無関係に介入できるわけではない

逆に言えば、緩和や介入で変えたいと思う国は、本来、内政が許す限り好きに行えばいいのだが

当然、内外からやってくる反作用もあり、十分に覚悟しておかねば、後で苦しむことになる


04. goodmaind2012 2013年4月20日 16:15:34 : GlLAUr.rXMZN2 : GhjjY8ITXo
私がいまネット上で探しているのは、東証一部上場企業中で、主に外需依存の企業、1部上場中の輸出企業の大凡の割合です。
約何割か、何%か?
大凡で結構、知りたいです。

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