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65歳までの雇用延長制度 50歳代後半の首切り助長する恐れも (週刊ポスト) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/328.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 2 月 26 日 18:40:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130226-00000018-pseven-bus_all
週刊ポスト2013年3月8日号


 厚生労働省は今年4月からの<65歳雇用延長制度>の義務化にあたって出した運用指針の中で次のような主旨の項目を入れた。

「60歳以上の雇用者の割合が低い企業は制度の見直しを検討すること」

 何のためか。政府は新制度の導入によって、雇用延長の対象になる前の50歳代後半のサラリーマンの大量解雇が行なわれる事態を想定しているからではないか。

 中堅メーカー営業職のAさんはいま、「59歳の選択」に迷っている。55歳で役職を離れ、現在の年収は約600万円、退職金は1500万円ほどになるが、会社から退職金2割増し」を条件に早期退職を勧められているからだ。

「60歳前に勧奨退職した方が、失業手当の金額が大きく、受給期間も長くなりますよ」――人事の担当者からはそう説明を受けた。

 新制度では、早期退職を断わって60歳まで勤めれば、希望者は65歳まで今の会社で再雇用される。今年夏に60歳を迎えるAさんはその対象だ。仮に、勧奨退職に応じれば再就職先は自分で探さなければならなくなるが、「2割増し」は魅力的にも見える。

 果たしてどちらを選ぶべきなのか──。

 こうした50歳代後半の社員への肩たたきがこれから増えると予想されている。政府はこの4月から年金の支給開始年齢を61歳に引き上げる(その後、段階的に65歳に引き上げ)。サラリーマンは60歳定年後に給料も年金もない「年金空白期間」が生じることから、高年齢者雇用安定法を改正して企業に対して希望する社員全員の65歳までの雇用継続を義務付けることになった。

 しかし、この事実上の「65歳定年制」導入はサラリーマンにとって決して朗報ではない。本誌はこれまで、企業側が雇用延長にあたって増大する人件費を抑制するために、65歳まで働いても60歳定年時代と生涯賃金が変わらないようにする賃金体系の見直しや、退職金の減額という賃下げ路線に拍車をかけている実態を報じた。

 今回は「延長義務付けの前にクビを切れ」という50歳代後半の退職攻防である。雇用延長問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏が指摘する。

「改正高年齢者雇用安定法は、60歳以降の社員の雇用を保護するものですが、逆に59歳以前の社員は守られていない。そこで、企業は社員が60歳になると簡単にクビを切れなくなるため、その前の50歳代後半の社員を勧奨退職のターゲットにしています。これからその攻防が本格化するでしょう」

 サラリーマンにとってみれば、60歳以降の「年金空白」を補うはずの雇用延長制度が、逆に定年前のクビ切りを招き、「50歳代後半の収入空白期間」が生じるという事態がふりかかろうとしているのである。

 

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コメント
 
01. 2013年2月26日 20:02:40 : FfzzRIbxkp
リストラリストラって、早期退職を促したのが10年位前だっけ。
だけど、リストラしたら今度は経験者の能力がとても重要になって、すぐに会社に呼び戻されてた人も多かったけど、一度退職しているから給料を下げやすい雇用になってたよね。

若い人の雇用に力を入れて欲しいけれど、中高年の人の生きがい働きがいも大事で。
年金の問題は、例えばアメリカのモンサン〇なんかは、退職者の年金の資金繰りの為に、ずいぶんと強引なやり方、、農家の土地を収奪するようなやり方、種の特許で農家を苦しめるようなやり方をしてるよね。
クライ〇ラーは一度破綻して、退職者の年金もパーにしちゃったんだっけ。

会社の年金負担増ってのも、どうなってるのかねぁ。
401kも危うい感じだし。


02. 2013年2月26日 20:24:31 : IOzibbQO0w

早期退職かどうか自分で選べる人はまだ幸せだ

03. 2013年2月26日 20:27:31 : xEBOc6ttRg

あと労働者の価格(賃金)も需給で決まる

必要とされる技能や人脈(たとえば天下り官僚w)を持っていれば、いつまでも会社にとって有用だから価格は高い


04. 2013年3月02日 15:21:46 : xEBOc6ttRg
年収200〜400万円の"新中間層"が生きる道
藤原和博(その5)
渡邉 正裕:My News Japan編集長2012年12月10日
過去10年、日本の仕事をめぐる状況は様変わりした。
『10年後に食える仕事 食えない仕事』。仕事の未来をマトリックスで4分類している。
インド、中国では毎年数百万人単位でハングリーな大卒者が誕生。また、ネット・通信環境が大きく改善したことで、定型業務やIT開発を新興国へアウトソーシングできるようになった。仕事の枠を日本人同士で争っていればよい、という時代は終わった。さらに、人口減少に伴う国内マーケットの縮小も追い打ちをかけている。
これから日本の仕事はどう変わるのか? 10年後にも食えるのはどんな仕事なのか。当連載では、ベストセラー『10年後に食える仕事 食えない仕事』の著者であるジャーナリストの渡邉正裕氏が、"仕事のプロ"たちとともに、仕事の未来像を探っていく。

(司会・構成:佐々木紀彦)

【対談(その4)はこちら】

――前回の対談では、「大学と宗教が日本ではうまく機能していない」という議論から始まり、後半では、「これから“準公務員”という仕事が生まれてくる」という話になりました。今回は、“準公務員”に代表される、新中間層のキャリア設計について話を進めていきたいと思います。

渡邉:藤原さんの話では、これから若者の多くは、準公務員的な仕事に就くことになるということでした。ただ、今はそうした制度がないので、難しいですよね。当面、若者はどんなキャリアを追求することになりますか。

藤原:まず、一部の人たちは、「自分は絶対、人の100倍努力してグローバルで成功し、年収を今の10倍から100倍に持って行く」という方向に進むと思う。たとえば、オリンピックのアスリートを目指す人もいるわけじゃないですか。そういう人は、スポーツやビジネスの世界に限らず、あらゆる分野で増えてきているんではないかな。

渡邉:増えていますかね?

藤原:増えていると思うよ。サッカーで言うと、私が小学生のとき、世界レベルで活躍していたのは釜本邦茂だけだった。それが今では、海外組が20人以上になっている。日本代表メンバーも、海外で活躍している選手ばかりになったでしょう。これはすごいと思うんですよ。

ほかにも、欧州が源流のクラシックバレエやピアノやバイオリンでも、日本人がマスターになったり、グランプリを取ったりしているでしょ。そこにはちゃんとおカネも落ちている。だから実は、ものすごく多様化した中で、世界に出て行っている人たちは多いんですよ。僕らが気づいていないだけで。

ただ、問題になるのは、普通にサラリーマンをやっている人たちだよね。渡邉さん流に言えば、その人たちは、どこにジャパンプレミアム(日本人ならではの価値、差別化)を見つけるかということです。

渡邉:そうです。実際、半導体の技術者や、薄型テレビを作っている人たちは、日本で仕事をしていても、韓国には全然勝てません。これまで1万時間以上かけて半導体一筋でやってきた人は結構悲惨です。希望退職を強いられて、40歳ぐらいで仕事がなくなっている人はいっぱいいます。ほかの分野でも、こういうふうに転落していく人がどんどん増えて行くわけですよ。

藤原:時代の流れに気づくか気づかないかは、もっぱらその人たちの責任だと思う。渡邉さんは、そういう人まで救おうという気持ちを持っているのかもしれないけれど、それは難しいんではないかな。

渡邉:ただ、そういう人が生活保護に頼らざるをえなくなると、税金の負担が増えてしまいます。だから、結局はみんなで支えないといけない。犯罪と一緒で、国全体として何とかしないといけないわけですよ。

藤原:なるほど、そうか。国家の安全保障問題だと。

渡邉:その人の子どもまで被害者になるっていう話になってくるので。

――では、そういう人はどうすればいいのでしょうか。

藤原:中国に行ってもダメでしょ?

渡邉:ダメですね。サムスンに雇用されて出稼ぎにいくというケースは増えていて、僕も何人かに取材しています。ただ、それは突出した技術がある人だけであって、普通の中間管理職の人は厳しい。

藤原:工場の配置から、何から何まで決められるような人は、どこに行っても強そうだよね。現地語が話せなくても、ナレッジがあればいいわけだから。


藤原和博(ふじはら・かずひろ)
杉並区立和田中学校・前校長 
東京学芸大学客員教授
1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長 などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長 を務める。08〜11年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問。著書に、人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』『つなげる力』等。最新刊の『坂の上の坂』が10万部を超すベストセラーに。
渡邉:そういう人は、サムスンに雇われるからいいんですよ。

藤原:そうではない非常に中途半端な人の話ですね。

渡邉:高卒でライン労働者をずっと工場でやってきた人とか。

藤原:でしょう。だから、そういう人は第3回目で話した「災害救助予備隊」に入ればいい。

渡邉:40歳で「災害救助予備隊」ですか(笑)。確かに、みんな準公務員にしてしまうしか選択肢はないかもしれません。ただ、そうした人は、経済的な付加価値を生みませんよね。

藤原:でも、北欧はすでに半分以上が公務員でしょう。準公務員まで含めたら、6〜7割まで行くんじゃないかな。

渡邉:それは税金が高いからできる話ですよ。

藤原:日本でも、今の流れだと、そうなっていくでしょうね。それが嫌なら、移民を数千万人から1億人ぐらい入れる覚悟が必要になると思う。

渡邉:現在、重力の世界(グローバル競争を強いられる、技能集約的な分野の仕事:詳細は第1回)の人たちは、50歳くらいになると、最後の拠り所が警備員やタクシードライバーぐらいしかありません。こうした仕事は、特段のスキルはいらないので、欧米では移民の人がやっています。もし日本に移民が入ってくると、重力の世界の人は、ますます仕事にありつけなくなってしまう。

藤原:だから、移民でも年収50万〜100万円しか稼げないでしょうね。

渡邉:50万円で働かせるわけですか。その年収では日本で生活できませんよね。

藤原:だから、寮はきちんと準備しなきゃ。その代わりに、本来であれば、250万円払うべき年収を、100万円に抑えると。

渡邉:そうすると、会社の経営者がますます儲かるだけのような気がしますけど。

やっぱり移民は難しいですよ。移民を入れると、ますます失業率が上がって、ひどい国になってしまう可能性があります。そうすると、やっぱり「災害救助予備隊」かな、とも思いますが、この人たちは、付加価値を生まず、納税者になりえないという問題があります。

藤原:でも、目下の時点でアップルもグーグルも生み出せていない日本ですからね。

渡邉:そう。日本には雇用をつくる人がほとんどいないんですよ。

――コミュニティのために頑張る人たちが、雇用をたくさん生み出すというシナリオは考えられませんか?

渡邉:そうなればいいですけど、そうした仕事が社会の中でメジャーになるとは、到底思えない。そういう仕事は「社会に貢献する」という強い動機がないと絶対できない。でも、ほとんどの人はそこまで強い貢献動機を持っていないと思う。

藤原:20年くらいのタームで考えると、親世代から子世代への土地の移転が起こって、住宅を相続で引き継げる人が増える。そうして住居費がぐっと下がると、年収200万〜400万円ぐらいの人たちが中間層と呼ばれるようになると思う。今は中間層というと、年収400万〜800万円くらいのイメージだけど、それが変質していくんですよ。

では、その人たちが不幸せかといえば、そうでもない。

米国にも1億人くらい低所得者層がいて、ヒスパニック系で、英語がほとんどできない人もたくさんいる。その人たちが、幸せでないかというと、そうでもなくて、階層を変わりたいかというと、そうともいえない。コミュニティで楽しくやっている人も多いわけです。

だから、ちょっと言い方が悪いかもしれないけれど、日本にもすでに、米国におけるスパニッシュなコミュニティに似たものが出てきていると考えられませんか。

渡邉:スパニッシュの出生率は高いですし、変質した中間層は、ちゃんと子どもを産むかもしれません。

藤原:もし住宅が供給されて、それがある程度広くて、そんなにおカネがかからないようになればね。本当は次に政府がやるべきは、高校の無償化ではなくて、小中学校の無償化なんですよ。ただ、それにはすごくおカネがかかる。

小中学校の場合、月に教材料が約5000円、給食費が約5000円かかっている。だから、月に1万円、年間で12万円くらい、小中学校の9年間を通じて私費がかかっているんですよ。これを放っておいて、高校を無償化するのは、本当はおかしい話なんだけど、義務教育費の無償化は莫大なおカネがかかるので、民主党はできなかった。

渡邉:年収200万、300万円の人同士で結婚して、世帯年収が500万くらいあって、教育費がもうちょっと下がれば、確かに暮らしていけそうですね。

藤原:住居費が下がった前提で教育費が下がればね。

渡邉:ただ、みんなが大学に行く今の時代に、教育費がそんなに下がりますかね。一人の子どもを大学まで出すのに、1000万〜2000万円かかると言われますし。

藤原:はっきり言えば、今の大学の半分はいらない。実際、今の大学生の半分は、大学生になってはいけない人たちであって、本当は職業訓練をやるべきなんですよ。今の大学が生き残るためには、半分は職業訓練校になる必要がある。

あと10年くらいすると、「普通高校からどうでもいい大学に行っても何もない」ということが常識になると思うんです。そして、頭のいい子の中から、「高校・大学まで行って、嫌いな英語や数学をなぜ学ぶ必要があるんだ。そんなムダな時間を使うよりも、徹底的に好きな技術を身に付けてやる」という例が出てくるんじゃないかな。

技術は、漆の技術でも、和船の製造技術でも何でもいいんですよ。頭が悪くて、しょうがなく職業訓練校、工業高校に行くというのではなく、頭がいいからこそ、人と違う道を選んで、20年後に一発逆転しようという子が出てくるのではないかと。

アメリカには、高度にネットを使えるギーク(日本で言うオタク)がいっぱいいて、学歴にかかわらず仕事をしているでしょ。 日本では、そういう子が本当に少ない。だから、日本の伝統技術を誰が引き継いでいるかというと、ほとんど外国人ですよね。カナダ人やスウェーデン人はそういうのが大好きだから。

渡邉:その話は面白い。確かにそうですね。やっぱり「普通の大学に行って卒業しても食えない」ということが、世間に浸透しないとダメですね。

藤原:まだ今は、ごまかせてしまっているの。 そういう意味では、秋田の国際教養大学の中嶋嶺雄学長はすばらしくて、英語教育を徹底的にやっていますよね。一流企業が「御校の学生をぜひ採用させてください」と拝み倒しに行くぐらいで、就職率は100%。この国際教養大学と、国際基督教大学(ICU)、金沢工業大学の3校は、就職率がよいということで、突出して有名なんですよ。

これから、就職率の悪い大学はどんどん淘汰されると思う。親側には、まだしばらくの間は、「大学ぐらい出てほしい」という感覚が残るだろうけど、子どものほうは、頭を軟らかく教育すれば、「あんな大学に行って何の得があるの」という感じになると思うけど。

ただし、サラリーマンを目指して名も知れない大学に行った奴よりも、中学卒業後に職人の道を選んだ奴が、20年後に大逆転するというケースは、まだ出てきてないんですよね。

渡邉:成功モデルが欲しいですね。

藤原:欲しい。10年後ぐらいには出てくると思うな。出てこさせないとダメでしょ。

――渡邉さんは、実家が築地のマグロ問屋ですけど、サラリーマン以外の道を、中学校卒業時点で選ぶことにリアリティはありますか。

渡邉:マグロ問屋は全然儲からないんですよ。回転ずしチェーンは仲卸を通さずに、直接、船ごと一船買いをしてしまう。規制緩和で、仲卸を通さなくてもよくなってから、会社はほとんど利益が出ない体制になってしまった。今は、銀座の高級すし店などに細々と取引している程度だから、僕は実家を継がなくてよかったんです。


うちの会社はまだましなほうですけど、築地のマグロ屋の7割は赤字だと言われていて、豊洲への移転が決まったら、ほとんどが廃業するはずです。

結局、職人の道を選んだとしても、構造改革で、産業構造が変わっていくわけじゃないですか。そうすると、親の仕事を継ごうと思って10代からそういう世界に入ってしまうと、20年後にはその仕事自体がなくなってしまって、修行の1万時間が無駄になってしまう可能性は十分あるんですよ。そういうキャリアショックみたいなものは、たぶんどこの世界でもあると思う。

藤原:確かにそうですね。

渡邉:だから、「自分の仕事を中学生のときに決めろ」というのは結構酷な気がします。子どもには、その判断能力がないですから。

藤原:やっぱり頭を軟らかくして、仕事を乗り換えていく発想が必要になる。「どの仕事が正解なの」という感じで、選ばせてしまったらダメだよね。

渡邉:そうですね。うちの親父は、マグロのセリ人として大成功したわけですが、それは時代がよかったからですよ。

藤原:間に合ったのね。

渡邉:間に合ったんですよ。運がよかったんです。だからもし、もうちょっと早く構造改革が来ていたら、たとえば僕が大学生のときに来ていたら、僕は大学を辞めないといけなかったかもしれない。だから、あの世界は運ですよね。

藤原:それを言ったら、ボクだってリクルートに入ったのは運だしね。

渡邉:だから柔軟性と運が大事。

藤原:運と勘は絶対いる。でも柔軟性というか、頭の軟らかさも絶対いると思う。これだけ変化が激しい時代だから。

20年前には、水をおカネを出してペットボトルから飲む時代になるとは、誰も考えなかったと思うんですよ。 日本は、水がおいしくて、水道の水と安全はタダだと思っていたわけだから。それが今では、水も安全もどちらもすごく高いものになってしまった。同じように、iPhoneなんてものは誰も想像できなかった。これだけ多くの機能が、この薄さに詰まってしまうなんて。

それぐらい変化の激しい時代だから、ものすごくチャンスがある一方で、「これをやっていれば安全だ」というものがない。ということは結局、頭を軟らかくする以外に王道はないんです。

(撮影:梅谷秀司)


05. 2013年3月02日 15:26:37 : xEBOc6ttRg
トップ>視野を広げる>キャリア・成長
10年後も食える「ソフトスキル」の鍛え方クリップする
東洋経済オンライン 2013/3/1 08:00 東洋経済オンライン

10年後も食える「ソフトスキル」の鍛え方
[拡大]
企業の倒産やリストラが相次ぐ昨今。グローバル化による外国人採用の増加や、65歳までの雇用義務化など、ビジネス環境は日々刻々と変化している。そんな厳しい環境を生き抜くために必要になるのが、「ソフトスキル」だ。
「ソフトスキル」とは、コミュニケーション、語学力、リーダーシップ、ファシリテーションなどのスキルを指す。これまで日本では、ロジカルシンキング、マーケティングなどの「ハードスキル」が注目を浴びてきたが、今後10年は「ソフトスキル」の重要性が増してくる。
では、これから求められる「ソフトスキル」とは何か?  リクルート出身で民間人として初めて東京都の公立中学校校長を務めた藤原和博氏と、ビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)経営学部教授でデロイトトーマツコンサルティング ディレクターのキャメル・ヤマモト氏に聞いた。
(本記事は、BBT大学で開催されたフォーラム、「次世代ビジネスパーソンのための10年先も食える・戦える・勝てるソフトスキル。」をまとめたものです)
 (司会:宇野令一郎・BBT大学 学部・事務局長)

■ 自己紹介とプレゼンの決定的な違い

 ――まずは、お2人が重要だと思うソフトスキルについてお聞かせください。

 藤原:これからの時代に必要なソフトスキルを考えたときに、第一に挙げられるのが「情報編集力」だと思います。たとえば、「なぜマクドナルドはハンバーガーとポテトとコーラを一緒に売るのか」ということです。おそらくハンバーガーだけを売っていたら、マクドナルドはあそこまで成長しなかったでしょう。ただ単に3つを足しているよりも、付加価値が増殖しているんですね。

 必要なのは掛け算なんです。私の場合、「リクルート×校長」の掛け算をして、両方でマネジメントの力を証明したから、価値が3倍くらいに上がったんです。実際、リクルートのフェローでもらっていた年収は校長になって3分の1くらいに下がりましたが、校長を辞めた瞬間に5倍くらいに膨れ上がりました。もしリクルートにいたままだったら、おそらく価値は暫減していたでしょう。

 キャメル:私は「強みを作り、生かしきる」ことだと思います。皆さんも何かの「強み」は持っていると思うのですが、その「強み」をプレゼンして人を引きつけながら戦っていく、という意識がないと生き残れません。それに、せっかく生まれてきたのに自分のポテンシャルを出せない人生なんてつまらないじゃないですか。自分を出すことによって皆から刺激をもらい、育ててもらうことにもつながります。

 藤原:確かにそれは必要ですね。ただ、自分を出すときにそれが単なる「自己紹介」ではなく、相手に伝わる「プレゼン」にすることが重要です。自己紹介は、ただ単に自分の頭にあることを説明すること。いくらやっても、相手の頭の中にその像がきちっと描かれるかどうかわかりません。それはパワーポイントでやろうと、どんなツールを使ってやろうと同じです。

 大事なのは、自己紹介ではなく、プレゼンをやることです。仮にこの講演が終わってから私に話しかけようとしている人がいたとして、初めに名刺を出すようではアウトです。初対面の人に会って、まず目と目を合わせニコっと笑って、その後、相手の記憶に残ることを言えるかどうか――名刺なしで相手の頭の中に自分の像を描かせる訓練を徹底したほうがいい。
【詳細画像または表】


 ――日本人は一般的に、プレゼンが苦手だと言われています。外務省に勤務したことがあり、海外での滞在経験も多いキャメルさんは、そこをどう克服したのですか? 

 キャメル:私の場合はキャメルというネーミングですね。10年以上前、個人がEメールを持ち始めたときに、なんとなくアドレスに「キャメル」とつけてみたんですね。そのアドレスを長く使っていくうちに、自分の名前にもキャメルを使ってみようと思いまして、外国の方に会うたびに「My name is Camel Yamamoto」と名乗るようになったんです。

 すると当然、相手は「Why? 」と聞き返してくるので、その都度、思いつきで「昔、エジプトにいたからだ」と言ったり、ヨガをやっていたので「ラクダのポーズ」を決めてみたりしました。自分のユニークさをさりげなく出せるようにしておけば、英語がさほどできなくても、すぐに相手の心をつかむことができるんです。

 ――それは、すごいインパクトですね。

 藤原:みんなミドルネームをつけますか(笑)。

 キャメル:こういった講演会に出席すると、外国人が来ると勘違いしている人が多いので苦労しますが(笑)。

■ 努力をすれば、「1万人に1人」になれる

 ――藤原さんにとって、ソフトスキルがある人とは、どのような人物だと思いますか? 

 藤原:具体的な名前を挙げればきりがないし、スティーブ・ジョブズだと言われても、「それはそうだけど、なれないじゃないですか」という話になってしまいますよね。

 では、どういう人にソフトスキルがあるのかというと、先ほども言った掛け算ができ、付加価値をつけることができる人だと思います。こういった講演を聞きにきて勉強しようと思う人ならば、すでに会社の中で「100人に1人」の人くらいにはなっていると思うんです。でも、それだけでは、ただの「100人に1人」で終わってしまいます。重要なのは、ほかの異分野でも100人に1人になって、それを掛け合わせることなんです。

 たとえば、お笑い芸人になりたい人がいたとします。その人が明石家さんまになることは難しいでしょう。彼は100万人に1人の人ですから。でも、努力すれば「100人に1人」くらいにはなれる。お笑い芸人ではなくても、この会場にいる全員を笑わせることができる人はザラにいると思います

 同様に原宿のカリスマ美容師になることは難しくても、自分の住む地域で一番の美容師にはなれるかもしれません。その「100人に1人」と「100人に1人」を掛け合わせて、「お笑い美容師」という職業を自分で作って徹底的に売り込んでいけば、100人×100人で「1万人に1人」になることができるんです。それが、先ほど、キャメルさんが言った「強み」ということでしょう。

 重要なのは、努力すれば100人に1人には必ずなれるということです。何も、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授のような天才になれとは言っていないんです。100万人に1人は難しいかもしれないけど、「100人に1人」の力を掛け合わせば、「1万人に1人」になれることを覚えておいてほしい。

 ――先ほどの「情報編集力」にもつながりそうな話です。

 藤原:お笑い美容師の例は自分に対する付加価値、マクドナルドの例は環境や商品への付加価値だということです。

 「ポケモン」をやっていた人はわかると思うんですけれど、あのゲームはレアカードを握ったら勝ちなんですよ。それと同じように、付加価値をつけるということは、自分をいかにレアカードにするかということなんです。どのように希少性を高めていくか、どうやったら自分自身がレアカードになれるかということを毎日考えていれば、付加価値は自然に高まっていくはずです。

 ――情報編集力にプレゼンの能力、付加価値を高める掛け算と、この先10年も食えるソフトスキルがどういうものなのか、だいぶ見えてきました。最後に、どのようにすればソフトスキルが身につくのかを教えてください。

 キャメル:まずは、やりたいことを紙に大きく書くこと。そして、5年、10年経ってそれが実現できたらいいと思うのではなく、今すでに始まっていることだという意識を持つことです。

 とにかく、やりたいことを3ヵ月続けて習慣化してください。それが続けられなかったら自分に根性がないという可能性も十分にありますが、やりたいことを思い切って変えてみてもいいかもしれません。言い換えれば、きちんと続けられることを見つけるということです。それを見つけられれば、藤原さんの言う「レア」になれるのではないかと思います。

 地域コミュニティで、「名刺抜きのプレゼン力」を鍛えよ

 藤原:習慣化ってすごく大事ですよね。僕も情報編集力をつけるために、組み合わせてつなげるということを毎日やっていたら、頭の中がそういう構造になっちゃったんですよ。

 PETボトルを見ても、水を入れる以外に何か使い道はないかと常識を疑ってかかってみる。どんなバカな組み合わせでもいいから、とにかく考えてみること。電車に乗っても、携帯をいじっている人と本を読んでいる人の割合を計算してみるとか、そういうものに興味を持っている人が最後には勝ちますよ。

 キャメル:なるほど。私は、知らない人に話しかけるという実践をしています。

 喫茶店で仕事することが多いんですが、隣の人の話が面白くて、作業そっちのけでそっちの会話をタイピングしていることがよくあります。ナンパをしろということではなくて、まずは話を盗み聞きし、面白いことを言っている人がいたら、「もうちょっと聞かせてくれますか」と話しかけてみるといいと思います。

 藤原:一歩、間違えば不審者ですよね(笑)。しかも、キャメルという名前だし。

 キャメル:はい(笑)。だから盗み聞きを慎重にやらないと。

 ――先ほど話題に上がった、プレゼン能力が必要になりますね。

 藤原:そうですね。名刺は言うなれば最強のブランド。三菱だったり、三井だったりは、会社が多額の投資をして何十万人が作り上げてきたブランドですが、ブランドに守られるほど、自分ブランドが確立できなくなっちゃうんですよ。

 名刺なしのプレゼン力を鍛えるには、小・中学校やテニスサークルなど、地域のコミュニティに参加すると、すごく練習になりますよ。そういうところで名刺を出すわけにはいきませんから。

 本来、コミュニケーションはリスクがある投資なんです。リスクがあることに挑戦しなければ、大きなリターンを得ることは絶対にありません。どのように掛け算して付加価値を高めていくか。何も独立しなければできないことではありません。今いる会社にい続けたとしても、「組織内自営業者」の意識を持てば、組織を利用してユニークな存在になれると思いますよ。

 (構成:宮崎智之/プレスラボ)
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若者にワークライフバランスなんていらない
最終更新日:2013/3/1 11:55

 


6. 2017年5月22日 00:35:56 : bRv4LKxCAc : 86HG5I14jRY[6]

たった一度の人生を変える勉強をしよう〜藤原和博氏
.

GLOBIS知見録
https://www.youtube.com/watch?v=9VSx2PkoiEw


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