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インタビュー:日本に必要なのは産業政策ではなく競争=楽天社長 (ロイター) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/381.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 3 月 15 日 00:45:02: igsppGRN/E9PQ
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130314-00000110-reut-bus_all
ロイター 3月14日(木)18時56分配信


[東京 14日 ロイター] 政府の産業競争力会議の民間議員である楽天<4755.OS>の三木谷浩史社長は、政府の役割について、日本の産業における勝者と敗者を決めて政策を構築するのではなく、経済成長を促すための最善策として、自由に貿易と競争ができるよう日本を開放することに注力すべきだと語った。

13日に英語で行ったロイターとのインタビューで語った。

産業競争力会議については「(議員の間で)明白な対決があるわけではないし、お互いに怒鳴ったりはしない。しかし、特定の産業の戦略構築や再編について政府がいかに、どこまで関与すべきかという点では異なる意見があると思う」と語った。

安倍晋三首相は今週にも環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を表明する見通し。また、6月にはアベノミクスの「3本の矢」のうち、金融緩和、財政出動に次ぐ3本目の矢となる成長戦略を公表する予定。

三木谷社長は、TPPを安倍内閣が世界第3位の経済を再生するための広範な取り組みの一環と位置付ける。「この市場を開放しなければいけない。国際基準をできるだけ採用する必要がある。それが日本企業にとって世界で戦う力をつけるための唯一の手段で、もしそれができないなら、その産業は日本に残るべきではない」と語った。「日本人は、強いところをさらに強め、弱い産業は断念して他国にまかせることが必要だと気づくべきだ」

同社長は、経済産業省のエリート官僚がどの産業を促進するかを選ぶ時代はとっくの昔に終わったと語る。「基本的に経産省は、1970年代や80年代に成功した政府主導の産業政策を再現したいと強く願っている。しかし、それは国家資本主義に戻るようなもの」。三木谷社長によると、多くの民間議員が「特定の産業や技術、または企業を選んで公的資金を投入することに反対している」。それでも「官僚は大きな圧力をかけようとしている」という。

過去にも、さまざまな審議会や委員会が日本の構造改革について提案をまとめたが、多くは実現に至っていない。しかし、三木谷社長は今回は違うと話す。安倍内閣は改革への強い決意を示しているためだ。同社長は「安倍首相は、日本の経済再生と産業競争力の強化のために最も重要なのは規制緩和だと信じていると思う」と話す。そして「規制緩和を推し進めれば支持率が高まることも知っている」とみている。

(ロイターニュース リンダ・シーグ;翻訳 大林優香;編集 吉瀬邦彦)

 

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コメント
 
01. 2013年3月15日 01:55:46 : fAiIAAzbbE
豊かだから自分の子供を繁殖しているのに、そこに貧乏人から搾り取って更に金やっても、競争は生まれない。
生まれるのは不公平と貧富の格差だけだ。


02. 2013年3月15日 01:56:46 : xEBOc6ttRg
アベノミクスはまだ「発展途上」

2013年3月15日(金)  田村 賢司

 若者言葉を集めた「辞書に載らない日本語」(大修館書店)をめくって、こんな言葉があるのを知った。

 小袈裟(ちいげさ)。深刻な出来事をささいなことであるかのように語ることだそうな。

 大方は、ささいな出来事を深刻なことのように語るのが大袈裟だから、その逆で…というわけだろう。だが、それこそ「深刻に」考えれば、一見、対極にあるような両者の違いは案外はっきりしない。

 例えば今、20年ぶりの日本復活の妙手かと世界の注目を集めるアベノミクス。株価は2008年9月のリーマン・ショック直前を超え、円安も進んで企業業績は上方修正へ大きく傾くが、アベノミクスそれ自体を懸念する声もまた根強くある。

実は分かりにくいアベノミクスの像

 「金利の上昇に歯止めがきかなくなる」「積極的な財政出動で、政府債務が発散的に増大する」「結果、ハイパーインフレと円安が同時発生しかねない」…といったもので、財政再建・均衡派の学者、シンクタンクに多い。

 この立場から見れば、アベノミクス推進派は、これほど深刻なリスクを、「ささいなこと」とは言わないまでも小さく考え過ぎているというわけだろう。つまり小袈裟である。

 だが、推進・賛成の側からすれば「(敗戦後の混乱期などを除けば)金融緩和でハイパーインフレが起きたことはない」「金利上昇で政府の利払い負担が増大しても、日本の場合その同額が国民の資産になる」「需要不足の際の財政出動は必要。重要なのは投資対象の選別」などとなる。こちらは結局、金融緩和や財政出動のリスクを大袈裟に言い過ぎと言いたいようだ。

 しかし、両者を並べて気付くとおり、交わることのない2つの言説の遠さが、アベノミクスの実像を国民に分かりにくくする。当面、株価が上がり、円安は企業業績を押し上げていいことずくめだが、この落差を見せつけられる分、国民の心の中には「いずれどこかで財政危機に陥るのではないか」「金利だけ上がって、景気は良くならず、生活が苦しくなるのでは」といった一抹の不安が残り続ける。

 (1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略…と表の言葉は分かりやすいが、先行きを含めた政策の可能性は、実は誰にも見通せていないのだろう。

 そこに伺えるのは、アベノミクスは政策的にまだ練り上げていかなければいけない要素を多分に含んでいるということだ。

 例えば、懸念派が指摘する「日銀の超緩和は、(市場を通じて国債を買い入れることで)事実上、日銀による政府への財政ファイナンスに近くなる。さらにそれは政府の財政出動をしやすくすることで一段と財政を悪化させかねない」(BNPパリバ証券のシニアエコノミスト、白石洋氏)という不安は否定できない。

 「既に名目GDP(国内総生産)の2倍を超えている債務がさらに増え、そこに超金融緩和などで金利が上昇すれば利払い費が急増し、社会保障費、地方交付税など政策的経費の確保が困難になりかねない」(日本総合研究所主任研究員、河村小百合氏)との指摘も簡単には否定できない。

 グラフは2月末の経済財政諮問会議で公表された国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の推計。自民党政権になってすぐ、約10兆円の緊急経済対策を初めとした大型財政出動を行うことを決めた2012年度補正予算の影響で昨年8月に公表した試算が早くも崩れ、GDP比のPB赤字幅は昨年推計の5.2%(25.4兆円)から6.9%(33.9兆円)に」拡大している。河村氏らの指摘は、アベノミクスはこうした「問題」を助長しかねず、財政再建をいよいよ難しくするというわけだ。


 だが、そうであればこそ、アベノミクスでも必要な予算に絞り込み、経済効果も重視した効率の高い財政出動が重要になる。2012年度補正予算は「復興・防災対策」に約3兆8000億円を投じて、老朽化した道路や下水道などの点検・補修、建物の耐震化支援などを行うとしたが、事業には道路の未開通区間(ミッシングリンク)の整備費に623億円を計上するなど、防災に名を借りて通常の公共事業を膨らませるといったことも行われた。ミッシングリンクの解消は全て否定も出来ないが、問題は予算が簡単に水脹れする体質にある。

3本の矢を強くする新たな政策を

 つまり、アベノミクスは3本の矢だけでは目的を完結しない。例えば、田中秀明・明治大公共政策大学院教授が指摘するように、予算編成の抜本的な透明化はまず欠かせない。さらに3〜5年程度の歳出・歳入の見積もりを最新の経済データに基づいて立てる。これは政策変更によって予算が膨らむことを含めて決めるシーリングとは異なる。

 変更のない状態での見積もりであり、それを超えて予算を策定する場合は、その超える部分の効果検証・分析を行うことでより精緻な予算の絞り込みが出来るといわれる。

 見積もりの元になる経済前提も各省庁が勝手に作るのではなく、国会に独自の専門機関を置いて設定する方法が考えられる。官僚が省益に沿った政策にするために都合のいい前提の数値を使う弊害はかねて指摘されてきた。そこを直すわけだ。

 数年先までの財政の方向を示す中期財政フレームにしても、オーストラリアなどでは、毎年の予算はそのフレームに基づいて編成されるが、日本は逆になっている。予算編成が終わった後にそれを元に中期財政フレームを策定し、しかも「将来の歳出・歳入を拘束しないという趣旨のことまで書かれている」(田中教授)。

 財政だけではない。3本目の矢の成長戦略にしても、日本経済を過去20年、「失われた」ものにしてきたのは何かを分析し直す必要があるだろう。「1990年代に円は購買力平価の2倍という突出した過大評価となり、日本企業のコストを一気に倍に押し上げた」(武者陵司・武者リサーチ代表)といわれるほどの円高がその1つである。

 跳ね上がったコストを、日本企業は社員の非正規化や賃金減を中心に削減し、対応してきた。デフレの主因がそこにあるとすれば、円高是正はやはり日本経済復活のカギになる。

 OECD(経済協力開発機構)がGDPを構成する財・サービスを考慮して試算した絶対的購買力平価ではドル円レートは1ドル103.9円。円安もこの水準までは当面、進む可能性はあるだろう。大和総研の試算では、ドル円レートが1ドル=80円から10円円安になると、製造業は2013年度、25.3%もの経常増益を享受できるという。

 円安メリットを国内への投資や賃金への還元に回しやすくする政策を早急に実施し、マネーが回る仕組みを作り上げる必要があるだろう。さらには非製造業のIT(情報技術)化を本気で進め、生産性のかさ上げを図ることも合わせて行うことも重要だ。

 日本の株高の震源地は実は米国の企業業績と景気回復の堅調さにあるが、そのさらに元は2000年代に入って再び活発化したIT投資による生産性向上に一因があったといわれる。激しいグローバル競争に勝ち抜くための投資が実を結び始めた格好だが、日本も改めて追随する価値はある。特に製造業に比べ生産性の低い非製造業には、重要な課題だろう。

 アベノミクスはできあがった政策ではない。とすれば、安倍政権の改革への覚悟と国民の監視がその練度を高めるカギになる。株高だけに浮かれているわけにはいかないはずだ。


田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス編集委員。


 


 

 


【第31回】 2013年3月15日 安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
黒田日銀が単なる「デフレ脱却」でなく
「良い物価上昇」を実現する道
 いよいよ、黒田新総裁が日銀の舵取りを担うことになる。大胆な金融政策への期待から株価は大きく上昇し、一方で、普通は株価が上昇するときには上昇するはずの長期金利も、日銀がより長期の国債を買い入れ始めるという期待によって逆に下落するという、安倍政権にとっては願ってもない状況が続いている。

 確かに、インフレ期待から為替が円安に動き、株高効果で高額商品や不動産の取引が活発化している。その一方で、円安によって輸入物価が高騰し、不動産など資産価格が上昇する気配がある。つまり、物価はそういう経路で上昇に転じる可能性がある。しかし、果たしてそれは安倍政権が目指すべき本来的な「デフレ脱却」と言えるものなのか。

インフレは必ず実現できる

 既に安倍政権の圧力に屈したかのような形で、白川日銀時代に2%というインフレ目標を導入済みであるが、単にインフレ率が高まればそれでいいのだろうか。実は、賢明な読者諸氏はとっくにご理解の通り、政府がその気になればインフレは簡単に起こすことができる。ここで重要なのは、日銀ではなく、政府がその気になれば、というところだ。2、3の例を挙げてみよう。

 たとえば、政府にその覚悟があれば、外国為替市場で無制限に円を売ることが可能である。なぜならば、円という通貨は、それこそ日銀がお札を刷ればいくらでも発行できるのだから、日本政府は、円を売ることに関しては無制限に可能なのだ。そうすれば、円はどこまでも下落し、輸入物価の高騰を通して簡単にインフレが実現する。

 ただし、これは言うまでもなく海外諸国との軋轢を覚悟しなければならないので外交戦略の問題である。また、逆に円安を止めようという時になったら、今度は外貨を売って円を買わねばならない。日本政府が売れる外貨の量は外貨準備に限定されるので、無制限というわけにはいかない。つまり、円安に歯止めが効かなくなる恐れがある。

 また、たとえば、政府が日銀に巨額の国債を引き受けさせるか、日銀券以外に政府が巨額の「政府紙幣」を発行し、そのお金を均等に国民に配るとどうなるか。配り方は、なんでもいい。定額減税、定額給付、極めつけは、お札を空からばら撒く本当の「ヘリコプターマネー」でもいい。これでいわゆる「需給ギャップ」を埋めてしまえば、物価は必ず上昇し、失業率さえ下げられるかもしれない。

 以上のようなことを言うと、突飛な話に聞こえるかもしれないが、実は、安倍政権発足前まで一部で囁かれていた「日銀による国債引き受けによって調達した資金で公共事業をする」ということも、「ヘリコプターマネー」と同根のものである。

 この政策の問題は、将来必ず起きるインフレを2%など都合のいいところで本当に抑制できるのかということと、どんどん増大する政府債務に信認が得られるかということだろう。一旦日銀による国債ファイナンスに慣れてしまえば、政治的な圧力によって財務の規律が緩むことは目に見えている。国債の日銀引き受けを前提にして、今より数十兆円も大きな予算を一旦組むのは良いが、翌年もそれを続けなければ景気が失速するとなると、政治家はそれに耐えられないだろうからだ。

 はたまた、各金融機関が日銀に保有している日銀当座預金への付利をゼロまたはマイナスにするというのも、政府がそうしたければ可能である。現在、日銀がどんなに金融緩和(国債の買いオペ)を行なっても、その資金は日銀当座預金に滞留するだけで、企業に流れていない。日銀当座預金に預けておけば安全な運用ができるからだ。

 この当座預金の金利をゼロ以下にすれば、日銀が買いオペで銀行に流し込んだ資金は、日銀当座預金に預けても金利がつかない(あるいは損が出る)ので、銀行は必然的に貸出や債券投資、果ては不動産投資などの資金需要にお金を振り向けなくてはならなくなるので、インフレになる可能性は高いだろう。

 しかし、この政策を貫徹していくと、預金金利もゼロ以下となり、突き詰めれば紙幣の保有にも税金が課されるといったことによって、お金を無理やり実物経済に使わせるということにも繋がる。また、日銀当座預金がなくなってしまうことは、「最後の貸し手」としての日銀の機能を失わせることになる。いずれも社会的混乱を招く恐れがあり、日銀単独で決断できることとは言えない。

 安倍政権は、日銀にインフレ目標達成の義務を課すとしているが、実は、インフレを実現するということだけならば、日銀ではなく、政府が腹を決めれば簡単なのだ。

デフレ脱却のあるべき姿

 ここで冷静に考えてみたい。インフレを実現すればそれでいいのか。

 実は、この点において、政府と国民の間には深刻な利益相反が存在する。国民の目から見ると、インフレというのは、富める者にも貧しい者にも平等に課される「定率増税」、あるいは「消費税」と同じことである。そして、一般的に、単純なインフレ経済の下では、借り手が得をし、貸し手は損をする。友人同士での100万円の貸し借りを考えればわかる。年利1%で100万円を借りてモノを買った人間は、インフレが起きれば、借りたお金で買ったモノが値上がりする。逆に100万円を貸した人間は、貸さなければモノを買って儲けられたであろう利益を失い、高い金利で運用する機会も失う。

 1000兆円にものぼる国家債務を負う政府にとっては、インフレを起こせば、国の名目資産価値が増えて債務超過が減少するほか、物価上昇に伴い税収が一気に増加する。もちろん、金利が上がって国債借り換えのたびに支払い利息が増えるかもしれないが、それには時間がかかる。

 名目GDPが増えるため、政府債務のGDP比も下がっていく。損をするのは納税額が増え、物価上昇に直面する国民である。また国民が(金融機関・保険・年金・郵貯等経由で)保有する国債の価格は暴落する。政府は暴落した国債を時価で買い入れ償却してしまうこともできる。

 こうならないためには、産業の新陳代謝(供給サイドの調整)と経済の活性化によって需給ギャップが逆転し、企業が利潤を上げ、国民の賃金が上がるという、いわゆるデマンド・プル型でマイルドな良質のインフレを目指す必要がある。

日銀はリスクマネーを供給すべし

 すなわち、黒田日銀に期待されるのは、産業の新陳代謝を進め、企業の活力を引きだすことによって、需給ギャップを早期に埋めるという経路をたどって「良い物価上昇」をもたらすことである。

 もちろん、その助走期間に、インフレ的なマインド醸成を進めることは有効である。たとえば、年率2%という、非現実的とも思われる高いインフレ目標は白川日銀時代に既に導入されたが、これを「必ず2年以内に実現する」など、日銀がインフレを誘導しようとしているというアナウンスメント効果を強めることは、一般論として消費を喚起し、債券から株式や不動産への資金移動をもたらすだろう。

 こういうインフレ心理を醸成しつつも、同時に、「より長期の国債を買う」とアナウンスすれば、当面はインフレの弊害である長期金利の急上昇を避けることもできるだろう。活況を呈する昨今の株式・債券相場は、概ねこうした政策を先取りしたものと見ることができる。

 問題はその後である。既に検討したように、日銀が国債の市中買い入れを増やすといった形での金融緩和をいくら行なったとしても、(日銀当座預金に金利が付いている限り)日銀当座預金残高が増えるだけで、実体経済に資金が流れるわけではない。

 日銀は従来からこの問題意識を持っており、2010年に導入された「成長基盤強化を支援するための資金供給」という政策も、日本の潜在成長率を向上させるには企業活力、イノベーションの促進が必須という問題意識に従い、こうした融資を行なう金融機関に、低利資金の供給というインセンティブを与えるものだった。

 しかし、これは思った程の効果を挙げているようには見えない。なぜか。それは、資金が必要な成長分野に幾ら融資を増やそうとしても、銀行はあくまでも金融庁の自己査定基準に縛られており、どんなに低利調達ができても貸出を増やせるというものではないこと、そして、企業の側から見ても、本当に欲しいのは返済の必要がない資本性の資金(リスクマネー)であって、銀行からの融資ではないからである。

 もう一つ、従来から日銀が行ってきたのが「金融緩和」ならぬ「信用緩和」政策である。特に2010年秋以降、CP・社債・ETF・REITといったリスク性の資産を一定量買い入れ続けているが、これは、これらに付随する信用リスクプレミアムを引き下げて、企業の資金調達を間接的に支援する意味合いがある。

 しかし、残念ながらこの政策も十分な効果を挙げたとは言い難い。その理由は、これらの資産を日銀が買い入れても、それは飽くまでも市場での買い入れなので、発行体企業にとっては新たな資金調達にならないこと、そして、基金の規模が非常に小さいことであると思う。2012年度末の日銀の自己資本は資本勘定に僅か2兆7000億円、これに引当金勘定を足しても5兆8000億円しかなく、自己資本比率は僅か7.22%である。日銀の財務健全性を維持しつつリスク性の資産を買うとなると、自ずと限界があることは自明である。

 したがって、日銀が真にリスクマネーを企業に供給しようとするならば、@政府との共同認識の下、日銀の自己資本を大幅に増額する、A日銀が供給する資金は、企業の純資産の部(自己資本)に届くものであること、の2点が重要であり、それこそが、政府・日銀の目指す「産業の新陳代謝を促進しつつデフレを脱却する」という政策目的に合致するものなのではないか。

 なお、余談ながら、政府・日銀がこれらの点で意見を一致させるならば、本当は日銀ではなく政府自身がこの役割を担うこともできるのだが、安倍政権発足前後からのいきさつもあり、日銀にもデフレ脱却の一翼を積極的に担わせることが安倍政権の意図であるというのが本論の前提である。

代替資産への投資をためらうな

 さて、日銀の自己資本が十分に拡充されたとして、日銀は何をすべきか。筆者は、日銀のリスク資産買い入れについて、質的な入れ替えと、量的な拡充が必要と考えている。

 このうち、量的に関しては、日銀の自己資本との関係で決まるものであり、幾らが妥当とは言えない。現在、既に各リスク資産を数千億円から2兆円くらいの間で買い入れているので、これらの総額を下回らない程度のものが妥当なのだと考えられる。

 しかし、これよりもっと大事なのが、質的な面での見直しである。現在日銀のバランスシートには、CP・社債・株式・REITが計上されている。しかし、いずれも流通市場での買い入れであるため、発行体の直接の資金調達に寄与していない。一方、国家機関である日銀が特定企業の株式を買うことは、企業のガバナンス上問題があるのは自明である。

 筆者は、日銀は、特定企業をターゲットとしない代替資産への投資を促進すべきだと考えている。たとえば、特定の企業の影響を受けていない独立系のプライベートエクイティ(企業再生)ファンド、独立系のベンチャーキャピタル、インフラファンド、不動産ファンドなどに一投資家(有限責任組合員)として新規投資を行なうことによって、世界の投資家をこうしたファンドに呼び込むシードマネーの役割を果たせる。

 これらファンドは、国家(日銀)の意思に影響されることなく、投資家利益を考えながら、企業やインフラ/不動産プロジェクトの純資産の部(資本)に資金を投下する。企業から見れば、それこそが待ち望んでいた新規リスクマネーの導入である。たとえば、シャープはわずか600億円程度の増資を求めて、台湾企業と困難な交渉に臨んできたが、日銀のシードマネーを得た企業再生ファンドが十分な資金力を持てば、こうした大企業から地方の中小企業まで、国内ファンドが銀行とタッグを組んで再生させていくことができる。

 再生すべき企業を再生し、退出すべき企業を整理しつつ、今度は日銀が支援するベンチャーキャピタルが新規産業の育成を行なう、といったことによって、企業の新陳代謝が進み、需給ギャップが縮小し、日本の潜在成長力も上がってくるのである。しかも、現在の日本のこの分野の市場規模から見て、この施策に必要な日銀の基金の額は、合計でもせいぜい数千億円のはずだ。もちろん、政府は日銀のこうした施策と同時に、年金や機関投資家にも同様の代替資産への分散投資を促すことが大事だ。

 実際、英国では1945年に設立され、今では世界で活躍する3iというプライベートエクイティ/ベンチャーキャピタルの会社は英国中央銀行が主導して設立し、主要銀行と共に、長い間株主であった。米国では、中央銀行の参加はないものの、政府のイニシアティブで、エリサ法の導入を経て年金等がプライベートエクイティ投資を増大させた経緯がある(連載第22回・23回ご参照)。それでこそ、企業の新陳代謝が促進されるのである。

 現代的には、投資家との利益相反・企業のコーポレートガバナンス・銀行のリスク管理のいずれの観点からも、市中銀行がプライベートエクイティの運営に関与することは絶対に禁止されるべきであるが、それだけに、希少な独立系のファンドは国策として強力に支援育成されなければならない。日銀が次の一歩を踏み出すとすれば、是非この方向であることを期待したい。


03. 2013年3月15日 01:59:01 : xEBOc6ttRg

徹底検証 アベノミクス

リストラ技術者に起業の選択肢を

吉村孝郎・トーマツベンチャーサポート社長に聞く

2013年3月15日(金)  西 雄大

 成長戦略を成功に導くには、民間の創意工夫を引き出す知恵が欠かせない。日本の開業率は依然低く、起業促進が積年の課題だ。トーマツベンチャーサポートの吉村孝郎社長はIT(情報技術)関連だけでなく、ものづくりベンチャーをもっと生み出すべきだと訴える。
アベノミクス効果で株価が上昇していますが、企業の上場意欲は高まっていますか。

吉村:今年になってIPO(株式公開)に向けた相談が増えています。リーマンショック前後と比べると5〜6倍にはなってきましたね。やはりIT(情報技術)関連の引き合いが多いです。ただしITバブルだった頃と比べると経営者が変わりました。ビジネスモデルもしっかりしたものが多く、真面目なのも特徴ですね。

ベンチャー企業を取り巻く環境に変化はありますか。

吉村:IT関連のベンチャー企業を支援する取り組みが進んでいます。起業家向けに東京都内を中心にオフィスを提供するインキュベーション施設も増えてきました。IT関連のベンチャー企業は参入障壁が低いことに加え、スマートフォン関連の需要がおう盛なことを見込んで増えてきました。成功した起業家もたくさん出てきたので目指す人も多くなっています。


(写真:北山宏一、以下同)
 ただし全体でみれば起業家はまだまだ足りません。課題は地方と製造業です。ものづくりのベンチャー企業を生み出す施策が必要です。IT同様にものづくりのインキュベーション施設を作る必要があります。

どのような人が起業予備軍なのでしょうか

吉村:リストラの一環で地方の製造拠点や研究所の縮小や閉鎖が相次いでいます。退職を余儀なくされた技術者も多くいます。同業他社へ転職することだけを考えるのではなく、是非、起業する選択肢も持ってほしいと思います。

 アイデアと技術さえあれば起業できると思うのです。地方の研究所にいた技術者が起業に踏み切ることができるような環境作りが重要です。足りないのは後押しする力です。インキュベーション施設であったり、自己資金に加えられる補助金であったりといったことです。地方は家賃も安く起業しやすい環境にあります。せっかく優秀な人材がマーケットに出てきたのなら、自分で起業しようといえる環境にしてあげたいですね。

 技術者は開発や設計力はもちろん、地場の協力工場など人脈もあります。自分で考えたアイデアをもとに起業して、協力工場で生産すれば雇用も生まれ活気づくでしょう。

失敗が認められる風土づくりが重要に

 IT関連の起業と異なるのは生産設備など投資が不可欠なことです。3次元CAD(コンピューターによる設計)ソフトといった高額な業務用ソフトも必要です。巨額の投資をしてまで起業しようとする人材が少ないです。少しでも起業に飛び込めるようなセーフティーネットが必要だと思います。例えば企業側も退職した技術者でも生産設備を利用できるといった優遇策を検討しても良いですね。退職金の割り増しだけが対策ではないと思います。

 起業した会社に出資しても良いでしょう。退職した社員の企業が成長して、取引できるようになれば面白い循環が生まれそうです。地方の製造拠点や研究所はその地域の産業で中心的な役割を果たしています。企業城下町の新しい形が作られれば、地方活性化にもつながると思います。

起業を増やすために必要なことは何でしょうか。

吉村:ベンチャー育成で必要なことはExit(出口)の選択肢を増やすことです。日本でExitの選択肢はIPOしかありません。米国のExitはM&A(合併・買収)が9割を占めています。IPOはたった1割です。日本のベンチャー市場でも同様にM&Aが活発になれば現在の10倍になります。成功確率がぐっと高まります。Exitの手段を増やせばきっと変わるでしょう。

 リスクマネーはベンチャーキャピタルだけではありません。大企業の新規事業担当部門が成長途上のベンチャー企業と資本提携することも考えられます。数年後にM&AやIPOができれば大きな収益になります。有能なベンチャーに出資をすれば、1000万円の投資が100億円になるお買い得な企業が埋もれています。自社で新規事業に取り組むよりも大きな利益をもたらせるかもしれません。


 早くから接点をもっておくことで成功する確率は高まります。早くから顔合わせできる場を作っていきたいと思っています。たくさん顔合わせすることで、大企業の新規事業の担当者の目利き力もあがると思います。ベンチャー企業は信用も体力もありません。経営者の資質で判断するしかありません。

 ただすべての案件で成功させるのではなく、打率1割でも良いのです。1度失敗すると、二度と出世できない企業もあります。新規事業はそのような風土では生まれません。失敗を認められる風土づくりも重要です。ひとつでも成功事例が出て信頼を得られるのではないかとも思っています。

 ただ現状でいえば、大企業とベンチャー企業はまだまだ接点が足りません。大企業の担当者から「良いベンチャー企業を紹介して欲しい」という要望は増えています。我々も全国各地でベンチャー企業と大手企業が接点を持てるイベントを開催しています。最近になってようやく参加企業が増えてきたという印象です。これからですね。

 加えて税制も優遇する必要があります。適用条件が厳しいともいわれています。投資ですから全額損金に算入できるようにするなど環境づくりも重要になってくると思います。


西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者。
 


【第5回】 2013年3月15日 山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]
仕事や家庭が忙しいビジネスパーソンが
新しいライフスタイルの準備をするには?
人びとはSNSをきっかけとして、物理的な近さに関係なく、価値観の合う友人との結びつきを強め、価値を直接交換するようになる。その土台となる新たなコミュニティ・ネットワークづくりこそ、私たちが今まさに取り組むべきことだ。仕事や家庭に忙しいビジネスパーソンであれば、ナイト&ホリディ(平日の夜と休日)の活用が、新たな生き方をみつけるきっかけになる。

 フェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は、今や僕たちの生活の中に完全に入り込んでいる。利用者人口は、約5000万人にのぼるという(インターネットメディア総合研究所12年6月調べ)。

 SNSの価値は、友達の近況が分かるようになったことだけではない。その本質は、「人間関係のつながりを可視化し、信用の紐帯を創り上げたこと」にこそある。ネットワーク上で、クレジット・ライン(信用の紐帯)ができ始めると、そこで価値を直接交換する流れが出てくる。

 これまで資本主義社会では、お金が価値と信用のふたつを表現するメディアであり、価値をいったんお金に変換して、別の価値や財に変換する方法が採られてきた。ところが、ネットワーク上に個人の信用がある程度保全されている信用主義社会では、お金を使わずとも価値交換が直接できる。


 だからこそ、逆にこれからは、価値交換の土台となるクレジット・ライン(信用の紐帯)をつくること、相互扶助の共同体をつくることこそが、未来の自分にとってもっとも効果的な投資だ。

 しかも、これから創造される新しいコミュニティは、従来とは少々異なる。場所でも仕事でもなく、その人が何を考えているか、何を大事にするか(美意識)といった軸で、人びとはつながっていく。

 人びとが物事をシェアし、コミュニティをつくる理由は、利便性が高まったり、コストが低くなるためだけではない。むしろ、その人との意識上のつながりを確立し、その共振・共鳴・創造を楽しむためだ。人は、近所に住んでいる他人、話の合わない職場の同僚より、世界の果てにいても価値観の合う友人との結びつきを、ますます強めていく。

 そのような世界で僕たちは、まず自分の価値観を明確にしなければならないし、そのうえで、自分の価値観に共鳴する人が世界の果てに存在することに「想像」をめぐらせ、実際にそこへ出かけていく必要がある。それは、長期的にみれば、決して高いコストではない。

失業率は高いほうが正しい?!

 もちろん、そんな新しいライフスタイルにシフトすることは、そう簡単ではない。仕事と家庭で忙しい日々を送るビジネスパーソンが、この流れについていこうとすると、現実的には相当ハードルが高い。だからこそ、平日の夜と休日(いわゆるナイト&ホリディ)を使って、どれだけこの新しい動きにかかわっていけるかが問われる。

 僕の周りには、NPOの事務局とコンサルタントを兼務する人、起業や海外移住、主夫や主婦と同時に企業の問題解決を担う人などがたくさんいる。いわゆる「デュアルライフ(2拠点生活。都市と農山漁村の両方で暮らすこと)」「パラレル・キャリア(現在の仕事以外の仕事や非営利活動に参加すること)」を実現している人たちだ。彼らは一様に、スキルと知識と経験を土台とした生き方を実現している。

 それでも新しい時代に追いつく準備の時間がないというならば、一時的に、ニートや浪人時代を送るという選択肢もあり得る。

 日本でも中高年層の再就職ばかりか新卒者の就職先すらみつからないなど、失業は社会問題として取りざたされている。

 だが、失業率が高いことは、本当に問題なのだろうか?

 先進国では、人が生存するために必要なモノにはすでに余剰がある。生産過剰であることを前提とすれば、人も余ることになる。古典的な労働の意味(=生産)に立ってみれば、失業率が高いことはそれだけ豊かだ、ともいえる。

 ヘリクツだとわかったうえで、僕は失業をあえて肯定したい。

 そもそも日本のサラリーマンは、失業者や生活保護を批判するが、今の都会の大企業で本当に必要な仕事、付加価値を出している仕事は、多く見積もって4割程度だろう。もはや会社の多くは、価値を産み出す経済体ではなく、月30〜50万円の給与という名の年金を配る生活保護団体と化しているようにも見える。そんな組織を、銀行も政府も必死になって支えている構図だ。

 ではなぜ、政府も国民もみな、雇用が大事だと言い続けるのだろうか?ケインズ的な経済における労働・雇用効果を信奉しているからだろうか?

 当然、違う。

 それは、みな時間を持て余すことを心から恐れているからだ。現代人が真に恐れているのは、飢えることではない。存在意義(アイデンティティ)を失うことだ。

 出世、給料、売り上げといった従来の指標にコミットしていれば、生きる意味を失わずにすむ。その壮大な虚構のために、現代の多くの起業は存在している。理不尽な上司や非合理な業務がその存在を許されるのは、価値を創造する必要性がないからともいえる。

「暇つぶし」のリテラシーを身につける

 これから、物質的に余剰の多い先進国に住む人びとは、人生の目的を「生存」から「創造」へ変えていかざるを得なくなるだろう。多くの人にとっては、パラダイム転換とも映る変化である。そのためには、辛い苦行も必要となるだろう。

 まずは、骨の髄まで染み込んだ労働者根性を徹底的に洗い流す必要がある。そのためには、ニートや浪人として、名実ともに生産を放棄する期間が必要だ。きれいさっぱり洗い流すのに、通常は1〜2年かかる。

 最初は慣れないだろう。ニート初級者ができるのは、せいぜい単純な暇つぶしである。20〜30代の男性ならば、GREEと2ちゃんねるとパチンコと漫画喫茶通いかもしれない。だが、そのうち、そうした娯楽に飽きるときが必ずくる。禁断症状が出てくる。どうしても社会復帰したくなる。そのような娯楽に生きる意味を見いだせなくなるからだ。

 だが、この期間を耐えて、なんとか従来の社会の指標ではなく、自分だけの「指標」を設計しなければならない。そこで求められるのは「暇つぶしのリテラシー」である。

 暇つぶしのリテラシーは、最初は単純なものでいい。ナイキ+でジョギングを記録し、クックパッドのマイフォルダ機能で、自分がつくった料理のレシピを増やし続け、農園をつくり野菜を育て、収穫を記録することで十分だ。小さな記録と小さな達成感が、やがて成長を生み、進化を促す。徐々に、より大きくて、より社会的な目標が生まれる。少しは人に貢献してみようと思うようになる。

 そして続けるうちに、貢献をお金に変換できるようになる。それが新しい時代の仕事の仕方である。すると次は、仕事と仕事を組み合わせて、さらに大きな価値を産み出すシステムをつくろうと考えるだろう。それがビジネスである。ビジネスの本質は組織化にある。

 いずれ、仕事は「遊び」であり、事業は「価値と信用を創造するゲーム」にすぎない、と悟るときがくる。こうして、人生の目的が「生存」から「創造」に変わる。

 人生の意味が「創造」へと変われば、人はもっと自由に生きられるようになる。少しずつでも、今はその準備をすることが大切だ。

(次回は3月19日更新予定です。)
 


04. 2013年3月15日 02:04:43 : xEBOc6ttRg
第426回】 2013年3月15日 岡 徳之
この春、憂鬱な“つながり予備軍”が急増の予感?
ビジネスマンが悩む新手の「SNS疲れ」解消法
上司、部下、同僚、そして取引先の新しい担当者――。企業で人事異動が行なわれる4月は、ビジネスマンにとって1年のうちで最も人間関係の変化が大きい季節だ。今やビジネスの絆を深める重要なツールの1つとして認識されているSNSだが、あなたにとっての新たな「つながり予備軍」はさらに増えていくことになる。そうしたなか、仕事を円滑に進めるために、相手の求めに応じて否応なくSNSでつながらなくてはならない人が増え、疲れてしまうケースが増えそうだ。一方、SNSの「暗黙の作法」がわからずに、自分が気づかぬうちに相手を疲れさせてしまうこともあり得る。そうした事態が続くと、人間関係がギクシャクし、ゆくゆくは仕事そのものにも悪影響を与えかねない。今回は、ビジネスマンが気をつけたい「SNS疲れ」の現状とトラブル対策について、リサーチしてみたい。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)

最初は便利だと思ったけど
何だか最近疲れるんです――。

「最初は便利だと思ったけど……何だか、最近疲れるんですよね。自分がTwitterやFacebookに書き込んだコメントが物議を醸していないかどうか、心配で……いつもチェックしていないと落ち着かない。正直、しばらくSNSをやめたいんですが、仕事でつながっている『友達』も多いので、やめるとカドが立ちそうだし、世間から取り残されそうで……」

 こう語るのは、大手商社で働く30代の男性。こうした「SNS疲れ」の症状を訴えるユーザーが急増していることは、すでに多くのメディアで報じられている。「自分もその1人」と納得する読者も多いだろう。

 SNSが生活に欠かせない魅力的なインフラとなった一方、「SNS疲れ」という言葉が登場して久しい。最近では「LINE」のようなメッセンジャー機能を主とする「クローズドSNS」も存在感を強め、SNS利用の状況は刻々と変化している。それに伴い、新たな「SNS疲れ」のトレンドが出始めているようだ。

 もうすぐ4月。ビジネスマンのなかには、人事異動で新しい部署に異動し、上司、同僚、部下が変わる人、新入社員が自分の部署に入って来る人、そして取引先の担当が変わる人もいるだろう。ビジネスの現場において、1年のうちで最も人間関係の変化が大きい季節と言える。今やビジネスの絆を深める重要なツールの1つとしても認識されているSNSだが、あなたにとっての「つながり予備軍」はさらに増えていくことになる。

 そうしたなか、仕事を円滑に進めるために、相手の求めに応じて否応なくSNSでつながらなくてはならない人が増え、疲れてしまうケースが増えそうだ。一方、SNSに関する「暗黙の作法」がわからずに、気づかぬうちに他人を疲れさせてしまうこともあり得る。そうした事態が続くと、人間関係がギクシャクし、ゆくゆくは仕事そのものにも悪影響を与えかねない。

 そこでこの機に、ビジネスマンが気をつけたい「SNS疲れ」の現状とトラブル対策について、改めてリサーチしてみたい。

「オールウェイズ・オン」
高頻度でSNSを利用する人も

 現状を明らかにすべく、まずはSNS利用のトレンドを把握しよう。インターネット調査のネオマーケティングが、SNSを利用する全国の20歳〜49歳の1000人の男女を対象に、昨年実施した調査の結果を見よう。1日の間にSNSを利用する平均時間を聞いたところ、1位は「30分以内」(27.7%)、次いで「10分以内」が23.7%、「1時間以内」18.6%という結果になった。

 仮に、一度SNSを起動してからある程度の更新情報を閲覧し終わる時間を3分と仮定すると、1日に3回以上、多い人は10回以上の頻度でSNSを起動していることになる。

 多くの利用者が定期的に、人によっては「オールウェイズ・オン」とも言えるほどの頻度でSNSを利用していることがわかるが、それにはスマートフォンの普及も影響している。どんな状況下でも、携帯の電波さえ届けばパソコン並みにSNSの機能を快適に利用できるようになったからだ。

 これほどまでに我々の生活に浸透したSNSだが、ユーザーはSNSにどんなメリットを感じて使用しているのか。

 本調査によると、メリットを感じる1位は「暇つぶしができるようになった」(50.2%)。確かに、電車や待ち合わせ場所で周囲を見ると、おそらくはSNSを表示させているであろうスマートフォンの画面を、上から下にスワイプする人の姿がよく目につく。筆者自身の生活態度を振り返っても、そうだ。

 2位は「昔の友人などと再会することできた」(30.4%)、3位は「友人が増えた/友達の輪が広がった」(25.3%)と続く。「古い友人が今やっている仕事の取引先にいたり、意外と近くに住んでいたりすることを知り、久しぶりに会話の種ができて再開することになった」「飲み会で知り合った友人の友人とSNSでつながり、これまで参加したことのないコミュニティが開催するイベントに呼ばれた」など、オンラインのつながりがきっかけで、オフラインの交友関係が広がったという人も少なくないだろう。なかには、新しい営業先や転職先企業の発掘など、仕事に発展した人もいるはずだ。

 このように、我々の生活を充実させているはずのSNS。それに「疲れ」を感じてしまうのは、いったい何故なのか。調査結果から、ユーザーがSNSの何に疲れているのかを見てみたい。

 実は、SNSの利用に不満を感じたことがある人は、想像以上の割合に上る。前述の調査では、男性は57.2%の利用者が、女性はそれを上回る70.8%の利用者が不満に思ったことがあるという。

 その理由を聞いたところ、最も回答が多かったのが「面識がない人からのリクエストがあること」。前出の「よかったこと」では、オフラインの「友人が増えた/友達の輪が広がった」が3位に挙がった一方で、オンラインだけの関係しか持たない利用者とつながってしまうことには、不満が大きいようだ。

 またこの他にも、「自らの書き込みの返事があったか気になってしまうこと」や、「SNSに拘束されるようになったこと」などが挙がった。これは、冒頭で紹介した男性の悩みにも通じる理由である。

 前述のメリットに関する質問では「暇つぶしができるようになった」が1位に挙がった一方で、多くの利用者が手段(SNS)に翻弄され、達成された目的(暇つぶし)とは異なる新たな課題を抱え込むという、矛盾を感じていることがわかった。

SNSの人気は衰えないものの
半数のユーザーが「面倒」と感じる

 そうした矛盾は、SNSへの愛着を失わせるようだ。SNSを利用していて面倒に感じることがあるかを聞いたところ、41.9%の利用者が「ややそう思う」という結果に。「とてもそう思う」の9.7%を合わせて51.6%と、約半数の利用者が「SNSを面倒に感じることがある」という。

 それなら、SNSなんてやめてしまえばいいじゃないか――。実際は、そう簡単に割り切れるものでもないようだ。

 今後についてSNSの利用頻度を聞いたところ、「現状の頻度を維持して続けたい」が66.5%で最多、続いて「現状の利用頻度を減らして利用し続けたい」(24.1%)という結果に。SNSに不満を持つ人が多い一方で、享受するメリットがそれを上回っているからなのか、それとも止むを得ずなのかはわからないが、いずれにせよSNSの利用を続けたいと思っている利用者は少なくないようだ。

あなた自身も「誰かのSNS疲れ」
の原因になっていないか?

 一方で、視点を変えて考えてみる必要もある。自分自身も、「誰かのSNS疲れ」の原因になり得るということだ。

 前述の通り、SNSに対する不満の最大の原因は、「面識がない人からのリクエストがあること」だ。「自分は友だちだ」、もしくは「友だちになりたい」と思っていたとしても、相手はそう思っていないこともある。リクエストに限った話ではないが、相手が望んでいないことを「無意識に」やってしまうことは多い(意識的にやっているとすれば、それはそれで問題だ)。

 職業柄、インターネットに身を晒すことで本人も「SNS疲れ」を感じながら、同じ境遇の知人にも取材を重ねてきたフリーのITライター、池田園子氏はこう警鐘を鳴らす。

「SNSを利用するとき、私たちは自分をたった1つの個人と認識しながらも、つながっている他の利用者からすれば、異なる複数の人格をまとっていることを、前提として認識すべきです」

 よい例として、池田氏は「SNS疲れ」を感じている知人(20代女性)のケースを紹介してくれた。

 その女性は、年に数回通う地元のマッサージ店の先生からFacebookで友達申請が来て、それを承認したところ、自分が行うほぼ全ての投稿に対して「いいね!」が付いたそうだ。

 そのマッサージ店の先生は40歳くらいの独身男性。その女性に対して、特別な好意を抱いているわけではないらしい。しかし彼女は、「せっかく通い慣れていたマッサージ店なのに、行きづらくなった」という。

 池田氏が、その先生のFacebookアカウントページでつながっている友達の数を確認したところ、その数は10人。おそらく先生のニュースフィードは更新性が低く、起ち上げるとほぼ先ほどの女性の投稿で埋め尽くされてしまうのだろう。

 先生からすれば数少ない友達の近況だが、女性からすればたくさんいる友達の中で「やたらと『いいね!』してくる人」という印象になってしまい、どことなく気味悪さを感じてしまう。

 おそらくこの先生に悪気はないはずだが、かと言って真意も測りかねる。だからこそ、その女性は本人に指摘するわけにも、ブロックするわけにも行かず、ストレスを抱え続けているのだ。

 この事例を見てもわかる通り、意外なことに、相手を疲れさせる原因は、我々がオフラインの場では当たり前のように自覚していることにもかかわらず、オンラインの場になると途端に無自覚になってしまうことばかりだ。

 また、自分が無自覚に疲れさせている相手は、ほとんどの場合、自分には一言も告げずにただブロック(=つながりを拒否)し、疲れさせた本人は自分に問題があることに気づかない場合が多い。これは、オフラインの関係までもが傷ついたまま終わるという、やるせないパターンである。

「SNS疲れ」の原因と対策を
3大ツールで徹底検証してみよう

 プライベートだけならまだしも、こうした感情の行き違いでビジネス上の人間関係を悪化させてしまうと、ダメージは大きい。SNSで疲れる側にも、疲れさせる側にもならないためには、どうしたらいいいか。前出の池田氏に詳しく話を聞いた。

 SNSと一口に言っても多岐に渡る。ここでは代表的な3つ、Facebook、LINE、Twitterの3つに的を絞り、各サービスについてビジネスで「SNS疲れ」の原因となるトラブルと、それでもSNSと上手く付き合っていくための対処法を教えてもらおう。

 第一に、形成された規模の大きさゆえに、「SNS疲れ」という言葉が登場するきっかけにもなった、Facebookについて見てみる。

 まずは、自分の行動や投稿が仇となるトラブル事例と解決策から。気を付けたいのは「不用意な投稿」である。

 仕事がどうしても片付かないまま、予定されていた飲み会の開始時刻になり、適当な言い訳をして自分は会場へ。お酒の酔いも回ってきた終盤に参加者で記念撮影。その写真に幹事がタグ付けをして投稿し、上司や顧客に発見される――。こういうパターンはよくありがちだ。会社員として、まさに面目丸つぶれである。こうした事態を防ぐためには、どうしたらいいのか。

「他の利用者による写真のタグ付けや、つながりを制限するなど、自分のアカウントのプライバシー設定を見直すことは、Facebookの技術に関する知識が必要であり、また手間もかかるので避けてしまいがち。でも、実は簡単にできる。面倒臭がらずに、定期的に確認した方がよいでしょう」(池田氏)。

「今日はタグ付け禁止で!」は必須
仕事関係者に飲み会がバレない心得

 写真のタグ付けを制限するための方法を教えよう。Facebookのトップページ右上にある『鍵』マークから『その他の設定』にアクセスする。左に並んでいるメニューから『タイムラインとタグ付け』を選択し、他のユーザーによって追加されたタグやタグの提案の管理を『オン』にすれば完了だ。

 この方法以外にも、「今日はタグ付け禁止で!」と撮影者に口頭で伝えておいた方がよい。また、撮影する側も「タグ付けして大丈夫ですか?」と一声かけた方がよいだろう。

 また、酔っぱらうと気持ちが大きくなってしまいがちな人は、つい熱くなって、自分の仕事論や自慢話ともとれるような「語り」の投稿に気をつけたい。「語り」が普段の行動に伴っていない場合は、その後、周囲の同僚から冷ややかな目で見られることになる。

「Facebookは基本的に近しい友達とつながっているため、我慢できずにどうしてもつぶやきたくなってしまうときはある。そういうときは、せめて投稿の公開範囲を設定するべき」と、池田氏は指摘する。

 やり方は、『近況アップデート』を入力すると、『投稿』ボタンの左に『公開』ボタンが表示される。『▼』でリストを表示させると、「友達」や「自分のみ」などから選ぶことができる。

 特に活用したいのは、『カスタム』だ。『特定の人またはリスト』を選択すれば、名前を入力した人のみに対して投稿が表示される。また逆に、『シェアしない相手』に名前を入力すれば、その人は投稿を閲覧できないようになる。

 さらに、自分に関する投稿が原因で発生するトラブルを防ぐ手立ては、Facebookアカウントの設定だけではない。池田氏は、「そもそも投稿する内容に関するマナーにも気をつけるべきだ」という。

 最近、「シェアさせていただきます!」というコメントを使うと嫌われると話題になった。なぜか。本人にその気がなくても、周囲には「自分よりも力関係が上の人(上司、先輩など)に取り入られようとしている」と受け取られたり、「わざわざ許可を得る行為が面倒なのではないか」と不快に感じられてしまうこともあるからだ。コメントする内容についても、Facebookならではの「空気の読み方がある」ということを覚えておきたい。

友達申請もコメントも防げないなら
「いかに疲れないで済むか」の工夫を

 では逆に、自分を疲れさせる投稿の事例と、その相手に対処する方策を考えてみよう。上司、先輩、同僚からの『友達申請』は断わりづらいものだし、コメントの投稿を止めさせることもできない。ならば、「いかに疲れない工夫をするか」が大切になる。

 池田氏は、相手が行った投稿の『ニュースフィードへの表示頻度』の設定し直しを推す。友達のFacebookアカウントページにアクセスすると、カバー画像のすぐ下に『友達』ボタンがある。ここをクリックすると、『ニュースフィードに表示』にチェックが付いているので、一度クリックしてそれを外す。すると、その友達の投稿は自分のニュースフィードに表示されなくなる。

 また、特に同氏が薦めるのが、『ニュースフィードに表示』の下にある『設定』で『重要なアップデートのみ』に切り換える方法だ。全くニュースフィードに表示されなくするのではなく、たくさんの利用者に評価されている投稿内容だけを表示させるようにすれば、自分にとってある程度有益な投稿だけがニュースフィードに集まることになる。これなら「疲れ」も半減するだろう。

「Facebookの『いいね!』が脅威に変わることもある」(池田氏)ことを自覚し、公開範囲設定などのハード面、Facebookならではの空気の読み方など、ソフト面の両面から対策を心がけたい。

 第二に、Facebookに次いで人気急上昇中のメッセンジャーアプリ「LINE」のトラブルと対策についても見ておこう。LINEはメッセンジャーとしての役割が主でありながら、限られた親しい友達とつながることができる「クローズドSNS」の役割も果たしている。池田氏は、「LINE疲れ」の原因となり得るトラブルを3つ挙げてくれた。

 1つ目は「電話帳」について。LINEは、電話のアドレス帳に登録している人がLINEを使っていると、自動的に「ともだち」一覧に追加される仕組みになっている。

 しかし連絡先を交換していても、上司、先輩、後輩など、LINEではプライベートでつながりたくない人がいる場合は、『設定』の『プライバシー管理』で『ともだち自動追加』をオフにすると、そうした人たちが自動的に「ともだち」一覧に追加されることはなくなる。

 また逆に、LINEでつながりたくない人の「ともだち」一覧に追加されたくない場合は、同じく『設定』の『プライバシー管理』で『ともだちへの追加を許可』をオフにしておこう。

会社の携帯で「LINE」はタブー?
マメに返信しないと同僚から不満も

 また同氏は「会社から支給された携帯でLINEは使わない方がよい」という。言わずもがな、会社の携帯には顧客や同僚ばかりが登録されており、SNSでつながりたい友達ばかりとは限らないからだ。

 2つ目は「既読」について。LINEではメッセージを送った相手がそれを読むと、『既読』という文字が表示される。

 この「既読」でよく発生するのが、「読んでくれているはずなのに、返信してくれない」と相手を急かしたくなってしまうことだ。特にメッセージのやり取りをしている相手が近しい同僚などの場合、「トイレでスマホいじっているんなら、そのときに返せよ」(池田氏の友人談)とも思われかねない。こうしたことが続くと、仕事上の関係が疎遠になってしまうこともあるだろう。

 そもそも、クローズドなSNSだからこそ、利用者が積極的にコミュニケーションを図らなければ、コミュニティとして成立しずらくなる。自分自身が疲れてしまわない程度に、小マメに反応するのがよいだろう。

 3つ目は「スタンプ」について。スタンプはLINEならではの新しいコミュニケーションツールであり、文字を打つことなく感情を伝えられる便利な機能だが、Facebook同様、LINEならではの空気の読み方が求められると池田氏は言う。

 たとえば、遅刻や仕事上の失敗などが原因で「謝罪」をしなければいけないシーンにおいて、ギャグスタンプで笑いに変えて許しを請うというのは、とても高度かつリスキーな行為である。笑いに変えられなかったときには、「きちんと自分で考えた文章で謝らないなんて、本当は反省していないんだ」「そもそもLINEで謝罪を済ませようとするなんて、おかしい」と、謝罪すべき事象のすり替えさえも引き起こしてしまう。普通の感覚では考えにくい行為だが、ついついやってしまう人が多いのだという。

 たとえ相手が同僚であっても、近しい人とつながっているからこその礼儀や、そもそもLINEで伝えるべきことなのかも含めて、上手に使いこなしたい。

 そして第三に、Twitterの傾向と対策についてはどうか。TwitterはFacebookのように実名制でなく、LINEのように電話帳でつながることもないので、3つのSNSの中では最も匿名性が高く、自然と投稿の自由度も高くなりがちだ。

 池田氏は「Twitter疲れ」の原因となり得るトラブルについても、事例を2つ挙げてくれた。

 1つは、「過去の投稿」について。Twitterは現在、過去のツイートを全てダウンロードできるように仕様の変更を進めている。

 現在は、英語、ドイツ語、ペルシア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語、ヒンディー語、ハンガリー語、マレー語、ノルウェー語、ポーランド語、そしてスペイン語の13ヵ国語であるが、いずれ日本語も含まれる可能性がある。

仕様変更で、過去につぶやいた
会社や上司の悪口がバレバレに?

 そうなれば、最近Twitterでフォローされた人でも、それより前の投稿をどこまでも遡って閲覧することができるようになるため、過去につぶやいた会社や上司に対する愚痴、ネガティブな投稿などが筒抜けになる。また、『Togetter』などの投稿をまとめる周辺サービスも盛り上がっているため、いつそうしたつぶやきを人に発見されるか、油断ならない。

 Twitterには自分の投稿を限られた人にだけ開示する『鍵』をかける機能や、アカウント名やアイコン画像を自由に設定できるポリシーがあるので、不安な人は活用してみるといいかもしれない。

 もう1つは、その匿名性ゆえに投稿の自由度が高くなるからこそ、FacebookやLINEに比べてネガティブな投稿が行われがちであること。池田氏いわく「特にそれは経験や知識が豊富な“オトナ世代”に見られる傾向で、フォロワーからすると悪口やディスりと捉えられかねないような投稿をしがち」という。

 オフラインの場では議論に参加しないような人でも、Twitterになると気持ちが大きくなりがちのため、よく投稿するという人は他人を疲れさせないように気をつけたい。

SNSで疲れないための秘訣
「役割」と「友達の基準」を分ける

 今回の取材を踏まえてたどり着いた「SNS疲れ」を引き起こさない秘訣は、「それぞれのサービスに求める役割」と「つながる友達の基準」を、自分の中で明確にすることだ。

 たとえば、Facebookは「仕事につながる関係を増やす場」(役割)だから、「誰とでもつながっておく」(友達の基準)。LINEは「親友とだけで集う内輪の場」(役割)だから、「2人だけでも気兼ねなく遊べる人だけとつながっておく」(友達の基準)。そしてTwitterは「愚痴をこぼす場」(役割)だから、「鍵をかけてできるだけ誰ともつながらない」(友達の基準)という風にである。

 そのように自分の中で線引きをしておけば、万が一基準に当てはまらない上司、同僚、部下から友達のリクエストが届いても、迷うことなく無視したり、投稿の公開範囲や相手の投稿の閲覧頻度を設定するなどの対処が打てる。また、その場にそぐわない投稿を思わずしそうになったときにも、別のサービスで投稿するなど、空気を読んで他の利用者を疲れさせずに済む工夫もできる。

 そうやってサービスを使い分けているうちに、いずれかのサービスと疎遠になってしまうのは、仕方のないことでもある。忙しいビジネスマンにとって、1日に使える時間は限られているからだ。

 もしかしたら、そうやって使用頻度の低いサービスから自然と離れていくことが、健康的な状況なのかもしれない。前述のように、最も良くないのは、手段(SNS)やそこにいる“友達”に翻弄され、目的(暇つぶし)とは異なる新たな課題を抱え込んでしまうことだ。

 むろん、ここで紹介した「SNS疲れ」のパターンは、ビジネスだけでなくプライベートでも普通に起こり得ることだ。とはいえ、仕事上のつながりのなかで起きる「SNS疲れ」は、自分が疲弊する立場になっても、相手が疲弊する立場になっても、お互いに本音で問題提起をしにくいため、よりストレスフルと言える。

「つながり予備軍」が増えそうなこの春、あなたの対策は大丈夫だろうか。


 


 


英国に必要な成長宣言:もう少し速くできないか?
2013年03月15日(Fri) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年3月9日号)

英国経済は行き詰まっている。構造改革、金融緩和、そしてインフラ投資の増加が必要だ。

 本誌(英エコノミスト)は過去170年間にわたって英国経済を追い続け、いくつかの壊滅的なショックも見届けてきた。1857年の世界不況は銀行を破綻に追い込み、輸出需要を冷え込ませた。1930年代の世界恐慌は英国に大打撃を与えた。2度の世界大戦は住宅やインフラを破壊した。

 それでも、それぞれの出来事の5年後には必ず経済が成長していた。今回はそうではない。

 英国は辛うじて前に進んでいるかどうかという状況だ。イングランド銀行は、2007年に1.5兆ポンド(3兆ドル)を記録した経済生産は、実質ベースで、2015年までその水準に達しないと考えている。逆風が吹けば、英国はいとも簡単に10年の歳月を失いかねない。

 一向に増えない賃金としつこいインフレは購買力を蝕んでいる。ポンドは下落しているが、貿易収支は悲惨だ。悲観論が強まりつつあり、英国人の12%が来年には家計が楽になると予測する一方、52%は悪化すると考えている。

経済にガソリンを


英国のジョージ・オズボーン財務相は、成長促進にもっと力を入れる必要がある〔AFPBB News〕

 成長できない状況は企業や家計の痛手となるだけではない。財政を均衡させることも著しく困難になる。

 英国財務相のジョージ・オズボーン氏は、称賛すべき緊縮計画の途上にあり、2017〜18年度までに現在は国内総生産(GDP)比3.6%の構造的財政赤字を解消し、対GDP債務比率を低下に転じさせることを目指している。

 だが、鈍い成長のせいで、給付金の支払額が高止まりする一方、税収が落ち込み、その目標に手が届かなくなっている。

 2008年に6000億ポンドだった債務は現在、1.1兆ポンドに膨れ上がっている。投資家がオズボーン氏を信頼しているため政府の借り入れコストは今も低いままだが、中期的な成長への懸念から英国の格付けは引き下げられた。

 オズボーン氏は一体どこに成長を見いだせるのだろうか?

 銀行融資は今も大きな問題だ。イングランド銀行が金利を過去最低水準に引き下げたにもかかわらず、民間銀行は企業に対し、政策金利よりはるかに高い金利を課している。これで2009年以来、企業の借り入れが減り続けている理由の一端が分かる。

 金融政策が解決策の1つだ。本誌はこれまで、オズボーン氏はイングランド銀行が名目GDPが今より10%増えるまでは金利を引き上げないと明確に表明できるよう、イングランド銀行の権限の解釈を改めるべきだと論じてきた。こうすれば、急激な金利上昇への恐怖を緩和できるはずだ。

イングランド銀行と協力してすべきこと


成長促進に向け、財務省はイングランド銀行(写真)と協力する必要がある〔AFPBB News〕

 また、オズボーン氏はイングランド銀行と協力して、同行の「ファンディング・フォー・レンディング(FFL、融資用資金供給)」枠を拡大する必要もある。

 FFLを使うと、商業銀行は資金調達コストを引き下げることができ、その分を融資先に還元できる。

 この枠組みはうまく練られているが、規模が小さく、銀行が抱える既存の国内融資残高の5%と今後新たに提供される融資をカバーするに過ぎない。今のところ、FFLのおかげで住宅ローン金利は多少低下したが、英国企業への恩恵はほとんどない。

 さらに財務省は、資本が流れるようにする手立てを講じるべきだ。配当ばかりを気にする英国の金融市場は、同国の将来的な成長に必要な研究集約型の中小企業の役に立っていない。政府はそうした企業に重点を置く官民投資銀行を設立することで、イノベーションを後押しできるはずだ。

 破産法の改正も効果的だろう。生産高が激減したにもかかわらず、倒産した企業は少ない。銀行は損失を被るのを嫌がるし、経営者は倒産の汚名を嫌い、低利融資のおかげで倒産を回避することができる。

 だが、完全に死なないゾンビ企業は、より優れたアイデアを持つ企業から資本を遠ざけてしまう。中小企業に対する買収の規則を緩和すれば、勝者が敗者を吸収できるようになるだろう。また、事業に失敗するコストを小さくしなければならない。起業家の再出発を可能にするという点では、英国は依然、米国に立ち遅れている。

成長を促すインフラ整備


インフラ投資は成長促進効果が高い(写真はロンドン中心部のウォータールー橋で渋滞するバス)〔AFPBB News〕

 もう1つの優先事項がインフラだ。鉄道と道路、橋、そしてブロードバンドは、それ以外の歳出に比べ、公的資金1ポンド当たりの成長促進効果が高い。

 それなのに、歳出が最も削減されたのがこの分野だ。公的部門の純投資額は2009〜10年度から2011〜12年度にかけて、485億ポンドから280億ポンドに減少した。

 財務省は予算配分を待つ「今すぐ着工できる」大型プロジェクトがいくつかあると主張する。確かにその通りだが、プロジェクトは大規模である必要はない。道路や鉄道、信号機の補修工事などの小規模で地味な仕事はすぐに着手できる。投資額は楽に560億ポンドに倍増させられるはずだ。

 成長を促すために税制を変更してもいい。企業が開発用地をそのまま眠らせている理由の1つは、オフィスや倉庫が建設されるまで税金を払わなくてもいいからだ。地価に対して課税した方がずっと賢明だ。そうすれば、土地を抱え込んでおくことが高くつくようになり、所有者はその土地を活用できる人への売却を余儀なくされるだろう。

 いったん利用されるようになれば、地価と税金が上昇し、好循環を生むことになる。税収がより良いインフラに投じられ、土地の価値をさらに高めるからだ。

 最後に、オズボーン氏は英国が能力のある人材を必要としていることを明確に示すべきだ。移民削減を目指す政府のポピュリスト的な取り組みは若者と高学歴者の入国を阻むものであり、経済的な大惨事だ。ブラジル人のビザを巡る最近の茶番は特に愚かだった。

 過去1年間の移民の減少の大半は、学生数の減少がもたらしたものだ。これは撤回すべき経済的自傷行為だ。

潤滑油をどこで見つけるか

 こうした改革の多く――名目GDPの目標、破産法、移民政策など――はお金がかからない。一方で、お金のかかる対策もある。追加的な280億ポンドのインフラ整備がその代表例だ。

 オズボーン氏は生産性の低い政府事業から資源を移すことにより、3月20日発表の新年度予算案の中で必要な資金の大半を捻出できる。何しろ、緊縮論が叫ばれているにもかかわらず、2011〜12年度の政府支出は2001〜02年度実績より3000億ポンドも多かったのだ。

 この間に598億ポンドから1214億ポンドに増加した医療費は特別に保護されている。それは間違いだ。これほど急激なコスト増加を許す民間企業の経営者がどこにいるだろうか? また、年金生活者向けの燃料費補助など、現在は一律で支給されている福祉給付金を貧困層向けに絞ることで支出を削ることができるはずだ。

 本誌は今も、主に歳出削減によって赤字を減らすというオズボーン氏の計画の趣旨は支持している。政府は肥大化してしまった。そして本誌は、英国の経済問題はすべて財政引き締めのせいだとする、労働党が唱える考え方を否定する。ユーロ危機と傷んだ金融システムが主たる原因だ。

 しかし、財務相は成長を促すうえで、今よりはるかに大胆になる必要がある。オズボーン氏は贅肉のついた公的部門に切り込むことで、本誌が提唱するインフラ整備に必要な280億ポンドの少なくとも半分、あわよくばそれ以上を簡単に捻出できるはずだ。

成長のためなら借り入れを増やせ

 では、倹約家のオズボーン氏は、残りの資金を借りるべきなのだろうか? もしそれが長期的な成長を促すインフラに投資されるのなら、本誌の答えはイエスだ。140億ポンド借り入れても、英国の債務額はGDP比でわずか1%増えるだけだ。

 批判的な向きは酷評するだろうが、債券市場は成長のためにオズボーン氏が多少借り入れを増やすことを許してくれるだろう。結局のところ、成長がなければ英国は完全に行き詰まるのだ。


 

早期の財政均衡を図るドイツの予算に賛否両論
2013年03月15日(Fri) Financial Times
(2013年3月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 他のユーロ圏諸国に慎重な財政の手本を示す優れた導き手なのか、それとも回復を促すことを断固拒む身勝手なただ乗り行為なのか?

 来年の純借入額を40年ぶりの低水準まで削減して財政を均衡させるというドイツの決定は、他のユーロ圏諸国とは好対照だ。ユーロ圏諸国の大半は――危機に見舞われたスペインから徐々に衰退するフランス、さらにはオランダに至るまで――、赤字削減目標を達成できないか、達成するのに四苦八苦するという状態にある。

「景気刺激は超低金利で十分、債務ブレーキは絶対必要」

 ドイツが「債務ブレーキ」と呼ぶものをこれほど急激に踏むという選択は、ドイツ自身にとって、あるいは他国にとって経済的に意味があるのかどうかという問題が意見を二分している。

 ドイツの失業率はスペインの5分の1の低さで、欧州中央銀行(ECB)の過去最低の金利のおかげで企業は簡単に資金を調達できる。そのため表面的には、政府支出を減らして2014年に構造的な財政赤字をゼロにしても、国内経済に害を与えることはないし、自らが他国に説教していることを実行するだけだ。

 「これは絶対に必要だ」。コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマー氏はこう言う。「我々はソブリン債務危機の真っ只中にいる。他国に債務ブレーキを踏むよう忠告してきたのはドイツだ。ドイツが自身の債務ブレーキを撤廃するようなことになれば、壊滅的なシグナルを送ることになる」

 だが、ドイツ経済は実際、2012年第4四半期に縮小しており、今年は良くてもわずかな成長率しか達成しないだろう。成長率を高めるためには、減税その他の財政刺激策――ひいては赤字の拡大――は価値あるトレードオフになるのではないか?

 「ドイツに決して必要ないものは財政出動だ」とクレーマー氏は言う。「ECBの超低金利を考えると、ドイツには非常に大きな刺激策が存在し、そのうえに財政出動を加えるなんて馬鹿げている」

「ユーロ圏を無視し、財政均衡に誇りを持つのは全く見当違い」

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のポール・デ・グラウウェ教授は、意見を異にし、低金利環境では追加的な利下げはもはや大きな効果を持たないため、刺激を与えられるのは財政政策だけだと主張する。

 「ユーロ圏が景気後退に陥っている時に、財政を均衡させることに誇りを持つのは完全に見当違いだ」とデ・グラウウェ教授。「ユーロ圏が全体として刺激を加えることについて誰も責任を感じておらず、全員が緊縮策によってデフレ圧力を加えようとしている」と言う。

 ユーロ圏に渋々カネを出す主計官というイメージによく似た自己像にもかかわらず、ドイツの輸出主導型経済は単一通貨の加盟国であることから恩恵を受けてきた、とエコノミストたちは主張している。ユーロの為替レートは、ドイツマルクが維持された場合に見込まれた水準より低かったからだ。

 また、ドイツの銀行はスペインのような国々で、後に危機を招くことになった信用バブルを煽るうえで重要な役割を果たした。

 「この危機の責任は共通だ」とデ・グラウウェ教授は言う。「確かに南欧諸国は無謀だったが、無謀な債務者が1人いれば必ず無謀な債権者が1人いるはずで、そうした無謀な債権者たちは欧州の北部にいる。だが彼らは、自分たちは立派で、今のやり方から逸脱してはならないという神話を喧伝してきた」

 財政を均衡させる代わりに、ドイツ政府が安定した対国内総生産(GDP)債務比率を維持できる2〜3%の財政赤字を計上すれば、ドイツとユーロ圏はもっと良い状態になる、とデ・グラウウェ教授は主張する。

 「景気後退期に債務を減らそうとするのは好ましいことではない。誰もが債務削減を図っているからだ。我々が景気後退に陥るのはこのためだ。ドイツには(赤字を出す)余裕がある。世界中の人が呆れるほどの低金利でドイツ国債を買ってもいいと思っている。つまり、これは間違いなく市場がドイツに『もっと国債を発行してくれ!』と言っている兆候だ」

ドイツ国内では賛成派に分か

 しかし、どんな債務にも道徳的な汚点が付くドイツでは、こうした見方が勢いを得る可能性は低い。

 クレーマー氏は、高い雇用水準に対する重点的取り組みを維持することの方が重要だと述べ、どのような財政出動も、大抵フランスのような隣国に後れを取る内需を促すことには成功しないだろうと主張する。「人は皆、将来増税で赤字を返済しなければならなくなることを知っているため、赤字の財政支出によって持続的な民間消費を生み出すことはできない」

By Michael Steen

 

アジアの高成長に乗れない欧米大手銀行
2013年03月15日(Fri) Financial Times
(2013年3月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 アジアは業界の救世主となるはずだったが、過去2年間は、この地域に進出している法人向け金融機関と投資銀行にとって厳しい時期だった。

 株式市場での大型上場が相次いだ2009年から2010年にかけての中国主導の好況期に代わり、今では世界的な銀行が手がける事業の中核分野の多くで活動が減速し、各社はどの分野で収益を追求すべきか、いかにして経営と事業を再編すべきか真剣に考えざるを得なくなっている。

大手銀行で目立つアジア地域の減収や減益

 年次報告書でアジア地域の業績を公表している欧米銀行では2010年以降、HSBCとスタンダードチャータード銀行――および2012年はゴールドマン・サックス――を除き、売上高や利益、あるいは収益双方が減少してきた。

 新株発行や売り出し、借り入れ資本の調達、M&A(合併・買収)、株式の売買仲介という伝統的な投資銀行業務では、比較的健全なアジアの成長率にもかかわらず、軒並み売上高が落ち込んだ。

 加えて、アジアのM&Aの手数料はかねて他地域より少ないうえに、今なおアジアで事業を築こうとしている世界各地の銀行との競争がかなり熾烈だ。

 「アジア地域の銀行、HSBC、スタンダードチャータードと、世界的な巨大投資銀行との最大の違いは、ビジネスを獲得している分野がかなり異なることだ」。CLSAでアジア地域の銀行調査部門を率いるデレク・オビントン氏はこう話す。

 「シティグループも存在感がある資金決済・取引サービスなどの伝統的な法人向け金融業務は相対的にかなり堅調だった」

赤字転落したクレディ・スイスは経営刷新

 この2年間の業績が最も悪かったのはクレディ・スイスで、アジア地域での利益が2010年の3億6800万スイスフランから徐々に減り、2012年には1億5100万スイスフランの赤字に陥った。同社は業績悪化を受けてアジア部門の経営陣を交代させ、アジア太平洋地域の最高経営責任者(CEO)だったオサマ・アバシ氏を解任した。

 アジア在勤のシニアバンカーらによると、アバシ氏の解任は、複雑な経営構造を全面刷新し、現場のバンカーに迅速に事業を獲得する自由を与えることを目指した取り組みの一環だという。

 一方、ドイツ銀行などはターゲットを絞り込んだアプローチを取ろうとしており、法人金融・投資銀行業務の顧客数と、顧客に提供する商品数を一段と減らしている。ドイツ銀行はアジアについて限られた業績内容しか開示していないが、直近のデータである2010年から2011年にかけては、法人金融・投資銀行業務の売上高が減少した。

 ドイツ銀行でアジアのグローバル市場部門を率いるディクシット・ヨシ氏は、業界が失った株式売買のビジネスの半分程度はもう戻ってこない可能性があると言う。同氏によると、市場ではこの2年ほどで資金の流れが20〜40%減少している。

 「その半分程度は、パッシブ(受動的)な投資スタイルへの転換や電子取引へのシフトによって恒久的に失われたものだ。これに対する当社の対応は、我々が最大の価値を付加できる最大顧客と、我々が技術的な優位を持つ最も流動性の高い金融商品に焦点を絞り込むことだった」

 やはり近年投資を行ったものの、現在アジアで事業を縮小している銀行がバークレイズだ。同社CEOのアントニー・ジェンキンス氏は、アジアの顧客の獲得を目指すのではなく、むしろアジアのサービスを欧州や米国、アフリカの顧客に提供したいと考えている。

ゴールドマンはコスト削減で業績急回復

 一方、ゴールドマンの業績は昨年、劇的に回復した。同社は早くに景気減速に気付いたおかげだとしている。日本を除くアジア地域担当の会長、デビッド・ライアン氏は、ゴールドマンは全体でアジアにおける事業経費を2011年の41億ドルから2012年の39億ドルに減らす一方、報酬を増やしたと言う。

 「こうして見ると、我々のコスト削減の大半は2011年に行ったコスト管理策から来るもので、昨年になって効果が出たことが分かるだろう。もちろん今後も事業基盤からコストを取り除く方法を見つけていく」とライアン氏。

 グリニッチ・アソシエーツのコンサルタント、アビ・シュロフ氏(シンガポール在勤)によると、株式は昨年末まで売買高が乏しく、為替相場もよくて横ばいで推移してきたが、債券市場は堅調で、特に地元市場で売買する力を備えた銀行は好調だったという。

 「債券の多くは今、現地通貨建てであるケースが増えている」とシュロフ氏。「5〜6年前にこの分野をカバーしたいと考えた多くの銀行が、結局やめた。特に進出してから日が浅い時には利益を上げるのが非常に難しいからだ」

 シティグループによると、同社は3年前に、サムスンなどの多国籍企業「数百社」の法人顧客に専念することを決めた。

 シティは昨年、株式、債券、M&Aのランキングで上位3位に入り、同社によれば、おかげで中核の投資銀行業務の売上高が昨年30%増えたにもかかわらず、アジア地域の証券・銀行部門は2010年から2012年にかけて28%の減益を報告している。一方で、アジアの資金決済・取引サービス事業の利益は同じ期間に10%減少したという。

 これに対し、HSBCのアジア地域のグローバルバンキング・市場部門の利益(中国の提携先からの貢献を除く)は同じ期間に31%伸びた。しかも、これは大規模な香港事業を除いた数字だ。両社が報告する数字は同一ではないが、その規模と業績の方向性は有益な比較となる。

 現地通貨建ての債券市場の重要度の高まりは、アジアで本格的な事業展開を望む銀行にとって、現地に陣容を構える必要性を浮き彫りにしている。この状況は現在、HSBCとスタンダードチャータードに有利に働いており、シティとドイツ銀行も地域に有力なネットワークを持っている。

アジアの地元銀行に大きなチャンス

 だが、この状況は何にも増して、マレーシアのCIMBやインドのコタック・セキュリティーズなどの地元の金融大手が域内で法人金融・投資銀行業務の利益を伸ばす余地を生み出した。

 CLSAのオビントン氏によると、特に中国の市場規制当局が今も多くの新規株式公開(IPO)の障害となっていることから、多くの投資銀行が東南アジアに重点を移そうとしてきたが、スピードが不十分だという。「今でも香港と中国に過度に資源が配分されているが、これらの市場は今も脆弱だ」と同氏は話している。

By Paul J Davies


 


05. 2013年3月15日 02:06:43 : xEBOc6ttRg
【政策ウォッチ編・第17回】 2013年3月15日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

貧困層の子どもたちを“悪い学校”に行かせない!
アメリカ・ボストン郊外で続く約30年間の試み

――政策ウォッチ編・第17回

日本の社会保障制度の多くは、1945年の敗戦後にGHQ指令を発端として構築された。生活保護制度もその1つだ。

日本では未だ、社会保障制度などのモデルを諸外国に求める傾向が強い。では、自国の目指すべき将来に関する既存のモデルを持たないそれらの国々では、人々はどう自分たちの生活を前進させようととしてきたのだろうか?

今回は、アメリカ・ボストン市郊外の一隅で約30年にわたって地域コミュニティづくりの中心となってきたNPOの、子どもの貧困への取り組みを紹介する。

貧困問題に立ち向かうボストン市郊外のNPO
「ダドリー・ストリート・ネイバーフッド・イニシアティブ」


「ダドリー・ストリート・ネイバーフッド・イニシアティブ(DSNI)」。過去約30年にわたり、荒廃していたボストン・ダドリー地域の再生の中心となってきた
 2013年2月19日午後、私はアメリカ・ボストン市街から郊外へと向かうバスに乗っていた。地域の貧困問題に長年取り組んでいることで知られているNPO「ダドリー・ストリート・ネイバーフッド・イニシアティブ(DSNI)」に行ってみたかったからだ。DSNIには、事前に取材を申し込んではいたが、返事は得られていなかった。私は、建物と周辺の様子だけでも見てみたいと思った。

 DSNIについて、読んで知ることはできる。しかし、どんな場所に、どのような佇まいで存在するのかは、現地に行ってみないと分からない。バスで郊外のバスステーションまで行き、さらに郊外へと向かうバスに乗り換える。周辺の景色は、市街地の景色から、寂れた住宅地の景色へと変わっていく。道路沿いに不動産・食料品などのショップがちらほら見受けられるが、見たところ、その半分程度は営業していない。営業していないだけではなく、窓といいドアといい、荒んだ感じの落書きでいっぱいだ。その界隈には、日本人の感覚からすれば「豪邸」に属するポストコロニアル調の家々が立ち並んでいるのだが、よく見ると、「For Sale」という立て看板があったり、人の住んでいる感じを全く受けない荒れ方をしていたりする。

 目的のバス停で降りると、目指すDSNIの建物が見えた。私は道路を渡り、ドアの前まで行ってみた。せっかくなので、中に入って様子を見せていただき、資料をいただいて帰ろうと思った。そこで、カウンターにいたスタッフに、

「私は日本からやってきたライターで、こちらの活動に関心を持っています」

 と自己紹介したところ、思いがけず、インタビューをさせていただく機会に恵まれることとなった。

 インタビューに応じて下さったのは、シュゼ・M・バロス氏。1977年、24歳のとき、アフリカ・カーポベルデ共和国から移民としてアメリカにやってきたバロス氏は、ボストン市にある同国領事館の広報に従事した後、1996年からDSNIのスタッフとなった。ダドリー地域の住民であり、DSNIのメンバーでもあるバロス氏は現在、DSNIのCommunity Organizer and Plannerの役職にあり、教育・市民とのコーディネート・親たちへの働きかけ・アウトリーチの4つの業務に従事している。


「ダドリー・ストリート・ネイバーフッド・イニシアティブ(DSNI)」サイト。約30年にわたる活動の歴史・地域再生のすべてに関わる幅広い活動の内容・目指す将来などが示されている
貧困状態にある子どもたちとその親と、
何ができるのか?


シュゼ・M・バロス氏。アフリカ・カーポベルデ共和国出身。DSNI のCommunity Organizer and Planner。カーポベルデ領事館の広報職を経て、1996年よりDSNIスタッフ。自身も、ダドリー地域に居住している
 バロス氏は最初に、

「私たち、DSNIはサービスの提供はしません。さまざまな異なるニーズを持つ人々と一緒に活動します」

 と強調した。どういうことだろう?

「私たちは計画し、組織づくりをします。多くの場合、ニーズを持つ人々が他の住民サービスや機関へ問い合わせを行えるようにします。言葉の問題から、貧困層の親たちに代わって電話をかけたり、受けとった手紙を翻訳する手伝いを、私が行うことも少なくありませんが。こういう意味で、『私たちはサービスを提供しません』と言ったのです」

 日本では、支援者とニーズを持つ人々との関係が、NPO・NGOとの関係も含め、「サービスを提供する側」「サービスを提供される側」のどちらかになりがちである。日本人の感覚では、DSNIが行なっていることは「サービス」に他ならない。しかしながらDSNIは、そもそもの立ち位置が、全く異なるようだ。

 では、DSNIでは、貧困層の子どもたちに対して、どのようなことをしているのだろうか? 

「まず、私たちは、0歳〜5歳の子どもたちを持つ貧困層の親たちとともに活動し、親たちが子どもたちのためのサービスにアクセスできるようにします。通常、親たちは、子どもが学齢前に充分に発達するためのサービスにアクセスすることができません。だから私たちは、親たち・その子どもたちと一緒に活動します」(バロス氏)

 どのような子どもたちが対象なのだろうか?

「私たちは区別しません。親たち・子どもたちすべてと一緒に活動します」(バロス氏)

 障害者である筆者は、障害のある子どもの問題が気になった。今現在はいないそうだが、「子どもが障害とともにやってきたら、いつもと同じようにします」ということである。

 さて、特に問題を抱えていない親たちがDSNIのドアを叩くことはない。DSNIの存在を知り、支援を求めてくるのは、貧困なマイノリティの親たちである。その親たちは、どのような問題を抱えているのだろうか?

「まず、親たちはしばしば、充分な英語力を持っていません。だから、必要な情報を得ることにも、行政組織で手続きを進めることにも、困難を抱えています。私たちはリソースと情報を、親たちに提供します。そうしなくては、親たちには届かないからです」(バロス氏)

 その親たちの子どもたちにとっては、発育に必要な知的刺激が家庭では充分に得られないということでもある。

「通常、裕福な地域に住む小学3年の子どもたちは、概ね6000語の語彙を使えると言われています。でも、私たちのところに来る子どもたちの場合、たった1000語なんです」(バロス氏)

 大変な違いである。単に語彙の量の違いであるだけではなく、さらに知識を獲得すること・より高度な概念を理解して操作することなど、さまざまな側面への影響がありそうだ。

「6年生にもなると、さらに差が大きくなります。でも、幼い子どもたちには、スポンジのように言葉を吸収し、使えるようになる可能性があります」(バロス氏)

 特に学齢前の子どもたちに関しては、子どもたち自身に対して直接働きかけるというよりは、親の意識を高め、子どもの生育環境向上を支えることが重要だ。

「だから私たちは、親たちと一緒に活動を行い、何を一緒にできるかを知る努力をしています。0歳から5歳の子どもを持つ親が、学齢までに充分に発達するために必要なツールを子どもに与えられるように、親たちと一緒に活動しています」(バロス氏)

 とはいえ、親たちに充分な時間的余裕があるわけではない。


DSNI近辺は、寂れた感じのする住宅街だ。ところどころに、営業していない商店や落書きされた建造物がある
「私たちのところに来る親たちはしばしば、2つ・3つの仕事を掛け持ちしています。仕事は、パートタイムだったりフルタイムだったりします。土曜日も日曜日も働いています。経済的には、裕福ではありません。監督やケアをする大人なしに、子どもたちだけで在宅させなくてはならないこともあります。親たちの多くは、英語が充分にできないので、声を上げることも容易ではありません。あるシングルマザーは、5人の子どもが3つの異なる学校に通っているという状況にあります。母親はまだ、母国のカーポベルデにいます。このように家庭を分割することは、その家庭のためにならないのですが」(バロス氏)

 筆者はアメリカの学制について、インターネットで少し調べて分かる程度以上の知識は持っていない。日本の公立学校の場合には、小学校区・中学校区と地域は、ほとんど一対一で対応している。このため、通うべき学校は、居住地からほぼ自動的に決まる。しかしアメリカでは、事情がかなり異なる。ボストンには数多くの学校があり、親たちには数多くの選択肢がある。複数の子どもがいる家庭の場合、親の権利擁護が行われていれば、交渉して子どもたちを同じ学校に行かせることが可能である。しかし、英語力が充分ではない親たちにとっては、そのようなことがらの1つひとつが高い障壁になる。

「だから私たちは、教育に関する委員会も持っています。この委員会は、親たち・学校と共に活動しています。私たちは、システム以前のところで、親たちを力づけるために活動します。アメリカでは、特別なニーズを持つ子どもたちも、教育に関しては同じ権利を持っています。この委員会は、その子どもたちの親に、情報を提供します。そして、親たちが子どもの学校を訪ね、教員に会うことができるように、親たちを勇気づけます。ほとんどの場合、特別なニーズを持つ子どもたちの親は、サービスを得るために権利擁護される必要があります」(バロス氏)

荒廃した地域を再生するために活動
DSNIの約30年間


文化人類学者・渡辺靖氏の著書「アメリカン・コミュニティ」。うち一章に、2000年代前半までのDSNIの活動の歴史や、当時のDSNIが直面していた課題の数々が詳述されている
 ここで、「DSNI」はどのようなNPOであるかについて、簡単に紹介しておきたい。

 DSNIは、単に貧困層の子どもたちを救済する目的で設立されたNPOではない。ボストンで最も貧しい地域の1つであるダドリー地域を再生する目的で、1984年に設立された。DSNIのWebサイトによれば、1984年のダドリー地域は、貧困だけではなく、放火をはじめとする犯罪で荒廃した地域であったという。以来、約30年にわたり、DSNIはダドリー地域の再生のために粘り強い活動を続けてきた。さらに、行政や諸団体との良好な協力関係・堅固な財政的基盤も築きあげてきている。

 現在のDSNIの活動は、「ダドリー地域の持続可能な経済開発」「コミュニティのエンパワメント」「若者への機会提供と能力開発」の3つを柱としている。子どもたちと親への支援は、主に「若者への機会提供と能力開発」に含まれている。

 DSNIのサイトによれば、ダドリー地域の人口は、アフリカ系アメリカ人(カーポベルデを含む)72%、ラテンアメリカ系24%、白人4%となっている。1人あたりの平均年収は1万2332ドル。ちなみに同サイトによれば、アメリカ全体の4人家族での貧困線は1万7029ドル。地域全体が貧困状態にあると言っても過言ではない状況だ。失業率は13.6%。掲載されているデータの年次は明記されていないが、貧困線に関しては1999年のものであるらしく、かなり古い可能性がある。しかし現在も、住民の経済状況は、大きくは改善されていないようだ。

 なぜ、DSNIは子どもの問題を重視するのだろうか? 貧困問題への対策として、また子どもの人権保障として、子どもへの教育が重要であることは言うまでもない。しかし、それ以上に、子どもの人数が多いという理由もありそうだ。DSNIのサイトによれば、この地域の人口の3分の1は19歳以下である。また、18歳未満の子どものいる家庭は、ダドリー地域の世帯の約半分に達しているという。ボストン市全域の2倍である。多数の子どもが地域にいることそのものが、子どもの問題が目の前の重要な課題であることを、地域のすべての人々に示しているのかもしれない。少子化の進む日本で、子どもの問題が軽視されてよい理由はないけれども。

大きな課題の1つは
「子どもたちが夢を持ち続けること」

 さて、統計データに見られる数値だけでも、ダドリー地域の状況は深刻だ。この状況下で、子どもたちは将来を夢見て、夢を実現させるために努力することができるのだろうか?

「私たちは、そのために試行錯誤しています」(バロス氏)

 やはり困難なのである。一瞬、夢見るだけならば可能だとしても、努力を持続させることは非常に困難だ。

「すべての子どもたちが、将来、何かになりたいという夢を持っていますが、その夢を持ち続けられるように支援する必要があります。私たちは、『あなたたちはできるんだ』と、繰り返し語りかけ続けます」(バロス氏)

 しかし、モデルのないところで夢を維持し続けるのは容易なことではない。子どもたちにとっては、「見た目」が大きな問題になる。

「ダドリー地域には、学校に通っているマイノリティの子どもたちがたくさんいますけれども、その学校の教員たちは白人社会からやってきます。子どもたちと同じように見えるマイノリティの教員は少ないのです」(バロス氏)

 その影響は、子どもたちが「自分に似た大人」としての将来像を見つけられないことに留まらないだろう。就学・就労を含めて、マイノリティに与えられている機会が実質的に少ないことを自覚させることにもなるかもしれない。


DSNIのエントランス近くで配布されているパンフレット類。緊急通報用電話番号・職業案内・無料の英語教室・健康教育など、生活の基盤に関わるものが多い
「子どもたちに『あなたは何でもできる』と語りかけるのは良いのですが、学校のカリキュラムは、この地域に住んでいない誰かによって作られています。カリキュラムを作る人々は、この地域の子どもたちがどういう状況にあるのかを知りません。この地域の子どもたちは、ひとり親世帯の子どもであったり、親のない子どもであったりします。充分な食糧がなかったり、一つの部屋に数多くのきょうだいと一緒に住んでいたりします。裕福な家庭の子どもたちとは何もかもが違います」(バロス氏)

 その子どもたちが、学校で、「きれいごとばかり!」という反発を持たない可能性は少ないだろう。

「だから、子どもたちに『大きな夢を持ちなさい! すべてが可能だ、あなたは何でもなりたいものになれる』と語りかけ続けるだけではなく、学校の教員たちにも、そう信じてほしいと望みます。しかし教員の多くは、子どもたちの可能性を信じていません。実のところ、すべての子どもが知的で、成功する可能性を持っているのですが」(バロス氏)

 白人社会からやってきて白人社会に戻っていく教員たちの心ない言動に、子どもたちが傷つけられてしまうこともある。

「教員に見下されて、子どもが強く傷ついてしまうこともあります。しかし教員たちは、労働組合に保護されています」(バロス氏)

貧しい子どもにも良い教育を
すべての学校を良い学校に


DSNI内部。モスグリーンを基調とした、落ち着いた気持ちになれる空間。壁面には、長年の活動や社会からの評価を示す、数多くの表彰状等が飾られている
 2012年、DSNIはチャーター・スクール(税補助を受けるが公立学校に対する規制は受けない学校)を開設した。現在は、幼稚園相当のK1・K2と小学1年だけの小さな学校だ。開設にあたっては、教員養成機関である「Boston Teacher Residency」の協力を得ている。この新しい学校は、新任教員のトレーニングの場である「Teaching Academy」としても利用されている。また将来は、小学5年までの子どもたちを受け入れられるように拡張する計画がある。

 では、貧困層の子どもたちの全員が、このような学校に通えば、子どもたちの教育に関する問題は解決するのだろうか?

「いいえ、私たちはすべての学校を良くしようとしています。ボストンでは、数多くのマイノリティの子どもたちが、不幸なことに悪い学校に行ったり、充分に機能していない学校に行ったりしています。良い学校に行かせるためには、親が、家からも地域からも遠く離れた遠い学校への送り迎えをしなくてはなりません。でも、すべての学校が良い学校になれば、すべての子どもが、地域の学校で、良い教育を受けられます」(バロス氏)

 バロス氏の考える教育の機会均等とは、どういうことなのだろうか?

「私の子どもを行かせたくない悪い学校には、あなたのお子さんも行かせたくありません。私に良くないものは、あなたにも良くない。あなたのお子さんが良い学校に行っているなら、私の子どもも良い学校に行かせたい。親がどれだけ稼いでいるかは、関係ありません」(バロス氏)

 そのためにしなくてはならないことは、実に数多い。

「学校に圧力をかけなくてはなりません。自治体に、教育予算を削減しないように要求しなくてはなりません。また、親たちが市長や市議会と話す機会を作らなくてはなりません。親を組織し、教員のメンタリティを変えなくてはなりません」(バロス氏)

 DSNIの30年間の歴史と現在を見れば、過去の試みや努力の多くは実を結んでいるように感じられる。しかしまだまだ、解決されなくてはならない課題は数多い。今、幼年期を過ごしている子どもたちに対しては、課題が3年後や5年後に解決されたのでは間に合わないかもしれない。

 長期的なヴィジョンのもと、喫緊の課題の数々を解決する努力を続けるDSNIの活動に、私は今後も注目し続けたい。

 次回は、2013年3月11日に開催された、厚生労働省の全国課長会議についてレポートする。一連の政策検討は、どのような具体的施策として、生活保護当事者を含めた全国民の生活に影響しようとしているのだろうか?

<お知らせ>

 本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年4月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。


06. 2013年3月15日 06:19:57 : JfFbs5hoTk
>「この市場を開放しなければいけない。国際基準をできるだけ採用する必要がある。それが日本企業にとって世界で戦う力をつけるための唯一の手段で、もしそれができないなら、その産業は日本に残るべきではない」と語った。「日本人は、強いところをさらに強め、弱い産業は断念して他国にまかせることが必要だと気づくべきだ」
-----------------

↑こーゆー物言いが通るのがアベノミクスとすれば、小泉竹中の延長線で
しかない、新自由主義という、社会の破壊、文化文明の破壊だ。経済主義だ。
そろばん勘定しか頭にない気狂い。

こんな商売人が政権を作っているとすれば、もはや終わりだね日本は。


07. 2013年3月15日 09:22:28 : xEBOc6ttRg
 『中小企業支援と産業競争力会議〜既存の枠にとらわれない発想の重要性』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

 中小企業支援
 中小企業金融円滑化法 再延長せず
 産業競争力会議
 産業の新陳代謝へ議論

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 新たな受け皿は、サラ金業者
 -------------------------------------------------------------

 政府・与党は7日、3月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法を
 再延長しないことを決めました。

 中小企業団体などはさらなる延長を求めていましたが、
 安倍政権は再延長せず、中小企業の経営支援強化に
 軸足を移す考えとのことです。

 連立を組んでいる公明党は反対だったにも関わらず、
 自民党が「再延長しない」という決断をしたのは
 評価できると思います。

 しかし残念ながら、本質的な問題は何一つ解決されていません。

 数十万社ある中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)適用企業
 の中で、経営状態が特に危険視されている企業は5万社〜6万社あると
 言われています。

 現在の倒産件数の推移を見ると、40件/月というペースですから、
 モラトリアム法を再延長しない場合、倒産件数は
 一気に増加することが予想されます。

 このとき厳しい状況に追い込まれるのは、信用金庫や信用組合です。

 不良債権比率を見ると、1%〜2%の都市銀行に対して、
 信用金庫や信用組合は5%〜8%もあります。

 おそらく4月以降になると10%を超えてくると思います。

 今金融庁が密かに考えていることは、この銀行が抱える不良債権を
 別のどこかへ「飛ばして」しまうことだと思います。

 まさに住専の時と同じ対応です。

 また、資金繰りに窮した中小企業の消費者金融「サラ金」への
 需要も高まると言われています。

 法律改正によって景気が悪い消費者金融業界が、
 モラトリアム法の終了後、一気に活性化する見込みです。

 今、関連企業の株価が上昇している理由です。

 モラトリアム法の期限が切れると、参議院選挙前に一気に
 倒産企業が増加すると言われていましたが、これによって「徐々に」
 倒産企業が増えるという流れになると思います。

 このような対応をしたところで、結局のところ100兆円規模のお金を
 正常化するためには、住専の対応と同様に最低でも
 10年近い年月が必要となります。

 倒産企業数が5万社〜6万社と想定される一方、
 日本では新しい企業や産業が出てきてないことが、
 根本的な問題として非常に重要だと私は思います。

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 ▼ 新しい産業を起こすためには、規制撤廃と失業の山が前提
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 政府の産業競争力会議は6日、産業の新陳代謝を促し、
 成長産業に人材を移す対策の議論を始めました。

 民間議員が解雇ルールを法律で明確にするよう求めたのに対し、
 田村厚生労働相は、日本は解雇が容易な米国と雇用形態が異なるなど
 として慎重な姿勢を示したとのことです。

 産業競争力会議は、起業家、経営者、学者など
 あまりに発想が異なる人が集まっているので意見がまとまるとは
 考えられません。

 そして、自民党や役人の多くは基本的にTPPですら拒否する姿勢を
 示していますから、本気で「競争力のある産業を作ろう」と
 固く決意している人はいないのだと思います。

 私としては、なぜ三木谷氏や新浪氏が協力しているのかと、
 疑問に感じてしまいます。

 政治家や役人が、競争力のある新しい産業を
 作ろうとしないのは当然なのです。

 というのは、新しい産業を起こすためには「規制撤廃」が
 必須だからです。

 悩ましいことに「規制撤廃」をすると、それまで規制に
 守られていた産業は確実に潰れます。

 すなわち、新しい産業が生まれる前に、
 大量の失業が発生します。

 その後、10年〜15年経って、ようやく新しい産業が
 根付いてくるのです。

 今でこそ米国レーガン元大統領は偉大な大統領と言われていますが、
 その評価を受けたのは、通信・金融・航空・運輸などの産業において
 規制撤廃を行い失業の山を生み出した当時から約15年経ってからでした。

 日本に目を向けてみて、15年後の将来のために今目の前で
 失業者が溢れるような施策を、政治家や役人が選択できるでしょうか?

 産業競争力会議のメンバーに、それほど時間軸に対して
 許容力のある人はどれほどいるでしょうか?

 「規制撤廃をするなら、まず先に失業の手当てが必要」
 などと考えていては、絶対に上手くいかないでしょう。

 むしろ若者に自由を与えて、取り締まるのを控えるくらいが
 丁度良いと私は思います。

 理想を言えば、そのような状況になって、
 かつてのスティーブ・ジョブズのような人材が
 生まれてくれれば最高です。

 しかし今の日本の状況を見ると、規制撤廃を敢行し
 新しい産業を生み出すのは、まず不可能です。

 ゆえに以前から私は別の方法で景気を回復することを
 提唱しているのです。

 それが「心理経済学」です。

 新しい産業を生み出せないなら、今ある1500兆円の
 個人金融資産が市場に流れてくるような方法を考えるべきでしょう。

 ==========================================================
 この大前研一のメッセージは3月10日にBBT557chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 長期的な成果を出すために、短期的成果を犠牲にしなければ
 ならないことは、ビジネスの場面ではよくあること。

 しかし、わかっていても、目の前にある利益を手放すことは、
 容易なことではありません。

 今回大前は、「心理経済学」という別の景気回復策を
 提唱しています。

 規制撤廃の議論に固執せず、状況を俯瞰的な視点で観察し、
 既存の枠にとらわれずに発想する術を持っているからこそ、
 他の選択肢を見つけることができるのです。
 


08. 2013年3月15日 09:58:17 : JfFbs5hoTk
馬鹿な奴だ、大前ってのは。
新自由主義の見本だ。

一度、ぶっ壊せ、それから建設だ、などという、その昔、全共闘の連中が
言っていたことと同じ。

ある年、白菜が良く売れた、それで皆、白菜作りをやった、結果、翌年は
大暴落した。 ま、こんな例え話がぴったりだろう。ITバブルとか。

競争力なんてのは、時代の変遷とともに、売れるものが変われば、それに従い
変わるもんだ。

大前みたいな馬鹿が日本を壊すのだ。


 流行に流されて、ITバブルとか起きたわけだな。


09. むやうのすけ 2013年3月15日 10:05:36 : ltsuShGwyUDcQ : dg6C3rhIP2
結局のところ、「日本に残るべきではない」のは、三木谷、お前のところだよ。

10. 2013年3月15日 20:05:51 : 19QDH5LY4w
三木谷は、偉い人。

御手洗君と、同じくらい純真な心をもっている。


11. 2013年3月15日 21:46:16 : FfzzRIbxkp
企業トップの意見としては、このくらいであってほしいですね。

ただ、政府はそれではいかんのですよ。

だから、日本国憲法があるんです。

政府や官公庁が、民間と自らの仕事を混同しているのなら、さっさと民間に転職すればいいだけのこと。

国会議員も、さっさと民間に転職すればいいだけのこと。


12. 2013年3月15日 22:21:53 : JfFbs5hoTk

競争競争は もぉえぇ加減にしたが良い。

限られた資源で、競争をもっぱらにすれば 共食いが始まる。
戦争だってあぶない。


 共生とゆーことも考えないとゆけない。


13. 2013年3月16日 00:43:35 : 1tb7K5r2yw
ていうか税による富の再配分がXXXやXXXXのにらみがあったら庶民のたちがれ、いや立ち上がる術はある意味競争だけだわな、片棒担いでまどかマギカやってりゃ世話ねえわ、それに楽天もあれのような気もするが、ただの妄想なので聞き流してもらいたいー(^O^

14. 2013年3月16日 01:02:52 : xEBOc6ttRg
村上尚己「エコノミックレポート」

チーフ・エコノミスト 村上尚己が、ファンダメンタルズ分析を中心に内外経済・金融市場に鋭く切込みます。(@Murakami_Naoki )

[ プロフィール ]

2013年3月15日
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円安大転換後の日本経済

ドル円相場では円安が続いている。3月8日の米雇用統計改善で一気に96円台半ばに大きく円安となり、その後も12日に更に円安が進んだ(グラフ参照)。先週末から米国の長期金利上昇で「ドル高」が起きた面もあるが、依然ドル円相場の趨勢を決めているのはアベノミクスの行方である。


アベノミクスを巡っては、金融緩和に積極的な副総裁候補の岩田氏就任に民主党が反対するなど、政治的な理解不能な動きもあったが、安倍首相が自ら人選した新たな日銀の体制が、国会で正式に承認された。日本銀行のレジームチェンジへの期待が、なお円安ドル高基調をもたらす状況が続いている。

アベノミクスの進展が、ドル円相場を決するようになってほぼ4か月が経過した。一方でこの相場が始まったばかりの頃、市場では見方はかなり分かれていた。例えば、2012年12月半ばには「80円台後半の円安(?)は持続不可能で、再び80円割れの円高が起きる」と自称専門家が声高に主張したり、またドル円が90円に近付くと「90円が円安の限界」などの珍説がメディアで踊ったりした(1月15日レポート参照)。

筆者はこれらをレポートで批判的に論じ、それまで起きてきた円安は「円高是正」に過ぎないことを何度も強調してきた(1月9日、24日レポート)。「素人談義」を批判しながら筆者がそう考えた理由はいくつかあるが、もっとも重要なことは為替相場が何によって動くのかという本質を理解することである。

これまでもレポートで、日本銀行の金融政策が変わることが、ドル円相場に大きな影響をもたらすことを説明してきた。ただ、この点について、日々のレポートでは、その要因やメカニズムについて、詳しく論じることは難しかったのが実情である。

これらの点を含めて、1980年代後半以降のドル円相場の歴史を説明しながら、「為替相場の本質」を解説した拙著が、光文社新書シリーズから本日(3月15日)発売された。「『円安大転換』後の日本経済 為替は予想インフレ率の差で動く」である。なぜアベノミクスで円安が進んだのか、これから円安がどこまで続くのか、などを考える一助としてご参照いただきたい。なお、マネックス証券では本日キャンペーンを実施し、新著をプレゼントさせて頂くのでこの機会をお見逃しなく。

村上尚己著「『円安大転換』後の日本経済 為替は予想インフレ率の差で動く」光文社より本日発売!


 

 


為替マーケットの攻略法
2013年03月15日
来週は日銀新体制がスタート!材料かみ合い100円も視野に?

先週金曜日に発表された米国2月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が23.6万人と予想を大幅に上回る伸びを示したことを受けて、米国10年債利回りは2%台に乗せ、ドル/円は96円台へ上昇しました。金利先物市場では、2015年初頭の利上げを一部織り込む動きも出始めています。

米国景気や企業業績が強さを取り戻したことを受けて、ダウは連日の史上最高値更新。以前は、株高でリスク選好が高まると、安全通貨のドルと円が並行して売られ、ドル/円はあまり動かないという傾向がありましたが、最近は米国の景気回復や量的緩和解除観測を背景に、ドルは安全通貨グループから外れ、どちらかというと成長通貨とみなされつつあります。今後は株高・リスクオンの局面では、唯一の安全通貨となった円が独歩安となる一方、米国金利の上昇を通じてドルは買われる公算が大きくなっています。

日本では、黒田総裁-岩田・中曽副総裁の日銀人事案が衆参両院で同意され、来週(3月20日)には新体制が正式にスタートする運びとなりました。黒田氏と岩田氏は「市場の期待への働きかけ」を重視した金融政策運営を掲げており、従前のような小出しの対応で市場の失望させるスタイルから、市場の期待に応える、あるいは期待を上回るスタイルへの転換を図ると見られます。来週は黒田新日銀の動向に大いに注目が集まるでしょう。

市場では「次の一手」として国債購入の残存期間長期化や来年の購入予定額の前倒しが期待されていますが、市場の期待を上回り機先を制するという意味では、さらに積極的な緩和策、たとえば無制限の国債購入や日銀券ルール(国債保有残高を日銀券の発行残高の範囲内に抑える自主ルール)の見直しにまで踏み込む可能性があります。

日銀新体制で最初の金融政策決定会合は4月3・4日ですが、一部では「3月20日の就任後に速やかに臨時会合を開いて緩和策を打ち出す可能性」(3月12日・日経新聞)も取りざたされています。市場に対してより積極的な緩和姿勢をアピールし、日銀が変わったことを印象付けるために、そのくらいのことはやってもおかしくありません。

このように「米国金利の上昇、株高によるリスク選好、日銀の大胆な金融緩和」というドル高・円安材料ががっちりかみ合い、ドル/円相場はより健全で安定的な上昇局面に入った可能性が高まってきました。円安の持続性に懐疑的だった向きも宗旨替えを迫られつつあり、節目の100円も遠からず視野に入ってくるでしょう。

コラム執筆:

雨夜 恒一郎 為替アナリスト

スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

前の記事:イタリアショックで暴落したドル/円は立ち直れるか? −2013年03月01日


 
 

 


[This week TOPICS]
◇colum1 山崎和邦『遂に始動し始めるアベノミクス』

◇イエスノー世論
『アベノミクス、2年以内に2%のインフレ目標を達成するか?』

◇colum2 高城剛『チャベス大統領の死去で起こる南米経済の地殻変動』

◇colum3 田村耕太郎『環境に配慮した技術開発で世界を目指せ!』


(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、この二つでデフレ脱却とインフレ目標に効かくか?

 効く。確実に効く。市場はそれを知っているからこそ高いのだ。

「効かない」という意見を言う学者や評論家がいるが、彼らは今までに起きた事実を見てこなかったからだ。現に、「失われた13年」(1990年〜2003年)の期間に、膨大な不良債権を抱えながらも、財政出動でデフレを止めて景気を回復させ、平均株価を6割上昇させたという事実が3回あった。

 その13年間の財政出動の経過をグラフ化して、日経平均グラフと景気動向指数のグラフ化とを重ねて見ればバカにでもわかる。しかも3回目は「ITバブル」というオマケまで附いた。

「効かない」というバカなことを言う評論家や学者のもう一つの型は、彼らの出身母体が大蔵省か銀行だからだ。言わば、彼らの国債の買い入れの大口取引先だ。その出身母体の影響を受けて話している。では、なぜ、その3回とも景気も株も短期で終わって、中途挫折してデフレ脱却まで行かなかったのかと言えば、訳は簡単だ。日銀が途中で金融政策を転換したからだ。その全回が既述の可虐趣味の三重野元総裁と、優柔不断で前言撤回の常習犯の速水元総裁であった。

 日銀に、勝手にそれをさせないために今回は文書化させた。いわば“インフレ嫌いな日銀”に一札入れさせたのだ。よって確実に効く。

 今まで半世紀、日銀が最も嫌ってきたのはインフレと政治介入であった。

「1本目の矢」と「2本目の矢」は確実に効く。既に効果は出始めている。

 単なる金融緩和、しかも今までのような中途で中止してしまうようなやり方ではインフレは起こせないが、クルーマンが10年も前から説いていたようにインフレターゲットを定めて目的的に遂行し、財政政策を併用し、しかも成長戦略を本気で進めれば確実に効く。今までの日本はその二つ(目的的な金融緩和と財政出動)を同時に行ったことは一回もなかった。今回は違う。それを疑う人は経済学の基礎を知らないか、または知っていても現実の経済現象を見てこなかった人だろう。

 安倍さんは自分が副官房長官と官房長官と総理の時代に、日銀の政策転換で3回懲りた経験がある筈だ。筆者の原体験と通ずるものがある。今度はそれをさせまいと、安倍さんは今までの3回から学習したのだ。

 日銀総裁・副総裁の人事は、今回は最適人事だと筆者は思うが、それはやや過激な日銀非難の浜田宏一博士を含めたブレーンの知恵でもあろう。


▓ 山崎 和邦
慶應義塾大学経済学部卒。野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年に及び野村証券時代の投資家の資金を運用から自己資金で金融資産までこなす。

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山崎和邦の投機の流儀
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1986年(だったと思うが)、フロリダのケネディー宇宙センターから発射されたスペースシャトルが上空で大爆発して、7人の宇宙飛行士が死亡するという事件が、NY市場の立会中に起きた。その時、NY市場に驚くべきことが――
2013/03/10
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『山崎和邦の投機の流儀』03/10号より抜粋



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アベノミクス、2年以内に2%のインフレ目標を達成するか?
安倍政権が掲げる“2%のインフレ目標”について、2年以内に達成すると思いますか?
達成するだろう⇒YES
無理・もう少し時間がかかる⇒NO

【あなたの意見はどっち?】
幸せを享受している
いや、享受していない

【寄せられたコメント】
Yes! を選んだ方
震災復興と高速道路等インフラ再整備が加速されさらに国土強靭化による公共事業により達成可能と考えます。
(山下政治さん)
No! を選んだ方
いざなみ景気の時でさえ、インフレ率は2%を行ってない。給与上昇率も4%行ってないし、2年では無理と思う。
(ラ・マンチャの男さん)

TPP参加で日本経済は良くなるか?
TPPに参加した場合、日本経済全体で考えると良くなると考えますか?それとも悪くなると考えますか?
日本経済全体では良くなると思う
 62% (487票) いや!悪くなるなるだろう
 38% (302票)



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※本情報・サービスの効果は、個人により差があります。本情報・サービスを
参考にした金融商品等への投資はリスクを理解の上自己責任でお願い致します。


 今週は死去したチャベス大統領と中南米の今後、そしてTPPについて、お話ししたいと思います。

 周知のように今週5日、南米ベネズエラのチャベス大統領が亡くなりました。チャベス大統領は良くも悪くも、大きな存在感のある政治家で、遺体は永久保存され「市民がいつでも会えるように」博物館での公開を予定されているほどです。

 チャベス大統領は昨年6月にガンが発覚。以後、キューバで手術や治療を続けてきました。キューバから帰国して昨年10月に見事に4選を果たしたものの、12月にはキューバで再度の腫瘍摘出手術を受け、そのままキューバで治療を続行し、大統領就任式も無期限延期となってしまい、いつか「覚悟の日」が訪れる事を国民は理解していました。後任を選ぶ大統領選挙については、チャベスから後継者に指名されているマドゥロ副大統領と、昨年10月の選挙でチャベスに善戦したカプリレス・ミランダ州知事の対決になるものと見られています。これがベネズエラ国民にとって、次の「覚悟の日」となります。

 チャベスは、昨年キューバへ向かう直前、この日が来ることを予期していたかのように、テレビ演説でマドゥロ副大統領を自身の後継者に指名していました。一方カプリレスは、昨年10月の選挙で野党統一候補としてチャベスと争い、石油収入を原資とした施策で貧困層に根強い人気を誇るチャベス氏に敗れはしたものの、チャベス流の「バラマキ」(これはあくまでもカプリレスサイドの言い分です)や、「独裁者」と呼び、強権的政治手法を批判して44.9%の支持を集め、高失業率や物価高に苦しむ中産階級にウケがいいのが特徴です。 もし、マドゥロ副大統領が当選した場合、豊富な石油資源を背景に(ベネズエラは、世界第3位の産油国で、中南米で最大の石油輸出国)、キューバやニカラグア、ボリビア、エクアドルといった反米の中南米諸国を束ね、チャベス氏同様、米国に激しく敵対するとみられますが、一方、カプリレスが大統領になった場合は、対米関係改善を目指し、いまのベネズエラとはまったく違う国になってしまう可能性が高くあります。カプリレスが当選した場合、中南米諸国の反米勢力は「空中分解」を余儀なくされ、地域情勢が劇的に変わるのは確実でしょう。

 当然ながらアメリカは、この機に「二十一世紀の社会主義」と呼ばれる「チャベス思想」が終焉し、中南米情勢が変化することを期待しています。オバマ米政権は、反米左派諸国の「盟主」だったベネズエラのチャベス大統領の死去を受けて行われる大統領選の行方に注視しています。もし、カプリレス率いる野党勢力が勝利すれば、両国関係の改善が進み、中南米で低下の一途だった米国の指導力を回復するきっかけになると考えているからに他なりません。今後、米国(特にCIA南米)によるあらゆる「工作活動」がベネズエラで行なわれるでしょう。

 それは、米国内では保守派を中心に、チャベス氏の死去を機に「ボリバル同盟」を弱体化させるべきだとの意見が根強くあるからです。「ボリバル同盟」とは、私のメールマガジンで何度かお伝えしました「反新自由主義連合」のことで、その中心的国家はベネズエラとキューバでした。また、中南米33カ国は11年12月、中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)を「米国抜き」で発足させるなど独自の地域統合を進めており、例えカプリレスが大統領になっても、そう簡単に事態が米国のもくろみ通りに進む保証はありません。むしろ、チャベスの死をキッカケに、また同時に米国の弱体化に伴い、この機に中南米がひとつにまとまることも考えられます。

 その軸が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)なのです。TPPは日本では、「事実上、日米の自由貿易協定」と解釈されることが多いのですが、米国から見ると、カナダとメキシコの三国で構成する北米自由貿易協定(NAFTA)に、チリとペルーの南米二カ国を加える「南北アメリカ自由貿易協定の第一歩」であることを重要視しています。もし、早々にTPPが実現すれば、中南米が米国抜きでひとつにまとまる前に、米国から大きな楔を打ち込む事ができることが大事なことだと目されています。ですのでオバマ政権としては、日本の参加を待たずに早急に決着させたい意向を持っていると思われます。この背景は、今後十年のスパンで見ると、米国にとって日本以上に中南米の市場が大きくなることが明白だからです。

 TPPは日米の二国間問題ではなく、常に変化しつづける世界の力学と次の見通しが大事になるのは、言うまでもありません。
≪続きはご購読のうえご覧ください≫


▓ 高城 剛
日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員などの要職を歴任。メルマガ「高城未来研究所」では実際に海外を飛び回って入手した世界情勢や経済情報など豊富な内容で配信。

Mail-Magazine
高城未来研究所「Future Report」
840 円/ 月額
チャベスは、「米州自由貿易圏(FTAA)」の構想を潰すことを主張し、ブラジル、アルゼンチンといった南米の大国もチャベスと
2013/03/08
メルマガをCheck!!
『高城未来研究所『Future Report』』03/08号より抜粋




 戦略とは戦いを略すこと。そもそも戦略が10も20もあってはいけない。戦略は5つくらいが限界だ。以下の5つで日本を再び成長させるべきだ。
大型定置用リチウム・イオン蓄電池で、在庫型電力需給ネットワークへの大転換
東京にアジア最大の商業芸術センターの形成
美しい景観と食を国民的な関心事に仕立て上げ、世界有数の観光地へ組み立て
既存の港湾を大型物流センターへ再構築し、世界のサプライチェーンの取り込み
 これらの背景にあるのが日本の強さ。戦略は自身の強みに立脚すること!日本の強みは、
人類未経験の高齢化による先端的医療需要の存在
社会の規律と安定、そして人々の細かい工夫の向上心
ファッションテイストの洗練さの一般化
東京の文化的多様性と商業化可能規模のセグメント群
破壊が進んでもまだ緑豊かで美しく変化もある自然
アミノ酸発酵の食文化に多文化の食を融合させる器用さ
 産業空洞化や国際収支赤字定着は大きな問題ではない。産業空洞化が起こっているのは鉄鋼、自動車、精密機器、電子機器の4つであり、これら4分野の就業人口は10%程度である。つまり、雇用やGDPの課題ではない。企業にとって、海外立地は競争力維持には妥当な戦略でもある。

 そんなことより、もっと多くの外国人、外国企業、外国資金を呼び込むことに注力すべき。日本の強い4分野と弱い1分野、つまり先の5分野の社会システムに集中的に投資する。

 あのスペインでも、一年間に訪れる観光客は5000万人を超える。日本は700万人にもいかない。大事にすべきは隣国のリピーター。中国人や韓国人の観光客がリピートしてくれる理由は、食い物、買い物、温泉。これに高度医療をセットにしたら最強だ。

 成田と羽田の間に東西の医学を融合する拠点となる一大医療施設を作り、日本の高齢化と隣国のリピーターを迎え撃つのだ。国内外からこの一大医療センターに来る人のおかげで、大きな消費とさらなる医療技術の進展が見込める。

 この政策は早くやるべき。すでにシンガポールや韓国が始めている。医療はこれから一般化する。早くやったもん勝ち。そこから一般に広まっていく。

 蓄電池を使った電力システム改革も有望だ。定置用蓄電池の大規模需要は発電側にある。ピーク時対応さえできれば、過剰な発電施設を持つ必要はない。作った電力を貯めておいて、ピーク時にそれを吐き出せればいいのだ。電力在庫を持った電力供給のピーク・オフピークの微調整自由度が増す。電力の需要側と供給側の両方の努力で、ピーク時の電力需要を現行の70%まで落とせば、現在の電力供給能力は、需要の1.8倍あることになる。この技術は電気代を下げ、CO2も減らすことができる。そして、やがて世界にシステムとして売れる。

 世界にお墨付きを与えるのが東京市場である。フランスの化粧品からK−POPまで、東京で通用すれば世界に売れる。東京を、芸術や文化の中心としてさらにそのお墨付き機能を強化するのだ!

 パリよりミシュランの星付きレストランが東京に多い理由は簡単。フランスにはフランス料理しかないが、和食からイタリアン、中華、フレンチと、東京にはあらゆる料理がある。そして、洋食からラーメンまで、B級グルメも天下一品だ。ペリー提督やシュリーマンが褒め称えた自然の美しさもある。世界中から人を呼んでこられる。

 日本の港湾は貧弱だが、世界で最も効率のいい鉄道や高速道路や空港と連携させることで、シンガポールやプサンより立地がよく、後背地の経済力が大きい日本こそが、アジアの「真のハブ」になれる。そのための物流デザインを描き、それへの投資を実施し、アジアを中心に世界の人、モノ、お金を引き付けるのだ。

 この5つができれば、日本は復活どころか、世界で躍進できると思う。これが成長戦略だ!

『田村耕太郎の君はこんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』
02/25号より抜粋



15. 2013年3月16日 02:39:25 : JfFbs5hoTk

競争より 産業政策が大切だ。

16. 2013年3月16日 04:08:33 : xEBOc6ttRg

 
対米中長期証券投資:1月は買越額が縮小、予想も下回る

  3月15日(ブルームバーグ):1月の対米中長期証券投資は買越額が市場予想を下回った。欧州債務危機が和らいでいるとの自信が強まったことが背景。
米財務省が15日発表した1月の対米証券投資統計によると、外国の政府と投資家の中長期金融資産取引額 は外国人からみて257億ドルの買い越しとなった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は400億ドルの買い越しだった。前月は642億ドルの買い越し。
三菱東京UFJ銀行のエコノミスト、クリス・ラプキー氏は統計発表前に、「欧州債務危機が世界市場をもはや押し下げていないため、安全逃避の必要性はやや後退した。しかし、米国は主要国の中では経済成長で先行しており、資本が集まってきている」と述べた。
株式スワップなど短期資産を含む金融資産の合計は1109億ドルの買い越しとなり、買越額は前月の222億ドルを上回った。
米国債の保有額では、中国が引き続き世界最大で前月比441億ドル増加の1兆2600億ドル。2位の日本は前月比ほぼ変わらずの1兆1000億ドル。
海外投資家による米国債投資は323億ドルの買い越し。買越額は前月の299億ドルから拡大した。
原題:Foreign Demand for U.S. Assets Was Below Estimate inJanuary (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Meera Louis mlouis1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/16 00:42 JST

 

米鉱工業生産指数:2月は0.7%上昇、自動車・部品がけん引 

  3月15日(ブルームバーグ):2月の米鉱工業生産指数は市場予想を上回った。
米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した2月の鉱工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値)は前月比0.7%上昇と、3カ月ぶりの高水準。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.4%上昇だった。前月は横ばいと、速報値の0.1%低下から修正された。
鉱工業生産の約75%を占める製造業の生産指数は0.8%上昇した。前月は0.3%の低下。過去7カ月で見るとプラスは3カ月だった。
自動車・同部品の生産指数は2月に3.6%上昇。前月の4.9%低下からプラスに転じた。
自動車・同部品を除いた製造業生産指数は0.6%上昇と、前月の0.1%上昇から伸びが拡大した。企業設備財は2.5%上昇した。前月は1.3%の低下だった。
公益事業の生産は1.6%上昇と、前月の4.9%上昇から伸びが縮小した。油田掘削を含む鉱業の生産は0.3%低下、前月は1%の低下だった。
鉱工業設備稼働率 は79.6%と、前月の79.2%から若干上昇した 
原題:Industrial Production in U.S. Climbs by Most i
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Michelle Jamrisko mjamrisko@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/16 03:09 JST


 


 


米消費者マインド指数:3月は低下−11年12月来の低水準 

  3月15日(ブルームバーグ):3月の米消費者マインド指数は市場予想に反して低下した。
3月の米トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数 (速報値)は71.8と、前月の77.6から低下し、2011年12月以来の低水準となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は78への上昇だった。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ジム・オサリバン氏は「強制歳出削減のニュースの影響からくる信頼感の落ち込みが若干見られた」とした上で、「財政引き締めがマイナス要因となっているのは確かだが、一方でプラスの要素もあり労働市場の改善が挙げられる」と続けた。
現在の景況感 を示す指数は87.5と、前月の89から低下。6カ月後の先行き景況感 を示す期待指数は61.7と、前月の70.2から下げ、2011年11月以来の低水準となった。
向こう1年間のインフレ期待値は3.3%で、過去2カ月と変わらず。5年間のインフレ期待値は2.9%と、前月の3%から低下した。
原題:Consumer Sentiment in U.S. Falls to Lowest Point in Year(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jeanna Smialek jsmialek1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/16 00:44 JST


 


オバマ米大統領:2期目の最優先は雇用創出−年次経済報告

  3月15日(ブルームバーグ):オバマ米大統領は議会に提出する年次経済報告書で、2期目の「最優先事項」として雇用創出を挙げ、製造業の繁栄につながるような事業環境を整備すると表明した。
大統領経済報告は「数年に及ぶ厳しいリセッション(景気後退)を経て、米企業は600万余りの雇用を創出した」と指摘。雇用は増えているが、まだ正規の職を見つけられない人が多過ぎると記述した。
その上で、「経済成長および雇用創出に向けあらゆる手を尽くすことが最優勢事項でなくてはならない」と続けた。
年次経済報告では通常、経済成長予測に加え、失業率やインフレの見通しを示すが、この日の報告書にこれらは含まれていない。オバマ大統領が2014年会計年度(13年10月−14年9月)予算教書を4月8日の週に議会に提出するまで経済予想の公表は先送りされた。
原題:Obama’s Budget Preview Says Job Creation Is Priority NotBalance(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Roger Runningen rrunningen@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Steven Komarow skomarow1@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/16 03:09 JST

 

英中銀デール氏が疑義−「追加刺激はインフレあおらない」議論 
  3月15日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は15日、追加の刺激策を導入すれば消費者物価の上昇をあおるリスクがあると指摘した。また、同中銀のインフレ目標について、経済成長を支援するのに十分な柔軟性があるとの認識も示した。
デール氏はロンドンの同中銀で講演し、「需要拡大のために金融政策を利用することが、インフレに全くあるいはほぼ影響を与えることなく行えるという議論は、経済の長期的な健全性と繁栄のために金融政策にできる最大の貢献は物価安定の実現というコンセンサスに反する」と指摘。「このようなコンセンサスを拙速に覆すことについて、われわれは不安を抱くべきだ」と論じた。
オズボーン財務相は5日後の予算案発表に際して、インフレ目標に関する英中銀の権限について何らかの見直しを示唆する可能性がある。デール氏はインフレ目標に対して「疑義を呈したり異議を唱えたり」することは妥当だとした上で、インフレが抑制不能になった場合に生じ得る経済的コストを政策当局者は考慮しなければならないと強調した。
同氏は「金融政策が持続可能な成長と長期繁栄のためにできる最善の貢献は、確実な物価安定の維持だ」と言明。「インフレとの闘いは過去のものだというような風潮の中で、これは覚えておくべき重要な点だ。信頼性を失えば、柔軟性はあり得ない」と続けた。
インフレ目標や新たな政策手段をめぐる議論は、英中銀の次期総裁に就くマーク・カーニー氏が火をつけた。中銀はまだ「能力を最大限に発揮していない」と同氏は発言している。
原題:BOE’s Dale Signals Concern More Stimulus May FuelInflation (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net;ロンドン Jennifer Ryan jryan13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/15 23:24 JST


ニュース一覧
米鉱工業生産指数:2月は0.7%上昇、自動車・部品がけん引 (1)
米消費者マインド指数:3月は大幅低下−長期インフレ期待も低下 (1)
対米中長期証券投資:1月は買越額が縮小、予想も下回る (1)
英中銀デール氏は疑問視−「追加刺激はインフレあおらない」との議論
米消費者物価指数:2月は前月比0.7%上昇−ガソリンが押し上げ (1)
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17. 2013年3月16日 04:33:17 : xEBOc6ttRg
日本のTPP参加表明、慎重ながらも歓迎=米USTR代表代行
2013年 03月 16日 02:56 JST

イタリア、上下院の議長選出が新政権樹立のカギ握る可能性
3月NY州製造業業況指数は低下し予想下回る、2カ月連続でプラス
2月の米鉱工業生産指数は予想上回る、回復加速裏づけ
787バッテリー試験、「今後1─2週間内」に終了=ボーイング幹部

[ワシントン 15日 ロイター] 米通商代表部(USTR)のマランティス代表代行は15日、安倍晋三首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を正式に表明したことを受け、日本政府は日米貿易障壁の解決に向けた前向きな姿勢を示す必要があると述べ、慎重ながらも歓迎する意向を示した。

代表代行は声明で「昨年初め以降、日米はTPPをめぐり、自動車や保険部門、その他非関税措置に関する懸案事項について2国間交渉を進めてきた。引き続きこういった交渉を前進させる一方、取り組むべき重要な作業がある」と指摘。米政府は「日本の交渉参加への支持を検討するにあたり、今後も議会およびステークホルダー(利害関係者)との協議を続けていく」と語った。

米下院歳入委員会のキャンプ委員長も日本の交渉参加表明に慎重な見方を示した。

委員長は声明で「日本が長年にわたる日米の貿易障壁の解決、とりわけ米国からの自動車輸出や保険部門に関して完全にコミットすると十分に確約していないことを依然懸念している」とし、委員長として日本の交渉参加を支持するには、こういった分野の問題解決に向けた日本のコミットメントが不可欠との認識を示した。

また、参加国によるTPP交渉はすでにかなり進展しており、日本の参加でこれまでの成果が削がれたり、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までの交渉妥結に遅れが生じる事態になることは望ましくないとした。
 
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黒田日銀が直面する「市場の期待」という怪物=佐々木融氏
2013年 03月 15日 17:21 JST

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佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長(2013年3月15日)

日銀正副総裁人事の国会承認を、市場はひとまず静観したようだ。15日午前中、国会承認後の東京市場では、円相場に極端な動きは見られず、日本株は午後に入ってから堅調に推移した。

黒田東彦総裁・岩田規久男副総裁・中曽宏副総裁の就任は20日の予定だが、当日は祝日なので、実質的には21日から日銀は新体制で金融政策を遂行することになる。新体制での最初の金融政策決定会合は4月3―4日に予定されているが、一部にはそれよりも前に臨時の金融政策決定会合が開催されるのではないかとの憶測も流れている。

いずれにしても、新体制下での最初の政策決定会合に対する国内外の投資家の注目は非常に高く、市場の反応は実際に新日銀からどのような政策が打ち出されるかにかかっている。

<際限なく膨らむ市場の期待と失望リスク>

筆者は1月末以降の1カ月半ほどで計8か国を訪問し、約80のヘッジファンドや機関投資家とのミーティングを行ってきた。その中で最も強く感じたのは、海外市場参加者の日銀新総裁に対する期待の高さだった。当時はまだ候補者もはっきりしていなかったが、海外市場参加者は日銀が新体制に代わった後、どのような手段を用いてインフレ率を2%に引き上げるのかに一番の関心を抱いていた。

むろん、海外勢も、日本にとってこの目標がいかにハードルの高いものであるかは分かっている。日本の消費者物価指数前年比は1993年から2012年までの20年間で2%を超えたことが2回しかない。1回目は97年4月に消費税を3%から5%に引き上げた後の数ヶ月間、2回目は原油価格が高騰した08年夏の4ヶ月間である。過去20年間の毎月のインフレ率を平均すると、前年比プラス0.2%程度にしかならない。

だからこそ、それでもインフレ率を2%まで引き上げると約束する日銀の新体制が、かなり大胆な金融緩和政策を実行するのではないかと海外勢は期待しているのである。

だが、期待外れとはならないのか。市場の期待が膨らみ過ぎていることに、筆者はやや不安を感じる。

振り返れば、昨年12月と今年1月の2か月間、為替相場は大幅な円安となり、日経平均株価は急騰した。しかし、この間の日銀バランスシートの増加幅は3.4兆円程度で、その前の2カ月間(昨年10月と11月)の増加幅(6兆円)の半分強にとどまっている。

つまり、実体はさほど変化していないのに、日銀が2%のインフレ目標導入を強いられ、安倍晋三首相が金融緩和に積極的な人を日銀総裁に選ぶという強い信念を打ち出したことによって投資家の期待が膨らみ、マーケットはここまで動いたのである。

しかし、政治家であれ、中央銀行総裁であれ、実体の変化が伴わない中で、市場の期待だけを膨らませ続けておくことはできない。市場はすぐに次は何か、さらに凄い話はないのかと期待する。政治家は相当の覚悟とスピード感を持って経済構造の変化を示していかないと、際限なく期待を膨らませる投資家たちをすぐに失望させることになるだろう。

<先に結果を約束したから市場は動いた>

とはいえ、筆者は、頭ごなしに安倍政権の手法を否定しているわけではない。為替・株式市場の急速な反応には、安倍首相が結果を先に約束したことが大きく影響していると考えられる。

「金融緩和、構造改革、規制緩和を積極的に進める」という言葉は、表現は多少違っても、どの政権も口にしてきたことだ。しかし、安倍首相が前任者たちと違ったのは、「金融緩和、構造改革、規制緩和を積極的に進めた結果、インフレ率を2%にする」と結果を分かりやすい形で示した点である。

それゆえに、市場が結果を先取りしている。本来は、金融緩和、構造改革、規制緩和が進み、その結果、民間投資や消費が喚起され、需要が強くなる。そして、需要が強くなると、企業収益が増え、企業経営者が先行きの収益にも一定の自信を持てれば、雇用を増やし、労働市場がひっ迫すると雇用者所得が増加する。そうなると、自然に物価は上昇し始める。

通貨は物価の反対側の概念であるから、日本の物価が上昇を始めれば円安圧力が強まる。企業収益も増えるのだから、当然株価も上昇する。アベノミクスは物価上昇を明確に約束したので、「金融緩和、構造改革、規制緩和が進み・・・雇用者所得が増加する」というところまでも一括して約束したような効果があった。もちろん、それ自体が悪いことではない。良い結果を先に享受すること自体は問題ではないだろう。ただ、享受した後は、期待を実体に変えていかなければならない。

前述の通り、市場はすでにかなり大きな期待を抱いてしまっている。インフレ率が2%まで上昇することを織り込んでいるとまでは言えないが、少なくともインフレ率がプラス圏内に入ってくることは織り込んでいるだろう。したがって、黒田新総裁がこれ以上市場にポジティブ・サプライズを与えるのは難しいかもしれない。現在の市場の期待を維持するだけでもかなり困難な仕事である。

<黒田新総裁のもう一つのミッション>

さて、市場の期待という姿の見えない怪物に対処する以外に、黒田新総裁にはもう一つ重要な仕事がある。それは、政府に対して構造改革や規制緩和をきちんと実行するように働きかけることだろう。

今年1月に発表された政府・日銀の共同声明には、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向けて、「政府と日本銀行の政策連携を強化」すると記され、その中で、政府の仕事として「大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進する」とうたわれている。

安倍首相も施政方針演説で「民間投資を喚起する成長戦略」に力点を置いたが、前述した通り、デフレ・円高脱却とは本来、民間投資や消費が喚起され、強い経済が戻って来たときに起こる現象、つまり目標ではなく結果である。名目金利がゼロの下で金融政策だけで民間投資や消費を喚起するのは不可能だ。政府の強力かつ大胆なマクロ経済政策運営がなければ、日本経済の状況はこれまでと変わらないだろう。

こう考えると、黒田新総裁には、大胆な金融緩和政策を進めて、市場の期待を維持しつつ、政府に対しては実体経済の構造変化につながる政策の早期実行を迫ってもらいたい。金融緩和で期待をつなぎとめられる時間は限られている。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。



18. 2013年3月17日 19:17:09 : L13KjR4QOU
競争社会の行きつく先を考えたことあるのか?

1人巨人が残り、あとはくたばり放逐される。

これでは、世界が幸せにならない!

いい加減、嘘を宣伝するのはやめてくれんか。
正論を吐け!
馬鹿は死んでしまえ。


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