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大いなるペテン、シェールガス  ル・モンド・ディプロマティーク
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/697.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 5 月 03 日 22:14:07: mY9T/8MdR98ug
 

1303gazdeschiste

エネルギー事情の大転換となるか、景気の一時的活性化に終わるか?

大いなるペテン、シェールガス

ナフィーズ・モサデク・アーメド

政治学者

ブライトン開発政策研究所(イギリス)所長

訳:鈴木久美子


 安価なエネルギーと引き換えに長期にわたる汚染を引き受けねばならないのだろうか。シェールガス・シェールオイルの採掘に関わるジレンマにアメリカの企業も政府も悩んでいない。10年もたたないうちにこの新しい資源はアメリカの経済成長を軌道に乗せ、雇用を活性化し、国際競争力を復活させるだろうというのだ。しかしこの《エネルギー革命》がすぐつぶれるバブルに過ぎないとしたらどうか?[フランス語版編集部]


 アメリカメディアによるとシェールガス・シェールオイル「革命」による経済の飛躍的発展が予測され、アメリカは間もなく「黒い金(きん)」の恩恵に浸ることになるという。国際エネルギー機関(IEA)の『世界エネルギー展望2012年版』によれば、2017年度にはアメリカはサウジアラビアから世界第1位の産油国の座を奪って、エネルギーに関して「ほぼ自給自足」となる。IEAによると炭化水素の計画的な生産上昇は、2011年の一日当たりの8400万バレル[原油1バレルは約159リットル――訳注]から2035年には9700万バレルになるだろうとされ、それは「すべて液化天然ガスと非在来型エネルギー資源(主にシェールガスとシェールオイル)から」生じるとされている。一方で在来型エネルギー資源の生産量は2013年から下降するであろう。

 シェールガスは水圧破砕(水と砂と洗剤の混合物に圧力をかけ注入して頁岩にひび割れを作り、そこからガスを取り出す)と、水平掘り(これにより必要な地層をより長時間にわたって叩くことが可能になる)によって採掘されるが、広範にわたる環境汚染を代償にして得られるものである。しかしアメリカでの採掘は数十万人の雇用創出へとつながり、豊富で安価なエネルギーという利点を与えてくれる。2013年の『エネルギー予想――2040年に向けて』(エクソンモービル・グループ)のレポートによれば、世界のガス需要の急速な伸びという状況にあっても、アメリカはシェールガスのおかげで、2025年から明らかに炭化水素の輸出国となるという。

 そして「シェールガス革命」が回復期にある世界経済を強くするばかりでなく、投資バブルをはじけんばかりにふくらませるとしたらどうだろう? 経済は病み上がり状態だし、近年の経験から言っても、このような浮かれ騒ぎに対して慎重な態度を促さなくてはならないはずなのだが。スペイン経済を例にとると、かつては隆盛を誇っていたのが(2008年にはEU圏で第4位の勢力)、盲目的にしがみついていた不動産バブルが突然崩壊して以来、ひどい状態になっている。政治家たちはこの2008年の危機からほとんど教訓を引き出してはいない。彼らは同じ過ちを化石燃料で繰り返す危険があるのだ。

 ニューヨーク・タイムズの2011年6月の調査報告はシェールガス「ブーム」のなかでメディアと石油・ガス業界の間に早くも生じた亀裂を暴露している。その号では専門家たち(地質学者、弁護士、市場アナリスト)が抱いた疑惑を公にしているのである。石油会社の発表は、「故意に、不法なまでに採掘生産量と埋蔵量を多く見積もっている(注1)」という疑惑が表明されている。同紙の説明によれば、「地下の頁岩からのガスの抽出は石油会社がそうみせかけているよりももっと難しく、もっとコストがかかるはずで、その証拠として、この問題について業者間で交わされた数百の電子メール、資料ばかりでなく、数千の採掘抗について集められたデータの分析報告がある」。

 2012年の初頭に、アメリカの2人のコンサルタントがイギリスの石油業界の主要誌『Petroleum Review』で警鐘を鳴らしている。二人は「アメリカのシェールガスの鉱床の信頼性と持続性」について検討を加え、業者たちの予測がアメリカ証券取引委員会(SEC)の新しい規則に沿って行われたものであることを強調している。SECは投資市場の監視をする連邦委員会である。この規則は2009年に採択されたもので、石油会社に備蓄量を好きなように計上することを許可しており、独立機関による調査は行われないのである(注2)。

 業者たちは頁岩のガス鉱床を過大に見積もることによって、採掘に伴うリスクを二義的な問題にしてしまうことができる。ところが水圧破砕は環境に有害な影響を及ぼすだけではない。まさに経済的な問題をも引き起こす。水圧粉砕は非常に寿命の短い生産しかおこなわないからだ。雑誌『ネイチャー』で、英国政府の元科学問題顧問のデヴィッド・キング氏はシェールガス井の生産性は最初の1年の採掘で60~90%低下すると力説する(注3)。

 これほど急激な生産性低下では明らかにわずかな収益しかもたらされないことになる。ガス井が涸れてしまうと作業員たちは大急ぎで他のところへ採掘に行って生産量のレベルを維持し、資金返済に充当しなくてはならない。条件が整えば、このような自転車操業で数年間は人の目を欺くことができる。このようにして、シェールガス井採掘は脆い経済活動と結びつき(持続力はないが、短期間には瞬発力を発揮して)、アメリカで急激な天然ガスの価格低下を引き起こした。2008年には100万BTU(イギリス熱量単位)7、8ドルだったものが2012年には3ドルを割った。

 投資の専門家たちは騙されない。「水圧粉砕は景気を粉砕する」とジャーナリストのウルフ・リヒターは『ビジネス・インサイダー』で警告している(注4)。「採掘は猛スピードで資本を食いつくし、生産が行き詰ると業者に借金の山の上を残してきた。この生産量の低下で経営者たちの懐を痛めないようにするために、企業は次から次へと汲み上げなくてはならなくなり、涸れた油井の分を他の油井で補うのである。他の油井も明日には涸れるだろう。悲しいかな、遅かれ早かれこういう図式は壁に突き当たる。現実という壁である」。

 ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)との合併前の石油会社アモコ(Amoco)で働いていた地質学者のアーサー・バーマンは「信じられない速さ」で鉱床が涸れていくことに驚きを示している。バーマン氏はテキサスのイーグル・フォード鉱区(最初のシェール油田)を例に挙げて、そこでは「年間採掘量が42%以上低下した」と言う。安定した生産量を保つためには業者は「毎年追加で約1000の油井を同じ鉱区で掘らなくてはならない。それは、1年に100億から120億ドルの支出となる。全部合計すると2008年の金融業界への資金投入額の合計に達する。企業はどこでこの資金を調達できるというのだろう?(注5)」。

 ガスバブルの最初の影響はすでに世界大手石油企業に及んでいる。2012年の6月にエクソンモービルの代表取締役のレックス・ティラーソン氏が窮状を訴えた。アメリカの在来型天然ガス価格の下落は消費者にとっては確かに幸運だったが、売り上げの激減の痛手を受けたエクソンモービルには致命傷となったと述べた。そして株主を前にエクソンモービルはガスによる損失はないと偽ったものの、ティラーソン氏はアメリカでもっとも影響力のあるシンクタンクの一つである外交問題評議会(CFR)でお涙頂戴型の演説をして「わが社は資産が尽きようとしている。もう収入は得られない。経営は赤字だ(注6)」と述べている。

 ほぼ同時期に、イギリスのガス会社であるBGグループが「アメリカの天然ガス事業部門で資産が13億ドルに低下したこと」すなわち「中間決算で明らかな減益」の窮地に立たされていることを認めた(注7)。2012年11月1日、ロイヤル・ダッチ・シェルの四半期の決算報告が3期連続で不振で年間累積24%の低下となったのを受け、ダウ・ジョーンズの広報担当はこの悪いニュースを伝えるに当たって、証券業界全体におけるシェールガスブームによって引き起こされるであろう「損害」について警告した。

万能薬からパニックへ

 

シェールガス競争の中のパイオニアであるチェサピーク・エナジー社もバブルは免れなかった。負債の重みに押しつぶされたチェサピーク・エナジーは債権者の手形決済のために資産の一部売却(ガス田とパイプラインの合計69億ドル)を余儀なくされた。「チェサピーク・エナジーは社長のおかげでシェールガス革命のリーダーになったのに、活動領域を少々減らすようになった」とワシントン・ポストは遺憾の意を表した(注8)。

 どうしてこの「革命」のヒーローたちはこれほどまでに落ちたのだろうか? 経済評論家ジョン・ディザードは2012年5月6日付『フィナンシャル・タイムズ』でシェールガス企業が「自己資本を2倍、3倍、4倍さらに5倍も上回る額を使い果たして土地を購入し、井戸を掘り自分たちの計画を実現しようとした」と指摘している。ゴールドラッシュの資金繰りのためには、膨大な金額を「複雑で面倒な条件で」借りなければならない。しかし、ウォール街は通常の行動規則を曲げてくれるようなことはしない、ディザードによればガスバブルはそれでもふくらみ続けているという。その理由は経済的な危険性をはらんだこの資源にアメリカが依存しているからである。「シェールガス井の生産性の持続しない一時的性格を考慮して、掘削は続けられなければならない。シェールガス価格は高くなり、高騰すらして落ち着くだろう。過去の負債だけでなく現在の生産にかかる費用に充当するためである」。

 それでもなおいくつもの大手石油会社が同時に経営崩壊に直面するということはありうる。もしこの仮説が立証されるなら「2、3社の倒産か大掛かりな債務処理にまきこまれてしまい、債務処理の名目で各企業はシェールガス事業を撤退し資本が消えてしまうだろう。これは最悪のシナリオだ」とバーマン氏は語る。

 言い換えれば、シェールガスはアメリカ、あるいは全人類を「ピークオイル」(「ピークオイル」とは、地理的制約と経済的制約から原油の採掘が困難で巨額を要するとされるレベル)から守るという議論はおとぎ話にすぎないことになる。最近公表された独立性の高い科学レポートによれば、シェールガス「革命」はピークオイルに猶予を与えてくれないと確証している。

 雑誌『Energy Policy』に発表された研究によると、キング氏のグループは、石油産業は化石燃料の世界埋蔵量を3分の1多く見積もったという結論に達した。まだ採掘可能な石油鉱床は8500億バレルに満たないのに、公式な見積もりではおよそ1兆3000億バレルと言われている。『Enegy Polocy』の寄稿者たちによると、「化石燃料資源が地球の深いところに確かに大量に存在しているが、世界経済が通常持ちこたえられるコストで採掘できる石油の量は限られており、短期間のうちに衰退の一途を辿るはずだ(注9)」という。

 水圧破砕によって得られた宝、シェールガス・シェールオイルがあるにもかかわらず、現実の埋蔵量は年間推定で4.5ないし6.7%のペースで減少している。そのためキング氏らの研究チームはシェールガスの採掘がエネルギー危機を救うという見解を断固として拒否している。キング氏と同じ立場で、経済評論家のゲイル・トヴェルバーグ氏は在来型化石燃料の世界生産量が2005年をピークに伸び悩んでいることをあげている。彼は2008年と2009年のリーマンショックの主な原因のひとつはこの停滞にあると見て、これが現在の景気後退をさらに深刻化させる可能性を予告しているという(シェールガスがあろうが、あるまいがこれは起こるという)(注10)。それだけではない、新経済基金(NEW)はIEAの報告書に続いて出した新しい研究で、オイルピークの出現を2014年ないし2015年と予測しており、そのとき採掘と供給にかかる費用が「世界経済がその活動に致命的なダメージを受けることなく引き受けることのできる費用を追い越すだろう」(注11)とみている。

 この研究はメディアの関心を引かなかったし、エネルギー業界のロビイストの宣伝文句に浸りきっている政治家たちの関心も引かなかった。遺憾なことである。この研究の結論はわかりやすいからだ。景気を修復するどころか、シェールガスは作り物のバブルをふくらませ、根本的に不安定な構造を一時的にカムフラージュしているのである。バブルがはじけると供給の危機と価格高騰をおこし、世界経済に甚大な悪影響を及ぼす危険性があるのだ。




(1)«Insiders sound an alarm amid a natural gas rush», The New York Times, 25 juin 2011.
(2)Ruud Weijermars et Crispian McCredie, «Inflating US shale gas reserves», Petroleum Review, Londres, janvier 2012.
(3)James Murray et David King, «Climate policy : Oil’s tipping point has passed», Nature, no 481, Londres, 26 janvier 2012.
(4)Wolf Richter, «Dirt cheap natural gas is tearing up the very industry that’s producing it», Business Insider, Portland, 5 juin 2012.
(5)«Shale gas will be the next bubble to pop. An interview with Arthur Berman», Oilprice, 12 novembre 2012, http://oilprice.com
(6)«Exxon : “Losing our shirts” on natural gas», The Wall Street Journal, New York, 27 juin 2012.
(7) «US shale gas glut cuts BG Group profits », Financial Times, Londres, 26 juillet 2012.
(8)«Debt-plagued chesapeake energy to sell $6,9 billion worth of its holdings», The Washington Post, 13 septembre 2012.
(9)Nick A. Owen, Oliver R. Inderwildi et David A. King, «The status of conventional world oil reserves – Hype or cause for concern ?», Energy Policy, vol. 38, no 8, Guildford, août 2010.
(10)Gail E. Tverberg, «Oil supply limits and the continuing financial crisis», Energy, vol. 37, no 1, Stamford, janvier 2012.
(11)«The economics of oil dependence : A glass ceiling to recovery», New Economics Foundation, Londres, 2012.

(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2013年3月号)


http://www.diplo.jp/articles13/1303gazdeschiste.html  

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コメント
 
01. 無段活用 2013年5月04日 01:28:29 : 2iUYbJALJ4TtU : ddGVSlWexS
だから、今回の安倍氏の訪露がとても大きな意味を持つわけでしょう。

02. 2013年5月04日 11:04:06 : mHY843J0vA

化石燃料もウラン燃料も、最終的には採掘コストが上昇し、再生エネルギー価格に収束することになります

ただし、それに要する時間は、最低でも百年程度はかかるので、人類の人口は限界を超えて膨らみ、生態系と生存環境の破壊は止まらないでしょうね

そして核融合が実用化し宇宙進出が実現しない限り、現代のような人類文明は崩壊することになるのでしょう



03. 2013年5月04日 17:19:51 : f03bsD7xbY
藤井ナニガシという石油に無関係な政治ゴロが書き立てて、シェールガスのブームを煽り立てているが、どうも詐欺商売の手先らしいという感じがする。日本人よ安倍のアメリカ追従のペテン政治に騙されてはいけない。

04. 2013年5月05日 00:08:26 : soNXPpgB8Q
食糧にしろエネルギーにしろ何だって海外依存と国内自給のバランスを保つ努力をしないなら、どちらか一方の供給が仮に一時的にも途絶える事態になった場合は単に生活のみならず国内産業が急速停止して国が立ち行かなくなる可能性は大きい。

日本は輸入大国なんだから世界中と仲良くするのが国益に資するという国是を確認するべきだ。戦争ができない国であるならば世界に信頼されることになるし、友好関係を保てる国が今より増えていくことが日本の信頼度を計るバロメーターにもなるだろう。

逆に特定の国とだけ、しかも軍事の観点で集団的自衛権を行使する目的を前提として積極的な外交をやるということは日本が今まで培ってきた現在の信頼を失っていく可能性が急速に高まっていくとも考えられる。

今の自民党政権は過半数に浮かれてるだけで慎重な姿勢があまり感じられない。国民に議論を求める態度ではないからだ。テレビに出てチャラチャラ振る舞っても多数で決めると言わんばかりではないか。

国政を担うべき政権は一部の利益だけではなく、国全体が成長して繁栄できる政策を実行するべきであり、戦争できるようにして準備し、国の安全を危険に晒してまで幻に国威の発揚を信じるのは愚かな政治を強引に行う非民主主義の証拠である。


05. 2013年5月05日 18:34:20 : Zuy0XHir4U
>01. 無段活用 2013年5月04日 01:28:29 : 2iUYbJALJ4TtU : ddGVSlWexS
>だから、今回の安倍氏の訪露がとても大きな意味を持つわけでしょう。

竹島と、尖閣問題はいつ解決するんだ?
安倍晋三の公約だぞ。
自民党お得意の公約破りか?
そんな公約出来なくたって大したことないんだよって、また、ごまかすのか?


06. 2013年5月05日 22:06:30 : hZaS1ntS76
ついでに紹介

石油の需給逼迫とユーロ圏危機
http://ourworld.unu.edu/jp/oil-crunch-and-eurozone-crisis/


............................

シェールガス革命の可能性については、このレポートの著者であるブノワ・テヴァール氏とイブ・コシェ氏が次のように記している。

「100年にわたりガスを動力源にすることを考えると、大規模な構造改革が必要になる。たとえば自動車を天然ガス車に変える、ガソリンスタンドの設備を更新する、ボイラーを入れ替えるなどだ。この状況により、米国は非常に深刻なリスクを負うことになる。もし、シェールオイルやシェールガスのブームが結局はバブルだったということになれば、生産は急速に減少し、ガスの価格は急騰し、もはや手に入らないエネルギー源に合わせて行われた多額の投資(主に借金によるもの)が残る。エネルギーを他国に依存しないという夢はおそらく現実にはならないだろうが、それを夢見た米国の人々は袋小路に追い込まれ、その状況は今日直面しているものよりさらにひどいものになるかもしれない」

...................

興味深いのは、さかのぼって2008年8月、チャタムハウスのポール・スティーブンス氏が「 Coming Oil Crunch(来るべき石油の需給逼迫)」と題された研究で、石油需給が逼迫するのは2013年頃で、価格は1バレル200米ドル以上に高騰するだろうと予測していたことだ。同氏は、そのような価格の高騰はマクロ経済に大きな影響を及ぼし、その結果、「反対意見を抑え込んで、政府がエネルギー分野にこれまでよりはるかに深く介入するようになる。そして9.11が軍事政策や安全保障政策に及ぼしたような影響が、エネルギー政策において見られるだろう」と述べている。

スティーブンス氏の論文の目的は、石油の需給逼迫がどのように起こるかを明らかにして、その発生を防ぐための政策を提案することであって、価格高騰が実際にどのような影響を及ぼすのかを説明するものではなかった、しかし、この論文が発表されてから、私たちが目にしてきた通り、ヨーロッパでは長引く景気後退の中で石油需要は抑えられ、 過去20年で最低の水準に達している。しかし、ヨーロッパのエネルギー政策の変容はまだ起こっていない。

だがこれこそが、EUの欧州緑グループが望むことであり、だからこそ彼らはレポートを欧州議会に提出したのである。
ヨーロッパ(特に南部の国々)はすでに長引く景気後退と高い失業率に苦しんでおり、最大の経済国のドイツですら、 成長は鈍化し、停滞状態に近づいている。こういった状況が石油価格の高騰でさらに悪化することは誰も望んでいないが、同時に、私たちが受けて立つべき新たな現実は、景気後退、経済成長、エネルギー消費の増加、エネルギー価格の高騰、そして再び景気後退といったものかもしれないのである。この文脈において、EUの緑グループは、石油価格が1バレル200米ドルを超えるようなことがあった場合、経済全体、そして食料や医療、住宅、観光、通信といった特に脆弱な分野に何が起こるかを理解したいと考えている。

彼らのレポートによると、この規模の石油価格の高騰は生産コストの上昇を引き起こし、企業は投資を控えるようになる。そうなると最終的には収益と民間部門の賃金に影響が及び、同時にインフレは加速し、エネルギーコストは急騰する。その結果、彼らは国内のエネルギー需要が30〜40%下がるかもしれないと予想している。

連動して消費者物価が上昇すると、賃金の再交渉が必要になり、収益率が下がり、労働力需要が全体的に下がることになるだろう。レポートでは、投資と消費が縮小すると、物価は上昇しているのに成長がない「リフレーション」を引き起こすと論じられている。これはすべての分野に影響を及ぼし、社会の円滑な機能を確実にするのに不可欠な部門(警察、消防署、医療機関、保健サービスなど)も例外ではない。最も貧しい人々が最も大きな打撃を受け、失業率はさらに上昇し、品不足、破産、債務不履行などが決して珍しくない状況になる。

レポートには次のように記されている。「2008年においては、農作物の価格が17%上昇したことにより、食料品の価格が10%上昇した。同年、1バレルあたりの石油価格は約85%上昇した。したがって、1バレルあたりの石油価格が2倍になるようなことがあれば、2012年の価格と比較して、農作物の価格は20%上昇し、消費者物価は12〜15%上昇するだろう」

彼らによると、水産業においては、多くの漁船が操業を停止し、市場と農作物・食品業界で品不足が起こる。これはこの業界で働いている25万人の人々に直接的に影響を及ぼし、労働力の60%が水産業に関わっているスペイン、イタリア、ギリシャ、労働力の25%を占めるポルトガル、フランス、英国では特に顕著だろう。また、価格の高騰と物理的な食料不足が相まって食料危機が起こり、市民の抗議活動、さらには暴動も起こりうる。

..........................

まず、心に留めておかなくてはならない重要な点は、レポートの著者らは石油の価格高騰が明日にでも起こると言っているわけではないことだ。そうではなく、彼らが示唆しているのは、石油供給の低下が今から2020年までの間のどこかで起こる可能性があり、それを公共政策において考慮しなければならないということだ。

次に、彼らが懸念しているのは、EUが現在、推し進めているエネルギー戦略( 20-20-20 戦略)はEUの石油依存度を問題にしておらず、2020年までに石油生産量が減少する可能性も考慮していないので、不十分だということだ。


-------------------

日本よりはるかに脱化石(カーボン)、脱原発のEUでもこの程度くらいは認識はある。


ところで偉大なる不敗の安倍首相の経済政策により、後先なく円安を驀進する日本経済。
シェールガス大好きNHKのクローズアップ現代では、ダニエル・ヤーギン(石油なんか高くなれば、幾らでも巨額な投資と高度な技術で掘削できるじゃんという考えの人)をゲストに招いて、シェールの夢物語を演出してみせたが、オイルピーク論が正しいという近年の研究に対し、あまりにも楽観的すぎるのは誰にでもわかることだ。
つい先日のイスラエルがシリアに越境してヒズボラを攻撃(今後イランは?)するような不穏な情勢も想定できる。


原発は論外だし、石油も今後の情勢では予断を許さない。観光だのカジノを作る前に、他にやることがいくらでもあるのではないか。


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