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円安の悲劇2
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投稿者 一言主 日時 2013 年 5 月 07 日 12:47:41: AlXu/i8.H/.Es
 

円安の悲劇2。

円安による悲劇1では、「デフレ下の円安は、インフレにならない、単なるコストプッシュによる価格上昇であり、付加価値は低減する。輸入品への資金流出はさらなるデフレを招く。」ことを強調した。

いわゆる需要が供給を上回ることから生じる価格上昇が、インフレ目標の数値であり、これがデフレ脱却につながるのである。コストプッシュの価格上昇と混同してはならない。

しかし今の政府はコストプッシュもディマンドプッシュも区別していないのではないか。コストプッシュをインフレ目標にしているならお笑いだ。無茶苦茶だ。

黒田日銀総裁が、G20で異次元緩和の円安は、デフレ脱却のために行っていると言ったが、国内が縮小循環に有る限り、円安も効果なくデフレ脱却は不可能である。

円安の悲劇2、:デフレの縮小循環が続く限り、円安になっても生産の国内回帰につながることもなく、内需用の国内生産も増えない。たとえ輸出増による還流資金が増えても、国内市場が、需要が供給を上回る拡大再生産を伴うインフレ循環に入ることはない。


現在の円安では、例え輸入品の価格が上昇しても、生産の国内回帰は見込めず、内需関連企業の生産が増えることはない。

円安はさまざまな分野に影響を及ぼす。
実体市場への影響は、
1、輸出企業の生産が増え輸出代金が増える。
2、輸入品価格が上昇する。
3、原材料費が高騰する。
などがある。

2の輸入品価格の上昇は、企業の国内生産に取って有利に働く。しかし消費者にとっては不利に働く。
原材料の高騰は、企業にとって製造コストの増大になる。

デフレという、生産能力比べて著しく資金量が少なくなった市場では、常に供給量(生産量)対して消費不足になっている。市場が循環するごとに不良在庫が生じることになる。それが市場から資金を減少させ、経済を縮小経済にしている。

デフレは消費不足に尽きるのである。このような市場で、自国通貨安となった場合、輸入品物価の上昇が消費者を直撃する。輸入品に対して資金がより多くつぎ込まれ、資金が市場から流出する。

ただでも少ない消費がさらに枯渇するため、より一層の低価格が進むか、生産量の縮小を余儀無くされる。
そのため内需企業の国内生産が増えることは考えられない。

また内需が停滞している限り、輸入品価格が高くなっても、その代替品が国内で作られることはない。より安い中国に代わる、発展途上国の輸入品に代替されるだけである。どんどん賃金の安い国や、より安く供給できる国へとシフトして行く。

これは内需の停滞が、常に高い価格弾力性を維持しているため、消費者の行動が、品質や、性能、デザインなどより、低価格志向が強くでるため、付加価値の高い商品が生まれる土壌が形成されないためである。

いわゆる棲み分けができないのである。これが普通の正常な経済であれば、中国などの発展途上国の製品が続々と入って来ても、低価格品とデザイン性などの機能に優れる中、高級品とに棲み分けができたのである

欧米は、現に、サブプライム問題、やリーマンショック前は、このような棲み分けができていた。少なくともデフレではなかった。

ところが日本では、消費税増税後、完全なデフレ循環に陥ったため、低価格志向一辺倒で、棲み分けが出来なかった。

リーマンショック後のヨーロッパは、ドイツやフランスを除き、消費税が異常に高いことも相俟って、価格一辺倒で棲み分けができ難い状態になっている。


国内で代替品が生産されるためには、価格弾力性が低くいことが重要な条件である。消費者の価格に対するゆとりが国内生産に切り代わる重要な指標となる。

消費者にゆとりを与えるためには、消費者の国民負担を減らすか、または消費者へ直接資金を注入する必要がある。

デフレの解消には、市場を拡大再生産させることが必須条件である。それを援助するために円安が効果を発揮する。

しかし円安が効果を発揮するための条件は、市場が拡大再生産する前提がなければならない。
この前提がないため、今回の円安による輸入品価格の上昇は、消費者にさらなる低価格志向を生み出し、さらなる安い国からの輸入品増を招くことになり、内需関連の国内生産は余計に萎縮し、疲弊することになる。


市場の拡大再生産は、生産額を消費額+(貯蓄額ー借金額)が上回ることによって実現する。この循環の繰り返しが、企業の付加価値を高め、個人の所得を上昇せしめるのである。

デフレの場合借金額が貯蓄額を上回り、生産額がすべて購入される事なく、不良在庫が残る。これを繰り返すことにより、不良在庫がどんどん積み上がり、経済が縮小して行く。

その第一の原因が、生産能力に比べ消費額が少ないことである。円安が、輸入品価格の上昇をもたらすが、それは消費者にとっては辛い方向へ、企業にとってはよい方向に振れる。

しかし消費が著しく不足しているデフレ下では、円安による輸入物価の上昇により、消費額のわずかな落ち込みでも大きく生産量を減らすことになる。

それが内需関連企業の増産意欲を失わせることになる。それどころか、縮小生産が続くデフレ下でのさらなる消費の減少は、国内産業をさらに淘汰させよう。


また円安による輸出企業の輸出の拡大は、輸出企業からすぐに港に直行するため、内需市場の循環をその生産額の大きさほど拡大させない。

すなわち、企業から直接、港に入ると、国内の代理店や、卸業者、小売業者、信販会社などを通らないため、生産額が大きくても、内需の拡大につながらないのである。

しかも円安で稼いだ還流資金は、これまた、金融機関と企業へ直接流入し、内需市場に回らない回路になっている。
そのため、今回の円安が輸出拡大に大きく貢献したとしても、内需が好転することはない。

またここ数年間の円高により、多くの有力輸出関連企業は、海外移転を行っており、小泉政権下の2千3、4年頃程の輸出拡大になるとは思えない。

また例え、当時を凌駕するほどの輸出拡大がなされたとしても、内需と外需を合算した名目GDPが好転するだけで、現実には、内需関連企業は衰退しているのである。

小泉政権下の円安による見かけの良さが、内需関連企業のボロボロの衰退を隠し、デフレを悪化させたのであった。今回もその二の舞いを繰り返すであろう。

いまだに小泉政権下の経済的失政を繰り返すことは、経済学者としての資格や素養を疑うに値する。またそれを無批判に垂れ流す、日経新聞などは新聞とし役割を成していない。

円安の悲劇2、縮小循環における自国通貨の安さは、より安い輸入品の増加につながり、国内生産や国内回帰の生産増を促さない。安い輸入品の増大がより一層国内企業を淘汰することになる。


一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
デフレの脱出は、1にも2にも、消費者の負担の軽減、消費者への資金投入である。

ガソリン価格の低減、高速代金、重量税、などの低減、預金金利の引き上げ、
雇用保険の拡大、生活保護費の維持、年金の物価スライド制の廃止、などが非常に大事である。

それ故今回の円安は、さらなるデフレを深刻化させる悲劇となる。今のまま、消費者に対する資金援助や、負担の軽減なければ、確実に阿部黒組は崩壊するだろう。

 

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コメント
 
01. 2013年5月07日 13:21:15 : e9xeV93vFQ

>コストプッシュをインフレ目標にしているならお笑い

ちゃんと読めばわかるが

日本版コアだから当然エネルギーも入る
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304a.pdf

「アベノミクス」が抱える3つの課題
2013年5月2日
経済調査部 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
「異次元の金融政策」を標榜する、黒田東彦・日本銀行新総裁が鮮烈なデビューを飾った。

新生・黒田日銀が決定した金融緩和は、金融市場の事前予想を大幅に上回る大胆な内容であった。

4月4日に、日銀は2年間で前年比+2%の消費者物価上昇率実現を目指す「量的・質的金融緩和」の導入を決定した。政策目標を従来の「金利(無担保コール翌日物金利)」から「マネーの量」に切り替えると共に、「マネタリーベース(資金供給量)」を2年間で倍増させる。日銀が市場から購入する国債の残存期間を長期化することに加え、長期国債や上場投資信託(ETF)などのリスク資産も大幅に買い増す。この結果、2014年末の日銀の資産規模は290兆円(GDP比59%)に倍増することとなる。

日銀に対して普段は辛辣な海外メディアの報道も総じて好意的である。英フィナンシャルタイムズ(FT)は「黒田が市場を急襲」「日本が金融革命を始めた」という表現で賛辞を送った。独フランクフルターアルゲマイネ・電子版も「天変地異が起きた」と報じた。

筆者は、「黒田マジック」を受けて、ボールは政府に投げられたと考えている。

一見好調に滑り出したかに見えるアベノミクスは、3つの課題を抱えている。

第一に、現時点でアベノミクスは、金融政策や公共投資などのカンフル剤が中心となっている。だが、アベノミクスを持続的な経済成長につなげるためには、規制緩和やTPP(環太平洋経済連携協定)参加などの構造改革への取り組み――すなわち三本目の矢の強化が不可欠である。安倍政権が日本経済の体質を抜本的に改革できなければ、株高・円安は一過性のものに終わることが懸念される。

第二の課題は、財政規律を維持することである。

財政規律の喪失と一体的に行われる大胆な金融緩和は、事実上の「マネタイゼーション(負債の現金化)」の色彩を帯びる。もし日本で債券相場が急落(=長期金利が急上昇)すれば、歯止めのかからない悪性の円安や、輸入物価の上昇を受けた「スタグフレーション(不況下の物価高)」の発生が懸念される。

第三の課題は、雇用者の所得を増加させることである。

過去の歴史を検証すると、わが国では「売上高増加→賃金増加→物価上昇」というサイクルが存在する。すなわち、わが国では売上高が増加した半年〜1年後に賃金が増加し、その約半年後に消費者物価が上昇する傾向があるのだ。

ただし、2000年代以降、「グローバリゼーション」の進展などを背景に、売上高の賃金に対する先行性が崩れつつある点には一定の留意が必要である。今後、売上高の増加が賃金の増加に適切に波及していくような「トランスミッションメカニズム(波及経路)」を政策的に強化する必要があることは間違いない。

安倍政権には、ここまでの成功に慢心することなく、さらなる政策課題に取り組むことを大いに期待したい。

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執筆者紹介

熊谷 亮丸
Mitsumaru KUMAGAI
グローバルな視点から日本経済の将来を検討することを常に心掛けている。国内外の調査研究機関で、過去20年間にわたり、日本経済、米国経済、日銀の金融政策、為替市場、債券市場などに関する幅広い調査・分析業務に従事してきた経験が強み。政策当局とのパイプをフル活用し、日本政府に対する政策提言も積極的に行っている。

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02. 2013年5月08日 07:14:29 : 7OpGsifAXA
閉鎖市場での経済論をそのまま解放市場へ持ち込むことで認識に混乱を生じている。
"需要不足"は明らかなミスリードで、正確には"ぼったくり価格を容認する需要の不足"だ。
30年前に戻りたいか?

03. 2013年5月08日 10:46:45 : 7bwG4S25d6
消費税を廃止して、輸出大企業から税金を取る。これも相当、有効でしょう。
建築規制を大幅に緩和して、東京都内に巨大建物を林立させる。日照は、公園でしてもらう、まさにヨーロッパの都市生活。

04. 2013年5月09日 09:32:50 : BDDFeQHT6I
問題の根幹は本来技術革新等で低価格製品輸出国との差別化を図って製品構成を転換させて行くべき輸出企業が安易な価格競争しか出来ない企業に成り下がったことにある。
生産の海外移転など幾等やったって数年単位で次から次へと低賃金の国へ工場移転を繰り返すしか道は無い、こんな放浪起業に高付加価値の新製品など開発できるわけは無い。

05. 2013年5月10日 09:31:44 : IeRDkoDgEI
>>04
>問題の根幹は本来技術革新等で低価格製品輸出国との差別化を図って製品構成を転換させて行くべき輸出企業が安易な価格競争しか出来ない企業に成り下がったことにある。

それは根幹じゃないでしょう。
これまで中国製品や韓国製品がシェアを伸ばしたことからわかるように、圧倒的価格差を品質の優位性でカバーすることは非常に困難です。
しかも、価格競争力を背景にシェアを伸ばした中国や韓国のメーカーでは次第に品質の向上が見られます。
つまり、中国や韓国メーカーはシェアを伸ばしたことにより開発投資や設備投資する資金ができたため品質の向上が可能となり、シェア拡大と品質向上の相乗効果を発揮している事がわかります。
逆に言えば、シェアを落としている日本企業は開発投資や設備投資を行いにくくなり品質の優位性すら危うくなりつつあったわけです。
こうした状況を象徴する出来事が、シャープが大胆な設備投資を行い経営危機に陥ったことなのです。
この経緯を考えれば、「安易な価格競争」と認識するのは非常に安直な分析であり、あなたの主張に反して価格優位性が決定的な要因であることがわかります。

すなわち、中国や韓国の価格競争力の圧倒的優位性の原因とは1ドル=70円台まで進行した円高であり、これまで円高是正に消極的だった当時の日本銀行の姿勢こそが問題の根幹であったと私は考えます。
したがって、黒田総裁になった日本銀行が大胆にインフレターゲットを行い円高を是正したことを私は高く評価します。


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