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日経平均4万円も夢ではない〔1〕/武者陵司(武者リサーチ代表) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/747.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 5 月 10 日 13:30:00: igsppGRN/E9PQ
 

日経平均4万円も夢ではない〔1〕/武者陵司(武者リサーチ代表)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130510-00000001-voice-pol
PHP Biz Online 衆知(Voice) 5月10日(金)12時40分配信


 いったい何が起こったのだろうか。大多数の日本人はいぶかしく思っているはずである。諦めていた円安、株高、さらにはデフレ脱却と日本経済の復活すら視野に入りはじめたのである。この現実をどのように捉え、投資家、経営者、ビジネスマンはどのようなスタンスを取るべきか、以下ではその答えを述べたい。過去のしがらみやこだわりを捨て、リスクテイクを徹底させるべきである。それは国家百年、企業、個人100年の計を決する重大判断である、と訴えたい。

◆貨幣が2倍なら株価も2倍に◆

 日銀の新金融政策は大成功し、不当な株安、不動産安、円高を大転換、2年後には2%インフレが視野に入るだろう。黒田日銀新総裁に主導された金融緩和は、日本経済史における大きな画期となる。諸悪の根源は異常円高と株・不動産の過剰値下がりであり、それは完全に金融政策の射程のなかにあるからである。単純に考えて、貨幣供給が2倍に増えるのだから、供給量が不変の株価、地価は2倍となり、円は(相手国通貨供給が不変なら)2分の1になる。まるで市場にバズーカ砲を撃ち込むように、新金融政策が資産市場と為替市場に絶大な衝撃を与え続ける。「間違っていた株価・不動産価格、円の是正」が起きれば、日本経済をめぐる風景が一変する。現在1.3倍のPBR(株価純資産倍率)が世界平均の1.9倍まで上昇すると考えれば、日経平均株価は1万8000〜2万円をめざすことになる。

 同様に、世界で最も割安であった不動産価格も高騰するだろう。控えめに見積もっても、今後数年間で年間GDPと同額の500兆円以上の資産効果(株と不動産のキャピタルゲイン)を日本にもたらすだろう。不動産関連をはじめとして投資と銀行貸し出しも増加、2014年から3%程度の賃金上昇も始まる公算が大きい。消費税増税前の駆け込みもあり、消費・投資は2014年にかけて大きく増加しよう。資産価格急騰自体が追加的購買力を生むので貯蓄余剰の解消は緩慢となり、長期金利は2014年から上昇するものの1.0%止まりであろう。

 われわれは、今後の日本を二段階で考えるべきだろう。まずアベノミクスで円高デフレ脱却、その先の改革で世界の経済大国日本復活へ、である。日本の成長分野である医療、教育、農業は既得権益の巣窟、それらを規制緩和・自由化し、競争を導入し、資源を誘導しなければならない。また移民法の改正、女性の機会均等等、開かれた社会への変革も必須である。TPP参加を梃子とした構造改革、社会保障と労働の規制改革推進が実現できれば、日本は再度世界に冠たる高生産性経済大国になるであろう。第一段階だけでも日経平均は2万円、第二段階が進展すれば、日経平均は3万円から4万円への展望が開けていくだろう。

「そんなうまい話があるはずはない。輪転機を回しさえすればすべてが解決するとは錬金術である。呪縛にかかっている」。そうした懐疑を尻目に、株価は昨年11月14日以降5カ月で50%、ドル円レートも78円から99円まで3割弱の円安になった。

 呪縛にかかっていたのは、これまでの日本人を支配した悲観論、宿命論のほうではないか。2009年以降のリーマン・ショックによる国際金融危機からの回復過程で、着実にパニック心理が沈静化し、米国や欧州では正常状態に戻ったのに、日本だけはむしろパニック状態を正常とする心理が広く蔓延し、定着した。

 一方、欧米では危機という異常事態からの回復をめざした政策が展開された。量的金融緩和という前例のない金融緩和政策により失われたアニマルスピリットが復元し、市場でのリスクテイク意欲が完全に復活、その先に持続的経済成長と長期繁栄が見えてきた。リーマン・ショック直後には大恐慌時以上に上昇した社債のリスクプレミアム(市場が織り込む倒産確率)は元に戻り、株価は2009年3月のボトムから2倍を超えて上昇、米国のダウ工業株指数は史上最高値を更新した。

 他方、アベノミクスが登場する昨年11月前まで日本株式はリーマン・ショック後の安値に低迷し、不動産も下落基調が続いた。この結果、日本株式、日本(東京)の不動産価格は世界主要国のなかで最も割安になっていた。日本株のリターンである益回りは8%と、1%弱の債券利回りの8倍となったが、それは歴史的にも国際的にも前例のない高さであり、日本株式の馬鹿げたほどの割安さを示していた。不動産においても、世界主要都市の不動産のキャップレート(期待リターン)と債券利回りの格差、イールドスプレッドを比較すると東京は世界最高であり、その著しい割安さが明白であった。

 このような悲観の呪文から日本を解放したものがアベノミクスと、黒田氏が率いる新生日銀による新次元の金融緩和政策である。空前のマネー供給により、リスク資産への投資勧誘を打ち出した。日銀が中立性を放棄し、リスクテイカー支援に回ったことが如実である。舞台は大転換したのである。

◆マネーは自由に動かせばよい◆

 それにしても、なぜ輪転機を回し、市場価格を支える金融政策が効果的なのだろうか。それは「遊んでいる人と資本を働かせ、富と需要を生み出すこと」に対して有効だからである。マネー、信用はそもそも経済活動にとって媒介、潤滑油にすぎないのだから、結果を出すために自由に動かせばよいのである。そして出すべき結果とは、需要創造に尽きる。現在、日本をはじめ先進国が患っている共通の最大の病は、生産性が高まったために、労働と資本の余剰が空前の規模で発生している点にある。それが大幅な失業の増加と空前の低金利をもたらしている。

 この余剰を活用し、新たな需要が創造されれば、経済は発展し、人びとの生活水準は向上する。しかし余剰が遊ばされたままなら、デフレ、超低金利と失業の大発生となり経済は恐慌に陥る羽目となる。マネーはこの遊休資源(人と金)を需要に繋げる役目をもっているのであり、政策はその目的のために動員されなければならない。超金融緩和に対する評価も、この一点でなされなければならない。超金融緩和は「資産所得(=不労所得)をもたらし非倫理的である」という問いは、本筋ではないのである。

「金融政策ではデフレは解決できない」「バブル、ハイパーインフレをもたらす」「構造改革が必要」などはすべて、現状は変えられないという宿命論である。大多数の学者、ジャーナリストそして白川日銀体制はそうした宿命論の信奉者であった。しかし日本国民、安倍政権そして黒田日銀新体制は、そうした悲観論が導く暗い現実を拒否したのである。

 それでは、日本だけがかかった病「長期デフレ」の二大原因は何か。それは円高と株・不動産の過剰値下がりであった。為替も資産価格も本来は循環的なもので、それが20年間、一方向に偏り続けたのは日本だけに起こった特異な現象である。円高と資産価格下落の相乗効果が世界中で唯一、日本においてだけ20年近くに及ぶ賃金下落をもたらした。1980年代までの円、株価と不動産価格は行き過ぎであり、その是正は当然であった。80年代末、日本の特異な産業競争力の高まり、大幅貿易黒字は円の不当な安さを示していた。また戦後の土地担保金融と過剰貯蓄が自己実現的にもたらした資産バブルも、どのような理論によっても正当化できないものであった。

 つまり1990年代前半の円高と資産価格下落は、戦後日本経済の過剰成功がもたらした歪みの是正としての正当な意味があった。その背景には、極端に強くなった日本企業の競争力が米国経済を困難に陥れているという現実があった。いま振り返ってみれば、1980年代までの日本の繁栄は覇権国の国益を損なうもので、砂上の楼閣だったのである。

 しかしその是正が行き過ぎた。過剰な円高と過剰な資産価格下落の継続が、相乗効果となって日本企業に異常な賃金下落圧力をかけ続けた。世界の労働市場は一物一価、同一労働同一賃金の原則が貫徹しつつある。

 生産性を上げぬままに賃金を引き上げても、インフレ→通貨安となって逆襲される、つまり世界の賃金に回帰する。同様に生産性を上げぬまま通貨高になっても、国内の賃金下落を引き起こし、世界賃金に収斂する。過去20年間の執拗な円高は国内賃金の下落圧力を定着させ、日本に世界唯一のデフレをもたらした。一般的な通貨変動は購買力平価と比べてプラス・マイナス30%程度の為替変動が限度なのに、円の場合は一時、2倍という異常な評価が与えられた。それによって国際水準に対して日本企業のコストは2倍となり、賃金も2倍となったために、企業は雇用削減、非正規雇用へのシフト、海外移転を進めた。労働コストは大きく低下し、かろうじて競争力を維持できたものの、日本の労働者の賃金はいわばその犠牲となり、長期にわたって低下し、日本にデフレをもたらしてきたといえる。

 また、ピーク時である1989年の日本の株式と不動産の合計時価総額は3100兆円(対GDP比6倍)に達したが、それが2011年には1500兆円(対GDP比3倍)へと半減した。この下落は年間平均80兆円に達し、名目GDPの16%に相当する。この資産価格下落は、ただちに企業と金融機関の問題資産償却コストや担保価値下落による信用収縮となり、企業の収益とアニマルスピリットを奪った。負の波及効果は金融や不動産など内需関連業種に連鎖し、企業のコスト引き下げ=賃下げ圧力を高めた。企業が空前の貯蓄余剰を抱えているのも、資産価格下落に際しての財務バッファーを確保するためという面が強い。

 この過剰な円高と資産価格下落に、金融政策は決定的に影響を及ぼした。白川氏までの日銀は「通貨は財務省管轄、資産価格は市場が決定するもので、あずかり知らぬ」という態度を取り続けてきたが、それは誤りであった。1990年前後のバブル形成とバブル潰しにおいては、日銀の金融政策は決定的な役割を果たし、バブル潰しを指揮した当時の三重野総裁は「平成の鬼平」とジャーナリズムからの喝采を浴びた。

 しかし日銀が「失われた20年」後半の過度の資産価格下落を放置し続けたことは、バランスを欠いていた。プラスのバブルを潰しながら、マイナスのバブルを容認し続けたのであるから、市場が極端なリスク回避にとらわれ続けたのも当然であった。人びとは著しく割安の株式(益回り8%、配当利回り2%)を避け、ゼロ金利の預金や1%の国債に大半の貯蓄を寝かせ続けた。金融市場がリスクキャピタル提供の場として完全に機能しなくなったのである。金融市場の機能不全に日銀の責任は大であった。

 このように見てくると、「日銀金融政策の革命的変化」(『ファイナンシャル・タイムズ』紙)がいかに有意義か、明白になるだろう。黒田氏が率いる新日銀はマネタリーベースの2年倍増、国債残存期間の3年から7年への延長、上場投資信託(ETF)の買い増しなどにより、リスクプレミアムの引き下げ、リスク性資産投資の勧誘を打ち出した。日銀が中立性を放棄し、リスクテイカー支援に回ったことが如実に示されたのである。舞台は大転換し、株高と円安が始まった。なお、その背後には対中圧力という観点から日米同盟を強化したい米国の国益があることが留意されるべきである。米国は、アジア最大の民主主義国である日本経済のデフレによる衰弱を地政学的リスクと感じはじめている。東日本大震災直後のG7による協調介入、アベノミクス登場以降の円急落の容認などは、地政学的配慮によってもたらされている、と考えられる。


       ◇

日経平均4万円も夢ではない〔2〕/武者陵司(武者リサーチ代表)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130510-00000002-voice-pol

◆アカデミズムの罪◆

 さて、アカデミズムで大きな影響力をもつ経済学者による量的金融緩和批判が絶えない。伊藤元重氏、吉川洋氏、野口悠紀雄氏などは「実質実効為替レートで見れば歴史的円高ではない」と主張しているが、それは因果関係をはき違えた議論である。実質実効為替レートで90年代前半ほど円高になっていないのは、円の名目為替レートがドルなどの主要通貨に対して上昇するなかで、製造業を中心に単位労働コストが大幅に低下したためである。実質実効為替レートは事後的に均衡したにすぎない。むしろ円高が進行したことで、日本の労働者の賃金は、他国に劣らない労働生産性の伸びが続いたにもかかわらず、大幅に下落してきたと捉えるのが正しい理解だろう。米労働省は、主要国製造業の時間当たり賃金およびユニットレーバーコストの比較を現地通貨ベースとドルベースのそれぞれで発表しているが、日本の円賃金は大きく下落したのに、ドルベースでは大きく上昇し、日本の競争力を阻害したことが鮮明である。円高は修正すべき対象であり、容認すべき対象ではないといえる。

 また吉川洋東大教授は、近著『デフレーション』(2013年1月刊、日本経済新聞出版社)で「インフレは金融引き締めによる不況で抑制できるが、デフレは金融政策では抑制できない(何故ならゼロ金利下での超過準備引き上げに効果はない)、つまりデフレは原因ではなく結果である」と述べたうえで「日本のデフレ原因は1990年代に起こった大企業の雇用システム変貌、賃下げに原因がある」と主張している。

 つまり企業が雇用を守ることを優先し、そのしわ寄せが賃金下落圧力となったというのであるが、説得力に乏しい。企業が不必要な雇用を維持することで労働生産性を引き下げ、その結果、発生する労働生産性低下のコストを賃下げというかたちで労働者と分け合う行動をとっているという論理であるが、そんな特異な行動がいまのグローバライゼーションのもとで成り立つのだろうか。

 また、池尾和人氏(経済学者・慶應義塾大学経済学部教授)などは「必要なのは構造改革であって金融緩和ではない。構造が変わらなければいくら金融を緩和しても停滞から抜け出せない」と主張しているが、それは「長期デフレ」が構造改革を押しとどめてきたという点を無視している。デフレ終焉はそれ自体が構造改革なのである。20年間続いたデフレは、価格メカニズム(市場価格によって最適資源配分を行なう機能)を麻痺させ、潜在需要が大きな成長分野への資源配分を阻害した。ハイエクは「恐慌の原因は部門間の相対価格の歪みによる資源配分不全」としているが、日本はそれが20年近く続いたのである。

 デフレとは、例えるなら「冷凍保存」のようなもので、変化を止めてしまう働きをもっている。つまり日本の経済停滞の原因は、本来成長産業であるサービスセクターが成長できていない点にあるが、その原因はサービス価格の長期的デフレにより、サービス産業がまったく儲からなくなってしまったからである。つまり、デフレが成長分野への所得配分を阻害しているのである。

 それは、日本の高度成長期の歴史を振り返ればはっきりわかる。技術革新と生産性向上によって国民生活は急速に向上し、都市と農村間、製造業とサービス業間の所得格差が縮小したが、それは製造業などの高生産性セクターが稼いだ所得がサービス価格インフレ、農産物価格インフレとなってサービス産業や農業に移転できたからだ。いわゆる「生産性上昇率格差インフレ」であるが、デフレは生産性上昇率格差を埋め合わせる所得再配分機能を壊してしまったのである。

 そうした事情は先進国の項目別物価、セクター別雇用、セクター別賃金推移における日本の特異性に顕著に表れている。各国の雇用を見ると、製造業の雇用減少は世界共通であるが、非製造業に関しては日本だけが雇用停滞に陥っている。そしてその原因はサービス価格のデフレにある。項目別物価推移を各国で比較すると、衣料品、テレビなど製造業製品価格は各国共通で低下しているのに、サービス価格は日本だけがデフレ、他国がサービス価格インフレと著しい相違があることがわかる。

 そして賃金を見ると、日本だけ過去15年にわたって賃金が下落しており、とくに非製造業の下落が大きい。つまり、世界中で日本だけが「サービス価格デフレ→サービス産業の収益悪化→賃金下落・雇用悪化」という悪循環に陥ってきたことが明瞭である。

 ということは、量的金融緩和によって円高が転換し、資産価格が上昇すれば、いままでの悪循環が好循環に転換すると考えられる。円安と資産効果によって企業に賃金上昇余力が生まれ、賃上げ傾向が開始される。賃金上昇や株価・地価の値上がりは家計に追加的購買力をもたらすが、その大半は飽和状態にある衣料品やエレクトロニクス製品ではなく、医療、教育、娯楽などのサービス分野に振り向けられ、そこで新たな需要を生む。サービス価格は上昇に転じ、サービス部門の賃金も上昇する。つまりサービス価格デフレの悪循環からサービス価格インフレの好循環が起こる、と想定されるのである。

◆シャドーバンキングの時代◆

 リーマン・ショック以降、世界の中央銀行は新たなレジームに移行している。そして、この新しいレジームをどう評価するかで将来展望はまったく変わってくる。新レジームとは、米国や英国の中央銀行で始められ黒田日銀新総裁が踏み切った非伝統的金融政策、量的金融緩和政策である。それは中銀が、(1)金融危機に際しては最後の貸し手(lender of last resort)ではなく、最後の買い手(buyer of last resort)として振る舞う。また(2)流動性供給手段としては従来の銀行貸し出しを経由したそれではなく、市場価格の引き上げ=リスクプレミアムの引き下げを通した購買力の創造として遂行する。(3)そうした新政策は「成長・失業率」などの新たな政策目的を導入することで正当化される、という三点に整理されるだろう。なぜそうした変化が求められたかというと、金融の構造が大きく変化しているからである。

 かつての銀行貸し出し中心の間接金融時代から市場を通した直接金融・市場金融時代へと金融チャンネルが変化し、シャドーバンキング(銀行以外の金融業態)が金融のメインストリームになっている。それにともない、信用創造の形態も融資から資産価格上昇へと変化してきている。信用(=購買力)は契約ではなく、市場価格の変化によって移転するので、信用創造は市場価格の上昇を意味することとなる。

 金融を監視する中央銀行は市場価格をも管理せざるをえなくなり、銀行融資管理から資産価格管理へと中央銀行のウィングが広がる。それはバーナンキFRB議長が繰り返し述べてきたように、リスクプレミアムのマネジメントを通して行なわれる。ドラギECB総裁がOMT(国債の直接買い入れ)導入に際して「ユーロ崩壊プレミアムを潰す」と布告したのも、売り叩かれた南欧諸国の国債価格引き上げに焦点があった。中央銀行がリスクプレミアムに影響を及ぼす過程では、リスク選好度の最重要指標としての株価が重要になってくる。グリーンスパン前FRB議長、バーナンキFRB議長は暗黙の政策目標として株価を意識してきており、株価を無視してきた日銀思想の改変が必要になったのである。

 こうした流れにより、中央銀行における通貨発行の裏付けが変化しつつある。中央銀行のバランスシートは、金本位制では通貨と金、管理通貨制では通貨と国債をバランスさせてきた。FRBのバランスシートを見ると、リーマン・ショック前の資産はほとんどが国債であった。しかしリーマン・ショック以後は、モーゲージ債(MBS)など市場性証券を多額に組み入れている。また保有国債も償還期限が長く、価格変動の大きな長期債の比重を高めている。

 それでは市場性証券の裏づけは、いったい何であろうか。これは中央銀行の資産のなかに初めて登場した経済的価値であるといえよう。

 市場性証券は将来、明確に予想できるキャッシュフローの現在価値である。金(誰もが金に価値があると信じている共同幻想)や国債(徴税権をもつ政府が必ず返済してくれるという信用)よりも確かな裏づけをもっている、とさえいえるかもしれない。

■ 武者陵司(むしゃ・りょうじ)武者リサーチ代表
1949年、長野県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。大和総研企業調査第二部長、ドイツ証券副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーなどを経て2009年に株式会社武者リサーチを設立、代表に就任。


 

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コメント
 
01. 2013年5月10日 13:37:25 : dieLmElcFQ
大和証券時代もドイツ銀行時代も

曲がり屋武者大先生

逆指標としてこれほど確かなものはない。

紙のお告げが出た安心して売りなさい


02. 2013年5月10日 13:53:53 : nJF6kGWndY
 ビジネス知識源(本マガジンは無料版です)
【良質な、経営・IT・ビジネス・経済・金融知識の提供を目標に】

     2013年5月10日:Vol.285   

<Vol.285:特別号:結局、憑かれた資産バブルか?(1)>

テーマの領域: 金融経済と実体経済
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
バックナンバーはHPで: http://www.cool-knowledge.com/
(過去の有料版も数十部載せています)
 著者への感想等    ⇒ yoshida@cool-knowledge.com
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  著者:Systems Research Ltd. Consultant 吉田繁治

【緊急】ついさっき、ロンドンで〔$1=100円〕の大台の円安とい
うニュースが入りました。ここ6ヶ月の市場では「円安→日本の輸
出企業の利益増→株買い」という連動、連想が働いています。この
ため、すでに高い日経平均1万4191円は、今日、また1万5000円を目
指し、上げるはずです。(2013年5月10日:午前7時)

今、米国を筆頭に、世界の株式市場も最高価格をつけています。20
13年の実体経済は低下の予想がありながら(IMF予想)、中央銀行
(ECB、FRB、日銀)のマネー増発への期待から、株価は上がってい
ます。奇妙なねじれですが、以下の想定によるものです。

【株高】
「GDPの実体経済は低下(あるいは伸びない)→政府が景気対策を
打ち、中央銀行はマネーを増発するだろう→マネーが金融機関にあ
ふれる→株は買い→世界の株価が上がる」

つまり、実体経済(主に、GDPの成長率と、失業率)の先行きが良
くないから、マネーが増発される。だから株は買いという相場です。

【株安】
逆に、実体経済(GDPと失業率)が、はっきりと改善に向かうと、
今度は、世界の中央銀行がマネーを絞り気味に転じ、「出口政策」
にも向かう。そうなると、またこれは奇妙なことに、株価は下がる
ことになる。つまり、「実体経済とは裏返った株高」です。

【本質】
以上が示すのは、「現在の、世界の株の相場は、はっきりと、マ
ネー増発の『期待』の相場である」ということでしょう。

問題は、これが、どこまで続くことができるか、です。これについ
ては、相当量の情報分析と、未来のことですから、論理的な推理が
必要です。本稿は、このためのものです。

・昨年の11月以降6ヶ月余の円安・株価上昇の原因と、
・今後の展開の想定について書いたものです。
参考にしていただければ、幸甚に存じます。

昨年11月末以来、12月には政権も代わって、新しい政策の「インフ
レ目標2%と、日銀のマネー増発量2倍」への期待から、円安と株高
が、同時に進行しています。円がドルに対し20%以上下がり、株価
が平均で60%上がって、「超金融緩和への期待」が先行しています。

▼通貨と株価

(1)円は、$1=80円水準から、100円付近に下がっています。
(2)株は、日経平均(東証大手225社の単純平均株価)が、12年10
月中旬の8500円から、1万3529円(4月23日)です。(注)5月9日は
1万4191円です。

・円は、米ドルに対して25%も下がり、
・上場企業(東証で2321社)の評価された価値を示す株価は、60%
も高騰しました。

●原因は一点です。日本市場での株の売買額で、従来から60〜70%
を占めているガイジンの、租税回避地のオフショアからの買い越し
が6ヶ月で6兆円あるからです。[買い越し=買い−売り]のプラス
額です。

(注)このガイジンには、日本の機関投資家である「黒い目のガイ
ジン」が含まれます。バージン諸島やケイマン島などの、世界で約
60ヵ所の租税回避地は海外(オフショア)とされるため、そこから
の売買は、新聞では全部がガイジンとされ、そのガイジンは投機筋
とされています。

6ヶ月で60%の高騰は、投機的なバブルを30%くらい含むものです
(当方の想定)。

・下がる前の円($1=80円水準:12年10月)は、日本企業の実力
である輸出力より、円高方向に15%は過大評価されていた。

・上がる前の株価(日経平均で8500円:12年10月)は、企業の利益
力より、30%は過小評価されていたという理由付けもされています。

(注)株のように上がるにせよ、円のように下がるにせよ、価格が
変化したあとの論評は、後付けの解釈です。

$1=100円なら、15円分(=100円−実勢価格85円)が投機的な要
素での円安(=投機的なドル高)とされますが、こうした見方は、
実は、はっきりしないものです。

PER理論とファイナンス論による、理論価格とはいつも違う株価も
同じです。円の、貿易での実勢価格は、現在も$1=85円と言われ
ています。

例えば、原油について言えば、1バーレル(159リットル:ドラム
缶)が、$130だった頃(07年後半〜08年前半)、35%以上($5
0)は、ヘッジ・ファンド等による投機買い(先物)による価格上
昇とされていて、原油の実需量と生産量からは、$80以下とされて
いました。

(注1)原油価格は、$87付近です(WTI)。金価格と同様に、4月3
週に$94から$87へと、7〜8%急落しています。理由は、中国経済
の成長の減速による、需要増の減少とされます。

なお、金価格でも、中国の欧州と米国への貿易黒字が減り、そのた
め中国(政府、個人)が金の購入量を減らしたからだともされます。
あらゆるものは、〔供給量(=売りの量)>需要量(=買いの量)
〕なら価格は下がり、逆なら上げます。

(注2)原油のような資源や金属で言えば、ヘッジ・ファンドが、
先物を買って投機的に上げても、3ヶ月後が多い限月には、売りな
ら買い、買いなら売りの反対売買をするため、結局は、実需の多さ
がないと上がり続けることはありません。

【ヘッジ・ファンドの、先物売買】
ヘッジ・ファンドは、原油を買っても、それを使わず、1年内には
必ず、普通は3ヶ月や6ヶ月内に売るからです。ヘッジ・ファンドが、
利益を目的に売買する株、通貨、金も、ほぼこうした資源と同じで
す。

▼金価格の、4月15日の急落

他方、原油と並ぶ、商品価格の象徴である金価格は、2012年9月に
は、$1800付近の高値をつけていました。これが、13年4月初旬に
は、$1600付近までドルベースで$200(11%)下落していました。

13年4月の3週には、$1600から$1415付近にまで、12%も急落して
います。(1トロイオンス=31.1グラム)。(注)5月8日時点では
$1458とすこし戻しています。

1グラムで言えば、$58(12年9月)→$51(13年4月初旬)→$45
(13年4月23日)です。12年9月の頂点から21%も下がったのです。

円で見ると、13年4月上旬が1グラムで5300円付近の高値に見えます。
これは25%の円安によります。昨年からドル見れば下がっていたも
のが、円では価格維持(または上がっているよう)に見えただけで
す。

(注)金も他の金属と同じように、現物は国際市場で、ドルベース
の価格が決まり(ロンドン・フィキシングと言う)、その後、日々
変わる各国レートで表示された価格になります。先物の価格は、お
よそでしか言えませんが、〔先物価格=現物価格×(1+限月まで
の金利率)〕です。先物と現物は少しでも差ができると、例えば高
い現物を売って安い先物を買う「裁定売買」が起こるので、ほぼ金
利差で一致します。

今日の金価格の決定(米ドルでのfixing)に参加するのは、スコシ
ア・モカッタ銀行(イタリア)、バークレイズ・キャピタル(英
国)、ドイツ銀行、HSBC(英国)、ソシエテ・ジェネラル(フラン
ス)の5銀行です。

顧客(ファンド、各国中央銀行、金融機関、政府、個人)からの注
文を元にした、シティの「黄金の間」での入札で、価格が決まって
います。顧客から受託した買いの勢いが強いと上がる。弱ければ下
がる。他の相場商品と同じオークションのような価格の決めかたで
す。

ドルベースで見ないで、円だけで見ていては、金価格の傾向は、通
貨の価値変化がバイアスして分からなくなります。

国際価格の実際では、2012年9月を頂点(1オンス=$1800)にし、
中国の買いの減少から下落傾向になっていて(13年4月:$1600)、
それがヘッジ・ファンドによる先物売りの急増を主因に、4月の3週
には、$1400へと$200も暴落しています。

▼テーマ

本稿は、通貨、株価、および資源(コモディティ)価格を決めてい
る世界と日本の金融経済に、昨年11月以降、どんな変化が起こって
いるのかを、テーマにします。

書く目的は、
(1)今回の円安、株価、資源価格は一体何であり、今度、どうな
るかを想定するためです。

(2)同時に、日本のGDPの実体経済は、どう向かうか? 政府・日
銀が、マネー増発政策によって達成するというインフレ・ターゲッ
ト2%はどうか、そしてインフレになれば、結局、何をもたらすこ
とになるのか、向こう2年(2013年、2014年)を見通すことです。

いろんな要素から分析的に書き、その後に綜合すると、文字量が必
要で、メール・マガジンでは4回分(100ページ以上)を要します。
長文化を避けるため、端的に示します。数値は肝心なものに絞り、
記述の単純化を図ったほうが、分かりやすいと思えるからです。

経済の動きは、
・実体経済が企業戦略(価値戦略、競争戦略、業務戦略)に関係し、
個人では仕事の重点をどこにおくべきかを決める素材になって、
・金融経済は、資産運用と投資の方向を決めるものにもなるはずで
す。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<650号:結局、最後の、憑(つ)かれたバブルか(1)>
           2013年5月10日号

【目次1:本号】

1.08年9月の、リーマン・ショッから始まっている
2.FRBによるドル増刷は$2.5兆(250兆円)
3.FRBが模索している出口政策で、米国債の買い手が日本
4.金は、売り超になって下がった
5.日本の株価の高騰

【目次2:次号予告】
6.ユーロの危機は続く
7.通貨の売買(外為市場)が、もっとも巨額
8.奇妙なところがある、日銀の金融政策
9.「補完当座預金制度:当座預金に0.1%の金利」がある
10.日銀が言ってきたことの矛盾
[さらに続く]

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.2008年9月の、リーマン・ショッから始まっている

▼リーマン・ショックは、金融機関の債務超過だった

発生からは5年近くも経っていますが、現在の世界経済は、08年9月
15日のリーマン・ショックから始まっています。

90年代半ばからの米国の情報システム関連株への、期待バブル崩壊
の後、2000年代に、2倍の価格に上がった米国の住宅価格は、07年
から下がり始めていました。それが、08年9月には、住宅証券(AAA
格)の40%の下落が明白になり、この下落のため、住宅証券をもつ
金融機関の連鎖的な破産になったのです。

米国の住宅ローンは、日本(200兆円)の約5倍(1000兆円)と、巨
大な証券市場を形成しています。このため過去は、米国の債券では、
国債市場より、住宅証券市場のほうがはるかに大きかったのです。

住宅ローンの回収率で決まる価値(MBS等の市場価格)が40%下が
ると、金融機関が受ける損害は、400兆円です。他方、米国の金融
機関の、総自己資本は200兆円レベルです。

(注)住宅価格が下がると、デフォルトし、払えない世帯が増えま
す。このときローンを数100本混ぜて作った、ローンの回収権を担
保にした住宅証券(MBS等)が下落します。米国は住宅ローンが総
額で1000兆円もあり、証券化され内外の金融機関に売られたものの
も、600兆円はありました。

この証券になったローンの下落が、〔600×40%=240兆円〕はあっ
たのです。米国の金融機関は、この巨大損によって、瞬間に債務超
過に陥りました。その最大のシンボルが、他行から資金を引き揚げ
られて破産した、リーマン・ブラザースです。AIGも同様でした。

【信用恐慌を起こさない対策】
08年9月には、米国の、大手の、ほぼ全部の金融機関が実質で、債
務超過になっています。

金融機関の債務超過は、経済の取引に必要な信用量(流通するマ
ネー量)を、急減させます。株価も下がり、ドルも下落しました。

08年8月は、1929年に始まり1933年まで続いて、第二次世界大戦に
まで至った米国経済の大収縮、つまり信用恐慌になるスケールのも
のでした。日本のバブル崩壊(1990年〜)に似ていたのです。
(注)戦争は、経済面では、武器生産と兵士の雇用を増やす公共事
業です。

信用恐慌を招くことが必定だった、金融機関の連鎖的な倒産を避け
るため、
(1)米政府は銀行に出資し、
(2)FRB(米国の発券銀行)は、銀行が保有する不良化した債券を
買い取ってドルを供給しました。

■2.FRBによるドル増刷は$2.5兆(250兆円)

その総額は、
・リーマン・ブラザースの倒産直後に$1兆、
・その後も$1兆を追加し、
・12年9月からのQE3の量的緩和(MBSの買い)も加わって、
FRBのバランスシートは、$3.3兆と08年9月以前の4倍に膨らんでい
ます。

金額で言えば、FRBは$2.5兆(250兆円)の米ドルを、金融機関に
対し、増加供給したままです。買ったのは、
・米国債($1.8兆:180兆円)と、
・値下がりして不良化した住宅証券(MBS$1.1兆:110兆円)です。
http://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/

FRBによる国債の巨額購入は、米国の金利を下げ、国債の価格は高
騰させます。

13年4月現在、米国の長期金利(10年物のドル国債の利回り)は1.6
%と、歴史的に言って資産バブルが起こるくらい低いレベルです。

【低金利と量的緩和の、目的】
この目的は、国債をもつ金融機関に利益を与え、住宅証券の下落で
失った自己資本を、回復させることです。同じ目的で、もっと直接
に、米国FRBは、40%は下落していたMBS(住宅ローンの回収を担保
にした証券)を$1.1兆も、券面の額面で買っています。

【額面価格で買い、損は、FRBに移転されている】
FRBが下がっているMBSを、マーケットの時価で買えば、金融機関に
は$0.5(50兆円)くらいもの損失が確定します。

このため時価ではなく額面でFRBが買って、金融機関に利益を与え
ているのです。MBSの下落損である50兆円はMBSを買ったFRBに移転
しています。

(注)13年3月は、米国の中古住宅の価格は、昨年比で5〜10%の上
昇基調に乗ってきました。このためMBSの50兆円の損害も、若干は
減っているでしょうが、大枠では変わっていません。

実は、資本が$660(6.7兆円)しかないFRB自体も、これらの保有
資産を時価評価すれば、債務超過です。

FRBが債務超過であると言えば、金融市場とドルをもつ海外はどう
反応するでしょうか?

●認識すべきことを言えば、米国経済は、FRBのマネー増発である
$2.5兆(250兆円)の上に、乗ったものであるということです。

■3.FRBが模索している出口政策で、米国債の買い手が日本

FRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり
資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金にな
っています。

2012年11月から日本円を売り(その結果が円安)、株を買ったのも
(その結果が株価上昇)、この資金です。

▼FRBの、出口政策への転換の模索

この5年間、米ドルを増発し続けてきた米国FRBには、そろそろ「出
口政策」に移行しようという考えがあります(仄聞(そくぶん)情
報)。

出口政策とは、FRBが量的緩和のために買ってきた米国債と住宅証
券のMBSを、市場に売って、金融市場から米ドルを吸収することで
す。これを行えば、米国の金利は上がって、米ドルは不足するよう
に変わります。

(注)経済を浮揚させるための金融緩和は、実体経済の成長に効か
ない時も多い。しかし出口政策のような金融引締めは、100%、経
済の引締め効果を生むものです。

●出口政策の理由は、FRBのバランスシートを$3.3兆(330兆円)
に膨らませたままでは、いずれ、金融機関に代わってFRB自体が陥
った、巨大な穴、つまり債務超過に気がつく人が増えるからです。
それがドル価値の減価、つまり、ドルとドル債売りになるからです。

▼対外純債務国の米国

将来のドル価値が下がると見て、海外がドル債を売り浴びせれば、
対外債務が$22.7兆(2270兆円:GDPの1.5倍)と巨大な米国経済は、
奈落に沈みます。

(注)米国の対外債務は$22.7兆、対外債権は20兆で、対外純債務
は$2.5兆(250兆円)っです。(2010度:2012年米国経済白書 P3
88)

海外から毎年$5000億の国債を買ってもらい、その分を増加保有し
てもらう必要がある対外純債務国である米国にとって、ドル価値の
減価を見越したドルとドル債売りが、実は、もっとも怖い。

これが起こると、(1)ドルの暴落、(2)米国の金利の高騰になる
からです。これを防ぐため、FRBは、出口政策に転じる必要がある
と考えているようです。

出口政策は、FRBが買ってきた米国債やMBSを、逆に売って、市場の
ドルを吸収して減らすことです。これを、FRBが行えば、米国債を
増やして買ってくれるパートナーがないと、米国はドル安になって
金利が上がり、経済は不況に沈みます。

【恰好の安倍政権】
従って、「FRBが売りたい米国債を買ってくれる、どこかの国がな
ければならない」。大口の候補は、世界に中国と日本しかいない。
ドイツはユーロで忙しくドルを買う余裕はない。これが、民主党に
替わった、安倍政権でした。

2012年の11月以降の、アベノミクスによる円安は、実は、米ドルと
ドル債買いであり、円と円債の売りです。

安くなる通貨は、その通貨(円)の売り超があったことを示すもの
です。これは、上がった通貨(ドル)の買い超です。

つまり、日本から、米国債の買いが大量にはいったから、円安に向
かったのです。

【大手機関投資家:生保】
事実、330兆円の巨額資金(運用すべき資産)をもつ日本の生命保険
は、「日本株は、経営を不安定にするから買わない。確かなドル債
を買う。」と言っています。こうした日本円によるドル買いが、ド
ルの高騰(=円の下落)の理由です。

■4.金は、売り超になって下がった

日本によるドル買いの増加でドルが上がると、ドルの価値下落と反
対の動きで上げてきた金が、下がる傾向になっています。ドルベー
スでみるべき金価格の下落は、2012年10月以降です。

【理由】
1オンスで$1800(2012年9月)と史上最高の高値だった金には、さ
すがに下落リスクを感じて、金を売って、日本が買うドル債に転じ
たファンドが多かったからです。

【金の売買の動き:買いの減少】
NY市場での、ファンドによる金(ゴールド)の買い越し額を見ると、
資金の、方向転換が分かります。

2012円9月には20万枚(620トン)だった、ファンドによる買い越し
額が、円安・ドル高に向かった12年10月以降減って、2013年4月に
は、10万枚(310トン)へと、半減しています。

(注)金の1枚は、100トロイオンス(=3.1キログラム:約1500万
円)です。20万枚は、600トンという量です。買い越しの600トンは
時価で3兆円くらいです。

これが、金価格が下がってきた主因です。
ファンドが金の買い越しを減らした理由は、$1800の高値警戒です。

これと同時に、中国と新興国も、海外からのドル買いで米ドルの価
値が安定したため、中央銀行が増加買いしていた金の購入を減らし
たのです。

以上が2012年10月以降、ドルベースの金価格が下がっていた理由で
す。そして、2013年4月第二週には、ファンドによる、金放出の売
りがあったのです。金が売られるときの理由は、3つです。

(1)持ち手が、他の債券で損をし、資金繰りに窮したとき
(2)1オンス$1800等では価格が上がりすぎたと判断されるとき
(3)米ドルの、世界の通貨に対する実効レートが上がると見られ
るとき

金の価格についての見通しは、後述します。
本稿はいったん。ここまでで送ります。
See you soon!


03. 2013年5月10日 14:27:59 : nJF6kGWndY

日経平均大幅反発し一時5年4カ月ぶり高値、円一段安で
2013年 05月 10日 12:06 JST
[東京 10日 ロイター] 前場の東京株式市場で日経平均は大幅反発。一時、前日比430円超上昇し、取引時間中では2008年1月7日以来、約5年4カ月ぶりの高値水準となった。TOPIXも8日の年初来高値を更新した。

円安進行を手がかりに現物・先物ともに上値を追った。トヨタ自動車(7203.T)が取引時間中としては08年2月28日以来となる6000円を回復するなど主力輸出株を中心に堅調に推移。ドル/円が一時101円台を回復する場面では株価指数も上げ幅を拡大した。「債券先物買い・株式先物売りのポジションを組んでいたCTA(商品投資顧問業者)の巻き戻しが中心」(岡三オンライン証券チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏)という。

市場ではドル/円が節目を突破したことで株式市場も新たなステージに移るとの見方が出ている。岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏は「ドル/円が100円を超えてきたことで、いよいよ『期待買い』から『現実買い』にシフトしてきそうだ」と指摘。足元の国内企業決算では保守的な見通しが目立っており、「日経平均ベースでの予想1株利益は前日時点の782円から次第に800円を超えてくることが想定され、利益の押し上げが株高につながる」と述べた。

個別銘柄では、円安を手がかりにホンダ(7267.T)、マツダ(7261.T)、キヤノン(7751.T)ソニー(6758.T)など主力輸出株が軒並み高。先物買いに伴う裁定取引でソフトバンク(9984.T)やファーストリテイリング(9983.T)など高寄与度銘柄も買われた。

半面、2014年3月期見通しが中期経営計画から大幅な下振れとなった武田薬品工業(4502.T)が大幅安となった。

株式市場筋によると、5月限日経平均オプションの最終決済に関わる日経平均のSQ(特別清算指数)は1万4601円95銭となった。SQ算出に絡む売買は買い越しと観測されている。

東証1部騰落数は、値上がり1197銘柄に対し、値下がりが426銘柄、変わらずが87銘柄だった。

日経平均.N225

前場終値 14581.95 +390.47

寄り付き 14449.24

安値/高値 14426.74─14630.47

東証出来高(万株) 244650

東証売買代金(億円) 21995.38

(ロイターニュース 杉山容俊)

 

 円が対ドル101円台下落、4年ぶり-証券投資統計も売り後押し 

  5月10日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では円が続落し、対ドルで約4年ぶりとなる1ドル=101円台に突入した。米国の景気回復期待などを背景に円売りが加速した海外市場の流れが継続。朝方発表された対外・対内証券投資統計で対外債券投資が7週間ぶりに買い越しとなったことを手掛かりに円安が一段と進んだ。
ドル・円相場は一時101円20銭までドル買い・円売りが進み、2009年4月6日以来の円安値を更新。前日の海外市場では米国の新規失業保険申請件数 の予想外の低下などを手掛かりに心理的節目の100円を突破していた。午後零時43分現在は100円98銭前後で取引されている。
ABNアムロ・バンクの為替ストラテジスト、ロイ・テオ氏(シンガポール在勤)は、日本の証券投資データは、「円の弱気派を元気づけるだろう」と指摘。「円は第2四半期に104円前後に向けて下落し、年末には110円程度に向かうはずだ」と話す。
ユーロ・円相場も1ユーロ=131円前半から一時131円91銭まで円安が進み、海外時間に付けた10年1月以来の円安値を更新。同時刻現在は131円70銭前後となっている。
対外債券投資が買い越し
財務省が発表した対外・対内証券投資統計によると、4月27日までと5月4日までの週の対外中長期債投資はそれぞれ2044億円と3099億円の買い越しとなった。4月20日の週までは6週連続で売り越しとなっていた。
また、同時に発表された3月の国際収支状況(速報)では、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支 が1兆2512円の黒字となった。黒字幅は前年同月から4.3%縮小。うち貿易収支 は2199円の赤字となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、市場は「円安材料探しモードに入っている」とした上で、週末を前に利益確定やポジション調整の動きが出てくる可能性もあると指摘。ただ、「今の環境だと日米の金融政策の未来予想図があまりにも違い過ぎるので、押し目はしっかり拾ってくると思う」と言い、ドル・円は「いずれ105−110円に向かって上がっていくだろう」と話す。
米国の回復期待
米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は9日、ニューヨークで講演後に記者団に対し、失業率が13年末に7%に低下するだろうと述べ、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で月間850億ドル(約8兆5500億円)の債券購入プログラムが縮小されることを望んでいると語った。
米労働省が同日発表した先週の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は前週比4000件減の32万3000件と、前回の景気後退突入から2カ月目に当たる08年1月以来の低い水準となった。
前日の海外市場では米国の雇用回復期待や米量的緩和の早期縮小観測、また米30年債入札の好調を受けた日本の投資家などによる米債投資の思惑といった材料を手掛かりに、ドルが主要通貨に対してほぼ全面高となった。
ノムラ・セキュリティーズのFXストラテジスト、後藤祐二朗氏(ニューヨーク在勤)は、米金融当局者の発言が若干タカ派で、最近利下げに動いた豪中銀や欧州中央銀行(ECB)や緩和傾向の日本銀行など「主要中銀と比較したときにやはり米国は景気の強さと金融政策で方向感のちょっとした違いが意識されやすい」と指摘する。この日は海外時間に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演が予定されている。
ユーロ・ドル相場は海外時間に1ユーロ=1.3100台を割り込み、一時4月26日以来の水準となる1.3011ドルまでユーロ安・ドル高が進行。10日の東京市場では1.30ドル前半でもみ合う展開となっている。
G7
一方、円安が一段と進む中、きょうから11日まで主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議がロンドン郊外で開かれる。オズボーン英財務相は9日、G7について、金融市場の最近の安定を前提として、景気回復をいかに促進するかが議論されるとの見通しを示した。米財務省当局者が今週明らかにしたところによると、G7は日本の需要と成長も検討する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野氏は、G7ではドイツなど「日本の敵に回りそうな人も多いので、一部北米・欧州系の要人が不規則発言をしたりすると、相場のガス抜きに寄与する可能性はある」としながらも、「昔のようにG7、G20でトレンドが変わるような時代ではなくなってきている」と指摘。「G7の声明や雰囲気を受けて、日銀の黒田総裁が金融緩和をやめると言うかというと言わないので、基本のところは変わらない」と話す。
甘利明経済再生相は10日の閣議後会見で、ドル・円相場が100円台に乗せたことについて「為替の水準自身は市場が決めるもの」と述べ、日本政府や日本銀行による為替操作を否定。「あくまでも我々はデフレによるマイナススパイラルを食い止めるということの一点だ」と説明した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/05/10 12:51 JST


 


ドル4年1カ月ぶり101円台に、国内勢の外債買い越し判明で円売り
2013年 05月 10日 12:50 JST
[東京 10日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の100円後半。約4年1カ月ぶりに100円の大台を回復したニューヨーク市場の流れを引き継いで円売りが優勢となり、一時101.20円まで上昇した。

100円回復のタイミングで国内勢の外債投資が買い越しに転じていたことが明らかになったことも、相場を押し上げた。

<予想外のドル100円乗せ>

前日のニューヨーク市場で、ドル/円は2009年4月以来約4年1カ月ぶりに100円の大台に乗せた。米新規失業保険申請件数の予想外の減少や、米金融緩和の早期縮小観測などがドル買いを誘ったほか、堅調だった米30年債入札を受け、本邦投資家の対外投資をめぐる思惑も相場を支えた。

東京市場でも円売りの流れを引き継ぎ、ドル/円はストップロスを巻き込みながら一時101.20円まで上昇。財務省が朝方発表した統計で、国内勢の外債投資が2週連続で買い越していたことが明らかになったことや、日経平均株価が大幅高になったことが相場を押し上げた。きょうは「五・十日」に当たるため、仲値公示付近までは輸入企業の買いも目立った。

もっとも「101円に乗ったあとは、さすがに輸出企業が売ってきているほか、国内投資家の利金の円転フローも入ってきている」(大手邦銀)といい、その後はやや押し戻されている。

<ショートの巻き戻し>

市場ではこのタイミングで100円をつけたことに関して、意外感をもって受け止められているが、三菱UFJ信託銀行営業推進役、藤島雄介氏は「みんなが同じ方向を向いていて、100円は小休止というムードがマーケットを支配した結果ではないか」と分析する。

同氏は「イニシャルクレーム(新規失業保険申請件数)は良かったが、ドル/円が上がるまでにタイムラグがあった」と指摘。「理由づけとして米景気回復などいくらでも言えるが、ドル買いにタイムラグがあることは不可解だ。あのときの値動きに特段のニュースがなかったことを踏まえると、やはり短期的にショートにしていた筋が非常に多く、アンワインドを誘発してストップロスを巻き込んだとみるのが自然ではないか」との見方を示した。

<2週連続で外債買い越し>

財務省が発表した対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、国内勢の外債投資(中長期債)は、4月21日から27日の週が2044億円の買い越し、4月28日から5月4日の週が3099億円の買い越しと、2週連続での買い越しとなった。

市場参加者によると、100円の大台を回復したタイミングで、国内投資家の外債投資が買い越しに転じたことが明らかになったことで、参加者の目線が強気になっているという。

もっとも、機関投資家の外債投資については「相当分は、ヘッジ付外債投資が含まれているとみられ、為替相場に大きなインプリケーションはない」(野村証券チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏)との見方も根強い。

みずほ証券チーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は今後の展開について「実需の売りなども一定程度想定されるので、もう二度と100円を割らないとまでは言えないが、下値は限定的となってくるだろう」と予想。その上で、1)貿易収支などフロー構造の変化、2)政府・日銀の政策の継続、3)欧米景気回復による消去法的円買い圧力の減少──の3つの要因で、来年にかけて110円も視野に入るとの見方を示した。

(ロイターニュース 志田義寧)


 

 

3月経常黒字が1年ぶりに1兆円台を回復、12年度は過去最少
2013年 05月 10日 12:10 JS

トップニュース
焦点:世界的に株主還元が増加、設備投資が犠牲に
ドル4年1カ月ぶり101円台に、国内勢の外債買い越し判明で円売り
サイバー犯罪組織がATMから不正引き出し、世界で45億円被害
日経平均大幅反発し一時5年4カ月ぶり高値、円一段安で
[東京 10日 ロイター] 財務省が10日に発表した3月の経常収支は1兆2512億円の黒字となった。月間の黒字幅が1兆円を超えるのは、昨年3月以来1年ぶり。

配当金の受け取りなどが集中する年度末要因に最近の円安効果が加わり、所得収支が大きく伸びた。一方、同時に発表した2012年度の経常収支は4兆2931億円の黒字と、比較可能な85年度以降で最少の黒字幅だった。

<3月の所得収支は3年ぶり高水準>

3月経常収支の前年同月比は4.3%減。貿易赤字の長期化などで、経常収支は昨年から前年比2桁減のピッチで黒字幅を縮小させてきたが、小幅増に転じた昨年8月以来の減少幅にとどまった。ロイターが事前に民間調査機関を対象に実施した聞き取り調査では、予測中央値は1兆2225億円程度の黒字だった。

所得収支は1兆7111億円の黒字と、10年3月以来3年ぶりの黒字幅を記録した。3月は例年、年度末で配当金の受け取りや企業の資金回収などが集中するため直接投資収益、証券投資収益がともに増加する傾向があるが、今年は同様の動きに加えて、最近の「為替(の円安進行)が効いている」(財務省)側面もあるという。前年比でも14.0%増と、昨年7月以来の伸びとなった。

経常収支上の貿易収支は2199億円の赤字と、9カ月連続で赤字を計上。サービス収支が5億円の黒字と1年ぶりにわずかに黒字化したが、合算した貿易・サービス収支は2194億円の赤字と、12カ月連続で赤字となった。ただ、赤字幅は昨年6月の961億円に次ぐ水準に減少している。

年度末など季節要因を除外した季節調整済み経常収支は3424億円と、2カ月ぶりに黒字化。季調済みの所得収支は1兆3392億円と、前月の1兆3563億円とほぼ同水準だった。

<12年度の貿易・サービス収支は過去最大の赤字>

12年度の経常収支は、これまで最少だった90年度の5兆5778億円の黒字を大きく下回り、過去最少を記録した。前年度比では43.6%減少。貿易収支が6兆8947億円の赤字、貿易・サービス収支も9兆4759億円の赤字と、比較可能な85年以降でともに最大の赤字幅を計上したことが響いた。所得収支は14兆7245億円の黒字と07年度、08年度に次ぐ過去3番目の高水準だった。

(ロイターニュース 基太村真司:編集 山川薫 宮崎大) 

関連ニュース

3月貿易収支は3624億円の赤字、12年度は過去最大の赤字 2013年4月18日
2月経常収支は6374億円の黒字、4カ月ぶり黒字転換 2013年4月8日
2月経常収支は4カ月ぶり黒字転換へ、所得収支が下支え 2013年4月5日
1月の経常収支は3648億円の赤字、3カ月連続は初 2013年3月8日

 


焦点:世界的に株主還元が増加、設備投資が犠牲に
2013年 05月 10日 14:07 JST
[ロンドン 9日 ロイター] 企業が巨額の手元資金を設備投資に回さず、株主に還元する傾向を強めており、世界経済にとって問題を引き起こす可能性もある。

設備投資への消極姿勢は、自社商品の将来需要に自信を持てない表れであり、民間主導の持続的回復への道のりがまだ長いことを示している。

投資家側も、リターンと将来の業績が結び付いているような証券よりも、安定的な利回りが得られる株式や債券を好んでいる。彼らもまた、世界経済は中央銀行頼みの状態が続くと予想しているようだ。

トムソン・ロイターのデータによると、世界の企業が保有する現金および現金に相当する資産は合計6兆7000億ドルと、10年前の倍以上に拡大した。米欧企業が約3分の2を占める。

しかし、カーニー次期イングランド銀行(BOE、英中央銀行)総裁が「死に金」と呼ぶこの現金は、設備投資や企業の合併・買収(M&A)資金ではなく、自社株の買い戻しや配当支払いの形で市場に還流している。

JPモルガンのデータによると、第1・四半期の自社株買い戻し額は全世界で1680億ドルと、昨年第4・四半期の1000億ドルから急増。ことし1─4月の買い戻し額は前年同期比50%増えており、通年では5900億ドルに達すると推計される。

短期的に見れば、自社株買い戻しや配当は、低金利環境の中で利息を求める投資ファンドを確実に喜ばせる。

しかしマイナス面もある。バンク・サラシンの投資委員会のフィリップ・バースキ会長は「企業はコスト削減により利益を可能な限り高く保ち、株主に現金を還元して収益を押し上げようとしている。しばらくはこれが功を奏し、1、2年は利益を押し上げるかもしれないが、長続きはしない。常に現金を還元していると、最終的には自分の首を絞める。だれも投資しなければ生産性は低下する。中期的に収益の伸びを減速させているかもしれないのだ」と述べた。

<鈍い設備投資>

2008年の世界金融危機以来、設備投資の回復は世界中で鈍い。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、国内総生産(GDP)に対する投資の比率は米国で07年の17%から13%に、欧州で23%から18%に低下した。絶対額で見た欧州の設備投資は1999年以来の低さだ。

欧州ではただでさえ、政治面の障害により電気水道、交通、通信といった分野の投資が妨げられている。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のセクター・エコノミスト、ギャレス・ウィリアムズ氏は「財政緊縮策、キャッシュフローへの圧力、根深い信頼感の欠如が続いている。このため企業は設備投資への慎重姿勢を維持しそうだ」と説明。「株主への資金還元は投資家の機嫌を保てる上、設備投資に伴うリスクを正当化する必要もないためより楽な選択肢だ」と付け加えた。

株主への資金還元はリスクが高そうに見えないが、企業がバランスシートのギアチェンジに着手した可能性を示しているのは確かだ。

<持続不可能な流れ>

一つの現象として、歴史的に見て強かった設備投資と企業利益との相関性が崩れている点が挙げられる。

米資産運用会社GMOのデータによると、1929年から86年にかけて、両者の相関係数は0.75だった。87年から99年にかけては0.43に低下したが、過去12年間はマイナス0.48と逆相関に転じている。

つまり企業は、設備投資を減らしながら利益を増やしているということだ。大きな原因は、利益のもう一つのエンジン役である家計が負債を圧縮する中で、政府支出の拡大が経済を下支えていることだ。

しかし政府が支出を絞れば利益は減少し、企業を設備投資再開へと駆り立てるかもしれない。

GMOの資産配分共同ヘッド、ベン・インカー氏は顧客向けノートで「企業利益のGDPに対する比率は過去最高に近く、企業は多額の資金を稼いでいるが、設備投資は大恐慌以来で最低だ。利益は永遠に高止まりすることが可能だろうか。可能ではあるが、その場合は持続不可能かもしれない背景を伴うだろう」と指摘した。

(脇奈津子記者)


04. 2013年5月10日 14:32:53 : nJF6kGWndY

2013年 5月 10日 10:49 JST
100円台を演出した為替トレーダーの古風な戦術

By VINCENT CIGNARELLA

 9日のニューヨーク外為市場で、ドルの対円相場が1ドル=100円の節目を突破した。だがそれは、予想されていたようなことでは実現しなかった。

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Bloomberg News
 100円突破を引き起こしたのは、ドル高材料と受け止められるような政府当局者の発言ではなく、昔からのものだった。市場が油断していた隙を狙って、頭の切れるトレーダーが大口の円売り・ドル買い注文を入れたのだ。

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このトレーダーは、9日午後1時前の市場が比較的閑散な時を狙って、積極的に円を売ってドルを買い入れた。このトレーダーが誰だかは分からないが、チャートの値動きから彼か彼女の「手口」が分かる。

 同トレーダーはまず、その時の相場から10銭だけ円安でビッドを入れた。そこで一端手を休め2、30銭円高に振れると、再び積極的に円売り・ドル買いを仕掛け、ドルを押し上げた。

  注文は、職人のように無駄な動きなしに正確に執行された。そのトレーダーが手を休めると、売り手は買い注文が満たされたと判断し、誘い込まれてしまった。ドルの売り手はドルを押し下げようとして積極的にドル売りを仕掛けたが、頑強なトレーダーが注文を吸収してしまった。

この戦術は魔法のように功を奏し、攻撃が始まってから1時間足らずの午後1時56分ごろには、ドルは100円00銭を突き抜けた。100円前後の水準に固まっていた事前にプログラム化されていたストップロスの円売りを誘い、ドルは99円89銭から一気に100円44銭に跳ね上がった。


 


 
コラム:今後見込めない「一方的な円安」
2013年 05月 10日 09:44 JST
By Andy Mukherjee

[シンガポール 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] 円相場が4年ぶりに1ドル=100円台に突入したが、今後、一方的な円安は見込めないだろう。

円は、昨年12月の衆院選で自民党が大勝して以降、16%下落したことになる。当時、Breakingviewsは、安倍政権の誕生で1ドル=100円まで円安が進む可能性があると指摘していた。ただ、今後の円安進行を阻む要因は複数ある。

まず、警戒すべきはアグレッシブな金融緩和だ。半年前までは、米連邦準備理事会(FRB)が世界で最も大胆な金融緩和政策を実施していたが、衆院選で状況は変わった。安倍氏は選挙戦で日銀を批判、2%のインフレ目標導入を公約に掲げた。日銀の黒田総裁は4月4日、マネタリーベースを2年間で2倍にすると表明した。

円の供給拡大は円の下落を意味するが、どの程度円安が進むかは、FRBの次の動きにかかっている。FRBが、雇用低迷とディスインフレを理由に量的緩和を拡大すれば、ドルは下落する可能性がある。また、ユーロ圏の債務危機が悪化した場合、安全資産としての円の魅力が再び高まる可能性もある。

福島原発事故をきっかけに、エネルギーの輸入依存度が高まっている点も見逃せない。円安で輸出が回復しても、エネルギー価格の急騰で個人消費が低迷する事態は政府として避けたいだろう。

通貨外交の問題もある。米国はこれまでのところアベノミクスを静観している。20カ国・地域(G20)も、日銀の積極緩和への批判を控えている。しかし、例えば円があと20%下落すれば、日本が通貨戦争を仕掛けたとの批判に反論するのは難しくなる。安倍政権は日米の通商関係強化を望んでおり、そうした事態は避けたいはずだ。

最後に、周辺諸国への影響もある。1990年代半ばの急激な円安は、投機的な円キャリー取引を招き、東南アジアに信用バブルの発生と崩壊をもたらした。アベノミクスの狙いは日本経済の回復であり、安倍首相は、次のアジア金融危機の原因をつくった男と思われたくないはずだ。

<背景となるニュース>

●ドル/円は9日、4年余りぶりに100円の大台を突破した。円安は、日銀が4月4日に打ち出した大胆な金融緩和を受けた動き。日銀の黒田東彦総裁は、4月10日のインタビューで、今後しばらくは追加刺激策を講じない姿勢を示唆し、日銀は既に実施した措置の効果を点検する時間が必要だとの見方を示した。総裁は「物価上昇率を2年間で2%に押し上げるために必要な措置はすべて行ったというのがわれわれの考えだ。今後は毎月、緩和が及ぼす影響を点検していくが、それは毎月政策を修正することを意味しない」と語った。


 


2013年 5月 10日 12:57 JST
円安の影響、日本経済に波及

By PHRED DVORAK, KANA INAGAKI AND YOREE KOH

 【東京】日本銀行が大胆な金融緩和によって経済成長の起爆剤にすると誓ってから1カ月あまりで、円相場が4年ぶりに1ドル=100円をつけた。約20年にわたる経済停滞を終わらせる取り組みの一つの節目だ。

 円安の影響(ドルは今年、対円で16%上昇している)は既に日本経済に浸透し始めている。輸入食料品やガソリンの価格が上昇している一方で、海外から観光客が押し寄せている。自国通貨の価値が上がり、日本で今まで以上に多くの買い物ができるようになったからだ。また円安は輸出企業の売り上げや利益を押し上げている。9日遅い段階のニューヨーク市場の円相場は1ドル=100円60銭と、前日の99円02銭から円安・ドル高になった。


Associated Press
 さらに重要なのは、この円安がより画期的な経済シフトへの期待を示唆していることだ。20年近くに及ぶ経済停滞、需要低迷、それに物価下落(デフレ)から抜け出すという期待だ。日本の当局者は意図的に円安を進行させているのではないと主張しているが、円安は安倍晋三首相が推進する金融政策の直接的な結果だ。同首相は、デフレからの脱却と成長の促進が自身の経済政策「アベノミクス」の柱の1つだと宣言している。

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 経団連会長を務める住友化学の米倉弘昌会長は先月の記者会見で、円安が急激だとしながらも「少なくとも製造業は円安を歓迎している」と述べた。同会長は、株価も上昇しており個人消費拡大の番との認識を示した。

 トヨタ自動車は8日、円安が2012年度の営業利益を1500億円押し上げたことを明らかにし、これが純利益が3倍増の9621億円に伸びた一因になったと説明した。東芝の決算では、為替差益が数少ない明るい要素の1つとなり、日本で製造して海外に販売する同社製メモリーチップの収益性を改善させた。

 円安は輸出を増やすだけでなく、日本の投資家が海外で得た所得を押し上げる可能性がある。また、日本の輸出企業が海外事業で得た利益を円にして本国に送金する際も同様だ。これが賃金上昇につながり、国内消費が増える可能性がある。一部のエコノミストは、状況が改善しているという楽観的な見方から消費が刺激されると考えている。政府は先月、消費者心理が07年5月以降最高の水準に達していると発表した。雇用状況に対する楽観度を示す指標も同様に上昇した。

 インフレは他の多くの国々にとって大きな懸念材料だが、日本は長年、逆の問題に悩まされてきた。物価下落は経済活動の低下につながる。待っていれば物価がもっと下がると期待して、消費者がモノの購入を控えることなどが理由だ。政府は市場に大量の資金を供給することで、こういった期待、予想を覆し、物価を押し上げようと望んでいる。国内の通貨供給量を増やすことには、他の通貨に対する円の価値を下げる効果もある。

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100円ショップ

 しかし、円安は国内で一様に支持されているわけではない。例えば書籍販売大手アマゾン・ドット・コムでは、「円安恐慌」や「悪い円安・大インフレでついに国家破産!?」といったタイトルの本がベストセラーリストの上位に入っている。

 多くのエコノミストは、円安が進みすぎると、日本の低迷する経済にとって良いどころか悪い影響をもたらしかねないと警告する。燃料や穀物といった輸入品の価格が急激に上がるからだ。円安進行、追加金融緩和、政府の大規模財政出動にもかかわらず、シンクタンク「日本経済研究センター」の経済見通しの修正版では、2年後の経済成長と物価にわずかの改善しかみられないだろうと予想している。特に消費者物価指数は年平均で0.6%しか上昇しないとされている。日銀が目標に掲げる2%からほど遠い予想値だ。

 日本の小売業者は、脆弱(ぜいじゃく)な需要をつぶしたくないとして、できる限り値上げを行わない姿勢を維持する公算が大きく、これが利益と賃金を削る可能性が高い。

 うどん店チェーンの「はなまる」によると、同社は最も安いうどんの価格を1杯105円に保つのに苦戦している。小麦の輸入価格が上昇しているからだ。このため、同社はコスト削減の特別委員会を立ち上げて、対応を検討している。

 格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは先月、注意を喚起するリポートを出し、円安は企業の収益性を改善させるかもしれないが、その効果は長続きしない公算が大きいと指摘した。また、日銀の緩和の動きと円安は「政府が信頼できる経済の構造改革を実行し、成果を得るまでの時間を稼いでいるに過ぎない」と述べた。

 また円安を受けて他の諸国が警戒している。韓国の玄旿錫企画財政相は4月のウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「韓国を含む多くの国々は懸念を抱いている。こういった(緩和)政策が潜在的に世界経済の回復の妨げになりかねないからだ」と述べている。


 

2013年 5月 10日 12:07 JST
円安で日本への旅行が手頃に―外国人観光客増加 
By MIHO INADA


Getty Images
船上から花見ができる京都府内の観光スポット

 円安を受けて、日本への旅行はとんでもなく高くつくという評判に変化が生じ、観光業界に追い風となっている。観光は長年、成熟した日本経済の成長源となり得る産業の1つとして挙げられてきた。

 1ドルはいまや100円の価値があり、ドル円相場が1ドル=80円以下だった昨年11月から上昇している。外国からの訪問者が急増する一方、日本人は海外旅行を減らして国内旅行を増やしている。

 今回の円下落前の3月でも、外国人訪問者数は前年同月比26%増の85万7000人となり、3月としては日本政府観光局(JNTO)が1964年に統計を取り始めて以来最多となった。

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 円安は、日本の観光業界が過去2年間に直面した数々の困難を乗り越える助けになった。2011年には、原発事故による放射能汚染への恐怖感から外国人観光客が減った。また昨年以降、尖閣諸島(中国名は釣魚島)の領有権をめぐって中国との緊張が高まったことで、それまで訪日客の中で最も急速に伸びていた中国からの観光客が激減した。中国の観光客は依然として日本を避けているものの、中国以外のアジア諸国、欧州、それにロシアからの訪日客がその差を埋め、それ以上に増えている。

 東京の高級ショッピングエリアである銀座では、スウェーデンから来た34人の団体客が買い物を終えて大型のツアーバスに戻るところだった。

 ツアーガイドのMagnus Carlsson氏は「日本はスウェーデン人から最も行きたい観光先に選ばれている」と話し、「日本は人気の観光先で、かつては費用が高すぎたが、いまは安くなっている」と付け加えた。

 石川県観光戦略推進部国際観光課の斎藤博課長によると、今年1-3月に兼六園を訪問した外国人の数は前年同期比で45%増加した。

 韓国からの観光客増加を受け、石川県は韓国の旅行代理店22社を招待し、観光スポットやゴルフコースを案内したという。

 斎藤課長は「円安を利用して(韓国から)より多くの観光客を引き付けたい」と述べ、「この市場には成長の余地がある」と語った。韓国の観光客は過去数年間の円高の際には、旅行費を削ろうとフェリーで九州を訪れていたが、同課長によると、この円安でこういった観光客を石川県に「取り戻せる」と考えているという。

 東京の電気街、秋葉原では、インドネシアから来たDaniel Wijonoさん(37)が9日間の旅行の最終日に妻と義母が化粧品を買い終わるのを待っていた。製造業で働くWijonoさんは、電子機器、ゲームキャラクターのフィギュア、それにユニクロのセーターが入った袋を3つ抱えていた。

 Wijonoさんは、昨年初めの前回訪日時と比較して「今回はかなり良い。前回よりモノの値段が10%以上安い」と話し、「でも、おかげでお金を予想よりたくさん使ってしまった」と語った。


 


コラム:米株市場、長期の強気相場が始まった可能性=カレツキー氏
2013年 05月 10日 12:57 JST
アナトール・カレツキー

[9日 ロイター] 米株価が今の局面で初めて史上最高値に迫った2カ月前、私は「株式市場の腰が定まらなくなる」ことに関する危険性を警告した。つまりそれは、持続不可能な高値で株を買う不安と、もし株価が上がり続ければもう今の値段では二度と買えなくなるという恐怖感が合体した状況のことだ。

当時、S&P総合500種指数.SPXはまだインターネットバブルがはじけた2000年3月以降形成されていた取引レンジの上限付近で行ったり来たり。株式市場の次の大きな動きが、13年間のレンジの中心に向かって反落していくか、それとも大幅に上昇して最高値を更新していくかは知りようがなかった。

2カ月前、一方にあったのは、米経済の見通し改善と、昨年末の政治状況からは、S&P500種指数が、2000年につけた高値をうかがう展開になった07年終盤時点と比べて、レンジを上放れする可能性が大きくなったことがうかがえたという事実だ。07年終盤といえば、サブプライム住宅ローン問題が始まったばかりで、ジョージ・W・ブッシュ氏がまだ大統領をやっていた。

他方で欧州中央銀行(ECB)の危機は過去最悪とみなされ、中国経済は減速しつつあると見受けられた。企業利益の伸びが止まり、投資家は2000年と07年に株価が同じような高水準になったことで市場に吸い寄せられた後、甚大な被害を被った経緯をよく覚えていた。

こうした2カ月前のジレンマを解消する確かな方策はなかったし、今も存在しない。金融市場の価格は常に、ともにそれなりの妥当性を備えた強気と弱気の見通しの均衡点だからだ。

ただし市場の動きが、時折答えを示すことがある。そして今週はそうしたケースに当てはまるように思われる。予想を大きく上回る4月米雇用者数が発表された3日以降の1週間で、S&P500種指数は2000年と07年の高値が上限となっていた13年来のレンジから4.0%強も上回った。株価のレンジ上放れは、その後のダウ工業株30種.DJIやウィルシャー5000指数などの動きでより確かになった。

さらに他国のほどんとの株価はなお2000年と07年の高値より随分と低い水準にとどまっているとはいえ、日本株はロケットのごとく高騰し、ドイツのクセトラDAX.GDAXIも米株の上げに劣っていない。

だからといって株価が上がり続けるわけではないが、過去の記録からすれば、足元の強気相場は株価上昇余地がほんの数%程度にとどまるものではないことを意味している。今や13年来のレンジをブレークしたので、歴史的なパターンでは元のレンジには戻らず、さらなる大幅な上昇局面が到来することが察せられる。私はこうした見方を2カ月前に詳しく説明したので、ここでは簡潔に繰り返すだけにしよう。

過去100年間で、米株価(S&P500種指数とその前身のベンチマーク)が長期間続いたレンジから3%以上も上放れたケースは8回あった。このうち、その後数年で株価が2倍、3倍というような大幅高となったのが7回もあり、唯一の例外はS&P500種指数の上昇率が15%にとどまった局面だった。こうしたレンジブレークが起きてから少なくとも半年の間に相応の値下がりが起きたケースはなかった。

もちろん過去の経験が必ずしも、将来の値動きの指針になるわけではない。実際に経済学者は総じて、チャートを使って市場の過去の動きを分析しようとする人々を、昔の占星術師のように、賢明ではない投資家の迷信につけこんでいるとしてまともに扱おうとしない。

しかし真っ当な投資家がその大部分を占めるチャートに基づくテクニカル取引が経済学者によって完全に合理的だと考えられているという事実を別にしても、今週の株式市場の値動きが長期的な強気相場の始まりと、13年間続いたレンジ相場の終えんを示している可能性がある、と信じるだけのいくつかの根本的な理由がある。

第一は、時間の経過それ自体だ。株価が1990年代終わりごろのように過大評価されると、水準調整と日柄調整を経るのが一般的。マイクロソフト(MSFT.O)やインテル(INTC.O)、アマゾン(AMZN.O)といった銘柄は、2000年3月の株高のピーク時には非常識なほど割高に映った。それから13年間で収入や利益が伸びてとうとう熱狂的な期待値に追いついたことで、かなり割安になった。

第二は、日米の政治状況と景気サイクルの改善が鮮明で、中国と大半のアジア諸国の成長率は高水準で安定し、もはや南欧の停滞は90年代の日本の停滞に比べれば世界経済への影響度が小さくなるかもしれないという点だ。

最後に挙げるのは、先週論じた構造要因の強弱バランスの変化。現在はだれもが長期的な経済の課題を十分に承知している。これは08年の金融危機以前は投資家が気にとめずに危険な目にあったもので、高齢化や持続不可能な債務、医療費の増大などがある。

これに対して金融危機の間にあっさりと忘れ去られたのは、危機前には投資家や企業経営者の胸を躍らせた経済に存在する長期的なチャンスの方だった。つまり、世界市場に数十億人の新たな消費者や生産者が加わったことや、資本主義と自由貿易をめぐる世界経済の再構成、電子機器が提供する新製品やサービス及び効率性、バイオ科学、非従来型エネルギーの登場などだ。

長期的な流れとして、(私が「資本主義4.0」で3年前に先走って示唆したように)こうした成長促進要因が強く働く方向に動きつつあるかどうかについては、だれも確言できない。それでも確かなのは、金融市場はいつも、大半のエコノミストや政治家、投資家よりもずっと早く経済環境の変化を察知するということだ。米株式市場で強気相場が続くさまざまな理由が判明するまでに、大抵は相場に乗り遅れてしまう。

*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。


05. 2013年5月10日 14:36:51 : nJF6kGWndY

実体を伴わない中銀バブルが本格化するリスクが高まっている

迂回路を通して銀行が巻き込まれていけば、結末は、いつも通り悲惨なことになる



06. 2013年5月10日 15:20:41 : sekAj4S9tQ
バブルが膨らめば膨らむ程、このようなチープマネージャンキーの譫言が増えてくる。2008年から十年も経たずしてこの有様。人間の愚かしさには際限がない。

07. 2013年5月10日 18:26:27 : EbrYOY8LOw
マネー、マネーというけれど、刷りまくる原資は1400兆円とも、いわれる国民貯金から、インフレ税で、盗むつもりだ。アメ債で他国を救い、国民はインフレで苦しむ。安部、黒田は振り込め詐欺師みたいなもの。1990年に株価を煽った小汚い提灯屋が今も湧いてきている。

08. 2013年5月10日 19:19:14 : nJF6kGWndY

結局、量的緩和は、一時的な効果しかない上に、金利低下とともに、効果は小さくなっていく

成長戦略は抵抗勢力がいるから、なかなか進まない上に、効いてくるとしても時間がかかる

次は財政バラマキ政策で、地方の高齢者などの不満を抑え選挙を乗り切るくらいしかないだろう

民主党政権時代よりマシと言えるのは、海外中銀の緩和策による投機的な円高(=>産業空洞化)が抑制され、

円安ピーク時のインフレと生活水準の底がマシになることくらいだが

いずれにせよ日本経済を支える一般労働者の生活水準がインフレや負担増で低下していくのは、避けられそうもない


http://www.bloomberg.co.jp/news/
各国中銀、511回目の利下げ後も緩和継続へ−成長拍車掛からず 

  5月10日(ブルームバーグ):世界各国の中央銀行は相次ぎ利下げを実施した後もさらに金融緩和を進める構えだ。
英国で10日開幕する7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議に先立ち、モルガン・スタンレーやクレディ・スイス・グループのエコノミストらは、各国中銀が世界的な低成長やインフレ鈍化、通貨上昇を阻止する必要性を踏まえて景気刺激策を継続すると予測している。
ヨアヒム・フェルズ氏率いるモルガン・スタンレーのエコノミストらは9日付の顧客向けリポートで、「当社が調査対象とする各国中銀の大部分は引き続き緩和姿勢を取っている」と指摘。「この傾向を考えると、より多くの中銀が追加緩和に踏み切るのに成長やインフレの予想外の下振れといった情勢変化はさほど必要ではない」と分析した。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)の集計によると、韓国銀行による9日の政策金利引き下げは2007年6月以降の世界各国中銀の利下げとしては511回目。流動性の増加が株式相場を大幅に押し上げているものの、経済成長を促進する有効性はまだ証明されていない。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメド・エラリアン最高経営責任者(CEO)は今月8日の電話インタビューで、「中銀がわれわれの一番の味方になっているのは、市場が好きだからではなく、市場を通じてしかマクロ経済目標に取り組むことができないためだ」と指摘。「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の改善から中銀の行動の正当性が立証されることが望まれる」と付け加えた。
株式相場上昇
緩和的な金融政策の中で株式相場は大幅上昇している。米S&P500種株価指数は今週、過去最高値を更新し、ダウ工業株30種平均は先週、初の1万5000ドル台を付けた。欧州株も値上がりし、債務危機に見舞われるギリシャの10年物国債の利回りでさえ10%を割り込んだ。
オズボーン英財務相は9日にG7会議について、「景気回復を支援しながら中期的インフレ期待を引き続き確実に抑制する上でどんな追加的な金融政策を実行できるかを検討する好機だ」とのコメントを発表した。
韓国中銀の利下げに先立ち、ポーランド中銀も大方の市場予想に反して政策金利を過去最低の3%に引き下げた。オーストラリア準備銀行(RBA)も今週、政策金利を過去最低の2.75%に下げており、欧州中央銀行(ECB)とインド準備銀行は先週、追加緩和を実施。日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)は直近の政策会合で金融政策の変更を見送ったものの、日銀は4月に月間の債券購入を倍増しており、FRB当局者は先週、債券購入ペースを現行の月間850億ドル(約8兆5700億円)から増やす可能性を示した。
イングランド銀行も9日に追加の景気刺激策を見送り、資産購入枠を3750億ポンド(約58兆円)に維持し、政策金利を0.5%に据え置いた。

インフレ鈍化

商品価格の下落や活気のない経済成長を背景にインフレ圧力が弱まっていることから、各国中銀は一段のディスインフレに備える必要に迫られている。JPモルガン・チェースのエコノミストによると、世界のインフレ率は12年初めの3%強から今四半期には2.3%に低下するという。
日本の金融緩和策を受けて円が下落する中、オーストラリアやニュージーランド、スイスといった国は輸出に打撃が及ぶ前に通貨高対策に乗り出している。各国政府は財政政策を使い果たし、景気支援に苦慮しており、欧州では財政緊縮の手を緩めざるを得ない国もある。ルー米財務長官はG7で各国に内需押し上げに注力するよう強く主張する意向だと、米財務省当局者は明らかにしている。
モルガン・スタンレーのエコノミストらは「総合すると、各国中銀にとって国際的要因が一段と重要になりつつあるようだ。追加策を講じる中銀がさらに増える公算が大きい」と分析。必要なら「再び行動する用意がある」とドラギ総裁が述べたECBや7月にカーニー新総裁を迎えるイングランド銀が追加緩和に踏み切る可能性があるとし、オーストラリアやポーランド、トルコ、イスラエル、ロシアの追加利下げを予想。ハンガリーも追随するかもしれないとの見方を示した。
アジアでは、インドと台湾の追加緩和やフィリピンによる特別預金口座金利の引き下げの可能性があると、クレディ・スイスのエコノミスト、ロバート・プライアーワンデスフォード氏は9日、顧客に指摘した。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)によると、中国が早期に利下げする公算も高まっているという。
原題:Central Banks Keep Easing After 511 Cuts Fail to SpurEconomies(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net;ロンドン Jennifer Ryan jryan13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2013/05/10 13:07 JST


 

円続落、ドル高で4年ぶり101円台−外債買い越しも円売り促す 

  5月10日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が続落し、対ドルで約4年ぶりとなる1ドル=101円台に突入した。米国の景気回復期待などを背景にドル高・円安が加速した海外市場の流れが継続。日本の証券投資統計で対外債券投資が買い越しになったことを手掛かりに円売りがさらに進んだ。
ドル・円相場は一時101円20銭と2009年4月6日以来の水準までドル高・円安が進行。その後は101円ちょうど前後を維持しており、午後4時5分現在は101円08銭前後となっている。前日の海外市場では米国の新規失業保険申請件数 の予想外の低下などを手掛かりにドルが急騰。ドル・円は心理的節目の100円を突破し、100円後半までドル高・円安が進んだ。
FPG証券の深谷幸司代表取締役は、「これまで円安できていたが、今度はドル高に変わってきた」とし、「なかなかドル・円は落ちにくいだろう」と指摘。「円高リスクはポジション調整ぐらいだが、米国で良い指標が続くのなら、調整する理由はあまりないかもしれない」と話した。
ユーロ・円相場は1ユーロ=131円前半から一時131円91銭まで円安が進み、海外時間に付けた10年1月以来の円安値を更新。その後は131円後半でもみ合う展開となっている。

対外債券投資が買い越し

財務省が10日発表した対外・対内証券売買契約などの状況(週間、指定報告機関ベース)によると、国内投資家は海外の中長期債を4月21日−4月27日と4月28日−5月4日の2週連続で買い越した。4月20日の週までは6週連続で売り越しだった。
ABNアムロ・バンクの為替ストラテジスト、ロイ・テオ氏(シンガポール在勤)は、証券投資データは、「円の弱気派を元気づけるだろう」と言い、「円は第2四半期に104円前後に向けて下落し、年末には110円程度に向かうはずだ」と語った。
同時に発表された3月の国際収支状況(速報)では、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支 が1兆2512億円の黒字となった。うち貿易収支は2199億円の赤字だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、市場は「円安材料探しモードに入っている」とした上で、週末を前に目先は利益確定やポジション調整の動きが出てくる可能性もあるが、「今の環境だと日米の金融政策の未来予想図があまりにも違い過ぎるので、押し目はしっかり拾ってくる」と予想。ドル・円は「いずれ105−110円に向かって上がっていくだろう」と話した。
米国の回復期待
米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は9日、ニューヨークで講演後に記者団に対し、失業率が13年末に7%に低下するだろうと述べ、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で月間850億ドル(約8兆5500億円)の債券購入プログラムが縮小されることを望んでいると語った。
米労働省が同日発表した先週の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は前週比4000件減の32万3000件と、前回の景気後退突入から2カ月目に当たる08年1月以来の低い水準となった。
前日の海外市場では米国の雇用回復期待や米量的緩和の早期縮小観測、また米30年債入札の好調を受けた日本の投資家などによる米債投資の思惑といった材料を手掛かりに、ドルが主要通貨に対してほぼ全面高となった。
野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、「米国の雇用基調が非常に強いことがはっきりした」とし、「米国の金利はここからまた上がり始める」と予想。「QE3(量的緩和第3弾)は年内どこかで終了が検討されるかもしれないという見方が広がって、ドル高のシナリオに再度傾いてきている」と話した。この日は海外時間に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演が予定されている。
ユーロ・ドル相場は海外時間に1ユーロ=1.3100ドル台を割り込み、一時4月26日以来の水準となる1.3011ドルまでユーロ安・ドル高が進行。10日の東京市場では1.30ドル前半から半ばでもみ合う展開となった。

G7

甘利明経済再生相は10日の閣議後会見で、ドル・円相場が100円台に乗せたことについて「為替の水準自身は市場が決めるもの」と述べ、日本政府や日本銀行による為替操作を否定した。
円安が一段と進む中、きょうから11日まで主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議がロンドン郊外で開かれる。オズボーン英財務相は9日、G7について、金融市場の最近の安定を前提として、景気回復をいかに促進するかが議論されるとの見通しを示した。米財務省当局者が今週明らかにしたところによると、G7は日本の需要と成長も検討する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野氏は、G7ではドイツなど「日本の敵に回りそうな人も多いので、一部北米・欧州系の要人が不規則発言をしたりすると、相場のガス抜きに寄与する可能性はある」としながらも、「昔のようにG7、G20でトレンドが変わるような時代ではなくなってきている」と指摘。「G7の声明や雰囲気を受けて、日銀の黒田総裁が金融緩和をやめると言うかというと言わないので、基本のところは変わらない」と語った。
国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事は都内のセミナーで、日銀の金融緩和策は「非常にアンビシャス(野心的)」だとし、IMFは日本の緩和策を支持すると述べた。また、金融緩和をするとその国の為替は安くなるとし、現在の為替相場の水準は整合的との見解を示した。
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更新日時: 2013/05/10 16:14 JST


09. 2013年5月11日 02:22:33 : FfzzRIbxkp
景気よくなっているなら、 復興増税が早々にやめられそうだね。
企業の売り上げが上がっているなら、被災地支援もすすむよね。

高線量地域の人たちの避難場所も、企業からの寄付でどんどん作れる。
子供たちの疎開も、簡単にできるようになるよね。
被ばくした作業員さんは、命の恩人。企業から感謝の御礼が集まるでしょう。

なにせ、景気が回復しているのですから。

被ばく防護のイノベーションもどんどん進む。
フクイチの事故収束もどんどん進む。そのためのお金が企業から直接投資されるはず。
廃炉研究は世界にとって必要な技術でしょ。
税金だけでまかなう必要ない。なにせ景気が回復しているのですから。

被災地の皆さん、景気回復でみなさんが救われますように。


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