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あかれぞ寂しき・・日銀が成功しようが、失敗しようが同じことが起きる (チャートあり)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/829.html
投稿者 墨染 日時 2013 年 5 月 20 日 07:14:24: EVQc6rJP..8E.
 

http://precursor.blog55.fc2.com/blog-entry-615.html

「木々の若葉は強がりだから、風の行く流れに逆らうばかり」と井上陽水が唄ったのは、「5月の別れ」でしたっけ。

★JGB – A Classic ‘Goodbye Kiss’?
(日本国債 - 古典的な「お別れのキス」?)

日本国債は上昇して以前のサポート水準に戻った - そして反転下落した。

我々は、テクニカルなトレーダー達の間で「お別れのキス(goodbye-kiss)」として知られるものを日本国債市場に見ていたのかもしれない。 日本国債の契約は上昇して、143という水準の以前のサポートへ一晩で戻り、そこから反転下落したのだ。 下記は、その動きを示したチャートである。 これを決定的なブレークダウンと呼ぶには早すぎる事を取り敢えず付け加えておくが、それこそ我々が注意深く監視しているものなのである。 全世界はこの市場へ目を釘付けにし続けるべきだと我々は信じ続けている - それは、現在の「幸福なコンセンサス」にとってのトラブルの源である可能性が非常に高いのだ。

日本国債、時間足りチャート:古典的な「お別れのキス」? - クリックで拡大

数年間有効であった上昇トレンド線を見て取れる、直近の日本国債先物の契約に関する長期の継続的な月次チャートは、現在僅かに傾向を外れている。 現在までのところ、それは小さな警告サインでしかないが、この市場は予期せぬ行動に出るかもしれず、最終的にとても大きな動き(非線形の超変動的な出来事が、ここで我々が考えているものである)を起こすかもしれないのだ

1989年の日本のバブル崩壊以降の日本国債の価格の歴史:2006年から2013年の上昇傾向は、現在僅かに外れてきている - クリックで拡大。

★結論:
これは、黒田東彦のインフレ派日銀が貨幣な、そして物価のインフレを生み出す事に「成功している」か否かを我々に語ってくれる市場なのである。 如何なる合理的な疑いも超えて彼等が一旦成功してしまったら、我々は現代において最大の金融危機が形作られるのをたっぷりと目にする事になるかもしれない。 皮肉にも、彼等が失敗した場合には全世界的な「デフレの恐怖」に突き落とす可能性があるので、同じ事(最大の金融危機)が起きる可能性があるのだ。 お楽しみに。
(Charts by: BarChart.com, Stockmaster.in)
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近年の世界的な異常気象の特徴として、冬と夏の寒暖が激しさを増す一方、春秋という気候の穏やかな期間が短くなっているように感じるのです。 日本国債市場における変動(ボラティリティ)の激しさも、遠からず株式等の市場に伝播するのでしょうか?。

(参考記事:)
静かに進行する日本売りの兆候
http://media.yucasee.jp/offshore-news/posts/index/335

債券価格の下落が止まらない。これは株価上昇の華々しいニュースに隠れがちだが、静かに進行する日本売りの兆候の可能性がある。

将来の実体経済の回復を見込んで、期待インフレ率が上昇し、その結果、名目金利が上昇しているなら問題はない。それはいわば「良い金利上昇」だ。景気回復時に当然通るべき道筋であると言える。ただし、金融市場にマネーが溢れた結果、名目金利が上がって、期待インフレ率ではなく、実質金利が上がる「悪い金利上昇」の可能性もある。

名目金利の上昇は、国債のリスクが高まり、リスクプレミアムが上昇した結果かもしれない。投資家たちは日銀の買いを絶好の売り場と捉え、次々と国債市場から退出している可能性がある。

一方、株価の上昇のほうは、「皆が買うから私も買う」という典型的なバブル状態の可能性がある。仮に株価が天井を打った時、「株安」「債券安」「円安」の日本売りが始まるシナリオが現実味を帯びつつある。
 

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コメント
 
01. 2013年5月20日 11:05:49 : l0xWQ1eSJY
量的緩和がもたらすまやかしの平穏
2013年05月20日(Mon) Financial Times
(2013年5月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


欧米市場でも株価は高騰している〔AFPBB News〕

 市場は気が変になっているのだろうか? これは、多くの投資家がこの数週間問いかけていたかもしれない疑問だ。英国やユーロ圏、米国で、債券利回りが低下したにもかかわらず、株価が急騰したからだ。

 だが、市場の様相が今いかに奇妙に見えるかを示す別の兆候を見つけたければ、シティグループのアナリスト、マット・キング氏が最近まとめたリポート*1に目を通してみるといいだろう。

長年続いたパターンが崩壊

 キング氏いわく、現在の市場動向について最も特筆すべきものは、こうした目もくらむほどの株式や債券の価格だけではない。本当に注目すべき問題は、実に多くの長期の統計パターンが崩壊していることだという。

 失業率と株式市場との関係を見てみよう。1997年から2011年にかけて、ユーロ圏の失業率の水準は常にSTOXX株価指数と逆相関関係にあった。だが、2011年以降は、STOXX指数が10%上昇する一方で、ユーロ圏の失業率が10%から12%に跳ね上がった。

 企業業績はもう1つの好例だ。ここ数十年間、米国の業績修正は株式市場の変動を追いかけてきた。だが、2012年初めからは、ネットで業績が下方修正される一方、米国株は高騰してきた。

 信用スプレッドとレバレッジ比率についても同様だ。過去20年間、企業の債務水準が上昇すると、投資適格企業のスプレッドは常に拡大してきた。だが、2011年以降は、ユーロ圏の企業のレバレッジ比率は1.4倍から1.7倍に上昇したが、スプレッドは約210ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から120bpに縮小している。同様にパターンは米国でも見られる。

 景気動向調査から得られる、景気の不透明感を示す市場の指標についても同じことが言える。不透明性感を示す指標は、かつては信用スプレッドの跡を追いかけていた。だが、2011年以降は不透明感が(当然のことながら)高まったままだが、スプレッドは縮小している。

 言い換えれば、多くのデータで見て、金融市場と株式市場の動向がファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と反対方向に動きてきたわけだ。

*1=Mind the gap; investing in repressed markets, Citigroup

 その原因を特定するのは簡単だ。過去数年間、指標がおかしくなる傍らで、西側の中央銀行は推定7兆ドル規模の量的緩和(QE)を行ってきた。これが国債金利を低下させ、投資家は別のところに利回りを求めざるを得なくなった。だが、このような逼迫感を激化させたのは、中央銀行が国債を吸収する一方で、資産の供給が減少したことだ。

 例えば、シティの試算では、米国の債券市場の純発行額は2007年の2兆ドルから2010年に1兆5000億ドルに、そして2012年にはわずか2500億ドルまで減少したという。となれば、スプレッドが縮小し、投資家が株式に投資しようとしているのも無理はない。マクロマーケットの観点から見れば、これはとてつもなく大きな二重の圧迫に等しいのだ。

奇妙な状況はいつまで続くか?

 だが、現時点で重要な問題は、このような奇妙な状況がどれくらい長く持続できるか、ということだ。今のところ、筆者が最近ロンドンとニューヨークで話をした多くのアナリストの間の中心的な見方は、このような歪んだ状況が、多くの人が予想するよりはるかに長く続くというものだ。

 市場もどうやら同意しているようだ。ボラティリティーの指標は今、非常に低い水準にあり、平穏な状態が続くことを示唆している。

 だが、特に各国中央銀行が近いうちにQEを放棄する可能性が低いように見えることを考えると、平穏状態が続くという見方は恐らく正しいだろうが、重大な注意事項がある。

 キング氏は2007年に、「ボウル(お椀)の中のボール」というイメージを使って、信用バブルの時に市場がどのように動くかを説明していた。2001年から2007年にかけて、金融システムには非常に巨額の流動性があったため、市場は小さめの衝撃を吸収できるように見えた。

 軽く揺すられた時には、ボールが転がってお椀の中心に戻って来るのと全く同じように、金融システムは2005年のゼネラル・モーターズ(GM)の格下げのような衝撃から急速に立ち直った。

 だが、この平穏状態は脆いものだった。水面下では深刻な矛盾や緊張が潜んでいたからだ。そのため、2007年に大きな衝撃に見舞われると、市場は転換点に達し、崩壊した。激しく揺すられると、ボールがお椀の中に戻らず、飛び出てしまうのと全く同じだ。

 キング氏は、この比喩が今の市場を適切に描写していると思っている。筆者も同感だ。というのも、中央銀行による流動性の洪水は、金融システムが小さな衝撃を吸収するのを可能にしているが、それはまた、衝撃に見舞われた場合に表面化する可能性がある多くの内部矛盾や脆弱性を覆い隠しているからだ。

水面下で高まるテールリスク

 つまり、ナシム・タレブ氏がしばしば指摘した点を繰り返すと、中央銀行が何とかして安定性を追求しようとしているからこそ、将来の激しい不安定性の可能性がどんどん高まっているわけだ。統計学者が言うように、「テールリスク」が拡大しているのだ。

 だからと言って、衝撃が近いうちに必ず起きるというわけではない。このようなまやかしの平穏状態は、何年もとは言わないまでも、何カ月も続くかもしれない。だが、各国の株式市場が上昇する中、投資家は統計数値の狂いについてじっくり考えた方がいいだろう。

 悦に入っている余裕のある人は誰もいない。ましてや、欧米諸国の財務省――あるいは中央銀行――で役職に就いている人はなおさらだ。

By Gillian Tett


ウォール街を追い上げる欧州株
2013年05月20日(Mon) Financial Times
(2013年5月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 米国のS&P500株価指数が連日のように最高値を更新する中、ウォール街が一身に注目を集めているかもしれない。それと比べて目立たないのは、欧州がそれほど引けを取っていないことだ。

 欧州の最大手クラスの企業の株価は、世界的なリスク資産高騰と、ユーロを救うために「必要なことはすべてやる」という欧州中央銀行(ECB)の言質を支えに、危機以前の高値まで戻している。ドイツ株は史上最高値を更新した。

企業収益の改善や景気回復の裏づけがない「流動性相場」


米国株ほど目立たないが、欧州株も上昇している(写真はフランクフルト証券取引所)〔AFPBB News〕

 米国と欧州の上昇相場の大きな違いは、ウォール街の株高が利益成長の改善と景気回復の兆候に裏打ちされていることだ。対照的に欧州では、悲惨な決算発表シーズンから、通年の業績が期待外れになることがはっきりした。

 実際、5月半ばに発表された公式統計では、今年1〜3月期のユーロ圏の経済成長が6四半期連続でマイナスになったことが明らかになった。

 投資家の念頭にある疑問は、欧州が近く危機を脱し、株価上昇を持続可能なものにするかどうか、だ。

 ABNアムロ・プライベート・バンキングの幹部、ディディエ・ドュレ氏は「欧州では、記録に残っている限り、企業収益と市場のズレが過去最大になっている。だから、景気回復を信じていないといけない」と言う。

 このズレが一番はっきり見えるのが消費財セクターだ。ディアジオ、ユニリーバ、ペルノ・リカール、ネスレなどの企業は、第1四半期の決算が事前予想を下回ったにもかかわらず、史上最高値に近い水準で取引されている。株高を引き起こしているのは、たった1つの要因で、収益を求める投資家が欧州に焦点を移したのだ。

日銀の緩和策の連想で株高に拍車

 シティグループの株式ストラテジスト、ジョナサン・スタッブス氏は「これまでに起きた最も重要なことは、株式が再評価されたことではなく、社債利回りが暴落したことだ」と指摘する。米国、日本、欧州の中央銀行が市場に流動性を供給する対策を受け、社債や国債の利回りが史上最低水準まで低下。投資家は、株式など、より利回りが高く、リスクの大きい資産に向かうようになった。

 ECBが今月の利下げに続き、もう一段の金融緩和に踏み切るとの期待は、日銀の政策行動との比較を想起させ、欧州の株高に拍車をかけた。

 「日銀が経済に再びインフレをもたらすことにはっきりコミットしたため、日本株は大幅高を演じてきた。年初来の上昇率は42%に上っている」。クレディ・スイス・プライベート・バンキングのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、バーバラ・ラインハート氏はこう話す。「ECBもやはり非常に大きなコミットメントをしたが、欧州のデレバレッジ(負債圧縮)プロセスはまだ初期段階にある」

 欧州株に強気になる根拠は、2010年にユーロ圏の債務危機が勃発してから概ね敬遠されてきたために、株価が過去の長期平均と比べてまだ割安だということだ。

 ドイツ銀行の株式ストラテジスト、ギャレス・エバンズ氏は「誰もが欧州の上昇相場は完全に流動性頼みだと思っているが、注目すべきファンダメンタルズの基準もいくつかある」と言う。

 欧州主要企業で構成する株価指数STOXX欧州600は、2013年の予想利益に基づく株価収益率(PER)が13.4倍の水準で取引されており、長期平均に沿っている。エバンズ氏によると、工業部門の銘柄は特に魅力的だという。

 APモラー・マースク、シーメンス、アグレコ、アトラスコプコは過去3年間で、市場および自社の長期バリュエーションに対して安くなった。危機の大部分を通して嫌われてきた銀行株も、株式の強気筋のお気に入りだ。金融機関が自己資本を増強しているため、銀行株は魅力的に見えるという。

ファンダメンタルズの改善がカギ

 だが、今のところ、欧州の株高は債券に似た特徴を持つディフェンシブ銘柄の大幅上昇に支えられてきた。多くの投資家は慎重な姿勢を崩していない。シュローダー・プライベート・バンクの最高投資責任者(CIO)、ロバート・ファラゴ氏は、欧州の経済成長は大胆に株式に転換するほど改善していないと警鐘を鳴らす。

 「我々も多少、債券に似た銘柄から景気敏感株に乗り換えたが、それ以上踏み込むことはないだろう」とファラゴ氏。「経済の下振れリスクが低下したため、景気敏感株にはある程度の価値があるが、我々はまだ低成長環境にいる」

 ピクテ・アセット・マネジメントの投資チームは今も株式に中立で、欧州の株高があとどれくらい続くか疑問視している。ピクテのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「市場が調整局面を迎えなかったら驚きだ。調整が起きた後に中国で成長が見えたら、買い場が訪れる」と述べ、「我々はファンダメンタルズが弱い時にパーティーに参加することには慎重だ」と話している。

By Alexandra Stevenson


日本:安倍首相のマスタープラン
2013年05月20日(Mon) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年5月18日号)

安倍晋三首相は、豊かで愛国主義的な日本を思い描いている。だが、ナショナリズムよりも経済に集中する方がよさそうだ。

 2007年9月、首相就任からわずか1年で辞任した安倍晋三氏は、有権者に嘲笑され、慢性疾患に健康を害され、近年、あまりに多くの日本の指導者たちを悩ました失言問題につきまとわれていた。

 ところが今、2度目の首相就任から5カ月足らずで、安倍氏は全く別の人間になったかのようだ。

別人のような安倍首相


再登板した安倍首相は上々の滑り出しとなっている〔AFPBB News〕

 まず、「アベノミクス」を導入した。リフレーション、政府支出、成長戦略の組み合わせにより、20年以上にわたって続いてきた仮死状態から日本経済を引き戻すための政策だ。

 また、かつては恐れられていた官僚組織に目一杯エネルギーを注入し、政府の活力を取り戻した。そして、自身の健康回復に合わせるように、地政学的な日本ブランドの再生と憲法の改正という構想を描いている。

 その意図するところは、日本を世界の大国として、安倍氏の考える本来あるべき立場に戻すことだ。

 安倍氏は、政治家への信頼を失っていた国民に活気を与えている。首相就任以来、株価は55%上昇した。個人消費の拡大により、今年1〜3月期の成長率は年率換算で3.5%に押し上げられた。安倍氏の支持率は70%を超える(1期目の終わりには30%前後だった)。

 安倍氏の率いる自民党は、7月の参議院選で勝利を収めようとしている。衆参両院で過半数を獲得すれば、安倍氏は法案を自由に通過させられるようになるはずだ。

 日本を停滞から引き戻すのは大仕事だ。失われた20年を経た日本の名目国内総生産(GDP)は1991年と同じ水準にあり、日経平均株価は、このところ急上昇したとはいえ、それでも史上最高値のようやく3分の1程度だ。

 減少する労働力人口に、増え続ける高齢者人口のコストが重くのしかかる。日本社会は内向きになり、日本企業は革新を推し進める力を失っている。

 日本の再生を約束した政治家は、安倍氏が初めてではない。日出づる国は、期待だけに終わった偽の夜明けを十分すぎるほど目にしてきた。そして、生まれ変わった新たな安倍氏は、まだ何も証明していない。

 とはいえ、現在掲げている計画を半分成功させるだけでも、安倍氏は間違いなく、偉大な首相の1人に数えられることになるだろう。

安倍氏の目論見

 今までとは違うかもしれないと考える理由は、中国にある。中国は2010年、日本を押しのけて世界第2位の経済大国になった。この時、日本経済の衰退が新たな現実味を帯びた。

 中国は自信を得るにつれて沿岸海域で影響力を振るい始め、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題では日本と正面から対立している。この5月には、中国共産党の機関紙「人民日報」が、沖縄に対する日本の領有権にさえも疑問を呈した。


安倍首相は経済面でも安全保障の面でも「強い日本」を目指している〔AFPBB News〕

 安倍氏は、中国の挑戦に立ち向かうことは、あまりにも長い間日本を縛ってきた無気力と受け身な姿勢を振り払うことを意味すると考えている。安倍氏の抱く純然たる野心を説明する際に引き合いに出されるのが、明治時代のスローガン「富国強兵」だ。

 日本が富んで、初めて自衛ができる。自衛ができて、初めて中国に立ち向かえる。同時に、主たる同盟国である米国への隷属を避けることができる、というわけだ。

 財政的刺激策と金融緩和策を掲げるアベノミクスは、経済政策のように見える。だが実のところ、経済と同程度かそれ以上に、国家安全保障に重きを置いているのだ。

 安倍氏が切迫感をもって政策を進める理由も、恐らくそこにある。安倍氏は、就任後わずか数週間で、緊急経済対策費10兆3000億円を盛り込んだ補正予算案を発表した。また、日銀の新総裁に、金融システムにこれまで以上のカネを注入すると明言する人物を指名した。

 こうした政策が円安につながっている限り、輸出は押し上げられる。それでデフレの見通しを払拭できれば、消費も促進されるかもしれない。


紙幣の増刷による景気浮揚には、限界がある〔AFPBB News〕

 だが、紙幣の増刷でできることには限りがある。GDP比240%という公的債務残高を抱える現状では、政府支出を増やすにも限度がある。

 そのため、経済の長期的な潜在能力を改善したいのなら、安倍氏の計画のうち、第3の構造的な部分を実行しなければならない。

 安倍氏はこれまでに、供給サイドの抜本改革の推進を担う5つの委員会を設置した。2月には、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を表明し、支持者をも驚かせた。協定に加われば、農業などの保護産業の自由化を強いられることになる。

中国との反目

 日本が豊かになり、世界的な需要の源になることに異論を唱えることは、誰にもできないだろう。愛国主義的な日本が、「自衛隊」を、他国が保有するような正規軍に変えれば、北東アジアの安全保障は強化されるだろう。

 だが、安倍氏の惨憺たる1期目を記憶している者は、2つの懸念を振り払えずにいる。

 経済面での危険性は、安倍氏が前回のように、及び腰になってしまうことだ。今年4〜6月期の成長が思わしくなければ、安倍氏は景気回復の勢いを削ぐことを恐れ、2014年から15年に予定されている2段階の消費税増税の第1段階を延期するだろうとの憶測が既に流れている。

 だが、消費税増税を延期すれば、日本は債務削減の中期的計画を失う。安倍氏は困難な選択を避けたがる、という信号を発信することにもなる。心配なのは、安倍氏が改革に抵抗する勢力に屈することだ。農業、製薬、電力をはじめ、競争を導入する必要のある業界は多い。

 安倍氏はそうした業界との対決をためらってはならない。たとえ、自身の党の一部と対決することになるとしてもだ。

 外交面では、安倍氏が、国の誇りと、有害で後ろ向きなナショナリズムとを混同し、過度に強硬な姿勢を取ることが懸念される。安倍氏は、米国の指導の下に置かれた日本の戦後を屈辱と見なす少数派に属している。

 支持者の主張によれば、戦時中の日本の罪を矮小化することが容認されないことは、安倍氏にも分かっているという。

 にもかかわらず、安倍氏は既に、大日本帝国(安倍氏の祖父は、帝国の役人として占領した満州の統治に携わった)は本当に侵略者だったのかと疑問を呈し、戦没者とともにA級戦犯が祀られている靖国神社への閣僚の参拝を許すことで、中国と韓国の反感をかきたてている。

不要な戦争ではなく、経済再生を

 しかも安倍氏は、現在の日本が必要とし、保持してしかるべき正規軍以上のものを欲しているように見える。1947年に米国の主導で施行されて以来、一度も修正されたことのない日本国憲法のリベラルな部分の見直しを検討しているのだ。

 安倍氏はこのような動きで、東アジア地域の対立を激化させるリスクを冒している。対立が深まれば、貿易が脅かされ、経済成長も鈍化するだろう。

 日本の覚醒を望むという点では、安倍氏は正しい。参院選後、安倍氏はそれを実現する絶好の機会を手にすることになるだろう。日本を復活させる道は、中国との不要な戦いへ向かうことではなく、経済の再活性化に集中することにある。

http://jbpress.ismedia.jp/


02. 2013年5月20日 18:22:43 : FfzzRIbxkp
日銀がETF(上場投資信託)を1兆7177億円も買ってればさ、日経平均上がりますよ。
13年末までの買取見通しが2兆5000億円。 残り7823億円だってさ。
ちなみに14年末は3兆5000億円だってさ。
14年末まで日経は上がり続けるのかな?

不動産投資信託も1362億円購入。
14年末は1700億円だってさ。土地の値段があがってくねぇ。

国民の皆様の税金ですよ。 こんなこと、いつまでも続けられるのかねぇ。

英エコノミスト誌も金だけ出せって感じの記事だね。
国民の皆様の税金ですよ。 さすが元祖帝国。

アメリカとイギリスが自民党の参議院での勝利を願っているそうです。
金出させるのに都合がいいんだねぇ。


03. 2013年5月21日 00:17:19 : l0xWQ1eSJY

【第278回】 2013年5月21日 真壁昭夫 [信州大学教授]
ソロス・チャートが物語る1ドル=110円突破の公算
為替相場は前代未聞のパラダイムシフトを迎えたか?
100円を突破した円安はいつまで続く?
ソロス・チャートに見る為替の背景

 為替市場で円安傾向が続いている。ドル・円相場は、当面の節目と見られていた1ドル=100円の壁を予想外のスピードで突き抜け、足もとでは102円台の展開になっている。為替市場関係者の間では、今後も円安傾向が続くとの予想が有力で、中期的には110円を超えてさらに円安が進むというドル強気(ドル・ブル)の見方もある。

 為替市場の関係者がよく使う分析手法に、ソロス・チャートと呼ばれるものがある。ソロス・チャートとは、有力投資家であるジョージ・ソロス氏が考案したテクニカル分析の手法だ。

 ドル・円の為替レートと、日米の中央銀行が供給する資金供給量=ベースマネーとの間には密接な関係があると想定し、資金供給量に基づいて為替相場の展開を予想する。

 そのソロス・チャートに従って考えると、黒田日銀総裁の“異次元の金融緩和策”によるマネタリーベースが大幅に増加したことで、円安が一段と進むことが考えられる。

 また、わが国経済にインフレ期待が醸成されるとの見方や米国経済の回復期待も、ドル高・円安傾向を支える重要なファクターになっている。

 そうした材料を背景にして、ヘッジファンドなどの投機筋や為替ディーラーなどは、いずれもドル買い・円売りのオペレーションを行っている。これらの要因が大きく変化しなければ、当面、ドル高・円安の傾向が続くだろう。

 ソロス・チャートの基本的な考え方は、中央銀行が市中に供給するお金の量=ベースマネーと、当該国の為替レートには密接な関係が存在するという点だ。そのロジックは、中央銀行が通貨の供給量を増やすと、当該通貨に対する相対的な需要が弱まり、通貨の価値が低下し易くなる。逆に、通貨供給量が相対的に減少すると、当該通貨の価値は上昇する可能性が高くなる。

2006年までは通貨供給でむしろ円高に
ソロス・チャートも万能とは言えない

 ソロス・チャートでは、具体的に日米のマネタリーベース比率を算出し、それと実際のドル・円相場の動きを重ねる。そうすると、多くの期間で、両者の間にはかなり明確な関係が存在することが見て取れる。

 実際、米国の通貨供給量が相対的に拡大すると、ドル安に進みやすくなることが認められる。逆に、日本の方が相対的に通貨供給量を増やすと、円安に動くことが多くなっている。

 ただ、ソロス・チャートが常に当てはまるとは限らない。特に、2001年から2006年までの間、日銀は多額の通貨を供給したものの、為替相場は円安に向かわず、むしろ円高が進行した。当時は、わが国が経済低迷期であったことなどの特殊事情はあったものの、ソロス・チャートで説明できない為替の動きもある。この分析手法は万能でないことは確かだ。

 ソロス・チャートは有力投資家が考案したことに加えて、作成方法が容易であることもあり、市場関係者やヘッジファンドのマネジャーが使うことが多いとされる。それだけ市場に対する影響力がある。4月の日銀の金融政策決定のケースでも、重要な参考材料の1つになったものと見られる。

 ソロス・チャートに加えて、円安傾向が進んでいる重要なファクターに米国経済の回復期待がある。為替市場の動向、特にドル・円の為替レートに関しては、米国政府の為替政策は無視することのできない重要なファクターだ。

 今まで、米国政府の為替に関するスタンスはかなり明快だった。米国経済が堅調に推移している期間、米国の為替政策は寛大で、かなりの範囲でドル高・円安を容認してくれる。

 ところが、一旦自国経済の状況が悪化すると、米国の為替政策は豹変する。表面的には、“強いドル”を標榜するものの、実際には、ドルを緩やかに減価させて(ドル安政策によって)、自国の輸出企業に有利な条件をつくることを考える。

 2008年9月のリーマンショック以降、米国経済は不動産バブルの後始末による景気低迷期を迎えた。その時期、米国政府は明らかにドル安政策に舵を切った。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)が積極的に金融緩和策を行ったこともあり、ドル・円の為替レートは強烈な円高傾向になった。その結果、2011年には1ドル=75円までの円高が進行することになる。

 その米国経済も徐々に明るさが見え始めている。不動産価格は少しずつ上昇傾向を示し始め、失業率も下落傾向が鮮明化している。そうした状況を反映して、米国政府も為替レートへ寛大さが増しているようだ。つまり、足もとの円安傾向を容認している。

 それは、G7会議で中国や韓国、さらにはドイツなどの欧州諸国から円安傾向に対して批判が出た場面でも、米国政府が日銀の金融政策を支持し、わが国が批判の矢面に立たないようにサポートしていることからもわかる。

 その背景には、対中関係を見据え、日本が経済を立て直してしっかり中国と対峙することを望んでいることがあるのだろう。国際会議での米国のサポートは、日本政府にとって重要なファクターになっていることは間違ない。

過去にない貿易赤字とインフレ期待
ドル・円に見る為替のパラダイムシフト

 最近、経済専門家の間でドル・円の為替レートについて大きなパラダイムシフトが起きているとの指摘がある。従来、ドル・円相場は、基本的にわが国の貿易黒字体質と、日米のインフレ格差が主な要素となって円高・ドル安が続いてきた。

 ところが、わが国の貿易収支が赤字に転落し、日銀のリフレ政策の効果もあり、わが国でも徐々にインフレ期待が出始めている。その結果、今までの円高・ドル安の背景が大きく変わったと分析する。

 それはかなり的を射た見方だろう。当面状況が変わらないとすると、さらに円安・ドル高の傾向が進むことは理屈の上で十分に正当化できる。

 また、市場に無視できない影響を与えるテクニカル分析手法のソロス・チャートを見ても、まだドル上昇の余地はある。経済の基礎的な条件=ファンダメンタルズから見て、今後1ドル=110円近辺まで円安になる可能性があると見る。

ヘッジファンドが手仕舞うのはいつか?
円高へと反転する2つのリスクシナリオ

 一方、円安傾向が変わる要因があるとすれば、まず考えられるのは米国経済の回復期待が後退することだ。米国経済の回復ペースが減速すると、FRBは金融緩和策の長期化を実施するだろう。そうなると、米国の通貨供給量(ベースマネー)がさらに増加する。

 それは、ソロス・チャートで見てもドル安要因になる。また、米国の金利水準の低下を招き、ヘッジファンドなどもドル買いのポジションを手仕舞う可能性もある。その場合には、円安傾向が反転することも考えられる。

 もう1つは、わが国のインフレ期待が後退することだ。つまり、日銀のインフレターゲット政策が失敗し、デフレから脱却することができなくなるケースだ。

 その場合には、日米のインフレ格差が拡大することになるはずだ。それは、為替市場での円安傾向を変えるインパクトになるだろう。

 ただ、そうした2つの主要リスクシナリオを除くと、当面、円安傾向には変化がないと見た方がよいだろう。


04. 2013年5月21日 00:27:49 : l0xWQ1eSJY
「下げる」から「働きかける」に、日銀が金利上昇で緩和効果を軌道修正
2013年 05月 20日 20:18 JST
[東京 20日 ロイター] 長期金利の上昇基調が強まるなか日銀が景気回復による一定の上昇は自然との発信を強めている。急激な上昇に対しては機動的なオペ(公開市場操作)で対応する姿勢だが、異次元緩和で金利上昇は抑えきれないとの姿勢も示し始めたようだ。

20日の東京市場で、10年最長期国債利回り(長期金利)が一時、0.875%まで上昇した。日銀の黒田東彦総裁の同日の月例経済報告関係閣僚会議での発言が、金利上昇容認と受け止められたようだ。内閣府によると黒田総裁は、「日本の5年債、10年債の金利は一度低下したが、株高や米金利上昇で上昇している」、「いずれの国の長期金利も上昇しているが、引き続き低位の動きだ」、「経済・物価の先行き見通しの改善で徐々に金利が上昇していくのは当然だが、日銀の巨額の国債買い入れによる強力な金利低下圧力の下で、長期金利が大きく跳ね上がるとは考えていない」と述べたという。

5月に入り日銀幹部らが異次元緩和は「利回り曲線全体に働きかける」とし、「利回り曲線全体を引き下げる」との従来説明から微修正した形で発信し始めた。金融緩和の結果、景気回復期待で金利がある程度上昇するのを認めたとみられる。

日銀は、4月4日の異次元緩和公表直後の金利乱高下は、日銀による発信やオペ手法にも要因があったとして、毎月の国債買い入れ回数の増加など直ちに工夫を図った。一方、5月9日以降の急速な円安・株高を背景とした長期金利の急上昇は、米景気回復期待を背景とした自然な上昇で、そもそも対応手段も限られているとの考えだ。

あまりに急激な上昇については、当然、国債の利払い費用急増や、不動産投資信託(REIT)・不動産株ひいては株式市場に冷や水を浴びせかねると警戒。実際長期金利が0.92%まで急騰した15日には日銀は1年物の固定金利オペなど総額2.8兆円の機動的なオペを実施し、市場安定化への意思を示した。

一部の日銀関係者の間では、市場安定にはオペでは限界があり、政策の声明文の何らかの変更が望ましい、との指摘も出ている。しかし、主流の意見ではなさそうだ。市場関係者の間でも「22日の決定会合後の黒田総裁会見に過度な期待が膨らむのが心配」(大手行)との声も出ている。

(ロイターニュース 竹本能文:編集 宮崎亜巳)


 


財政健全化、成果なければ緩和効果「減殺」=財政審報告書の原案
2013年 05月 20日 20:47 JST
[東京 20日 ロイター] - 麻生太郎財務相の諮問機関である財政制度等審議会が5月末にまとめる報告書の全容が20日、わかった。

報告書は、2015年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を対国内総生産(GDP)比で10年度から半減させる重要性を指摘し、「具体的な成果を上げなければ、日本財政への市場の信認を失って金利急騰を招き、金融緩和の効果を減殺することになりかねない」と訴えている。

財政審が月内に麻生財務相に報告する。政府に、財政健全化の着実な取り組みを求める狙いからだ。

報告書では、国内の潤沢な民間資金が、これまで国債の安定的な消化に重要な役割を果たしてきたが、「金融取引がグローバル化する中で、対外投資の自由度は高く、日本国内の資金が日本国債の購入に向かうという保証はまったくない」と指摘し、「国債が、市場から安全資産であると信認され続けることが、国債の国内消化にとってのひとつの重要な条件」と続けた。

また、日銀の大胆な金融緩和に踏み切ったのは、政府が、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進することが前提だったと強調。具体的な成果がなければ金利急騰がかえって緩和効果を減殺する、と警告している。

財政健全化を進めることは景気腰折れにつながりかねない、との批判には「国民の将来不安を軽減し、消費が拡大することを通じて経済成長を促すことが期待されるほか、金利上昇を抑制し、企業投資の活発化などを通じて持続的な経済成長を可能にする」と反論。

逆に、実体経済からかい離して国債金利が上昇すれば、「金融機関のバランスシートをき損し、経済全体に計りしれない悪影響を及ぼす可能性もある」としている。

財政健全化目標を巡っては、民主政権が15年度までの赤字半減、20年度までの黒字化を国際公約に掲げた。報告書では「この目標と整合的に毎年の予算編成を行い、目標達成に向けて引き続き取り組んでいく必要がある」と明記。

そのうえで「(赤字半減を確実に達成するには)自民、公明、民主の3党合意により成立した社会保障・税一体関連法案に基づき、15年度までに消費税率を段階的に10%に引き上げることが前提」とした。

赤字半減目標に向けた中期財政計画策定では、「実現が十分に可能な経済の展望を適切に見通すべき」と指摘した。「これにより財政健全化への取り組みに対する信頼性が高まるとともに、仮により高い経済成長率が実現した場合には、さらなる財政収支の改善や、財政健全化目標と整合的な範囲での重点的な施策の実現が可能になる」としている。

(ロイターニュース 山口 貴也)


05. 2013年5月21日 00:30:30 : l0xWQ1eSJY
コラム:アベノミクスの革新的な力=カレツキー氏
2013年 05月 20日 15:16

コラム:円安シナリオを支える日米実質金利差の逆転=佐々木融氏
コラム:海外景気回復は円安と批判招く「両刃の剣」=亀岡裕次氏
コラム:長期金利上昇、金融危機の「誘発点」はどこか=河野龍太郎氏
コラム:株式の強気相場で判断ミスを避ける4つの処方せん
アナトール・カレツキー

[17日 ロイター] 15日に発表された日本の1─3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率3.5%成長となり、日本経済が先進7カ国(G7)の中で最も急拡大を遂げている可能性を示した。

日経平均はちょうど半年前に底を打ち、以来約80%も急騰した。

一方、円は対ドルで半年間として過去最大の下落を演じた。これらすべての出来事は安倍晋三首相の就任と、彼が日銀に据え付けた体制に関連しているように見える。

日本は20年間もの停滞を経てなお、世界第3位の経済大国だ。2012年のGDPは6兆ドルで、フランス、イタリア、スペインを合わせた規模に相当する。

あらゆる資本家、企業幹部、エコノミストが当然の問いを発し始めた。日本はついに、経済を修復し「失われた20年」に終止符を打つのに必要な真に革新的改革を講じ始めたのかと。

しかしこの設問は間違っている。日本で何が起こっているのかを理解する上で、慎重に区別する必要がある2つの全く異なる問題を混同しているからだ。

最初の問いは、日本は過去20年間に試みたよりも抜本的な措置に本気で取り組む決意なのかどうかだ。

第2の問いは、これらの措置を決然と粘り強く実施すれば、日本経済を修復することが可能か否かだ。

最初の問いに対しては、安倍首相が3月に黒田東彦氏を日銀総裁に指名した時点で、明確な「イエス」が返ってきた。黒田氏は自分の頭で考える人物であり、過去20年間にわたり日本の政策決定を支配してきたコンセンサス形成型の官僚らとは格段の差がある。

黒田氏は最初の日銀金融政策決定会合において、直ちにこうした資質を発揮した。彼は驚くべき規模の金融緩和策を発表。GDP対比で見て、米連邦準備理事会(FRB)が行っている量的緩和策の約3倍にも達する規模だった。

それでも第2の問いは消えない。空前の規模となる日本のマクロ経済政策は望むような経済成長をもたらせるのか。答えは「たぶん」だ。

企業や産業セクターを詳細に分析するボトムアップ思考のアナリスト、エコノミスト、投資アナリストらは、成功の確率が50%を大幅に下回るとみている。

日本は結局のところ、深刻な構造問題を抱えている。人口の減少、投資の不適切な配分、莫大な公的債務、サービスや農業分野における保護主義的なロビー活動、労働慣行の硬直性、経営の独創性欠如──と、問題は枚挙にいとまがない。どれ一つとして金融政策では解決できない。

それならなぜ、株式市場の投資家はこうも強気になっているのか。それは、マクロ経済の基調から利益を得ようとするトップダウン思考の投資家が、ボトムアップ型投資家のような懐疑心を意に介さないからだ。株式投資家がなぜそういう行動を採っているのか、そしてなぜ彼らが恐らく正しいのかを見るために、私の2つの問いに戻るとしよう。

ボトムアップ型アナリストらは主に構造問題に目を向け、いくら大胆なマクロ経済政策を採ってもソニーが次の「iPhone(アイフォーン)」を生み出す手助けにはならないという、もっともな主張を展開する。倹約志向の年金生活者を浪費家に変身させたり、日本企業に利益の内部留保を止めさせ、増配によって余剰資金を株主に配分したり、賃上げによって労働者に回すよう仕向けることもできないと。

他方マクロ投資家は前代未聞の財政・金融刺激策を、日本株を買って円を売るのに十分な理由とみる。しかしもし、強気のマクロ投資家が十分な確信を持って動き続けるなら、彼らは日本経済の現実を変え、懐疑的なボトムアップ型アナリストとの知的論争に打ち勝つ可能性がある。

そうしたことが起こり得ると予想する理由は4つある。

第1に、株価上昇と円安による資産効果が構造問題に幾分の変化をもたらす可能性がある。

フン・グローバル・インスティチュートのアンドルー・シェン氏による試算では、最近の市場変動による日本の家計資産の増加は既にGDP対比約40%に相当している。こうして増えた資産は既に消費者信頼感の大幅改善に寄与しており、特にサービス分野における個人消費増加と事業拡大をもたらしそうだ。同様に、円安によってもたらされた日本の輸出企業の追加利益は賃金と配当の拡大に結び付くと同時に、個人消費のさらなる拡大を促しそうだ。

第2に、日本株の強気市場はマクロ経済に注目する投資家主導で起こっているため、構造問題に焦点を絞りボトムアップ型の企業分析を行う伝統的な長期投資家は、大半が久々に訪れた大きな投資機会を逃している。

日本株の上昇が間もなく反転するなら問題はない。しかし多くの伝統的投資家が取り残されているという事実自体が、日本株の強気相場が天井に近いのではなく、まだまだ続く可能性を示している。強気相場があと数カ月続くだけでも、懐疑的なボトムアップ型投資家はビジネスを続けるために株を買い始めることを余儀なくされよう。

こうした投資家も株式市場に引き込まれる時、彼らも企業と経済のファンダメンタルズが改善していると信じる理由を見つけるだろう。金融政策によってソニーがiPad(アイパッド)を発明できるだろうかと自問する代わりに、ソニーの株価はこんなに急上昇しているのだから、同社は何か素晴らしい新製品を計画しているに違いない、と想像し始めるのだ。

第3に、強気のマクロ経済分析が構造問題をめぐる懐疑心を凌駕し始めると、こうした期待の変化それ自体が経済の現実を変化させ得る。堅調な金融市場によって日本の長期的な成長見通しに対する信頼感が醸成されれば、投資、消費、雇用がそろって加速するだろう。そうなれば日本はジョン・メイナード・ケインズの言う「アニマルスピリット」、そしてジョージ・ソロスの言う「再帰性」、つまり経済の現実を反映するだけでなく、それを変え得る金融市場の能力の模範例となる可能性がある。

最後に、過去数カ月間のマクロ経済政策は安倍首相の計画の終わりではなく、始まりにすぎない。アベノミクスは財政刺激策、金融緩和、構造改革の「三本の矢」と表現されている。第三の矢が放たれるには、安倍首相が7月の参議院選挙に勝利する必要がある。

参院選後、国際競争力や女性の労働参加、雇用規制緩和、エネルギー価格の低下、法人税といった分野で安倍首相が構造改革に乗り出すのはまず間違いない。これらの改革は強力な政治ロビー団体の抵抗に遭いそうだ。しかし少なくとも一部は確実に実行に移されよう。

日本には他に選択肢が無いことがその理由だ。アベノミクスの最初の数カ月間に始まった財政・金融政策は非常に過激で、後戻りはできない。日本が成長率を加速させることに失敗すれば、マクロ経済刺激による安倍首相の大掛かりな実験はあまりにも巨額の債務と金融的重荷を生み出し、金融システムを破滅させてハイパーインフレの引き金を引く可能性もある。

要するに安倍首相は、自らの経済政策の成功を期して、日本経済における賭けに出たのだ。彼は今後、力強い成長実現のためにマクロ経済政策と構造改革の両面でできることは何でもやるしかない。アベノミクスの算術が意味するのは、「我慢できる程度の停滞」は日本の選択肢から消えたということだ。

*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。
 

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06. 2013年5月21日 10:37:39 : MCxrFh1dnI
アベノミクスの逆効果、国債利回りや輸入物価上昇

 20日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=102円70銭台で推移した。円相場は今月17日のニューヨーク市場で103円21銭で取引を終え、4年7カ月ぶりに103円台を付けたが、その後一段安とはならなかった。甘利明経済再生担当相が19日、NHKに出演し「過度の円高の是正はかなりできたと世の中でいわれている。円安がどんどん進むと国民生活へのマイナスの影響が出てくる」と発言したことが、円安にブレーキをかける要因となった。


 日本政府の当局者が円安の速度調整に乗り出したのは、これまで輸出企業の増益や株価上昇、消費活性化などプラスの効果をもたらしてきたアベノミクス(安倍首相の経済政策)による副作用が生じる兆しが見え始めたためだ。


 最近見られるのは、国債利回りや輸入物価の上昇だ。国債利回りが上昇すると、安全資産として投資してきた投資家が国債を売り、金利が上昇する懸念がある。輸入物価の急騰は物価上昇につながり、株価上昇で支出を増やした消費者が財布のひもを再び締めることになりかねない。


■国債利回りが反発


 中央銀行が国債を買い取る形で市中に資金供給を行うアベノミクスの効果で、日本の国債金利は年初来、先月まで下落した。韓国の国際金融センターによると、10年物国債利回りは0.46%まで下落し、過去最低を記録した。しかし、今月初めから反発に転じ、17日には一時0.92%を付けた。コスモ資産運用のソ・ミンギ最高投資責任者(CIO)は「日本の投資家たちの目が国債から株に移り、国債価格は下がり金利が上がった」と語った。


 国債利回りの上昇は、国債価格の下落につながり、投資家が国債を売却することで、さらに国債価格が下落するという悪循環に陥る危険性がある。韓国銀行の試算によると、国債利回りが1ポイント上昇すれば、日本の銀行業界は6兆6000億円、2−3ポイント上昇すれば、12兆5000億−16兆6000億円の損失を受けることになる。


 日本の国債利回り上昇を受け、日本銀行は2兆円を超える大規模な国債買い取りに乗り出し、17日には国債利回りが0.81%まで低下した。ただし、これまで安全資産とみられていた日本国債の利回りが動揺したことになり、投資家の不安感が高まった。今後日本の国債利回りが上昇する可能性は依然として存在する。日銀は2%のインフレ目標を掲げているが、現在の物価上昇率はマイナス0.9%で、インフレ分がそのまま金利に反映されれば、国債利回りは今後3ポイント程度上昇する可能性がある。


金融研究院のパク・チョンギュ上級研究員は「日本の国債利回りが上昇すれば、日本政府が巨額の利払い費用を負担しなければならず、アベノミクスの成功には税源拡大、不必要な歳出の削減など、思い切った中長期的な財政健全化策が伴わなければならない」と指摘した。


■輸入物価の急騰


 日本の輸入物価上昇もアベノミクスを脅かしそうだ。円安で輸入物価が上昇すれば、物価上昇圧力が高まる。日銀の思惑通りに物価が適正水準まで上昇し、経済活動が活発化すればよいが、物価の急騰はむしろ消費の減少を招く可能性がある。


 日本の輸入物価は昨年は下落したが、今年は上昇に転じている。1月以来の毎月の輸入物価上昇率は前年比8−10%で推移している。4月の輸入物価指数は123.8で、4年半ぶりの高水準となった。


 2011年3月の東日本巨大地震以降、日本は原子力発電所をほとんど再稼働できず、発電燃料を液化天然ガス(LNG)に依存している。円安が進めばエネルギーの輸入コストが上昇し、電気料金の値上げにつながるため、国民にしわ寄せが来る。


 既に東京電力など電力各社は今月から電気料金を1.6−3.0%引き上げた。LG経済研究院のイ・ヘリム上級研究員は「金融緩和策でインフレが起きた場合、消費拡大の障害になる可能性がある」と指摘した。


 しかし、日銀は先月26日、2013年度の消費者物価上昇率を0.4−0.8%と予測するなど、輸入物価の上昇がまだ消費者物価の上昇にはつながらないと予想している。


方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/21/2013052100551.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/21/2013052100551_2.html


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