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「上昇相場はいったん終わり!?」 乱高下した後の相場にどう対処すべきか? (ダイヤモンド・オンライン) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/905.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 5 月 26 日 01:23:00: igsppGRN/E9PQ
 

「上昇相場はいったん終わり!?」乱高下した後の相場にどう対処すべきか?
http://diamond.jp/articles/-/36541
2013年5月24日  藤井 英敏 ダイヤモンド・オンライン


 23日の日経平均は前日比1143.28円(7.32%)安の1万4483.98円と、前日比の下落幅は2000年4月以来、13年1カ月ぶりの大きさで歴代11位、下落率の大きさは歴代10位となりました。

 翌24日も、日経平均は乱高下しました。1日の値幅は1025.98円と連日で1000円超に達しました。24日の日経平均は前日比128.47円(0.89%)高の1万4612.45円と反発したものの、13時45分に13981.52円まで急落する場面がありました。ただ、節目の1万4000円を割り込んだことで、一応達成感が出たようで、一転して値ごろ感からの押し目買いや売り方の買い戻しが優勢になりました。

■昨年11月からの上昇はいったん終了したと考えるべき

 23日の相場急落の背景は、22日のバーナンキFRB議長が議会証言の質疑応答で、景気指標の改善が続けば「今後数回のFOMCで証券購入額を減らす可能性がある」と発言したことや、FOMC議事要旨(4月30日〜5月1日開催分)で、複数の議員が、早ければ6月にも資産購入を減額したいとの意向を示していたことが明らかになったためです。

 そして、23日、HSBCが発表した5月の中国のPMI速報値は49.6と、前月の確報値の50.4から0.8ポイント低下しました。2カ月連続で前月を下回り、節目の50を2012年10月以来7カ月ぶりに下回りました。

 さらに、新発10年物国債(328回債)の利回りが一時1.000%と、前日比0.115%上昇し、新発10年債としては2012年4月5日以来、1年2カ月ぶりに1%台に乗せました。これらも嫌気されました。

 23日の急落と24日の乱高下を受け、動揺している個人投資家は多いことでしょう。まず、結論から言えば、昨年11月中旬からの上昇はいったん23日の急落で終了したと考えます。

 目先は短期調整に入り、調整一巡後、再び、上値を目指すという展開がメインシナリオです。日経平均は野田佳彦首相が12年11月14日に衆院の解散を明言した以降、調整らしい調整がないまま、23日までほぼ一本調子の上昇となりました。

 具体的には、12年11月13日終値は8661.05円、13年5月23日高値は1万5942.60円です。上昇幅は7281.55円です。チャート上の押し目メドは、3分の1押しの1万3515.42円、38.2%押しの1万3161.05円、半値押しの1万2301.83円、61.8%押しの1万1442.60円などが挙げられます。

 ですが、3分の1押しの1万3515.42円を前に、日足ベースの一目均衡表の基準線(24日現在1万4473.53円)、25日移動平均線(同1万4302.71円)、週足ベースの一目均衡表の転換線(同1万3874.19円)などのサポートが控えています。今後、これらのサポートを終値で割り込むようだと、最大で3分の1押しの1万3515.42円までの下落は覚悟するべきでしょう。

■タイプ別、これからの相場への対処法

 このような相場想定のもと、個人投資家は、慌てて押し目買いはするべきではないと思います。現在は、中期上昇局面の短期的な調整局面です。慎重に、目先の底値がどこなのかを見極めてから、押し目買いをするべきです。

 なお、高値掴みした現物株を保有し、増加する評価損に耐えている個人投資家は、現在の株価水準では時既に遅しです。嵐が去るのをじっと待つしかありませんね。日経平均の下値メドは前述の3分の1押しの1万3515.42円を前提にすれば、たかだか1000円程度と、自分に言い聞かせるしかありませんね。ただし、今度の戻り局面後の調整局面では、「損切り」を励行しましょう。

 一方、信用取引で追証リスクを抱えている投資家はなるべく早く、ポジションを軽くするべきです。現物の投資家は嵐が去るのをじっと待つという悠長な手法もありですが、借金して株を買っている個人は、予想が外れて相場の押し幅が深刻化した時の最悪の事態に備えるべきです。具体的には、担保は代用有価証券でなく現金だけにした上で、維持率を少なくとも50%以上を維持しましょう。

 逆に、現在ノーポジで買い場を待っている個人は、慌てて買わず、底入れがある程度みえてきたタイミング、もしくは、短期的に売られ過ぎの状況でエントリーしましょう。現時点では、6月14日のSQ前後に買い場がやってくるのかなと、現時点ではイメージしています。レベル的には3分の1押しの1万3515.42円付近が1番有力ですが、万が一深押すようなら半値押しの1万2301.83円もあるとはみています。

 ただし、日経平均が5日移動平均線(24日現在1万5093.10円)を安定的に上回って推移するようなら、24日の1万3981.52円が目先底になり、現在危惧している深刻な調整相場は訪れることなく、再び、良好な投資環境に移行することになるとみておく必要があります。ですが、その可能性は現時点では低いとみています。


 

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コメント
 
01. 2013年5月27日 00:00:13 : OZfE7oY4Rk
お札をどんどん刷っている状況ではお金より株のような現物の方がいいように思うが。下がったら買いだ。

02. 2013年5月27日 20:36:51 : e9xeV93vFQ
コラム:アベノミクス相場はあだ花か、崩壊回避の条件=斉藤洋二氏
2013年 05月 27日 15:04 JST
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表(2013年5月27日)

東証1部上場企業の2013年3月期決算は、輸出セクターを中心に、総じてアベノミクス効果が鮮明となった。中でも自動車など輸送用機器産業の経常利益は、円安効果の上乗せもあり前期比約6割増、また株高の波に乗った証券業界はほぼ4倍へと業績回復が目立った。

14年3月期予想についても、トヨタ自動車(7203.T)が1.8兆円の連結営業利益(前期比36.3%増)を見込むなど、上場企業全体でもリーマンショック前の利益水準にかなり近づきそうだ。しかも、企業の大半は想定為替レートを「ドル90―95円」「ユーロ120―125円」と足元の実勢値より円高方向に置いており、このことも株式市場での期待感の維持に寄与している。

2年連続の巨額赤字を計上したシャープ(6753.T)でさえ株価が3倍になるなど、野田佳彦首相(当時)による衆院解散表明の昨年11月14日からわずか半年で、7割も急騰した株式市場の理論的根拠は乏しい。主な理由を挙げれば「期待」であり、具体的には外国人投資家が半年で10兆円も買い越す背景となった「緩和マネー」だろう。

ただ、先週木曜日の急落を経てもなお日本株の予想PER(株価収益率)は約16倍、PBR(株価純資産倍率)は約1.4倍であり、割安感は薄れている。相場は今後の企業活動の活発化と増益を織り込み、ここまで上り詰めたわけだが、果たして日本企業は長期株高を正当化する好業績を本当に達成できるのだろうか。

<円安頼みの限界>

16日に内閣府が発表した2013年1―3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、消費とともに輸出が貢献し、年率換算プラス3.5%の高成長となった。しかし、同1―3月期の輸出数量指数は、大幅な円安が進んだにもかかわらず、前年比マイナス10.8%に沈んだ(月次ベースでは3月はマイナス幅が縮小)。

輸出セクターへの円安効果については、主に2つのルートが想定される。まず、国産品を海外へ輸出する場合、日本メーカーが円建て価格を一定に保てば、海外市場でたとえばドル建て価格が安くなり、競争上優位に立てる。しかし末端価格を下げるには時間がかかり、また輸出ドライブとの批判も懸念されることもあり、現在までのところ目立ったドル価格の引き下げ効果はないようだ。

2つ目のルートとして、国内市場において、輸入品が割高になり国産品が有利になる場合だが、現状では韓国のデジタル製品の日本市場での流通価格はほとんど値上げされておらず、国産品のシェアが増大するような現象は今のところ確認されていない。つまり、円安が続いても、それによって外国製品の輸入量が減ったり、国産品の輸出量が増えたりする数量効果は今後も限定的と見られ、もっぱら外貨建ての輸出代金や海外法人からの利益送金の円ベースの受取額の増加にとどまりそうだ。

一方で、輸入価格の上昇により、鉄鋼や電力、さらには食品関連など輸入型企業への圧迫が強まることを合わせて考えれば、日本経済そして株式市場の押し上げについて、円安頼みには限界があると言えよう。実際、13年3月期決算では電力各社は大幅赤字となり、鉄鋼業界の経常利益はほぼ半減した。

<積み上がった現預金と内部留保>

前述のGDP速報値によれば、設備投資は5四半期連続でマイナスとなった。円安が売上高を増やし、経営者が業績の改善を確信し、本格的な設備投資を行うには時間を要するようだ。したがって、今後雇用の拡大や賃金の上昇を通じ、個人消費が拡大する好循環に入る時期と、来年4月に予定される消費税率引き上げによる冷え込みと、どちらが先かとの時間的競争になりそうだ。

このような環境下において、ようやく息を吹き返しつつある企業が、今後どのような成長戦略を描き、新たな投資を行うのだろうか。デフレスパイラルの下、投資活動を先送りし、万一への備えを図ったことから、日本企業の懐には巨額の手元資金が積み上がっている。日銀の資金循環統計で非金融法人企業の現金・預金を見ると、その額は2012年12月末で219兆円(速報値)に達する。また、財務省の法人企業統計によれば、内部留保と見なされる利益剰余金は同年末で274兆円に膨れ上がっている。

内部留保について、米国では株主に返すべきだとの考え方が根強く、自社株買いや配当により株主へ積極的に還元されている。対照的に日本の企業は、終身雇用制度をはじめ、様々なステークホルダーとの長期的な関係を尊重し、経営の安定性重視の観点から一定の余剰資金を手元に置きたいとの経営者の意向が強く反映されてきた。

本来、内部留保は投資の原資でもあり、手元に置くだけではただの遊休資本となる。これまでのリストラの過程で、研究投資は削減され、多くの技術者たちが海外の企業に流れた。今後この内部留保を利用した未来への投資は、技術力維持のための継続的な雇用確保と技術革新に利用されるべきであり、国際競争を考えた場合、何よりも優先される課題となる。

一方、80年代の円高に始まった生産拠点の海外移転は11年3月の東日本大震災で拍車がかかり、海外生産比率は現在20%水準に達する。この結果、国内では雇用機会の喪失や地域産業の崩壊が進む「空洞化」が問題視されている。しかし、国内需要の停滞、新興市場の拡大、労働コストの格差、また現地工場が消費地に近いところにあれば、その市場のテーストをくみ取ることが出来るメリットなども勘案すれば、海外移転の流れを反転させることはないだろう。日本企業の優先課題は、引き続き国内回帰よりも海外拠点の強化であるはずだ。

<デュポン・システムに学ぶROE改善術>

東証1部上場企業の平均配当利回りは1.6%水準と、長期金利の指標である10年物国債利回りを上回るが、従来よりその水準の低さについては、日本企業や株式市場の問題点とされてきた。この間の株高を加速させた外国人投資家は、今後アクティビスト(物言う株主)として、株価に釣り合う利益還元を求め、さらに経営方針について発言する機会を増すだろう。

実際、経営の効率性を示す指標である自己資本利益率(ROE)は、日本企業の多くで1桁台にとどまっている。一方、大半の米国企業では10%を超え日本企業の2倍に達しており、アップル(AAPL.O)は30%を超える。投資家の期待に応えるだけの収益性の向上が、今後も日本企業の課題であり、国内株式市場の上昇の必要条件となるだろう。

米化学大手デュポン(DD.N)が20世紀初頭に経営戦略の手法として考案した「デュポン・システム」では、ROE改善のカギを握るのは、売上高純利益率(当期純利益/売上高)、総資本回転率(売上高/総資本)、財務レバレッジ(総資本/自己資本)の向上だとされる。これは現代の日本企業が取り組むべき「古くて新しい課題」だと言える。具体的には、利益率の高い製品を開発し、遊休資産の売却など資産の有効活用を図りつつ、負債の利用割合を上げて、株主へのリターンを増加させることだ。

特に3点目のレバレッジ向上については、リストラと有利子負債圧縮で目先の収益を取り繕うような「デレバレッジ経営」から脱却し、株主資本とのバランスを取りつつ負債を有効活用し、未来への投資を行う「レバレッジ経営」への転換が強く求められることになるだろう。

今こそ、日本企業はデフレ下において封印してきたケインズの言う「アニマルスピリット」を思い起こし、未来への投資を行う時ではないか。それが、企業価値を高め、株価上昇の理論的背景となる。さもなければ、アベノミクス相場は、緩和マネーによる金融相場、つまり一時のあだ花に終わることになるだろう。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。

 


 

インタビュー:円安で製造業向け鋼材需要に回復の兆し=JFE商事社長
2013年 05月 27日 19:32 JST
[東京 27日 ロイター] - JFEホールディングス(5411.T)傘下のJFE商事の矢島勉社長は、円安効果で国内製造業向けの鋼材需要に回復の兆しが出始めたほか、鋼材価格が上昇基調にあり、経営環境に明るさが見え始めたとの認識を示した。

一方で中国鉄鋼メーカーの増産によりアジアの鋼材市況は早期の回復を見込めないとし、当面は「国内のビジネスに注力する」と述べた。27日に行ったロイターとのインタビューで語った。

4月に現職に就いた同社長によると、円安で自動車、建機、造船メーカーなどの輸出競争力が高まり、受注が回復しつつある。これが鋼材需要の増加につながり、同社の「販売量は若干増え、鋼材価格も徐々に上がってきている」状況。4月の同社の収益は「当初計画に比べほぼ2倍になった」という。同社が扱う鋼材の平均価格は1─3月期に10─12月期比で1トン当たり1000円程度上昇し、自動車関連の薄板を中心に「4─6月期も1─3月期に比べ上向くのではないか」と予想する。

<国内事業を重視>

ただ、中国の鋼材需給については慎重にみている。中国鉄鋼各社の増産で供給過剰が継続しており、JFE商事の中国ビジネスも厳しい。「中国はあまり期待できない」という。さらに中国が鋼材を周辺国に輸出し、アジアの鋼材市況を冷やしており、矢島社長は「中国勢の姿勢が変わらない限り、海外マーケットの回復は期待できない」とみる。

そのなかで「日本にとって唯一の好材料は、円安で韓国、中国、台湾の鋼材が入ってきていないこと」。現行の市況環境では海外で利益を稼ぐのは難しいこともあり「今は内需を固め、国内ビジネスを今まで以上に大事にしないといけない」と述べた。日本の製造業顧客と一緒に「モノづくりに取り組み、素材を作り込み、ビジネスチャンスを作っていくという日本発の昔のビジネスモデルにもう一度挑戦すべきだ」と語った。

同社は12年4月にスタートした3カ年の中期経営計画で、既存事業の収益強化や新規事業の創出などで、15年3月期に連結経常利益で過去最高益を更新することを目標に掲げている。これまでの最高益は08年3月期の392億円で、15年3月期には400億円の達成を目指している。


 

 

コラム:FRB議長発言の解釈が分かれる謎=カレツキー氏
2013年 05月 24日 15:29 JST
アナトール・カレツキー

[23日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長による22日の議会証言における金融政策に関する発言は、昨年9月以来話してきた内容を一言一句といっても良いぐらい繰り返しただけだった。

つまり(1)FRBは毎月850億ドルの資産買い入れを失業率が6.5%に低下すると確信できるまで継続する(2)買い入れ規模は縮小したり拡大したりするかもしれないが、そうした変更は経済指標の変化によってしか正当化されない(3)そして今は、縮小と拡大のどちらにも動く理由はない──ということだ。

しかし退屈で聞き慣れたこの発言と、その後に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月30日─5月1日開催分)に対する反応として、金融市場はここ数カ月見られなかったような大荒れの様相を呈した。

バーナンキ議長が資産買い入れの早期縮小観測を否定するような証言を行ったことで、米国株はいったん最高値に達した。だがその後、議長のいつも通りの発言から新たな意味を読み取ったと主張する投資家の間で資産買い入れ縮小の思惑が再燃し、株価は取引開始時を下回る水準まで下落した。

資産買い入れ縮小の思惑は23日の東京市場にまで広がり、日経平均の下落率は2011年の東日本大震災以来の大きさになった。23日までに東京とニューヨークでは数十億ドルの資金が恐らく、バーナンキ議長の言葉について別の解釈を加えた投機筋の手に移動しただろう。

なぜ金融市場は、こんな平易で予見可能性が高い言い回しに対してわざわざ気難しい反応をしたのだろうか。またバーナンキ議長が、重大な政策変更は少なくとも年末までありそうにないとはっきりと伝えようとしているそばから、どうして投資家は金融政策が変更されるとの見方に膨大な資金を賭け続けるのか。いつも通り明確なガイダンスを受け取っても、投資家が少なくとも秋まで金融政策を忘れて、経済のファンダメンタルズや企業業績に注目しないのはなぜなのか。

一部の投資家は、バーナンキ議長のメッセージを本当には信じておらず、フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁などの議長の無制限緩和に反対するFRB内の少数派に着目しているのかもしれない。とはいえ、こうした反対勢力は金融政策決定において重大な役割を果たしていないことをわれわれは知っている。だからFRBの少数派に追随する市場関係者はほとんど見当たらない。

そのほかの可能性として、多くの投資家が理性ではFRBが現状維持路線を進むと理解していても、感情的にはなお政策変更にこだわりたいのではないかとの見方がある。金融政策動向の判断に大金の運命を委ねる投資家が希望的観測に屈するだろうかとの疑問が出てくるが、その答えはいくつかの確かな理由から「イエス」であるように思われる。

バーナンキ議長の経済学上の対立者の一部は、彼らが悪とみなす紙幣増刷が行われている状況に非常に驚きあきれているので、今の金融政策が長続きするはずないと考えている。もっとも、ハイパーインフレやドルの価値劣化、金融システムの全般的な毀損という彼らが示した暗い予言はまだ現実化していない。

それ以外にも、バーナンキ議長が金融政策上の実験を放棄し、オバマ政権の経済政策全体が失敗と判断されることを政治的、企業経営的に期待する人々も存在する。

ただ、ウォール街の懐疑派における最大勢力は、FRBの政策が少なくとも1つの面で成功しすぎたからこそ、軌道修正をしてほしいと思っているグループだろう。

FRBが想定以上に力強く株価を押し上げたことで、多くの資金運用担当者は置き去りにされた。例えばヘッジファンドの今年の平均リターンは、単純に株式指数に投資した場合の3分の1程度にとどまっている。S&P総合500種.SPXでみると、年初来では10%上昇した。不意を突かれて困惑した彼らは単に失望しただけでなく、自分たちが参加できなかった強気相場に憤慨し、失敗の理由として自身の行動ではなくFRBの「相場操縦」を挙げている。

いったい専門的な投資家ともあろう面々が、いくら不満や怒りを抱えているといっても、客観的な分析の代わりに希望的観測に己の進路を委ね、金融取引上の破滅の危険を冒すことを許容できるのか。その答えとなり得るのは、心理学者の言い方で、自己の感情や考えを他者に「転移」したり「無意識に投影」する行為だろう。

株価の高騰を見て動揺しているウォール街の多くの人々は、バーナンキ議長もまた心中穏やかではないはずだと想像する。彼らは、議長が22日の証言でも示したように再三にわたって、FRBは現在の株価がファンダメンタルズと「整合的ではない」と考えていると表明してきた事実からは目を背けている。その代わり、彼らがそう感じているからという理由で、議長も米株式市場は怪物的なバブルを経験していると承知しているに違いないと仮定しているのだ。

「転移」は別のルートでも機能する。バーナンキ議長が投資家にとって何か好ましくないこと、例えばFRBは現在の政策がもたらす効果に満足しており現状維持に傾いているというような発言をしても、投資家はより耳障りの良いメッセージで議長の発言を覆い隠してしまう。そうしたメッセージは、FRBの隠された政策意図を判断できると思われている人々から発せられる。

銀行や投資機関などが雇っている「FEDウオッチャー」やワシントンアナリストと呼ばれるこうした人々は、複雑な金融政策を予想し説明する。彼らが形成する一団にとって圧倒的に重要な関心は、経済政策は依然として予見不可能で不安定なのだと世界に納得させることにある。つまるところ、FEDウオッチャーにとって、顧客に伝えられるのが「年内に大幅な政策変更はないでしょう」という情報だけでは高い給料をもらういわれがなくなる。

こうした専門家が一番望んでいないのは、バーナンキ議長が約束をすれば政策を変更せずにそれを守り続けるとの考えが広がることだ。またFRBの政策で不意打ちを浴びた人々は、専門家の政策変更に関する観測を信じたい気持ちが強い。

もちろん将来のある時点で、金融政策は実際に変わり始める。しかしそのタイミングは、要人発言や議事録ではなく、経済指標に左右されるだろう。

FRBは、半年間堅調な雇用情勢が続き、少なくとも2四半期は3.0%の成長率が達成されるのを確認した後で、真剣に引き締めを検討するとみられる。一方で22日のようにバーナンキ議長の発言に大きな反応があってもそのほとんどは揺り戻しで消え去り、分析の代わりに希望的観測に頼った投資家は高い代償に見舞われる。

*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。


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