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スティグリッツ教授:FRBが刺激策を縮小するのは時期尚早・・日米が懸念するする市場の「耐性」!
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/112.html
投稿者 墨染 日時 2013 年 5 月 27 日 07:34:39: EVQc6rJP..8E.
 

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNFA8N6S972901.html

 5月27日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融刺激策が米経済の助けになったことを示す証拠はほとんどないものの、刺激策を縮小するのは時期尚早だとの見解を示した。

スティグリッツ教授は25日、ヨルダンで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の会合でのインタビューで、「これは米国の唯一の刺激策だ」と述べた上で、「米経済が通常に戻っていないのは明らかだ。これを『ニューノーマル』として受け入れるのは全くの誤りだ」と指摘した。


◆金融機関の耐性を点検することが重要な課題=黒田日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE94P00Q20130526

[東京 26日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は26日、日本金融学会の春季大会で講演し、日本銀行の量的・質的金融緩和によるデフレ脱却の過程で金利は上昇していくとしたうえで、金融機関の金利リスク量が増加しているなかで、金融機関の耐性を点検することが重要な課題だと語った。

ただ、日本の金融機関はリスク量に対して十分な自己資本を有しており、仮に金利が1─3%ポイント上昇しても、経済の改善にともなう金利上昇であれば、金融システムが不安定化する懸念は大きくないと語った。
 

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01. 2013年5月27日 11:01:01 : niiL5nr8dQ
日本株1万5000円台への再トライはあるか?

全員参加型の神経戦へ突入

2013年5月27日(月)  松村 伸二

 今週も日本株の値動きに、世界の注目が集まりそうだ。

 先週23日に1000円強も急落した日経平均株価は、翌24日には反発した。午前に523円高、午後に502円安の場面が見られる乱高下ぶりで、一日の値幅が2日連続で1000円を超えるダイナミックな相場展開になった。

 2日とも共通した、もう1つのポイントは、下落時の底堅さだ。23日は日経平均先物が、24日には日経平均そのものが、それぞれ1万4000円の心理的な節目を一時的に割り込む場面があったが、その後に持ち直した。結果的に、多くの市場参加者が強く意識していた、チャート分析上の「25日移動平均」を上回って着地した。

 ひところであれば、“冷や水”を浴びせられるたびに「模様眺めムード」に陥って萎縮しがちだった日本株マーケットだが、今は様相が違う。東証1部の売買代金は1000円安だった23日に過去最多の5兆8376億円を記録し、24日も4兆8811億円の大商いだった。

 「相場が下がる場面で商いが膨らむのは、買い手が多いという良好な環境の証左」と解説する、みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、目先3週間程度は、再び1万5000円の節目を超えていくための、1万4000円近辺での値固め局面と見据えていた。

アベノミクス相場特有の「過熱感」

 そもそも今回、多くが指摘していた「相場の過熱感」は、安倍晋三政権の政策運営を背景とする「アベノミクス相場」特有の“副産物”と言える。物価を上げていこうとする政策が全面に打ち出され、株価がそれを素直に織り込もうとする中で、前のめりになりがちなわけだ。

 下のグラフは、日経平均と、市場の物価上昇への期待値を重ね合わせたものだ。物価期待値は、日本相互証券が日々公表している「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」という代表的な指標で表した。

日経平均株価と物価上昇期待

注:BEIは日本相互証券の公表値。固定利付国債の利回り(名目金利)−物価連動国債の利回り(実質金利)。単位(右)はベーシスポイント。日経平均株価の単位(左)は円
 昨今は株価上昇のピッチの早さが叫ばれていたが、物価上昇への期待度合いのほうが、急な傾きになっていた。一概には言えないが、このことは株高に対する期待も一層強まりやすいことを意味していると言える。

「商品安の中の株高」の功罪

 数多ある投資対象の中で、株式市場への資金流入がこのところ多いことは、もちろん、日本だけのことではない。米国のダウ工業株30種平均やドイツのDAX株価指数は連日で最高値を更新してきた。日銀を始め、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)という先進国の中央銀行による積極的な金融緩和を背景とした流動性相場の現れの1つだ。

 ここで注意しておくべきポイントは、国際商品相場の動きだ。下のグラフは、米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数と、国際商品相場全体の動きを示す、ロイター・ジェフリーズCRB指数の推移だ。

 新興国経済が拡大路線に入った2000年以降、株価と商品相場は世界景気の流れに沿ってほぼ連動してきた。しかし、ここ3年ほどは、商品相場が軟調な一方で、株価が堅調に推移するという「股裂き」状態にある。

 2008年に「原油バブル」が崩壊した痛手を引きずっている格好で、その分、企業業績という分かりやすい裏付けのある株式投資に安心感を誘っている面がある。裏を返せば、様々な投資資金が流入してくるために、実力以上に株価を押し上げてしまう作用が働くことも考えられる。

国際商品相場と株価

 そうした中で、アベノミクス政策のインパクトは、それまで忘れ去られていた日本株の投資妙味に火をつけた。日銀による量的・質的金融緩和という未曾有の政策は円安を促し、輸入物価を押し上げる。加えて、財政出動と成長戦略で景気浮揚に伴う物価高も模索しようとしている。

 事実上、国を挙げての株価浮揚モードに支えられる中で、今のところ投資家の多くは売りを進める投資戦略を採用しづらくなっている。そこには“市場参加者”としての当局の存在も大きい。

市場への関与を強める日銀

 特定の目標はなく、日々の変動にコメントすることは避けたい――。

 
 日銀の黒田東彦総裁は24日、過度な長期金利の上昇には警鐘を鳴らす半面、不安定さを見せ始めた株価の動きに対する言及はしなかった。ともすると、直接関わる金利の世界以外には介入しないという役所的発言に聞こえる。だが、市場参加者の多くは、財務官出身の黒田氏の巧みさを嗅ぎ取っているという。

 消費者物価指数(CPI)を2%まで押し上げるという日銀の目標。そこでは、「その過程として、金利もともに上がっていくことが想定されているはず」と市場は見透かしている。SMBC日興証券の末澤豪謙・チーフ債券ストラテジストは、前回、日経平均が1万5000円台だった2007年末当時、長期金利が今よりももっと高い1.5%程度だったことを振り返り、1%台乗せが騒がれる現状に違和感を抱く。「事実上、市場に債券売りを促し、リスク資産である株の買いを勧めている格好の日銀が、金利上昇を牽制しようとするのは虫のいい話」(末澤氏)というわけだ。

 その日銀は今週29日、金融機関や機関投資家の実務担当者との意見交換会を4月に続き開く。市場関係者との対話を重視するという日銀が、この局面でどんなメッセージを発するのか。関心は強まっている。


日銀は市場への参加と対話姿勢をさらに重視しつつある
 大きく揺れ出した株式相場だが、経済のファンダメンタルズや政策運営、海外情勢などの外部環境が大きく変わったわけではない。むしろ、上げ続けていたことに疑心を深め始めていた投資家の中には、思いがけず踊り場ができたことに内心、ほっとしている人も少なくないようだ。

 ガス抜きを求めた売り手を生み、出遅れていた買い手が誘い出される。そこへ政治の意向を直接投げかける日銀が、市場の一員として積極的に輪に加わる。

 しばらくは続くと見込む声の多い目先の調整場面では、過去のような様子見を決め込む暇がないほど、全員参加型の神経戦の様相となりそうだ。


02. 2013年5月28日 05:43:42 : nJF6kGWndY
欧州の将来はドイツ風ではなく日本風
「失われた20年」の再現か
2013年05月28日(Tue) Financial Times
(2013年5月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


ユーロ圏の将来はドイツというより日本の姿と似る?〔AFPBB News〕

 ユーロ圏危機を解決するのは簡単だ――。筆者は先週、あるエコノミストがあの複雑でややこしい話を典型的な「上がったものは必ず下がる」式の議論で説明するのを聞き、改めてそう思った。

 ドイツは2000年代、賃金を抑制することでユーロ圏に対する相対的な競争力を高めた。しかし今日、ドイツの賃金水準はスペインやイタリアを若干上回るペースで上昇している。

 競争力を何で測るのかという好みと、どれぐらいの規模の調整が必要なのかという見立ては人によって異なるが、それが決まれば、競争力の逆転に何年かかるかを計算することは可能だ。

 緊縮財政はこの調整の推進力になっている。緊縮財政のために輸入が減少し、経常収支は赤字から黒字に転じている。デフレが進めばその国の輸出競争力は高まるとの見方があり、それを支持する人たちは、そこまで来れば経済成長率が少しずつ上向き始めると期待している。2000年代のドイツで起こったことがそのまま再現されるというわけだ。

ドイツのような成長率の上昇が見込めない理由

 しかし、この後半の期待は誤りだ。2つの要因を過小評価しているからだ。

 第1の要因は、本稿でもたびたび論じてきた、金利がゼロに近い時に緊縮財政が経済成長に及ぼす自滅的な影響である。第2の要因は、未解決の銀行危機とそれに伴う信用収縮である。

 銀行危機と信用収縮は今後、名目の経済成長率をさらに押し下げることになろう。名目成長率が低い環境では債務がインフレで目減りせず高止まりする。欧州中央銀行(ECB)はインフレ率の上昇を容認しないし、ドイツはユーロ共通債を容認しない。ドイツについては、今年9月の総選挙が終わった後も、容認に転じることはないだろう。

 政策立案者は、銀行同盟がすべてを解決してくれるという希望にしがみついている。しかし、仮にそういう新しい体制が来年できたとして、果たしてそんな仕事を成し遂げることができるのだろうか? 

 銀行セクターの大規模なリストラを断行するとか、赤字の金融機関を閉鎖するとか、合併を促すとか、一部国有化を強制するといったことができるのだろうか? 当然ながら、できないだろう。

銀行同盟の限界

 第1に、作られて間もない段階の銀行同盟は、その資金の大半が加盟各国から拠出されることになる。各国で整えられた破綻処理制度とそれらを中央で監督する担当者で構成されるだろうが、破綻銀行の債権者や預金者を救うユーロ圏のバックネットは組み込まれない。

 この銀行同盟自体は比較的ましなものになるだろうが、それは、ここ数年行われている金融機関破綻処理政策の最大の特徴である再国有化が行われないと仮定した場合の話だ。どういう意味かと言うと、再国有化を伴う処理では、債務をある経済セクターから別の経済セクターに移すだけに終わる、ということだ。

 例えばイタリアの銀行が破綻して、その債券を保有するイタリアの年金基金に損失を一部負担させる(ベイルイン)場合でも、その破綻銀行を国有化すれば、イタリア政府が結局はその年金基金の受給者を支援することになるかもしれない。ユーロ圏全体には債務を吸収する能力がいくらかあるものの、多額の債務を既に抱えるユーロ圏周縁国にはそんな余力はない。

 2番目の理由はもっと複雑だ。そもそも欧州には、抜本的な銀行破綻処理の伝統がない。欧州の銀行監督者たちは国家という枠組みを超越した審判ではなく、本質的には出身国の代表者である。

 彼らは自国の銀行業界と結託し、自国の銀行を外国との競争から守ることが自分の仕事だと考えている。危機が発生しても、銀行の規模を縮小してこれを解決するということはせず、次の景気回復にこの問題の処理を任せている。

 銀行同盟の創設は長期的には重要な改革になると筆者は考えているが、新たにその任に就く銀行監督者たちが、自国の銀行を監督していた時代にはまったく見せることのなかった決意をもって欧州全体の銀行業界の問題解決に取り組むだろうという見立ては、かなり甘いと言えよう。

信用収縮と債務デフレが景気回復を阻害

 従って我々の手に残る銀行の破綻処理戦略――もしそう呼びたいのであればの話だが――は、怪しげなストレステストや資産査定の結果に基づく銀行の不適切な資本増強で始まり、戦略の短所が露になるにつれて対策を小出しにしていくというものになる。その際には、規制当局が銀行に対し寛大な姿勢を示すことになろう。このパターンは既にスペインで展開されている。

 次の景気回復に問題の処理を任せるやり方は、今回は通用しないだろう。信用収縮と債務デフレが景気の回復を妨げるからだ。銀行の破綻処理は、経済成長の前提条件の1つなのである。

 しかし、政策立案者たちは債務デフレの問題や緊縮財政による大きな打撃は存在しないという立場を取っており、本当に抜本的な施策が彼らから示されることはないと思われる。

 ソブリン債務の処理はどうなるのだろうか? こちらについては、返済期限の延長と金利の引き下げによる、周縁国債務の隠れ共有化という形で進められることになるだろう。返済期限延長と金利引き下げを極限まで推し進めれば、表面利率ゼロ%の永久債という逆説に行き着く。

 債権者は投じた資金をすべて失うが、公式的にはそうは認識されない。かくして欧州安定メカニズム(ESM)は、隠れユーロ共通債を提供する機関となる。

「低成長とゾンビ銀行」の時代

 従って、我々が今日目にしているのは規制当局の寛大さ、小規模な資本増強、およびデレバレッジング(負債圧縮)が並行的に進められているという状況であり、これが完了するには長い年月がかかるだろう。

 金融機関が規模を縮小していくこの間は、民間セクターも弱々しいままだろう。その一方で公的セクターは、多額の財政黒字を計上せよという条約の義務に縛られることになる。

 ユーロ圏周縁国の輸出セクターは小幅な成長を遂げられると筆者は見ているが、上記の2つの影響を打ち消すにはとても至らないだろう。我々は今、日本を過去20年間痛めつけてきたものによく似ている低成長とゾンビ銀行の時代を目の当たりにしているのだ。

By Wolfgang Münchau

 

英国経済の先行きは楽観できない
ケインズが正しく、オズボーン財務相が間違っている理由
2013年05月27日(Mon) Financial Times
(2013年5月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


英国はジョージ・オズボーン財務相の下で厳しい緊縮財政に乗り出した〔AFPBB News〕

 英国財務省は、ジョン・メイナード・ケインズは愚か者だと思っている。周知の通り、ケインズは「緊縮財政に相応しい時期は好況期であって、不況期ではない」と述べた。

 ジョージ・オズボーン財務相が率いる財務省は、この見方を否定している。これまでしばしばそうだったように、財務省は間違っている。

 1930年代のこの議論が、今、息を吹き返している。当時のケインズの役割を担っているのが国際通貨基金(IMF)だ。IMFは4月の「世界経済見通し」の中で、英国では「需要が冷え込んでいるために回復が弱く、財政調整の過程で短期的な柔軟性を高めることを考慮すべきだ」と述べた。

圧力に屈したIMF

 IMFがG7諸国について財政政策を引き締め過ぎだと批判するのは異例だ。IMFは先日、4条協議*1の結びの声明でこの点を力強くフォローアップする機会があった。しかし、IMFは怯んだ。無理もない。主張を弱めろというプレッシャーは凄まじかったに違いない。

 確かに、IMFは、英国は「力強く持続可能な回復にはほど遠い」と強調している。また、「リスクは依然として下振れ方向に傾いている」と付け加えた。実際、回復の兆しはごくわずかだ。

 英国の国内総生産(GDP)は、政府が緊縮プログラムに着手した2010年第3四半期から2013年第1四半期にかけて累計で1.1%しか増加していない。その時点で、GDPはまだ危機以前の水準を2.6%下回っていた。1人当たりGDPは、危機以前の水準を6%下回っている。

 全英経済社会研究所(NIESR)が示しているように、GDPが上記の危機以前の水準を下回っていた期間の長さは19世紀以降で最も長い。筆者が以前指摘したように、英国の景気回復は2010年に事実上停止したのだ。

 イングランド銀行のマーヴィン・キング総裁は、最新のインフレ報告のプレゼンテーションで、「経済の大部分――主にサービス業と製造業を合わせたもの――は2012年に、1.2%という地味ではあるが着実なペースで成長した」と強調した。だが、これさえも実に低調だ。

*1=IMF協定第4条に基づき、年1度加盟国の経済状況を協議することとされている

 さらに言えば、比較的好調な特定部門を挙げて、経済全体の不振について釈明することはできない。正常な経済では、常に弱い部門がいくつか存在するはずだ。だが、強い部門では何が起きているのだろうか? 英国における答えは、ほとんど何も起きていない、というものだ。

 では、何をすべきなのだろうか? IMFは、多方面からのアプローチを提言している。その1つは、英国は金融緩和を継続し、金融システムを修復すべきだというもの。分別のある人なら誰も異議を唱えないだろう。

 だが、財政政策については何を言っているのだろうか? IMFはただ、政府に設備投資を進めるよう要請し、「公共投資は民間投資に触媒作用を及ぼし、英国が切に必要としている成長を促す助けになる」と述べるにとどめている。

 この提言は実際、取るに足らないものだ。この点に関しては、筆者は同僚のクリス・ジャイルズに同意する。だが、それでこの問題が終わりというわけではない。財政政策は、もちろんすべての問題に対する答えではない。そう思っている人は誰もいない。

金融政策が効かない時は財政政策が必要

 だが、金融システムが弱っているため、そして市場介入金利がゼロに近いために金融政策が効果を発揮しない経済では、財政政策も使う必要がある。民間部門が莫大な構造的資金余剰を抱えている時には、特にそうだ。財政政策の二重の目的は、総需要を維持しながら、同時に供給を改善させることでなければならない。

 ハーバード大学のカーメン・ラインハート教授とケネス・ロゴフ教授は、その道筋を示している。「需要の弱さと金利の低さを考えると、政府が高リターンのインフラプロジェクトを特定できるところでは、借り入れの増加が正当化される。生産的なインフラを賄うための借り入れは、長期的な潜在成長率を高め、最終的に債務比率を低下させる」

 2010年に、英国政府がGDPの10%(約1500億ポンド)に相当する投資プログラムを開始していたと仮定しよう。こうした投資には、一般的なインフラのみならず、住宅が含まれていた可能性があるし、含まれているべきだった。

 だが、懐疑的な向きは、その資金をどのようにして調達できただろうかと聞くだろう。超長期の借り入れに対する実質金利がゼロに近いことを考えると、「簡単に調達できた」というのがその答えだ。

 一時的な投資プログラムという文脈の中では、ラインハート教授とロゴフ教授が表明した、その後の金利上昇に関する懸念は消滅する。低い借り入れコストを固定化することができるからだ。

 このようなプログラムであれば、その時点で計画されていた経常支出の削減と両立できただろう。もっとも、増税を先送りすることは理にかなっていただろうが。

英国の緊縮は驚くようなオウンゴール

 IMFの試算では、2010年から2013年にかけて英国が実際に行った景気循環調整後の財政引き締めはGDP比4.3%に相当する。これは、イタリアやスペインよりも大きい。だが、大幅な赤字の継続は流動性の罠に陥った国の長期金利の急上昇につながるのではないかという不安は、英国のその後の状況によってすっかりかき消されている。

 思い出してほしい。2010年6月の予算では、2011-12年度から2015-16年度にかけての公的部門の純借入額が累計で3220億ポンドと予想されていた。2013年6月の予算では、それが5394億ポンドと予想されていた。この大幅な増加によって金利は上昇しただろうか? いや、しなかった。

 ケインズは正しかった。今は財政を引き締める時ではない。たとえIMFにそうだと言う勇気がないとしても、財政を引き締めるという決断は驚くようなオウンゴールだった。

By Martin Wolf

 

 

ユーロ危機:夢遊病者たち
2013年05月27日(Mon) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年5月25日号)

是が非でも成長を必要としているユーロ圏では、知らせがないのは悪い知らせだ。


欧州はひとまず落ち着いているように見えるが・・・〔AFPBB News〕

 気づかなかった方もいるかもしれないが、5月22日に欧州連合(EU)の首脳会議が開かれた。栄養たっぷりの昼食を取りながら、欧州各国の首相や大統領たちが半日を割いて、エネルギーや税といった重要課題を話し合った。

 昨年のように、差し迫ったユーロ崩壊を巡る懸念につきまとわれ、会議に混乱を来すようなことはなかった。現在は、ユーロ圏の大半の地域で改革が進められており、一部の南欧諸国は競争力を取り戻し始めていると欧州の首脳たちは語る。

 国債市場は本来あるべき水準に戻っている。ここ1年の間に、株価は25%上昇した。もちろん、安穏と生きられるふりをすることは、誰にもできない。欧州の人々は、この先に懸命の努力と犠牲が待ち受けていることを理解している。だが、最悪の危機は無事に乗り越えられた――。

 それは心強い話で、ワグナー風のユーロ物語に疲れ果てた人たち(そうでない者などいるだろうか?)は、しきりに信じたがっている。だが残念ながら、ユーロ問題が過去のものになったというのは、危険な作り話だ。現実には、欧州の首脳たちは、経済の荒れ野を夢遊病者さながらにさまよっているのだ。

今すぐ夢遊病者を起こせ

 ユーロ圏では、つい先日、域内総生産(GDP)が6四半期連続で縮小したばかりだ。不振は、第1四半期にマイナス成長となったフィンランドやオランダといった中核国にまで広がりつつある。小売売上高は落ち込んでいる。失業率は12%を超える記録的な高さで、スペインでは4人に1人以上が失業中だ。

 厳しい歳出削減にもかかわらず、各国の財政赤字はなかなか消えず、高水準だ。政府、家計、企業の債務の合計は、依然として多すぎる。銀行は資本不足で、国際的な金融機関は、まだ把握できていない損失があるのではないかと気を揉んでいる。

 政策金利は低いものの、南欧諸国の企業は厳しい信用収縮に苦しんでいる。そのすべてが、現在の経済的苦境を引き起こし、将来の成長の見込みを食いつぶしている。

 ユーロ圏は今すぐには崩壊しないかもしれないが、欧州首脳の落ち着きは、回復の兆しというよりは、むしろ衰退を示すものだ。

 欧州首脳は、すべての人々のために、昏睡状態から抜け出す必要がある。行動を起こさなければ、ユーロ圏は停滞か分裂、ことによるとその両方に直面すると認識しなければならない。

 長年にわたる危機を経て、なすべきことは明白になっている。緊急の課題は、銀行と、銀行を支える力を持たない政府とのつながりを断ち切ることだ。それが、昨年合意に達した銀行同盟の目的だった。

 だが、切迫感が和らいだ今、EUは細かな規則に捉われ、銀行同盟が過去の銀行債務を引き受けるとするなら、どれくらいを引き受けるべきか、言いかえれば、ドイツ、フィンランド、オランダがどの程度まで他国の過ちのツケを背負うべきかという根本的な議論にはまり込んでいる。

 この遅れのダメージは大きい。欧州の銀行は、どんな手段を使ってでも、資金を必要としている。米国が欧州よりも先に回復したのは、緊縮が緩かったからだけでなく、銀行問題を迅速に処理し、すぐに貸し付けの再開を可能にしたからでもある。

 それに加えて、ユーロ圏に必要なのは、成長を後押しする改革だ。EUは単一市場をサービス分野にまで拡大すべきだ。越えてはいけない一線を引くのではなく、最大の貿易相手である米国が提案する自由貿易協定を推し進めなければならない。

 緊縮財政を緩和する必要もある。そのためには、歳出削減ペースを緩め、ユーロ圏の中核国の資金を使って、周縁国で若者の雇用や中小企業への投資を促進する計画を支えるべきだ。

 欧州首脳が何もしていないのは、明らかに、すべきことがないからではなく、実行する意志を欠いているせいだ。この休眠状態を引き起こしている要因の1つが、最近の欧州政策のほぼすべてを主導しているドイツで9月に予定されている選挙だ。

政治家とEUに対する不信感

 だが、それよりも根深い要因もある。欧州全域で、有権者が、自国の政治家とEUの双方に向けて怒りを膨らませている。

 フランスでは、フランソワ・オランド大統領が、スキャンダルと24%という惨憺たる支持率(過去最低記録をまた更新した)により麻痺状態に陥っている。ピュー・リサーチ・センターの最近の調査によると、フランスでEUに好意的な有権者の割合は、2012年には60%だったが、今やEUに懐疑的な英国をも下回る41%にまで低下している。

 イタリアは景気後退から抜け出せずにいるのに、いまだに変革を進める確かな政治方針を整えられずにいるようだ。

 その一方で、有権者は単一通貨の維持を望んでいる。ギリシャはどの国よりも危機に苦しんでいるが、それでも有権者の70%がユーロを支持している。ここ数年、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、オランダの重要な投票では、ユーロ圏への残留が繰り返し支持されてきた。

 これは行動の欠如をもたらす組み合わせだ。一方では、有権者がユーロ圏の維持を望み、他方では危機からの脱出に不可欠な厳しい改革を支持しようとしないのだ。

 以前は、債券市場の圧力により、政治家たちは否が応でもこの矛盾に立ち向かわざるを得なかった。ユーロ圏の首脳たちを夜明けまで働かせ、救済措置の合意と改革の約束を引き出したのは、金融恐慌の脅威だった。

 だが、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が、ユーロ圏崩壊を防ぐためなら「どんなことでもする」と約束して以来、金融市場は麻酔をかけられた状態になっている。単一通貨の負けに賭ければ、理論上は無限のECBのバランスシートと対決することになる――そしてそれが、少なくとも最初のうちは、大きな損失を意味することを、投機筋は分かっているのだ。

警鐘

 ドラギ総裁がユーロ圏のために時間を稼いだのは正しかった。投機筋を抑えつける手段をECBに与えたことも正しい。問題は、政治家たちが、粛々と改革を実行するチャンスを無駄にしていることだ。

 楽観論者に言わせれば、ドイツの選挙が終われば、同国の指導者たちがユーロ圏の改革を行う負託を手に入れ、すべてがうまくいくという。

 だが、欧州の他国を導き、その債務を肩代わりすることに対するドイツの抵抗感は、それよりもずっと根深い。そのうえ、オランド大統領の苦難は、常に欧州の進化の中心的役割を担ってきたフランスとドイツの関係が機能不全に陥っていることを意味している。

 では、ユーロ圏の首脳たちが過ちを犯し続けたらどうなるのか? 日本と同じように、欧州はこの先何年も暗い影に覆われることになるだろう。その代償は、幻想の崩壊、コミュニティの荒廃、人生の浪費という形で評価されることになる。

 だが、日本と違って、ユーロ圏は一枚岩ではない。停滞と景気後退が民主主義に牙をむき続ける限り、ユーロ圏は民衆による致命的な拒絶反応という危険にさらされる。夢遊病者たちは、ユーロと自国民を大切に思うのなら、目を覚まさなければならない。


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