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アベノミクスの副作用で長期国債金利が急上昇中 (週プレNEWS) 
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/228.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 6 月 03 日 01:12:00: igsppGRN/E9PQ
 

4月5日に一時0.315%という史上最低金利を記録した10年物の長期国債金利だが、5月29日には一時0.965%にまで急騰。国と地方の借金額が計1000兆円以上の日本の場合、0.65%の上昇で6兆5000億円以上も利払い額が増える


アベノミクスの副作用で長期国債金利が急上昇中
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130603-00000510-playboyz-bus_all
週プレNEWS 6月3日(月)0時50分配信


“出だし好調に見えた”アベノミクスだが、ここにきて早くも金融市場で不安定な現象が頻発している。そのひとつが長期国債金利の急上昇だ。

長期国債金利が上がると何がマズいのか? 長期国債とは償還期間が1年以上の国債を指すが、一般的に重要視されているのは10年物の国債だ。この金利が住宅ローンなどに代表される長期金利の指標になるためだ。

また、基本的に、国債の信用度が高ければ安い金利でも欲しい人が多くなるので、金利は低くなり、売買価格は上昇する。これが金利の上下するメカニズムだ。

国債の信用度とは、まさに国の信用度とイコールだ。日本の場合、借金だらけで財政は火の車だが、国民が持つ貯金や金融資産の合計が国と地方が抱える借金額を上回っているため、まだ信用度が高く、金利が低く維持されていた。

そこに日銀の黒田総裁は「異次元の金融緩和」の目玉として、市中にある国債の7割を日銀が買うと宣言した。これは需要が供給を大きく上回ることを意味するから、国債の価格は上昇し、金利は下がったのだ。実際、黒田総裁が国債の大量購入を公式発表した翌日の4月5日には、長期国債の金利が一時、史上最低となる0.315%を記録した。

それなのになぜ今、長期国債金利は急上昇し始めたのか? 某大手外資系金融機関のエコノミスト、T氏が解説する。

「長期国債の金利というのは、マーケットが数年先までのリスクと期待を判断して決まるんです。4月4日に市中の国債を7割購入するという具体的な数字を発表する前から、黒田さんは異次元の金融緩和を断言していました。だからマーケットはすでに期待を織り込み、国債価格が上昇を続け、金利は下落していた。4月4日の発表直後に価格が急騰したのは、弱気な投資家までもが後追いで買いに走ったからです。日銀が買うと明言したので、リスクが完全になくなりましたからね。そうして4月5日には史上最低金利を記録したのです」

だが、同日には投資家たちの動きに早くも変化が見え始める。

「いち早く日銀の異次元緩和実行を確信して大量の国債を買っていた投資家たちは、高値がついた4月5日から早くも売りに転じました。アベノミクスは2%の物価上昇を目指しているのですから、そのうち金利も上昇するのは明白です。そうなれば国と地方自治体が抱える1000兆円以上もの借金の利払い費も膨れ上がり、日本は財政破綻へと突き進むという予測が世界の常識です。日本政府は国債を償還できなくなるリスクが高まり、国債価格が暴落するかもしれない。だから外国人投資家たちは、さっさと利益を確定させて危ない日本国債を手放したいのです。最後まで日本国債を抱えて貧乏クジを引くのは、日本の金融機関と日本人の一般投資家ではないでしょうか」(T氏)

マスコミによる“アベノミクス礼賛”の声と反比例し、日本経済における海外投資家からの信用度は下落し続けているとT氏は言う。

「アベノミクスが始まって間もないこの時期に国債金利が上昇しているという現象は、日本の長期国債の信用度がすでに下落し始めたという証拠です。世界のマーケットは、アベノミクスで日本経済が復活する可能性よりも、日本が財政破綻する確率のほうが高いであろうと読んでいるのです」

一時は1万5000円ほどまで上昇していた日経平均も、連日乱高下を繰り返している。これが崩壊の始まりでなければいいのだが……。

(取材・文/菅沼 慶)


 

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コメント
 
01. 2013年6月03日 04:38:37 : EbrYOY8LOw
CDS上昇、国債格付け下落、円安、株安、債券安となれば、外資ハイエナが牙をむきハゲタカが飛び交う。

02. 2013年6月03日 08:54:53 : niiL5nr8dQ

アベノミクスの本当のリスクは「行き過ぎ」
2013年06月03日(Mon) Financial Times
(2013年5月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 5月第4週までは、アベノミクスの中核を成す浮揚策が完璧に機能しているように見えた。バブル期の典型的な尺度であるゴルフ会員権は値上がりした。株式市場も上昇し、半年間の上げ幅が70%に上った。家庭向けの電気料金も値上がりした。言い換えると、資産価格のインフレと現実世界のインフレがついに定着するかに見えた。

 だが、今の日本は奇妙だ。日銀の一部関係者は、2%のインフレ目標は野心的過ぎて達成できないのではないかと心配している。市場は、今も昔も日本にとって唯一の成長エンジンである輸出の本格回復をもたらすほどには円安が進まないかもしれないと懸念している。


5月下旬の日本株急落のきっかけは、FRBの量的緩和縮小観測だった〔AFPBB News〕

 しかし、量的緩和の「修正」に関する米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長の最近の発言を受け、日本の株式市場と国債市場が大揺れしたことは、正反対の方向に不安が向けられるべきだということを示唆している。

 アベノミクスの本当のリスクは、インフレと円安が十分に進まないことではなく、行き過ぎることなのだ。

 多くのアナリストは、政策変更に関する議論は早計だと思っているが、FRBの資産購入の段階的縮小について考えただけでも、市場は急落した。米国の量的緩和の縮小は、日本とアジア新興国の金融市場と実体経済に影響を与える。

デフレとゼロ金利以上に悪いものがある

 FRBが実際に緩和策を縮小し、米国経済が強くなれば、ドルは急騰する可能性が高い。つまり、円は急落するということだ。

 大幅な円安になれば、輸入コストが2%の目標以上に高騰するようなインフレ昂進の公算が強まる。そうなれば、金利が大幅に上昇し、アベノミクスの中心に存在する矛盾を浮き彫りにする。すなわち、インフレ率の上昇と超低金利を両立させるのは不可能だ、ということだ。

 日本は間もなく、デフレとゼロ金利以上に悪いものが存在することに気付くかもしれない。悪いインフレと高金利である。脆弱性の最大の原因は、もちろん、輸入エネルギーに対する依存だ。すべての輸入財の価格はドル建てになっているため、コストが大幅に上昇し、円安によって輸出業者が得る競争上の恩恵を少なくとも部分的に帳消しにする。

 だが、非正規労働者の割合が高まっている労働市場の構造を考えると、賃金が物価と比例して上昇することはないだろう。このことは、多くの人の生活水準が下がり、消費が拡大したとしても一時的な動きで終わることを示唆している。不動産価格と株価の上昇による資産効果は、大半の労働者、特に年配の労働者には何の影響も及ぼさない。

 今のところ、日本の経営者のアニマルスピリッツは、年間給与ではなく一時金を多少引き上げる程度にしか目覚めていない。一方、設備投資は今年1〜3月期に減少し、これで5四半期連続の減少となった。

 また、構造改革を求める圧力は弱まっている。それはまさに、円安が偽りの安心感と競争力を日本に与え、イノベーションに代わって通貨切り下げが成長不足の解決策になってしまうからだ。

 JPモルガン証券の菅野雅明氏をはじめとしたエコノミストは既に、構造改革の内容に対する期待を後退させている。再生可能エネルギーへのコミットメントは、原子力エネルギーへの緩やかな回帰に道を譲る。環太平洋経済連携協定(TPP)参加に向けた条件交渉は、保護主義の農業政策に劇的な変化をもたらすことはない。移民は政策議題にも入っていない。

 同時に、近隣諸国の中国と韓国の関係者は円安に対する不満を募らせており、ドイツも近く、円安反対論の合唱に加わるかもしれない。経済問題はアジアの政治的緊張を悪化させている(日本が11年ぶりに国防費を増額させていることも助けにならない)。

 一方、米国の金融緩和が永遠には続かないことを思い出させるバーナンキ議長の発言が招いた最初の結果は、日本の株式市場と国債市場のボラティリティー上昇だった。このボラティリティーは、市場心理、特に日本の投資家の心理が依然脆いことを裏付けている。

アジアの新興国にも波及する恐れ

 さらに、ボラティリティーは日本に限定されていない。今後もドル高・円安が続くようなら、アジアの新興国市場に流れ込んだ莫大な資金が再び流出する可能性がある。こうした新興国の通貨に対してドルが上昇すれば、これらの国もコスト上昇と企業収益の圧迫に見舞われることになる。

 前回、円相場が急落した時には、15年前のアジア金融危機の一因となった。確かに今回は、大半の新興国は債務、特に外貨建て債務を減らしたため、そうした危機が生じる可能性はずっと低くなっている。

 だが、日本の実験はやはり日本と世界各国に悪影響をもたらす可能性が高い。もし日銀がこれほど高いコストをかけて日本株式会社のために稼いでいる時間が無駄になったとしたら、実に残念なことだ。

By Henny Sender
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37909


欧州、経済成長とポピュリズムの競争
2013年06月03日(Mon) Financial Times
(2013年5月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 大勢の欧州の指導者を一堂に集めれば、その会話が大陸全土で見られるポピュリスト政治の台頭に向かうと考えてまず間違いないだろう。同じ政治家たちは1年ほど前、ユーロに対する市場の脅威で頭がいっぱいだった。彼らは今、欧州の民主主義が単一通貨の救済の衝撃に耐えられるかどうか心配している。

 緊縮の時期は終わりつつある。パリに本部を置く経済協力開発機構(OECD)は先日、「緊縮vs成長」と題した討論会を主催した。これは誤った選択だ。緊縮は政策であり、成長は目的だからだ。

緊縮に対する驚くほどの敵意


欧州は緊縮一辺倒から舵を切った〔AFPBB News〕

 だが、筆者はそれでも、欧州はデフレを促すような財政政策を堅持すべきだという考え方に対し、討論会に集まった専門家や政策立案者たちが示した圧倒的な敵意に驚いた。

 欧州諸国はその代わりに、(ある程度の歳出削減を伴ったものの)成長を加速させることが、いかに米国の財政見通しを変えたかを考慮すべきだ、というのだ。

 そのため、欧州委員会が5月下旬に緊縮財政の手綱を緩めることを決めたことは、経済と政治の現実を認識する歓迎すべき動きだった。今、生命維持装置につながれているのは、ユーロではなく、むしろ欧州経済であり、ひいては確立された政治秩序の権威だ。

 欧州委員会の方向転換は、メディアの見出しほど劇的ではなかった。フランスやスペインなどは、赤字削減プログラムを達成するまでの時間的猶予を与えられた。イタリアは、予算編成プロセスに適用される「特別措置」を免れた。ベルギーは、軌道から外れたことに対する罰金を回避した。

 何が起きたかと言えば、名目上の財政目標の代わりに、構造的財政赤字に重点が置かれるようになったのだ。誰も大規模な裁量的景気刺激策を提唱しているわけではない。

「外国人頼み」から脱却

 緊縮は、いつか緩和されなければならなかった。ユーロ危機で最も打撃を被った周縁国の赤字は、急激に減少している。債券市場のスプレッド(利回り格差)も同様だ。今では構造的黒字に向かっている国もある。

 大半の国は、2014年にはプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)が均衡するだろう。スプレッドの拡大で最も大きな打撃を受けた国も、経常赤字が急激に減少している。

 経常収支の改善は、部分的には内需の大幅な落ち込みを反映している。特にイタリアではそれが顕著だ。だが、多くの場合、輸出も急増してきている。アイルランドの経常収支は大幅な黒字になっている。スペインとポルトガルは今年、収支が均衡すると予想している。

 これらの国は、もはや外国人の債券投資家に依存していない。財政赤字を国内で埋めることができるのだ。

 この状況を見て、欧州政策研究センター(CEPS)のダニエル・グロス氏は興味深い理論を考え出した。緊縮財政の議論が展開されていた視点の中で、問題の核心が失われていたというのだ。本当の危機は、「政府(ソブリン)」債務に関係していたのと同じくらい「対外(フォーリン)」債務にも関係していた、とグロス氏は言う。

 国内総生産(GDP)比の公的債務が100%前後のベルギーは、市場の視界に入ったことが1度もなかった。このところ他国でも見られるスプレッドの縮小は、南欧の周縁諸国が、ベルギーのように自国の赤字を埋められるという事実を反映している。

 いずれにしても、経常収支の好転は、欧州委員会の方針変更に関し、ドイツを少しだけ(「少しだけ」という点を強調したい)安心させている。ドイツ政府内には、財政規律をかなぐり捨てようとする試みに驚愕する者が常にいるが、アンゲラ・メルケル首相の側近らはずっと、財政赤字と同じくらい競争力を重視してきた。

イタリア新首相が鳴らす警鐘

 ドイツの野望は、ユーロ圏で持続可能な収斂を達成することだ。経常収支は正しい方向に向かって大きく動いている。


イタリアのエンリコ・レッタ新首相は大抵の人よりポピュリズムの危険性を知っている〔AFPBB News〕

 財政緊縮の緩和は、構造改革のペースを速める機会を与えてくれる。構造改革は、経済が拡大するというある程度の見込みがある時に、投資と雇用を促進することで最も奏功する。労働市場から締め出された若者に機会を与えることが優先事項だ。

 筆者は先日、ローマを訪問し、シンクタンクのイタリア・アスペン研究所が主催する集まりでイタリアのエンリコ・レッタ新首相にインタビューした。社会民主主義者のレッタ首相は、ポピュリズムの危険性を大抵の人よりよく知っている。

 左派と右派が大連立を組んだレッタ政権は、ベッペ・グリッロ氏の「5つ星運動」の台頭によって生じた膠着状態の中から誕生した。大陸欧州の至るところで見られるポピュリストたちと同様、グリッロ氏も、希望を失った人たちの心に訴えた。

 筆者の印象では、多くの憶測より長く首相の座にとどまるかもしれないレッタ氏は、財政健全化の最前線を押し戻したり、イタリア経済を近代化する取り組みを放棄したりするつもりはない。

 だが、レッタ氏が、どんな首相も800万人の有権者の不満を無視することはできないと言い、また、来年の欧州の選挙での最大の勝者は左派と右派の反欧州主義者という結果に終わるかもしれないと警告するのは正しい。

 イタリアにはグリッロ氏がいる。フランスには「国民戦線」、英国には「英国独立党」、フィンランドには「真のフィンランド人」党があり、ギリシャにはファシストがいる。彼らを結び付けているのは、国内の苦しみを外国人のせいにするのを厭わない姿勢であり、また、若年失業を既成の政治勢力に対する激しい怒りに変える能力だ。

残り時間は少なくなっている

 各国の政府には、できることがある。欧州の銀行システムはまだ機能不全だ。銀行システムを修復すれば、成長が生まれるだろう。欧州中央銀行(ECB)は、内需を刺激するためにもっとできることがある。供給サイドの改革を行えば、若者を雇用市場の外に置いている障壁の一部が取り除かれるだろう。

 政治的会話が緊縮から成長に移っているのは心強いことだ。そして、ドイツが7月に特別閣僚会議を主催する時に、そのテーマが緊縮ではなく若者の失業問題になるのも心強い。

 だが、時間は残り少なくなっている。ユーロ圏では、経済と政治の間で競争が繰り広げられている。1年前は債券市場が敵だった。今は、ユーロに対する脅威は、欧州統合のすべてが依存している自由主義の秩序を覆そうとするポピュリストたちによってもたらされている。

By Philip Stephens
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37911


 


 


【13/06/08号】 2013年6月3日 週刊ダイヤモンド編集部
投資マネー異常事態
揺らぐ国債、株式市場
?マネーが大きく揺れている。日本銀行の黒田東彦総裁が打ち出した“異次元緩和”をはじめとする日米欧の大規模な金融緩和によって、“中央銀行バブル”が発生しているからだ。日本でも株式市場は乱高下、金利も不気味な上昇を続ける。投資マネーはどこに向かい、何を引き起こすのか。そしてその果ては……。

雪崩を起こした株価

?日経平均株価が1143円もの大暴落を見せた5月23日以降、株式市場の動揺が収まらない。

?24日は前場で反発し、上げ幅は一時500円を超えて1万5000円台を回復。しかし後場に入ると一転、先物売りが加速し、下げ幅が一時500円を超える乱高下を見せる。終値は何とか前日比128円高の1万4612円とプラス圏で引けた。

?週明けの27日、またも先物売りで大幅に反落して469円安、翌28日に今度は大きく反発し、一時は200円を超える上げ幅となるほど、連日、数百円単位で上下に振れるという異常な事態が続いた。

?年明け以降、20%あたりをうろうろしていた日経平均株価の荒れっぷりを示すボラティリティ・インデックスは、5月23日に43.7%まで跳ね上がり、現在も30%台後半で推移している。

?こうした“変調”の引き金を引いたのは、海の向こうで方向転換し始めた、FRB(米連邦準備制度理事会)だ。

「今後数回の会合で、債券購入のペース減速を決定することもあり得る」

?5月22日、バーナンキFRB議長が議会証言でそう発言すると、市場はこれまでの世界的な株価上昇のエンジンとなってきたQE3(量的緩和第3弾)を「いよいよ縮小する」と受け止めた。

?この発言、よく見ると「景気改善が持続的だと確信した場合」との条件付き。実際には、慎重姿勢に変わりはないのだが、“お金の創造主”がいなくなるのではないかと、市場は過敏に反応する。

?直前に一時1万5542ドルの史上最高値を付けていたニューヨークダウは一転して急落し、さらには米10年物金利が2%を突破。この米長期金利の上昇が翌23日、今度は東京市場を大きく振り回すことになる。

?米国に引きずられる形で、日本の長期金利も節目の1%をあっさりと突き抜けてしまう。1年2ヵ月もの間、抜けなかった1%という壁を、4月からのわずか1ヵ月半で突破したのだ。

?日本銀行はすぐさま反応を見せる。8100億円もの巨額の買いオペを即日実施、何とか0.835%にまで抑え込んだ。

?ところが株式市場では、これがかえって異常な金利変動と映る。

?金利が乱高下し、仮に急騰するようなことがあれば、回復の緒に就いたばかりの日本経済に打撃を与えるのではないか──。

?QE3縮小観測に加えて、こうした日本の金利乱高下を嫌気し、「日本株の最大の買い手だったマクロ系ヘッジファンドが売りに転じた」(藤戸則弘・三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジスト)ことが、“5.23ショック”を招いたのだ。

徘徊するヘッジファンド

?振り返れば、今年4月15日に金の価格が実に15%も急落した背後にも、グローバルに動き回るヘッジファンドの投機マネーがあった。くしくも4月4日に日銀が“次元の異なる”金融緩和策を打ち出した直後のことである。

?ヘッジファンド調査会社のユーリカヘッジによれば、ヘッジファンドの運用総額は約2兆ドル(約200兆円)。先物やオプションなどのデリバティブを駆使する彼らが、仮に5倍のレバレッジをかけているとすれば、実に1000兆円ものマネーが高い利回りを求めて世界を徘徊していることになる。

?そんなヘッジファンド勢は4月以降、新興国経済の不調を理由に金や原油などコモディティ市場に見切りをつけたもようで、今や「円売り・日本株買い」に興味の矛先を向けている。

?逆に言えば、足の早いマネーに支えられた株価上昇だけに、いとも簡単に見捨てられる危うさもはらんでいる。

?もっとも、5月23日のような株価下落だけで済むなら、5月の上昇分が吹き飛んだだけの小さな“雪崩”にすぎない。見極めるべきは、こうした暴落が今後も発生するのかどうか、だ。その行方を左右するのが、日本の国債市場である。

?5月28日12時45分、財務省が20年物国債の入札結果を発表すると、円債市場に、いくばくか動揺が走った。

「ある程度の需要はあるのではないか」とみられていたが、結果は応札倍率2.54倍と低調。これを受けてやはり先物は売られ、10年物金利も0.9%台に上昇した。

?にもかかわらず、この日は株価も堅調だったためか、円が買われるでもない。その後、欧米市場で米消費者信頼感指数(5月)が5年3ヵ月ぶりの高水準となり米長期金利が2.1%台まで上昇。ドルが買われ、むしろ円は対ドルで円安に動き、102円を超えた。

日本国債暴落リスク

「長めの金利を押し下げる」──。そう高らかにうたい、市場から新規発行額の7割に上る国債を買い占めていくことを決めた黒田東彦総裁下の日銀。だが、むしろ緩和後に金利は乱高下を繰り返しながら、大きく上昇してしまっている。

?日銀が年間50兆円買うといっても、国の借金残高はそれをはるかに上回る750兆円だ。

?その大半を保有する銀行や生命保険会社、年金基金などが価格の乱高下を嫌気して国債を手放していけば、日銀が市場で国債を買い占められるはずもなく、そう簡単に金利は低下していかない。

?もっとも足元では、「現物の売りはだいぶ減ってきた」(寺田寿明・東短リサーチ研究員)とみられる。が、それでも買い手が戻ってきたというには程遠く、参加者の少ない市場とあって、少し売りが出ただけで金利が跳ね上がってしまう現状に変わりはない。

?かくも異常な金利の大幅な変動に、円債市場は「徐々に慣れつつある」(市場関係者)。人は痛みを感じるからこそ身体の異常を知ることができるが、日銀をはじめ先進各国の中央銀行が、金融緩和という名の“モルヒネ”を大量に打ちまくったおかげで、痛みを教えてくれるはずの市場の価格形成機能を破壊し始めている。

?そうした中、一足先にFRBが、モルヒネの量を減らす試みに出るというのである。減額開始のタイミングやペースを誤れば市場は荒れまくり、痛みにのたうち回るだろう。

?債券売りが加速すれば、最悪の場合、国債が暴落しないとも限らない。日銀がさらなる緩和策でその尻ぬぐいを迫られ、国債購入に終わりは見えなくなる。

?目先の“関ヶ原”は、6月7日に発表される5月の米雇用統計だ。これまでなら、米国の景気回復を示す雇用統計の改善は、すなわち株高要因だった。

?だが、逆に失業率低下を目標とするFRBが、雇用改善により緩和縮小に向かうなら、むしろ株は売られるかもしれない──。

?ヘッジファンドがどういう反応を見せるのか、その動き次第では、日本市場も再び大きく振り回されることになる。
http://diamond.jp/articles/print/36795


 


【第11回】 2013年6月3日 伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長]
長期国債は今や安全な投資対象ではない!?
黒田日銀が変えた、資産としての国債の意味
長期国債を大量に購入することの意味

?前回(第10回)まで、足下で起きている長期金利(国債利回り)の変動について詳しく検討してきた。言うまでもないが、こうした長期金利の変動のきっかけをつくったのは、黒田東彦日銀新総裁のもとでの大胆な金融緩和策である。

?前総裁の白川方明氏のもとで今年のはじめにまとめられた金融緩和策も含め、安倍政権成立後の日銀の金融政策は、これまでの政策とは「次元の違うもの」であった。2%のインフレーション・ターゲットを明確に打ち出し、量的緩和のペースをさらに引き上げ、そしてこれまでの日銀が封印していた長期国債の大胆な購入を決定したのだ。

?長期金利の変化との関連で特に注目すべきなのが、長期国債の購入である。なぜこれまでの日銀はそれをためらってきたのか、そしてなぜ黒田日銀は長期国債の購入に踏み込んだのか。この点については、すでに本連載の第3回で詳しく述べた。

?これまでの日本銀行が長期国債を購入しなかったのは、出口戦略を強く意識していたからだ。大胆な金融緩和策が成功すれば、物価も資産価格も上昇するだろう。その時点で、過度に膨れ上がったマネーサプライを縮小する必要が生じる。

?しかし、日本銀行が長期国債を大量に手元に持っていると、それを簡単に売却することはできない。それで国債の金利が急騰するようなことがあれば、財政運営にも大きな支障が出るからだ。

?金融緩和でも、短期国債の購入を通じた量的緩和であれば、必要に応じて国債を売却してマネーサプライを縮小しやすい。それでなくても、短期国債であれば、比較的早い段階で償還になるので、いつまでも日本銀行のバランスシートには残らないのだ。

?伝統的な金融政策運営としては、短期国債を中心に量的緩和をするのが自然な姿だった。しかし、デフレという異常事態に直面しても短期国債に集中する量的緩和策は、市場から見ると逃げ口をつくった上での対応策に見えたのだろう。

?日本銀行は、この15年の間に2度大きな政策的な失敗を犯した、と指摘する人が多い。つまり、量的緩和とゼロ金利政策を拙速に停止することで、デフレ脱却の障害となってしまったというのだ。それゆえ、経済が少しでも上向くと、日本銀行は量的緩和を止めてしまうのではないか──市場はそうした疑いを持って日銀を見ている。それではなかなか、経済に深く浸透したデフレマインドを払拭することはできない。

黒田氏は“背水の陣”で
デフレ脱却の決意を示した

?黒田総裁のもとで大量の長期国債を購入することは、日本銀行が退路を断った金融緩和策に踏み切ったものと市場からは見える。日本銀行が大量に長期国債を保有することになれば、将来にわたってそう簡単にその国債を売却できるものでもない。それによって国債利回りである長期金利が高騰することがあってはいけないからだ。

『史記』のなかの有名なエピソードに「背水の陣」というものがある。漢の名将・韓信が、前方から迫ってくる圧倒的多数の敵軍と戦うため、あえて川を背に陣を敷いて戦ったという話だ。後方が川でなければ、形勢不利になったときにいつでも逃げられる。しかし、後ろに逃げ場がないとなれば必死になって戦うしかない。死力を尽くして戦った韓信軍は、見事に勝利を収めたのである。

?長期国債の購入を行うというのは、この背水の陣だとも言える。ゲーム理論の用語を使えば「コミットメント」ということになる。日銀が「デフレ脱却のためには何でもする」という姿勢を市場に信じてもらうために、後戻りできない長期国債の購入に動いたということだ。

?経済学では、金融政策や財政政策などのマクロ経済政策が有効であるためには、市場や人々の期待に働きかけることが必要だと教える。特に、日本が直面するデフレのように、経済全体にデフレマインドという期待(予想)が定着しているときには、その期待を大きく変えるような政策スタンスをとることが重要である。コミットメントが重要なのは、市場の予想に働きかけることだ。

異次元の金融緩和策に
戸惑いを見せる市場

?4月上旬に黒田総裁の下で日本銀行が大胆な金融緩和策を打ち出したことに対して、市場は戸惑ってしまった。この大きな変化にどう対応してよいのか判断ができなかったのだ。その結果として、長期金利は大きく乱高下することになる。

?金融緩和策が発表された直後は0.3%台という驚異的な低水準まで長期金利が下がった。それから1カ月ほどは、0.6%以下という非常に低い水準で推移していた。しかしその後、長期金利は上昇に転じ、いまは1.0%を伺うような動きである。このあたりの長期金利の解釈については前回までで詳しく述べた。

?市場関係者から聞こえてくるのは、こうした激しい長期金利の動きが、資産としての国債の意味を変えようとしているという点だ。銀行にとって、長期国債はリスクの少ない投資対象と見られていた。大量の資金を運用するにあたって、とりあえず金利の安定している国債に資金を回しておけば安心であった。そうした安定的な資金により、国債価格も安定してきた。

?しかし、国債金利(それは国債価格でもある)が大きく変動するようになれば、国債による資金運用のリスクをより強く意識せざるを得ない。金融機関が反応することで、国債金利がより激しく動くことになる。膨大な国債が発行されており、その多くを金融機関が持っている。この金融機関が動くことで、長期金利も大きく変動することになる。

?日本銀行が市場から購入する長期国債の規模は、これまでの行動からは考えられないほど大きなものである。それでも、国債全体の市場規模に比べれば小さい。短期市場の金利について日本銀行は大きな支配力を持っているが、長期金利については同レベルの影響力を持っているわけではない。

?それでも、長期金利の大きな変動がいつまでも続くというものではないだろう。巨額の国債を購入する日本銀行の影響力は大きい。金利は安定方向に向かっていくと期待している。

?前回までに述べたように、長期金利を引き上げる要因は、インフレ予想の変化、景気の回復、財政危機の懸念、そして米国など海外での金利上昇である。これらの要因を背景に今後の金利が動いていくのが基本であるが、現在見られる長期金利の変動は、そうした構造的な要因とは別の市場の混乱の結果としてとらえればよいだろう。

財政健全化の動きに
市場は敏感になっている

?そうしたなか、政府の財政健全化の動きが長期金利に及ぼす影響については注視すべきである。いまの国債利回りに、財政運営への懸念が影響しているとは思えない。ただ、日本の公的債務が対GDP比で200%を超えており、主要国で最悪の水準であることは事実だ。市場は財政状況に、より神経質になっており、財政健全化の動きいかんによっては、長期金利が大きく反応する可能性は否定できない。

?日本銀行が大胆な金融緩和策をとったことは、結果的に市場の財政への関心を高める結果になったように思える。日本銀行が大量に長期国債を保有していれば、将来それを市場で売却して過度な金融緩和を修正するかもしれないとの憶測を招く。

?問題は「出口戦略」である。日本銀行が出口戦略で大量の国債を売りに出れば、長期金利が急騰する可能性はある。また、日本銀行にそのような意図がないとしても、日本銀行がそうした動きに出るかもしれないと市場が疑心暗鬼になれば、これまた長期金利高騰の原因となりかねない。

?いまの時点で出口戦略について論じるのは気が早いのだろう。ただ、日本銀行が大胆な金融緩和策をとるほど、政府の財政健全化に対する姿勢に注目が集まることは間違いない。財政健全化のあるべき姿については、今後の連載で詳しく議論することにしたい。
http://diamond.jp/articles/print/36804

 


03. 2013年6月03日 08:58:56 : niiL5nr8dQ
既得権益層が居座り続ければ、国は衰退する

ダロン・アセモグル米MIT教授インタビュー

2013年6月3日(月)  広野 彩子

日経ビジネス別冊「新しい経済の教科書2013〜2014」では、「制度と貧困の経済学」を特集している。その中で、「創造的破壊が起こりやすい制度にしなければ、国家は失敗する」と主張するジェームズ・ロビンソン米ハーバード大学教授との共著『Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty』(『国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源』の邦題で、6月21日に上下巻が早川書房から出版予定。リンク先は上巻)で知られるダロン・アセモグル米MIT教授のインタビューを掲載した。国が繁栄する条件は何か、成長が止まった時、国は何をすればいいのか。オンラインでは、独自の内容を含め、再編集したインタビューを掲載する。
(聞き手は広野彩子)
ここのところ途上国支援やビジネスの関係でインタビューをすると、「インクルーシブ(inclusive)」という言葉をたびたび聞きます。全員を戦力化していく、という文脈です。

 そうなのですか。我々が共著『Why Nations Fail』で使う以前は、inclusiveなど、そのような文脈ではあまり聞かなかった言葉でした。聞いたことがあったなら、ジェームズ・ロビンソン教授と一緒に「本当にこの言葉でいいのかな?」と悩んだはずですからね。著作権マークでもつければよかった(笑)。どの国のどのような立場の人たちも経済的困難に直面し、新たな視点を模索しているのでしょうね。

インクルーシブは、ダイバーシティー(多様性)と同義でしょうか?

 同義といえば同義なのですが、多様性は全員参加を実現する最初のステップにすぎません。多様性が大事だと言う時は、単に(既成の枠の中に)多様な人々をまず増やすのが目的でしょう。そうではなく、全員をテーブルにつけ、幅広い人々を(意思決定に)巻き込んで新しいものを作り上げていける制度が、インクルーシブという言葉で言いたいことです。

収奪的な成長と、インクルーシブな成長は違う

つまりは「全員参加」でしょうか。共著作『Why Nations Fail』では、国家が栄え続ける発展段階で、まず特定層のための中央集権的で収奪的な制度ができ、それから創造的破壊を起こすために「全員参加型(inclusive)」の制度に変わっていく必要があるとしていました。そうしますと、国の成長には制度が一番重要なのですか。

 国が長期的に、持続的に成長するためにはそうです。創造的破壊を通じて最高の技術が生まれ、その技術を使って最高の制度にするわけです。その時に、「全員政治」の制度と「全員経済」の制度、双方を同時に実現することが望ましい。政治と経済の一方が中央集権的・収奪的なままで、特定層に権限が集中すると一時は成長したとしても、やがて停滞するでしょう。


ダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)
米MIT教授。1967年トルコ・イスタンブール生まれ。1989年英ヨーク大学卒業、92年、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス経済学博士(Ph.D.)。同講師、93年、米MIT助教授を経て2000年から現職。(写真:Mayumi Nashida、以下同)
 たとえば、旧ソビエト社会主義共和国連邦がそうでした。ウラジミール・レーニンが率いたボリシェビキによる徹底的な中央集権体制によって、国がすべてを管理して最初はうまくいきましたが、結局、誰も創造的破壊を起こそうというインセンティブを持たなくなり、成長が止まりました。技術キャッチアップ型経済、あるいは(石油など)特定資源の利用による収奪的な成長と全員参加型の成長では違うのです。構造的に創造的破壊を必要としない前者はやがて行き詰まり、長続きしません。

 英国が産業革命で劇的に成長したのは、それに先立つ1688年に名誉革命があり、創造的破壊が生まれる素地があったからです。だから産業革命が波及しても、近隣諸国では必ずしもすぐに劇的な成長につながらなかった。経済だけでなく政治制度も中央集権型から全員参加型に移行しないと難しいのです。

 「近代化仮説」という理論があります。経済が変われば政治も変わる、という説です。しかし、現実は全くそうではない。アフリカ諸国、中国、シンガポール、サウジアラビア、ロシアなどどこも経済は高成長ですが、政治システムは不変です。ただこうした国々はまだ、創造的破壊が必要ではない段階にある。

キャッチアップ型は結局は長続きしない

中国経済について、共著書で「今の権威主義的な政治体制が続けばやがて停滞する」と予測しています。

 中国がこれまで発展したのは「技術キャッチアップ型経済」、すなわち他国をモデルにしてエリートが牽引して追いつく「収奪的な成長」だったからです。まだしばらくの間は成長すると思いますが、1950年代、60年代に順調に成長していたラテンアメリカ諸国で、70年代に成長が止まったのと似たような未来を思い浮かべます。中国はまだ低中所得層中心の国ですし、技術的キャッチアップの余地も当面まだまだありますが、それが尽きた時、創造的破壊、技術進歩が起こるオープンな市場に移れるのかどうかがカギです。

 政治がより幅広く多様な人々の手で運営されるようになれば、成長が続く可能性は高いでしょう。中国は準全員参加型の政治体制に移行しようとしている最中ですね。制度に必要なのは、土地の私的所有権が認められること、適切な法規制が機能すること、そして適切な税制などでしょう。つまりは創造的破壊を起こすためのインセンティブが制度的に重要だということです。

官僚や銀行は、先進国の収奪的なエリート層と言えるでしょうか。

 そうですね。銀行や官僚は収奪的になりやすいと言えますね。以前はそうではなかったのですが、近年は自分たちの分け前を増やすために政治力を行使しています。そして公的部門は多くの国で強い実権を握り、かつ肥大化しており、政治に守られています。銀行は20世紀を通じて国家繁栄に大きな役割を果たしてきましたが、政治力が増し、リスクを必要以上に取るようになりました。

 日本のことは詳しくありませんが、たとえば米国において、国の制度がもっと強力で、銀行がロビー活動などを通じた影響力の行使ができない状況だとしたら、米国における銀行の収奪的な役割を減じる効果があると思いますね。とはいえ、先進国における金融業界は多くの業界の1つに過ぎません。カリブ海の西インド諸島内にある立憲君主制国家バルバドスのように、一握りの家族が政治、軍隊、司法、経済を握っているような社会とは明らかに違います。

しかしやはり、先進国でもどうしても既得権は生まれていきますね。資本主義のもとで、本当に全員参加の発展は可能なのでしょうか。格差はなくなるのでしょうか。

 そもそも私は「資本主義」という言葉があまり好きではありません。日本も米国もグアテマラも資本主義です。しかし、3者とも全く違う「生き物」です。グアテマラは残虐な独裁社会で、人口の半分以上が抑圧されている国です。市場主義を標榜してはいますが、市場は操作されています。政治権力が収奪的な一部の層に集中し、人口の半分を抑圧的に支配しているというわけです。

 ですから、あなたの質問をこう言い換えましょう。「全員参加型の市場経済は格差なしで存在し得るのか、あるいは平等であっても限界があるのか?」と。

 経済的な格差は、人々が成長するためのインセンティブなので、ある程度は社会に必要です。全員のニーズがすべて満たされるという共産主義的な発想は、神話にすぎません。それに、人は報われたい生き物です。すべての報酬がお金である必要はありませんが、お金が重要な時もある。


 技術がすべてを変えるカギです。過去30年、技術によりグローバル化が進み、技術依存型の社会になりました。技術革新のおかげで以前より多くの「スーパースター」が活躍できる土俵ができました。バスケットボール選手のマイケル・ジョーダンが数千万ドルを稼ぎ、そのジョーダンを広告に使った代理店社長が大儲けして何か問題があるでしょうか?問題は、とても裕福だからとジョーダンとその代理店社長の子女だけが最高の教育を受け、政治的実権を握り、例えば国が戦争する意思決定などをするようになることです。政治力を一部の人間が握る独占状態は望ましくない。

 すなわち、経済的な格差は大した問題ではないのです。重要なことは2つ、まず全員参加型の政治制度の実現による、政治的な平等です。これが最終到達点です。もう1つは経済的な「機会の不平等」を解消することです。全員が等しく活動できる環境作りが重要です。よその地域の子供たちと、同じ土俵で競争する機会すらない子供が大勢いるのが、今の米国です。町の中心部に生まれると、豊かな郊外に生まれた人と同じような機会に恵まれることがなくなってしまう。この機会の不平等は大問題です。経済的な格差よりも、機会の不平等のほうが問題です。もちろん、機会の不平等は経済的な格差と密接にかかわっているので、経済的格差は指標として注視しなければいけないのですが。

教育の平等が至上命題であるということですか。

 まったくその通りです。次のアインシュタイン、次のマーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)、次のセルゲイ・ブリン(グーグル創業者)がどこにいるかなど、誰にも分からないのです。もし、平等な教育機会を設けることができないとすると、言ってみれば我々は人口の10%にしか機会を与えないことになります。残りの90%に、ザッカーバーグやアインシュタインがいるのかもしれないのに。

長期的繁栄には全員を巻き込む制度が必要

貧困の削減に必要な条件は何でしょうか。制度改革でしょうか。あるいは、新しい雇用を作ることでしょうか。

 格差の原因として制度は大きいです。ただし、そのほかにも技術、グローバル化、人的資本(の質)に原因があります。原因は様々に絡み合っていますが、稼げる社会は質の良い人的資本に恵まれた社会です。教育の質が低いことが格差につながります。そして教育のまずさは制度に原因があることが多いのです。失業はその結果であって、原因ではありません。

 一番の解決策はやはり経済成長です。過去50年でそれを劇的に実現したのが中国です。1億人以上の人々が貧困から脱して中産階級になりました。インセンティブに欠け、不合理で収奪的で、経済的成功には制裁すら加えていたような経済制度を、少しずつですが全員参加型の制度に変えることで実現したのです。最初は、農業セクターで市場向けに生産を始め、次に都市セクターで、働いて稼ぐことができるようになった。結果として数百万もの人々が、30年前よりはるかに稼ぐようになった。次のステップは本格的に全員参加型の経済制度にすることと、政治制度を全員参加型にすることです。これからの課題です。

創造的破壊を起こしていくには制度改革が重要とはいえ、既存のエリート層による制度改革にはどうしても限界があるのではないでしょうか?

 確かに、エリート層は本質的な変革を嫌い、現状維持を好みます。既得権益を維持したがるものですね。例えば、エジプトのムバラク政権が自ら変革することが期待できたでしょうか? 市民から始まった「アラブの春」はとても不確実性が高くて問題が多いですが、何もせずに待っていたら、20年経っても何も起こらなかったでしょうね。本来は、ボトムアップの改革が望ましいと思います。

日本はマクロ政策に頼りすぎる

日本は欧米へのキャッチアップ型の発展を終えた後、創造的破壊を起こせる全員参加型社会に向けての改革がうまくいかず、過去20年経済の停滞に苦しんできたように思えます。

 いくつかの要因があると思います。もっと開かれた経済への変革がうまくいくかどうかは、「どれだけ社会が『全員参加型』か」次第です。スターリン主義のようなモデルでさえも基本的な成長は可能なのですが、やがて息切れするのです。日本は第2次大戦後、多方面でそれ以前に比べればまずまず全員参加型の仕組みを築きましたが、部外者の目から見るとまだ問題が多いように見えます。

 まず政治制度が(参入障壁が高く)全く競争的ではありません。その結果、経済制度も競争力を失いました。自動車業界や電機業界のような国際的企業は別ですが、国内の経済が(インフラなど)独占的な企業に支配され、競争がなかったからでしょう。また日本は経営のプロよりは同族による経営が多く、企業統治が不十分です。ここは制度的な問題ですね。

 競争が激しい電機業界の調子が悪いですが、世界中の電機メーカーが「世界的な大変化」に巻き込まれて苦戦している状態です。ドイツでもアメリカでも同じです。これはソニーや他の日本企業だけの問題ではないのです。

 キャッチアップ型の時には、大企業を基盤にしてうまくやっていくことができました。投資をして、既存の技術に適応していけばよかったからです。しかし、米国のソフトウエアやバイオ技術、ナノ技術などのように動きが激しい業界においては、カギとなるのはベンチャーです。果たして国内の環境、経済制度が、新しいプレイヤーが入れ代わり立ち代わりやってきて、容易に資金調達ができ、必要な支援を受けられるものになっているかどうか。そして、一緒にアイデアを実現しようとあちこちからやってくるような人々を雇用できる環境を整えているかどうか。日本はおそらく、米国や他の国々に比べ、そこでつまづいているのでしょう。

日本では自民党の安倍晋三政権が「アベノミクス」として、金融緩和や成長戦略を打ち出しています。

 まずは推移を見なければいけません。今、世界中が不景気です。金融緩和は重要ですが、構造的な問題の方が大きいと思います。私見では、日本は昔から構造的な問題が本質なのに、マクロ政策に頼る傾向があるように思えます。国内で独占的な経済が続き、技術革新のダイナミズムを阻害しています。

 流動性を高めて政府支出を増やすだけではやはり限界があります。新規事業が生まれやすい環境を整備し、一握りの大企業が支配することによる弊害を、すべてのセクターでなくすことではないでしょうか。往々にしてベンチャー企業が技術革新の牽引役なのですから。

初めから理想的な制度を作った都市「チャーター・シティー」を作ってしまうという、ポール・ローマー米スタンフォード大学教授の提言について、どう思われますか。

 ホンジュラス共和国で一時検討された話ですね。ある程度までは、とてもいいことだと思っていました。ローマ―教授は大変優れた研究者ですし。ローマ―教授は成長理論の構築で大変重要な役割を果たされました。我々が専門としてきた制度とインセンティブの問題に、成長理論を専門とするローマ―教授が取り組んでいらっしゃるというのは大変斬新なことだと思います。チャーター・シティーのアイデアには魅力的な要素を多く含んでいます。経済問題については全員参加の要素が大きく盛り込まれています。しかし、政治問題に関しては排他的なままです。


 そこで、3つの懸念があります。1つは、チャーター・シティーはモデルとしてシンガポールや香港をイメージしているようなのですが、マダカスカルやホンジュラスのような国でそうした貿易に根差した町づくりが可能なのかどうかという点です。シンガポールも香港も、起業家にとって絶好の立地にあるからこそ発展したわけです。しかしホンジュラスなどは国そのものに何もインフラがない。しかしこの点については大した問題ではありません。

 2番目にもっと本質的な問題は、現地の政治家が信用ならないという点です。大体、ああいった国では政治家は自分の利益を追求し、腐敗し、やりたい放題です。もし彼らがチャーター・シティーを作ることを認めたとして、全く介入しないなどということが果たしてあるでしょうか。ローマ―教授も途中で気付いたわけですが、結局アイデアをもて遊ばれて、実現せずに終わってしまいましたね。

制度改革は、歴史的な条件がそろって初めて実現する

 3番目の懸念は、このアイデアがデモンストレーション効果を持ってしまうことです。ある国に作られたチャーター・シティーが繁栄したとする。すると他の地域に住む国民が、「そうか、我々が貧しいのは政治家のせいなんだ」と気づいてしまう。そこで、改革を求める声が高まる可能性が高い。指導者に問題があるということをいつまでも覆い隠せるものではない。アラブの春を見てください。最後の10年、国民は皆、ムバラクとその一族が問題の一部なのだということを見抜いていました。単に、力がなかっただけでした。最初から良い制度で作られたチャーター・シティーが役に立つ可能性もある半面、これも貧困削減の特効薬にはならないのです。

貧困削減の研究で知られるエスター・デュフロ教授とアビジット・バナジー教授は、著書『貧乏人の経済学』の中で、貧困削減も国の政治経済制度がすべてだとするアセモグル教授とロビンソン教授の議論を「悲観的だ」と批判していました。

 そうですね、確かに私たちは悲観的かもしれません。制度改革はすぐには実現しないのも事実です。結局それは、歴史的な文脈で条件が揃って初めて達成できるものなのですからね。しかし、(国の繁栄で)制度を重要視することは、地理的条件や文化を原因とするよりは楽天的ではないでしょうか。


新しい経済の教科書2013

今年で4年目になる別冊「新しい経済の教科書」。アベノミクスで人々の期待が上向く中、期待を現実に変えるために必要な施策とは何か。
インタビューに登場した2人の経済学者の「知恵」から、「アベノミクスの先」を読みます。


 

 
日本の起業家は米国起業家よりリスク・テイカー!

「日本の解雇規制ではシリコンバレーは生まれない」

2013年6月3日(月)  田村 耕太郎

 ニューヨークで若き起業家たちと交流する機会を得た。そこで、私がふだん交流している日本の起業家との違いを感じた。今、日本でIT起業家として取り上げられている日本の起業家たちは、ざっくり言えば、インターネットを使って新しい商流を作ろうとしている人たちだ。そのビジネスモデルは基本的には、ネットを使った直販モデルの延長にある。取り扱う商品は野菜であったり、生命保険であったり、薬であったり、メガネであったり、靴であったりする。これは今までの取引慣行にインパクトを与え日本社会を良い方向に変えようとしている。素晴らしいチャレンジである。彼らの多くはビジネススクール→経営コンサル→起業というキャリアを歩んできた人が多い。

 一方、アマゾンなどのビジネスが拡大し、こうしたネットを使った直販モデルがひと段落したアメリカの起業は、さらに先を行っている。スカイプのようにテクノロジーによって新たな価値を作ったり、ソーシャルな交流を通じて新たな価値を生み出すものである。彼らのキャリアも日本の起業家とは異なる。

 宇宙開発やエネルギー事業といった国家レベルの事業にスタートアップとして挑戦する人もいるし、ITの力で教育に大きな変化を起こしている連中もいる。政府顔負けの挑戦がアメリカでは起こっている。これらの挑戦は慈善事業ではなく、収益事業として成り立ち始めている。もちろん、政府よりずっと安いコストで社会に貢献している。

 私が出会った、「起業家」としてアメリカで注目を浴びる人たちは、エンジニアでありデザイナー。ほとんどが自分でコードが書ける。多種多様なデザインもできる。

 日本の起業家はコンサルタントの延長的な人物。これに対して、アメリカで注目を集める起業家は、デザイナー、エンジニア、発明家、思想家といった感じの人物だ。15年くらいの“時差”があるのではないか? ただし、これはどちらが優れているということではない。制度的な要因でこの差がついているのだと思う。日本の起業家は不利な制度の下、アメリカの起業家に勝るとも劣らないくらい奮闘していると思う。理由は後で述べる。

セレブが集う場で米起業家に会う

 筆者がアメリカの起業家たちと交流したのは、ニューヨークのミートパッキング地区だった。食肉加工業の倉庫が集まっていたエリアである。少し前からワクワクスポットになりつつある。私をここに連れて行ってくれた知人の家系はここの大地主だったそうで、顔が効くようだ。

 招待されたのは会員制レストラン。ニューヨーク広しといえども屋上のオープンテラスにプールがあるのは、ここと、隣接する話題のデザインホテルのみだ。厳しい会員制で、一度出ると、再入場する時には必ず会員パスをチェックされる。私の知人は顔パスだが、私は当然、会員ではない。このため、私をゲストと共にと迎え入れるのに一もんちゃくあった。いろいろなやりとりをした後、なんとか私も入場することができた。

 セキュリティが厳しい理由もわかる。出入りしているのはニューヨークを代表するスター起業家のほか、スポーツスターや芸能人ばかりだった。店内での写真撮影は禁止である。(無知な私は勝手に撮ってしまったが汗)

 隣の席ではアメリカ人にしては身体もフィットもセンスも良い感じのグループが、大物スターが出演する見知らぬ映画をタブレットで見ていた。知人に聞くと「あれはまだ製作中の、世に出ていない作品。だいぶ先に公開される予定だ。ああいう作品にアクセスできる連中が来ているんだよ」という。

「簡単に解雇できるからいろんなチャレンジができる」

 東京ファンでよく日本に行き、日本の起業家とも交流している米国の若き起業家たちと、起業の話で盛り上がった。「日本にも素晴らしい起業家がいるが、日本の制度のせいで、絶対数がまだまだ少なく、層が薄い気がする」と。「日本の起業家は早くここ(米国)に来た方がいい。良いアイデアやリーダーシップを持っている日本人も多い。ここならお金へのアクセスも、世界にスケールアップする可能性も、法律も、すべてが起業家の味方をするんだ」と。

 「いちばん違うのは雇用法制。簡単に解雇できるからいろんなチャレンジができる。その前提で社員も応募してきている。起業は、起業家にとってもそこで働く社員にとっても、どちらにとってもチャレンジなんだ。日本のように一度雇ったら簡単に首にできないなら誰も簡単に起業できない。そういう意味で、厳しい解雇規制がありながら起業している日本の起業家はすごい。リスペクトしている。日本のような法律がアメリカにあったら、シリコンバレーは壊滅するだろう」(笑)

 私もそう思う。極論すれば、日本の起業家はアメリカの起業家以上にリスクを恐れているどころか、よりリスク・テイカーだと思う。今のような解雇規制(日本では、整理解雇の4要件である、人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性、をすべて満たさないと解雇できない)があるにもかかわらず、人を雇って挑戦するのだから、日本の起業家の勇気と情熱はアメリカ人よりすごい!

 「そして英語。日本語でのビジネスは上限が1億2000万人に限られている。一方、英語で市場を考えたらこれは何倍にもスケールアップする。東京に行って感じたんだ。アメリカのインフラや社会を改善できる技術が日本にはたくさんあると思う。さらに、アメリカのファッションやグルメ、メディアをより良くするサービスもある。それらを英語で展開できたら成功すること間違いなしだよ」

 カルチャー、ファッション、メディア、グルメとITなどのテクノロジーが融合するニューヨークで新たな起業がどんどん生まれている。金融センター「ウォール街」に近いのも強みだ。ただ、サンフランシスコにも拠点を持つ起業家はこう言う。「ニューヨークの資本家はクラッシック。保守的でリスクを取らない。すぐに利益を出せという。サンフランシスコは『利益は後でいいからスケールアップしろ』という感じ。まだニューヨークの金融カルチャーはバレー(シリコンバレー)に追いついていないようだ」。

 ニューヨークで会った起業家たちは東京に焦点を当てている。「われわれニューヨークのHipな感覚が唯一理解される場所はTokyoじゃないかな? Tokyoはイケてる。本当にファッショナブルでカルチャーを感じさせる場所だ。そして情報もある。ヨーロッパもいいが、ヨーロッパ全体が『今はチャンス』という状況にはない。メトロポリタンエリア(首都圏)は3000万人というメガシティだし」と。

 彼らが東京に来たら面白いだろう。近いうちに来そうなので、喜んでお手伝いをしたい。


田村耕太郎の「経世済民見聞録」

政治でも経済でも、世界における日本の存在感が薄れている。日本は、成長戦略を実現するために、どのような進路を選択すればいいのか。前参議院議員で、現在は米イェール大学マクミラン国際関係研究センターシニアフェローを務める筆者が、海外の財界人や政界人との意見交換を通じて、日本のあり方を考えていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130527/248653/?ST=print


04. 2013年6月03日 11:01:20 : KO4C9oEhYU
金利が1%を超えたら面白い展開になる。もしかして制御不能になるかもしれない。アメリカ追随をしているわけだから早晩2%まで上がり国債発行が苦しくなるだろう。そこで消費税増税10%では足らず15%ぐらいにしたら国民生活はどうなるだろう。金持ちは益々金持ちに中間層も含めて貧乏人は益々貧乏に。期待通り1%の金持ちと99%の貧乏人になるだろう。99%が貧乏になったらいくら税率上げても税収は下がるばかりで上がる事はないだろう。これが目指す理想の社会なのだろうか。マクド吉野家は頑張るだろうが、町はシャッター街になりせっかく新装開店した百貨店も店を閉めざるを得ないのではないか。街の真ん中に御殿が建ち周りはみんな長屋になる。人は人として認められず蟻の境遇になるのだろう。それでも日本人は仕方がないと諦めて生きて行くのだろうか。ほんの少しの売国奴が国を奈落の底に落とすとはそういう事を意味している。つまり売国奴をこれ以上放置して置くとそういうことになると言う事だ。

05. 2013年6月03日 16:05:08 : niiL5nr8dQ

日本株大幅反落、米政策変更警戒しTOPIX1100割れ−全業種安い
  6月3日(ブルームバーグ):東京株式相場は大幅反落。TOPIXは終値で4月5日以来、約2カ月ぶりに1100ポイントを下回った。米連邦準備制度理事会(FRB)の債券購入プログラムの早期縮小観測を背景としたマネーフローの変調が警戒され、証券や銀行など金融セクターを中心に東証1部33業種は全て安い。
TOPIXの終値は前週末比38.83ポイント(3.4%)安の1096.95、日経平均株価は512円72銭(3.7%)安の1万3261円82銭。きょうの安値で引けた日経平均は5月23日、同30日に続きことし3番目の下げ幅となった。
ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は、足元の相場は「調整局面というよりは下落相場の始まりと見ている」と言う。ここまで下げが拡大すると、高値水準で日本株を買った投資家の戻り待ち売りが上値を抑えるため、「アベノミクスを背景とした日本株市場の祭りは終わった」との認識を示した。 
更新日時: 2013/06/03 15:11 JST



日経平均が大幅反落:識者はこうみる
2013年 06月 3日 11:08 JST
[東京 3日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅反落。下げ幅は一時300円を超え、取引時間中としては4月19日以来1カ月半ぶりに1万3500円を割り込んだ。株式市場に関する識者の見方は以下の通り。

●日経平均1万3000円割れでいったん底入れ

<東海東京調査センター チーフストラテジスト 隅谷俊夫氏>

日経平均は節目1万3500円を下回ったが、通過点に過ぎない。ファンダメンタルズやバリュエーションからみれば、買い場であることに変わりはないが、大きく値を切り下げている局面では買いの手が出にくい。先物市場だけではなく、現物市場でも利益確定売りが出ており、下値不安が広がっている。今週末の米雇用統計や来週のSQ(特別清算指数)算出日などイベントを控え、まだボラタイルな地合いが続きそうだ。日経平均1万3000円割れで、いったん底入れ機運が広がるだろう。

●割安圏到達、週内は底値固めか

<岡三オンライン証券チーフストラテジスト 伊藤嘉洋氏>

米金融政策の出口戦略に対する警戒感が強まる中、今日の日経平均は1万3387円まで下落したが、この水準から計算されるPERは14.9倍であり、割安圏に到達したと判断できる。債券先物買い・株式先物売りの仕掛け的な売買が主導し、値幅的には良いところまで売り込んだ印象だ。アベノミクスへの期待先行で6カ月も続いた上昇相場の反動が出るのは当然だろう。今週は米ISM製造業景気指数、米雇用統計など控えて様子見姿勢となり値固めの動きが予想される。その後は好業績株を中心に持ち直す展開を見込んでいる。買い方には好機といえそうだ。



債券は大幅続伸、株安加速や日銀国債買いオペで安心
  6月3日(ブルームバーグ):債券相場は大幅続伸。国内株安の加速や日本銀行による長期国債買い入れオペの実施が手掛かりとなった。長期金利は一時、5月半ば以来となる0.8%割れ目前まで下げた。
東京先物市場で中心限月の6月物は前週末比12銭高の142円44銭で取引を開始。その後はじり高推移となり、午後に入ると株安 を受けて水準を大きく切り上げ、一時は143円23銭まで上昇し、結局は74銭高の143円06銭で引けた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは同0.5ベーシスポイント(bp)低い0.855%で始まり、徐々に水準を切り下げ、一時は0.80%と5月17日(0.795%)以来の低水準を付けた。その後は0.805%。新発5年物の111回債利回りは6bp低い0.29%、新発20年物の143回債利回りは4bp低い1.585%、新発30年物の38回債利回りは4bp低い1.71%と、いずれも5月10日以来の低水準。
RBS証券の井川雄亮債券ストラテジストは、「株価の下げが大きくなっていることに加えて、日銀の買い入れオペの結果が実勢より若干強い水準になり、需給は決して悪くない状況だ。今月は国債入札と日銀会合を除く12営業日のうち10回オペが実施されることになれば、オペのスケジュールがイメージしやすく安心感もある」と話した。
あす4日に10年国債入札が実施される。新発10年債利回りは0.8%台前半で取引されており、表面利率(クーポン)は前回債より0.2ポイント高い0.8%となる見込み。発行予定額は2兆4000億円程度。 
更新日時: 2013/06/03 15:08 JST



日銀国債買い入れ、応札倍率「3年超5年以下」と「10年超」上昇(1)
  6月3日(ブルームバーグ):日本銀行がこの日実施した長期国債の買い入れオペ3本のうち、残存期間「3年超5年以下」と「10年超」の応札倍率が上昇した。5年付近と10年を超すゾーンに潜在的な売り圧力が強まっていることが示されたが、落札金利は実勢付近とみられており、相場への影響は限定的となっている。
日銀は午前10時10分の金融調節で、残存期間「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「10年超」のオペを通知。買い入れ額はそれぞれ2000億円、5000億円、2000億円。買い入れ日はいずれも6月5日。日銀は先月30日にオペの運用を見直しており、今回は最初の実施となる。
オペ結果によると「1年超3年以下」では9558億円の応札があり2002億円を落札。応札倍率は4.77倍と前回の6.52倍から低下。案分比率は34.0%。「3年超5年以下」では2兆1278億円の応札があり5003億円を落札。応札倍率は4.25倍と前回3.33倍から上昇。案分比率は21.4%。「10年超」では6254億円の応札があり2002億円を落札。応札倍率は3.12倍と前回2.28倍から上昇した。案分比率は99.3%となった。
オペの結果について、SMBC日興証券金融経済調査部の山田聡部長は、3−5年や超長期ゾーンの応札倍率の上昇はある程度予想された範囲で、落札金利は実勢付近だったとして、「おおむねしっかりした結果」と分析した。ただ、午後に債券相場が一段高となったのは株安加速の要因が大きいと言う。
対象銘柄は「1年超3年以下」では2年債は317回−328回、5年債は83回−96回(除く90回)、10年債は260回−279回、 20年債は27回、31回債。「3年超10年以下」では5年債は97回−111回、10年債は280回−292回、 20年債は33回−39回。「10年超」では20年債は62回−144回、30年債は2回−38回、40年債は1回−6回となった。
日銀は「1年超5年以下」については、4月に残存期間の区分を細分化して実施する方針を打ち出しており、6月以降もこの方針を継続すると発表している。 
更新日時: 2013/06/03 14:33 JST



ドル・円は100円台半ば、日本株の下落でリスク回避圧力強まる
  6月3日(ブルームバーグ):東京外国為替市場でドル・円は1ドル=100円台半ばで推移。米国の量的緩和縮小観測がくすぶる中、前週末の米国株に続き、日本株が下落しており、リスク回避に伴う円高圧力がかかりやすい状況となっている。
午後2時4分現在のドル・円は1ドル=100円45銭前後で推移。午前は株反落を背景に円買い優勢で始まり、一時100円39銭まで円が買われた半面、金融機関の仲値公表が集中する10時前後には100円72銭まで円売りが進行した。午後は株価が下落幅を拡大したのに伴い、円買い圧力が再び強まっている。
三菱UFJ信託銀行資金為替部の塚田常雅グループマネージャーは、注目の米雇用統計を週末に控えて、基本的には「様子見」とした上で「リスクオフ(回避)の展開の中では100円割れを試しにいく可能性は十分ある」と指摘。ただ、過去抵抗線としてなかなか抜けなかったという経緯から、100円に近づくと「実需を含めたドル買いも出てきている」とし、米雇用統計までは「結果的にドル・円の値幅は限られたものになる可能性も十分ある」と話す。
一方、ユーロ・円相場は1ユーロ=130円44銭まで円が強含んだ後、130円99銭までユーロ買い・円売りが進行。同時刻現在は130円69銭前後となっている。
米雇用統計が焦点
ドル・円は前週末の海外市場で一時100円22銭と約3週間ぶりの水準まで円高が進行。その後、米消費者マインド指数やシカゴ地区製造業景況指数が予想を上回ったことから101円台前半までドル買い・円売りが進んだが、米量的緩和の縮小観測から米国株が下落する中、リスク回避の伴う円買いが優勢となった。
株式相場が不安定な中、今週は米国で5月のISM製造業景況指数や雇用統計など主要経済指標の発表が相次ぐ。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「特に雇用関連の数字に注目が集中する」とした上で、「強い数字ならば米量的緩和縮小観測でドル買いでいいような気もするが、米国株の急落につながり、日本株にも跳ね返ってくると円高になる可能性もあり、どう転ぶか非常に不透明感が強い」と話す。
三菱UFJ信託銀の塚田氏も、米雇用統計が強めなら「それ自体はドル買いと考えていい」が、円に限らずさまざまな通貨に対してドルの買い持ちが積み上がっている状況の中、米金利上昇・米株安の展開となった場合には、リスク回避から「スイス・フランや円がアウトパフォーマンスする可能性が高まる」とみている。 
更新日時: 2013/06/03 14:22 JST





焦点:米量的緩和の縮小観測でアジア市場に警戒感
2013年 06月 3日 13:24 JST
[シンガポール 31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が近く資産買い入れ(量的緩和)縮小に動くとの観測が出ており、金融市場は2008年の金融危機以降で最大の転換点を迎えようとしている。

それでもこうした中でアジアの投資家が行っているのはなお「積極的に買う」か、あるいは「全面的な売りを手控える」という選択だ。

過去4年にわたって新興国市場の株式、債券、通貨の値上がりをもたらしてきたのがFRBの緩和マネーであった以上、資産買い入れの縮小で新興国市場から資金が逃げ出すというのが、ほとんどの投資家が導き出した合理的な想定だった。

だがアジアの資金フロー統計をみると、事態は正反対であることが分かる。ポートフォリオマネジャーは、FRBが金融引き締めを緩やかなペースでしか行わず、米経済が世界の成長を押し上げるほど力強い場合だけ引き締めに動くとの期待を背景に、依然としてアジアに資金を投入し続けている。

ソシエテ・ジェネラル(香港)の調査責任者、ガイ・ステア氏は「実際にアジアから投資家が退出する動きは見られない。これまでのところ、アジアの中でさえ資金移動は目撃されなかった」と述べた。

投資家が大規模にポジションを変更している目立った兆しは見当たらないが、例外はFRBの資産買い入れ縮小が起きた場合に備えたヘッジ取引だ。

アナリストは、米ドル高で悪影響を受けるインドネシアルピアや韓国ウォンなどのプロテクション買いといった「防衛的トレード」を推奨しており、これらの通貨のフォワード市場はそうしたヘッジ取引と整合的な動きを示している。

<売りの対象>

バーナンキFRB議長が議会証言で資産買い入れ縮小の可能性に言及してから数日が経過した5月27日の時点でさえ、中国を除くアジア市場にはいずれも資金が流入していた。

一方でストラテジストは、米金融政策の変更や、中国経済の一段の減速で打撃を被りそうな資産は売却したり、投資は避けるべきだと提案する。こうした売りの対象としては、中国向け貿易比率が大きい豪ドルや、値動きが米国債と直接連動しているアジアのドル建て高利回り債、世界的な低金利局面では格好のバッファー役になっていた高配当株などが挙げられている。

既に売りが現実化し始めた兆候もある。豪ドルは1年7カ月ぶりの安値に沈み、2037年償還のフィリピンのドル建て債は利回りが65ベーシスポイント(bp)上がって4.2%に達した。高配当銘柄が入っているMSCIのアジア公益株指数.MIAPJUT00PUSは、過去1カ月で6%強下落した。

もっとも経済成長が高まる局面で堅調になる銀行などの景気循環株は今も過大評価には程遠く、これらは性急に売られそうにないことがうかがえる。

さらにアナリストによると、FRBが前もってシグナルを送り、金融緩和をゆっくりと解除し、企業利益が回復するのを確実に見届けてから実際に行動するならば、世界の株価は引き続き債券をアウトパフォームするだろうという。

シティのストラテジスト、マーカス・ロスゲン氏は、国際ポートフォリオマネジャーは既に新興国市場の投資については、特にアジアでアンダーウエートにしており、アジアの資産でアンダーウエートの度合いを必ずしも一段と高めないと思うとの見方を示した。

ロスゲン氏は、中国やシンガポールの金融株、北部アジアのハイテク株などのバリュエーションは低水準で、これから先何年も利益はごくわずかかゼロになると見込んでいると指摘。これは投資家が悲観的になり過ぎていることの表れだとしている。

<高利回り債に潜む危険>

FRBの資産買い入れ縮小に対してアジアの資産で最もリスクが大きいのは債券だろう。過去4年間は、債券市場への資金流入規模に比べれば、株式市場への資金流入はずっと小さかった。

例えばインドネシアの場合、同国債への資金流入は昨年が50億ドルだったのに加えて、今年これまでにも34億ドルに達し、利回りを2008年の3分の1の水準まで押し下げるとともに、外国人の保有比率は過去最高の34%になった。

アジアの政府や企業もユーロや円、ドルの金利が低い状況を利用して大規模な借り入れに動き、昨年の資金調達額は過去最高の1338億ドルで、今年これまでにも876億ドルを調達している。

しかし香港を拠点とするヘッジファンド運用担当者の1人は、今はある程度のリスクを解消する絶好の時期だと話し、レバレッジを利かせた投資家は米国債利回り上昇で損失を出しているので、高利回り債市場には「危険が潜んでいる」と付け加えた。

米10年債利回りは足元で2.2%と、5月だけで約60bpも上がっている。

ただ、投資家が逃げ出すかとどまるかを左右するのは、為替相場に関する見方になるだろう。インドネシアなど一部の市場では、既にヘッジコストが債券投資のリターンを上回っている。

またアナリストの意見が一致しているように思われる点の1つとして、ドルが上昇するとの予想が挙げられる。FRBのよりタカ派的な姿勢が理由であり、逆に世界経済が悪化すればリスク回避の動きが再燃するためでもある。

ソシエテ・ジェネラルのステア氏は「市場参加者の心配は、米金利との相関よりも為替相場に関する方が大きい。東南アジアの通貨が値上がりすると考えないなら、これらの地域の債券を保有し続ける大きな理由は見当たらない」と説明した。

(Vidya Ranganathan記者)

ロイターサミット:米個人投資家は株への回帰に慎重
2013年 06月 3日 13:34 JST
[ニューヨーク 2日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAC.N)とウェルズ・ファーゴ(WFC.N)の資産運用部門責任者は、米個人投資家の多くはなお株式市場への投資に非常に慎重だと述べた。3日に始まる「ロイター・グローバル・ウエルス・マネジメント・サミット」を前に、インタビューに答えた。

米国株はことし過去最高値を更新しているが、2008年の世界金融危機の記憶や相場への不信感が根強く、個人投資家は危機前のように元気よく株式市場に戻ることは思いとどまっているという。

メリル・リンチ・ウェルス・マネジメントのヘッド、ジョン・ティール氏はニューヨークの事務所でインタビューに答え、「2008年と09年の出来事と、それが人々のポートフォリオに及ぼした影響についての記憶はまだ鮮明だ」と述べた。

ティール氏は、業界が前進する上で最大の課題の一つとして、顧客に信頼感を回復させ、目的を定めた資産運用へと導くことを挙げた。例えば退職金から十分な利益を引き出すといった目的だが、低利回りの投資商品に資金を退蔵させていては達成不可能だという。

ティール氏は、株式は約20年間堅調に推移した後、過去10年間はアンダーパフォームしていると指摘。「そうした記憶を一新する必要があるが、人々の意識を変えるのは難しい」と話した。

<様子見続ける投資家>

米政府と議会が、増税と歳出の強制削減が同時に実施される「財政の崖」を回避したため、ことし初めには資金が一部株式に戻ったが、多くの個人投資家はまだ様子見を続けている。

ウェルズ・ファーゴで資産運用・ブローカレージ・退職金部門のヘッドを務めるデービッド・キャロル氏はノースカロライナ州シャーロットの事務所でインタビューに答え、1月から3月にかけて顧客は株式よりも債券に多くの資金を投じたと説明。「日を、週を、月を追うごとに人々のポートフォリオの利回りは徐々に低下している。なぜなら日付の古い(利回りの高い)投資が償還を迎えているからだ。彼らはどうして良いか分からず困惑している」と述べた。

キャロル氏は2010年の米株急落(フラッシュクラッシュ)、11年の米連邦債務上限問題、ことし初頭の財政の崖問題など、「2009年以来、四半期ごとに『世界の終りだ』というようなイベントが続いている」と指摘。過去の景気後退(リセッション)や相場の大幅調整の後には安定した時期が一定期間続いた後、正常な状態に回帰しており、そうした期間が必要だと述べた。

メリルには1万4500人、ウェルズ・ファーゴには1万5000人強のアドバイザーがおり、彼らが米国で数百万人に及ぶ個人投資家の資産を運用している。

メリルのティール氏は、顧客と常に接しているアドバイザーは信頼感を再構築するだけでなく、資産運用の目的に応じた投資に導くことが重要だと説明した。





アングル:ユーロ圏銀行の超過準備が急減、高リスク投資復活も
2013年 06月 3日 15:15 JST
[東京 3日 ロイター] - ユーロ圏の金融機関が欧州中央銀行(ECB)に預けている超過準備が大きく減少している。欧州危機の収束に伴い、ECBが金融機関に長期流動性供給オペ(LTRO)の早期返済を促していることや、バーゼル委員会による流動性規制の緩和を受け、一部の金融機関が再び短期ファンディングを復活させていることが背景だ。

高利回りの商品に投資する動きもみられ、将来の「火種」とならないか警戒する声もある。

<危機後退と規制緩和>

中央銀行に金融機関が既定の所要準備を超えて積む超過準備は、マネーの一時的な「避難先」として使われることが多い。ECBの超過準備は欧州債務危機を背景に急増、昨年3月に過去最高の8079億ユーロに達したあと10月初旬までは7000億ユーロ台を推移してきた。しかし、欧州金融危機の後退で、足元の5月末では2655億ユーロとピーク時から67%減少している。

超過準備急減の要因は、欧州の金融機関がLTROの返済を急いでいることだ。欧州債務危機で信用不安が高まる中、金融機関はLTROから約1兆ユーロの資金を借り入れ、ほとんどをECBの超過準備に預けていたが、債務危機がひとまず後退したことで、超過準備を減少させている。

LTRO資金の早期返済により、2011年12月に実施されたLTRO第1弾(総額4892億ユーロ)の残高は約2816億ユーロまで低下、2012年2月に実施されたLTRO第2弾(総額5395億ユーロ)の残高は現在約4245億ユーロまで低下している。

もう一つの超過準備現象の背景は、流動性規制の緩和だ。ユーロ圏金融機関の超過準備は、パリバショックやリーマンショック、欧州債務危機などを受けた信用リスクの高まりを背景に伸び続け、信用リスクが後退した後も、長期・安定的な流動性の確保を金融機関に義務付けるバーゼルIIIの流動性強化策に対応して高水準を維持していた。

しかし、バーゼル銀行監督委員会の上部機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループの1月6日の決定により、2015年1月に完全導入されるはずだった流動性強化策は、2019年までの段階的実施に切り替わったほか「流動性強化策の内容も換骨奪胎された」(証券会社)。

流動性強化策の柱の一つはリクイディティ・カバレッジ比率(LCR)で、短期的なストレス状況が生じ、預金の流出など債務の返済を迫られる事態に対処しうるよう、十分な水準の流動性を保有することを求めている。分母はストレス時に想定される1カ月のキャッシュの流出額で、分子は適格流動性資産として100%を下回らないことを義務付ける。それが、今回の規制緩和では、国債・社債に加え、低格付けの債券や株式も適格流動性資産として認められるようになった。

<米MMFの増加>

市場筋によると、規制緩和を受けて一部の欧州系金融機関では、LTROを返済して金利を生まない当座預金を大幅に取り崩す一方で、短期ファンディングを復活させ高利回りの商品への投資を復活させる動きがみられている。一般的には、超過準備の取り崩しは、金融機関による対民間与信の増加を反映して進むこともあるが、ECBのデータではユーロ圏金融機関の民間向け与信は12カ月連続で縮小するなど、貸出は依然低迷中だ。

実際、短期ファンディングと密接な関係があるとみられている米国のプライム・マネー・マーケット・ファンド(MMF)は徐々に増加している。

欧州銀は、リーマンショック以前まで、主なドルの短期資金調達源として米国のプライムMMFに依存していたが、リーマンショックを受けて米MMFが欧州金融機関から資金を急激に引き揚げたため、多くの欧州銀はドル資金調達難に陥った。だが、ここへきて米MMFは再び対欧州エクスポージャーを高めている。

フィッチ・レーティングスによると、米国のプライムMMFは4月、ユーロ圏の金融機関が発行した証券の保有高を引き上げ、ドルベースで全体の15.1%とした。3月末比では14%の増加、昨年6月末との比較では97%の増加となった。欧州全体の金融機関が発行した証券の保有高は全体の31.8%で、3月比では8%の増加、昨年6月比では40%の増加となった。

複数の市場筋によると、欧州銀が米MMF経由で調達した低コストのドル資金は、形を変えて新興国や株式市場など高リスク・高リターンの商品に仕向けられている可能性が高いという。「流動性規制緩和の決断は、モラルハザードの観点から、将来に悔いを残すだろう。金融機関が再び不安定な短期ファンディングを頼りに投機的ポジションを膨らませ、最終的には危機を招くことになる」(外銀)と懸念する声が出ている。

(森佳子 編集:伊賀大記)



英国のEU離脱は破滅的、影響力はノルウェー並みに低下=財務担当相
2013年 06月 3日 13:29 JST
[ロンドン 31日 ロイター] - 英国のダニー・アレクサンダー財務担当相(自由民主党)はロイターのインタビューで、キャメロン英首相(保守党)が約束した欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票について、破滅的な結果を招くと批判し、域内における英国の影響力が著しく損なわれてノルウェー並みになるとの警戒感を示した。

首相は1月、2015年の次期総選挙に勝利すれば国民投票を実施すると表明。保守党議員の多くがこれを支持しているが、連立を組む自由民主党は反発し、連立政権内に亀裂が生じている。

アレクサンダー財務担当相が例示したノルウェーはEUに加盟していないが、単一市場関連法規の大半を採用することで同市場へのアクセスを確保している。担当相は「ノルウェー人はブリュッセル(EU本部)からファクス送信されてきた新規則を、変更を加えずに実行するしかない」と指摘。「国際的な影響力と指導力に価値を置き、貿易上の地位を維持したい英国にとって、法律の大半は自ら策定するのではなくブリュッセルからファクス送信されるという状況は非常に悪い」と述べた。

財務担当相は、債務危機を契機としたユーロ圏の変革は、英国にとってEUの変革を主導するまたとない機会であり、離脱すべきではないと主張。「欧州を先導できる素晴らしい機会を得た時に、今こそEU離脱を検討すべきだと唱えてばかりいるのは無責任であるばかりか、完全に間違っている」と語った。

アレキサンダー氏は「英国のEU離脱は経済、投資誘致、貿易、雇用、政治的影響など、あらゆる水準において破滅的な結果をもたらそう」と警告した。

世論調査では多くの英国人がキャメロン首相の対EU政策を支持し、欧州懐疑派が大勢を占めるメディアも支持の姿勢を示している。



06. 2013年6月03日 20:10:48 : w3lJpqNL4Q
コメントが長い。。。笑

07. 2013年6月05日 01:03:01 : OHdkCiO8Z6

QEの展開が思うように行かない
と、無意味なありきたりのコメントが増える。
流れを壊したいと結う事だろうが、
やはり内容を重視しよう
コンパクトで切れのいいのいい、
管理人さん行数制限をして頂きたい。

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