★阿修羅♪ > 経世済民80 > 245.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
円安進まず日本株に「誤算」、米金利上昇よりもリスクオフ主導  ロイター
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/245.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 6 月 03 日 17:40:01: mY9T/8MdR98ug
 

[東京 3日 ロイター] - 米金融緩和の早期縮小観測が強まる中で、日本株にとって「誤算」だったのは、円安が進まなかったことだ。

流動性縮小懸念が出て米株が下落しても、米金利上昇によるドル高/円安が日本株を支えると期待されていたが、米株安によるリスクオフの力が強く、あてがはずれた格好になっている。市場では、中期的な円安・株高シナリオは依然として堅持されているが、短期筋の円売りポジションが積み上がっており、短期的な円高リスクへの警戒感も強まっている。

<リスクオフによる円高再び>

日本株は目先の底値を探る展開だ。「3分の1押し」は調整局面での一つのめどだが、日経平均.N225は昨年11月13日の8661円から5月23日の高値1万5942円までの上昇幅7281円(84%上昇)の3分の1押し(2427円安の1万3515円)を割り込んでも下げ止まる気配を見せていない。週明けの市場では512円安の1万3261円と4月18日以来の水準まで下落。次の節目である「半値押し」水準の1万2300円も視野に入れようとしている。

売り材料となっているのは、米金融緩和の早期縮小観測だが、日本株にとっては円安が進まないという「誤算」が出たことも売りに拍車をかけている。「出口」観測で米株が下落しても、米金利上昇によるドル高/円安が進めば、日本株を支えると期待されていた。

だが、意に反し、ドル/円は100円割れをうかがう展開だ。企業の想定為替レート90─95円にはまだ余裕があるが、一段の円高進行を警戒し、ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)やトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)など主力輸出株が軒並み売られている。

ドル/円が下落した要因は米株の下落にある。「現在は金利差よりも米株がドル/円を左右する要因になっている」(IG証券マーケットアナリストの石川順一氏)とされ、リスクオフ時は株安・円高という連想が、ここにきて再び強まっている。米緩和縮小観測を強めたのは、堅調な経済指標であり、景気が回復すれば株価にもプラスであるが、超金融緩和による過剰流動性が押し上げてきた金融相場だけに、緩和縮小観測は、リスクマネーの縮小を懸念させ、売り材料視される展開となっている。「米株上昇による資産効果が米経済を押し上げている原動力であり、米株下落はリスクオフムードを強める」(国内証券)という。

ドル/円については、中期的な円安トレンドが崩れたわけではないとの見方が依然多い。JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は「これまで日本株を買って円を売っていた投機筋が、ポジションを巻き戻すため日本株売り、円買い戻しに動いている。この過程で100円割れの可能性は十分にあるが、100円を下回ったからといってトレンドが変化するとは見ておらず、調整が一巡し、リスクテークに対するセンチメントが回復すれば、中期的に再び株高・円安の流れに回帰する可能性が高い」と述べている。

ただ、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の取組によると、5月28日までの週で、短期筋の円ショートポジションは9万9769枚と昨年11月半ばからの「安倍相場」で最高となった。5月23日からの日本株の急落にともないドル/円も103円台から100円台まで下落しており、ポジションはある程度解消されているとみられていたが、予想に反する結果となっている。市場の一部を示すデータであり、実勢を表さないこともあるが、市場では、米株が調整局面入りすれば、ポジション巻き戻しによる短期的な円高が進む可能性がある警戒されている。

<容易ではない「出口」、懸念の揺り戻しも>

市場関係者を警戒させる米緩和縮小観測だが、そう簡単には「出口」には向かえないとの見方も多い。米経済は堅調だとしても、グローバル経済は相変わらず弱いためだ。HSBCが3日発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.2(速報値は49.6)となり、4月の50.4から低下。2012年10月以来の低水準となった。オランダ経済分析局が公表している世界貿易量は依然低迷しており、「世界の工場」たる中国は過剰生産能力という問題を抱えつつある。

ユーロ圏の4月失業率は12.2%と過去最悪。「米金利を上げれば世界の金利の上昇圧力になるため、FRBは慎重に判断するだろう。世界経済が落ち込めば米国も無傷ではいられない」(邦銀)。

米経済自体も足元の経済指標はまちまちだ。前週末発表された5月のシカゴ地区購買部協会景気指数は58.7と大幅に上昇し、「出口」観測を強めたが、FRB(米連邦準備理事会)が重視する米商務省発表の個人消費支出は4月、前月比0.2%減と1年ぶりに減少した。今晩発表される5月ISM製造業指数の市場予想は50.5と50はかろうじて上回るものの、前月の50.7から若干低下する見通しだ。

弱い経済は株価にとってマイナスだが、金融相場のなかでは、足元の相場とは逆の展開になり、緩和継続観測の方を重視して、株高基調に回帰する可能性もある。日本株はヘッジファンドなどの先物売りで依然軟調だが、市場では「収益改善期待に対しやや売られすぎの銘柄も出てきた」(岩井コスモ証券・本店営業部副部長の中島肇氏)との声も聞かれている。いつまでも「出口」に向かえないことは、超金融緩和による「歪み」を増大させ、長期的には望ましいことではないが、短期的には米緩和継続は株価反発要因になる。

三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「FRBはQE3(量的緩和策第3弾)をなかなかやめられないだろう。不健全な社債発行など問題も出ており、やめたいと考えるFRB当局者も増えてきているが、世界経済は弱く、急な金利上昇に耐えられる力はない。こうしたモヤモヤは市場も同じで、いろいろな材料に一喜一憂する展開が続きそうだ」との見方を示している。

(伊賀 大記 編集:田巻 一彦)


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95206R20130603?sp=true  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年6月03日 18:55:22 : nJF6kGWndY

そもそもバーナンキは、QEを止めるなど言っていない

仮定の話として、景気が良くなってくれば、国債買い入れを減らすこともあると言っているだけで、当然の話だ

今後、景気が回復するなら、QE解除を織り込んで行く過程で、株や金などリスク資産が下落しても特に問題にする必要もないだろう


02. 2013年6月03日 23:58:06 : FfzzRIbxkp
株価下落は調整局面だろうと、官房長官が会見でコメントしちゃってるけれど、
もうこれって「風説の流布」なんじゃないの?

株式相場の変動を図る目的で、虚偽(真実ではないと知りながら真実であるかのようにみせること。うそ。いつわり)の情報や未確認の噂を流布(世間に広まること)する行為。

証券取引法により禁止されていま〜す。


03. 2013年6月04日 00:23:47 : e9xeV93vFQ
SF連銀総裁:資産購入はこの夏から縮小の可能性

  6月3日(ブルームバーグ):サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は3日、米金融当局の債券購入プログラムは向こう3カ月の間にに縮小が始まる可能性があり、年末までに終了することもあり得ると発言した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は5月1日、月850億ドル(約8兆5300億円)の債券購入を継続することを決めた。失業率が6.5%を上回りインフレ率が2.5%以下にとどまっている限り、ゼロ金利 を維持するとも表明した。
ウィリアムズ総裁はストックホルムで記者団に、雇用に関する「良い兆候」と信頼感の「大幅な改善」の中で「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らくは下方向への幾分の調整があり得ると思う」と述べた。「購入プログラムは景気の勢いを強めるという大きな成果を上げており、年後半に入っても継続されることが望ましい。しかし、事態が良くなっている場合は、年末までに終了することも想定外ではない」と語った。
ウィリアムズ総裁は、米経済成長率が今年約2.5%、来年3.25%程度になるとの見通しを示した。住宅市場と個人消費は「順調に回復している」ものの、財政政策が今年の成長を抑えるだろうと述べた。
米当局は2012年1月にインフレ目標を設定。長期的に2%前後のインフレ率を目指している。ウィリアムズ総裁はインフレ率が現水準にとどまれば懸念材料だとした上で、「向こう数年の間に」2%に向かって上昇していくだろうと述べた。
「現在のインフレ率はむしろ1%の方に近く、これが続くとすれば懸念材料であることは明らかであり、金融緩和拡大の議論の根拠になるだろう」と述べた。「従って、労働市場と信頼感の改善が続くかどうか、景気の勢いが増していくかどうかが私としては問題だが、同時にインフレの見通しを注意深く見守ることも重要だ」と語った。
原題:Fed’s Williams Says Sees Potential QE Taper This ‘Summer’(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ストックホルム Johan Carlstrom jcarlstrom@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/03 22:48 JST


 


円高加速し対ドルで100円突破、弱い米ISM製造業景気指数で
2013年 06月 3日 23:35 JST
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 3日午前の米ニューヨーク外為市場で、ドルが対円で節目の100円を割り込み、5月9日以来の安値をつけた。米ISM製造業景気指数が2009年6月以来の低水準に落ち込むなど、弱い内容となったことを受けた動き。

円は対ユーロでも買われ、ユーロ/円は5月9日以来の安値となる 129.50円をつけた。


 
米ISM製造業景況指数:5月は49に低下、予想は51への上昇 
  6月3日(ブルームバーグ):米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業総合景況指数は49と、前月の50.7から低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は51だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
原題:May ISM Manufacturing Index Decreased to 49 from 50.7 inApril(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Shobhana Chandra schandra1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/03 23:04 JST


 

米建設支出:4月は前月比0.4%増、民間部門伸びる−公共は減少 (1)
米スプリント:ディッシュのクリアワイヤ買収案は実行不可能
NY外為(午前):円が上昇、1ドル=100円突破−5月9日以来
中国の鶏肉加工工場火災、習国家主席が調査を指示−119人が死亡


 


円高加速し対ドルで100円突破、弱い米ISM製造業景気指数で 2013年 06月 3日 23:35 JST
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 3日午前の米ニューヨーク外為市場で、ドルが対円で節目の100円を割り込み、5月9日以来の安値をつけた。米ISM製造業景気指数が2009年6月以来の低水準に落ち込むなど、弱い内容となったことを受けた動き。 記事の全文

鴻海が米モジラ財団と提携、「ファイアフォックス」搭載機展開へ 2013年 06月 3日 21:51 JST
[台北 3日 ロイター] - 台湾の電子製品受託生産大手、鴻海(ホンハイ)精密工業は3日、米非営利団体のモジラ財団と提携し、同財団開発の基本ソフト(OS)「ファイアフォックス」を搭載したスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットなどの商品を手掛けると明らかにした。基幹事業である受託生産からの多角化を目指す。 記事の全文

米GM、新興国市場向けに中国製自動車の輸出を拡大へ 2013年 06月 3日 21:31 JST
[北京 3日 ロイター] - 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は、中国で開発した低コスト車への強い需要を受け、2013年に中国からの輸出を70%近く拡大する計画。同社中国部門のボブ・ソシア社長が明らかにした。 記事の全文

米景気改善継続なら資産購入縮小可能=SF地区連銀総裁 2013年 06月 3日 21:20 JST
[ストックホルム 3日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は3日、景気の改善が続けば、米連邦準備理事会(FRB)は資産買い入れを縮小することが可能との見解をあらためて示す一方、低水準のインフレ率を注視する必要があると述べた。 記事の全文

円安定着なら白物家電の国内生産増へ、秋に判断=パナソニック専務 2013年 06月 3日 19:50 JST
[大阪 3日 ロイター] - パナソニックは3日、円安進行の対策として、白物家電の国内での増産を検討していることを明らかにした。 記事の全文


04. 2013年6月04日 01:06:52 : e9xeV93vFQ
“静観”決め込む1万3500円割れ

「まだ弱気になれない」これだけの理由

2013年6月4日(火)  松村 伸二

 株式相場の調整が止まらない。3日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅に反落。約1カ月半ぶりに1万3500円を割り込み、1万3200円台へ沈んだ。この1カ月半の上げ下げを振り返ると、当初、約5週をかけて1万6000円近くまで上昇したこともかなり急な動きだったが、その後は同じ幅を1週間ちょっとで帳消しにするという、「暴落」と言っていい崩れ方だ。

 ところが市場からは、必ずしも悲壮感に満ちた声が漏れてくるわけではない。昨年11月半ばに野田佳彦前首相が「衆院解散」を宣言して以降の上昇率が8割から5割強へ「落ち着いた」といった冷静な受け止め方が、いまだ少なくないのが実情だ。

次のポイントは「1万3000円」

 今回の調整場面では、いわゆるチャート分析上で意識された水準のポイントをすでにいくつか割り込んできた。5月27日に「25日移動平均(1万4300円近辺)」、5月30日に心理的な節目の「1万4000円」、そして、過去の累積売買代金が比較的積み上がっていた「1万3500円〜1万4000円」の価格帯も下回った。

 今のところ、こうしたチャート上で先を読めることが、市場心理を落ち着かせている面があるという。

 次のポイントとしては、「1万3000円」の節目近辺を意識する市場参加者が多い。昨年11月半ばの8600円台から今月5月22日の1万5600円台までの上げ幅のうち、「黄金分割比率」という割合である「38.2%」分が調整する水準が「1万2966円」に当たるというのが1つ。

 加えて、下に示した「一目均衡表」というチャートでは、2本の灰色の線に挟まれた「雲」と呼ばれる価格帯が次の支えになると見られている。実はこのチャート分析では、今回は描画していない別の線が相場の下振れを示唆しているが、目先はこの「雲」の中の水準「1万3000円近辺」が緩衝材になると見られている。


実は売る理由に乏しい海外投資家

 日本株を取り巻く世界経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)から見ると、今の調整局面はどう映るか。株価が下がり始めてから1週間強が経ち、市場の見立ては徐々に集約されている。

 1つは、世界的な流動性相場が曲がり角を迎えるのではないか、という見方だ。5月23日の「1000円安」のきっかけが、その前の日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言だったことが、それを言い尽くしている。バーナンキ議長が年内の量的緩和の縮小を示唆したことで、世界の株式市場に集中していた投資資金の逆流が連想されたわけだ。

 もっとも、FRBが金融緩和の出口を探るということは、米国の景気が改善に向かうということであり、本来なら株価にはプラス要因とされるはず。このことも、足元の株安が、あくまでも「調整」の範囲と受け止められる所以の1つだ。

 そして、日本株を売っている“犯人”として話題に上ることが多い「外国人投資家」。その実相は、積極的に売るほどの日本株をまだ保有していないという。これまでの日本株売買の主体としては、投機的に資金を素早く移動させるヘッジファンド説が有力視されている。ある海外投信の日本株担当者も、「年金といった、ど真ん中の海外投資家に日本株を売り込むのは、むしろこれから」と打ち明ける。

 しかも、外貨建て換算で儲けを考える海外投資家にとって、日本株の価値が目減りしやすい円安進行の下で、利益確定売りを急ぐ必要性は乏しいとの指摘もある。

 下のグラフは、「円ベース」である通常の日経平均と、ドルベース日経平均、ユーロベース日経平均について、これまでの推移の仕方を指数化して比べたものだ。これを見ると、ドルやユーロに対して円安が進んできた分、外貨建て日経平均のほうが、上がり方が相対的に緩やかだ。このことは、海外投資家にとって、日本株高の過熱感が極端に高まっていたわけではないということを物語る。


「過熱感」解消で政策を催促

 相場のどこが過熱していたのか。元凶は様々指摘されるが、業種別の騰落状況を見ると、1つの側面が浮かび上がる。日銀が「量的・質的金融緩和」の導入に踏み切った4月4日の前の日から6月3日までの、業種別日経平均の騰落率をまとめたのが下の一覧だ。日銀による「異次元緩和」効果を先行して織り込みすぎた業種が、今になって下げがきつくなっている。


 「倉庫」を始め、「鉄道・バス」、「小売業」、「不動産」と、下げた業種には、ひところ市場で話題になったテーマ「土地持ち銘柄」が並ぶ。日銀の大胆な金融緩和で、土地の含み益が拡大するとの思惑で買われたこれらの業種は、しっぺ返しを受けている。

 この間に上昇をキープしている“勝ち組”の上位は「精密機器」や「機械」、「自動車」など世界的に競争力を維持している業種で、日経平均を大きく上回る力強さがうかがえる。

 こうした、日本企業の底力を支えるために、大きな期待が掛かっているのが、安倍晋三政権が放とうとしているアベノミクスの第3の矢、成長戦略だ。市場は、成長分野の産業を活性化する強力な施策を切望するが、とりまとめが直前に迫る中で、その期待に応えるような政策案はまだ見えてこない。

 「成長戦略をまとめる直前に株価が大きく調整したことは、政府に改めて本気で政策を考えてもらうための、相場からの催促」。SMBC日興証券の西廣市・株式調査部部長は、最初のきっかけが海外要因に限られ、国内要因で悪材料が特に出ていない中での足元の調整場面を、次のステップへの踊り場と位置づける。

 この先、相場が次の上昇局面を目指すのか、もしくは、さらに崩れる方向へ向かってくのか。グローバルな流動性相場の行く末を占う上で、7日に発表が予定される5月の米雇用統計に世界の注目が集まる。ここで、米量的緩和の縮小観測が一層強まれば、日本株もさらに痛手を被りかねない。その余波をどこまではね除けられるかどうか。市場関係者は、近くとりまとめられるアベノミクスの成長戦略の中身をこれまで以上に注視している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130603/249058/?ST=print


 
異次元緩和で債券相場が止まらない

“劇薬”飲んだ市場の長引く治療期間

2013年6月4日(火)  岩下 真理

 日銀が4月4日に「異次元緩和」を決定してから、ちょうど2カ月となる。その間、円の対ドル相場は1ドル=93円台半ばから一時103円台まで円安が加速。日経平均株価は1万2000円近辺から一時1万6000円手前まで株高が進行した。ところがその後、5月下旬以降は、この円安・株高の進行に急ブレーキが掛かっている。日銀は早くも難問にぶつかったことになる。

 そもそも2カ月前、日銀は黒田東彦新体制の下、「レジーム・チェンジ」が期待された4月3〜4日開催の金融政策決定会合で、想定以上の大胆な金融緩和策を“有言実行”で決定した。新体制下の初会合で大方の議案をほぼ全員一致で決めてしまい、全ての市場の期待に応える品揃えを整えるトップダウン方式かつ、短期決戦のサプライズな結果だった。


「異次元緩和」からちょうど2カ月。日銀は早くも難問にぶつかった
 この決定プロセスは、黒田総裁が財務官経験者ならではという、過去の大規模な為替介入の実績を模倣した印象を受けた。また全員一致で決定できたのは、黒田総裁がわざわざ懐に呼び寄せた前大阪支店長、雨宮正佳理事を含めた事務方「チーム黒田」の調整作業と苦労の賜物だろう。

 これを受けた5月下旬までの円安・株高の動きを振り返ると、日銀が断行した「量的・質的金融緩和(Quantitative and Qualitative Monetary Easing=QQE)」の主目的である「資産価格のプレミアムへの働きかけ」「市場の期待の抜本的転換」には成功したと言える。

債券市場を混乱に陥れた異次元緩和

 ところが、その一方で、QQE直後の債券相場は乱高下し、その後も不安定な動きを続けている。日銀の大量買い入れにより、市場での国債の取引量が減ると、買い注文と売り注文で新たに出合う値段が上下に飛び易くなる。一旦売りが出ると一気に価格が下がり、一旦買いが入ると一気に価格が上がるという、値動きが激しい事態に陥った。

 外国為替市場と株式市場には恩恵をもたらした半面、このように債券市場の頭を悩ませている、日銀の異次元緩和の中味を改めて考えてみよう。

 大胆な金融緩和の第1弾は「量的・質的金融緩和」の導入で、具体的には大きく3つある。(1)マネタリーベース・コントロールの採用、(2)長期国債の買い入れ拡大と年限長期化、(3)上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)の買入れ拡大である。金利の世界に直接的に影響を与えるのが(1)と(2)。そして大胆な緩和策のキーワードは「2倍」だ。

 QQE決定時の声明文の冒頭で、物価安定目標2%を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すると明記。目標の達成時期に明確にコミットした点は白川方明前総裁との違いを鮮明にした。

 (1)は量的緩和への復帰宣言だ。量的な拘りをマネタリーベースの数字で表すことにし、これを2年間で2倍にすると明言した。大胆さを世の中に示すためには、2倍は必要という認識があったようだ。


新しい指標の採用で金融緩和の「量」は明確になった
 マネタリーベースの選定は、岩田規久男副総裁の理論を尊重しつつ、諸外国と緩和度合いを比較するための説明に都合が良いとの考え方がメンバーのコンセンサスとなった。

 日銀のディレクティブを金利から量に変更した結果、短期金利のアンカーがなくなり、時間軸(債券市場が織り込む、実質ゼロ金利政策が維持される期間)を曖昧にしたことは、後々、禍根を残すことになる。

問われる金融市場局の手腕

 (2)は、2年間で国債の保有額と平均残存年限を2倍にするという方針だ。年間50兆円に相当するペースで買い入れを増加し、買い入れ対象の平均残存期間を現状の3年弱から7年程度に延長という大枠のみを金融政策決定会合で決定。国債の量と質の両面の拡大を図った。この大枠の方針のもと、詳細な運営は、従来から市場との窓口になっている金融市場局の裁量に委ねることになった。

 実は、その点を日銀は声明文に分かり易く明記しておくべきだった。声明文に新たに「市場参加者との対話の強化」という項目が加わっただけに、尚更である。何故ならば、4月4日は、会合結果を13時40分に発表してから、金融市場局が「当面の長期国債買入れの運営について」を18時過ぎに公表するまで、4時間20分のタイムラグがあったのだ。

 ここのところが、債券市場を混乱に導いてしまう起点となったと言っていい。

 その4時間もの間、債券市場では国債の買い入れの対象年限と金額について様々な予測と思惑が迷走し、特に10年超のゾーンで金利が急低下する動きとなった。

 短時間で纏めあげた金融市場局の努力は理解できる。しかし、いくら黒田総裁が分かり易さをアピールしたつもりでも、これでは日銀の施策は分かりづらいと市場関係者から批判を浴びても仕方がない。

 結局、長期国債の毎月のグロス買い入れ額は7兆円強となる見通しだ。この買い入れ額は、新発国債のうちの7割弱を日銀が買い占める形であり、“国債の日銀相場”と揶揄された。

 イールドカーブ全体の金利低下を促す観点での施策とはいえ、債券市場の流動性低下をもたらす大量の買い入れが“劇薬”であることは、その後の市場の動きが示すことになる。

 「異次元緩和」決定直後こそ、市場で債券が買い進められ、イールドカーブが低下したものの、翌4月5日には、債券相場は乱高下することになる。日銀の金融市場局は当初4月4日に発表した「長期国債買入れの運営」について、わずか2週間後の4月18日、早くも見直しせざるを得なくなった。

 当初のオペ1回当たりの金額を減らし、オペの回数を増やす対応をしたことは評価される。それでも債券相場の乱調は止まらない。その背景には日銀の大量の国債買い入れによる流動性低下に加え、一部投資家によるポートフォリオのリバランスの動きが見え始めたこと、そして、5月は国債入札ラッシュに対して投資家が身構えていたことなどがあったと思われる。

「イールドカーブ押し下げ」は封印

 加えて5月3日発表の4月の米雇用統計が市場予想より景気の強さを示す内容となると、今後の米景気回復の期待、および米連邦準備理事会(FRB)による「出口戦略」が早まるとの思惑が台頭。市場で「リスクオン」の動きが強まり、海外発の金利上昇要因が背中を押した。結局、日銀の狙いとは裏腹に、イールドカーブは異次元緩和前よりも押し上げられてしまった。


イールドカーブは日銀の狙いとは逆に全体が切り上がってしまった
 黒田総裁は5月22日の定例会見で、長期金利の動向を注視する姿勢を示したが、ある程度の金利上昇は容認しつつ、過度な金利上昇に備えたオペ対応に含みを残す発言をした。4月4日の声明文に掲載した「イールドカーブ全体の金利低下を促す」という文言は封印され、「働きかける」姿勢を前面に出した格好だ。

 先行きの景気回復や物価上昇への期待を背景とした金利上昇に対して、日銀が大量の国債買い入れを推し進めれば、プレミアム圧縮効果により、「長期金利の跳ね上がりは十分に防止できる」との見解である。

 足元の日本の潜在成長率が0%台半ば、そして、インフレ率が今夏に前年比プラス圏に入るという想定でも、名目長期金利の適正水準はせいぜい1%前後の見積もりとなる。長期金利が1%を大きく超えていくような過度な金利上昇は、景気面および、金融機関の収益面や民間企業の資金調達面にも悪影響が出ることから、日銀は使命感を持って抑制していくべきだろう。

 その象徴的な出来事は5月23日に起こった。長期金利が朝方に約1年2カ月ぶりに一気に1%をつけると、日銀は残存期間が5年以下の国債買い入れと1年物の固定金利オペで総額2.8兆円超の大規模オペを通告した。財務省の流動性供給入札(残存5年超、15年以下)と同日の国債買い入れオペ実施は、対象残存期間が重複していないとは言え、初めてのことだ。

 このときは日銀の弾力的なオペ対応を債券市場は評価し、ひとまず安心感が広がった。“禁じ手”の慣例化で、6月以降のオペ日程も増やすことが可能となった。

 日銀はその後も機動的に策を講じようとしている。5月30日発表の「長期国債買い入れの運営」第3弾では、残存期間1年超、5年以下と10年超で、買い入れ頻度と1回当たりのオファー金額の上限を引き上げた。無用な混乱を避けるために、日銀は市場との意見交換会を定期的に開催し、市場との対話を強化しつつ、柔軟なオペ対応で債券市場の安定化に努める姿勢だ。

 もっとも、こうした“劇薬”を飲んでしまった債券市場の治療期間は、当初想定したよりも長引きかねない。株高・円安進行の一服感、長期金利1%の達成感、そして5月の国債入札ラッシュの一巡により、徐々に金利上昇圧力は弱まっていくだろう。国内要因だけなら、国債入札とオペをこなしながら、各年限の落ち着きどころを探る展開が見込まれる。しかしながら、海外要因は日銀ではコントロールできない。

 米国では、強めの内容の経済指標発表に伴って、FRBの出口戦略に対する見方が交錯し、ここに来て投資家がリスクを落とすような米国債売却に動き始めている。6月7日に発表予定の5月の米雇用統計で、米国発の次の波が押し寄せてくるかもしれない。

今後の注目タイミングは7月と10月

 こうした海外要因に少しでも揺さぶられなくて済むように、政府と日銀はともに、実効性のある政策を打つことで、足元を固めていく必要がある。

 日銀は、黒田総裁が4月4日の初の定例会見の際、「戦力の逐次投入をせずに、現時点で必要な政策を全て講じた」と語ったことが示唆するように、すでに大胆な緩和を実行に移したことから、当面は今の政策で様子を見ていくことになるだろう。

 その影響力が持続するためには、期待を織り込む過程から、今後は実体経済の数字に反映されていくことが求められる。具体的には、消費の増加基調の継続、設備投資の持ち直し、コアCPI(消費者物価指数)のプラス転化などの確認が必要だ。

 今後、政府と日銀の政策一体運営を点検する重要なタイミングは、四半期に1回の頻度で、経済財政諮問会議の金融政策に関する集中審議が行われる時期と重なる。目先は参院選前の7月に予定される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の中間評価の時。その次は、消費税引き上げ実施の可否を最終判断するころの10月の展望レポート公表時だ。

 アベノミクス政策に対し、諸外国からは今のところ表だった批判は聞こえてこない。日銀の金融政策に対して副作用に留意しつつも、各国から理解を得られたのは、日本の内需拡大が世界に好影響を与えることへの期待によるものだ。また、米国が好意的な姿勢を示すのは、日銀の異次元緩和が、米国の量的緩和第3弾(QE3)の出口戦略に向けての緩衝材になってくれるとの考えがあるからだろう。

 しかし、異次元緩和による資産価格の上昇、それに伴う金融面の不均衡への不満は水面下で燻り始めている。

 そうした不満を和らげるには、金融政策以外の部分も重要になってくる。政府は6月中に取りまとめる成長戦略を実効性ある政策にすることが求められる。対外競争力の回復に繋がる規制緩和の具体策も待たれる。

 それが実現しないと、日銀の負荷はさらに増しかねない。市場の歪みが一段と増幅しないよう、日銀は今後も工夫を求められ続けることになるだろう。


岩下真理の日銀ウオッチング

安倍晋三政権が放つアベノミクスの3本の矢のうちの1つ、日銀の大胆な金融緩和策。財務官出身の黒田東彦総裁の下で、「量的・質的金融緩和」という未曾有の大実験が始まった。果たしてデフレを克服し、日本経済を再生することができるのか。長年、金融政策を追いかけてきた数少ない女性の「日銀ウオッチャー」、SMBC日興証券の岩下真理氏が、独自の視点で日銀の一挙手一投足を読み解く。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130531/248939/?ST=print


 


 


FRBは「緩和停止」ではなく「緩和微調整」へ

市場との対話に苦慮する中央銀行

2013年6月4日(火)  倉都 康行

 日本では長期金利が不安定化し、ドル円の100円割れが意識されて株価も1万3000円台まで逆戻りするなど、東京市場には甘利機長の「当機は間もなく乱気流を抜けます」とのアナウンスが虚しくこだまする。だが米国市場では「日本の現象は円安・株高のスピード調整」という局部的現象だとの見方が強く、米株はまだ地合いの強さは損なわれていない。

 筆者が仕事柄常に注目しているクレジット市場においても、ジャンク債市場ではさすがに平均利回り4%台という異様な水準は修正されてきたが、低格付け企業への融資意欲は旺盛で、いわゆる高利回りの「ローン・ファンド」にも個人資金が大量に流入している。欧州でもこれまでの南欧国債の投げ売りが嘘のように静まり返り、ギリシャ10年債の利回りは先月8%台にまで低下し、ポルトガルの10年債入札にも国外から旺盛な需要が寄せられるなど、昨年とはずいぶん様子が変わってきた。

 マクロな経済指標を見る限り、世界の実体経済が上向いているとは必ずしも言えないところがある。確かに米国では住宅市場が急回復して、一部にはバブル再燃とまで言われるような価格動向を示している地域があり、雇用も徐々にではあるが改善傾向が見えている。ただし製造業における設備投資意欲はいまだ低迷しており、海外からの需要見通しにも今一つ迫力がない。欧州経済の底打ちは来年以降にずれ込む可能性が高く、中国経済も明らかに減速し始めている。

 そんな中でのリスク資産市場への資金流入は、長期化する金融緩和の下での「流動性相場」であると言われている。つまり金融市場は過去に例がないような「実体経済からのデカップリング」状況にあるが、もう一歩その論理を進めて言えば、投資家の「現金離れ」つまり「現金売り」としての他資産への逃避と解釈しても良いだろう。それは先進国の金融当局が、量的緩和によって積極的に自国通貨価値を切り下げているからに他ならない。

9月か12月には縮小方向を具体化する見方も

 だが米国市場では、景気回復感から米連邦準備理事会(FRB)がついに量的緩和の出口に向けて舵を切り始めた、という見方が広がってきた。それが長期金利の上昇につながっている。実際に、米国の大学基金など機関投資家の「米国債離れ」のペースは顕著である。FRBが政策転換すれば、株式などリスク資産にも大きな転換点が到来するかもしれない。先月下旬からの日本株の急落は、主に日本固有の問題(上昇スピード調整や国債市場の流動性枯渇など)から発生したものではあるが、これを世界の市場変化の予兆として捉える向きもある。

 FRBが毎月850億ドルの資産を購入するQE3の見直しを始めたのは、最近のことではない。本コラムでも、3月にFRB内部で緩和の軌道修正議論が開始されている点について触れておいた(「量的緩和コストの計算を始めた米国」)。だが、春以降のタカ派地区連銀総裁の発言や、バーナンキ議長自らが先月の議会証言の質疑応答の場において路線修正の可能性に言及したことで、市場に「6月18〜19日開催のFOMCで緩和縮小も」といった声が一気に湧き上がってきた。

 6月にいきなり政策変更が決定される可能性は低いだろうが、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で買い入れ額が縮小されるとの見方は増えており、9月でなくても12月には縮小方向を具体化するかもしれない。だが、一方ではなかなか縮小に踏み切れない事情もある。筆者は、緩和の縮小開始が来年以降にずれ込む可能性もまだある、と感じている。

 いま早期の緩和停止を支持ないし期待する人々の根拠は、(1)インフレ懸念、(2)雇用市場の改善、(3)住宅市況の活況、(4)個人消費の堅調さといった経済情勢と、(5)緩和長期化による資産バブルの進行という市場情勢である。それらの点を少し掘り下げて見ておこう。

 インフレ懸念に関しては、現時点では全く問題にされていない。量的緩和がインフレに結び付くという議論は根強いものがあるが、少なくとも米国のデータを見る限り、インフレの「イ」の字も観測されず、FRB内ではむしろデフレ・リスクの方に警戒度のウエートが掛かっている印象が強い。従って、インフレ懸念は論点から外れていると見て良い。

雇用状況の判断には注意が必要

 一方で、FRBが緩和修正の尺度にしている失業率が改善傾向にあることは明確だ。就業者数は着実に増えており、失業率も7.5%まで低下してきた。6月の雇用統計も引き続き改善を示す可能性は高そうだ。

 もっとも、就業を諦める人の増加によって低下している失業率が現在の米国雇用状況を正確に表現するものでないことは、いまや周知の事実である。現在の米国の労働参加率は63.3%と歴史的に見ても低い水準だ。それは人口動態構造の変化に拠るものだ、という意見もあるが、昨今の調査では、やはり景気循環に拠るものとの主張を裏付ける実証分析が多い。徐々に雇用状況が改善してくれば労働参加率が改善し、失業率が逆に上昇する可能性もある。ヘッドラインに出てくる数字だけを見て雇用状況を判断するのは危険だろう。

 次に、住宅市況の活況である。先月発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数が主要20都市で前年同月比10.9%上昇とのニュースには、市場でも驚きの声が上がった。そのうち12都市では二桁の上昇率となっており、中でもフェニックスは22.5%、サンフランシスコは22.2%、ラスベガスは20.6%という過熱ぶりである。その理由の一つが超低金利政策であることは論をまたない。こうした統計を見れば「もう緩和は必要ない」と言いたくなる気持ちもよく分かる。

住宅価格急上昇のウラに大手投資ファンド

 だが、この住宅価格の急上昇にはカラクリもありそうだ。昨今の住宅購入に大手投資ファンドが参入しているからである。彼らは差し押さえ物件をまとめて大量に購入し、賃貸物件として運用している。従って、一件ごとの住宅価格の妥当性を精査していない可能性が高い。事実、ある西海岸の大手不動産ファンドは「素人的なマネーの参入でもはや投資できる水準ではなくなった」とサジを投げている、とブルームバーグは報じている。格付け会社のフィッチは「価格上昇ペースが早過ぎる」として、今後の価格反落のリスクに言及している。

 また個人の住宅購入を促してきたモーゲージ金利の「超低水準」にも変化が生まれ始めている。市場の政策変更の思惑で長期金利が上昇したため、米国住宅借入の標準金利である30年物固定ローン金利が3.5%前後から4%近くまで上昇しており、これがせっかく盛り上がってきた住宅市況に冷水を掛ける、と懸念する声が出てきた。日本でも長期国債下落のあおりを受けて住宅ローン金利が上昇中だが、日米ともにまだ金利上昇に耐えられるような経済状況ではない。

 では個人消費はどうだろうか。先週、市場の目を引いた指標が、コンファレンス・ボードが発表した5月の消費者信頼感指数と、第1四半期GDP改定値の中の個人消費であった。前者は76.2と前月比7.2ポイント上昇で2008年2月以来の高水準となった。後者は前期比3.4%と速報値から上方修正されている。こうした消費意欲に支えられて、ここ数カ月の新車販売は年率1500万台を維持するなど絶好調である。

 年初以来、給与税増税や強制歳出削減など個人消費へのマイナス材料が指摘されてきたが、上述した経済指標には、雇用への不安感の薄れや株・不動産など資産価格の上昇に支えられた家計心理の好転が示されている。個人消費の堅調さは確かにFRBの緩和縮小論にポジティブな材料だと言って良いだろうが、日本同様に実際の消費拡大は高額商品に限定されているとの見方もあり、消費面だけで資産買い入れ額の減少を判断する訳にはいかない。
 
 以上は、実体経済面から見た「FRBの緩和縮小」への判断材料である。これに製造業の現況を加味すれば、これまで主張されてきた緩和の必要性や重要性を覆すほどの理由は出てこないように思える。

 だが、市場状況は別物だ。上述したリスク資産のバブル懸念は、確かに緩和修正の主張に説得力を与えている。FRBは物価安定・雇用最大化のためにQE3を導入したことになっているが、株や不動産価格の上昇に拠る資産効果も狙いの一つであることは、よく知られた事実だ。ただし資産価格の上昇が行き過ぎれば、バブル破裂で市場経済に大きなマイナス効果を与える。

最も過熱しているのは「レバレッジド・ローン市場」

 メディアではダウやS&P500の史上最高値が「バブル」として報じられることも多いが、実務的に見て最も過熱しているのは、低格付け企業への融資、いわゆる「レバレッジド・ローン市場」だろう。カネ余りが恒常化している中で、邦銀なみに預貸率(貸出を預金で割った比率)が70%程度まで低下してしまった米銀は、リターンの高い貸出案件探しに躍起となっている。手っ取り早いのは資金需要の旺盛な不動産開発融資やレバレッジド・ローンである。

 融資資金が殺到すれば、リスクプレミアムは低下し、融資条件も甘くなる。最近目立つのは後者である。米国のローンには「コベナンツ(特約条項)」と呼ばれる貸し手保護のための財務的な種々の制約条件が付けられるのが普通だが、この条件を「緩める、あるいは付けない」甘いローンが増えているのである。これは、サブプイライム・ローン問題を生んだ2006〜2007年に起きたことの反復だ。

 優良企業にそうした特約条項を付けないことは往々にしてあるが、それが信用力の低い企業に適用され始めたことは、クレジット・バブル再燃のリスクを感じさせる。バーナンキ議長が時々言及する「市場の過熱リスク」は、株ではなくこのローン市場を指しているように思われる。規制強化だけでは金融危機の再来は防げないとの意識から、QE3の縮小を検討している可能性は十分にある。

 だがFRBが中途半端に緩和策を修正すれば、期待に持ち上げられた株式などの資産価値が一気に下落するおそれがある。5月の日本株の急落は、その意味ではFRBにとって「参考にすべき厄介な材料」が一つ増えた、ということであったかもしれない。

 上記のように、緩和縮小を迫る材料もあれば躊躇せざるを得ない要因もあり、なかなかメーン・シナリオが描きにくい。市場には「QE3の波に乗り遅れて儲け損なったヘッジ・ファンドらが、腹いせにメディアを使って緩和縮小論をばら撒いているだけだ」といった意見すら見かけるようになった。

 もっとも、その論はあながち邪推でもなさそうだ。伝統的な大手ヘッジ・ファンドの中には、一貫して量的緩和を批判する一方で十分なリターンを挙げられていないところもあるからだ。市場経験の長い投資家は、非伝統的な金融政策を嫌う傾向もある。市場を早く元に戻してくれ、という願いもあるだろう。確かに「景気が良ければ買い」「景気が悪ければ緩和が続くので買い」という現在の風潮は、プロが腕を見せられる環境ではない。

「Tightening(引き締め)ではなくTapering(漸減)」

 だが市場の猛者が何と言おうが、やはり最終的に方向性を決断するのはバーナンキ議長だ。では、従来ハト派と見られていた同議長がなぜ議会証言の質疑応答で緩和縮小に言及したのだろうか。以下は筆者の下種の勘繰りに過ぎないが、ご参考までに記しておこう。

 デフレはヘリコプター・マネーで止められるという持論のもと、2010年にQE2を導入した同議長は、恐らくこれで最悪期を乗り切れる、と期待していただろう。2014年1月の退任時には自説の正しさが証明されているはずだ、とも思ったかもしれない。

 だが量的緩和効果は予想以上に鈍く、2012年には無限大のQE3までの政策拡大を強いられてしまった。その一方で緩和長期化のリスクは増大し始めている。こんなはずではなかった、との思いもあろう。議長退任までに、少なくとも緩和縮小への筋道を付けておきたい、という気持ちが日に日に強まっていても不思議ではない。

 現在、次期FRB議長候補の最右翼はイエレン副議長である。同女史は現FRB内で最もハト派と見られる人物であり、QE3を継続したままバトンタッチすれば、軌道修正が難しくなる可能性もある。だから少なくとも年内には一度縮小しておきたい、景気動向が悪化すれば、その時にまた元に戻せばよい。それが議長の本音なのではないだろうか。

 実際にFOMC議事録を読むと、緩和政策は「増額、減額のどちらも有り得る」と書いてある。最近、FRBはQE3縮小を「Tightening(引き締め)ではなくTapering(漸減)だ」と表現するようになっている。市場に神経を使っている証拠である。

 だが「縮小は緩和停止へのシグナル」という短絡的な解釈が世界中に蔓延していることも事実である。FRBの軌道修正は、米国内だけでなく欧州や新興国など脆弱な市場をも直撃する可能性が高い。「QE3バブルは」新興国の国債や社債にも波及しているからだ。ルワンダが発行した4億ドルの債券に需要が殺到し、ブラジルのペトロナスは、新興国企業史上最大の100億ドル超の社債を発行する。こうした環境が一気に逆回転を始める可能性はゼロではない。

 FRBが路線変更に踏み切ったとしても、それは「緩和の微調整局面へ」と見るのが適切だろう。だが市場が素直にそう解釈するとは限らない。量的緩和の長期化において、金融当局と市場との対話はますます難易度を高めている。それは、黒田体制の日銀が抱き始めた悩みと全く相似形である。


倉都康行の世界金融時評

日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130603/249023/?ST=print

 

【第280回】 2013年6月4日 真壁昭夫 [信州大学教授]
株価下落はアベノミクスの限界を示しているのか?
今度は安倍首相が「異次元の成長戦略」で汗をかく番
アベノミクスの限界を示したか?
株価調整で台頭する悲観的な見方

 5月23日、日経平均株価が1000円を超える急落となって以降、市場関係者などの間から「株価下落はアベノミクスの限界を示した」との指摘が出ている。株価が調整局面入りしたことで、先行きに対する悲観的な見方が台頭していることを考えると、そうした声は理解できないではない。

 しかし冷静に考えると、まだ、アベノミクスの最も重要な成長戦略、つまりいかにしてわが国の企業を強くし、経済を立て直すかという点が明らかにされていない。

 今まで、円安傾向が進み株価が急速に上昇していたことで、多くの人が何となく、先行きについて楽観的な見方になっていたのだが、それはアベノミクスの「前座」とも言える金融政策による成果に過ぎない。

 この次は安倍首相自身が実際に汗をかいて、各省庁や既得権益層の壁を破る番なのである。安倍首相の政策実行能力を不安視する見方は根強く、過大な期待を持つことは危険であることは確かだが、海外への積極的なセールス姿勢などを見ていると、それなりの期待を持てるかもしれない。少なくとも、金融市場の関係者や一般庶民も、まだ期待を捨てたわけではないだろう。

 重要なポイントは、安倍首相が明確な成長戦略を打ち出せるか否かだ。それができなければ、期待が失望に変わり、アベノミクスで加速した相場は終焉することになる。もちろん楽観はできないが、その判断は今ではなく、もう少し先になるはずだ。

 わが国の株式市場は、昨年11月13日を底にして上昇基調に変わった。11月14日に、当時の野田首相が衆院を解散することを宣言したことをきっかけに、全く期待の持てない民主党政権に代わって、やや期待可能な自民党政権ができることが現実味を帯びたからだ。

 株式市場はその潮目の変化に敏感に反応し、それまでの株価低迷期を脱し、上昇トレンドへと移行した。それに加えて、今年4月に黒田・新日銀総裁が、いわゆる“異次元の金融緩和策”の実行を宣言し、株価上昇のペースを加速することになった。その後は、1980年代後半の大規模なバブル相場を彷彿とさせるような展開になった。

 冷静に振り返ると、4月以降の株価の急上昇は、ヘッジファンドなど海外投機筋の積極的な日本株の先物買いに先導されていた面が強かった。彼らのオペレーションを見ると、先物買いに加えて、日経平均株価への寄与度の高いファーストリテイリングなどの値嵩株を買い上げて、いわば無理矢理に株価を押し上げていたフシがある。

投機筋のオペレーションは必然
株価の調整局面は驚くに当たらない

 5月23日、ヘッジファンドなどの投機筋は、米国でFRBの金融緩和策の縮小予測が出たり、中国経済の経済指標が一段と悪化したことをきっかけに、一斉に利益確定の売りに出た。結果的に、それが大幅下落につながった。

 ただし、そうした投機筋の動きは、どこかの時点では必ず出るオペレーションだ。ということは、5月23日以降の不安定な株価の動きは、株価上昇の調整局面であり、特に驚くには当たらない。

 株価下落幅が予想外に大きかったこともあり、当面、投機筋のポジション整理や一般投資家が落ち着きを取り戻すには時間を要するだろうが、それが終わればまた、わが国の株式市場は元気を取り戻すと考えた方がよい。

 足もとの不安定な株式市場の動きを見て、「アベノミクスは失敗だった」と断じるのはやや尚早だ。

 安倍首相は、今までに第1弾、第2弾、さらに第3弾というように、実際の成長戦略を小出しにして期待をつなぐ戦略を取っているようだ。そうした戦略の背景には、7月21日に予定される参院選挙まで期待をつないで、選挙で勝つことを考えているのだろう。

期待される“異次元の成長戦略”も
目新しい項目は見当たらない?

 今まで安倍首相から公表されている成長戦略の中身を見ると、女性の労働力化や若者の国際競争力を高めるための教育の向上、国内の設備投資額の増加、インフラ輸出の強化、農業所得倍増計画などの内容が盛り込まれている。

 また、6月中旬に“戦略特区”などを中心とした成長戦略第3弾に加えて、経済財政諮問会議からはマクロ経済政策に関する「骨太の方針」、新しいIT戦略、規制改革の答申などが出てくる予定だ。

 その中のいくつかは、産業競争力会議が取りまとめ、成長戦略の中に集約されるだろうが、これから7月の参院選挙までに、成長戦略の様々な計画やかけ声が発表されるのである。

 ただ、これらの内容は多かれ少なかれ、今までの政権でも検討されてきたもので、特に目新しい項目は見当たらない。強いて挙げると、規制緩和や税負担の軽減などに関して速効性のある“戦略特区”が注目されるものの、特区に適用される税制などに関して財務省がもろ手を挙げて賛同するとは考えにくく、実際に動き出すまでにはまだ紆余曲折があると見た方がよさそうだ。

 そうした総花的な項目の列挙は説得力がないばかりか、安倍政権が謳うわが国経済の復活を本気でやる気があるのかという、本気度が疑われることにもなりかねない。

 今までのところ、安倍首相が新興国中心に積極的なトップセールスを展開し、期待が高まっているものの、各省庁間の対立や既得権益の壁を破ることができなければ、アベノミクスに対する期待は失望に変わるときが来る懸念が高まる。

消費税率引き上げまでに回復基盤を
アベノミクスの成功に必要な“神風”

 最近、企業経営者と話をすると、彼らの多くが2014年、15年のわが国経済の動向に悲観的な見方をしていることがわかる。円安傾向が進んでいることは自動車など大手輸出企業には強力な追い風だが、原材料を輸入に頼る国内型の企業には逆風になる。原材料のコストアップ分を価格転嫁できればよいが、それができないと企業業績は一気に圧迫される。

 それに加えて、今のところ2014年4月に消費税率が3%上がり、さらに2015年10月に2%上がることが決まっている。日銀の政策目標である2%の消費者物価指数の上昇が現実のものになると、物価上昇分に消費税率上昇分を加えた一般消費者の負担はかなり大きくなる。

 そのため、消費税率引き上げによる駆け込み需要が出る2014年3月までは、それなりに景気回復の絵が描けるのだが、それ以降、国内の需要項目に大きな期待を持つことはできない。逆に言えば、2014年3月までに経済状況をよほどしっかりしておかないと、それ以降はかなり厳しい経済状況に落ちこむ可能性が高い。

 そうした懸念が現実のものになると、わが国経済の復活を目指すアベノミクスが、当初の目標を達成することは至難の業になるだろう。

 アベノミクスが上手くワークするためには、国内の需要項目の落ち込みをカバーするのに十分なほど輸出が伸びるケースが考えられる。具体的には、米国の景気回復が予想を上回るペースで進み、世界経済が短期間に明るさを取り戻してわが国の輸出が大幅に増加する場合である。そうした状況は、わが国にとって他力本願、言ってみれば一種の“神風”と言えるかもしれない。

“神風”に依存せず、消費税率引き上げの中で中長期的な景気回復過程を歩むためには、“異次元の成長戦略”によって、消費性率引き上げ前までに、磐石な回復の基盤を築くことだ。それもまた容易な話ではない。


05. 2013年6月04日 08:57:33 : e9xeV93vFQ
米FRB、夏までに債券買い入れ縮小する可能性=2地区連銀総裁
2013年 06月 4日 07:07 JST

トップニュース
欧州主要国5月の自動車販売、軒並み前年比減少
今日の株式見通し=続落、円高嫌気し輸出株中心に売り先行
米スプリント、ディッシュのクリアワイヤ買収案を批判
政府が公的年金の運用方針見直しに着手、政府内に有識者会議=関係筋

[3日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ地区連銀のロックハート総裁は3日、景気回復が継続すれば、連邦準備理事会(FRB)が今夏までに、資産買い入れを縮小する可能性があるとの見解を示した。

同時に、ウィリアムズ総裁は低水準のインフレ率は注視が必要とけん制。ロックハート総裁は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入縮小の決定はないとの見解を示した。

ただ、バーナンキFRB議長が前月、「今後数回の会合で」債券購入ペースの減速を決定することもあり得ると発言して以来、FRBが今後数カ月で刺激解除に着手する用意があるとの見方が高まっており、2地区連銀総裁の発言は、この見方を後押しする格好になった。

ロックハート総裁はカナダBNNテレビとのインタビューで、「今後数週間で、指標が良好な内容となれば」、FRBが国債と住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを夏までに縮小することは「あり得る」と語った。

また、債券買い入れを終わらせ、緩和を完全に解除することには支持しないとも言明した。

フォックス・ビジネスに対しては、FRBが近く、債券買い入れペースの縮小を真剣に検討し得るとの考えを示し、「経済の勢いは強くないものの、信頼感に基づき前進しており、そうした勢いを踏まえ、次回6月のFOMC会合ではないにしても(金融緩和縮小を)真剣に検討し得る時期が近づいている」と語った。

ロックハート総裁はこれまで、資産買い入れ縮小の検討を開始する時期は今年下期との見通しを示していた。

労働市場については、雇用者数が月次で16万─17万5000人程度の伸びが継続する見込みで、この水準を下回れば新たな懸念が広がる可能性があるとした。

ウィリアムズ総裁はストックホルムでの講演で、労働指標の改善が続けば、債券買い入れプログラムを夏に縮小する可能性はあるとし、4月に示した見解を概ね維持。記者団に対し「労働市場の継続的な改善の兆しを見極めるとともに、基調インフレ率およびインフレ見通しの動向を注視するという点に尽きる」と述べた。

ウィリアムズ総裁はまた、基調インフレ率が1%程度と、FRBの目標の2%を下回っている点に言及。インフレを抑制している要因の多くは一時的なものとし、2%に向けて再び加速するとの見方を示した。

ただ、FRBの政策を決定する上で、インフレ率も勘案すべき要素の1つとし、「低インフレが続き、長期インフレ期待が2%を大きく下回るようなより危惧すべき状況になれば、他の条件が変わらないことを前提に、買い入れ拡大を求める要素となる」と述べた。

次回FOMCは18─19日に開催される。

両総裁とも今年のFOMCで投票権は持っていない。


関連ニュース

FRB、金融緩和縮小を間もなく真剣に検討し得る=米連銀総裁 2013年6月4日
米景気改善継続なら資産購入縮小可能=SF地区連銀総裁 2013年6月3日
米QE3縮小、今後数カ月で理にかなう可能性=ボストン連銀総裁 2013年5月30日
情報BOX:米FRB当局者の最近の発言 2013年5月24日


06. 2013年6月04日 11:09:01 : e9xeV93vFQ
JPモルガンやゴールドマン、日本株強気崩さず−収益力評価

  6月4日(ブルームバーグ):四半世紀ぶりのペースで上昇相場 を演じてきた日本株は、5月23日の歴史的急落を契機に大きく調整、下値模索の展開が続く中で先行きに不透明感が生じている。その中でもJPモルガンやゴールドマン・サックスの日本株に対する強気の見方は、他の主要国をしのぐ日本企業の収益改善を理由に全く揺らいでいない。
ブルームバーグ・データがまとめたアナリストの企業収益予想によると、東証1部上場企業の1株利益は2013年に57%増加する見通し。東日本大震災やタイ洪水の影響が残った前年からの反動に加え、歴史的円高の修正、企業の積極的な海外合併・買収(M&A)やコスト削減による体質強化なども収益の大幅改善に寄与する見通しだ。一方、米国など主要国の増益率は平均で19%にとどまる。
JPモルガン証券株式調査部長のイェスパー・コール氏は、企業収益の改善を背景に、TOPIX は14年末までに1800ポイントまで上昇すると予想している。同氏は、「安倍政権の政策ではなく、個々の日本企業の『成長戦略』が収益モメンタムの大幅改善を実現する」と指摘。「投資家は安倍政権の成長戦略を待ち望んでいるが、日本企業は2年以上前から成長戦略を実行してきた」と言う。
トヨタ自動車 は、新興市場での堅調な販売などから今期の連結純利益が前期比42%増の1兆3700億円と、08年3月期以来の高水準を計画。10年3月期まで4期連続の最終赤字に苦しんでいた日立製作所 も、その後は黒字が定着、今期は同20%増の2100億円を見込む。ブリヂストン の13年12月期も4期連続の最終増益計画で、最高益更新の見通しだ。
目覚めたアニマルスピリッツ
企業の攻めの姿勢は、海外企業に対するM&Aの実績からも顕著だ。M&A助言を手掛けるレコフによると、12年の日本企業による海外企業のM&A件数は515件と1990年の463件を上回り、22年ぶりに過去最多を記録。金額ベースでも約7.3兆円と、過去3番目の高水準だった。
コール氏は、11年3月に起きた東日本大震災が「日本企業のアニマルスピリッツを呼び覚まし、企業は成長に向けて投資しなければ生き残れないとの思いを強めた」と指摘。「利益率の高い海外への投資が加速すれば、日本企業の収益は構造的に上昇する」とみる。
昨年以降、ソフトバンク による米通信大手のスプリント・ネクステルの買収をはじめ、広告代理店の電通 による英イージス・グループの買収など大型の海外企業買収案件が相次ぐ。海外に活路を見出すこうした動きの背景には、少子高齢化に直面する日本での収益頭打ちへの危機感があり、海外事業は実際、日本企業の業績を押し上げ始めている。経済産業省がまとめた海外事業活動基本調査によると、11年度の海外現地法人の売上高経常利益率は5.9%と、国内法人の3.3%を上回った。
ゴールドマン・サックス証券チーフ・ストラテジストのキャシー・松井氏は、直近の相場調整後もTOPIXの12カ月後の目標値1400ポイントを維持している。円安に加え、自動車セクターなどを中心としたコスト削減による企業体質の強化も加わり、16年3月までの3年間で、東証1部上場企業の1株当たり利益が2倍になるとの見方が背景だ。
アベノミクス、潜在価値見直す契機に
松井氏は、「私の日本株に対する強気の見方は一切変わっていない」と強調。日本のことし上期の経済成長率は先進国の中で最も高くなると見ており、「日本株市場はアベノミクスに対する期待を受けた上昇相場から、ファンダメンタルズの改善に裏付けられた上昇相場に移行するだろう」と言う。
日本の1−3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、個人消費の伸びなどに支えられ、前期比年率3.5%増と2期連続でプラスとなった。また、4月の鉱工業生産指数 は、自動車セクターがけん引する形で前月比1.7%増と5カ月連続で上昇、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の最高値を上回った。
企業収益の改善やマクロ経済の回復に加え、安倍首相が就任以来、矢継ぎ早に金融・財政政策、成長戦略を打ち出してきたことで、ブルームバーグが5月に発表したアンケートによると、投資家の日本の首相に対する信頼感は少なくとも10年9月以降で最も高まっている。
ピクテ・アセット・マネジメントのアドリアン・ヒッキー氏(ロンドン在勤)は、「日本企業の構造的な改善は進んでいたが、これまで過小評価されていた」と分析。「アベノミクスは日本企業の本来持つ価値が株価に反映されるカタリスト(触媒)になった」と見ている。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net;東京 Yoshiaki Nohara ynohara1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/04 08:47 JST


 

4月現金給与総額は前年比+0.3%、3カ月ぶりの増加
2013年 06月 4日 10:39

焦点:外貨まん延に屈する北朝鮮、非公式経済拡大に打つ手なし
欧州との貿易紛争、中国の「重大な経済利益」に関わる=李首相
米AIGとGM、S&P500構成銘柄に今週復帰へ
中国レノボ、スマートフォンの合弁設立に向け協議中

[東京 4日 ロイター] 厚生労働省が4日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、4月の現金給与総額(事業所規模5人以上)は1人平均で27万3427円となった。前年比では0.3%増と3カ月ぶりに増加した。

このうち、所定外給与は前年比0.4%増と7カ月ぶりの増加となった。総実労働時間は前年比0.1%増と5カ月ぶりに増加した。特別に支払われた給与は前年比9.7%増だった。


関連ニュース

4月完全失業率は4.1%で横ばい、有効求人倍率は上昇 2013年5月31日
5月NY州製造業業況指数は4カ月ぶりマイナス、新規受注・雇用後退 2013年5月16日
3月全世帯の実質消費支出は前年比+5.2%、前月比+2.0% 2013年4月30日
3月鉱工業生産速報は前月比+0.2%、4カ月連続の上昇 2013年4月30日


 


 

【コラム】市場がアベノミクスに向ける疑いの眼差し-ペセック 

  6月3日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁はこのところ、金融界の花形だ。
ポール・クルーグマン氏とジョゼフ・スティグリッツ氏というノーベル経済学賞受賞の両エコノミストから称賛も得れば、大規模な資産購入によってデフレを終わらせようとする取り組みには日本企業のみならず、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事とアジア開発銀行の中尾武彦総裁も喝采を送った。
にもかかわらず、日銀の緩和政策を柱の1本とする安倍晋三首相の日本経済再生計画「アベノミクス」に市場は懐疑的になりつつある。日経平均株価は5月30日に5.2%安と大幅反落。同月23日に6.9%安と2011年3月以来の大幅安となったTOPIXも3.8%下落した。両指数とも今月22日に付けた終値での年初来高値からの下落率が10%を超え、日本株相場は調整局面入りした。
何が起こったのか。日経平均を年初から30%押し上げてきた投資家は、日銀の大量購入にもかかわらず上昇する国債利回りの動きに不安になったのだろう。
安倍首相は大胆な金融緩和とそれに伴う円安で株価を上昇させ、それによって消費が拡大するいわゆる「資産効果」を狙っているわけだが、日本の株価を押し上げてきたのは主に海外投資家だった。株式を保有する日本国民は少なく、株を持っている人でもその保有規模は消費を促すには小さ過ぎる。
アベノミクス宣伝局
ニューヨークを本拠とするオリエンタル・エコノミスト・リポートのリチャード・カッツ編集長は、最近の株高を投機的な動きとみる1人だ。日本企業が急に効率良くなったわけでも、株主の不満に突然耳を傾けるようになったわけでもない。「株高による資産効果があるというのは、真面目な経済分析というよりアベノミクス宣伝局のキャッチコピーであり、ただの期待だ」という。
じゃぶじゃぶの金融緩和は効果より先に問題をもたらしている。日本経済再膨張を見込む投資家が国債利回りを押し上げ、日銀は利回りが急上昇するたびに買い出動で救助に駆けつける。
黒田総裁が目標と宣言する2%までインフレ率が上昇した時、債券投資家がおとなしく保有し続けるなどと、どうして考えられるのだろう。確かに日本国債は9割以上が国内で保有されているが、日本の銀行や事業会社、年金基金、大学、寄付基金、保険会社、政府機関、ゆうちょ銀行、個人が売らないと考えるのは幻想だ。
ディアパソン・コモディティーズ・マネジメント(スイス・ローザンヌ)の主任投資ストラテジスト、ショーン・コリガン氏は「黒田総裁を信じるなら債券を持ち続ける理由がない。今売ればほぼ最高値で売れるのだからなおさらだ」と話す。利回り上昇と並んで、アベノミクス効果によって税収が急増しないのなら、安倍首相と黒田総裁には弁明が必要となるだろう。
市場はこのところ荒れ模様だが、嵐はまだ始まったばかりだ。(ウィリアム・ペセック)
(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Abe’s Economic Revival Runs Into Japan’s Reality: WilliamPesek(抜粋)
更新日時: 2013/06/03 06:30 JST


07. 2013年6月04日 13:44:11 : e9xeV93vFQ
コラム:黒田日銀批判が軽視する米金融政策の「常識」=嶋津洋樹氏
2013年 06月 4日 10:22 JST

コラム:「バブル」のバブル化に惑うべからず
コラム:株式市場は何を恐れているのか=カレツキー氏
コラム:米緩和の遠い出口、FRBに残された武器=鈴木敏之氏
コラム:貿易黒字の謎に潜む「宇宙人」

嶋津洋樹 SMBC日興証券 債券ストラテジスト(2013年6月4日)

黒田日銀が「量的・質的金融緩和」を導入してから2カ月が過ぎた。筆者はこの間の日銀を積極的、前向きに評価しているが、実感からすると、そうした声は少数だ。

むしろ、メディア上では「債券市場の需給要因と流動性リスクを理解していない」「長期金利は量的・質的金融緩和後に上昇した」「実体経済と乖離(かいり)したバブル的な株価上昇を引き起こしている」などの批判が目立つ。もっとも、こうした批判はいずれも「異次元」緩和を従来と同じ目線、いうなれば「同次元」で評価することから生じている。

たとえば、上記以外にも「黒田日銀の展望レポートは願望レポート」といった批判をよく耳にするが、そう皮肉る人の多くは「インフレ率はあくまで需給ギャップで決まり、金融政策に影響されない」と考えている。しかし、黒田日銀はそうした従来の常識ではなく、米連邦準備理事会(FRB)の「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される」(長期的な目標と金融政策戦略に関する声明文)という知見を重視している。

また、バーナンキFRB議長が理事時代、インフレ目標を採用する中央銀行のコミュニケーション手段の一つとして、インフレ報告などを通じた経済見通しやその評価の公表の重要性を指摘していたように、日銀が「物価安定の目標」を導入し、事実上のインフレ目標政策を採用したことは、展望レポートが期待インフレを安定させるためのコミュニケーション手段へと変化したことも意味する。黒田東彦日銀総裁は4月に「現時点で必要な政策をすべて講じた」とはっきりと発言しているのであり、展望レポートでデフレが継続するシナリオを提示することは基本的に考えにくい。

ところが、日本では黒田総裁の「期待へ働きかける」ことに対する批判的、懐疑的な見方も多い。白川方明前総裁が退任会見で「期待に働きかけるという言葉が、中央銀行が言葉によって市場を思い通りに動かすという意味であるとすれば、そうした市場観、政策観には、私は危うさを感じる」と回答したのは象徴的だ。金融政策の実体経済への効果を論じる際、貸出の増減だけに注目し、物価を主に需給ギャップで説明していては、黒田総裁の考え方は理解できないだろう。

<米金融政策の教訓>

米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は5月21日、「ゼロ金利制約下での教訓:日本と米国の経験」と題して講演。その冒頭で6つの教訓を紹介する際、「最初の、そして最も重要な教訓は」と前置きしたうえで、「ゼロ金利制約下で金融政策を運営するにあたって、期待を管理することが不可欠だ」と説明した。その後も「期待の管理は金融政策において常に(ゼロ金利制約下以外でも)最も重要だ」と繰り返した。ダドリー総裁が従来の日銀を冷ややかに見ていたのは想像に難くない。

ダドリー総裁はまた、日米の現在の金融政策がインフレ目標を明確に掲げていること、その達成のためにあらゆる手段を講じるとコミットしていること、そして実際にフォワードガイダンス(いわゆる時間軸政策)と巨額の資産購入を実施している点で似ていると発言。さらに、日本の「量的・質的金融緩和」と米国のいわゆる「量的緩和」について、「主にバランスシートの資産側で、民間部門のデュレーションリスクを中央銀行へ移すことで機能」し、「それがリスクプレミアムを引き下げ、民間部門の投資家を一段とリスクの高い資産へと押し出す」とも説明した。

誤解を恐れずに言えば、筆者は日米の中央銀行の狙いが国債市場にとどまる投資家をリスクの高い市場へ追い出すことにあると考えている。もちろん、それが国債市場の需給逼迫(ひっぱく)や流動性低下を通じて、経済に悪影響を与えるリスクは小さくないが、そのリスクよりも、投資家の資金が国債に偏ることの弊害が大きいと認識しているのだろう。国債は一般的にリスクの低い資産として知られるが、国債だけに偏ったポートフォリオのリスクは当然、高い。すべての卵を一つのバスケットに入れてはいけないとの考えは、資産運用のみならず、リスク管理の面でも常識だ。

また、バーナンキ議長は5月22日の議会証言で「住宅およびその他の資産の価格上昇は順次、家計の富と消費者の信頼感を回復させ、消費支出を押し上げ、生産と雇用の増加に貢献する」と、資産価格の上昇が景気回復につながることを明確に説明した。ダドリー総裁の発言にも当てはまるが、金融政策の実体経済や物価への影響を貸出や需給ギャップには結び付けていない。

日本では、資産価格の上昇を論じると、「バブル」や「後ろめたさ」と結び付けて捉えられることが多い。しかし、バーナンキ議長の考え方に基づけば、それは景気回復にとって重要かつ必要な最初の一歩と言えるだろう。実際、金利や株価は代表的な景気の先行指標として世界中で広く利用されている。資産市場におけるバブルとは、その価格が実体経済から説明できないほど高騰することを示す。それを景気回復の初期に見られる主に金融資産の価格上昇と区別することは困難だが、だからといって同列に扱うことはできないだろう。

<金利上昇めぐる日銀批判への違和感>

日本の株式市場はこれまで、日銀がデフレを容認していると見られていたことで、欧米の株式市場から取り残されていたのであり、政治的な混乱や規制緩和の不足、高齢化などの問題は、少なくとも日本株がリーマンショック前の水準を回復するにあたっては、それほど重要でない。実際、そうした問題はどこの国にも多かれ少なかれ存在するだろう。たとえば、労働市場の硬直性やそれによる競争力の低下は、日本よりも欧州で深刻だ。日本の財政赤字が名目国内総生産(GDP)の約2倍の水準で、事実上財政破綻したギリシャの1.5倍を上回っていることは特筆すべき点だが、そもそもそれが最も直接的に影響を及ぼすのは株式ではなく、長期金利のはずだ。日本の株価がリーマンショック前の水準を回復しただけで、「バブル的」と批判するのは行き過ぎだろう。

筆者は「量的・質的金融緩和」の副作用で長期金利が上昇したとの批判にも、納得していない。確かに、経常黒字や家計部門の貯蓄、対外純資産の大きさなどを勘案すれば、先進国で最悪の財政赤字を抱えていても、日本の長期金利の低位安定は正当化されやすい。しかし、勢いを増す批判の裏側には、日銀が介入して金利低下を促すべきという意図が見え隠れする。株式市場ではかつて、「株価PKO」と呼ばれた政府による株価維持政策の是非が問われた。日銀に、金融政策としての「量的・質的金融緩和」以上の措置を求めるのは、「量的・質的金融緩和」に否定的な人々が指摘する金融政策と財政政策との境界を一段と曖昧にするリスクを高める。

黒田総裁は足元の長期金利の上昇について、国債市場の投資家が考えるほど深刻に捉えていない可能性がある。日米中銀の国債購入がそもそも、国債市場の投資家をリスクの高い別な市場へ追い出すことを念頭に置いているとすれば、なおさらその可能性が高い。

黒田総裁は5月22日の金融政策決定会合後の会見で「量的・質的金融緩和」について、「物価上昇や景気回復の期待」を通じた金利上昇と「リスクプレミアムの圧縮効果」を通じた金利低下の2つの相反する効果があると説明。足元にかけての金利上昇が後者の失敗ではなく、前者の成功によってもたらされていることを示唆した。また、「実質金利はたぶん下がっていると思う」とも発言。「量的・質的金融緩和」で期待インフレの引き上げに成功していることも暗に認めた。

冒頭でも触れた通り、日銀が金融政策を大きく転換してからまだ2カ月しか経過していない。金融政策は通常、実体経済に影響を及ぼすまで半年から1年半程度の時間がかかるとされ、「量的・質的金融緩和」の効果を確認するにはもう少し時間が必要だろう。それは「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される」との「常識」を否定し続け、デフレを放置してきた10年以上の歳月と比べると非常に短い時間だ。

筆者は「量的・質的金融緩和」に副作用やリスクがあるのを否定しない。それでも、他国の金融政策やその成果から目を背け、デフレの原因を主に政府や企業の努力不足のみに求める考え方には依然として全くなじめない。2年後のインフレ目標未達を前提に現在の正副総裁の責任を追及する時間は、日銀が10年以上もデフレを放置することになった反省と、デフレからの脱却へ向けた方策を議論するために割かれるべきだろう。

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントを経て2010年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネージャーとして、日米欧の経済、金融市場の分析に携わる。

 


 


コラム:「バブル」のバブル化に惑うべからず
2013年 06月 3日 15:43 JST
By Peter Thal Larsen

投資家は過去の危機にとらわれがちだ。信用バブル崩壊から6年が過ぎた今、一部では、次のバブルが膨らみつつあるとの声が聞こえる。確かに、メディアで「バブル」という言葉が使われる回数は増えている。しかし、バブルが弾けるとの強迫観念が現実化するのはまだ先だろう。

ここ最近、金融の第一人者たちから資産バブルの宣告が聞こえてこない日はほとんどないように思える。投資家や評論家は過去数カ月、国債や不動産、ジャンク債から日本株、金相場での「根拠なき熱狂」の兆候を嗅ぎ取ってきた。金相場の急落は、「バブルハンター」たちの次なる歪んだマーケット探しを勢いづかせた。その一方で、中央銀行にバブルの責任をすべて負わせるべきかどうかについての議論も湧き上がっている。

この正体不明の熱気こそ、バブルという言葉のバブル化がもたらすリスクを示している。実際のところ、バブルという言葉がメディアで言及されている回数は、まだ過去のピーク時ほどではない。ニュース検索サービスのファクティバによると、5月に大手新聞や経済誌などが見出しやリードで「バブル」という言葉を使った回数は544回で、過去数カ月に比べれば多いものの、過去最多だった2010年3月の656回には遠く及ばない。

バブルという言葉の登場回数増加は、本物のバブル到来の兆候なのだろうか。過去の経験は、それとは逆を示している。金融市場の誰もが声を限りに「バブル」を叫ぶべきだった2007年夏、メディアにバブルというフレーズが登場したのは1カ月当たり300─400回に過ぎなかった。それが500回以上になるのは、リーマン・ブラザーズ破たん後の2008年10月まで待たなくてはならない。

ジャーナリズムにおける「バブル」の定点観測は、決して科学的アプローチとは言えない。単純に泡という意味で使われている記事によっても結果が左右されてしまうからだ。しかし、それでもはっきりしていそうなのは、メディアは往々にして、新たなバブルの芽を見つけ出すより、バブルの後遺症の分析の方に一生懸命ということだ。本物のバブルは発見が難しいように、バブルという言葉のバブル化にも惑わされるべきではないだろう。

(31日 ロイター)

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


08. 2013年6月04日 17:06:06 : 0XTPwQBauo

之は総てアベノミックス推進論だな
総てはあちらのご都合解説
長文で誤魔化すあちら流
売国緩和を止められては困るとみた。
円安もへちまもない、QEをやめればそれでいい。


09. 2013年6月04日 21:45:16 : e9xeV93vFQ
米緩和縮小、9月にもあり得る−ゴールドマンのハッチウス氏 
  6月4日(ブルームバーグ):米連邦準備制度は早ければ9月にも月々の債券購入額の縮小を発表する可能性がある−。ゴールドマン ・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏がこうした見方を示した。
連邦公開市場委員会(FOMC)が12月までは月850億ドル(約8兆5200億円)の購入額を減らすことはないというのが引き続きゴールドマンの予想だが、いわゆる緩和縮小がそれよりも早く起こることもあり得ると、同氏が3日述べた。
ハッチウス氏はロンドンで開催されたゴールドマン主催の会議でブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「9月の緩和縮小の可能性は確かにある。それはデータ次第だと思う」と語った。
米経済が勢いを増しつつある兆候を背景に緩和縮小の観測が高まり、10年物米国債の利回りは2012年4月以来の高水準を付けた。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は拙速な緩和縮小に慎重な姿勢を示している。
米経済が向こう2、3四半期にわたり2%前後の成長を続けインフレ率が目標を「大きく下回る」見込みであればFOMCは12月まで現行水準の緩和を続けるだろうとハッチウス氏は予想。一方、雇用者数が毎月20万人余り増え食品とエネルギーを除いたコアインフレが加速すれば、より早期の緩和縮小があるだろうとしている。
原題:Goldman Sachs’s Hatzius Says Fed Could Taper Buying inSeptember(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/04 19:13 JST

 

日本株反発、金融中心見直し−過熱、割高薄れる、振幅大きい

  6月4日(ブルームバーグ):東京株式相場は反発。急ピッチの値幅調整を受け過熱感や割高感が解消される中、銀行や証券など金融株、不動産株などこれまでの下落が目立っていた業種が見直された。日経平均株価の高安値幅は500円を上回るなど、引き続き株価指数の振幅が大きい相場展開となった。
TOPIX の終値は前日比28.52ポイント(2.6%)高の1125.47、日経平均株価 は271円94銭(2.1%)高の1万3533円76銭。日経平均の高値と安値の差は549円と、5月24日(1025円)以来の大きさ だった。
大和住銀投信投資顧問・株式運用部の岩間星二ファンドマネジャーは、「株価水準的には十分調整し、やや割安感も出てきた」と指摘。すぐに直近高値に戻るような展開はないが、日本銀行の質的・量的緩和や為替の円安基調、米国の景気回復を支えに、「日本株の上昇相場はまだしばらく続く」とみている。
きょうの日本株は、前日発表された米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数が2009年6月以来の低水準となったことや、ドル・円相場が約1カ月ぶりに100円を割り込む円高に振れたことを受け、輸出関連株を中心に売り先行で始まり、日経平均の下げ幅は一時200円を超えた。ただ、TOPIXは直近高値から2週間で14%下落、過熱感や割高感も解消されてきたことで下値を買う動きも出て、両指数とも午前後半から午後にかけてじり高で推移した。
東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオ は3日時点で87%と、昨年10月以来の低水準。また、TOPIXの25日移動平均線との乖離(かいり)率は前日時点でマイナス8.2%と、売られ過ぎを示すマイナス5%以上となっていた。バリュエーション面でも、東証1部のPERは14.7倍とS&P500種株価指数の14.9倍を下回る。
明らかな下げ過ぎ
大和証券投資戦略部・情報課の高橋卓也副部長は、企業の想定為替レートよりはまだ円安水準で、収益の改善基調に影響はないと指摘。その上で、「PERで見ても日本株に割高感はない水準で、足元の調整は明らかに下げ過ぎている」と話した。
東証1部業種別33指数は証券・商品先物取引、その他金融、銀行、不動産、鉄鋼、海運、倉庫・運輸関連、陸運、鉱業など32業種が上昇。空運のみ下げた。直近高値を付けた5月22日から前日までの下落率を見ると、証券・商品先物取引は24%、その他金融は19%、銀行は18%、不動産は18%とTOPIXの14%を超す下げを見せており、買い戻しが入った様子がうかがえた。
銀行は、マッコーリー証券が三菱UFJフィナンシャル・グループなど3大金融グループの目標株価を引き上げ、みずほフィナンシャルグループについては判断を「中立」から「アウトパフォーム」に変更した。また、日本銀行が長期金利の上昇を抑えるために、0.1%の低利資金を金融機関に供給する期間を現行の最長1年から2年以上に延長することを柱とした追加策の検討に入る、と4日付の日本経済新聞朝刊で報じられたこともプラス要因。
午前は安かった機械など輸出関連、鉄鋼など素材関連株も持ち直し。前日の海外市場で一時1ドル=98円80銭台の円高水準に振れたドル・相場は、きょう午後には99円台後半で推移し、為替の落ち着きも好感され、日経平均の上げ幅は終盤に350円に迫る場面もあった。
東証1部の売買高は概算で51億2473万株と、前日から10億株以上増加。売買代金は3兆5613億円、値上がり銘柄数は1194、値下がり451。国内新興市場では、ジャスダック指数 が0.2%高の91.66と小幅反発、東証マザーズ指数 は1.6%安の875.92と反落した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/04 15:45 JST


 

日本株式会社、アベノミクスに踊らず−届くか「三本目の矢」 
  6月4日(ブルームバーグ):日本の株価 を年初来で28%押し上げた安倍晋三政権の経済政策(アベノミクス)は、企業トップに国内の設備投資を増やしても良いと確信させるほどの高揚感をもたらすには至っていない。
昨年12月発足の安倍政権下で初の四半期ベース統計となる1−3月期の法人企業統計のうち、ソフトウエアを除いた設備投資額は前年同期比5.2%減だった。財務省が3日発表した。資本金10億円以上の大企業の設備投資は同4.9%の減と、2011年3月の東日本大震災直後以来で最大の落ち込みを示した。
日銀による前例のない金融緩和で、昨年12月3日以降の円相場は対ドルで17%下落し、トヨタ 自動車など輸出企業の収益に貢献。ブルームバーグの集計によると、日経平均株価 構成銘柄のうち、ホンダ やソニー などを含めた178社の今期(2014年3月期)営業利益は計19兆7000億円と、前期比約35%増の見込みだ。
にもかかわらず企業の設備投資が低迷しているため、安倍政権が近く発表する構造改革の重要性が一層高まっており、エコノミストらは日本株式会社の復活には不可欠とみている。BNPパリバ証券の白石洋エコノミストは、投資を増やしたい企業にとっては、金融や財政面の刺激以上に、実効性のある改革が必要だと語る。
10年以上のデフレを経て日本経済を再生させることを目的とするアベノミクスの成否は、企業が資金を設備投資に振り向ける時期と手法に掛かっている。首相は金融緩和や財政出動に続く「三本目の矢」として規制改革などを実施、民間投資増や経済成長を実現するとしている。
海外再投資のリスクも
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、「企業が利益の増加分をどう使うかは、日本の経済再生の鍵となる」と指摘する。その一方で、「将来の円高を懸念して、一部企業が海外で得た利益を海外の再投資に回すリスクはある」との見方を示した。
いすゞ 自動車が5月14日発表の今期設備投資計画は前期比74%増の1000億円で、半分を東南アジアやインド、中国など海外での生産・販売拡大に充てる方針だ。
小平信因トヨタ副社長も同8日の決算会見で、「基本的に需要のある所で造るという考えで、海外生産を増やしてきた」と説明。「国内からさらにどんどん輸出するようなことは、今のところ考えていない」と述べた。
また、自動車メーカーと違い、国際的な競争激化に見舞われている電機各社は円安でも増益にはなりにくい。パナソニックの高見和徳専務は3日、記者団に対し、円安で家電生産の一部を日本に戻す可能性に言及した。しかし、「財務の状況もあり、投資は先延ばしした。時期を待って大きな投資をするのが良いのか、少しずつ進めるのが良いのか検討している」と語った。
原題:Japan Fails to Plow Weak Yen Profits Back Into CapitalSpending(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Aaron Clark aclark27@bloomberg.net;東京 山口祐輝 yyamaguchi10@bloomberg.net;東証 Jason Clenfield jclenfield@bloomberg.net;ニューヨーク Aaron Clar aclar1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Teo Chian Wei cwteo@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/04 12:21 JST


 


10. 2013年6月04日 22:07:35 : e9xeV93vFQ
4月のユーロ圏PPI、前月比‐0.6%で約4年ぶりの大幅低下
2013年 06月 4日 19:03 JST
[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が4日発表した4月のユーロ圏生産者物価指数(PPI、除く建設)は前月比0.6%低下、前年同月比0.2%低下となった。

前月比ベースでは2009年7月以来の大幅な低下となった。

ロイターがまとめた予想は、前月比0.3%低下、前年比0.2%上昇だった。

 

ECBに一段の金融緩和を求める必要ない=フィンランド首相
2013年 06月 4日 19:46 JST
[キルケネス(ノルウェー) 4日 ロイター] - フィンランドのカタイネン首相は4日、欧州中央銀行(ECB)に一段の金融緩和を求める必要はなく、マイナス金利は助けにならないとの認識を示した。

訪問先のノルウェーでロイターに述べた。

首相は、このところ経済指標に明るい兆しがみられるとし「金融緩和の余地が残されているのか確信が持てない。このため、ECBが他に何ができるかわからない。ECBにこれ以上求める必要はないと考えている」と述べた。


 
ECBが期間7日の流動性供給オペ、70行に1030.2億ユーロ供給
2013年 06月 4日 19:05 JST
[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は4日、期間7日の流動性供給オペを実施し、70行に総額1030億2000万ユーロを供給したと発表した。

 

フランス、改革強化と支出抑制が必要=IMF
2013年 06月 4日 21:29 JST
[パリ 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は4日、フランスに関する報告書を公表し、同国は経済の自由化に向けて改革を強化するとともに、景気回復と競争力改善に向け労働コストを押し下げる必要があるとの見解を示した。

IMFはフランス経済について今年下期に上向き始める見通しとしている。前日には、フランスを含むユーロ圏諸国の景気先行き不透明感を理由に、2013年のドイツの国内総生産(GDP)伸び率予想を半分に引き下げていた。

2013年のフランスの経済成長率予想はこれまでのマイナス0.1%からマイナス0.2%にやや引き下げた。2014年の成長率予想も従来のプラス0.9%からプラス0.8%に引き下げた。

IMFは「3年間の大規模な財政調整を受けて、今後は財政再建のペースに減速余地がある。ただし、支出抑制に注力することと構造改革を続けることが条件となる」としている。

IMFはまた、銀行のバランスシート立て直しが持続的なペースで進んでおり、金融状況の安定に対するリスク全般は大幅に低下したと指摘した。

ただ、フランスの銀行は流動性バッファを拡大し、安定調達比率(NSFR)を改善させるにはまだある程度時間がかかるとの見方を示した。

 


フランス、失業率反転目標は達成困難=IMF
2013年 06月 4日 19:46 JST
[パリ 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)調査団を率いるエドワード・ガードナー氏は4日、フランス政府が掲げる失業率の上昇傾向を年末までに反転させるという目標は達成が難しいとの認識を示した。

ガードナー氏は記者団に対して、フランスの経済状況に鑑みれば、失業率は上昇し続けるだろうと語った。

 


 
 
IMF、2013年独成長率予想を下方修正
2013年 06月 4日 11:07 JST
[ベルリン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は3日、ドイツ経済に関する年次報告書を公表し、2013年の成長率予想を0.3%前後と、4月に示した予想(0.6%)の半分に引き下げた。ユーロ圏経済の不確実性が重しになっていると指摘したが、今年後半に持ち直すと予想した。

経済は依然弱いとして、財政健全化の行き過ぎは避けるべきと指摘。企業投資が引き続き低迷していることを踏まえると、回復力は弱いと予想している。

IMFは報告書で「ユーロ圏の不確実性が依然高い中、ドイツの2013年の国内総生産(GDP)は0.3%程度の増加と予想する」と表明。「年末に向けて経済活動が穏やかに上向くとの予想は、(ユーロ圏の)不確実性がさらに明らかに後退し、他のユーロ圏諸国の経済が緩やかに回復することが前提」としている。

ドイツ経済技術省は今年の成長率を0.5%と予想している。

IMF調査団の団長は、今年の成長率予想を引き下げたのは、冬の悪天候が一因と説明。今年の予想を引き下げたことから、現在1.5%としている2014年の成長率予想も下方修正する可能性があると述べた。

ドイツ経済は民間消費を支えに第1・四半期は辛うじてプラス成長を確保し、リセッションを回避した。ユーロ圏経済の低迷で投資と輸出が低調なため、今年は民間消費がけん引役とみられている。

欧州委員会は前週、ドイツは内需拡大やサービス分野の競争促進などに向け、賃金上昇を容認すべきとの見解を示した。 IMFは、ドイツの銀行システムの健全性は向上したが、ユーロ圏の見通しや規制が不透明なことから与信の伸びは依然鈍いと指摘。

低所得層の税負担を軽くし、子育てをしやすい環境を構築することなどを提言した。 「サービス分野の生産性を向上させるため、一段の改革が引き続き重要」と述べた。

 


〔情報BOX〕ECB当局者の最近の発言
2013年 06月 4日 14:45 JST
[フランクフルト 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で主要政策金利であるリファイナンス金利を0.5%で据え置く見通し。   以下は5月2日の理事会以降の当局者の主なコメント。

◎ドラギ総裁(6月3日)

「ユーロ圏経済は依然厳しい状況にあるが、安定化の兆しもいくつか出ており、われわれは引き続き、今年中に非常に穏やかな回復局面に入るという基調シナリオを持っている」

◎コンスタンシオ副総裁(5月29日)

(預金金利のマイナス圏への引き下げに関して)「長所、短所を見極めるうえで極めて難しい問題だ。いまだ何ら決定はなされていない」

◎ノボトニー・オーストリア中銀総裁(5月28日)

流動性供給は金利よりも重要との考えを示し、「現在の低金利下で、金利がもたらす効果を過剰評価してはならない」と発言。

◎プラート専務理事(5月28日)

「ECBは政策金利を過去最低の0.5%に引き下げたことにより、従来の金融政策の余地が尽きていないことを示した。必要な限り(拡張的な)金融政策の方向性を維持することも示している」

◎ドラギ総裁(5月23日)

「現在では金融状況が改善した一定の兆しを感じることができる」「ユーロ圏の経済状況は依然厳しい」

◎ノワイエ仏中銀総裁(5月23日)

「ユーロ圏における金融分断の程度は現在、われわれの金融政策の円滑な波及の障害となっている」

「このため、われわれは金融分断をさらに是正するための追加的な金融措置を導入するか検討しているところだ」

◎プラート専務理事(5月22日)

「ECBには物価安定という目標がある」

「この目標がリスクにさらされた場合、目標達成のために必要と判断すれば(金融政策)手段の範囲を拡大する可能性がある」

◎リーカネン・フィンランド中銀総裁(5月21日)

ECBが資産担保証券(ABS)を購入する可能性について問われ、「簡単な解決方法はないが、全ての選択肢についてオープンマインドで評価を行う必要がある」と発言。

◎ビスコ・イタリア中銀総裁(5月13日)

(預金金利のマイナス圏への引き下げに関して)「個人的には預金金利の引き下げは有効と考えている」

「テクニカル的に、われわれは介入する用意がある。意図しない影響が見られるかもしれないが、それに対応する必要があることや対応の方法をわれわれは認識している」

◎バイトマン独連銀総裁(5月9日)

(金利に関して)「金融政策は依然として行動することが可能だ。マイナスの実質金利のリスクを注視する必要があることに疑念の余地はない」

◎メルシュ専務理事(5月8日)

「ECBは依然として手段を有している。牙のないトラにはなっていない」

(ABS購入に関して)「ECBは市場を助成したり、市場の先を行くようなことはしない。これはECBの金融政策の責務ではない」

「ECBが責務の範疇(はんちゅう)を超えないことを確実にしたい」

(デフレに関して)「各種経済見通しに基づくと、デフレのリスクは10─15%にとどまっている。これは直ちに脅威となるものではなく、ECBはこれに対処する必要はない」

◎ドラギ総裁(5月6日)   (金利に関して)「理事会は預金金利をゼロ以下に低下させる可能性について率直に検討することを初めて決定した。考慮すべき複雑な要因や影響が数多くあり、慎重に検討する必要があるが、必要に応じて行動できるよう、ECB理事会はそれらを検討し、影響を分析することを決定した」   「今後数週間、ユーロ圏経済に関するすべてのデータを見守り、必要なら再び行動する用意がある」

◎クーレ専務理事(5月4日)   (金利に関して)「われわれはいつでもさらなる利下げが可能だ。このことについて、われわれは明確にしておいた。今後出てくる指標で状況の悪化が確認されれば、再び利下げするだろう」


 

 

ECBの預金金利引き下げ観測後退、域内指標改善で=欧州短期金融市場
2013年 06月 4日 05:54 JST 記事を印刷する | ブックマーク [-] 文字サイズ [+]

[ロンドン 3日 ロイター] - 欧州短期金融市場では、最近の指標からユーロ圏経済の低迷に歯止めがかかっている可能性が示されたことを受け、これまでに織り込まれていた預金金利のマイナス圏への引き下げ確率がほぼ全て解消された。

前週発表された5月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値が前年同月比で1.4%上昇したのに続き、3日発表された5月の域内製造業PMI改定値が2012年2月以来の高水準となるなど経済指標に改善が見られるなか、6日の理事会で欧州中央銀行(ECB)に金利引き下げを迫る圧力は低下したとの声が、一部アナリストから聞かれる。

ECB理事会メンバーから、ECBには預金金利をマイナス圏に引き下げる用意はまだできていないとの発言もあり、市場では、これまでに織り込んでいたECBが向こう数カ月間に預金金利を引き下げる確率を解消する動きが出ている。

預金金利を引き下げる用意があるとのドラギECB総裁の発言を受けて、前月初めにゼロ付近まで低下していた短期金利は、ほぼ3週間ぶり高水準に近づいている。

3日のユーロ圏翌日物無担保金利加重平均(EONIA)1年物 は0.08%に上昇した。EONIA1年物は前月ゼロ近辺となった後、ゆっくり上昇している。

EONIAフォワード金利も2013―14年に期限を迎える限月が全般的に上昇している。

EONIA金利 は3日終盤に0.11%となり、EONIA1年物を若干上回ったが、これは、向こう3カ月間に預金金利が引き下げられる確率を市場がわずかながら織り込んでいることを示している。

 

欧州委、ラトビアのユーロ導入認める報告書を5日に公表へ
2013年 06月 4日 10:19 JST
[ブリュッセル 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)の高官は3日、EUの執行機関である欧州委員会が来年初めからラトビアがユーロを導入することを認める内容の報告書を5日に公表すると明らかにした。18カ国目のユーロ導入国となる見通し。

欧州委は報告書で、ラトビアがユーロ導入のための全ての基準を満たしたとの判断を示すという。

欧州中央銀行(ECB)もラトビアのユーロ導入に関する見解を公表するが、導入を提案する法的な権限は欧州委にある。

6月後半に開かれるEU首脳会議での各国の承認を経て、欧州議会で意見が聴取され、7月に導入が正式に決まる。

ユーロ圏で政策を担当する高官は5月に入り、ラトビアに続いて、リトアニアが2015年からユーロを導入する可能性があるとの見方を示した。もう1つのバルト3国であるエストニアは2011年にユーロを導入した。


 


 

ECBの預金金利引き下げ観測後退、域内指標改善で=欧州短期金融市場
2013年 06月 4日 05:54 JST
[ロンドン 3日 ロイター] - 欧州短期金融市場では、最近の指標からユーロ圏経済の低迷に歯止めがかかっている可能性が示されたことを受け、これまでに織り込まれていた預金金利のマイナス圏への引き下げ確率がほぼ全て解消された。

前週発表された5月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値が前年同月比で1.4%上昇したのに続き、3日発表された5月の域内製造業PMI改定値が2012年2月以来の高水準となるなど経済指標に改善が見られるなか、6日の理事会で欧州中央銀行(ECB)に金利引き下げを迫る圧力は低下したとの声が、一部アナリストから聞かれる。

ECB理事会メンバーから、ECBには預金金利をマイナス圏に引き下げる用意はまだできていないとの発言もあり、市場では、これまでに織り込んでいたECBが向こう数カ月間に預金金利を引き下げる確率を解消する動きが出ている。

預金金利を引き下げる用意があるとのドラギECB総裁の発言を受けて、前月初めにゼロ付近まで低下していた短期金利は、ほぼ3週間ぶり高水準に近づいている。

3日のユーロ圏翌日物無担保金利加重平均(EONIA)1年物 は0.08%に上昇した。EONIA1年物は前月ゼロ近辺となった後、ゆっくり上昇している。

EONIAフォワード金利も2013―14年に期限を迎える限月が全般的に上昇している。

EONIA金利 は3日終盤に0.11%となり、EONIA1年物を若干上回ったが、これは、向こう3カ月間に預金金利が引き下げられる確率を市場がわずかながら織り込んでいることを示している。


 
 

ユーロ圏経済に安定化の兆し、OMTは市場安定に寄与=ECB総裁
2013年 06月 3日 11:43 JST
[上海 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏経済の状況は引き続き厳しいが、ECBの緩和的な金融政策や外需を支えに回復軌道に乗るとの見込みを示した。上海の会合での講演原稿で明らかになった。

ECBは5月に政策金利を過去最低水準に引き下げ、必要なら追加措置を講じる方針を示した。

講演原稿は「ユーロ圏経済は依然厳しい状況にあるが、安定化の兆しもいくつか出ており、われわれは引き続き、今年中に非常に穏やかな回復局面に入るという基調シナリオを持っている」としている。

ECBの新たな国債買い入れプログラム(OMT)について、金融市場を沈静化させる点で重要な役割を果たしており、「企業、銀行、家計などほぼすべて部門がその恩恵を享受している」と指摘した。ただ「それでも不安定さは残っている」と述べた。 ユーロ圏政府には「信頼を高めるために当局者は財政改革アジェンダを推進しなければならない」と改革の継続を要請。「きょう財政調整の手を緩めたとしても、市場が、あすには追加的な引き締めが必要になると予測すれば、効果はほとんどない」と述べた。

調整は中期的に生産性の向上に基づくものにする必要があるとし、構造改革を追求してこそ、ユーロ圏は国際競争力を回復できると指摘した。 OMTに関しては、対象国が救済策のもとで厳格な改革を策定しなければ実施できない措置で、「政府債利回りを『パニック』的レベルを下回る水準に維持するのが狙い」と説明。

「そうしなければ、政府財政の破綻を後押しすることになる」と述べたが、「OMTに基づくECBの介入は、ファンダメンタルズで正当化されないソブリン債利回りスプレッドに対処するものにはならない」とも語った。

総裁は、政府や議会が改革に取り組む必要性は、債券市場でなく、労働市場の劇的な状況からもたらされるということを忘れないことが重要と指摘した。


ユーロ圏金融・債券市場・終盤=独連邦債に売り、ECB追加緩和観測後退で周辺国債も安い 2013年6月4日
WRAPUP1: 5月世界製造業PMIは低調、各国中銀支援の必要性を示唆 2013年6月4日
5月世界製造業PMIは低調、各国中銀支援の必要性を示唆 2013年6月4日
上海短期金融市場=人民元金利はまちまち、人民銀の引き締め観測背景に 2013年6月3日

欧州委への一段の権限移譲、今後数年内は必要ない=独首相 2013年6月3日
スペインの銀行部門、経済リスクに直面も状況は改善=欧州委とECB 2013年6月4日
再送-〔アングル〕ユーロ圏銀行の超過準備が急減、短期ファンディングで高リスク投資復活も 2013年6月3日
ECB、EU首脳会議前に中小企業支援策提示の公算=EU大統領 2013年6月1日


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民80掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

アマゾンカンパ 楽天カンパ      ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民80掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧