６月４日（ブルームバーグ）：米カンザスシティー連銀のジョージ総裁は経済成長が加速しているほか、過去最低水準の金利で投資家のリスクテークが増えているとして、米金融当局は月額850億ドル（約８兆5000億円）という債券購入のペースを減速させるべきだとの見解を示した。
４日のニューメキシコ州サンタフェでの講演用に準備された原稿によれば、総裁は「経済情勢の改善を踏まえ、私は金融政策面での次の適切なステップとして資産購入ペースの減速を支持する」と言明。「経済の進展を認識し、より正常な政策決定に向けて市場に備えさせるのにあまりに長く時間をかけるのは、時期尚早な引き締めに劣らないリスクを伴う」とした。総裁は体調不良のため講演自体は行わなかった。
2011年に就任したジョージ総裁は今年の連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ ）で初めて投票権を得た。記録的な規模の刺激策が金融市場を不安定にし、長期的なインフレ期待を押し上げる恐れがあるとして、400億ドル相当の住宅ローン担保証券（ＭＢＳ）と450億ドル相当の米国債を毎月購入し続けることには反対してきた。
経済については、失業や個人消費、企業支出の改善が景気拡大を後押ししていると指摘。今年は「低インフレ」環境の下で２％前後の成長率となる可能性が高いと予想。また失業率は低下が続くとの見通しを示した。来年の成長率は３％程度と予想した。
ジョージ総裁は債券の「購入ペースを落とすことは急ブレーキを踏むのではなく、アクセルへの圧力を弱めることだと見ることができるだろう」と説明。「重要なのは、それによって市場が中央銀行の行動への依存を大幅に減らす形で機能できるようにし、価格形成と資源配分といった最も重要な役割を再開できるよう下準備を始められることだ」と述べた。
総裁はまた、資産市場に過熱の兆しがあると指摘。「投資家はよりリスクの高い資産を購入するため極めて低い金利で資金を借り入れている。恐らく一部の投資家は非常に低い金利のローンが提供され続け、どのような相場変動も乗り切れると考えてこうした戦略を取っているのだろう」と述べた。
原題：Fed’s George Calls for Reducing QE Citing Higher RiskTaking (1)（抜粋）
記事に関する記者への問い合わせ先：Atlanta Steve Matthews smatthews@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先：Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/05 06:45 JST

ダウ工業株３０種.DJIは７６．４９ドル（０．５０％）安の１万５１７７．５４ドル。

ナスダック総合指数.IXICは２０．１１ポイント（０．５８％）安の３４４５．２６。

Ｓ＆Ｐ総合５００種.SPXは９．０４ポイント（０．５５％）安の１６３１．３８。

３指数は一時１％超下落する場面もあったものの、下げ幅を縮小し取引を終えた。

アナリストは、株価が年初以降大きく上昇していることを踏まえ、最近の下落は驚きではないと指摘する。

ジャニー・モンゴメリ・スコットの首席投資ストラテジスト、マーク・ラスチーニ氏は「株ロングを維持することに息切れ感が出ているようにみえる」と指摘。相場が勢いを取り戻せずにいることで、投資家の利食い売りを誘っていると述べた。

この日は成長関連株の下げがきつかった。Ｓ＆Ｐ金融株指数.SPSY>は０．９％下落。一方、Ｓ＆Ｐ通信株.SPLRCLは０．９％上昇した。

「１ドルショップ」チェーンを展開す米ダラー・ゼネラル(DG.N)は９．２％安。通年利益見通しの上限を下方修正したことを嫌気した。

クラウドコンピューティング・サービスのセールスフォース・ドット・コム(CRM.N)は７．９％安。同社はこの日、オンラインマーケティング・ソフトウエアのイグザクトターゲット(ET.N)を２５億ドルで買収すると発表した。

イグザクトターゲットは５２．４％急上昇した。

米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁はこの日、連邦準備理事会（ＦＲＢ）の債券買い入れペースの縮小は金融政策の引き締めにあたらないとし、ＦＲＢの超緩和的な金融政策に対する金融市場の依存度を低下させる一助になるとの認識を示した。

ニューヨーク証券取引所（ＮＹＳＥ）、ＮＹＳＥ・ＭＫＴ、ナスダックの出来高は約６８億株と、今年の１日平均の約６４億株を多少上回った。

騰落銘柄比率は、ニューヨーク証券取引所・ナスダックともに約１対２となった。

（カッコ内は前営業日比）

ダウ工業株３０種（ドル）.DJI

終値　　　　　　　　　15177.54（‐ 76.49）

前営業日終値　　　　　15254.03（＋138.46）

ナスダック総合.IXIC

終値　　　　　　　　　3445.26（‐20.11）

前営業日終値　　　　　3465.37（＋ 9.45）

Ｓ＆Ｐ総合５００種.SPX

終値　　　　　　　　　1631.38（‐9.04）

前営業日終値　　　　　1640.42（＋9.68）

米ＦＲＢの資産買い入れ縮小、引き締めにあたらず＝連銀総裁
2013年 06月 5日 08:04 JST
［サンタフェ（米ニューメキシコ州）　４日　ロイター］ - 米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は４日、連邦準備理事会（ＦＲＢ）の債券買い入れペースの縮小は金融政策の引き締めにあたらないとし、ＦＲＢの超緩和的な金融政策に対する金融市場の依存度を低下させる一助になるとの認識を示した。

ジョージ総裁はこの日、当地で講演を行う予定となっていたが、体調不良のため中止となり、講演原稿が発表された。

ジョージ総裁は原稿で、資産買い入れペースの縮小は「金融政策上の次の適切な措置」との見解を表明した。

さらに、景気の改善を確認し、一段と正常な金融政策に市場が対応できるまで長く待ち過ぎることは、早計な金融引き締めと同様にリスクを伴うと警鐘を鳴らした。

「（債券）購入ペースの縮小は、ブレーキを踏んでいるというよりもアクセルへの圧力を弱めていると捉えることができる」と述べ、現段階での調整は、景気の進展に応じて慎重に行うことが可能との見解を示した。

ジョージ総裁は今年開かれた米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で、毎回反対票を投じている。

同総裁はＦＲＢが債券買い入れを通じて銀行に資金を大量に供給することによって、投資家が安全な資産からリスクの高い資産へ資金を移すことのリスクを強調した。

信用取引口座の融資残高が４月に過去最高となったのは、投資家が非常に低い金利で資金を借りて、高リスク資産を買い入れていることを示すと分析。また高い利回りを求めて投資家がリスクの高いレバレッジドローンに向っていると指摘した。

さらにＦＲＢの積極的な緩和策を市場が「標準」と受け止めている恐れがあるとし、その結果ＦＲＢの実質ゼロ金利政策と量的緩和政策への依存度が高まっていると指摘。こうした状態は不健全で、信用の配分が偏る可能性があるとの見方を示した。

ジョージ総裁は「市場が中銀への依存度を大幅に低下させ、価格の発見と資源配分という最も本質的な役割を取り戻すことができるように準備を始めることが重要だ」と強調した。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は４１０億ドルだった。３月分は３７１億ドルと、速報値の３８８億ドルから下方修正された。

インフレ調整後の貿易赤字は４７６億ドル。３月は４４６億ドルだった。インフレ調整後の実質的な貿易赤字が拡大したことで、今後エコノミストの間で第２・四半期米成長率見通しを引き下げる動きが出る可能性がある。

ＴＤ証券（ニューヨーク）のシニアエコノミスト、ミラン・ムルレーン氏は、「実質的な貿易活動は低調だった。このことから、貿易収支が引き続き米経済活動の足かせとなっていることがうかがえる」と述べた。

貿易赤字の４月までの３カ月平均は４０４億２０００万ドル。３月までの３カ月平均の４１２億２０００万ドルから縮小した。

４月の財とサービスの輸入額は２．４％増の２２７７億ドル。石油輸入額が２０１０年１１月以来の低水準となったことで、全体の輸入額の増加が抑制された。

財とサービスの輸出額は１．２％増の１８７４億ドル。統計開始以来２番目に高い水準となった。自動車、および自動車部品の輸出額が過去最高となったことで押し上げられた。消費財輸出も過去最高となった。

米経済はこれまで輸出の伸びに支えられ、２００７─０９年のリセッション（景気後退）から着実に回復してきたが、ここ数カ月は特に中国と欧州の需要減退を背景に、米国の輸出の勢いは衰退。ドル高の進行も抑制要因となっている。

地域別では、欧州連合（ＥＵ）２７カ国向けの輸出が７．９％減。１─４月期では前年同期比７．４％減となった。４月の英国向け輸出は２００９年５月以来の低水準となった。

中国向け輸出は４．７％減。ただ１─４月期では４．８％増となる。

中国からの４月の輸入は２１．２％増。これにより対中貿易赤字は２４１億ドルとなり、前月の１７９億ドルから拡大した。

対日貿易赤字は６９億４２００万ドルとなり、前月の６５億５５００万ドルから拡大した。
　

関連ニュース

3月経常黒字は1兆2512億円、所得収支増で1年ぶり高水準 2013年5月10日
上海外為市場＝人民元が最高値更新、終値6.1410元 2013年5月8日
第1四半期米ＧＤＰ速報値、2.5％増に加速：識者はこうみる 2013年4月26日
3月貿易収支は3624億円の赤字、12年度は過去最大の赤字 2013年4月18日