★阿修羅♪ > 経世済民80 > 395.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
各市場で都合よく解釈した米雇用統計、様子見続く長期投資家  ロイター
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/395.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 6 月 10 日 18:33:41: mY9T/8MdR98ug
 

[東京 10日 ロイター] - 日本株やドル/円は自律反発したが、上昇基調に回帰したと言えない不安定さを依然として抱えている。注目の5月米雇用統計は強いとも弱いともいえない結果となったことで、各市場で都合よく解釈され、米金融緩和の早期縮小観測はくすぶったままだ。

安倍晋三首相の成長戦略が迫力不足となったことから、アベノミクスへの評価も一服しており、長期投資家は様子見姿勢を崩していない。

<荒れる市場は続く>

5月米雇用統計は、各市場にとって「都合のいい」内容となった。失業率が上昇した半面、非農業部門雇用者数は市場予想を上回り、米雇用環境が「改善している」とも、「していない」とも解釈できる内容だ。7日の米株市場では、しばらく緩和縮小はないと受け止め、米ダウ.DJIは200ドル超上昇したが、米債市場では反対に早期緩和縮小の可能性が強まったと解釈し、米金利が上昇した。ドル/円は失業率上昇を材料に一時94円まで下落した後、一転して非農業部門雇用者数の上振れを評価して、週明け10日の東京市場では98円台まで戻してきている。

テクニカル的に短期的な売られ過ぎサインも出ていた日本株は、米株高と円安を好感し、買い戻しが先行。日経平均.N225は600円を超える今年最大の上昇となった。ただ、買いの主体はヘッジファンドなど短期筋のショートカバーが中心とみられている。

東証1部売買代金は2兆5760億円と約1カ月ぶりに3兆円大台を割り込むなど、東証1部全体の97%の銘柄が上昇した割に盛り上がりは乏しかった。市場では「国内勢、海外勢ともフローは細い。買い戻しが一巡すれば、自律反発も終わってしまうかもしれない」(外資系証券トレーダー)との慎重な声もあった。

マーケットが全体的に慎重なのは、米「出口」観測が依然くすぶっているためだ。5月米雇用統計では、労働市場の先行指標である人材派遣業の雇用が8カ月連続で増加するなど、「出口」観測を強めなかったものの、米経済が上向きのモメンタムを維持していることを示した。金融相場を支える米量的緩和第3弾(QE3)の縮小時期が鮮明には見えないまでも、着実に近づいているのは確か。市場の流動性縮小への警戒感が残るなか、ボラティリティの高い相場が続く可能性が大きい。

シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は5月米雇用統計について「弱かったのは生産や建設部門だったが、景気がソフトパッチを脱していけば、雇用の伸びは高まり、QE3減額に向けた環境が徐々に整うと予想される。ただ、出口観測が強まれば、また市場は荒れるだろう。円安が進む可能性もあるが、日本株が流動性縮小と円安のどちらに強く影響されるか、まだ読みにくい」と話す。

日経平均ボラティリティ指数は、一時43ポイント台まで上昇。荒れた展開を嫌気して多くの長期投資家は様子見のままだ。「14日のメジャーSQ(特別清算指数)算出を控え、取引時間中の荒い値動きはまだ、覚悟しておくべきだろう。今の先物の建玉はボラティリティが上昇する前に積み上がったものだ。高いボラティリティに応じた建玉がそろうまでには、もう少し時間がかかるとみている」と大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は指摘する。

<アベノミクスへの期待後退させる海外勢>

日本株については、流動性縮小懸念だけでなく、アベノミクスへの期待後退も海外勢を慎重にさせている理由だ。安倍首相の「成長戦略」は14日の正式決定まで時間はあるものの、法人税減税などが見送られる見通しで、失望している海外投資家も少なくない。

前週、アジアの投資家を訪問してきた外資系証券エコノミストによると、現地ではアベノミクスへの期待が低下していたという。「日銀は長期金利をコントロールできておらず、政府の成長戦略もいまいちだった。日本株急落のなかでの訪問だったこともあるだろうが、海外勢の間ではアベノミクスはうまくいっていないのではないかとの疑問が出ているようだ」と話す。

安倍首相は9日午前、NHKの番組で、秋に第2弾の成長戦略に取り組み、思い切った投資減税を行う考えを示した。市場では「成長戦略第1弾の評判がよくなかったので、すぐさま追加したのではないか。対応が素早いことは評価できるが、自信のなさもみえる」(国内証券)との指摘も出ている。

設備投資が活発化すれば、機械メーカーなどがメリットを受けるとみられるが、10日の市場でファナック(6954.T: 株価, ニュース, レポート)など機械株の動きはそれほど目立っていない。

大和証券の木野内氏は、投資減税について「生産設備に限らないとすべきだ。現在の日本経済は立ち上がり初期であり、生産設備を拡大できるほどの余力はない。生産設備に限らなければ、例えば、ウィンドウズXPからの乗り換えを促進させることができる。これまでの長い景気低迷で遅れていた日本のIT環境の改善につながり、生産性をアップできる」と指摘している。

(伊賀 大記 編集:田巻 一彦)


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95906D20130610?sp=true  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年6月10日 20:21:24 : niiL5nr8dQ

企業の設備投資、投資減税だけでは動かない=経団連会長
2013年 06月 10日 16:14 JST

[東京 10日 ロイター] - 経団連の米倉弘昌会長は10日の定例会見で、安倍晋三首相が企業の投資減税を柱とした成長戦略を秋にもまとめることを表明したことに歓迎の意を示す一方、「投資減税だけでは(設備投資は)動かない」と述べた。

「成長戦略を工程表に沿って着実に実現していくことが重要」とし、経済が成長に乗ることで需要が拡大すれば「設備投資が実現していく」と語った。
 
関連ニュース

秋に成長戦略第2弾、思い切った投資減税決めたい=安倍首相 2013年6月9日
株価急落、成長戦略への失望売りとは思わない=同友会代表幹事 2013年6月5日
成長戦略実行していく過程で、足元のふらつきおさまる=経済再生相 2013年6月5日
前場の日経平均反落、重要イベント前に様子見強まる 2013年6月5日

 

 

 
 

コラム:相場の波乱は日本版「ニューノーマル」への道=加藤隆俊氏
2013年 06月 10日 18:26 JST
加藤隆俊 国際金融情報センター理事長/元財務官(2013年6月10日)

米経済学者のあいだで、「ニューノーマル(新しい普通)」という言葉がひところ流行った。リーマンショック後の世界経済では、従来の常識は通用しないとの見方を示したものだ。金融資本市場の乱高下に見舞われている日本は今、いうなればアベノミクス後の「ニューノーマル」すなわち新しい常識・常態を模索している局面なのだろう。

周知の通り、リーマンショック後の金融緩和の連鎖を受けて、世界は今、カネ余りの状態にある。主要先進国の中銀はこぞってバランスシート拡大に走り、海外からの資本流入に対応することも念頭に新興国の中銀は利下げを繰り返している。

4月に打ち出された黒田日銀の「量的・質的金融緩和」も一歩引いてみれば、その大きな流れの一部ではあるが、新発国債発行額の7割を購入するという緩和規模と日本の経済規模の大きさを考えれば、世界経済・市場へのインパクトは群を抜く。評価が定まるまでには時間が必要であり、株式市場の乱高下もそれゆえにうなずける。

国債市場も同様にアベノミクスや異次元緩和の効果を消化する過程にあり、均衡点をめぐって手探りの局面にある。金融機関の多くは0.3―0.4%近辺を利回りの底だと見なしたのか、とりあえず保有国債を売却し益出しした模様だが、どのタイミングで新発債への投資を積極化していくのか、異次元緩和を前提とした国債投資方針について現在、懸命に検討を重ねている段階だろう。マーケットの買い手が薄くなれば、ボラティリティ(変動率)は当然高まる。長期金利が一時跳ね上がったのも、無理のない話だ。

こうした中、問われているのは、他でもないオペを通じた国債金利の誘導、日本経済の分析、市場の期待への働きかけといった黒田日銀の総合力であり、中でもコミュニケーション能力だ。異次元緩和の主な狙いは、期待インフレ率を上昇させて実質金利を引き下げ、民間投資を誘発することにある。期待インフレ率の上昇に働きかけていく一方で、名目金利の上昇をある程度容認するのか、それとも力で抑えていくのか。この大事な点について、日銀の考えがはっきり示されていないように感じる。

異次元緩和で国債市場の価格形成に対する日銀の影響力は格段に上がっているわけであり、沈黙や不明瞭なメッセージは疑心暗鬼を生む恐れがある。どのタイミングでどの程度のレンジの残存期間の国債を買っていくのか、予定をかなり前広(まえびろ)に設定して、機関投資家との意思疎通を図っていく必要があろう。

<日本経済の一番好ましいシナリオ>

とはいえ、相場の乱高下を横に置けば、アベノミクス(中でも第1の矢である金融緩和)は、ひとまず狙った通りの結果を出していると筆者は前向きに評価している。最近発表された経済指標は、日本経済が着実に回復軌道をたどっていることを示唆するものが多い。1―3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で4.1%成長し、4―6月期も、鉱工業生産や消費者態度指数など先行指標の改善度合いから見ると、引き続き底堅いものとなりそうだ。

また、4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比0.4%低下したものの、5月の東京都区部消費者物価指数(同)は前年比0.1%上昇した。2年後2%のインフレターゲットはかなりハードルの高い目標だが、物価が上昇に転じるとの期待がじわりと広がりつつあるのは事実だろう。

今後は円安効果も次第に輸出に現れ、恐らく秋口には予定通り消費税率を来年4月に引き上げる方向で政権の決断が下されるのではないか。それを予期して、ある程度の駆け込み需要が今年度中に起こることが、当面の日本経済にとっては一番好ましいシナリオだ。

むろん、中国の経済成長の屈折リスクもあれば、強弱の材料が交錯する米国経済の行方にも注意が必要だ。また、カネ余りの中で、これまでユーロ圏に集中していた投資家の関心のかなりの部分を今や日本が引き受けていることを考えると、国内の株式や債券そして円相場が今後も期待によって上下方向に大きく動くことが予想される。実際、ドル円相場は現在、95―100円台のあいだで激しい値動きを見せている。

ただ、かねて指摘してきたように、異次元緩和によるボラティリティの高まりはある程度予想されていたことだ。国債市場については、日銀の事務方が今後、機関投資家ときちんとコミュニケーションを図っていけば、再度の流動性枯渇などの事態に陥らず健全な相場水準を探り当てていくものと思われる。

政府は、市場のセンチメントの揺れ動きに慌てることなく、「第3の矢(成長戦略」)を着々と実行していくことが肝要だ。15年に及ぶデフレからの脱却に至る道は恐らく平坦ではないが、視界は決してゼロではない。均衡点をめぐる相場の波乱も、見方を変えれば、ニューノーマルに至る通り道である。

*加藤隆俊氏は、元財務官(1995─97年)。米プリンストン大学客員教授などを経て、2004─09年国際通貨基金(IMF)副専務理事。10年から公益財団法人国際金融情報センター理事長。


 


 
 


欧州債務危機の解決、ECBの政策には限界=クーレ専務理事
2013年 06月 10日 17:40 JST

トップニュース
コラム:相場の波乱は日本版「ニューノーマル」への道=加藤隆俊氏
各市場で都合よく解釈した米雇用統計、様子見続く長期投資家
テニス=全仏16強の錦織、日本男子最高の世界ランク13位
企業の設備投資、投資減税だけでは動かない=経団連会長

[ウィーン 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は、債務危機の解決のために中央銀行ができることには限界があると強調した。各国の政府が改革を維持するよう促している。

ECBの新たな国債購入プログラムが金融市場の鎮静化に役立ち、各国政府に改革を進めるための時間的猶予を与えた。

クーレ専務理事はウィーンでの講演の原稿で「われわれの政策によって一定の安心感がもたらされたものの、金融政策にできることには限界がある」との見解を明らかにした。

「重要な作業は済んだが、現在の環境下で自らに都合が良くなるよう利益を求める行動を慎み、社会的な弱者を守る必要があることを心に留めながら、ユーロ圏の政府は改革の取り組みを個別に、そして共同で維持することが必須」と指摘した。

関連ニュース

欧州は表面的な回復回避の可能性、将来に向けた措置で=ベルギー中銀総裁 2013年6月8日
ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨 2013年6月7日
ユーロ圏経済に安定化の兆し、OMTは市場安定に寄与=ECB総裁 2013年6月3日
アングル:ユーロ圏銀行の超過準備が急減、高リスク投資復活も 2013年6月3日


02. 2013年6月10日 20:23:21 : niiL5nr8dQ
焦点:水面下で進む中国の対米投資、地元政府は歓迎
2013年 06月 10日 15:22 JST
[ローリー(米ノースカロライナ州) 9日 ロイター] - 中国企業による米食肉大手の買収計画に対し、一部の米国議員から懸念の声が上がっているが、水面下では全米の多くの地域で中国の対米投資が拡大している。

トムソン・ロイターのデータによると、中国企業による米国企業の合併・買収(M&A)は今年、過去最高となる勢い。すでに105億ドルを超えるM&Aが行われている。

「対米進出を検討する中国企業から、毎週のように大量の問い合わせが入る」──ノースカロライナ州政府でアジアからの投資誘致を担当するエイプリル・カプラー氏はこう語る。

中国レノボ・グループ(連想集団)(0992.HK)が本社の1つを構えるノースカロライナ州は、中国企業を積極的に誘致。コンピューター部品メーカー、ソフトウエア会社、機械メーカー、医薬品会社などが対象で、香港や上海にも事務所を開設した。市長や知事が頻繁に現地を訪れ、中国企業に投資を呼びかけている。

州内の大学も、教授と学生のつながりを利用して、中国との関係強化に動いている。ノースカロライナ大学は「中国のMIT(マサチューセッツ工科大学)」として知られる清華大学との共同学位プログラムを導入。

ノースカロライナ州立大学のリエン・シエ教授(気象学)は、地元経済と中国企業を結びつけるため、10年前にカロライナ中国協議会を創設した。現在はノースカロライナ州初のチャイナタウン建設を目指して、資金集めに奔走している。

コンサルティング会社ロディアム・グループによると、ノースカロライナ州は、中国からの投資受け入れで全米5位。受け入れ1位はカリフォルニア州。2位以下はニューヨーク、テキサス、イリノイの各州が続く。

<数少ない明るい話題>

中国の対米投資データは、集計元によってばらつきがある。

ロディアムによると、中国の対米直接投資は累計230億ドル(大半は2008年以降の投資)。ヘリテージ財団がまとめた2005─2012年の中国の対米投資(政府系ファンドによる大型間接投資を含む)は500億ドルだ。

ただ「どのデータでみても、2012─13年の2年間の中国の対米投資は極めて高水準」(ヘリテージ財団のデータをまとめたエコノミスト、デレク・シザーズ氏)という。

中国の対米投資は、対米投資トップの英国(約4400億ドル)や2位の日本(約3000億ドル)に比べると少ない。

ただ、ロディアムのシロ・ハネマン研究員は、米経済の低迷が続き、債務危機で 欧州からの投資も伸び悩むなか「中国による投資は数少ない明るい話題」と話す。

中国の銅管工場をアラバマ州に移転し、300人に雇用を創出した香港の投資仲介会社SoZoグループのレイモンド・チェン最高経営責任者(CEO)は「(米国の南部州は)非常にオープンで、とうしを歓迎してくれる。(南部の一部地域は)どこよりも雇用を必要としている」と発言。 他の中国メーカーにも、ミシシッピ州など近隣州への移転を薦めていることを明らかにした。

<中国企業の不安>

バージニア州では、中国食肉大手、双匯国際による米豚肉生産大手スミスフィールド・フーズの買収計画が進んでいる。買収額は50億ドル近くと、実現すれば、中国企業による過去最大の米企業買収となる。

ただ、一部の米議員は、双匯国際の食肉安全基準に対する懸念を表明。財務省の対米外国投資委員会も、国家安全保障上の観点から買収を審査する予定だ。

買収は最終的には認可される見通しだが、こうした政治・規制上の問題が中国企業の対米進出を躊躇させる要因になっているとの指摘は多い。

ノースカロライナ州のカプラー氏は「多くの企業が対米投資を望んでいるが、中国企業側には、対米投資に際し目立ちたくないという不安感がある」と述べた。

米政府は2005年、中国海洋石油(CNOOC)(0883.HK)による米エネルギー大手ユノカルの買収(185億ドル規模)を阻止。その後2年間、中国の対米投資は冷え込んだ。当時の記憶は、今も多くの中国企業関係者の脳裏に焼きついているという。

シザーズ氏も「米国は反中感情が強く、事業環境は厳しいという認識が中国企業側にあるのは間違いない。ただ、そうした見方は根拠に乏しい」と述べた。

ロディアムのハネマン研究員によると、中国企業が米国で雇用する米国人は3万人以上。日本企業が雇用する米国人80万人、中国の米系企業が雇用する中国人180万人にはるかに及ばない。米国への海外直接投資は総額3兆ドルで、中国による投資はまだまだ少ないといえる。

ノースカロライナ州政府で国際通商を担当するジーン・デイビス氏は、「ハッカー攻撃など、国家レベルで対応が必要な問題はあるが、地元レベルでは、企業側と良好な関係を築いており、雇用の安定にもつながっている。これは地位社会にとって非常に重要だ」との認識を示した。

(Paul Eckert記者;翻訳 深滝壱哉 編集 宮崎大)

 


コラム:米当局のデータ収集問題、ツイッターには追い風
2013年 06月 10日 18:49 JST
By Robert Cyran

米政府がインターネット上でスパイ活動をしているとの報道は、シリコンバレーに打撃を与える可能性がある。米国家安全保障局(NSA)と米連邦政府局(FBI)は、グーグルやフェイスブック、ヤフー、マイクロソフトなどネット業界の大手企業から集めたデータを解析している。

今回の一連の報道は、当局のデータ収集に協力していないツイッターなどにとっては、むしろセールスポイントになるだろう。また、米国以外でも政府当局が「データナショナリズム」への関与を強めるきっかけになるかもしれない。

インターネット上のトラフィックを政府が利用しているとの考えは、取り立てて新しいものではない。今回明らかになったことで驚かされたのは、その取り組みの規模だ。当局はネット上を流れる電子メールや動画、スカイプでの会話、ソーシャルネットワークへの投稿など、数ペタバイトに上るデータを刻々と集めている可能性がある。

「PRISM」というコードネームで呼ばれる情報収集プログラムは、米国外で暮らす人々や外国人と情報をやり取りする米国人を対象としているようだ。しかし、だからと言って国内ユーザーを安心させることにはとてもならない。NSAが米通信大手ベライゾンの利用者数百万人の通話履歴を収集していると報道された後ならなおさらだ。一方、今回の報道を外国人はどう受け止めるだろうか。名前の挙がった米企業は打撃を受ける恐れがある。

こうした企業にとってリスクとなるのは、プライバシーに懸念を持ったユーザーが競合サービスへの乗り換えを検討することだ。それによる恩恵を受ける可能性がある会社の1つはツイッターだ。同社はユーザーのデータ保護のために戦う姿勢で評価を得てきた。司法や議会からの圧力に抗える力は実際には限られているが、それでも今回の報道で名前が挙がらなかったことは特筆すべきだろう。

プライバシーを心配するユーザーは、米国以外のIT企業に目を向ける可能性もある。そしてそれは、ほんの手始めに過ぎない。各国政府や各企業は一様にネットインフラを見直すだろう。増える一方のデータは、現在は遠く離れた場所で保管されており、米国は世界のデータトラフィックの巨大な暗きょとなっている。プライバシー問題に敏感なドイツなどでは、データの送受信先や保管場所を国内にとどめておくべきとの議論や、自国民に関する情報へのアクセスを他国の政府機関に許可した企業に制裁措置を取るべきとの議論も出てくるかもしれない。

さらに悪いのは、世界の独裁政権がネット上のスパイ活動での自分たちの正しさが立証されたと感じることだ。米政権にとって今回の一連の報道は、オバマ大統領が習近平中国国家主席と会談を行い、サイバー攻撃をめぐる問題への対応を促したのとほぼ同じタイミングという間の悪さだった。シリコンバレーの大手企業は、今回の問題が長期的な打撃とならないよう願っているはずだ。

(8日 ロイター)

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民80掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民80掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧