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そして、ギリシャが再び焦点に 景気・経済観測(欧州) (東洋経済) 
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/523.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 6 月 20 日 11:28:00: igsppGRN/E9PQ
 

そして、ギリシャが再び焦点に 景気・経済観測(欧州)
http://toyokeizai.net/articles/-/14395
2013年06月20日 田中 理 :第一生命経済研究所 主席エコノミスト


昨年12月の支援再開で落ち着きを取り戻したかに見えたギリシャ情勢が再び不安定化している。

サマラス首相は6月11日、緊縮策の一環で国営放送のERTを閉鎖する首相令を発した。ERT本社前では大規模な抗議活動が続いており、メディア関係者が無期限のストライキを決行しているほか、主要労働組合もストライキに加わり、一部で公共交通機関の運行が停止された。

■突然の国営放送の閉鎖決断

2600人以上の従業員を抱えるERTに対しては、主要政党が長年にわたって選挙協力者に“職”の便宜を図ってきたと言われており、非効率で政治的な関与の強い国営企業の象徴と目されてきた。政府は閉鎖するERTに代わる放送機関を近く設立するとし、新たな機関は人員規模や経費が従来よりも小さい効率的な組織になると説明している。

国民の間には閉鎖の決断に理解を示す声もあるが、報道の自由を侵害する行為との批判や民主主義的な手続きを経ない閉鎖命令に対する疑問の声も挙がっており、波紋が広がっている。

首相がERTの閉鎖を決断した背景には、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)からの支援受け入れに際して約束した公的部門の規模縮小や人員削減が進んでいない事情がある。支援条件を記した「覚書き(MoU)」によれば、2010年末と比較して2015年までに15万人の公的部門の人員削減を約束していた。

政府は主に早期退職の奨励と採用抑制(5人の退職者に対して人員補充を1人だけ認める措置など)を通じて、これまでに約10万人を削減してきた。だが、目標達成には年内に4000人、6月末までに2000人の人員削減が必要となる。

ギリシャ政府は現在、厳し過ぎる財政緊縮の見直し機運の高まりを受け、外食費や宿泊費に対する付加価値税(VAT)の税率引き下げや、国有企業の民営化収入の目標達成期限の先送りなど、支援条件の部分的な見直しを模索している。条件見直しでEUやIMFの譲歩を引き出すためには、公的部門のリストラで一定の成果を挙げておくことが得策と判断した可能性がある。

トロイカの審査団がアテネに到着したのは6月11日と首相令の発表当日だ。審査団の到着に合わせて首相が閉鎖を決断したのは偶然ではないとの見方もある。ERT閉鎖を公的部門改革の突破口にしたいと考えたのかもしれない。

首相令は発行から40日以内に議会に提出し、提出から3カ月以内に採決を行わなくてはならない。サマラス首相が率いる中道右派の「新民主主義(ND)」の議席は125と、過半数(151議席以上)に満たない(図http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/14520.jpg)。

法案可決には、連立を組む中道左派の「全ギリシャ社会主義運動(PASOK)」や穏健左派の「民主左派党(DIMAR)」の協力が不可欠となる。両党ともにERTの事業縮小の必要性を認めているが、今回の首相令に反対の意向を示しており、サマラス首相に閉鎖計画の撤回を求めている。

このように、連立内部の不協和音が高まっていることを受け、連立崩壊による議会の解散・総選挙を懸念する声も浮上している。政治的な緊張の高まりで再選挙が現実味を帯びる場合、反緊縮派やユーロ懐疑派の政党が一段と議席を伸ばす可能性が意識され、支援打ち切り懸念やユーロ離脱論が蒸し返す恐れが出てこよう。

■次の選挙では極左や極右政党のさらなる躍進も

最近の政党別の支持率調査によれば、議会最大勢力で連立政権を率いるNDと、昨年5・6月の総選挙で躍進した反緊縮・反ユーロを掲げる野党第1党の「急進左派連合(SYRIZA)」の2党の支持率がそれぞれ29.5%、27.5%で、引き続き拮抗している。

総選挙後は現政権の政策運営への不満からSYRIZAがリードする調査が多かったが、支援再開後は支援条件の見直しなど支援提供国側の態度軟化もあり、NDが再びリードする調査が増えている。

一方、連立を組むPASOKの支持率低迷に歯止めが掛からない。改選前は129議席で最大勢力だったPASOKは、昨年6月の選挙で13.2%の獲得票率にとどまり、改選後の議席を41に減らした。選挙後に支持率は一段と低下し、最近では6〜7%程度にとどまっている。

こうしたなか、次に選挙が行われた場合、PASOKに代わって第3党に躍進しそうなのが、極右のナショナリズム政党「黄金の夜明け(Golden Dawn)」だ。同党は移民排斥を訴え、外国人に対する暴力行為への関与やファシズム信奉も噂される。しかし、ギリシャ国籍を有する者に身分証明書の提示を条件に、食料品や生活必需品を無償で配布するなどして、主に貧困層や若者からの支持を伸ばしており、最近の支持率調査では11.5%となっている。

ギリシャの失業率は25%を超え、若年層では60%超に達している。一部の景況感に改善の兆しが見られるものの、国民が肌で感じる不況の痛みは一段と増しており、次の選挙では極左や極右勢力がさらに躍進する可能性もある。

■再選挙実施でも単独過半数難しく、再び3党連立に

ギリシャの議会選挙は比例代表制で定数は300議席、@獲得票率が3%未満の政党は議席を獲得することができない、A3%以上の票を獲得した政党の間で、それぞれの獲得票率に応じて250議席を配分する、B安定した政権運営を行うことを目的に、最大票を獲得した政党に50議席のボーナスが与えられる。

最近の世論調査の結果に基づき、再選挙が行われた場合に予想される各党の獲得議席数を試算したところ、NDがボーナス議席を含めて120議席程度を確保すると見られるが、単独での過半数獲得は困難な情勢だ(図)。
http://tk.ismedia-deliver.jp/mwimgs/5/d/-/img_5d2df13834c268f625e5200521a777c2220239.jpg

政策面での食い違いや野党勢には極端な政策を掲げる政党が多いことを考えると、連立相手として考えられるのは、現政権に加わっているPASOKとDIMARしか見当たらない。両党の獲得議席は各々15〜20議席程度にとどまると目され、再び3党による連立政権が発足しない限り、安定した政権運営を行うことは出来ない。

行政訴訟の最上級審である国家評議会は17日、閉鎖決定を政府の裁量の範囲内としながらも、公共放送が1つも存在しない状態を違憲と判断し、ERTの営業を即時に再開するよう命じた。

現地報道によれば、6月17日に行われた連立3党による党首会談でサマラス首相は、@事業規模や人員を縮小した新たな放送局が設立されるまで、ERTの部分的な営業再開を認めることと、A6月下旬に内閣改造を行い、3党の連立関係を強化・再構築することを提案したとされる。

極左・極右政党の勢いを考えれば、連立を組む3党は早期の解散・総選挙を望んでおらず、政治的な安定を優先する意向な訳だ。ただ、今回のERTの一件で、公的部門改革の難しさや連立基盤の脆弱さが改めて浮き彫りとなった。今後も政局流動化への懸念は燻り続けよう。

■いずれ追加の債務再編が必要になるとの見方も

財政再建を巡っては、今年に入ってからの月次の財政収支が計画を上回るペースで改善するなど、一部に明るい兆しも広がっている(図)。プライマリーバランスの黒字転換も視野に入る。
http://tk.ismedia-deliver.jp/mwimgs/0/2/-/img_02dabd8a580d40bd31b3d8d5ec711e7e169693.jpg

ただ、財政再建の一環で進める国有企業の民営化が計画通りに進んでいないことや、昨年3月の債務交換後も公的債務残高の対GDP比率は170%を上回る極めて高水準にあり、債務の持続可能性を不安視する声が根強い。

今年の民営化の目玉案件とされた国営ガス会社DEPAの入札は、当初ロシアの政府系大手ガス会社が関心を示したが、6月10日の期限までに応札はなく、最終的に買い手がつかなかった。

政府は年内に25億ユーロの民営化収入を計画しているが、DEPAの民営化でこのうち10億ユーロ程度を捻出する予定だった。入札失敗で今年の計画達成は困難となり、政府はEUやIMFなどに民営化計画の見直しを求めることを検討している。計画見直しが認められず、厳格な条件の履行を求められた場合、ギリシャは不足分の穴埋めに追加の歳出削減などを行う必要が出てくる。

■2014年の財政穴埋めを巡る支援提供国間の対立

また、2次支援の再開時に確定していなかった2014年の財政ギャップ(目標とする財政健全化の達成に必要な財政の過不足)をどのように穴埋めするかを巡って、ギリシャ政府や支援提供国の間で協議が進められているが、各国・各機関の見解の相違が表面化し始めている。一部報道によれば、IMFはEU諸国に追加の債務再編を求めているのに対して、ドイツ政府は国民の理解が得られないとして反対しているようだ。

ギリシャの政府債務の約8割はEUとIMFによる支援融資や欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債で、さらなる債務再編には公的部門の関与(OSI)が不可欠で、支援提供国の政治決断が鍵を握っている。だが、最大の支援提供国のドイツは9月22日に連邦議会選挙を控えており、国民からの反発が予想される追加の債務軽減措置を受け入れることは難しい。

IMFは通常、四半期毎の融資(トランシェ)実行を判断するに当たって、12カ月先までの財政資金を確保できる目処が立っていることを条件としている。次回の融資実行を判断するに際して、IMFが2014年の財政ギャップを問題視した場合、選挙前の追加財政負担の議論見送りを求めるドイツ政府との確執から、IMFが支援を見送る恐れもある。

このようにギリシャ情勢は、連立政権の足並みの乱れや債務の持続可能性が危ぶまれるなど、今も不安要素を抱えている。

欧州の債務危機はこれまで「危機」と「小康」を繰り返してきた。危機がいよいよ極限に近づくと政策対応が打たれる。政策対応で市場が落ち着きを取り戻すと、危機国や政策当局の危機感が薄れ、政策が停滞する。政策停滞により、次の危機のマグマが蓄積し、それが時を経て噴出する。ECBによる新たな国債購入策(OMT)の発表以降、金融市場が小康を保ってきたことで、危機と小康のサイクルの振幅が小さくなってきたが、今もこのサイクルから抜け出した訳ではない。

市場心理が悪化する局面では、ギリシャのみならず欧州各国が抱える政治リスクや銀行同盟を巡るEUの政策停滞などに、改めて焦点が当たる可能性がある。欧州の危機を過去の物と片付けてしまうのはまだ早そうだ。


 

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コメント
 
01. 2013年6月20日 11:53:09 : nJF6kGWndY

欧州全体では財政赤字比率は日米に比べれば、遥かに低いが、政治統合の遅れにより、国家間での強烈か格差が生じている

日米は財政支出の拡大(米は維持縮小へ)で債務を累増する一方で巨額緩和で金融抑圧と通貨安を推し進めてきた
そのお蔭で、欧州よりも、遥かに失業率も低いし、公共投資や社会保障も拡大し、内需産業の下支えにもなり、一部の賃金は上昇傾向にある


勿論、長期的に見た場合、緊縮と緩和のどちらが正解かは、評価する視点によるから、何とも言えないが

少なくとも、現時点のギリシャを筆頭とする低位国の民にとっては、(自業自得ではあるが)明らかに悲惨な状況なのは間違いない


02. 健奘 2013年6月20日 15:46:32 : xbDm84QDmOFmc : 23OT6R6dvI
ギリシャに行けば、物はあることが分かる。魚介類も農産物もある。これから暑い夏が始まり、エーゲ海には、北欧などから、ばか騒ぎする若者がくる。

中国製品もあるし、品質の良い物ならドイツ製だってある。物には困らない。

ないのは仕事。


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