02. 2013年6月28日 15:12:30
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アングル:北京市の土地売却入札、中国の政策ジレンマを反映 2013年 06月 28日 14:22 JSTトップニュース EU首脳、銀行の破綻処理・予算・若者の失業対策で合意 焦点:企業も消費者も物価観が上方シフト、6月全国CPIプラス浮上へ 仏プジョーがオペルとの統合をGMに打診、創業家は経営権手放す意向 ドル99円に迫る、日経平均上げ幅400円超で円売り優勢に [北京 28日 ロイター] - 北京市は、価格が過去最高値をつける可能性があることを理由に先月保留にした市内の土地入札を、開始価格を引き上げて再開する決定を下した。 このことは、不動産バブルを警戒する中国政策当局者が直面している政策のジレンマを表している。 中央政府が過去3年にわたり取り組んでいる住宅価格の抑制は、住宅に対する強い需要、住宅・土地不足、北京市のような地方政府の歳入拡大のための土地売却の必要性とぶつかってきた。 国土資源省下のChina Land Surveying and Planning InstituteのZou Xiaoyun氏は「短期的に有効な策がなく、当局者は不動産市場の現状を懸念している」とし、「政府のみが土地供給をコントロールできる。この土地供給モデル自体、バランスが取れていない」と指摘する。 中央政府は人々の都市部への移住を促しているが、不動産バブルやそれに伴う債務リスクを懸念している。また、価格が高騰し過ぎて住宅に手が届かなくなった国民の不満が社会の安定を脅かすことも警戒している。 5月の中国主要70都市の新築住宅価格は前年同月比6.0%上昇し、ロイターが全国規模のデータ算出を開始した2011年1月以降で最大の上昇率を記録した。 一方、地方政府は土地供給を増やし、価格を抑制するよう中央政府から指示されているものの、土地売却代金が財源の柱であり、価格上昇は大きなメリットがある。 監査当局のデータによると、監査を行った36の地方政府のうち21は、2012年末までに土地売却で得た資金で債務の55%を返済する計画を示していた。 <価格引き上げ> 北京市が今回売却を計画している三環路南部近くにある土地周辺には、昔からの住宅が今も残る。北京中心部までのバスはあるが、地下鉄は通っていない。ただ、三環路の内側にある土地は限られており、郊外の中でも北京中心部に最も近いこの地域は、住宅建設には最適とされている。 1区画の入札開始価格は当初13億1000万元に設定されていたが、13億5900万元(2億2100万ドル)に引き上げられた。13億5200万元で応札があった時点で最初の入札は保留になった。 開発業者のその土地に対する関心の高さを示すとされる土地価格プレミアムは、北京では先月100─200%だった。27日には上海の商業用地が過去最高の47億元で売却された。 中堅開発業者の幹部は、北京市当局は土地供給を増やしたいが、土地を入手するには時間がかかると指摘。価格引き上げは住民に対する補償の一環、と述べた。 不動産コンサルタント会社ベーシック・アンド・5i5jによると、昨年北京市が売却した民間住宅用の土地は、当初計画していた規模の32%にとどまった。この数字をみると、開発業者がなぜ競って土地を購入するかが分かる。 政府直属のシンクタンクである国務院発展研究センターのシニア研究員、Fan Jianjun氏は「北京市は十分な土地を所有しているが、全ての地方政府は、保有地のリターンを最大限にすることを目指している」とし、「需要を抑制しようとする政府方針は短期的には効果があるが、長期的には効果が望めない」と語った。 その上で、住宅価格の上昇を抑えるために、価格を抑えた住宅の供給拡大や賃貸市場の規制改革などを行い、政策を転換させる必要があるとの見方を示した。 地方政府は、財政収入の多くを土地売却に依存しているという状況から脱却し、不動産税など新たな財源を確保するする必要がある、とエコノミストは指摘する。ただ、長らく続いている地方政府の慣行を変えるには時間かかるというのが専門家の見方だ。 (Xiaoyi Shao記者;翻訳 伊藤恭子;編集 山川薫 ) 関連ニュース アングル:中国は過剰生産能力の削減策発表へ、試される有効性 2013年6月27日 アングル:米物価連動国債が急落、FRBにジレンマも 2013年6月26日 アングル:中国短期金融市場の混乱、人民銀行の対応に不満 2013年6月24日 アングル:インド、政府の政策措置でインフラ改善に期待 2013年6月18日
焦点:中国短期市場の流動性逼迫、当面は実体経済への影響限定的か 2013年 06月 28日 12:10 JST [上海 27日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が短期金融市場で資金供給を絞り込み、銀行間の借入金利は歴史的な高水準に達している。だが、こうした動きは実体経済に今までのところ、限定的な影響しか及ぼしていないとみられる。
エコノミストは、いわゆるシャドーバンキング(影の銀行)の広範な取り締まり強化や、人民銀行が行き過ぎた債務の膨張を阻止する決意を見せていることは、借り入れ金利を押し上げるとともに、中期的には既に減速しつつある中国経済に回るお金を減らすだろうと警告する。 しかし銀行関係者によると、短期市場の流動性逼迫によって当面、企業向け貸し出しに深刻な支障をきたすことはない。銀行の企業向け融資能力は、短期金利よりも預金保有量に左右される側面が強いからだ。 中国国内メディアは今週、短期金利が高騰する中で大手銀行が融資業務を一時停止していると報道した。一部の銀行はここ数日は融資をストップさせていることを認めたが、それは過去数週間にわたる新規融資の急増を受けた調整作業のせいだと説明している。中国銀行 1398.HK 601398.SS 上海支店のある融資担当者は「短期市場の流動性逼迫と直接関係しているとは考えていない。四半期末はいつも、銀行が預金獲得競争をするのが当然であり、預金が流出した場合、それらの銀行は融資を止めざるを得ないだろう」と話した。その上でこの担当者は「貸し出しは7月初めに再開される」とみている。 このように貸し出し資金の流れと短期市場の資金調達環境に関係がないことこそ、当局が流動性の逼迫が生じるのを容認する理由だろう。 人民銀行が25日発表した、一時的に資金不足に陥った銀行に必要なら資金を供給する姿勢を示した声明は、「中国経済と金融システムの機能は総じて安定的だ」との主張で始まっていた。 中国建設銀行 0939.HK 601939.SS の張建国頭取は27日、短期金融市場の金利が上昇しているが、新規融資は停止していないと述べた。 債券発行やオフバランスの資金調達などを含めたトータル・ソーシャル・ファイナンシング(社会融資総量)は5月単月では予想に届かなかったが、1─5月は前年比でなお52%も増加している。 <銀行間取引の急拡大> 中国銀行業監督管理委員会(CRBC)の尚福林委員長は、資金を銀行システム内だけで回すような取引を阻止して、実体経済に確実にお金が出ていくようにするべきだと強調した。 委員長の発言は、銀行間取引の急激な拡大に言及したように見受けられる。 バーンスタイン・リサーチのシニア銀行アナリスト、マイケル・ワーナー氏によると、中国の銀行間取引資産は2009年から12年で132%も増えたのに対して、総資産の増加は51%にとどまった。 一部のケースでは、銀行間の複雑な取引により、銀行は収入が得られるばかりか、バランスシートの内部目標を達成できる。当局が特に関心を向けているのは、最もリスクが高い借り手の多くが集まってきているシャドーバンキングへの資金の流入を食い止めることだ。銀行の中には、流動性が高く長期の資産をベースにした仕組み金融商品の返済に、短期資金を利用している事例もある。 中国政府はここ数カ月、こうした動きを抑え込むためのいくつかの措置を導入しており、人民銀による短期市場の引き締めもその一環といえる。当局の取り組みは企業や地方政府の資金調達コストを上昇させ、成長鈍化につながりそうだが、アナリストによると影響が表れるまでには時間がかかるという。 (Gabriel Wildau、Samuel Shen記者)
EU首脳、銀行の破綻処理・予算・若者の失業対策で合意 2013年 06月 28日 14:40
[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は27日、若者の失業対策と中小企業向け融資促進策で合意した。 これに先立って、銀行の破綻処理での新たなルールや次期中期予算案での合意も成立している。 若者の雇用促進、職業訓練・見習い支援や、特にユーロ圏債務危機の影響で銀行が資金不足となっている南欧の中小企業向けに、欧州投資銀行(EIB)が巨額を融資する計画が承認された。 欧州委員会のバローゾ委員長は記者会見で「約束を裏付ける資金面での合意がきょう成立した」と述べた。 ルクセンブルクで行われた協議では、投資家や大口の預金者にどのような形で将来的な銀行破綻の費用負担を求めるかについて、EU財務相が合意した。 これとは別に欧州議会、欧州委員会、EU加盟各国の交渉担当者が2014─2020年の規模9600億ユーロ(1兆2500億ドル)の次期中期予算案で合意。EUのファンロンパイ大統領は欧州理事会がこれを支持したことを明らかにしていた。来月に欧州議会が予算案を承認し、来年1月に執行されることになる。 銀行の破綻処理をめぐる新たなルールは、破綻行の救済に公的資金が注入されることを回避するために設計されたもので、各国が2018年から実施することになる。 ユーロ圏各国やEU加盟国における破綻行清算のための統一したシステムの基礎となるもので、欧州での銀行同盟構想でも第2の柱として位置付けられている。 欧州委員会は来週に単一の清算メカニズムに関する提案を行うことになるが、ドイツの反発で合意は簡単には成立しない見通し。 メルケル独首相はEU予算案に関する合意を歓迎。農業や研究、道路、橋梁、開発援助などあらゆる分野への新たな支出が可能になり、欧州の成長を促進することになると述べた。 <対立が表面化しない会議に> 9月のドイツ選挙前では最後となる首脳会議は、ここ3年のうちで最も対立が表面化しない会議の1つとなった。 危機管理、銀行同盟、トルコのEU加盟など、欧州にとって鍵となる課題についての結論が、ドイツの選挙後に持ち越されたとの幅広い見方があるが、メルケル首相は反論。 記者団に対し「ドイツで3カ月以内に選挙があるからといって、決定が持ち越されているような課題はないと認識している」と述べた。 関連ニュース EU首脳会議、80億ユーロの若者向け失業対策で合意 2013年6月28日 EU財務相、銀行の破綻処理費用の負担めぐる新ルールで合意 2013年6月27日 EU財務相理事会、銀行破たん処理めぐる協議物別れ 2013年6月22日 ECB、EU首脳会議前に中小企業支援策提示の公算=EU大統領 2013年6月1日
焦点:企業も消費者も物価観が上方シフト、6月全国CPIプラス浮上へ 2013年 06月 28日 14:31 JST [東京 28日 ロイター] - 5月全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)がマイナス圏を脱し、デフレ脱却が近づいているとの見方が広がっている。
注目すべきは円安による輸入コストの価格転嫁を起点に、企業の価格設定行動の変化や、消費者の物価見通し上昇といった変化が起きている点だ。ただ、賃金増が進まないなら個人消費の盛り上がりが一時的な前倒しで終わり、物価上昇が遅れるリスクもはらんでいる。 <コスト転嫁へ積極性出てきた企業> 5月全国コアCPIは、電気料金値上げに加えて、ハンバーガー値上げやテレビの価格下落縮小などを背景に、7カ月ぶりにマイナス圏から脱した。 来月発表の6月分では、1年2カ月ぶりにプラス転換する可能性が濃厚となり、「日本経済はデフレ脱却という領域へ近づきつつある」(伊藤忠経済研究所・丸山義正・主任研究員)との見方が広がってきた。 昨年2月から4月にかけ、コアCPIがプラス転換した時期があったが、過去のプラス局面と今回は、様相が異なるとの指摘が多い。 まず「今後も景気回復持続に伴う需給バランスの改善と、円安による輸入物価の上昇を通じて、プラス幅が徐々に拡大する」(ニッセイ基礎研・斉藤太郎・経済調査室長)可能性が高い点に注目が集まっている。その背景として「家計や企業の期待インフレ率が上がってきた」という現象がある。 実際、6月ロイター企業調査によると、今後1年間で製品・サービス価格の値上を見通す企業が3割を超え、値下げ見通しの1割を大きく上回った。「円安に伴う原料価格の上昇分の転嫁」(製造業)「労務費の上昇」(建設業)「消費増税に伴う諸経費の価格転嫁」(サービス業)など、いずれもコスト転嫁が要因だ。 値段を据え置くとする6割弱の企業からも「競争が激しく値上げはできないものの、客先では業績改善で予算が付きやすく、値下げする環境でもない」といった状況も出てきている。 <消費者もインフレ期待強く、消費前倒し> こうした企業の価格設行動の変化と対をなしているのが、消費者の物価観だ。消費動向調査では、1年後の物価が「上昇する」と見ている消費者は今年に入り急増。全体の6割から8割以上に増加し、08年の既往最高に迫っている。 物価先高観は消費の前倒しにもつながっていると見られ、今年に入り「耐久消費財の買い時判断」は急上昇している。 また、5月後半からの株価下落にもかかわらず、高額品の需要は衰えず、百貨店販売は5月に前年比2.4%としっかりとした伸びを見せた。 物価先高観の高まりが、アベノミクスによる大胆な金融緩和の目的だ。それにより消費が刺激され、需給ギャップの解消へとつながり、物価が上がりやくなる循環が生まれる。政府内でも「企業の価格行動の変化が起これば、消費行動も変化してくる」(内閣府幹部)と期待している。 <株価調整や円安是正長期化のリスク、消費の足引っ張る要因に> ただ、持続的な物価上昇へのリスクもある。金融市場のボラティリティの高さが続けば、資産効果を享受する投資家層の行動に悪影響を及ぼしかねない。 政策当局者の中には、株価の乱高下が続くケースへの懸念を表明する向きもある。ある当局者は「資産効果で消費するかどうかは、理論的には将来の株価を見て決めるもの。(消費意欲は)現在の株価調整が一時的とみるか、長期化するとみるか次第」と、市場動向に神経をとがらせている。 さらに投資家層だけでなく、一般の消費者のふところ具合が改善しなければ、企業側の値上げ行動も一過性の消費前倒しで終わることになる。 エコノミストの中には、円安を背景に企業の値上げが実現しても、雇用者所得が上がらなければ、インフレ期待による消費刺激が一過性に終わりかねないという声もある。 そうした点を踏まえれば、今ようやくマイナス圏を脱した物価が1%、2%へと到達するには長い時間を要する可能性がある。 ニッセイ基礎研の斉藤氏は「物価下落品目数の割合は、11カ月連続で50%を上回っている。現時点では物価上昇は一部の品目に偏っている。物価上昇の裾野が広がりを見せるまでには、もう少し時間がかかりそうだ」とみている。 (ロイターニュース 中川 泉 編集;田巻 一彦 |