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崩れ始めた中国経済の成長メカニズム? 
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/630.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 6 月 27 日 23:31:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20130627-00025995/
2013年6月27日 15時25分  岩崎 博充 | 経済ジャーナリスト


■見えてきた中国経済成長の綻び

チャイナショックとも言える中国の株価下落、短期金利上昇といった金融不安が治まらない。習近平新体制に移ってから3ヶ月を超えたが、躍進を続けてきた中国経済がその成長メカニズムを狂わせつつある。その背景にあるのが「シャドーバンキング」の問題と「上海銀行間取引金利(SHIBOR)」の高止まりといった流動性の問題だ。いずれも中国がこれまで抱えてきた問題が、ここに来て表面化してきたといっていい。

そもそも、中国の成長メカニズムは香港のH株市場などに国営企業が株式を公開することで、広く海外から資金を集めて、その資金を中国国内で再投資して経済成長の原動力としてきた。中国国内でもB株市場を創設してはいるものの、ほとんど市場を拡大することなく、香港市場を資金流入の太いパイプとして活用してきた。そんなメカニズムが成功して、短期間で世界第2位の経済大国にのし上がったわけだ。

一方、海外企業も当初は格安な労働集約型の工場設立のために、現地企業との合弁会社という条件を飲んでまで進出し、やがては中国13億人の巨大なマーケットを視野に中国国内でのビジネスを目指して、次々に進出した。いわば、中国政府はここまで、ほぼ失敗らしい失敗を経験せずに、ほぼ完璧な形で経済成長を遂げてきたわけだ。バブル崩壊を警戒し、日本のようにはならないことを目指して経済を運営してきた。

国家戦略として、国力の強化を図りながらも軍事を強化し、外交では実にしたたかに立ち回って、最近では米国をライバル視するところまで来ている。しかし、現在の中国は、長い間グローバル化を拒否してきた部分も多々ある。人民元はいまだに開放していないし、株式市場も外国人投資家と自国の投資家とで分離されている。直接投資の部分でも外国企業だけの独占資本が認められるようになったとはいえ、いまだに制限が多い。

中国が現在のような力をつけたのは、いうまでもなく華僑を含む外国人投資家が大量に資金を中国に振り向けたためだが、この経済の急成長のメカニズムに中国の弱点があるのかもしれない。古今東西、未来永劫ひとつの国が栄え続けたためしはない。今のところ世界のリーダーと言われている米国も、まだ200年ちょっとだし、リーマン・ショック以降はその国力を大きく弱体化させてしまった。

■380兆円に上るシャドーバンキングへの総融資額

では、その中国に弱点があるとすればなんだろうか。周知のように、中国経済の成長メカニズムと言うには自由主義経済のいいところだけを採用して、不都合な部分は封じ込めてしまうという戦略だ。資本の流れなども、自国に流入してくるマネーに関してはオープンにして、逆に自国から海外に資金が流出するのは長い間制限を設けていた。

また、経済統計なども以前から不正確と言う指摘があったように、先進国のように正確な情報を提供して、市場メカニズムを尊重するというスタンスは取ってこなかった。人民元市場は現在でも事実上の管理相場だし、株式市場も市場メカニズムにすべてを委ねているとは到底思えない。金融システムも、グローバルスタンダードとは程遠いものがある。

そもそも、中国経済のリスクは短期的なものと長期的なものに分けて考える必要があるだろう。短期的なリスクは、SHIBORなどの金利上昇や、想定を超える株価の暴落などによって、バブルになっている不動産市場の価格が下落していくことだ。中国のアキレス腱は、いうまでもなく不動産市場の崩壊で、日本の土地本位制に近いものがある。

さらに、中国政府が意外と軽視していると見られるのが「流動性の枯渇」問題だ。今回のSHIBORの金利やCDSプレミアムの高止まりといった問題は、金融システムを崩壊しかねないリスクを持っているのだが、自由主義経済を長い間経験してきた米国や欧州、そして日本でもしばしば直面するリスクといっていい。

中国政府はこれまで市場メカニズムによって経済を運営するのではなく、金融市場をコントロールしながら経済運営を行ってきたために、中国政府の経済政策担当者の大半は、市場はコントロールできるものだと信じているはずだ。しかし、金融市場の価格変動や金利の上昇などはコントロールできるはずもなく、中国の不動産市場のバブル崩壊の導火線に火をつけてしまうかもしれない。

習近平新体制がはじめた新しい経済政策を、新首相となった李克強にちなんで「リノミクス」と呼んでいるそうだが、このリノミクスの柱が、これまでシャドーバンキングなどを通して無制限に融資してきた不動産投資に一定の歯止めをかける政策だといわれる。簡単に言えば、「シャドーバンキング潰し」にかかったとも言える。

シャドーバンキングというのは、簡単に言えば「ノンバンク」のことだが、日本のバブル崩壊でも住専などのノンバンクが莫大な焦げ付きを作り、米国の不動産バブル崩壊ではモノラインンといったやはりノンバンクの一種が、複雑な融資手法でサブプライムローン危機を招いてしまった。

シャドー・バンキングへの総融資額は20兆元とも24兆元(約380兆円)ともいわれるが、中国GDPのほぼ半分にも匹敵する。米国のサブプライムローン危機で焦げ付いた金額ほどではないが、日本のバブル崩壊時の不良債権の3倍以上に相当する。このシャドーバンキングへの資金供給を絞り始めた「リノミクス」は、かつて日本の大蔵省(当時)がやった「総量規制」に似たものかもしれない。

■銀行を潰せない中国がバブル崩壊をより深刻化させる

さて、もうひとつのリスクは長期的なリスクだ。金融市場の想定外の変動で、一時的にパニックになるようなことがあっても、中国政府は即座に対処して、金融パニックはすぐに沈静化させるはずだ。問題は、その後の処理だ。中国政府はメンツにかけても、金融危機や銀行の経営破綻の連鎖を認めるはずもなく、中央銀行がどんどん紙幣を刷って救済するはずだ。不良債権処理もおそらく、インフレの形での解消を目指すのではないだろうか。

いまや中国の人民元預金は、100兆元(1600兆円)を超える水準に到達しているといわれる。こうした預金量と、中央銀行である「中国人民銀行」が、無制限に供給してくれたマネーを背景に、銀行やシャドーバンキングが不動産などに垂れ流した莫大なお金のツケはいずれやってくる。問題は、バブルが崩壊したときの処理方法だが、日本のように民間の金融機関の不良債権を政府支出による形で救済し続けていけば、やがて中国も長期的なデフレ経済に陥る可能性もある。しかし、中国政府の性格から言って、穏やかなる緩慢な破綻を選択する可能性はほとんどないだろう。

おそらく、アベノミクスのような異次元の量的緩和で不良債権を処理していこうとするに違いない。問題は、そうした経済政策が失敗したときの世界経済に与える影響だ。金融市場では「中国7月危機説」が囁かれているが、なかには「世界恐慌」を警告するメディアもある。それ相応の覚悟と準備をしておくほうがいいのかもしれない。まさかとは思うが、習体制はまだ走り始めたばかりだ。自動車運手でいえば、若葉マークだ。そんなときに、ふとした金融マーケットの大きな変動が世界を経済危機に引っ張り込む。


岩崎 博充
経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。雑誌編集者等を経て、1982年より独立。経済、金融などに特化したフリーのライター集団「ライト ルーム」を設立。経済、金融、国際などを中心に雑誌、新聞、単行本などで執筆活動。テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活 動している。近著に「日本人が知らなかったリスクマネー入門」(翔泳社刊)、「老後破綻」(廣済堂新書)、「はじめての海外口座 (学研ムック)」など多数。


 

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コメント
 
01. 2013年6月27日 23:46:34 : nJF6kGWndY

>バブルが崩壊したときの処理方法だが、日本のように民間の金融機関の不良債権を政府支出による形で救済し続けていけば、やがて中国も長期的なデフレ経済に陥る可能性

中国も長期的には生産性が低下し、少子高齢化でそうなるだろうが、それにはまだまだ時間がかかる

後半で論理破綻しているな


>おそらく、アベノミクスのような異次元の量的緩和で不良債権を処理していこうとするに違いない。問題は、そうした経済政策が失敗したときの世界経済に与える影響だ。金融市場では「中国7月危機説」が囁かれているが、なかには「世界恐慌」を警告するメディアもある。それ相応の覚悟と準備をしておくほうがいいのかもしれない

そんな1〜2か月といった短期間に中国発の金融バブルが復活し、さらに崩壊して、世界金融恐慌にまで至るのは無理

当然、現在のFRBや日銀が、金融恐慌を放置することはない(ECBは?だ)


いずれにせよ、人銀は、一般銀行を壊滅させるつもりはあまりないから、
ひどい恐慌にはならない

しかしバブルとインフレを放置する気もないから

当面は、かっての日本や米国のように、低利融資で銀行の債務構造の改善を図るといったところだろう

ある程度の資産下落と金融不況は避けられないが、彼らは日本や米国の教訓はわかっているから、10年を超す長期デフレ不況になる確率はほぼ0だろう



02. 2013年6月28日 07:31:36 : eymjmKMrAM
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE95P05S20130626
中国江西省で鉄鋼会社が破産、供給過剰や価格低迷が打撃に

中国の鉄鋼会社は供給過剰による需要鈍化と価格下落にもかかわらず、ここ数カ月間、
過去最高に近いペースで生産を続けてきた。セクター全体の債務は推定約4000億ドルとされ、
専門家は高炉の閉鎖は避けられないと警告してきた。


一事が万事この調子、もう駄目だね。

実体経済と統計の乖離が凄い、中国の不正一掃政策が実体経済のボロボロさを明らかにしてしまうだけ。
一応共産主義の計画経済なんだけど?w
この統計との乖離は凄く、容易に埋め合わせできるものじゃない、国中不良債権だらけ。
確実に言えるのはこれでは軟着陸と言われる解決方法はほぼ不可能と言う事だ、実際の状況がさらに明らかになると、どうしても過激な修整にならざるを得ない、資金流出・金融収縮に襲われる。
信用乗数は低下し、更なる通貨の増発はどんどん効果は薄れていく。

中国発展の原動力は貯蓄率と貯蓄の高さだ、これが今回の金融危機で貯蓄に対するイメージの悪化につながる事は間違いない、現状で膨らみきったバブル経済が現金の流出による激しい金融収縮にさらされる、それに追いつく通貨増発はない。
7月危機ではなく、7〜8月に危機だったじゃん!?
やばいね〜、今も必死のコントロールが続いてるが、落ち着くのは数ヶ月掛かる、その間になんかあれば中国は激しく動揺するだろう。バーナンキのQE縮小開始発言や欧州の動揺がトリガーになるか?


03. 2013年6月28日 10:38:47 : niiL5nr8dQ

中国市場の混乱は習近平体制の演出?

「理財商品」の償還に戦々恐々の“影の銀行”

2013年6月28日(金)  深谷 幸司

 このところ、中国の短期金融市場で金利が急騰し、金融不安から株式相場が大幅に下落するなどの混乱が著しい。翌日物金利は5月下旬には概ね3%台で推移していたが、6月に入ると急激に上昇し始め、20日には13%台をつけた。

声明発表に追い込まれた中国人民銀行

 これに対し、中国人民銀行(中央銀行)は25日に緊急声明を発表し、複数の政策手段を駆使して短期金融市場の安定を守ると表明。一時的に資金不足に陥った銀行に対して、必要なら流動性を供給する考えを示した。

 これにより流動性懸念は沈静化に向かっている。しかし、なお金利は5%台の高い水準にとどまっており、資金繰りが困難となった一部企業などの信用不安は根強く残っている。


上海銀行間取引金利の推移
 混乱の背景には、大きく見て2つの要因があるようだ。1つは中国独自の問題だ。中国人民銀行が銀行融資の枠外で膨張してしまった「影の銀行(シャドーバンキング)」を抑制し、金融システムの正常化を図ろうとしていることが直接の原因だ。そのため、季節要因で資金需給が逼迫するこの時期にあえて流動性の供給を絞り、懲罰的に金融機関に流動性管理の強化や不採算融資の抑制、不健全貸出の抑制を促したとの見方ができる。

 もう1つはグローバルな要因だ。5月22日に米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が米量的金融緩和の縮小について言及して以降、投資家の多くがリスク資産から資金を引き揚げ、基軸通貨であるドル建ての資産に戻す動きが強まっている。

 これを受け、各新興国市場で株価が下落し、その国の通貨も安くなった。中国についても同様の流れの中で、海外から流入していた「ホットマネー(短期資金)」が引き揚げられ、金融市場の流動性が逼迫し始めた可能性がある。

習近平体制による構造改革が根底に

 そもそも中国人民銀行が金融システムの健全化に動き始めた背景には、習近平国家主席による新体制の下での経済構造改革、バブル抑制方針がある。

 中国の課題は「爆食経済」からの脱却であり、生産性の向上や生産物の高付加価値化、さらにサービス産業の拡充である。

 中国政府は従来のような「大量かつ安い労働力を投入し、安価な製品による価格勝負を拡大する」という構造からの転換を図ろうとしている。中国が多量の労働投入で高成長する段階は過ぎつつある。今後、急速に進展すると予想される少子高齢化をにらみ、構造改革は必要だ。その中で、不健全、不採算な企業は淘汰されるのが自然だ。

 また中国では、不動産開発やインフラ投資の過熱感がまだ収まっておらず、投機的な開発案件もまだ散見されるようだ。農地を接収して不動産デベロッパーに売却することで資金調達する地方政府の動きも問題視されてきた。

 こうした経済構造改革に中国政府と中国人民銀行による金融政策面での協働は不可欠である。つまり、両者が一体となって改革に動き出したことが、皮肉にも今回の混乱の背景にあると言える。

景気減速もお構いなし

 中国景気は減速したまま、なかなか底入れの兆しがみえない。従来であれば、財政出動や金融緩和など景気浮揚策がとられてもおかしくないはずだ。しかし、現時点で政府のスタンスからその兆しは見えない。「今、景気対策を打てば、不健全な企業や事業体の延命、バブルや不動産投機を再燃させかねない」との警戒感があるようだ。財政政策においては、リーマンショック後には4兆円規模の景気対策が打たれたが、今回はそうした動きはないだろう。

 金融政策においても、12%に高止まりさせている預金準備率の引き下げなどは実施されそうにない。基準貸出金利も横ばいが続いており、中国人民銀行は手綱を引き締めたままだ。

 これらは習体制による「景気を犠牲にしてでも構造改革を優先しよう」という強い意志を感じさせる。

 こうして見ると、市場金利の急騰を伴った今回の金融市場の混乱は、言ってみれば、ある程度の「犠牲」も覚悟の上での「あぶり出し作戦」と映る。その意味では、「政府によって意図され、演出された混乱」という見方もできる。

「上に政策あれば、下に対策あり」

 今回、中国人民銀行は市場金利の急騰を放置し、すべての金融機関を「恫喝」したわけだ。市場金利が高水準で推移し続ければ、経済全体に影響を及ぼしかねない。問題のシャドーバンキングのみならず、全ての銀行が同様に影響を受けることになる。

 従来の政策手法は、かつて日本で用いられていたのと同様に、個別の銀行に貸し出しの内容やボリュームについて“注文”を付ける「窓口指導」や、個別銀行に対する流動性供給を絞るなど、言わば“ミクロ的な手法”だった。

 確かに、25日の声明発表の後、当局は特定の金融機関に対する流動性供給に動いており、個別行への管理手法がなくなったわけではない。しかし、かつて、これほど中国の市場金利が変化したことはなく、今回は市場金利そのものに働きかけたところが際立っている。

 そうせざるを得なかったのは、現状の問題点が通常の金融機関の融資から乖離したシャドーバンキングにあるためだ。これらに個別で指導するのでは足りず、市場メカニズムに働きかける方法を取るしかなかったのだろう。

 シャドーバンキングは「理財商品」という高利回り商品を販売し、それによって集めた資金を高利で企業に貸し付ける。その間で利ざやを抜いて収益を上げてきた。

 高利の資金が向かう先は、そうしたコストでしか資金融通のできない不採算企業や不健全企業、不動産投資資金だ。当然、そこにはかなり大きなリスクが潜んでいる。シャドーバンキングは、通常では融資できないような取引先に対して、個人投資家からファンドの形で資金を集め、それを融資に回してきた。中国のことわざで言う「上に政策あれば、下に対策あり」を地で行ったようなものだ。

 過去、様々に発生した「バブル」においても同様の事態が見られる。今、中国で膨れ上がっている「理財商品」の販売を資金源とした不健全融資は、新たなバブルの温床となりかねない。

 これは米国で問題となった「サブプライムローン」のようなものだ。事業そのものが行き詰まった場合、個人投資家が直接損失を受ける。これは信用不安を招き、混乱を生じさせかねない。そもそも、政府の構造改革路線によれば、そうした企業や事業は淘汰されて然るべきであり、金融政策・金融監督の目の行き届かない「資金供給ルート」は絞られることになるだろう。

混乱沈静化でも残る「取り付け」懸念

 金融市場の混乱そのものは、中国人民銀行が流動性を供給することで沈静化しうるものだ。実際に、金利は低下し始めている。個別金融機関に対し、必要な支援も実施され、金融システム全体が破たんするような事態にはならないだろう。また、中国の金融機関がグローバル金融システムに占める割合は小さく、リーマンショックや欧州債務危機のように、直接的に中国の外の投資家に損害が及ぶグローバルなリスクイベントとなる可能性も小さいと見られる。

 だが、習体制の政策の方向性を踏まえれば、今後は不健全企業や不採算事業、不動産関連投資の行き詰まりなどが散発的に発生することが懸念される。そうなれば、中国の株式相場はさらに下振れリスクを強める可能性がある。


上海総合株価指数の推移
 そもそも習体制は構造改革を推進する中で、こうした事業主体が淘汰されることを想定していると見られる。金融機能の健全化、金利自由化などによって、市場メカニズムの中で健全な企業・事業が生き残り、それによって経済そのものが健全化し、強化されるというのが理想だろう。

 当面は、シャドーバンキングに資金を供給してきた「理財商品」の償還や、その後の資金調達が混乱を来さないか気がかりだ。これらは短期の金融商品であるため、償還が頻繁に到来する。その都度、商品そのものへの不安感が高まり、償還金の再投資がなされず、いわば「取り付け」のような事態に至れば、それによって資金調達してきた事業体は、たちまち金繰りに窮することになる。

 ハードランディングが生じるのか、何らかのソフトランディングが用意されているのか。中小金融機関や中小企業の信用問題にまで発展しないかどうか、今後の中国市場はさらに注意深く見守る必要がある。


深谷幸司の為替で斬る! グローバルトレンド

円安進行の加速が目立つ為替相場。1ドル=100円を超え、さらに円安は進むかどうか、市場関係者にとどまらず、企業、そして国民の注目が集まっている。今後の円相場の行方は?また日本、さらには世界の経済はどう動いていくのか?国内外の銀行で為替ストラテジストを長らく務めてきた深谷幸司・FPG証券社長が、各国通貨のパワーバランスに垣間見えるグローバル経済の胎動をとらえたホットな話題を提供する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130627/250288/?ST=print

 

 


 
「アグラ化」する?中国のシャドーバンキング

「理財産品」はこんな商品

2013年6月28日(金)  張 勇祥

 「你不理財、財不理你」

 「你」は、あなた。「理」は、ここでは管理する、くらいの意味だ。

 「あなたが資産をしっかり管理しないと。資産は、あなたのことなんか構ってくれませんよ」といった訳になる。

 中国の大学で金融論を聴講したときのこと。ぼんやり最後列に座っていたら、20代とおぼしき女性講師がこの諺から授業を切り出して驚いた。十数回の講義すべてが資産運用の話だったから、投資のことで頭がいっぱいなのだな、と感じたことを覚えている。

 以前、低迷する中国の株式相場のことを取り上げたとき(関連記事「株バブル崩壊と共に萎む中国人の夢」)にも指摘したが、中国の人は概して投資に強い関心を持っている。「山っ気」が強いということもあるが、豊かになる方法が限られる社会情勢こそが、人々を無謀とも言える投資、投機の世界に誘う。

 中国で資産運用の王道は不動産だ。北京や上海、広州などの大都市では土地の供給は限られ、上昇ペースが鈍化したとは言ってもほとんど負け知らず。地方も都市化の恩恵を受けてきた。しかし、少なくとも数十万元から100万元(1600万円)のまとまった資金が必要だ。それに、さすがに今から不動産を手掛けるのは勇気がいる。株式相場は2007年に天井をつけてからは、小さなリバウンドこそあったが基本的に底ばいだ。海外投資はルートが限られ、預金金利はインフレ率とほぼ同じか、より低い水準にとどまる。

 じゃあ、どうするの?

 こんな庶民の声に応えるように残高を増やしてきたのが「理財産品」と呼ばれる運用商品だ。産品という言葉は日本語ではやや堅いので、理財商品と呼ばれることが多い。一言で言えば、元本保証もなく運用の縛りも緩い投資信託のようなもの。ただ、投資家保護の枠組みがほとんどないので、法的な根拠は異なるが日本の「匿名組合出資」に近いかもしれない。

理財産品が「シャドーバンキング」の原動力

 この理財商品がここに来て注目を集めているのは、リーマンショックで落ち込んだ世界経済を救った中国バブルの原動力となり、今またバブル崩壊の引き金になりかねないと目されているためだ。

 2008年12月に中国が打ち出した4兆元(64兆円)とも言われる経済対策。ただ、中央政府が拠出したのは1兆元余りで、残りは地方政府が賄うこととされた。当然、そんなカネはない。そこで「融資平台(プラットホーム)」という第3セクターのようなものを作り、銀行融資を受けたり債券を発行したりして不動産投資やインフラ整備に必要な資金をかき集めた。「融資」は、中国語では資金調達を指す。

 とはいえ、中国では銀行融資の総量規制を実施しているので、銀行借り入れを起こすにも限界がある。そこで融資平台(すなわち地方政府)が縋ったのがシャドーバンキング。シャドーバンキングは誤解を恐れずに簡略化すれば「銀行を介さない借り入れ、資金調達」を指す。政府系企業が銀行から借り入れた資金を又貸しすることと、理財商品に集まった資金の運用先が2大供給源。シャドーバンキングは30兆元(480兆円)規模とされ、確かにこの金額が空きビルや入居者のいないマンション、ガラガラのショッピングセンターに化けたとしたら中国バブルも崩壊やむなしだろう。

 理財商品の具体的な商品設計はどうなのか。

 何本かの理財商品の「風険掲示書(リスク説明書)」に目を通す機会があったので、かいつまんで特徴を挙げてみる。

(1)運用期間はごく短い
 「点貸成金2316号理財計画」と名付けられた理財商品の運用期間は45日。ほかにも60日から90日くらいのものが多く、運用期間は3カ月以内のものが過半だ。個人投資家にとっては「預金代わりに、ちょっと利回りの良いものを」という感覚だろう。

(2)元本保証ではないが、なぜか目標利回りがある
 上記の商品の場合、コスト控除後の「予期最高到期年化収益率(年換算した予想利回りの上限)」を6%と明記している。リスクがあって元本保証ではないと至る所に書いてあるのに、だ。

 6%と言えば聞こえはいいが、これは投資家に還元する利回りにキャップ(上限)を付けたものと考えられる。今となっては6%もなかなか大変そうだが。

投資先は「何でもあり」

(3)運用に縛りはほとんどない
 この商品、1から5で示されるリスク度は2。最も値動きの激しいものが5なので、2は安全志向といえる(この説明書にも「穏健型」と書いてある)。

 投資先は「格付けAA以上の信用力が高く流動性も備えた債券、コール(銀行間で短期の資金を融通する取引)、信託計画、銀行預金、その他の金融資産」とある。信託計画は資産運用会社が提供する機関投資家向けの商品だろう。明らかに、その他の金融資産が曲者だ。

 続いてモデルポートフォリオを見ると、


 となっている。極端な話、債券(これはAA以上の縛りがある)を30%組み入れておけば、ルール上は問題ない建付けだ。

 これとは別の、リスク度3の理財商品の投資先には「債券、マネーマーケット、(中略)……低格付け債、中小企業私募債、法律に符合するその他の投資商品」とある。運用方針、運用スタイルなどの説明はないので、要は「何でもあり」だ。

 かつては地方政府の「融資平台」が発行する債券に投資すると明示した理財商品もあった。この融資平台が発行する債券の目論見書も見つけたので読んでみると、要は調達資金で以下のような公共施設を建て、市政府から管理費をもらうというビジネスモデルだ。

インフラプロジェクトの一例

 このようなプロジェクトを年に100以上も受託しているのだという。管理費は市から受け取るので回収できないことはない、という理屈のようだ。ショッピングセンターなど明らかな不動産開発がない分、マシなようにも見える(開示していないだけかも知れないが)。

 それでも、10年で受け取る管理費は建設費の6割だ。管理にはコストがかかるし、修繕も必要になる。10年後、再び市と契約を結ぶのか売却するのかは分からないが、その時の価格によっては債券の元利払いに影響が出るだろう。経済も、資産価格も右肩上がりの時代なら問題はなかっただろうが…。そして、中国には、このような融資平台が山ほどある。

 理財商品の投資期間がごく短期であることを思い出してほしい。投資先の融資平台は期間10年といった長期、一方で資金調達を担う理財商品は数カ月でロールオーバー(資金の乗り換え)を繰り返す仕組みだ。痺れを切らした個人投資家が理財商品から資金を引き揚げれば、資金繰りはすぐに行き詰まる。銀行間取引の金利が10%を超えたのは、恐らくはこんな経緯だろう。

 融資平台も、理財商品も、最初からデフォルトを前提にしていたり、投資家を欺くことを想定していたりする訳ではないだろう。ただ、かなり無邪気に危ない橋を渡ろうとしていたのは間違いない。そして今、中国の高成長時代が終わり、彼らが描いた絵は色あせてしまった。

 ここで無理に安全性を謳い、破綻まで突き進んでしまっては、どこかの和牛商法と同じになってしまう(見方によっては既に同じか、より悪質かも知れないが)。その意味で、李克強首相が中央銀行に安易に資金供給を許さない姿勢を見せていることは正しい。需要を先食いしてしまったのなら、そのツケはどこかで払わないといけない。

 あとは、足元の金融政策がオーバーキル(過度に金融を引き締めて経済を失速させること)にならないことと、地方政府の債務問題が手遅れでないことを期待するのみだ。内政に行き詰った場合、中国がまず矛先を向けるのは日本だろうから。


記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130626/250246/?ST=print


04. 米国国債を購入してくれない中国なんかしらんぞ 2013年6月28日 10:55:22 : e3K47I5pNSNN. : PWJPS5HBIA
米国企業はとっくに中国から逃げて本国回帰している
中国は空売りの利益を得るために外資系証券会社に悪材料として、いいように利用されているだけ。
リーマンショック後の米国が大変だった時期ならともかく、
もう落ち目の中国なんか潰れたって世界経済への影響なんて限定的でしょう。

05. 2013年6月28日 12:19:35 : dmkMWIGdew
 中国国内の沿岸部は近代化したが、内陸部への経済的効果は低いまま。
問題は「多種多様な内陸部の国民への教育向上問題」が考えられる。
 彼らの生活レベルを上げるためには「識字率を上げ」教育を施すことで消費材の売り上げを拡大しなければならないが、教育レベルを上げると、一党独裁の共産党政権の立場が悪くなる。
 これを乗り切ることができるかどうか?


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