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中国バブル崩壊後、大相場がやってくる シャドーバンキング問題は、「1997〜98年型危機」に発展へ (東洋経済) 
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/893.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 7 月 12 日 09:00:00: igsppGRN/E9PQ
 

          中国は、日本型のバブル崩壊をたどる?(撮影:今井 康一)


中国バブル崩壊後、大相場がやってくる シャドーバンキング問題は、「1997〜98年型危機」に発展へ
http://toyokeizai.net/articles/-/15363
2013年07月12日 東洋経済オンライン


中国のシャドーバンキング問題に、世界中の関心が集まっている。中国は、果たしてこの危機を乗り切れるのか。日本の個人投資家はどう行動すべきか。このほど、『超絶バブルの安全な投資術 バブル期に始める株式投資の勝ち方』(小社刊)を書いた安間 伸氏に、「中国バブル崩壊後、世界のマネーはどう動くか」、「日米の株式市場はどうなるか」などを、大胆に予測してもらった。


中国不動産バブル崩壊が、ついに金融システムへと波及し始めた。

中国の銀行による簿外の資金運用は、2012年には14兆5千億元(約237兆円)に達している。そのうち約半分は「利回り10%」などと謳って、個人投資家に販売している「理財商品」である。だがこの投資先は不透明であり、地方政府の地上げ資金となって焦げ付いているのではないかとの噂が広がっている。

中国政府の不動産融資規制に伴い、その「迂回路」として様々な方法が「開発」されたことは想像に難くない。かつて日本でも不動産融資総量規制への対策として、住専(住宅金融専門会社)など、ノンバンクを通じた間接融資が拡大、のちに大問題となった。

日本のバブル崩壊は、まず株式から始まり(1989年末に史上最高値、1990年から崩落)、次に不動産下落と不良債権の顕在化、そして小規模金融機関の破綻(1995年以降)が金融システム全体の危機(1997〜98年)へとつながった。

中国も上海株の暴落からサブプライムショックを経て不動産価格下落、小規模金融機関の破綻と続いており、金融システム全体へ波及する段階にさしかかっている。非常に似たパターンを辿っているがゆえに、我々としては読みやすい部分もある。

実のところ、この問題の行く末を金額から予測することは不可能だ。そもそも経済統計からして怪しまれる国であるから、投資金額や損失額を正確に把握することは難しく、対比するGDPも頼りにならない。そして経済よりも政治・軍事が優先する国なので、経済原則を無視した行動を取る可能性もある。
したがってここではバブル崩壊のセオリーから、この問題が世界の株式市場に与える影響をざっくり考えてみたい。

■ポイントは「最終消費地」と「グローバル信用創造の源」

確かに中国ほどの国で金融システムが機能不全に陥れば、そのインパクトは大きいに違いない。

しかし、私はこの問題は中国を含むいくつかの新興国だけの危機で終わり、世界不況にまで発展する可能性は低いと見ている。つまり危機のタイプとしては2008年のリーマンショックよりも、日本の金融危機からアジア危機・ロシア危機へと波及した97〜98年のイメージに近い。

というのも、中国経済はまだ「代替可能な世界の工場のひとつ」に過ぎないからである。日米欧のように巨大な最終消費地を提供していたり、グローバルな信用創造の源となっているわけではない。実はその2つがバブル崩壊の結末を予測する重要なポイントで、それらが崩れる前に適切な政策が取られるのであれば、危機は部分的なもので終わるのだ。

今回は欧州の景気や金融機関にやや不安があるものの、米国の経済が好調なため最終需要にはほとんど不安がない。日本企業も生産拠点をアジアに移し、北米の好調さで穴埋めできそうである。したがって中国で信用収縮が起こっても、それが連鎖して世界的な投げ売りに発展する可能性は低い。

■逃げ出した資金は中国に戻らない

もちろん影響を甘く見ているわけではない。しかし世界の金融経済とのつながりが深い日本など先進国と、特殊な制度・文化を持つ中国を同じように考えることも危険である。

日本に何かショックが起こると、リパトリエーション(資金の本国回帰)が起こる。だから97〜98年危機の時も、リーマンショックのときも世界の株が売られると同時に強烈な円高となった。「3.11」の東日本大震災時(2011年)も規模は小さかったものの、円高・株安となった。これは世界一の債権国として各国に投資している日本の特徴と言えるだろう。

中国も確かに「金持ち国家」なのであるが、日本とは全く違う。政府高官からして家族や資金を国外に逃亡させ、生き残りのため「保険をかけておく」国である。中国の混乱が拡大すれば、むしろ資金の海外流出は加速する可能性が高い。いずれ「海外送金停止」「海外渡航禁止」の措置が取られる確率も低くないと考えている。そもそも、シャドーバンキングで集められた資金は本当に中国の不動産に投資されたのか?実は「投資で損をしたことにして」海外に送金されたのではないか。今の段階では想像に過ぎないが、たとえそうであっても驚くことではないだろう。

■株式市場は一時調整、そして緩和は「バブルの燃料」に

中国バブルの崩壊は、一部の国や企業にとって深刻な問題である。特に中国の成長をあてこんで大きな投資をした資源国は、過剰投資と代金不払いに悩まされることになるだろう。

しかしアメリカ・ドイツ・日本など競争力のある知的産業を抱える国にとって、そういった国の苦境はインフレ圧力を抑える「冷却材」のように感じるに違いない。輸入物価は上がらず、金利も上がらず、好調な企業収益を支える要因となるだろう。新興国での需要が落ちても、先進国企業のキャッシュフローは好調なはずだ。

97〜98年の危機のとき、日本・アジア・ロシアは大変な苦しみを味わった。日本では資金調達ができずに企業がバタバタ倒産し、大幅な円高を食らって悶絶した。LTCMやタイガーファンドが破綻し、リスク管理に限界があることを思い知らされた。

しかし、欧米株式市場は95年から2000年まで続く長い株価上昇トレンドのさなかにあり、危機のピークであった98年秋に2割ほど調整をしただけである。
今回も米国経済は盤石であり、そのおこぼれで日本企業にも相当な恩恵があると考える。ドイツも基本的に問題はないが、欧州ソブリン問題に飛び火すれば盤石ではないかもしれない。すると基本的に日米の株価は上昇トレンドが続き、中国やそれに連なる新興国は反発を交えながらも長い下降トレンドが続くという2極化が見られるだろう。

そして中国の危機が本格化したとき――たとえば海外送金停止、海外渡航禁止から内乱・軍事衝突まで様々なパターンがあるが――日米株式市場も2割から3割の急落となるに違いない。それに対して日米欧が大規模な追加緩和や緊急融資に踏み切れば、「今回の」中国危機はいったん落ち着きを取り戻すだろう。
そこで生み出されたマネーは、バブルの「燃料」となり、日米の株価上昇を再加速させる可能性が高い。一時的な急落への備えは不可欠だが、恐がり過ぎて大きな上昇トレンドを取り損ねる愚は避けたい。


 

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コメント
 
01. 2013年7月12日 09:23:36 : OYv8kbz0qs
http://diamond.jp/articles/-/27546?page=3

 人民元はいまも管理通貨で、外貨を人民元に両替するのは比較的自由だが、人民元から外貨への再両替は厳しく規制されている。そのため本土の富裕層は、人民元の現金をボストンバッグなどに詰め込み、観光を装って香港に渡り、現地で両替して不動産などに投資している。しかしマカオを利用すれば、もっと簡単に人民元をロンダリングできる。

 中国政府はカジノ育成を名目に、マカオに限って本土からの人民元の持ち出しに制限を設けていない。マカオにギャンブルに行くといえば、何億元でも堂々と持っていくことができる。

 カジノに着いたら現金をいったんチップにし、ゲームなどせずに、そのままチップを香港ドルの小切手に換えてもらう。カジノはギャンブルで大勝ちした幸運な客のために、小切手での支払いを行なっているのだ。後は、小切手を持って香港行きのフェリーに乗り、香港の銀行口座に入金するだけだ。この資金で不動産や金を買ったり、海外の口座に送金するのも自由だ


02. 2013年7月12日 16:14:44 : niiL5nr8dQ
2013年7月11日 橘玲
中国の命運を握る
裏マネーと”人類史上最大”の不動産バブル
[橘玲の世界投資見聞録]

 前回は中国で“闇の金融システム”が増殖していく仕組みについて書いたが、問題の核心は、これが地方政府の不動産開発事業と結びついて、“人類史上最大”とも称される巨大なバブルを生み出していることだ。


上海・浦東で建設中の高層ビル  (Photo:©Alt Invest Com)

[参考記事]
中国の未来に影を落とす”闇の金融システム”

 市場原理主義を凌駕したと自負する中国共産党の賢明な経済官僚たちは、なぜこの事態を放置しているのだろうか?

 あなたの目の前に金塊が山のように積まれていて、もうすこしで手が届きそうなのに扉がゆっくりと閉まっていく。もしそうなったら、あなたはどんな気持ちがするだろう。

 中国で起きていることは、かんたんにいうとこういうことだ。

中国の錬金術

 中国でどのような“錬金術”が行なわれているのかは、多くの専門家の指摘が一致しており、ほぼ解明されたと考えていいだろう。


次のページ>> データから分かる中国経済の実態

 ここではそのなかから、具体的な数字を示して中国の不動産バブルの実態を推計している川島博之氏の『データで読み解く中国経済――やがて中国の失速がはじまる』(東洋経済新報社)を紹介したい。

 川島氏はまず、中国統計年鑑から、21世に入ってから中国市場への投資額が指数関数的に増えていることを示す。2006年以降5年間の投資額の平均増加率は27%で、とりわけリーマンショック後の4兆元景気対策の効果で2009年の伸び率は37%という驚異的なものになっている。さらに、景気対策のなくなった2010年でも投資額は前年比24%増で、金額にすると31.1兆元(約500兆円)。近年の中国の経済成長は、日本のGDPに匹敵する巨額の投資によって支えられているのだ。

 ところでこの「投資」の内訳だが、中国統計年鑑では「国家予算」「国内借款」「外資」「自己資金」の4つに分類されている。このうち国家予算は国の支出、国内借款は金融機関からの融資、外資は外国からの投資資金だ。

 中国の経済成長というと外資の導入がまず挙げられるが、じつは投資資金に占める外資の割合は95年あたりから明らかに低下している。それ以外の国家予算と国内借款の比率も徐々に低下しており、それを補っているのが自己資金で、2010年にはその割合が78.5%と全体の8割にもなっている。

 中国の経済成長を支える投資とは、24.4兆元(約390兆円)の自己資金のことだ。

 ところで、経済学で一般に自己資金というと家計の貯蓄を意味する。中国の1年間の家計貯蓄は約5兆元だが、これは金融機関を経由して投資に回される。2010年の国内借款は4.73兆元だから、辻褄はあっている。

 だがそうすると、400兆円ちかい「自己資金」はいったいどこからくるのだろうか。

錬金術の正体とは?

 川島氏によれば、無から有を生み出す錬金術のからくりは中国の急速な都市化にある。

 社会主義国である中国では土地は公有制で、文化大革命が終わって人民公社が解体されたあとは、土地を農民に分配するのではなく、村などの地方自治体が所有することになった。農民は村から使用権を借りて農業を行なっているから、中国の土地には固定資産税がかけられない(そのため、固定資産税の引き上げで地価の高騰を抑えるという常套手段が中国では使えない)。

 そんななかで、経済成長にともなって急速な都市化が始まった。都市化というのは農村から都市に人口が流入してくることで、中国ではこの30年間に4億人の人口移動が起きたとされている。人口が増えると、当然、彼らが暮らすための住宅が必要になる。

 中国都市部の平均的な世帯人数を3人とすると、4億人を受け入れるのに必要な住宅の数は1.3億戸だ。これに公園、道路、商業用地などを加味すると、中国の都市部の面積は400万ヘクタール増加する必要があった。中国では都市化にともない、九州よりもひと回り大きな土地が宅地へと開発されたことになる。

 農地を宅地に換えるには、農民に対する補償が必要になる。だが農民が持っているのは使用権だけなので、これまでは数年分の年収が支払われるだけだったという。農民の収入を年間5000元とすると、土地を手放す代償として彼らが手にするのは3万元(約48万円)か、高くても5万元(約80万円)程度だ(最近は土地収用の相場もかなり上がった)。

次のページ>> 錬金術によって生まれる"裏マネー"

 中国の平均的な農家は0.5ヘクタール(5000平米)程度の農地を耕している。その補償金を5万元とすると、地方政府(土地開発公社)が土地を取得するコストは1平米あたりわずか10元、日本円にして約160円になる。

 こうしてタダ同然で手にした土地を、地方政府はいくらで販売しているのだろうか。

 ここで先ほどの「自己資本」が重要になる。2010年の自己資本は24.4兆元だったが、無から有が生まれるわけはないことを考えれば、その原資はなんらかの商取引の結果と考えるほかない。川島氏はこれを、中国の地方政府が不動産開発によって得た利益だとする。

 2009年から10年にかけて、中国の都市人口は2470万人増加している。そこから概算すると、都市化にともなって24.7万ヘクタールが農地から宅地に転換されたことになる。これを1平米あたり1万元で売れば土地開発公社に24.7兆元が入ってきて、自己資金の額と平仄があう。

 中国の地方政府は1平米あたり10元で仕入れた土地を1000倍(!)の1万元で販売することで巨額の利益を生み出している。これが、中国の“錬金術”の正体なのだ。


安徽省・合肥のなにもない農地  (Photo:©Alt Invest Com)

そこから車で10分ほどで忽然と現れる開発区。どこまでも続くマンション群にほとんど入居者はいない  (Photo:©Alt Invest Com)
裏マネーが支える中国経済

 中国では、都市開発にともなって日本のGDPに匹敵する富が1年間で生み出されている。ところがこの巨額のマネーにかかわることのできる人間は、地方政府の共産党幹部などごくわずかしかいない。中国でとてつもない腐敗が生まれるのは当然のことだ。

 ブルームバーグは2012年8月、中国の家計には公式統計に反映されていない隠れた収入が9兆3000億元(約148兆円)あり、その8割は富裕層が得ていると報じた。汚職と腐敗にともなって巨額の裏マネーが共産党幹部に流れているのは間違いないが、その一方で川島氏は、裏マネーの一部は都市部の中産階級の手にも渡り、それによって国内消費が活性化しているのだと述べる。

 中国の総人口13億人のうち、都市部の居住者は6.7億人と半数を超えた。周知のように都市と農村には深刻な経済格差があり、富裕層や中産階級は都市部に集中している。

 川島氏は、訪日観光客の数から中国の富裕層(台湾や韓国からの観光客より平均して1.5倍のお金を使う中国人旅行者)の数を2000万人と推計する。富裕層の下には、海外旅行には行けないけれど、一家に1台は自家用車を持てるくらいの中産階級がいる。2010年末の中国の自動車の保有台数は3443万台で、世帯人数を2.87人とすると、中産階級の推計人口は1億人になる。

 中国の都市人口が6.7億人で、2000万人が富裕層、1億人が中産階級なのだから、残る4.5億人が貧しい生活をしていることになる。そのなかでも農民戸籍のまま都市に居住する2.4億人は建設現場などで働く最底辺労働者で、身分格差がなくならないかぎり社会的地位の上昇は期待できない。残る3.1億人は、都市戸籍を持ちながらも中産階級になれない予備軍で、彼らは「明日は今日よりゆたかになれる」と思えるかぎり社会体制を転覆しようとは考えないだろう。

 公式統計では中国の平均所得は都市部でも年間2万元(約32万円)で、上海でも年間3万6000元(約58万円)だ。これでは住宅ローンを組んでマイホームやマイカーを買い、結婚して子どもを育てるのは不可能だが、苦しいながらもそれがなんとか成り立っているのは、裏マネーが社会階層の中流くらいまで流れてきているからだ。そう考えると、(農村が反乱の主体になることは考えられないから)中国社会は意外に安定している、と川島氏は指摘する。

 “錬金術”によって生まれた裏マネーは、経済だけでなく、中国社会そのものを支えているのだ。

次のページ>> 錬金術の果てに… 

錬金術の崩壊

 中国の地方政府は巨大な不動産開発会社で、農民から収奪した土地を整地し、道路や空港、高速鉄道の駅をつくり、地下鉄網を整備し、マンションや商業施設、公園や公共施設を建設して土地の付加価値を上げようとする。そのためには巨額の建設資金が必要で、不動産の売却益は「自己資金」となって土地開発に投じられることになる。こうした裏マネーの循環によって、中国各地で地価が上昇してきた。

 ところが最近になって、こうしたマネーの流れに異変が生じるようになった。

 ひとつは農民の権利意識が強くなったことで、それによって以前のようにタダ同然で土地を手に入れることができなくなった。もうひとつは、不動産価格の上昇が鈍ってきたことだ。

 仕入れ値が高くなり、販売価格が頭打ちなのだから、当然、利益は減っていく。だが建設投資を止めてしまえばただのゴーストタウン(鬼城)になるだけだから、なんとしても資金調達して不動産開発を進めなければならない。

 中国政府は財政規律を維持するため地方政府の債券発行を認めていない。また中央銀行も、金融機関の不動産融資を規制しはじめている。その結果地方政府は、「融資平台」と呼ばれる投資会社を設立し、高利の理財商品(シャドーバンキング)によって資金を集めるほかなくなった。

「影の銀行」の実態を取材した日経新聞(2013年7月5日朝刊)によると、江蘇省常州市の「天誉都市花園」では、事業費6億元(96億円)を年11%の予想利回りを掲げた理財商品で調達したという。予定していた価格でマンションなどが販売できなければこの巨額の投資は焦げつくことになるが、そのリスクを最終的に誰が負うかは曖昧なままだ。

 問題は、こうした無謀な事業が中国の「すべての」地方で行なわれていることだ。これも当たり前の話で、“錬金術”の方法はひとつしかないのだから、その機会を手にした者は誰もが同じことを始めるのだ。


中国のバブルの象徴、海南島の鳳凰島。2014年完成予定で、7つ星ホテルやテーマパークが入居する  (Photo:©Alt Invest Com)
 ケ小平の改革・開放政策の恩恵を受けて北京・上海・広州など沿海部の主要都市の不動産価格が上昇し、それを利用して上海を地盤とする江沢民などが巨万の蓄財を果たし、権力を握った。その“魔法”を目の当たりにした内陸部などの地方政府の幹部たちが、我先に大規模な不動産開発に乗り出した。

 前総書記の胡錦濤がそれを抑えることができなかったのは、“錬金術”を禁じれば地方政府が反乱を起こし、政権が転覆することを恐れたからであり、また自らが同じ方法で蓄財していたからでもある。

 胡錦濤の地元の安徽省・合肥でも大規模な不動産開発が始まっていたのだから、それを中止することなどできるはずはない。前首相の温家宝は庶民派で腐敗に厳しいといわれたが、ニューヨークタイムズによって、夫人を含む親族が27億ドル(2700億円)もの蓄財をしていることが暴露された。

 現首相の李克強は河南省・遼寧省の党委員会書記を歴任しているが、いずれの地域でも中国有数の大規模な不動産開発が行なわれている。総書記の習近平も、江沢民派との権力闘争を制して上海市長の座についたのだから、中国最大の経済都市の巨大な利権を手にしたことは間違いない。そう考えれば、中央政府が地方政府の暴走を抑えるのことがいかに困難かわかるだろう。

 錬金術に成功した党幹部たちは、その富を国家から守るため海外で蓄財し、留学などの名目で妻と子どもを海外に移住させる。このようにして“単身赴任”の身分になり、いざとなればいつでも国外に亡命できるようにしている(薄煕来事件では、重慶市の公安局長だった王立軍が米総領事館に政治亡命を求めた)。


次のページ>> やがてバブルははじける

 川島氏の推計によれば、中国全体の地価総額は266兆元(約4250兆円)で、中国のGDPの6.6倍になる。バブル最盛期の1989年末、日本の地価総額は2136兆円に達し、当時のGDPの約4.4倍になったとされる。それと比較しても中国の不動産バブルは異常で、“人類史上最大”と形容されるのも無理はない。

 中国ではいま、“富への扉”が閉じられつつある。金融市場の混乱は、なんとしても自分だけは“金塊”に辿りつこうとする、地方政府の幹部たちの最後の苦闘を反映しているのだろう。

 年率30%ちかい投資の伸びを維持するのは不可能で、いずれ不動産バブルは崩壊し、理財商品はデフォルト(償還不能)になるだろう。

 そのときに中国の経済や社会になにが起きるのかは、誰にも予想できない。唯一確かなのは、その時期はさほど遠くない、ということだけだ。


上海・浦東の高層ビル街。、現在の不動産開発の結果、中国の地方都市はすべてこうなる?  (Photo:©Alt Invest Com)


中国の命運を握る 裏マネーと”人類史上最大”の不動産バブル [橘玲の世界投資見聞録][2013.07.11]
中国の未来に影を落とす”闇の金融システム” [橘玲の世界投資見聞録][2013.07.05]
行列する社会だけが自由と平等を手に入れる [橘玲の世界投資見聞録][2013.06.27]
道の渡り方からアジアについて考える [橘玲の世界投資見聞録][2013.06.20]
中国人から喝采を浴びる 岡田武史元日本代表監督の中国プロサッカー改革 [橘玲の世界投資見聞録]

 


 


 


 


「ゴーストタウン」と呼ばれたオルドス市、破産の危機に直面

石炭産業への過度な依存が市財政を圧迫

2013年7月12日(金)  北村 豊

 2013年6月10日、中国の会計監査院に相当する“中華人民共和国審計署(略称:国家審計署)”は、「36の地方政府における債務状況に関する会計検査結果」を発表した。36の地方政府とは、15省と3直轄市(天津市、上海市、重慶市)および15省都と3市轄区<注>を指し、国家審計署によってサンプル調査の対象地域として抽出されたものであった。この結果によれば、2012年末時点で36の地方政府が抱える債務残高は3兆8476億元(約61兆5616億円)で、2010年末に比べて12.94%増大していた。

<注>3直轄市の中にある「区」を意味し、天津市の南開区、上海市の虹口区、重慶市の合川区を指す。

積み上がる地方政府の債務

 国家審計署が記者会見で述べたところによれば、今回調査対象となった36の地方政府の2010年末時点における債務残高が全国の地方政府債務残高に占める比率は31.79%であった。国家審計署が2011年6月25日に発表した2010年末の全国の地方政府債務残高は10兆7175億元(約171兆4800億円)であったから、31.79%という比率から逆算すると、2010年末時点における36の地方政府の債務残高は3兆4071億元となる。一方、2012年末時点における36の地方政府債務残高が全国の地方政府債務残高に占める比率も31.79%だと仮定して逆算すると、後者は12兆1032億元となり、2010年末からの2年間で債務残高は1兆3857億元(約22兆1712億円)増えたことになる。

 このように地方政府の債務残高が2年前よりも12.9%も増大したことを背景にして、中国国内で再び注目を集めているのが、内蒙古自治区の“鄂爾多斯(オルドス)市”である。オルドス市は米誌「タイム」が2010年4月5日号で同市の行政地区“康巴什(カンバシ)新区”を「最も殺風景なゴーストタウン」と報じたことで世界的に知られるようになり、それを契機として、オルドス市は中国メディアによっても大きく報じられた。「ゴーストタウン」を中国語では“鬼城”と言うが、オルドス市は“鬼城”として中国国民に知られるようになり、その“鬼城”を見物しようと観光客が集まるようになったのである。かく言う筆者も、遅ればせながら、2011年7月にオルドス市へ出向いて“鬼城”の実態を視察した。

 その視察結果は、2011年8月19日付の本リポート「現地リポ:『中国のドバイ』はゴーストタウン」で報告したので参照願いたいが、簡潔に紹介すると以下の通りである。

 オルドス市の旧市街である“東勝区”から南に約30kmの地点に建設されたのが、米誌「タイム」によってゴーストタウンとして報じられた「カンバシ新区」である。オルドス市政府はカンバシ新区に100万都市を建設する計画を立て、2006年7月には市政府および市直属の51機関が東勝区からカンバシ新区へ移転した。しかし、こうした市政府の意気込みとは裏腹に、カンバシ新区では高層住宅群が雨後のタケノコのように続々と建設されてはいるものの、その大部分が空室のまま放置されているのが実情であった。カンバシ新区は日中でさえも人影はまばらであり、夜になれば無数の高層住宅群が月明かりに照らされて浮かび上がり、正にゴーストタウンと呼ぶに相応しい佇(たたず)まいであった。一方、カンバシ新区に100万都市を建設する計画を支えていたものは、オルドス市の財政を潤す地下資源であり、その主体は価格の上昇で繁栄を続ける石炭であり、同市の確認埋蔵量は4860億トンで、内蒙古自治区の2分の1、全国の6分の1を占めている。

 そんなわけで、オルドス市の先行きに興味を持った筆者は、その後もオルドス市の状況を折に触れてはチェックしていた。そうした中で、2013年3月14日付で発表されたオルドス市の「2012年国民経済と社会発展統計公報」は、次のような事実を明らかにした。

成長は過去のものに

【1】オルドス市の域内総生産(GRP)は3656.8億元(約5兆8508億円)で前年比13.0%増であった。公報に掲載されていた【表1】を見れば一目瞭然だが、GRPの額は着実に増大してはいるものの、その成長率は2007年の25.8%という高成長率を記録したにもかかわらず、2009年以降は急激な落ち込みを示し、2012年には遂に13.0%にまで低下した。


【2】カンバシ新区を主体とするオルドス市における高層住宅群の建設は固定資産投資によって支えられている。2012年のオルドス市の固定資産投資総額は2570.58億元(約4兆1120億円)であったが、その成長率は前年比14.6%であった。【表2】を見れば分かるように、2007年と2009年の成長率はそれぞれ43.6%、44.0%と極めて高い数字を示したが、2010年からは急激に落ち込み、2012年には14.6%にまで低下した。こうして見ると、2010年4月に米誌「タイム」がカンバシ新区をゴーストタウンと報じた時には、すでに固定資産投資は急激に減少を始めていたのだった。さらに、筆者が2011年7月にカンバシ新区を視察した時には、固定資産投資は前年以上に落ち込んでいたことになる。


【3】2012年末時点におけるオルドス市の戸籍人口は前年比2.1万人減少の152.08万人であるのに対して、常住人口は200.42万人であった。オルドス市にとって戸籍人口の減少は近年では初めての事であり、オルドス市の退潮を示すバロメーターと言う事ができる。また、常住人口は2011年末が199.93万であったから、1年間でわずか4900人しか増えなかったことになるが、これも実際には固定資産投資の落ち込みにより工事現場で働く労働者が数万人あるいは十万人単位でオルドス市を離れた可能性があり、実態面では常住人口は大きく減少したものと想像できる。

空っぽの工業団地

 さて、2013年3月28日付の全国紙“華夏時報”は、「オルドス市の工業団地は鬼城となり、繁栄を迎える前に衰退、物価は北京より高い」という表題の記事を掲載した。同記事の概要は以下の通りである。

(1)オルドス市は産業転換を夢見て多数の工業団地を造成したが、工業団地へ入居する企業はほとんどないばかりか、入居を決めた企業も工場建屋の工事着工を繰り延べ、いずれの工業団地も“工業鬼城(工業のゴーストタウン)”と化している。オルドス市の政府部門で働くある商人は、「オルドス市は全体に活力が無く、工業は委縮し、経済は不振。工業団地は空っぽの状態である」と述べた。

(2)2012年の年初にオルドス市長の“廉素”が発表した「政府業務報告」は、2012年の財政収入を1000億元(約1兆6000億元)、成長率を25%とする強気の目標を掲げていた。しかし、2012年末の結果は、財政収入は820億元(約1兆3120億円)にとどまり、成長率はわずか3%で、目標の8分の1にも達しなかった。オルドス市の財政収入は、2010年が538.2億元、2011年が796.5億元であり、2011年の成長率は前年比48%であった。

(3)上述した商人は次のように述べた。「大規模な取り壊しを行って大規模な都市建設を推進し、工業団地を建設して大きな躍進を図ろうとしても、問題が出れば、苦しむのは一般庶民である。都市建設の過程でオルドス市の農牧民は予期せぬほど高額な「立ち退き料」を受け取った。しかし、これらのカネは“銭生銭(カネがカネを生む)”という風潮の下で、その大部分が“高利貸し(高利の貸し付け)”の形で高層住宅群の建設資金に流入し、最後は大量の“爛尾楼(資金不足で工事が1年以上停止している不動産物件)”の鉄筋やセメントの中に埋もれている」。

(4)カンバシ新区に隣接する“伊金霍洛旗”に住むタクシー運転手は、「伊金霍洛旗の住宅価格は高くて買えないので、“公租房(公営住宅)”を申請したが、賃料は決して安くない。60平方メートルの住宅の場合、1平方メートル当たりの賃料は最低でも月額15元(約240円)で、年間では1万元(約16万円)以上となり、民間の賃貸住宅と大差がない。さらに、伊金霍洛旗の物価は北京より高い上に、企業が少ないので就業機会は少なく、労働者は去って行く。こうした悪性の循環に陥っている経済が良いはずがない」と述べた。

 さらに、2013年6月30日付の“浙商網(ネット)・浙江経済報道”は、「オルドスのGDPは内蒙古自治区内の成長スピード第1位から最下位に」という記事を掲載した。

 この記事によれば、石炭価格の大幅な値下がりによりオルドス市の炭鉱の半数以上が生産を停止しているという。オルドス市の炭鉱は旧市街である東勝区に集中しており、同区には石炭企業が35社あるが、そのうち17社がすでに生産を停止している。自前の石炭運搬用の鉄道を持っている大手の石炭企業は、生産を継続しているが、中小の石炭企業は石炭輸送をトラックに頼っており、輸送費を考えると採算が合わず、赤字になるのだという。ある中小企業は、石炭の採掘を続ければ毎月40万元の赤字となるが、生産停止ならば、労働者の賃金と設備の維持費などを加えても20万元程度の経費で済むと述べている。

 オルドス市の石炭は65〜70%がトラックで輸送されている。例年であれば、6月頃は毎日8万台以上のトラックが高速道路の料金所“耳字壕収費站”を通過し、その石炭の合計輸送量は480万トンに達し、1時間平均では3500台以上が料金所を通過していた。しかし、この1カ月は毎日のトラック通過数は2万台に満たず、石炭の輸送量も1日当たり120万トン前後でしかなく、恐らく石炭のトラック輸送量は70%以上減少しているという。

 6月にオルドス市統計局が発表した2013年1〜5月の財政収入は累計318.5億元(約5096億円)で、前年同期比15.8%減であった。オルドス市の経済は長年にわたり石炭産業に過度に依頼してきており、上述した石炭産業の低迷が甚大な影響を及ぼしているのが実態である。2012年におけるオルドス市の石炭生産量は5.9億トンで、生産額は約3000億元(約4兆8000億円)であったが、その対GDP比率は80%にも達していたのである。2012年1月から始まった「環渤海動力石炭(5500キロカロリー)」の価格下落は、2012年1月には1トン当たり792元であったものが、2013年7月初旬の現時点では600元を切っており、1年半の間に25%も値を下げている。

頼みの綱、石炭は在庫の山

 6月23日時点における環渤海4港(秦皇島港、曹妃甸港、京唐港区、天津港)の石炭在庫量は2022.5万トンで、昨年以来続く在庫の山は解消されていないし、中国経済不振の影響を受けて在庫解消の見込みは全く立っていない。需要が減れば、石炭価格は下がる。廉価な海外からの輸入石炭との価格競争もあり、国産石炭の価格は今後も引き続き下落する可能性が強い。そうなれば、石炭に大きく依存するオルドス市が受ける衝撃はさらに大きなものとなることは間違いない。

 上述したオルドス市の「2012年国民経済と社会発展統計公報」によれば、2012年のオルドス市住民の収入は、都市部住民1人当たりの平均可処分所得が3万3140元(約53万円)であり、農牧民1人当たりの平均純収入が1万1416元(約18万3000円)であった。これは2012年の北京市住民の収入(前者が3万6469元、後者が1万6476元)と比べても遜色ないものであった。2年前の2011年6月に中国メディアが報じたのは、オルドス市には217人に1人の“億万富翁(億万長者)”がいるし、15人に1人の“千万富翁(千万長者)”がいるというものだったが、果たして彼ら長者たちは今どうなっているのだろうか。さらに、オルドス市住民の収入は今後どのように推移するのだろう。

 6月27日付のある中国メディアは、「危機に瀕するオルドス」と題する記事を掲載し、1000億元以上の負債を抱え、不動産市場が崩壊しているオルドス市は危機に瀕しており、中国の地方政府として初の破産に直面していると報じている。栄枯盛衰は世の常というが、内蒙古自治区の辺境の地に突如芽生えた「オルドスという名の花」は咲き誇る前に枯れてしまうのだろうか。オルドス市の繁栄は中国経済の好況を前提として成り立っていたものであったのだ。オルドス市が復活し、カンバシ新区がゴーストタウンという汚名を返上するには、中国経済の再生が条件となるが、果たしてそれはいつの日になるのだろうか。

このコラムについて
世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。


03. 2013年7月12日 16:44:07 : NLHsrOSNpQ
心配しなくても中国は崩壊なんてしないから

04. 2013年7月13日 02:52:12 : QIomsGvVII
このような問題を過去の事例に当てはめて考察するのは、学者の常套手段。
「歴史は繰り返す」からだろう。

けれど、
この言葉の本質は、歴史は繰り返すが、しかし「同じ様態ではない。」こと
従って、実際として常に過去から導いたシナリオ通りにはいかないのだ。


それにしても、この記事の結論(中国バブル崩壊後、大相場がやってくる)へ
至る文脈にはタラレバが多過ぎる。
一体、何が言いたいのか?


05. ケネスロゴフ 2013年7月13日 06:29:07 : lh5Vmx6PdcQm2 : uaXKtFqvh2
↑ This time is different. This time is different. ・・・・

06. 2013年7月14日 20:10:17 : etbD7QLSBw
三流経済評論家は、必ず、過去の話を持ち出すんだよな。
そして、必ず、日本は安全だと言い張る。
こういう輩が出てきたときには要注意だってことだ。

中国は、アベシンゾードシロートミクスとは、ちがうやりかたをするので、日本だけがやられる可能性が高いとは思うけどな。


07. DUKE 2013年7月15日 02:44:22 : 4P6JFqjcvWlMU : ESSiW0Rx5R
http://www.asahi.com/international/update/0712/TKY201307120073.html
米中投資協定、本格交渉へ 中国「全分野を協議対象に」

GSのICBC 全株売却もFRBバーナンキの金融緩和出口戦略(一転取りやめ)も
この投資協定に結びつける為にあったのではないか。

中国のバブル崩壊は5年は延命されるかもしれない


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