東京証券取引所と大阪証券取引所は16日に現物株市場を統合する。大証から1000社を超える企業を受け入れる東証の上場企業数は、計3423社と世界７位から３位に浮上する。上場社数が増えると市場全体の売買が厚みを増し、機動的な取引ができるなど投資家にとって利便性が一段と増す。

　東証と大証は１月に経営統合し、両社の持ち株会社である日本取引所グループが発足した。今回は２つの証取での株式売買を、東証に一本化する。売買がひとつの取引所に集まることで株価形成がスムーズになり、投資家が売買しやすくなる利点もある。来年３月にはデリバティブ（金融派生商品）取引を大証に集約し市場統合が完了する。

　現物株市場の統合で東証は上場企業数、市場の時価総額、売買代金でいずれも世界３位となる。市場に流れ込む投資マネーの量を示す売買代金は米国のＮＹＳＥユーロネクスト、ナスダックＯＭＸグループに次ぐ規模となる。「アジアでナンバーワンの取引所を目指す」（日本取引所の斉藤惇グループ最高経営責任者）という目的をひとまず達成する。

　ただアジアのライバル取引所の追撃の勢いは増している。売買代金では日本取引所のすぐ後ろに上海証券取引所と深セン証券取引所が迫る。

　さらに、中国の各取引所は互いに連携する考えだ。香港、上海、深センの３取引所は2012年10月に共同出資会社を設立し、上場商品の共同開発に着手している。中国と香港は双方の市場の株式を組み入れたファンドを組成して相互上場し、海外マネーの取り込みを狙う。

　東証の清田瞭社長は「グローバルな投資家が、取引したくなる市場を作らなければならない」と語る。カギは売買システムと新たな上場商品だ。日本取引所は市場統合で浮くコストを売買システムの一段の高度・高速化などに振り向ける。海外の株価指数などに連動する上場投資信託（ＥＴＦ）や先物の品ぞろえを増やす。そのためには海外取引所との提携も視野に入れている。

　日本の株式市場に上場している海外企業が減っている点も見逃せない。東証では1990年代前半のピーク時に米ＩＢＭなど127社の外国企業が上場していた。しかし、売買が少なく上場を取りやめる会社が相次ぎ、12日時点で10社に減っている。海外の有望な成長企業を呼び込むためにも、市場の魅力を高める必要がある。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD1206W_S3A710C1EA2000/