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いま優先すべきは「子育て支援」 第2回 経済成長を左右する5つの要因。日本が成長するための秘策とは?
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/125.html
投稿者 金剛夜叉 日時 2013 年 7 月 14 日 16:22:01: 6p4GTwa7i4pjA
 

経済成長を左右する5つの要因

 安倍政権とその意向を受けた日銀による、インフレターゲットを主とした「金融政策」は、物価と賃金の同等な上昇(名目GDPの上昇)をめざす形で実施されており、今のところはうまくいっている(ように見える)。

しかし、私たちの生活が物質的にさらに豊かになるには、物価の上昇以上に、賃金が上昇しなければならない。そのためには、「実質GDPの上昇」(経済成長)が必要だ。だから私たちは、もし物質的な豊かさを求めるのであれば、経済成長をめざさなければならない16。

 経済成長をめざす安倍政権の「成長戦略」は、「規制緩和などによる民間投資の促進」を主軸としている。しかし同時に、政権は、「一体改革」も並行して行うことになっている。

『g2(ジーツー) vol.13』

 では、「高齢者福祉は並レベル、子育て支援は低レベル」という一体改革は、はたして経済成長を促進するのだろうか? それとも抑制してしまうのだろうか? 抑制してしまうのだとしたら、一体改革をどう改善したらよいのだろうか?

 ここで、筆者が独自に行った統計分析の結果を紹介しよう。分析では、「経済成長率」(一人当たり実質GDPの対前年上昇率)を左右するのはどういう要因なのか、を検証した。

データは、日本を含む先進18ヵ国の2000〜2009年の国際時系列データを用いた17。分析の結果、経済成長を左右するとみられる要因(の効果)として、主につぎの5つが見いだされた18。

16. ただし、「経済成長をめざすことよりも、経済が成長しない場合に備えた準備のほうを優先すべきだ」という考え方もありうる。その場合は、以下の文章を読み飛ばして、「増えてきた子どもの貧困」の節から読み始めていただきたい。

17. 人口構成や経済条件、税制、教育、社会保障、過去の経済成長率をコントロールした(一部は前年値や前々年値を使用)。推定法は、年ダミーと国特有線型時間傾向を含む一階階差の動学的一般化積率法推定(各独立変数の「逆因果による内生性」は操作変数によってできるかぎり除去される)。

データは、OECD, .Stat, 2013とWorld Bank, World Development Indicators, 2013。「Sarganの過剰識別制約検定」の有意確率は0.79、「Arellano-Bondの系列相関検定」の2次系列相関の有意確率は0.75となったため、「一定条件下での操作変数の不適切性」や「誤差項の系列相関」は差し当たり見られない。

18. ただし、あらゆる統計分析と同様に、「逆の因果」や「第三変数による擬似相関」は含まれうる。有意水準は1%。本文に挙げた5要因については、日本ダミーとの交互作用効果を検定し、日本において5要因の有意傾向が打ち消されないこと確認した。

また5要因の他にも、「前年の一人当たりGDP上昇率−」「(同年の)年少人口割合−」「個人所得税・社会保険料の累進性+」「児童一人当たり初等教育支出+」「前々年の学生一人当たり高等教育支出+」「年金以外の高齢者福祉現金給付+」「高齢者福祉現物給付(主に介護)−」「障害者福祉現金給付−」「遺族福祉現物給付+」「住宅補助−」といった要因が検出された。

「−」は経済成長率を有意に下げ、「+」は有意に上げることを示す。なお障害者福祉・遺族福祉・住宅補助は、貧困者の生活保障として機能する限りは、削減すべきでない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36381  

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コメント
 
01. 2013年7月14日 16:32:14 : mev4VbLii2

>優先すべきは「子育て支援」

これは言うまでもないことだから

優秀な女性を限定正社員で、切れ目なく雇用できるようにしたり

各種手当を増額し、保育所も質より量で、まず供給を増やすことが重要


あと高齢出産は、障害児の発生確率が高まるから

特に、母親が20-30までに出産した子どもの場合、子ども手当増額、

教育費は大学まで無料にする、公的保育所は優先的に入れる

母子家庭への手当増額なども効果的だろう


02. 無段活用 2013年7月14日 19:03:54 : 2iUYbJALJ4TtU : ddGVSlWexS
元記事の筆者は同志社の先生。結構良いことを書いているんだけど、投稿者さん
は6分の1しか紹介してくれていない。筆者の結論はこれ。

>筆者が主張したいのは、「高資産高齢者への年金給付をほとんど削減せず、
>かつ、子育て支援をほとんど拡充しない」という一体改革は、経済成長のチャ
>ンス(の少なくとも一部)を自ら手放しつづけるに等しい、ということだ。もし経済
>成長を求めるならば、高資産高齢者への年金給付を合意可能な範囲で削減
>し、かつ、子育て支援をできるかぎり拡充すべきである。

論証が丁寧で分かりやすかったから、私にも読めた。リンクから、是非全文を読んで欲しいと思った。


03. 2013年7月14日 21:47:03 : 3PJAqRzx3M
>>筆者が主張したいのは、「高資産高齢者への年金給付をほとんど削減せず、

保険方式だから後から勝手に減額はできないんだよ。


04. 2013年7月15日 04:14:25 : UQlyJXi6zF
フェミが喜ぶ事やっても子供は増えない。
何度も何度もやっても、うまくいってない。
人にたかる事ばっかりやってると、本当に日本は破綻してしまう。

仕事も年々外に行ってるし。


05. 2013年7月15日 08:52:53 : 1wmYh3ROfA
子育て支援のお金はどこから来る?間違いなく、子供作らないで働いている勤労者の税金が相当のものになっている、貴重なお金を子育てという名目で受け取り、使い残したお金は貯金する、おかしくないか?
税金にタカル卑怯な者はいなくなれ、嫌なら子供を作るなよ異本は人口過剰なんだから。

06. 2013年7月15日 22:04:24 : 3PJAqRzx3M
>>05
子育て支援自体はするべきだが、収入のある世帯にはちゃんと払うものを払ってもらうことがまず第一。そうしないと逆再分配になってしまう。(子供のいる人よりいない人のほうが収入は低いというデータもあるので)
また、各種の専業主婦優遇(3号保険者問題など)はなくさないと、子育て支援しておいて大人になっても扶養ではすまないだろう。



07. 2013年7月16日 02:43:39 : niiL5nr8dQ

>>06 子育て支援自体はするべきだが、収入のある世帯にはちゃんと払うものを払ってもらうことがまず第一

年収5百万にも満たないのに、多くの削れない支出に苦しむのが大部分の子育て世帯

一方で、巨額の貯金や不動産をもつ資産家が高額年金をもらい、ろくに税金を払わず、高額医療費も現役世代の1/3しか払っていない現実がある


08. 2013年7月16日 02:49:05 : niiL5nr8dQ
 柴田 悠経済の死角 
2013年07月14日(日) 柴田 悠
いま優先すべきは「子育て支援」 第2回
経済成長を左右する5つの要因。日本が成長するための秘策とは?
【第1回】はこちらをご覧ください。
経済成長を左右する5つの要因
 安倍政権とその意向を受けた日銀による、インフレターゲットを主とした「金融政策」は、物価と賃金の同等な上昇(名目GDPの上昇)をめざす形で実施されており、今のところはうまくいっている(ように見える)。しかし、私たちの生活が物質的にさらに豊かになるには、物価の上昇以上に、賃金が上昇しなければならない。そのためには、「実質GDPの上昇」(経済成長)が必要だ。だから私たちは、もし物質的な豊かさを求めるのであれば、経済成長をめざさなければならない16。
 経済成長をめざす安倍政権の「成長戦略」は、「規制緩和などによる民間投資の促進」を主軸としている。しかし同時に、政権は、「一体改革」も並行して行うことになっている。
『g2(ジーツー) vol.13』
 では、「高齢者福祉は並レベル、子育て支援は低レベル」という一体改革は、はたして経済成長を促進するのだろうか? それとも抑制してしまうのだろうか? 抑制してしまうのだとしたら、一体改革をどう改善したらよいのだろうか?
 ここで、筆者が独自に行った統計分析の結果を紹介しよう。分析では、「経済成長率」(一人当たり実質GDPの対前年上昇率)を左右するのはどういう要因なのか、を検証した。データは、日本を含む先進18ヵ国の2000〜2009年の国際時系列データを用いた17。分析の結果、経済成長を左右するとみられる要因(の効果)として、主につぎの5つが見いだされた18。
16. ただし、「経済成長をめざすことよりも、経済が成長しない場合に備えた準備のほうを優先すべきだ」という考え方もありうる。その場合は、以下の文章を読み飛ばして、「増えてきた子どもの貧困」の節から読み始めていただきたい。

17. 人口構成や経済条件、税制、教育、社会保障、過去の経済成長率をコントロールした(一部は前年値や前々年値を使用)。推定法は、年ダミーと国特有線型時間傾向を含む一階階差の動学的一般化積率法推定(各独立変数の「逆因果による内生性」は操作変数によってできるかぎり除去される)。データは、OECD, .Stat, 2013とWorld Bank, World Development Indicators, 2013。「Sarganの過剰識別制約検定」の有意確率は0.79、「Arellano-Bondの系列相関検定」の2次系列相関の有意確率は0.75となったため、「一定条件下での操作変数の不適切性」や「誤差項の系列相関」は差し当たり見られない。

18. ただし、あらゆる統計分析と同様に、「逆の因果」や「第三変数による擬似相関」は含まれうる。有意水準は1%。本文に挙げた5要因については、日本ダミーとの交互作用効果を検定し、日本において5要因の有意傾向が打ち消されないこと確認した。また5要因の他にも、「前年の一人当たりGDP上昇率−」「(同年の)年少人口割合−」「個人所得税・社会保険料の累進性+」「児童一人当たり初等教育支出+」「前々年の学生一人当たり高等教育支出+」「年金以外の高齢者福祉現金給付+」「高齢者福祉現物給付(主に介護)−」「障害者福祉現金給付−」「遺族福祉現物給付+」「住宅補助−」といった要因が検出された。「−」は経済成長率を有意に下げ、「+」は有意に上げることを示す。なお障害者福祉・遺族福祉・住宅補助は、貧困者の生活保障として機能する限りは、削減すべきでない。
(1)「政府による老齢年金支出19」が増えるとき、(同年の)経済成長率が下がる
 この傾向には、つぎのような擬似相関や因果関係が含まれている可能性がある20。
 まず、退職者が増えれば、老齢年金(日本では国民年金・厚生年金・共済年金)の給付額が増えると同時に、労働力人口が減る(または新規採用・中途採用が増えて労働生産性が一時的に下がる)ことで、経済が停滞してしまうと考えられる。よって、退職者数という第三変数によって、老齢年金と経済成長率との間に「擬似相関」(直接の因果関係に拠らない相関)が生じうる。
 しかし擬似相関だけでなく、因果関係も含まれている可能性がある。まず、老齢年金が減れば、高齢者労働力人口が増えることにより、経済成長率が上がる可能性がある21。
 また、老齢年金は、その年の現役世代から年金保険料として徴収され、その年の高齢者に給付される(賦課方式22)。その際、給付額の一部は、現役時代の所得に比例しているため、老齢年金は「富裕層」により多く給付される。富裕層(=高資産)の高齢者は、一般的に消費性向23が低いだろう。その結果、現役世代が消費するはずだったお金の一部が、高資産高齢者の貯蓄や海外投資などに回ることになり、結果として消費が鈍ってしまうだろう。これも、経済停滞の一因になると考えられる24。
(2)(保育サービス拡充などによって)「女性労働力率25」が上がると、翌年の経済成長率が上がる
 女性が働くようになると、労働力人口が増えるとともに、家事関連産業の市場も拡大するだろう。また、第三次産業化と市場流動化が進んだ今日では、人材の多様性が重要であるため、女性の労働参加は、人材多様性を高め、労働生産性を高めるだろう26。その結果、経済が成長すると考えられる。
19. GDPに対する比率(%)。以下の支出も、とくに注記のない場合は、すべて対GDP%である。

20. ただし、「経済成長率が上がると、GDPが増えるため、GDPに対する老齢年金支出の割合は小さくなる」という逆方向の因果関係が(分析過程でできるだけ除去したがまだ)含まれている可能性もある。注17を参照。

21. 年金受給額が小さい高齢者ほど就労する傾向があることは、すでにミクロ統計分析によって示されている(清家篤・山田篤裕「引退決定過程に及ぼす社会保障・雇用制度の影響にかんするハザード分析」『三田商学研究』第41巻第4号、1998年。山田篤裕・清家篤「高齢者の再就職過程に及ぼす社会保障・雇用制度の影響」『三田商学研究』第44巻第1号、2001年)。ゴールドマン・サックスの推計によれば、2025年までに日本の女性労働力率が米国の水準にまで上がると、それによって潜在GDP成長率は1.2%から1.5%にまで上がり、さらに男性退職年齢を60歳から70歳へ引き上げれば、同成長率は1.6%にまで上がるとみられる(The Goldman Sachs Group「ウーマノミクス――日本の含み資産」2005年、5、14〜15頁)。実際に欧米では年金支給開始年齢を、アメリカでは67歳に、イギリスでは68歳に、ドイツでは67歳に引き上げる予定である。

22. 現役世代が主に支払う社会保険料が、同時期の社会保険給付としてすぐに使われる方式。その逆が「積立方式」(各世代内で社会保険料を積み立てて、積立金はその世代のみに対して給付される方式)。

23. 可処分所得のうち消費に使われる割合。一般に、富裕層よりも貧困層のほうが消費性向が高い。2009年の総務省「全国消費実態調査」データでは、高齢世帯は現役世帯よりも消費性向が高いが(内閣府『地域の経済2011』第3章第3節参照)、富裕層の高齢者は、消費性向が子育て世帯一般よりも低いと考えられる。

24. 理論的な経済モデルによっても、「就業人口の増加率が利子率よりも低いならば」(日本では2000年代が該当)という条件つきではあるが、「老齢年金保険料が増えると家計消費や資本蓄積が減る」というメカニズムが指摘されている(小塩隆士『社会保障の経済学[第3版]』日本評論社、2005年、123〜130頁)。

25. 労働力人口(被用者+失業者)に占める女性労働力人口の割合。

26. 日本企業でも、女性の人材活用が進んでいる企業ほど、生産性が高い傾向にある(川口章「女性の離職率・均等度・企業業績」労働政策研究・研修機構編『仕事と家庭の両立支援にかかわる調査』、2007年。山口一男「労働生産性と男女共同参画」RIETI Discussion Paper Series 11-J-069, 2011)。またIMFの世界経済見通し(WEO)の推計によれば、日本の女性労働参加率がG7レベル(日伊以外)にまで上がれば、一人当たりGDPは恒久的に約4%増、北欧レベルにまで上がればさらに4%増となり、潜在的GDP成長率はそれぞれ0.2%増、0.4%増となるとみられる(C. Steinberg and M. Nakane, “Can Women Save Japan?" IMF Working Paper, 2012)。
(3)「児童手当」が増えるとき、経済成長率が上がる
 子育て世帯は、子育てをしていない高所得世帯よりも、消費性向が高い。よって、児童手当によって、高所得世帯から子育て世帯に所得が移転されると、消費が増え、市場が活性化する。その結果、経済が成長すると考えられる。
(4)「自殺率27」が高まるとき、経済成長率が下がる
「経済成長率が上がると(失業が減るなどして)自殺が減る」という「逆の因果関係」が想定できるかもしれない。しかし、筆者の分析では、逆の因果関係はできるかぎり除去してある。また、自殺率の規定要因を分析してみると、経済成長率は自殺率に対して(偶然を上回る)効果を示さなかった28。そのため、逆の因果関係よりもむしろ、つぎのような擬似相関や因果関係を想定する必要がある。
 まず、自殺率は、「社会環境・労働環境の悪さ」を反映しているだろう。そのため、社会環境・労働環境が悪化した場合には、自殺率が上がると同時に、労働生産性が下がり、経済が停滞してしまうと考えられる(擬似相関)。また、自殺者が増えると、就業人口やその家計所得が減るため、GDPの増加が鈍ってしまうとも考えられる(因果関係)29。よって、自殺予防のために、社会環境や労働環境を改善することは、労働生産性の上昇と自殺率の低下を経由して、経済成長率の上昇につながると考えられる。
(5)「政府による開業奨励金支出」が増えると、翌年の経済成長率が上がる
 開業奨励金によって開業がしやすくなり、多様な働き方が容易になると、労働力人口が増え、労働生産性も高まるだろう。それにより、経済が成長すると考えられる。
 統計学的に推定すると、経済成長率に対するこれらの要因の「効果」30が、「ただの偶然」によって生じた確率は、わずか1%未満だった。つまり、それらの「効果」は、少なくとも2000年代の先進諸国では、「ただの偶然」によってではなく、「何らかの因果関係」によって、生じていたと考えられる。そのため、今の2010年代においても、これらの要因は、ひきつづき経済成長率を左右する可能性が高いだろう。
 では、2000年代の日本では、これらの要因は、それぞれどの程度、経済成長率を左右したのだろうか? そこで、各要因の影響規模を、各要因のデータと効果(係数)から計算して、グラフにまとめてみよう。図4がその結果だ31。
27. ここでは、高齢化の影響を取り除くため、「人口の年齢構成を統制した自殺率」を用いている。

28. 筆者の分析による。なお、自殺率に対して有意な効果を示したのは、「離婚率+」と「職業訓練支出−」であった。詳細は別の機会で紹介したい。

29. 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、「日本の自殺者数が、2010年から10年間、1997年以前の水準(年間2.1万人)で推移するならば、2000年代水準の3万人で推移する場合と比べて、(就業人口や家計所得が増えることなどにより)GDPは10年間累積で約4兆6千億円増える」という(金子能宏・佐藤格「自殺・うつ対策の経済的便益(自殺・うつによる社会的損失)の推計」2010年)。

30. ただし上述のとおり、この「効果」には「擬似相関」や「逆の因果」も含まれうる。

31. 経済成長率は「一人当たり実質GDPの対前年上昇率%」。分析方法は注17と注18を参照。1%水準での有意係数とすべての年ダミーの係数を使って、予測値を計算。前年値と実測値の相関係数は0.62なのに対して、予測値と実測値の相関係数は0.94。
図 4 日本の経済成長率(%)の要因分解(2002〜2009年)
「その他の要因」「中所得者税率」以外では、「老齢年金」「高齢者福祉現物給付(介護など)」「女性労働力率」が、経済成長率に比較的大きな影響をもたら していると考えられる。そして、そういったいろいろな要因の影響を加算して得られる「予測値」は、実際の経済成長率(実測値)にかなり近く、一定の説明力 を発揮している。
 図4での棒グラフは、各要因によって生じたとみられる「経済成長率の上昇幅または下降幅」を計算し、棒の中に積み上げたものだ。「上昇幅」は「0」よりも上方向に積み上げ、「下降幅」は「0」よりも下方向に積み上げている。
 また、それらの積み上げの合計値(上昇幅−下降幅)を「予測値」といい、点線の折線グラフで描いている。実際の経済成長率は「実測値」といい、実線の折線グラフで描いている32。
『g2(ジーツー) vol.13』
 この2つの折線グラフを見れば一目瞭然だが、各要因から計算された予測値は、実際の経済成長率(実測値)にかなり近くなっている。つまり、各要因は日本の2000年代の経済成長率を、かなり説明できるということだ。
 この図4によれば、先述の5つの要因のなかでは、日本の経済成長率への影響規模は、(1)(老齢年金)が圧倒的に最も大きい。それ以外の(2)〜(5)では、(2)(女性労働力率)がやや目立つものの、現状ではどれも影響規模がまだ小さい。
 つまり日本では、女性労働参加・子育て支援(保育サービスと児童手当)・自殺予防がまだまだ小規模であるため、それらによる経済成長も、いまだ小規模なものにとどまっているとみられるのだ。
32. 棒グラフに描かれた「残差」は「実測値と予測値のズレ」。
経済成長と社会保障を両立するには
 よって、経済成長をめざすならば、社会保障については、以下のような対策を講じることができる。
 第1の策は、「消費性向の低い高資産高齢者への老齢年金給付」を、合意可能な範囲で削減することだ。筆者の分析結果によれば、「老齢年金給付」(2012年GDP比11.2%)のうち、高資産高齢者に給付している部分のうちのGDP比0.1%分(2012年で約0.5兆円、年金給付総額のたった1%)を削減するだけで(高齢者労働力人口が増えることにより、または、現役世代の消費が増えることにより)経済成長率は最大で(約)0.32%ポイント高まる計算になる。
 このGDP比0.1%分を削減するには、たとえば、「公的年金や恩給の受給者がいる2人以上世帯」のうち「住宅・宅地資産額が1億円以上の世帯」への老齢年金給付(のうちの削減しやすい公費負担部分)を、「1世帯当たり月額1万4千円」だけ削減すれば足りる33。資産総額1億円以上の高齢者は、年金を月額1万4千削減されたとしても、生活に困るほどの貧困には陥らないだろう34。
 いうまでもないが、「生活に困っている貧困高齢者への老齢年金給付」は、断じて削減されるべきでない(むしろ生活保障のためには、もっと増やす必要さえあるかもしれない)。また、「年金給付の削減」の合意形成が難しい場合は、あるいは、年金削減によって年金制度に対する国民の信頼が損なわれてしまう(たとえば国民年金の未納率が致命的に上がってしまう)場合は、年金削減は行うべきではないだろう。
 第2の策は、「子育て支援」(2012年GDP比1.0%)を拡充することだ。筆者の分析結果では、保育サービス(によって高まる女性労働力率)や児童手当に、経済成長率を高める効果が見られた。たとえば、GDPの0.1%に相当する公費(0.5兆円)を「保育サービス」の拡充に使うと、女性労働力率が0.20%ポイント高まり35、その結果、経済成長率が0.35%ポイント高まる計算になる。ただ他方で、保育サービスと女性労働力率の上昇によって、合計特殊出生率は0.005ポイント(よって年少人口割合が約0.011%ポイント36)高まり、その結果、経済成長率が約0.08%ポイント下がるとみられる37。そのため、それらを総合すると、経済成長率は(0.35−0.08=)0.27%ポイント高まるとみられる。
 なお、上記の策によって高まる女性労働力率「0.20%ポイント」は、(2012年の統計では)女性労働力人口「23万人」増に匹敵する。これは、一体改革で解消しきれないとみられる(潜在的)待機児童「20数万人」にほぼ等しい。したがって、一体改革で解消しきれない待機児童を、さらなる子育て支援拡充(0.5兆円分)によって解消すれば、経済成長率は0.3%ほど高まるとみられるのだ38。
33.「全国消費実態調査」(2009年)と「国民生活基礎調査」(2009年)の結果から推計。本来は、資産額として「住宅・宅地資産額」ではなく「金融資産額」を使って推計すべきと考えるが、後者のデータを充分に得られなかったため、次善の策として前者のデータを用いた(以下でも同様)。

34. ただし実際には、行政が個人の資産を正確に把握することは困難であるため、「厚生年金や共済年金の給付額に応じて基礎年金給付額を減額する」などの方法が必要かもしれない。また、削減の合意を得るのが難しければ、たとえば、「国難を救うボランティア」として、年金給付を一部寄付(返納)できる制度を創設したらどうだろうか。そして、国民を救うことへの謝意の公的な表明として、寄付者には「天皇陛下(または内閣総理大臣)からの感謝状」を送付したらどうか。高齢者にとって、たいへん名誉なボランティアとなり、寄付者は多数出てくるのではないか。

35. 筆者の分析による(詳細は別の機会で紹介したい)。

36. 2010〜2019年各年の「高位出生率−中位出生率」から「出生高位年少人口割合−出生中位年少人口割合(ともに死亡中位)」を単回帰分析で予測する回帰係数2.5(p<0.001、R2=0.88)に基づく。データは、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」。

37.「年少人口割合が高まると経済成長率が下がる」という傾向については、注18を参照。

38. なお、みずほ総合研究所の試算では「学童保育待機児童50万人が学童保育所に入れば、その母親たちが働くことにより、GDPは0.5%押し上げられる」とされており(「学童保育も足りない もう一つの待機児童問題、共働き阻む 潜在需要「50万人」」『日本経済新聞』2013年7月8日)、本分析の結果はこの試算と整合的である。
 以上2つの策を単純に組み合わせると、「高資産高齢者への老齢年金給付」をGDP比0.1%分だけ削減し、それによって浮いた公費を「保育サービス」に充てれば、女性労働力率が高まることで、経済成長率は最大で(0.32+0.27=)0.59%ポイント、少なくとも0.27%ポイント高まる計算になる。
 あるいは、年金削減を行わない場合は、「保育サービス」の追加財源を、「消費税の増税」や「相続税・贈与税の増税」によって得ることもできる。とりわけ後者の場合には、高資産高齢者の消費を促す効果も期待できるため、一石二鳥だ。2012年度の相続税・贈与税の合計税収は1.5兆円39だから、GDP比0.1%分(0.5兆円)の追加税収を得るには、税率を(2.0÷1.5=)1.3倍に高めればよい。2013年税制改正の相続税増税は1.2倍の増税に相当するから40、1.3倍も不可能ではないだろう。そしてその場合でも、保育サービスの拡充によって、経済成長率の0.27%ポイント上昇を見込むことができる。
 もちろん、実際に起こる現象は、以上の予測よりもはるかに複雑だろう。以上に挙げた数字は、あくまで一定幅の誤差を伴う推定値にすぎない。しかし、程度の差はあるにせよ、子育て支援の拡充によって経済成長率が高まること自体は、充分に想定できるのではないだろうか41。
 筆者が主張したいのは、「高資産高齢者への年金給付をほとんど削減せず、かつ、子育て支援をほとんど拡充しない」という一体改革は、経済成長のチャンス(の少なくとも一部)を自ら手放しつづけるに等しい、ということだ。もし経済成長を求めるならば、高資産高齢者への年金給付を合意可能な範囲で削減し、かつ、子育て支援をできるかぎり拡充すべきである。
 他にも、経済成長のためには、「女性労働力率を上げる」「自殺率を下げる」「開業奨励金を増やす」といった対策が考えられる。筆者が現時点で得ている分析結果によれば、女性労働力率を上げるには、「公的な保育サービス」が有効だ42。また自殺率を下げるには、「公的な職業訓練サービス」が有効である43(これらの詳細は別の機会で紹介したい)。また開業奨励金については、そのまま政治的合意にもとづいて増額すればよいだろう。
39. 財務省「相続税の課税割合及び相続税・贈与税収の推移」。

40. 2013年税制改正の相続税増税(「税率引き上げ」ではなく「徴税範囲の下方拡大」だが)によって見込まれる税収増加分は、0.3兆円である。つまり、税収は1.2倍に高まると見込まれている(財務省「平成25年度税制改正の大綱(5/5)」)。

41. ただし長期的には、高齢者率の上昇によって、年金積立金がいずれ枯渇してしまう危険性が残る。そのため根本的には、できるだけ早めに、年金制度の「賦課方式から積立方式への切り替え」を検討すべきかもしれない。現役世代に「二重の負担」が生じないかたちの切り替え方法も、すでに具体的に提案されている(鈴木亘『年金問題は解決できる!』を参照)。

42. 日本国内の個人データ(1998年国民生活基礎調査)を分析した先行研究でも、保育に使っている費用(の推定値)が小さいほど、また、居住県の認可保育所在籍率(対就学前人口)が高いほど、母親の就労確率が(有意に)高いことが示されている(大石亜希子「保育サービスの再分配効果と母親の就労」国立社会保障・人口問題研究所編『子育て世帯の社会保障』東京大学出版会、2005年、175頁)。また、日本を含む先進諸国の国際時系列データを分析した先行研究においても、公的保育サービス支出が25〜54歳女性のフルタイム就業率を上げることが示されている(A. Bassanini and R. Duval, “Employment Patterns in OECD Countries," OECD Social, Employment and Migration Working Papers 35, 2006, p.83, Table 2.1, Model 5)。なお同研究では、児童手当が25〜54歳女性のフルタイム就業率を下げることが示されているが、筆者の分析では児童手当は女性労働力率に有意な効果を示さなかった。

43. 日本の都道府県間時系列データを分析した先行研究でも、職業訓練を含む「失業対策・行政投資・生活保護」への支出が65歳未満男性自殺率を下げることが示されている(澤田康幸ほか『自殺のない社会へ』有斐閣、2013年、155〜156頁)。また、EU諸国の国際時系列データを分析した先行研究でも、職業訓練を含む積極的労働市場政策への支出が65歳未満自殺率(の失業率上昇時に伴う上昇)を抑えることが示されている(D. Stuckler et al, “The Public Health Effect of Economic Crises and Alternative Policy Responses in Europe," Lancet 374, 2009, p.320)。
〈第3回につづく〉
『g2(ジーツー) vol.13』86〜104ページより抜粋(一部改稿)
柴田 悠(しばた・はるか)
社会学者。1978年生まれ。京都大学で学士号・修士号・博士号を取得後、日本学術振興会特別研究員PDを経て、現在、同志社大学政策学部任期付准教授。 立命館大学大学院政策科学研究科等でも教育に従事。専門社会調査士。専門は社会保障論、親密性論、近代化論。近刊『比較福祉国家――理論、計量、各国事例』(鎮目真人・近藤正基編著、ミネルヴァ書房)で「イベントヒストリー分析――福祉国家の変容に関する因果分析」を担当。


『g2(ジーツー) vol.13』
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09. 2013年7月16日 09:36:17 : niiL5nr8dQ
 
柴田 悠経済の死角
2013年07月12日(金) 柴田 悠
いま優先すべきは「子育て支援」 第1回
日本の社会保障の不都合な真実。高齢者福祉は並レベルなのに、子育て支援は低レベルのまま。
 安倍政権の金融政策が成功してもしなくても、私たちは今後、金融政策の「次」の選択を迫られる。つまり、「これからどのような社会をつくっていくのか」「そのためにどのような戦略を立てるのか」を、私たちは選択せざるをえなくなる。それが、今後の政治の根本的な争点となるはずだ。

 では、どういう選択をすると、どういう社会が到来する(と想定できる)のだろうか?

 その答えは、さまざまな統計データを分析すれば、おぼろげながら見えてくる。本稿では、そうやって見えてくる「いくつかの選択肢」と「それらがもたらすであろう未来像」を紹介し、今後の政治のための判断材料を提供したい1。

 何も想定しないままの選択は、必然的に「想定外」の事態を招いてしまう。筆舌に尽くし難い原発事故を経験した私たちにとって、「想定外」はもう十分なはずだ2。

避けられない「世界一の高齢化」

『g2(ジーツー) vol.13』
 私たちが「選択できること」を探るためには、はじめに「選択の余地がないこと」=「必ず起こること」を確認しておく必要がある。

 私たちにとって「選択の余地がないこと」の最たるものは、「世界一の人口高齢化」だ。国連の推計によれば、日本の「高齢者率」(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、すでに世界一になっているし、今後も半世紀ほどは世界一でありつづける3。また、日本政府の推計によれば、今後たとえ「子育て支援の拡充」などによって出生率が上昇したとしても、高齢者率は2038年に33%を超え、2049年からは36%以上で高止まりする。要は、「3人に1人以上が高齢者」という未曾有の事態が、遅くとも25年後からずっと、この国を襲いつづけるのだ4。

1. もちろん、あらゆる統計分析と同様に、本稿で紹介する筆者の分析もまた、改善の余地がある(たとえば「独立変数の内生性」や「媒介変数バイアス」など)。本稿をきっかけとして、より精緻な分析が行われていくことを、筆者は切に望んでいる。なお、筆者の分析の詳細については、紙幅の都合上、別の機会に紹介したい。

2. 原発事故もまた、社会的な選択が引き起こした出来事だ。詳しくは、柴田悠「リスク社会と福島原発事故後の希望」大澤真幸編『3.11後の思想家25』左右社、2012年を参照。

3. 日本の高齢者率は、2005年にイタリアを抜いてからずっと、世界記録を更新している。そしておそらく2060年ごろにボスニア・ヘルツェゴビナに抜かれるまでは、世界一のままだ。United Nations, World Population Prospects, the 2010 Revision, 2011を参照。

4. 高齢化が最も緩やかな「出生高位・死亡高位」の場合。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」を参照。なお「現役世代/高齢世代」もまた、2049年から定常状態(1.47以下)になる。
 高齢化が進めば、当然ながら年金や介護といった「高齢者向けの社会保障費」が膨張する。年金・介護・医療のために日本政府が使うお金の量は、毎年、どんどん増えていく(図1)5。そのため政府は、社会保険料や税率を引き上げざるをえない。その分、国民の生活は苦しくなる。

図1 日本政府の支出と収入(対GDP%)
社会保障支出(棒グラフの絵柄部分)は、2012年には、GDP比25%にまで達した。それは、税・社 会保険料の収入を、それだけでほぼ全て使い果たしてしまうほどの大きさである。またそのうち、主に高齢者向けの「年金・介護・医療」だけで、GDP比 20%もの大きさとなっている。
 では、国民の生活は、実際にはどの程度苦しくなるのだろうか?

 そこでポイントとなってくるのが、2012年から実施され始めた「社会保障と税の一体改革」(以下「一体改革」)だ。ごく大雑把にいえば「消費税を今後5%増税し、その税収を財源として、社会保障を充実化・効率化・安定化させる」改革である。政府公報オンラインによれば、消費税5%増税分(13.5兆円)のうち、1%分(2.7兆円)を「医療介護・子育て支援・年金の充実」に、残りの4%分(10.8兆円)を「社会保障の安定財源」に充てる、としている。

賃金の25%が年金保険料に
 しかし、もしこの「一体改革」が予定どおりに進んだとしても、私たちの生活は、結局苦しくなる。政府の社会保障費は、少なくとも2025年までは毎年3兆円ずつ増えていく6。その分、社会保険料や消費税率も引き上げられ、私たちの生活費を圧迫してくるからだ。

5. 一般政府(中央政府+地方自治体)の領域別支出と税・社会保険料収入(対GDP%)。2009年までは実測値で、OECD, .Stat, 2013より作成。2012年以降は「一体改革」を実施した場合の推計値で、厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計の改定について(平成24年3月)」、5頁より作成(「その他の社会保障」と「社会保障以外の一般政府支出」は2009年の値が続くと仮定)。

6. 厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計の改定について」、5頁。「2025年改革後給付費148.9兆円−2012年給付費109.5兆円」÷13年間=3.03兆円/年。
 ここで具体例として、会社員が加入している「厚生年金」のケースを見てみよう。経済学者の鈴木亘氏の推計によると、厚生年金の積立金をなんとか2100年までは枯渇させないためには、「一体改革」に沿った消費税増税だけでは、政府収入が全然足りない。

 消費税増税に加えて、「賃金(人件費)に占める年金保険料の割合」を、2012年度の16.8%7から2035年度の24.8%にまで、引き上げる必要があるとみられる。しかもそうやって徴収された年金保険料のうち、老後に老齢年金給付として戻ってくる総額の割合は、1990年生まれの世代では68%、2010年生まれの世代では62%にすぎない8。

 賃金の実に4分の1が年金保険料として徴収された上、将来はそのうちたった6割しか戻ってこない。もちろん、その年金保険料に加えて、健康保険料や所得税なども徴収され、消費税は10%。そんな苦しい時代が、22年後に到来する。もしあなたに今、幼い子どもや孫がいるならば、彼らが子育てを始めるころには、すでにそのような時代になっているはずだ。

 しかしあなたは、こう思うかもしれない。

「消費税増税分の一部は、子育て支援に使われる。その分、今よりも子育てをしやすくなっているのではないか。しかも子どもの数は減っていく。ならば、子育て環境は今よりもずっと良くなるのではないか。」

 たしかに、消費税増税によって、子育て支援も拡充される。しかしその拡充の「量」は、消費税5%増税分のうちのたった0.3%分(0.7兆円)である9。子育て支援の予算は、2012年度の4.8兆円から、2015年度の5.5兆円へ増えるにすぎないのだ。

 0〜2歳児の認可保育所の(潜在的)待機児童(2008年約59万人、2012年約50万人)は、安倍政権が一体改革に沿って認可保育所定員を今後40万人分増やすことで、2017年にはほぼゼロになるとされる10。しかし待機児童は、3〜6歳児においても、2008年で約26万人、2012年で約20万人存在している11。そしてこの3〜6歳児の待機児童については、具体的に減少する見込みはない12。2017年になっても待機児童はまだ10万人単位で残ってしまうとみられるのだ。 

7.「被用者が生んだ付加価値(=賃金=人件費)100%」=「雇用主負担の年金保険料8.4%」+「被用者負担の年金保険料8.4%」+「被用者の手取給料83.2%」。雇用主負担分は、人件費からほぼすべて捻出されているため、実質的に年金保険料の一部。ただし、流動性の高い非正規雇用の場合は、状況が異なりうる(鈴木亘『年金は本当にもらえるのか?』筑摩書房、2010年、100〜107頁)。

8. 鈴木亘『年金問題は解決できる!』日本経済新聞出版社、2012年、55、83頁。

9. 消費税増税分の残りの12.8兆円(4.7%分)は、「高齢化に伴う社会保障費の自然増(7兆円)」「基礎年金国庫負担割合2分の1(2.9兆円)」「医療・介護の充実(〜1.6兆円)」「年金制度の改善(〜0.6兆円)」などに使われる。厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」(2012年3月)、9頁。

10. 厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」、11頁。「保育所定員40万人増 首相表明 女性の力活用うたう」『朝日新聞』2013年4月19日。

11. 厚生労働省「新待機児童ゼロ作戦に基づくニーズ調査〈調査結果〉」(2009年)、22〜23頁。「「保育所使いたい」 潜在待機児童85万人 厚労省調査」『朝日新聞』2009年4月8日。厚生労働省「保育所の状況(平成20年4月1日)等について」「保育所関連状況取りまとめ(平成24年4月1日)」。厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」、11頁。

12. もし具体的な減少の見込みがあるなら、厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」でその推計値がアピールされているはずだが、そのようなアピールは一切見られない。
「子育て支援」は低レベルのまま
 では、日本の子育て支援の「支出額」は、先進諸国の中ではどのくらいのレベルなのだろうか。そこで、他国と比較するために、支出額の単位を、比較可能な単位に揃えてみよう。ここでは、OECD(経済協力開発機構)のような国際機関が最も頻繁に使っている単位に替えてみる。それは、「国内で生み出された富(国内総生産=GDP)に対する比率(%)」という単位だ。この比率は、いわば、「子育て支援のために国内の人々が富を分かち合った程度」を表している。さらに、より厳密な比較のためには、「子ども人口の大きさによる影響」を取り除く必要があるため、この比率を、「子ども一人当たりの比率」に変換する。こうして最終的に、単位は「子ども一人当たりの子育て支援支出(一人当たりGDPに対する%)」となる。この単位に揃えた上で、国際比較の棒グラフを作成すると、図2のグラフになる13。

図2「子育て支援」の支出レベル(2009年)
日本の「子育て支援」の支出レベルは、先進国平均の約半分にすぎない。「一体改革」後の2015年、2025年になっても、先進国平均の「6割」にしか達しない。
 このグラフを見ると、先進国の最新データが揃っている2009年時点で、日本の子育て支援のレベルは、先進14ヵ国平均の約半分にすぎない。「一体改革」が実施された後の2015年と2025年の日本のレベルも、計算してグラフに加えた14。改革後でも、日本のレベルは、2009年先進国平均の「6割」程度である。日本政府による子育て支援は、一体改革が実施されたとしても、結局は低いレベルにとどまりつづけるのだ。

13.「子ども人口」は、国際比較データが最も揃っている「年少(15歳未満)人口」とした。データはOECD, .Stat, 2013とWorld Bank, World Development Indicators, 2013。

14. 計算は厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計の改定について」、5頁に基づく。
「高齢者福祉」は先進国平均を維持
 では、高齢者福祉はどうだろうか。図2と同様の方法で計算したグラフが図3だ 15。2009年時点で、日本の高齢者福祉は、すでに先進国の平均レベルに達している。日本は、高齢者率が世界一になり、その財政負担は危機的であるにもかかわらず、先進国平均の高齢者福祉を実現しているのだ。一体改革後の2025年になっても、2009年先進国平均の実に「9割」の水準を維持している。高齢者福祉については、おおむね先進国並みの支出をしているといえる。

図 3 「高齢者福祉」の支出レベル(2009年)
日本の「高齢者福祉」の支出レベルは、すでに先進国平均に達している。「一体改革」後の2025年になっても、先進国平均の「9割」を維持している。
 したがって、一体改革の実態(の少なくとも一つ)は、ありていにいえば、「先進諸国の水準で見て、高齢者福祉は並レベルを維持しましょう。子育て支援は低レベルに据え置きましょう」ということなのだ。

 では、「高齢者福祉は並レベル、子育て支援は低レベル」というこの一体改革は、日本社会にどのような影響をもたらすのだろうか? 

 そこで以下では、一体改革がもたらす諸々の影響について検証しよう。まずは、「経済成長」に与える影響を分析し、一体改革の抱える経済的問題とその解決策について考える。つぎに、「機会の平等」に与える影響を検討し、一体改革の倫理的問題とその解決策を考える。

15. OECDの社会支出分類における「高齢期のための社会支出」。ここには「医療支出」は含まれない。日本の将来推計では「老齢年金支出+老齢介護支出」を計上した。データは図2と同じ。
〈第2回につづく〉
『g2(ジーツー) vol.13』86〜104ページより抜粋(一部改稿) 


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