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デフレ下の労働の自由化の悲劇
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投稿者 一言主 日時 2013 年 7 月 19 日 10:44:22: AlXu/i8.H/.Es
 

デフレ下の労働の自由化の悲劇1

デフレ下の労働の自由化は、一言で言うと、低賃金化を滑らかに推進し、失業者を増大させることである。
こんなことをして一体どうするのだろうか。

正規社員をやめさせ易いようにする。限定社員を設ける。など労働市場の流動化、自由化を図る政策が行われようとしています。

こういう考え方も自由化がどんな場合にも最も経済的であるという間違った考えに基づくものです。

アダムスミスの見えざる手がうまく機能するのは、正常な経済だけなのです。アダムスミスやケインズは、正常な経済状態だけを基礎にして理論を築きました。

しかしそこには、貨幣が生産能力に対して著しく多い状態のインフレ市場や生産能力に対して貨幣の量が著しく少ないデフレ市場への考察がないのです。

そのためアダムスミスの放任主義的な自由経済を、デフレ市場やインフレ市場に応用すると、劇薬になる事もあります。

なかでも賃金という重大な生産要素は、他の製造要素と異なり、生活を維持できないほど低下すると、大きな問題を引き起こします。

正常な経済においても、放っておけば、経営者が強くなりがちであるため、労働組合や、最低賃金制などが生まれたのです。

インフレやデフレ経済では自由化による放任主義で、見えざる手はうまく機能しません。見えざる手は、所得線が45度の角度にあり、需要と供給の均衡が取れている場合にのみ有効に機能します。

しかしそれ以外の所得線が45度以下のデフレ状態や、45度以上のインフレ状態ではうまく機能しません。
正常な状態の時、需要と供給が均衡しているため、効率の悪い企業や、不必要になったものが滑らかに市場から退出し、その分新しい企業や、物が増えます。
自由化や、規制緩和などはこのような新陳代謝を滑らかにする機能を持っています。

自由化には、直接、需要と供給を均衡させたり、企業を淘汰したり、起業する機能はありません。ただ滑らかに時間的に早くするだけです。

古い効率の悪い産業をなくし、新しい、効率の良い産業を作る機能がある分けではありません。
ただその移行や推移が滑らかになり、理論の方向に近づき易いだけです。

そこのところを理解していないから勘違いな政策が生まれるのです。

自由化や規制緩和をすればあたかも自律回復の市場に戻るかのようです。

確かに国内企業の内需関連の企業は、輸入品の安さに負けないよう、必死で生産コストを下げようとしています。外需関連の輸出企業も同じです。発展途上国との競争のために低賃金労働者を求めています。

大幅に賃金の総額を減らそうとして、派遣を増やしたり、非正規労働者の比率を増やしています。
少しでも海外勢に対抗するため、国内企業は生産コストを切り詰めています。

そのため国内生産を活発にするためにも、また輸出企業の競争力を上げるためにも、もっと労働賃金を安くした方がよい。そのためには、法律をゆるめて、自由化しよう、そうすれば国内で生産が活発になり、デフレから脱出できるだろう。

これが今の自由化を標榜する人達の考えなのです。一見よいように見えますが、これが根本的に間違っているのです。デフレの罠にまんまと嵌まってしまうのです。

このような考え方こそ、デフレを永遠に続かせ、より深刻化させ、日本を破綻させる方向へ動かしているのです。
自由化より何よりも、実体経済を縮小経済から拡大再生産に持っていくことが第一にすべきことなのです。

デフレ下では、需要より供給が著しく多い所得線が45度以下のものです。需要と供給が不均衡な所得線が支配する市場です。このような時、自由化や規制緩和が行われると、ますます市場の縮小がスムースに行われ、崩壊の危機が増して行きます。

そのため労働の自由化が、デフレ下で行われると、企業の売上減や、利益率の低下と共に、賃金の低所得化が滑らかになり、加速されます。

要するに規制緩和や、自由化などは、より効率のよい市場経済を作るものです。それが正常な市場であれ、デフレ市場であれ、インフレ市場であれ問いません。

デフレ下では、その縮小生産の循環がより滑らかになり、経済の縮小が早まるだけなのです。

これは、日本を限りなく低所得にし、できるだけ早く、新興国と賃金の上で競い合えるようにすることを画策していることになります。貧窮促進政策を取っていることになります。

しかしこれは馬鹿げた発想であり、取り返しのつかない社会の崩壊をもたらします。経済学者は、机上の理論も間違っている上さらに、どのような現象が社会に具現化するかも分かっていません。

日本の多くの地場産業が、なくなり、経済のよって立つ基盤が崩壊するため、賃金が新興国並になっても、産業基盤が崩壊しているため、もはや太刀打ちできない状態になるのです。

新興国はなるほど低賃金かもしれません、しかしその低賃金は他の資産、サービス、納税システムなどとあいまって、整合性が取れているのです。

しかし日本のような先進国が低所得化していくと、他の資産、サービス、公共料金、医療費、税金などとの整合性が破壊され、ある一定の所得を基礎としていた、社会システムが崩壊してしまうのです。その典型が年金システムです。

年金システムは、経済が縮小循環に有る限り維持できません。

小泉政権下で、派遣法を変えた結果は皆様ご存じの通りです。非正規社員の増加は、所得の低下を促しました。それに経済がより活発になったでしょうか。国内は余計に疲弊したのです。単に効率よくデフレが推進されたのです。

もしこの時、正社員の自由化もなされていれば、もっと厳しい低所得化がなされていたはずです。

デフレと正常な経済の一番の違いは、新陳代謝が行われるか否かの違いです。正常な経済の場合、古いものや効率の悪いものがなくなり、それに代わる新しいものが生まれます。自由化はそれを滑らかにします。

デフレの場合、古いものや、効率の悪い物を壊して無くしても、新しいそれに代わるものが生まれません。どんどん減少していくばかりなのです。不良在庫や、失業者がどんどん増えて行きます。それが自由化でより一層進みます。


デフレ市場は、所得線が45度以下に下がっており、需要が常に供給を下回っている経済です。
そのため常に供給量を全部買うことができず、不良在庫が残ります。経済が縮小しています。
原因は市場の資金が不足しているため、(これは生産者側への資金ではなく主に消費者側)働いて得た付加価値が正当に評価されず、低資金量に応じて分配されるため、賃金が低くなります。

一人当たりの名目GDPが世界で20番以降に、恐らく今は30番当たりをうろうろしているのだろうか。最近のメディアこの辺を一向にアナウンスしませんが、デフレ下の労働の自由化の弊害はここに一番現れています。

私は労働の自由化が悪いと言っている訳ではありません。これが正常な市場で行われていれば、自由競争の恩恵を受けていたでしょう。

例えば、今とかく議論されているブラック企業なども正常な経済であれば、自由化が、このような企業の退潮をもたらし、より良い待遇の企業へと、人材が動いて行きます。

しかしデフレ下では、ブラック企業化がどんどん進行しており、労働者もそれに応じて、低賃金で長時間労働せざる負えないのです。労働待遇の良い企業の方が市場から脱落して行くのです。

正常な市場での自由化は、付加価値の高い仕事を生み出す労働者は、より高賃金で雇われ、そこそこの労働者はそれなりに働きに応じて、賃金を得ることになります。ここに自由化を促す理由があるのです

しかしデフレ下では、付加価値に見合った賃金が得られず、経済の縮少に連れて、付加価値の高い労働をしている労働者だけでなく、そこそこの労働者も、低い労働者も、より割安の賃金を得ることになります。


私はデフレ市場で自由化することを非難しているのです。しかも現在の政府関係者は、生活保護所帯の給付を減らすことを考えています。デフレの労働の自由化は、さらなる低所得化を生み出し、生活保護所帯を増やします。

そのうえ、生活保護所帯の給付を減らそうとしています。まさしく貧民作り、それから身ぐるみをはぐようなことを考えています。

デフレの自由化は、労働賃金をどんどん効率的に低下させ、民間の競争経済から除外されている公務員との賃金格差をより激しくします。

デフレ下では、労働者は低賃金になったため、生活を維持するためより多く働こうとします。低賃金で労働時間が長くなります。これがデフレの普通の労働条件です。いわゆるブラック企業が当たり前なのです。

デフレ下の労働曲線は右下がりになっています。(賃金を縦線に、労働量を横線に取った場合。)

このような場合、規制緩和や、自由化を推進すると、低賃金化が用意になり、製品価格に反映され、労働者はますます企業の言いなりになって行きます。

特に現在の政策のものすごく悪い点は、政府などがリベート(雇用調整金等)を出して、企業が労働者の雇用を増やせばその分補助金を出すというやり方です。

おまえ何を言ってるんだと思われるかも知れませんが、この方法が余計にデフレを促進しています。

企業は余計に人員を雇ってしまうのです。それが余計に物を作り、一人辺りの付加価値を減らしているのです。

企業への雇用促進のための補助金は、企業の生産過剰を生み出し、低価格競争に拍車を駆けます。

現在の労働の自由化を問う人達は、企業が余計に余剰労働者を雇っているということを問題にします。その通りなのです。大問題です。しかしこの解消方法が、デフレでは全く逆向きなのです。

デフレ下の企業では、労働者は低賃金にもかかわらず、企業にへばり付いています。辞めるとより悪い賃金への企業への就職が確実なためです。

デフレ下の労働の自由化は、無理やり労働者を引きはがす物です。ある大企業にも首切り推奨部門があるようです。それほど今は、会社を辞めればほとんどが、今まで以下の賃金になります。労働者はへばりつきます。

思い出してください。金融機関だけを優遇し、貸し剥がしを助長した政策を。金融機関にだけ資金を注入し、不良債権処理をできなかった金融機関が強くなり、貸し剥がしという不良債権処理を行った結果、地方経済、地場産業は、大きく損なわれました。

貸し剥がしを受けた企業の倒産は、なんら新規の企業を生む事なく、減少し続けているのです。未だにその過程にあります。

今度は労働者と一蓮托生を覚悟していた企業だけを、法律的に優遇し、労働者を切り捨てることになります。労働者の切り捨ては、生活保護所帯をより増やし、低所得化を促します。

それは、社会全体により負担を増やし、消費を減少させるため、経済はますます悪くなります。

限定社員や正規雇用の流動化は、企業だけを優遇するものです。しがみつく労働者を雇い剥がし、企業だけが生き残っても、デフレ下では、結局、労働者の購買力の低下を招き、より一層経済が収縮します。

デフレ下で銀行だけを優遇した政策は、貸し剥がしが横行し銀行の回りの昔なじみの企業が倒産し、地域経済が破壊されました。

今度は企業だけを優遇し、なじみの古参の労働者を引きはがし(雇い剥がし)するのです。銀行がしがみつく企業を切ったように、しがみつく労働者を企業が切るのです。

限定社員などは、企業に都合のよい、地域経済の破壊に多いに貢献するでしょう。企業だけを守るものです。
しかしそのようなやり方は、デフレでは、労働者のさらなる低賃金を招き、全体の消費が悪くなり、経済がより縮小して行くことになります。デフレの労働の自由化とはこういうものです。


今回も、労働者に対し企業は、退職金や一時金などの甘言を用いてやめさせようとするでしょう。

結局、一時的に企業が得をし、労働者が損をするが、経済全体も落ち込むのでどちらも損をすることになります。デフレ循環の強化に手を貸すことになってしまいます。

もしこのような労働政策が成長戦略として採用されるなら、阿部首相が企業に賃金アップを要請したことと全く逆の政策を取ることになります。

また、現在の雇用促進策(雇用調整金なども含む)と、労働の自由化策を取ることも全く矛盾した政策になります。(雇用を増やせば雇用調整金などの補助を企業に与える、自由化は雇用の削減を求める。)

この辺に阿部黒ミクスが如何にいいかげんなものであるかがはっきりと分かるでしょう。デフレに対するスタンスが分かっていないのです。どちらにも向いているのです。


そうではなく、デフレ下の労働政策は、雇用保険による雇用手当を拡充し、延長する事が重要になります。雇い剥がしではなく労働者が自ら会社から離れるような仕組みが大切なのです。雇用手当が拡充していると、企業も労働者を切り易くなります。

デフレが解消するまで、すなわち再び拡大再生産をし始めるまで、雇用手当を満額、すなわち辞めた時と同等の金額を支払い、それをデフレ解消まで続ける必要があります。

これは、デフレ解消の船中8策の中で、述べたことですが、雇用手当を満額支払うこと、デフレが解消されるまでそれを続ける事が重要です。

このようにすると、企業は労働者を辞めさせ易くなります。そして余剰要員を一掃できます。労働者も、辞めても今の所得が保証されるなら、しがみつきません。遊んでいても給料が保証されるからです。

所得が下がらなければ、当然全体の消費も下がらず、企業の売上も下がりません。労働者を辞めさせた分だけ、経営効率が上がります。
消費が一定ならば当然全体の付加価値が増えることになります。

これが雇用保険の満額支払いと期間の延長の真の意味なのです。デフレ解消策とはこういうものなのです。
デフレの解消が軌道に乗った時に、雇用保険の満額支給や延長を徐々に止めていけば良いのです。


デフレの解消は、消費者の購買力を引き上げるような、負担軽減などを大幅に行ったり、資金を直接消費者側に投入するような施策を打つことにより、消費額を増やすことが重要なのです。

世界と競争することではありません。低賃金競争すれば日本は、さらにデフレが深刻になり破綻します。
日本は新興国ではないのです。同じレベルでは借金を返せないのです。

中国と同じような賃金になれば、今までの医療システム、保険制度が維持できません。年金システムも破綻します。

デフレ下で労働を増やすことは、生産量を増やすことを意味しています。消費額の方が少なくなっているデフレ市場で、生産量を増やせば、ますます不良在庫が残っていくか、あるいは、価格を安くして、売り急ぐことになります。

それは結局単位当たりの付加価値を減少させ、賃金を低下させるのです。、
デフレ下での生産の増大は、収穫逓減の法則が働き、一単位当たりの利益額、付加価値が低下します。

規制緩和、自由化はこの原理をより忠実に実現させるものです。

世間一般では自由化は、景気の拡大を促し、自律的な市場経済を実現させるように思われています。しかしこれは間違いです。経済原理をより滑らかにするものなのです。

デフレ下では、より一層経済縮小を速やかにするものです。低賃金化による生活保護所帯を増やすものです。

一言主
http://www.eonet. ne.jp/~hitokotnusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
 

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コメント
 
01. 2013年7月19日 17:14:33 : nJF6kGWndY

>デフレ下の労働の自由化は、一言で言うと、低賃金化を滑らかに推進し、失業者を増大させること

アホか

日本の失業率の推移を、賃金が硬直化した南欧と比較してみろ


02. 2013年7月19日 18:23:23 : mUeSQTAbSY
寺島さん、その通り。

ブラボ〜!

∞X∞


03. 2013年7月19日 23:37:00 : FTX65edjLg
>01
馬鹿か

日本の失業率のカウントは都合のよい甘々。
欧州レベルの換算した場合、日本は10%超えるだろ!


04. 2013年7月20日 09:37:04 : nJF6kGWndY

>>03

バカか
自分で調べろ


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