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アベノミクスL創造的破壊と掃除破壊
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/471.html
投稿者 安心革命 日時 2013 年 8 月 01 日 20:47:15: dhwFOFH76mN9w
 

 H男が来た。

 H男「先生、この前の借金棒引き党、面白かったです。今日も、なにか面白い話、ありませんか」

 安心「そんなにあるものか。まじめな話ならあるよ」

 H男「ええー」

 安心「今日は質問するぞ。第一、江戸時代といえば……」

 H男「鎖国でしょう」

 安心「鎖国と言っても、中国やオランダとは貿易していたよ。経済学で見ると……」

 H男「ええーと、独占、そうでしょう」

 安心「その通り。幕府の貿易独占。オランダは儲かったよ。当時、日本は世界有数の金、銀の産地だったからね。オランダはポルトガル、スペインの後、ヨーロッパで一番豊かな国になったよ。日本との貿易を独占したから

では、第二問。参勤交代は」

 H男「大名が江戸とお国を行ったり来たりする。街道が繁栄する。分かりました。公共事業。大名が農民から税金を取り、年に二回、行き来して消費する。つまり、現在の道路建設ではなく、旅籠や出店にお金をばらまく」

安心「第三問。幕府が財政難になり、小判を改鋳する。純度の高い小判を半分にして小判二枚にする。100%に近い金貨を五〇%近くにする。こうして幕府は二倍お金を手に入れる」

H男「先生、それ今の日銀のしていることでしょう。国債買って、市場にお金を供給する。そのお金は政府の財政に回る。政府はいくらでもお金を使える」

 安心「よくわかっている。人々は純度の高い小判を隠し、低い小判を使う。日銀が紙幣を刷りまくるとインフレになるから、モノに代える。株に代えてもいいが暴落したら困る。土地も同じ。それでは金が安全かな、というように、金(キン)を買って隠す。今も江戸時代も同じ。

第四問。今度は、政治。現在、日本は民主主義国家だ。選挙で国会議員が選ばれているが、これを逆に、江戸時代の人が見たらどうなる」

H男「そうですね……ちょっと待ってください、今の安倍総理と言い、麻生副総理と言い、親や祖父や一族が政治家という人が多い……。世襲というか、アッわかりました、大名制度、藩政」

 安心「その通り。江戸時代と同じ。世襲政治家がほとんどだ。江戸時代の人は民主主義など知らないが、世襲であることはわかる。だから大名制度。

 福沢諭吉先生のお父さんは有能だった。それでも出世しない。アホな家老の息子が親の名前で出世する。福沢先生は、こんな制度はやめてしまえ、掃除破壊が必要だと、心の中では思っていたが、幕臣だから討幕にも参加せず、次の時代の若者の教育を行った。これが慶応義塾だ」

 H男「先生、掃除破壊、覚えていますよ。それと似ているのはシュムペーターの創造的破壊。携帯電話などの新しいものが出ると、公衆電話などの古いものを追い出す。イノベーション、つまり技術革新が経済発展の原理」

 安心「よくわかっている。経済発展の原理は創造的破壊、政治発展の原理は掃除破壊」


(政治の分野に投稿しています。

麻生発言「ヒットラーの手口に学べ」―ドイツの後を追う日本 (安心革命)

を読んでいただけたら幸いです)

 

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コメント
 
01. 2013年8月02日 02:25:05 : niiL5nr8dQ


安倍首相がなかなか消費増税を決めないワケ

財務省の増税願望と、リフレ派に広がる慎重論の相克

2013年8月2日(金)  磯山 友幸

 消費税率の引き上げを巡る議論が激しさを増してきた。安倍晋三首相は「経済状況を見極め判断する必要がある」と繰り返し表明、10月頃まで最終判断しない姿勢を崩していない。判断先送りは参議院選挙での争点化を恐れてのことと見られていたが、参議院選挙で大勝した後も明言を避けている。

 首相周辺の「リフレ派」ブレーンが増税による景気への影響を懸念する発言を繰り返していることから、安倍首相が増税慎重論に傾いているのではないか、という見方も広がっている。一方、財務省は何としても悲願の増税を予定通り実施したい考え。麻生太郎副総理兼財務相なども予定通りの引き上げを支持している。今後、政権内でも立場の違いが鮮明になってくる見通しだ。

最終決断は10月に

 7月27日、訪問先のフィリピンで記者会見した安倍首相は、財政再建のための中期財政計画を8月に策定すると明言したが、その際、「消費税引き上げを決め打ちするものではない」と語った。財政計画を作る段階で来年4月の増税を織り込めば、10月を待たずに増税にゴーサインを出すことになる。そうはせずに、あくまで最終判断は10月にするということを強調したのである。

 消費税は2014年4月に現行の5%が8%に引き上げられ、2015年9月に10%にすることが決まっている。民主党政権が自民党・公明党との3党合意によって成立させた「社会保障・税一体改革関連法」に時期と税率が明記されている。

 ただ、法律には「景気条項」と呼ばれる附則が付いており、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と書かれており、その判断を下すのが10月と言われているのだ。附則には「施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認」することが明記されている。

 アベノミクスの第1の矢である「大胆な金融緩和」を主導してきた浜田宏一内閣参与(エール大学名誉教授)は、繰り返し増税が景気に与える影響の大きさを指摘。増税時期の先送りや1%刻みでの引き上げなどが好ましいとする発言を繰り返してきた。

 安倍首相がリフレ政策を信奉するに際し、影響を与えた1人として知られる高橋洋一・嘉悦大学教授も、「上昇している飛行機が逆噴射するようなものだ」として増税の影響の大きさを指摘している。アベノミクスによって、ようやくデフレマインドから脱却しつつある中での税率引き上げは、消費を一気に冷やし、景気回復を失速させるというわけだ。

 年明け以降、百貨店売上高はプラスに転じ、6月にはスーパーの売上高も大きく増えるなど、消費に火がついた感はある。だが、多くの識者が指摘するように、本物の景気回復による消費増というよりも、株高やデフレ脱却ムードによる消費増の色彩がまだまだ強いのは事実だろう。そんな中で、消費税率が上がれば、一気に消費が萎む可能性は十分に考えられる。

 そんな中、大手メディアは、安倍首相が、消費増税について複数の案を想定して経済への影響を検証するよう指示した、と報じた。新聞の中には「税率の引き上げ幅や時期に関して検証する」と書き、増税先送りが本格的に動き出したように報じたところもある。浜田氏らが主張する税率を1%ずつなだらかに上げる案も検討対象になる、と報じられた。

「やっと増税法案が通ったのに…」

 こうした増税反対論の台頭に神経を尖らせているのが財務省だ。「やっと増税法案が通ったのにここで延期を許したら、際限なく延期が繰り返されて税率引き上げが実現できなくなるのではないか」。財務省の中堅幹部はそんな懸念を口にする。

 もちろん、現職の財務相である麻生太郎・副総理は、「消費税を上げる方向で、予定通りやりたいと思っている」と財務省を後押ししている。また、経済再生担当相として司令塔役を担う甘利明氏や、茂木敏充・経産相も、増税は国際公約だなどとして、予定通りの税率引き上げを支持している。

 そんな中、東京都内で7月29日にあった日銀の黒田東彦総裁の講演が大きな話題になった。黒田氏は消費増税について、「2段階の引き上げによって日本経済の成長が大きく損なわれることにはならない」と述べたのだ。4月に「異次元緩和」を打ち出しアベノミクスを支えている黒田氏が、増税しても景気に影響を与えないと発言したのは大きい。

 財務省の幹部などは膝をたたいてうなづいた。言うまでもなく黒田氏も財務省出身者。何としても消費税率を引き上げたい財務省の意向を忖度したということなのだろうか。

 安倍首相が判断を先送りしているのは、市場への影響を恐れての事だと言われる。実際、黒田氏の発言が伝わった株式市場では日経平均株価が大幅に下落した。まだ多くの投資家はアベノミクスの成否に確信を持っていない。6月に発表したアベノミクス3本目の矢である「成長戦略」でも、斬り込み方が不十分だとの見方が広がり、一時株価が大きく下げた。

 消費の盛り上がりなどアベノミクスの効果が出始めたと見られる中で、消費増税を明言した場合の市場のショックを懸念しているというのである。こうした懸念は菅義偉官房長官も共有しているという。菅氏は安倍内閣の中でも最もリフレ派ブレーンの主張に耳を傾けている閣僚のひとりだ。

消費増税をめぐる決断を政局に?

 安倍氏が仮に、浜田氏らの言を入れて、消費税の実施時期を見直す決断をした場合、閣内での主張は対立し、政局に発展する可能性が高い。財務省など霞が関との緊張も一気に高まる。法律に明記された実施時期をずらすには新たな法律を国会で通す必要があるが、自民党内で意見が割れれば、長期政権と目されている安倍内閣が瓦解することになりかねない。

 安倍首相が現実路線を取るとすれば、株式市場に与える影響を小さくするためにギリギリまで判断を先送りし、最終的には予定通り増税する道を選ぶのではないか。

 ただ、回復しかけた景気を消費増税が直撃する可能性もある。景気回復ムードが一気に萎み、デフレからの脱却に失敗した場合、アベノミクスへの失望が広がることになる。そうなれば、安倍内閣への国民の支持も急落し、内閣は瓦解する。

 それを避ける手は何か。消費増税で国民から吸い上げることになる分を、財政出動として国民に戻すことしか方法はないだろう。2番目の矢である「機動的な財政出動」をさらに積み増すということだ。そうなれば、財政支出の増大こそが景気回復のカギだと、かねて主張している麻生副総理との関係も維持できる。

財政支出では都市部住民に恩恵少ない

 問題は、消費税増税の影響を受ける「消費者」に、財政出動で資金を戻すことができるかどうかだ。「国土強靭化」などで自民党議員が熱望する公共事業の積み増しなどでは、地方の建設業者などに恩恵が集中し、都市を中心とした消費者に恩恵が行くのには時間がかかる。

 また、農業などへの補助金増も都市部の住民には恩恵を与えない。現在、百貨店売上高の高い伸びを支えているのは都市部の消費が中心だ。都市サラリーマン層の税負担増を相殺できるような財政支出はなかなか見当たらない。

 法人税を引き下げ、その分を給与の引き上げに当てるよう経営者に求める手もある。だが、消費税率上げと法人税率下げの組み合わせは野党の強い反発を招くうえ、財務省自身が難色を示す公算が大きい。

 予定を見直すにせよ、予定通り税率を上げるにせよ、安倍首相には厳しい局面が待ち受けている。

このコラムについて
磯山友幸の「政策ウラ読み」

重要な政策を担う政治家や政策人に登場いただき、政策の焦点やポイントに切り込みます。政局にばかり目が行きがちな政治ニュース、日々の動きに振り回されがちな経済ニュースの真ん中で抜け落ちている「政治経済」の本質に迫ります。(隔週掲載)

リーダーは「300年後」を想像せよ

危機時のリーダー、コマツの坂根相談役が未来を斬る

2013年8月2日(金)  篠原 匡

 6月の株主総会で取締役を退任したコマツの坂根正弘相談役。2001年に存亡の危機にあったコマツの社長に就任すると、山積する経営課題に敢然と立ち向かい、コマツを世界に冠たるグローバル企業に生まれ変わらせました。
 その経営改革の本質は現状の正確な把握にあります。絡み合った問題を解きほぐし、問題点を見抜く。そのうえで、必要な改革は躊躇なく断行する。「見える化」と「リーダーシップ」こそ、坂根氏の真骨頂だったと言えるでしょう。
 この7月に、坂根氏は自身の経営手法をまとめた『「経営」が見える魔法のメガネ』を上梓しました。その出版記念講演が7月26日に目黒雅叙園で開催されました。その一部をここに公開いたします。日本企業が抱える構造的な要因は何か、50年、100年先の世界はどうなっているのか、その中で日本は何をすべきなのか――。日本が世界に誇る経営者、坂根相談役の言葉に何かを感じていただければ幸いです。
 今日は『「経営」が見える魔法のメガネ』という私の本の出版記念ということになっております。実は私、ひんしゅくを買っています。過去に、『ダントツ経営』という本を出したのですが、自分で自分のことをよくダントツと言うな、と経営者仲間のひんしゅくを買いました。そうしたら、この書籍のタイトルを見た人が、「坂根さん、そこまで言うか」と言っておりまして・・・。

 実は、この本は『日経ビジネス』の「経営教室」という連載を1つにまとめるということで、私も原稿をチェックして本にしました。タイトルはお任せしましたところ、なんと、私もさすがにここまで不遜なタイトルは付けなかったのにな、というタイトルでした。


1941年島根県出身。63年大阪市立大学工学部卒業、小松製作所(コマツ)入社。89年に取締役、コマツドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長などを経て2001年に社長に就任した。2007年に会長、2013年4月から相談役。コマツを世界的な高収益企業に変えた。 撮影:北山宏一
 タイトルと中身が果たして合うのかどうかは分かりませんが、私も去年まで年間100回の講演をこなしてきました。ただ、去年のうちから今年6月の総会で取締役を退くことを決めていましたから、総会以降は受けないと伝えてありまして、来月以降はほとんど入っておりません。これからは本も出さないと思いますし、講演回数も少なくなると思いますから、今日は最後の講演だと思って力を入れてお話いたします。

 最近は講演会をやっても聴講者の細かい属性まで知らされませんから、どんな仕事をされている方が中心なのかということが頭にないと、話すポイントが定まらないんですけれども、どんな仕事をされていても自分で何かヒントを得てやろうと思って聞けばヒントはありますし、まるで違う世界の話だなと思って流して聞けば何のヒントもないわけで。私は目いっぱいしゃべりますから、あとは皆さん側の聞く責任で、1つでも糧にしていただいたらなと思います。

建設鉱山機械が売上高の9割を占める

 今日のお話の内容ですが、コマツのことを簡単に紹介した後で、世界がどんな変化をしているか、というグローバルな話をしようと思います。

 まず、コマツの紹介ですけれども、今年92歳、石川県の小松市でスタートしたので小松製作所と名づけられました。創業者は吉田茂元首相の一番上のお兄さん、竹内明太郎という方でした。この人は早稲田大学の理工学部を作った方であるとともに、日産自動車の「ダットサン」を作った1人としても知られています。田健治郎の「D」、青山禄朗の「A」、竹内明太郎の「T」でDATSUNですね。当時にしては工業に、あるいは技術に非常に熱心だった人です。

 売り上げは2兆円前後、営業利益も2013年3月期で2116億円と、利益率が10%を超えていますから、日本の製造業ではそこそこのレベルになっております。主力の建設鉱山機械が9割弱を占めており、世界の主要市場で満遍なくビジネスをやっています。

 次に商品紹介ですが、売り上げの半分が世界1位商品、2位まで入れて85%前後です。意外かもしれませんが、建設鉱山機械に次ぐ事業の柱である産業機械にも1位が多いですね。

 私が2001年に社長になった時にはいろいろな事業をやっていましたけれども、世界1位か2位、あるいは1位か2位になれる商品、事業以外は全部やめると宣言をしました。建設機械も細かく言えば750種類ぐらいありましたけど、そのうちの半分は日本でしか売れない商品です。日本のお客さんは非常に細かいことを要求されますから、日本でしか売れない特殊な仕様をいっぱい作っちゃうんですね。

 私もブルドーザーの設計者からスタートをしていますから分かりますが、10台作るものも、1万台作るものも設計者の負荷は基本的に一緒。こんなことをやっていたのでは世界競争に勝てないというのでやめる決心をしました。


「経営」が見える魔法のメガネ
坂根相談役が「見える化」の極意を語った
 今日、お越しになっている皆さんの中に経営のトップの方がどれだけおられるかは分かりませんが、今日の話はトップリーダーの話です。私はボトムアップという言葉を使いませんので、ミドルアップ、ミドルダウンと言いますが、この国は課長さんクラスが支えてきました。国でいえば官僚です。その課長さんが、あるいは官僚が動かしている組織は右肩上がりの時が一番いいんですね。なぜなら、部分最適の集合が全体最適だから。みんなが部分部分で頑張れば全体最適になったんです。

 ところがデフレになり、成熟市場になると全体最適と部分最適の集合が合わなくなります。その時に、トップが全体最適を常に頭に置いてぶれない覚悟を持たないと、部分最適につい振り回されちゃうと。それがこの国のこれまでの状況だし、多くの企業の現状だと思いますね。私は、政も官も民もトップが全体最適の確信をしっかり持ってやるべきことをやれば、必ず世界でもう一度リーダーになれると思います。

「私は時間軸を一桁長く見る」

 世界がどんな変化をしているかという話をこれから始めますが、私は普通の人が考える時間軸を一桁長く見ます。2〜3年先を20〜30年先、5〜10年先を50〜100年先、20〜30年先を200〜300年先に変えますと、たぶんこれだけは間違いなくこうなっているなというのが見えてきます。それが国のリーダーも経営者も常に頭の基軸にあるべきだと思っています。

 まず20年、30年です。過去30年、建設鉱山機械から見た世界がどんな変化をしたかを見てみましょう。建設鉱山機械市場を北米、欧州、日本、中国、それ以外にわけると大きな流れが見えます。

 1989年、1990年を見ると、世界の建設機械の4割が日本で売れました。この狭い島国で世界の4割ですよ。まさに不動産バブルのなせる業です。

 一番の恩恵にあずかったのは我々の業界でしたが、それだけにその後はひたすら右肩下がりでした。だから、早く海外志向をせざるを得なかった。日本のバブルがはじけた後、世界の建設機械の中心は中国とその他の国に移りました。日本に関して言えば、建設機械の需要が2010年に底を打っていることが明るい兆しです。

 次にお金の流れで見ても同様で、70年代のオイルショックでは、産油国にお金が流れ込みました。その後、1983〜84年頃に産油国バブルが終わり、北米で住宅バブルが起きました。それがはじけた頃に1989〜90年の日本のバブルですね。その当時は北米の経済がメチャクチャ悪い時期で、米国政府は日本に内需を拡大しろ、と圧力をかけ続けました。

 そして、日本のバブルが崩壊すると、新興国にお金が移りました、中国も1990年代に外国からの投資が始まります。ところが、1997年にアジア通貨危機が勃発。これがはじけると米国のIT(情報技術)バブルが始まりました。その後、ITバブルがはじけると、中国にお金が向かいますが、これも2004年4月で1回はじけます。それからは米国で住宅金融バブルが起きましたが、リーマンショックで再び破裂、その後は中国が世界経済を1国で支えてきました。その中国が大きく調整しているのが今の姿です。

日本経済の命運は次の5年で決まる

 このように、世界経済はバブルの生成と崩壊の連続でしたが、1つ言えることは20世紀に中心だった日米欧から新興国を中心とした時代に移っているということです。自動車も電機も基本的には一緒です。

 私は、向こう5年間くらいはリーマンショックの後悪化しすぎた先進国、中でも日本と米国がいいと思っていますが、そうは言っても、このトレンドを忘れてはダメです。今は米国市場がいいのでまた米国に投資せよという意見も聞きますが、必ず新興国時代が続いているということを頭に置かないと、必ず将来、また悔いを残すことになります。

 ちなみに、日本にとってはこの5年が勝負です。89、90年の日本のバブル経済を牽引した団塊の世代の子供が40歳に近づいています。再び40歳前半の大きなかたまりが向こう5年間にやってきます。ここが日本経済を再生させる最後のチャンスです。従って、アベノミクスを上手くやれば、極端なことを言うと今回は近くに成長するアジアの存在もあるので、バブルだって起きかねないほどのポテンシャルを持っていると思います。

 次に50〜100年です。ここでのポイントは人口と都市化です。我々日本国民は政府から都市化という話を聞かされたことがない。この国の一番の問題はここなんですね。世界は多くの国民にできるだけ街に集まってもらって、上下水道、ガス、道路、そういったものを極力ミニマムなお金でやろうというのが常識なんですけど、日本の場合には地方で2〜3軒離れたところに家があっても、そこに上下水道を引く、道路を引く、これを延々とやり続けてきました。

50〜100年のポイントは「人口」と「都市化」

 世界は今、人口70億人の人口を抱えていますが、わずか110年前の1900年は16億人なんですね。2000年前は2億人です。1900年かかって、2億人が16億人に増えたのに、その後の100年で一気に50億人増えたんですね。これは産業革命と化石燃料の登場です。エネルギーがふんだんに開発され、生活がものすごくエネルギーを使うようになったので豊かになって、医療も発達して人口が増えた。これはあと50年続きます。

 一方の都市化ですが、先進国で都市化率が一番低い国は日本です。これだけ多くの借金を重ねた1つの理由として、この国がものすごく都市化率で遅れてしまったことがあげられます。さらに、現時点で都市化率が低いインドや中国、その他の新興国で都市化が進むと何が起こるか。資源、エネルギー、食糧、水、地球環境、医療――。こういったものが長い将来にわたって世界共通の課題になるでしょう。

 日本にいますと高齢化の話ばっかりしますけど、65歳以上の人口比率は24%です。それでは、世界の国々はいつ日本並みになるか。一番早いのがドイツ、イタリアで10年後です。隣の韓国は我々と似ていますけれども、15年後。中国、米国、英国は30年後、40年後です。「高齢化社会に合わせた社会にすれば世界の課題解決型国家になれる」なんて言っている先生もいますけど、そんなことでこの国は成長を取り戻せません。周りに中間層がどんどん増え続けるポテンシャルは、あと30年続くわけで、その勢いを日本の成長に取り入れない限りだめだということですね。

 次、200〜300年です。地球誕生後の46億年を1年のカレンダーにしてみますと、12月31日まで人類は登場しません。恐竜は12月15日に生まれて25日に絶滅しました。我々人類は直立二足歩行の猿人から数えてもわずか8時間。我々のようなホモ・サピエンスは、まだ23分しか生きていません。23分しか生きてない我々ホモ・サピエンスが、0.7秒(100年間)で爆発的に人口が増えて、エネルギーを使いまくっているんです。じゃあ、あとどれだけ化石燃料は持つんですか。これが次の話です。

化石燃料は“2秒後”になくなる

 物の本によると石油があと42年、天然ガスが60年、シェールガスは100年、石炭133年、原発の原料のウランは100年で枯渇するといわれています。ただ、資源価格が上がったり、採取する技術が進歩したりすれば、もっと需要は伸びるという意見もあります。だけど一方でアフリカ大陸の人が我々のような生活をすることをまだ頭に置いてないわけですよね。

 アフリカ大陸の人までが、我々のようなエネルギーを使いまくるということを考えたら、そんなに長くないと思うんですが、100歩、200歩譲って、200年持ったとして1.4秒、300年持ったとして2.1秒です。やることは決まっているんです。今の化石燃料の使用量をセーブして新たな資源を見つける、その勝負しかありません。

 ここで原発の話をしますが、原発に関するご意見を聞いていると、3つあります。1つ、「被災者があんな状況で何が原発再開だ」と。私も2年たって、あんな状況はひどすぎると思います。私もその意見には同意します。

 2つ目、「去年の熱い夏を原発2基で乗り切った。だから原発はいらない」という意見です。確かに乗り切りました。ですけど、その結果として何が起こっているのか。

 3・11の前に日本の総電力量の62%が化石燃料でしたが、今は約90%です。電気を約90%化石燃料で起こしている国は、少なくとも先進国には1カ国もありませんし、あの中国もそんなに使っていません。世界一、化石燃料を使いながら発電をしているということを前提に結論を出していいんですか。

 化石燃料が無尽蔵にあれば、日本では原発をやめることが正解かもしれませんが、地球カレンダーでは間違いなく、あと2秒後にないんですよ。2秒っていつですか。私に4歳の孫がいますけど、彼の孫の時代です。彼の孫って本当に近未来じゃないですか。その後世にどんなエネルギーを残してあげられるか自信を持って言えないのに、こんな危ないものを残したくないという論理で化石燃料を消費することには、私はまったく納得いきません。

行動が伴って初めて知識は磨かれる

 今、この国のリーダーがやるべきことは、いかに化石エネルギーを確保し省エネで使い続けるか、です。もちろん、世界一の省エネ技術を磨く、再生可能エネルギーを思い切ってやるといっても、化石燃料全ての代替は無理です。

 では、あとはどうするんだというと、代替エネルギーを見つける以外にありません。おそらく100年後なら核融合という手もあるでしょう。再生エネルギーも今のような技術ではダメなので、より技術を進化させる必要があります。私がリーダーであれば、そういった代替エネルギーを見つけるまで原発を稼働させてくれと言いますね。

 福島第一原子力発電所はたまたま40年たった一番古いものだったんです。本当にたまたまなのかと思って、私は専門家に聞いたんですね。いろいろと話を聞いてみたら、最新のものだったら起こっていなかったかもしれません。

 40年前の建設機械と今の建設機械を比べたら話にならないですよ。自動車だってそうです。原子炉だって本当は比べものにならないはずなんですね。定期点検で常に改修していますから少しはよくなっていますが。

 どうしてこの国って悪いもの探しをするんだろうな、思います。もっといいもの探しをして、より安全なものから動かしながら早く画期的なエネルギー開発に全力を挙げると。たぶんそれは30年、50年かかりますよね。国のリーダーたる者は、そのぐらいの長い道筋を国民にどうして訴えないのかなと思います。

 講演ではコマツの企業改革について詳しくお話ししましたが、Web版では詳細は述べません。『「経営」が見える魔法のメガネ』に詳しく書いているのでそちらをお読み下さい。今日のお話が本当に魔法のメガネであったかどうかは皆さんの評価に任せますが、私が自分でタイトルを付けていたら、こんな不遜なタイトルは付けませんよ(笑)。

 ただ、今日私が話したことは、ものの経済学とかビジネススクールに出てくる本に書いてあるようなことはしゃべっていません。すべて自分で経験したことです。私の好きな言葉は「知行合一」。知識と行動が合わさって1つということです。

 行動を伴わない知識というのは絶対に身に付かないし、行動を伴って初めて知識は磨かれてくる。また一段と高い行動に移れるということだと思います。私は『ダントツ経営』と『言葉力が人を動かす』という本を出しておりますので、こちらの方も併せて読んでいただいたらと思います。

 私はこの5年が日本の正念場だと思います。この5年間で本当にこの国は政権が安定して、必死でトップダウンで取り組むことができれば大きく変われるし、できなかったらまさにギリシャになる。日本がギリシャになったら世界は大変だと思いますけど、それはあっという間に起こるんですね。

 日本売りについて、外国人が国債の7%しか持っていないから大丈夫だとおっしゃるんですけど、株式や為替市場なんてほんの1%、2%で動くじゃないですか。それが動き始めたら、自動的に九十数パーセントの人が動くわけですよ。

 だから絶対にそういう、誰かが虎視眈々と狙っている日本売りを起こさせないように、日本はやる気なんだなと思わせることが必要だと思います。いずれにしても、この国に傍観者は不要です。「政・官・学・民のすべ全てのトップが自ら隗より始めよ」で国民的運動を起こすしかありません。

このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。


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