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海洋資源大国は「幻」 質を見ねば国を誤る/インタビュー・石井 吉徳氏(東京大学名誉教授地球物理学者) 月刊FACTA 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/553.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 05 日 18:20:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130805-00000301-facta-bus_all
月刊FACTA 8月5日(月)9時11分配信


ーーメタンハイドレートやレアアース泥など、日本近海に眠る海洋資源が注目を集めています。その開発に成功すれば、日本は「海洋資源大国」になれるとの期待も膨らんでいます。

石井 私に言わせれば、海洋資源大国はまったくの幻想です。あるいは、政治家、官僚、企業、学者が一体となって作り上げた「神話」と言ってもいい。なぜなら、いわゆる海洋資源は本物の「資源」ではないからです。

日本の周辺海域にメタンハイドレートやレアアース泥が大量に存在するのは事実です。しかし、人間が有効に利用できなければ本物の資源とは呼べない。そこにあるだけなら単なる「物質」に過ぎません。

人間が有効に利用できる資源には条件があります。(1)濃縮されている、(2)大量にある、(3)経済的に採掘できる場所にある、の3つです。

ーー海洋資源はこれらの条件を満たしていないと。

石井 決定的に重要なのは「濃縮」です。再生可能な資源を除けば、あらゆる資源は地球が気の遠くなるような年月をかけて濃縮した自然の恵みです。人間はその中から濃度の濃いもの、つまり質の高いものを選んで利用しています。要するに、資源は「量」ではなく「質」がすべてなのです。

■「メタハイ」は資源ではない

メタンハイドレートは、メタンガスと水が結びついたシャーベット状の結晶です。水深500〜1千メートルの海底斜面や、シベリアの永久凍土の地下にあることが何十年も前から知られていました。しかし、低温・高圧という限られた条件下でしか存在できず、それが広大な海域に広く薄く、ばらばらに分散しているのが実態です。資源としての質は低い。

マスコミは「日本近海だけで国内の天然ガス消費量の100年分が埋蔵されている」などと期待を煽っていますが、資源の質を無視した空論です。

ーー政府は4月に閣議決定した「海洋基本計画」で、官民一体で技術開発を進め、2023年度以降の商業化を目指すと宣言しています。

石井 どんなに技術が進んでも、元々の資源の質を上げることは不可能です。例えば在来型の海洋ガス田なら、井戸を掘るとガスが勢いよく自噴します。ところが、メタンハイドレートは固体なので、井戸を掘るだけではガスは出て来ません。井戸からポンプで水を抜き、地層の圧力を下げるとともに、熱をかけてメタンを気化させなければならないのです。

それでも、取り出せるガスは井戸の周囲の限られた量だけです。大量生産するには膨大な数の井戸を掘り続けなければならない。水深500〜1千メートルの海洋上での話ですよ。

エネルギーの質を表す指標にEPR(エネルギー収支比)があります。生産されたエネルギー量と、それを得るために直接間接に投入されたエネルギー量の比のことで、値が大きいほどエネルギーの質が高い。一方、EPRが1を割り込むと、出力エネルギーより投入エネルギーの方が大きいことになり、資源として成り立ちません。

現在、在来型の石油や天然ガスのEPRは10〜30、非在来型のシェールガスは5程度といわれています。メタンハイドレートのEPRは不明ですが、濃縮されておらず、自噴もせず、大量のエネルギーを投入しなければ取り出せない。私はEPRは1を割り込むと見ています。だからメタンハイドレートは資源ではないのです。

ーーレアアース泥や海底熱水鉱床などの金属資源はどうですか。

石井 本質はエネルギーと同じです。南鳥島沖のレアアース泥は“高濃度”だそうですが、含有率は1%に達しません。それが水深5千メートル以上の深海底に広く薄く堆積しており、やはり資源としての質は低い。商業化は夢のまた夢でしょう。

ーー政府主導の海洋資源開発には、資源工学などの専門家もお墨付きを与えています。

■魂を売った御用学者たち

石井 政治家は人々の歓心を買うために経済成長を公約します。アベノミクスが典型です。経済成長を是が非でも実現するには、エネルギーや資源の大量投入が欠かせない。だから海洋資源大国などという「神話」が必要なのでしょう。

官僚は予算と天下り先を拡大できるし、企業は公共事業を受注できる。学者は研究費を増やせる。海洋資源開発は利権そのものであり、関係者にとってはいいことずくめ。しかし、壮大な浪費のツケを払わされるのは神話を吹き込まれた国民です。

私自身を含めて、学者は本来なら科学的に証明できる事実を語らなければなりません。ところが、最近は御用学者ばかり増えている。その構図は、根拠なき「安全神話」で国民を欺き、福島原発事故を招いた「原子力ムラ」にそっくりです。

ーー御用学者の罪は大きいですね。

石井 現役の大学教授の後輩に聞くと、国立大学の独立行政法人化(2004年)が実施された頃から、その傾向が強まったといいます。基礎研究への予算配分が減らされ、短期間で成果が出そうなプロジェクトでないとお金が付きにくくなった。研究費を継続して確保しようと、官僚や企業に魂を売るうちに、学者としての本分を忘れてしまうのでしょう。

このままでは国の将来を誤ります。もうこれ以上、国民に神話を吹き込み、子供たちに禍根を残すのはやめにしなければなりません。

(インタビュアー 岩村宏水)

--

石井 吉徳氏(いしい よしのり)東京大学名誉教授地球物理学者

1955年東京大学理学部卒、帝国石油に入社。71年東大工学部に転じ、78年教授。93年に退官し名誉教授。94年から98年まで国立環境研究所副所長、所長を務めた。「地球は有限、資源は質がすべて」を信条に、低エネルギー社会への啓蒙活動を続けている。


 

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コメント
 
01. 2013年8月05日 19:51:32 : FfzzRIbxkp
コンクリートジャングルの割合を減らして、植物のラウンドスケープで都会の治水対策しませんかぁ?

一万年使用済み核燃料をこの国の末裔は管理しなくちゃいけないので、
戦争とか、貿易摩擦で兵糧攻めに合っても、ちゃんとこの島で暮らしていけるように、環境整備しましょうよ。


02. 2013年8月06日 04:58:54 : niiL5nr8dQ
JBpress>海外>The Economist [The Economist]
石油の未来:過去の燃料
2013年08月06日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年8月3日号)

石油に対する世界の強い需要はピークに近づいているのかもしれない。それは生産者にとっては悪いニュースだが、その他のすべての人にとっては素晴らしいニュースだ。

OPEC、世界の石油需要予想を引き下げ 経済低迷で
石油の時代が幕を開けたのは意外と最近のこと〔AFPBB News〕

 石油の時代が幕を開けたのは、かなり最近のことだ。石油は、6000年前の中東で既に小舟の防水加工に使われていたが、本格的な採掘は、米国のペンシルベニア州で石油が掘り当てられた1859年になってようやく始められた。

 最初の原油は1バレル18ドル(現在なら約450ドルに相当)で売られた。それは灯油の原料として使われた。灯油は、乱獲により鯨の脂肪が不足するようになった後、人工照明の主な燃料になっていた。

 原油の精製過程で抽出されるそのほかの液体は、ランプに使うにはあまりにも不安定で煙が多すぎるので、燃やされたり捨てられたりした。しかし、不要産物だったそのガソリンやディーゼル油も、数年後に内燃機関が開発されたおかげで、無駄に捨てられることはなくなった。

 それ以来、石油に対する需要は、車や飛行機や船による移動が増え続けるのに伴い、1970年代と1980年代に2回の急激な増減があったものの、着実に増加してきた。石油の5分の3は、最終的に乗り物の燃料タンクに収まる。中国とインドの数十億人が豊かになり、自家用車のハンドルを握りたがるようになった今、大手石油会社と国際エネルギー機関(IEA)、米国エネルギー情報局(EIA)はこぞって、需要は増加し続けると予測する。

 石油大手の英BPは、2030年には需要が現在の日量8900万バレルから日量1億400万バレルに増えると推計している。

需要の減少要因

 本誌(英エコノミスト)は、そうした予測は誤りで、石油需要はピークに近いと考えている。これは、数年前に広く議論された「ピークオイル」説とは異なる。あの時は、複数の理論家が、供給が頭打ちになり、その後減少するとする予測を立てたが、彼らはそれ以来奇妙なことに口をつぐんでいる。

 本誌は、供給ではなく需要が低下するだろうと考えている。先進国では、既に石油の需要はピークを過ぎた。2005年を境に減少に転じたのだ。今後、北京とデリーでドライバーが増えることを考慮に入れても、2つの技術革新が、石油に対する世界の強い需要を鈍らせるはずだ。

 第1の革新は、つい先日亡くなったテキサス出身の米国人、ジョージ・ミッチェル氏がもたらした。ミッチェル氏は、シェール層から「非在来型」天然ガスを大量供給する方法として「水圧破砕(フラッキング)」法を推し進めた。シェール革命に加えて、膨大な在来型のガス田が新たに発見されたことにより、近年、世界の埋蔵量は50年分から200年分に増加した。

 ミッチェル氏のおかげで既に地下からシェールガスが噴き出している米国では、液化天然ガスや圧縮天然ガスが、トラックやバス、地域の配送車両の燃料として使われている。天然ガスは、船や発電所、石油化学工場、家庭用・産業用暖房システムでも、石油に取って代わる可能性がある。そうなれば、2020年には石油の需要が日量数百万バレル削減されるかもしれない。

 もう1つの大きな変化が、自動車技術の分野で生じている。エンジンと車の設計の急速な進歩が、石油の優位を脅かしている。とりわけ、内燃機関そのものの効率化が大きい。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの燃費は向上する一方だ。車体に使用される素材は、ますます軽量で丈夫になっていく。

 天然ガス車や水素燃料電池車だけでなく、電気自動車とハイブリッドカーの人気が高まっていることも、石油の需要に影響を与えるだろう。

 米シティバンクのアナリストらは、乗用車とトラックの燃料効率が年平均2.5%改善されていけば、石油の需要は十分抑えられると計算している。その予測では、今後数年のうちに日量9200万バレル弱というピークが訪れることになる。技術系コンサルティング企業の英リカルドも、同様の結論に達している。

保険金詐欺で男を逮捕、334回支払い請求 中国・深セン
中国の政策によって石油の需要は大きく変わる(写真は北京市内のラッシュアワー)〔AFPBB News〕

 当然のことながら、石油の「スーパーメジャー」やIEAの意見はこれとは異なる。両者は、新興国のほとんどでは、車の所有台数や1人当たりの走行距離で米国と肩を並べるまで、まだ長い成長期があると指摘する。

 しかし、豊かな国々の過去から、急成長を遂げているアジアの将来を推測するのは、愚かなことだ。車両の燃料効率規格を厳しくして燃料需要を減らすという欧米の環境政策は、新興国でも採用されつつある。

 中国は最近、独自の燃費規制を導入した。中国政府が輸入石油への依存度を減らすことを決意し、国内の運輸システムをハイブリッドに「跳躍」的に転換する政策を強制的に推進したなら、石油の需要はさらなる下落圧力にさらされることになる。

ピークを過ぎれば

 これと反対に、石油消費を増加させ得る要因は2つある。第1に、世界の産油量の11%を支配し、最大の余剰生産能力を持つサウジアラビアが、産油量を増やして価格を下げ、そうすることで需要を高めようとするかもしれない。しかし一方で、サウジアラビアが価格を上げようと産油量を減らし、それによりさらに需要を低下させる可能性もある。

 第2に、需要の低下が石油価格を押し下げたなら、ドライバーはガソリンを大量に食う車に再び乗り始めるかもしれない。石油が安くなった1990年代がそうだった。しかし、排ガス規制が強化されている今後は、そういうことは起こりにくいはずだ。

 石油に対する需要が安定するだけで、重要な結果が生じる。環境が少し良くなるはずだ。天然ガス車は、同等のエンジンパワーのガソリン車に比べて、二酸化炭素の排出量が少ない。

 企業の序列も変化する。現在、米エクソンモービルは米アップルと並んで世界最大の上場企業に挙げられている。しかし、エクソンモービルなどの石油スーパーメジャーは、見た目よりも脆弱だ。

 調査会社の米バーンスタインの計算では、北極などの技術的に(あるいは、政治的に)条件の厳しい環境から新たに石油を採掘するには、1バレル当たり100ドルのコストがかかる。それでも、石油大手はガス大手としてそれなりの未来を開くことができるが、これまでのような大きな収益は見込めない。

最大の影響が出るのは地政学か

 需要の低下がもたらす最大の影響は、地政学的なものかもしれない。石油は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のクレプトクラシー(泥棒政治)を支えている。主要な資金源がやせ細ってしまったら、ロシア政府はその意思を国民に強制するのが難しくなるだろう。

 サウジアラビアの王族は、高い石油価格を頼りに国家予算の帳尻を合わせ、潤沢な社会保障プログラムを提供し、他国では街頭デモを繰り広げた活動的な若い世代を懐柔してきた。サウジアラビアには莫大な財源の蓄えがあるため、しばらくは不足分を補うことができる。しかし、石油による収益が王国の国庫に流れ込む勢いが弱まれば、対立勢力を買収するのが難しくなり、社会的動乱の可能性が高まる。

 そして、米国がシェールガスによるエネルギー自給体制へと向かうとしたら、過去に支援してきたアラブの同盟国に対して将来も同じように寛大な態度を示すとは思えない。石油は、その拡大にあたって多くの紛争に油を注いできた。需要が縮小していく間も、変わらず争いに油を注ぎ続けるかもしれない。それでも、ほとんどの人はその変化を歓迎するはずだ。


03. 2013年8月06日 12:37:35 : SODBQV4bpI
帝国石油に勤めたという事は石油の利権か

一度青山博士と対談した方がいい

貴方が言ってる事と青山博士が、言ってる事は、かみ合わない

青山博士が、漁船で調べに行った時妨害にあったそうだが

石井の仲間か?

青山繁治は、好きでは、ないが

奥さんの博士は、好きだし期待してる

石油の利権の為、日本国民を不幸にするな


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