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「アマゾン」流狙いは?ワシントン・ポスト買収 (東京新聞「こちら特報部」) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/702.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 12 日 00:31:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9558.html
8月9日 東京新聞「こちら特報部」


 米国の名門紙、ワシントン・ポストの売却劇の衝撃は大きい。破格の約245億円を支払ってまで購入を決めた米ネット通販大手アマゾン・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(49)の狙いは何か。売却、身売りが続く米新聞業界の現状、そして「未来」を探った。 (鈴木伸幸、上田千秋)


 「ベゾス氏の技術と事業の才は証明されており、ポスト紙の良きオーナーになるだろう」。ワシントン・ポスト社最高経営責任者(CEO)のドナルド・グラハム氏は五日に発表した声明で、新オーナーへの期待を強調した。売却のうわさは出ていた一方、グラハム一族は絶対に手放さないだろうとの観測もあった。売却は社員にとって大きなショックで説明に涙ぐむ社員もいたという。

 ベゾス氏に二億五千万ドル(約二百四十五億円)で売却されるのは、ポスト紙の発行事業。ポスト社そのものは残り、近く社名を変更して教育関連やケーブルテレビの事業を続けていく。編集幹部や約二千人の社員は当面、解雇せず、新聞発行をそのまま続ける。
 ポスト紙は一八七七(明治十)年創刊。一九三三年以降は、地元名士のグラハム一族が四代約八十年にわたって経営を担ってきた。

 首都を本拠にするだけに政治ネタに強く、七〇年代には、ウッドワード、バーンスタイン両記者がニクソン大統領(当時)の疑惑を暴いて辞任に追い込んだウォーターゲート事件のスクープなどで名声を高めた。ただ、ネットに読者、広告主を奪われ、九三年、八十三万部を超えた部数は最近では、四十四万七千七百部にまで落ち込んでいた。今回、ポスト紙を買収する当事者はベゾス氏個人で、アマゾン社ではない。この背景を、専修大学の植村八潮教授(出版学)は「会社としての買収となると、株主への説明責任が生じる。まずは個人として動いた方が得策だと考えたのではないか」とみる。

 アマゾンは米国や欧州、日本など世界中で事業を展開し、九四年の創業からわずか二十年で年間売り上げ六百十億ドル(約六兆円)を超える巨大企業に成長した。その創業者がベゾス氏でワシントン州の小さなガレージから事業を興したことは有名だ。米国の名門プリンストン大学でコンピューターなどを学んだ後、複数の金融機関に勤務。ネットが持つ無限の可能性にいち早く気付いて書籍などの販売を始めた後も、常に新しい取り組みを続けている。

 創業の数年後から「低価格の宇宙旅行を実現する」として有人宇宙船の開発に乗り出しているほか、二〇〇七年に電子書籍端末「キンドル」を販売。植村氏は「アマゾン社の株価を維持するためにも、ベゾス氏が大きなアドバルーンを揚げないといけない時期になっていた」と買収劇をこう分析する。

 なぜ、ベゾス氏は同紙を買ったかは実はよく分かっていない。ベゾス氏にとって二百四十五億円はささいなことではないとの見方もあるが、同紙の「価値」はそんなにはないという指摘もある。

 植村氏は「ポストの持つ付加価値」が狙いという。「ポストが持っている政府とのパイプや、政治、経済などの各分野に強い記者ら、多くの付加価値や人材も手に入れた。数年先のビジネスのことを常に考えているといわれるベゾス氏のこと。単にキンドルで新聞を配信するということではなく、さまざまな事業を視野に置いているはず」との見通しを示した。

 一方、米国のIT業界に詳しい翻訳家の滑川海彦氏は「この件はむしろ売却したグラハム氏の判断が大きい。伝統あるポストは米国民全体の財産。それを後世に残すためには、今しかないとグラハム氏は考えたんだろう」。

 同紙ばかりではなく、米新聞業界には厳しい風が吹いている。米国新聞協会によると八〇年代までは全米の日刊紙発行部数は六千二百万部台を保っていたが、九〇年代以後は下降。一一年には四千四百四十二万部でピーク時(七三年)と比べて約三割、減少した。

 最大の理由は、インターネットの発達による情報入手経路の多様化だ。米コロンビア大学のマイケル・ジャドソン教授は本紙に寄せた文書で「ビジネス的には新聞の全盛期は六〇年代から九〇年代にかけて。情報伝達手段を独占して部数を伸ばし、広告収入も潤沢で、調査報道も盛んだった。ネットの誕生で独占は崩れ、〇八年のリーマン・ショックで広告減の大打撃を受けた」と分析した。

 米国では大新聞ほど経営環境が厳しい現状がある。「大新聞が強い国際や政治のニュースはテレビ局系のウェブサイトなど、新聞以外でも読める」(同教授)からだ。その中でも、ニューヨーク・タイムズは有料のネット読者を増やし、「紙とネットの融合ビジネス」で一応は成功したとされる。

 だが、その同紙でさえ、財政事情は苦しく、二十年前に十一億ドル(約一千七十八億円)で買収したボストン・グローブ紙を今月、大リーグのボストン・レッドソックスのオーナーに、その十分の一以下の七千万ドル(約六十九億円)で売却を決めた。ワシントン・ポストに続いて、「次はニューヨーク・タイムズが売却されるのでは」とのうわさも消えない。このほか、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューンを抱えるトリビューン社も経営に苦しみ、身売りの可能性がささやかれる。

 新聞不況の中、新聞社買収・売却絡みの動きはこれ以外にもある。世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社は、ここ数年、米国各地の小規模な新聞社を相次いで買収している。

 バフェット氏は五月の株主総会で「過去十五カ月に総額三億四千四百万ドル(約三百三十七億円)で二十八社を買収した」と発表した。ほとんどは競合紙のない地方紙でバフェット氏は「発行部数、広告収入は今後縮小するだろうが、市長の発言、高校フットボールの結果などの地域ニュースを入手するには、地元紙に代わるメディアはない」と説明。

 「ハイパーローカル」と呼ばれる超地域密着路線を強化する一方、ネットの有料化を進めることによって、投資に見合ったビジネスとなることを強調した。

 前出のジャドソン教授もハイパーローカル路線は「一つのあり方」と評価しつつも、ワシントン・ポストなどの大手の将来については「伝統的な新聞ビジネスは難しい」と悲観的。ベゾス氏によって同紙がどう変わるのか、見守る姿勢だ。

 一方、米メディアに詳しい慶応大学メディア・コミュニケーション研究所の河内孝講師は「ベゾス氏は従来の新聞経営者とは異なる発想があるはずで、新たなビジネスモデルが生まれる可能性もある」との見方を示した。

 日本でも米国のような新聞業界流動化の可能性はあるか。河内氏の見方は「新聞メディアの地盤沈下は先進国に共通し、なにかが起こるかもしれない」と指摘。ただし「米国の新聞社はほとんどが上場しているが、日本は非上場。しかも日刊新聞法で株式の譲渡には制限があり、日本では米国のような劇的な買収は基本的にはない」と語った。

<デスクメモ> ベゾスCEOの発言に「客はハードではなく、サービスを購入する」というのがある。理系出身者は「ハード」を重視する傾向があると思ったが、この人の発想は逆。新聞を手に入れて、どんな新たな「サービス」を展開するつもりなのか、興味深い。あっ、この人、自分と同じ学年だ。えらい差だな。 (栗)


 

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