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シェールガスと同様に"大化け"したシェールオイル (現代ビジネス) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/764.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 16 日 08:57:00: igsppGRN/E9PQ
 

ロシアでも生産・開発テストが進むシェールオイル 〔PHOTO〕gettyimages


シェールガスと同様に"大化け"したシェールオイル
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36735
2013年08月16日 現代ビジネス


文/ 野神隆之(JOGMEC 石油調査部上席エコノミスト)

「シェールオイル」とはシェールガスの石油版であるが、実は日本では少し意味合いが変化して伝わっている。

シェールオイルは文字通りシェール(頁岩)層に存在する原油成分であり、地層内での流動性が低いが故に、従来型の垂直に掘削する坑井では、坑井の近傍の資源が生産されるのみで、その周辺の資源は地層内にとどまってしまうことから、産出効率が悪い。したがって、つい最近まで生産が本格化することはなかったのだが、この部分はシェールガスと全く同じである。

では、意味合いの何が変化しているのか。日本でいうところの「シェールオイル」には、実はシェール層ではない層に存在する原油成分も含まれるのだ。例えば、砂岩の中にも原油の流動性が低い層が存在する。これは「タイトサンドオイル」(つまり、砂岩の中の隙間が狭く流動性の悪い原油成分)というべきものなのだが、日本ではこれも含めて「シェールオイル」と一括りにされてしまっている。

他方、日本以外では、頁岩であれ砂岩であれ、このような流動性の悪い地層に存在する原油成分を「タイトオイル」と呼んでおり、その中でも頁岩層に存在する原油成分のみを指して「シェールオイル」と呼んでいる。

ただ、「シェールオイル」が脚光を浴びる中で、シェールオイルがタイトオイルの大半を占めるということもあり、日本では当初、「シェールオイル」≒「タイトオイル」という認識が浸透してしまったのだ。ということで、ここでは本来「タイトオイル」と言わなければならないのだが、日本の慣習に倣って「シェールオイル」を使用することとする。

■2030年には世界生産が日量900万バレルに

さて、そのシェールオイルであるが、天然ガスと違って液体であること、そして粘性があることから、その開発・生産コストはシェールガスのそれよりも高くなっている。

シェールガスの場合、100万Btu(British Thermal Unit:英国熱量単位、1ポンドの水を1華氏度引き上げるのに必要な熱量)当たり4〜6ドル(原油換算では1バレル当たり24〜36ドル程度)と言われているが、一方のシェールオイルは、1バレル当たり40〜70ドル程度とされている。

とはいえ、現在の原油価格は1バレル当たり100ドル程度であるので、採算上は問題ない。そのためシェールオイルの生産活動は着実に進んでいる。

国際エネルギー機関(IEA)が2011年11月に発表した「世界エネルギー展望(WEO:World Energy Outlook)2011年版」では、米国のシェールオイルの生産量は日量140万バレル程度(つまり現在の日本の石油消費量の約3分の1)で頭打ちとなり、以降は減退していくと予想されていた。その結果、シェールオイルが米国の石油需給に影響を与える可能性は多少はあるものの、世界の石油需給に影響を与える可能性は殆どない、と結論付けられた。

しかしながら、前述の通り、現在の原油価格がシェールオイルの開発・生産コストを上回っていることから、開発と生産が米国各地で進んだ結果、2012年のシェールオイル生産量は推定値で日量200万バレル程度となっており、2011年11月時点でのIEAの予測を時期的に大幅に前倒ししたうえ、かつ量においても大きく上振れしている。

これを受け、世界のシェールオイルの生産量も最近、上方修正されている。IEAは2012年版WEO(2012年11月発表)で、2025年前後には日量430万バレルと当初見込みの3倍程度に上方修正しており、さらに英国の大手国際石油会社BPは北米以外でも生産が開始される結果、2030年には世界のシェールオイル生産量が日量900万バレルに到達する旨を示唆している。

このように、シェールガスだけはでなく、シェールオイルもまた"大化け"しているのである。

なお、これはシェールガスに関する説明でも触れたが、シェールオイルは、ロシア、中国、アルゼンチン、リビア、ベネズエラ等に存在するとされている。ただ、シェールガス同様、米国外においてはその賦存状況をもう少し精査しなければならない。そのうえで、開発・生産のための産業基盤を確立するのと同時に、環境面も考慮した事業を推進するための法制や税制を整備する必要もある。

このようなことから、米国・カナダ以外の諸国においてシェールオイルの生産が本格化するのは2020年前後以降になると考えられているのだが、すでにロシアではバジェノフ層というシェール層でシェールオイルの開発・生産の試みが行われるなど、多少なりとも進展が見られるようになっている。

野神隆之 (のがみ・たかゆき)
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)石油調査部上席エコノミスト。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。米国ペンシルバニア大学大学院修士課 程およびフランス国立石油研究所付属大学院(ENSPM)修士課程修了。通商産業省(現・経済産業省)資源エネルギー庁長官官房国際資源課(現・国際 課)、国際エネルギー機関(IEA)石油産業市場課等に勤務の後、石油公団企画調査部調査第一課長を経て、2004年より現職


 

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