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米国で住宅バブル再燃の兆候 消費大国に戻り始めた米国の行く末(JBpress) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/824.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 8 月 19 日 22:11:36: AtMSjtXKW4rJY
 

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130819-00038471-biz_jbp_j-nb
JBpress 2013/8/19 12:14 堀田 佳男


 金融危機で痛い目にあったはずの米国市民が、またしても同じ道に戻り始めた兆候がでている。

 1990年代後半から2007年夏頃まで、米国の商業物件や一戸建て、分譲マンションの価格上昇率は消費者物価指数(CPI)を大きく上回るペースで上昇していた。

 ところが住宅バブルは見事に弾け、同時に金融バブルも崩壊して、投資家だけでなく一般市民も資産を大幅に減らした。

■「ニューノーマル」は幻だった? 

 その教訓から、米国市民は「投資と消費が人生の目的」と言えるようなライフスタイルを変えるようにもなった。借金を減らして預金を増やし、身の丈に合った生活をする人たちが増えた。大手債権運用会社ピムコのモハメド・エラリアン氏は、そのライフスタイルを「ニューノーマル」と名づけた。

 それは国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費を減らすことになるとも思われた。カネを使うことで米国経済を動かすという消費の大車輪という考え方への反省でもあった。

 それまで、「今日で世界が終わりを迎えても構わない」といったライフスタイルがまかり通ってきた。そこに倹約という戦後の米国では初めてとも言える生き方が導入され、浸透していくかに見えた。

 だが今、米国経済が緩やかながらも回復しつつあると、再び消費支出が増え始めてきた。自動車販売と住宅販売の堅調な伸びがそれを物語っている。

 米国の一般世帯の月額平均支出も今年初旬4220ドル(約42万円)で、2009年の3870ドル(約38万円)より拡大している(インフレ調整後)。月平均の食料品への支出を見ると、2009年は269ドル(約2万9600円)だったが、今年は316ドル(約3万1600円)で17%も上昇している。

 それは同時に、米国人の拠り所とさえ言えるクレジットカードの借金が増え始めたことでもある。現在の借金総額は8471億ドル(約84兆7100億円)という巨費で、金融バブルのピーク時には達していないが、今のペースでいくと最高額を超えるのは時間の問題と言われる。

 消費の拡大は経済活動にとって大切なことではある。だが市民生活において、借金を増やしてまで消費し続けるライフスタイルは、米国を再び同じ道に戻すことにもなりかねない。

 さらに注目されるのは、住宅価格の上昇である。住宅バブルが弾けた後も、米国文化の特徴として、住宅への投資は大きな衰えは見せていなかった。バンク・オブ・アメリカの試算によると、バブル以後、米一般住宅の総資産は1兆8000億ドル(約180兆円)も増えたという。

 つまり、値崩れした住宅の価格が上がっているのだ。米住宅価格の推移を眺めると、過去5年ほどの価格下落の時期を除いて、過去50年ほど、価格は右肩上がりできている。

■日本の住宅耐用年数は英国の約3分の1

 こうしたトレンドは日本では考えられない。しかも中古住宅が投資の対象になっている。日本ではほとんどの場合、不動産に新しさを求めるので、中古マンションの価格が上がるのは例外的な物件だけである。

 その理由は建築物の耐久年数の違いがある。それは取りも直さず、米国人の住宅に対する思い入れの表れといっていい。日本の住宅寿命は固定資産台帳からの算出数字では26年である。米国は44年で、英国に至っては75年という長さだ。

 もちろん、日本の一戸建てが26年で朽ち果てるという意味ではない。日本では住宅を資産としてではなく、消費財として捉えているため、平均26年で建て替えるのだ。経済の活性化にもつながると考える。住宅に使われる建築資材の問題もあり、日本で築50年の一般住宅はほとんど見られない。

 逆に土地に対しては経済的メリットが付託される。役所にとっては土地価格が高い方が固定資産税による税収が良くなるばかりか、金融機関にとっても地価が高い方が担保価格が良くなって融資しやすくなる。個人にとっても売り手であれば、地価が高い方が利益も大きくなる。

 日本のマンションの場合、2000年までコンクリート建築物の法定耐久年数は65年だった。2000年以降は50年に下げられたが、もちろんそれが建築物の耐久度合いを保証するわけではない。実際には半世紀を待たずして、建て替えられる運命にある。

 このように、不動産の日米差は歴然としている。東京23区内の住宅環境は、米国の一般的な住宅街とでは比較にならない。

 周囲と全く違う外観の住宅が隣家と50センチほどの隙間で建ち並んでいても、文句を言う人はいない。空を見上げるとクモの巣のように電線が張り巡らされている。その環境でもほとんどの人は不自由さを口にしない。

 『亡国マンション(光文社)』の著者で、一級建築士である平松朝彦氏はこう書いている。

 「私は東京を世界遺産に指定してもらうべきだと考えている。もちろんこれは貧困住宅の象徴として世界的に貴重だからである。これほどのスケールをもった貧困なゴミ住宅の群れは、間違いなく世界の先進国では例がない」

 途上国であれば、東京のように雑然とした都市は少なくないが、先進国ではほとんど例がない。「慣れれば住みやすい」という次元の話ではない。

■ニューヨークやワシントンでは築100年で1億円が当たり前

 話を米国の不動産ブーム再燃に戻したい。伝統的に米国市民が不動産を投資の対象にしてきたのは前述した通りである。さらに低金利によって住宅ローンを組みやすい環境ができた。

 ただ不動産業界では、数年前から「買い」の動きがすでに出ていた。不動産アナリストのリンダ・ペインさんが説明する。

 「全米のマンション建設のピークは2003年でした。同年、8万6000棟も建てられたのです。住宅バブルが弾けて、地域によっては大幅に価格が下落しました。けれども過去数年、一部で不動産価格が上昇してきています。その流れが強くなっています。米国では、不動産を投資の対象とする文化がいまでも連綿と受け継がれているのでこの動きが変わることはないでしょう」

 米国で中古住宅や中古マンションの価格が上がるのは、買い手が全く厭わないどころか、50年前の堅固な家屋の方が好まれる傾向があるためだ。もちろん地域差はある。ニューヨーク市マンハッタンのマンションやワシントン市内ジョージタウンの一軒家などは、築100年でも1億円以上するのが当たり前である。

 そこには住宅を資産ととらえ、修復と改装を繰り返しながら今後100年、維持し続けるという意識があるためだ。それは孫子の代にまだ不動産を残すということでもある。

 だが反面、不動産を投資目的で転売し、それによって莫大な富を得ている一部の投資家たちもいる。結果的に社会格差を拡大させることになっている。

 さらに一般市民も不動産ブームの波に乗る傾向はある。近い将来再びバブルが発生し、崩壊という悪のサイクルが繰り返されないとも限らない。

 過去からどれだけ学べるのか。利益だけを追求すると、目の前しか見えなくなるのはどこの国でも同じかもしれない。


 

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コメント
 
01. 2013年8月19日 22:29:44 : niiL5nr8dQ

>過去50年ほど、価格は右肩上がり

まだ米国は人口が増え続けているのも大きい

今後、さらに高齢化が進み、いずれ労働人口が減少に転じれば、同じ運命が待っている

>貧困住宅の象徴として世界的に貴重

日本では地震や火事、水害も多い

皆が拘って高価に作り過ぎても、結局、建物の売値は0になり、意味はない

特に地方では土地も値下がりして0円でも売れない悲惨な事態になる



02. 2013年8月20日 05:37:53 : niiL5nr8dQ

世界経済:脆い回復
2013年08月20日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年8月17日号)

世界経済が勢いづいている。しかし、この勢いが今後も持続しそうなのは米国だけだ。


 8月の盛夏はしばしば世界経済に問題をもたらしてきた。

 2011年、米国の政治家はデフォルト(債務不履行)にぎりぎりまで近づき、ユーロは崩壊へと向かっているように見えた。2012年夏、ユーロ不安が再び到来し、多くの新興国が行き詰まっている憂鬱な証拠が明らかになった。

 しかし、2013年は今のところ、良いニュースが悪いニュースを凌駕している。

 ユーロ圏の経済は1年半にわたる景気後退から抜け出し、再び成長に転じている。第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は年率換算で1.1%だった。英国の回復は加速している。米国の第2四半期の成長率も当初予想の1.7%を上回り、その後も加速しているという証拠が積み重なっている。堅調な小売売り上げ、製造業の受注増、失業保険の申請数の減少などを総合すると、2.5%前後の成長率が期待できる。

 中国でも7月、貿易から工業生産に至るまで、月次の主要指標がそろって改善し、世界第2位の経済大国が不況に陥るという懸念が和らいだ。日本も第2四半期の2.6%という成長率は、3.8%だった年初ほどの勢いこそないものの、一時は瀕死に陥った経済にすれば十分に目を引く数字だ。

憂慮すべき2つの理由

 こうしたいくつかの朗報は、全体として広範な回復の始まりを意味しているのだろうか? 楽観視できる理由はいくつかある。特に、先進国のマクロ経済政策が成長重視になっていることが大きい。

 しかし、憂慮すべき大きな理由も2つある。まず、欧州と日本のミクロ経済は急速かつ永続的な回復につながるような状況ではない。次に、中国はハードランディングこそ免れそうだが、世界的な成長を促すほどの力はないだろう。結果として、世界経済の回復は、米国に大きく依存した脆弱なものになるということだ。

 まずはマクロ経済政策から見てみよう。日本では、安倍晋三政権による財政、金融面からの刺激策のおかげで、デフレ経済が活気を取り戻している。ユーロ圏では、極端な緊縮政策が放棄された。2012年の予算削減ペースはGDPの1.5%だったが、2013年は1%を下回っている。英国の財務相でさえ自身の発言より柔軟な対応を見せている。

 米国の財政政策は、慎重な選択というよりは議会の瀬戸際戦略の産物に近いもので、いまだ正気を取り戻しておらず、経済からカネを吸い上げている。しかし、一番の打撃はやり過ごした。予算削減と増税による成長の鈍化は年初から改善している。

 金融政策も以前よりは見通しの利くものになった。確かに、米連邦準備理事会(FRB)は6月、国債買い入れのペースを「徐々に縮小する」と発表し、国債利回りを急上昇させた。しかしこの計画の実施は、経済の回復が買いオペの縮小に耐えられるほど堅調になっていることを条件としている。

 そして、他国の中央銀行もFRBのこの「フォワードガイダンス」のやり方を採用し、政策を引き締める前に達成されなければならない条件を設定し始めている。こうした公約の効果は検証されておらず、マクロ経済的な誤りも起こり得るが、その可能性は以前ほど高くない。

修復が必要

 マクロ経済の改善は一歩前進だが、その効果は、金融資金を実際に動かす仕組みが機能し、家計が消費し、企業が投資に積極的にならない限り表れない。

 米国はこれらの条件を満たしている。米国では、金融危機の後始末がほぼ完了している。住宅市場は、痛みを伴う調整の結果、強固な基盤に立って回復している。消費者の借金は激減し、銀行は貸し付けに熱心だ。しかも、シェールガスによる供給面でのプラス要因もある。これらを合わせると、力強い回復の土台は整ったと言える。

 米国以外では、朗報も米国ほど力強いものではなさそうに見える。ユーロ圏は米国と異なり、銀行のクリーンアップ、すなわち不良債権処理に失敗している。銀行同盟創設に向けた動きの見通しが立たないため、信用市場が機能不全に陥っている。その結果、周縁国の企業は融資を受けられないでいる。この状況が修復されるまで、欧州の回復が加速することはないだろう。

 英国の回復は、企業が投資に消極的すぎるため、尻すぼみに終わるかもしれない。日本の主要な問題は安倍政権の矛盾だ。大胆なマクロ経済政策を実行しながら、規制緩和には及び腰だ。構造改革はアベノミクスの「3本目の矢」のはずだが、農業、医療など手厚く保護されてきた分野は、いまだ手付かずだ。そのため、日本経済の回復も長続きしない可能性がある。

 中国はもっと複雑だ。7月の数字は経済が不況に陥ろうとしていることを示唆するものではないが、成長の加速を期待できる理由もほとんどない。原因は、中国が2つの難しい移行――投資主導の経済から消費主導の経済への移行と、急拡大する信用に依存した経済から自立した経済への移行――のさなかにあることだ。

 中国には、大きく苦しむことなくこうした移行に適応する底力がある。不良債権を吸収できるだけの財源があることが大きい。しかし、どちらの移行もあまり進んでおらず、どちらも成長の鈍化を意味する。

 つまり、世界の成長の原動力になり得るのは米国だということだ。それ自体は決して悪いことではない。世界経済はこれまで何度も米国の活力に頼ってきた。それでも、回復はもっと広範な方が安全だし、勢いも強くなる。各国の政策立案者は、このところの朗報を一息入れるチャンスと捉えるのでなく、努力を一段と強める方が賢明だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38493


 


 


 社説:未知の世界に飛び込む大富豪
2013年08月20日(Tue) Financial Times
(2013年8月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 トーマス・エジソンは、発明に必要なものは「豊かな想像力とがらくたの山」だけだと考えていた。多産な米国の発明家兼起業家で、「がらくた」を白熱電球のような現代生活に必要不可欠なものに変える才能によって19世紀に富を築いたエジソンにとっては、それで事足りた。しかし、経済的に厳しい今は、最も大胆なイノベーター――とんでもない変わり者と言う人もいるかもしれない――はかなりの財産も持っている可能性が高い。

 シリコンバレーのぴかぴか輝く民間研究所で目下温められているアイデアを1つのカテゴリーに分類するのは難しい。試験管で作り出したハンバーガー用肉の製造過程もあれば、通過する小惑星から金属資源を採取する計画もある。中には、キュウリから日光を採取するジョナサン・スウィフトの風刺的な装置を思わせるものもある。

 だが、これらのベンチャーを一つに結び付けているのは、すべてがシリコンバレーの大富豪の発案だということだ。現代のインターネットの中核を成す消費者向けアプリケーションを開発し、直近の技術的大躍進で莫大な資産を築いたエリート集団である。

 このようなアニマルスピリッツが必要だと言う人は多いだろう。米国の経済学者、タイラー・コーエン氏は2年前、『The Great Stagnation(大停滞)』と題した著書で、西側諸国の経済成長の減速は発明のペースが鈍った結果だと論じた。過去の繁栄は、未開地の開拓や普通教育の導入といった「もぎ取りやすい果実」を貪り食べて築かれた。将来の世代にはもっと優れたインスピレーションが必要だとコーエン氏は主張した。

現代の若きエジソンたちも支援を

 知識の最前線でのイノベーションは常に、資金調達に苦しんできた。しかし、この新しいアイデアの必要性は折しも伝統的な資金源が減っている時に生じている。イーロン・マスク氏やセルゲイ・ブリン氏といったシリコンバレーの億万長者たちがそのギャップを埋めることができれば、それに越したことはない。

 彼らの個人的なベンチャーがどれほどの変革をもたらすのかは、もちろん、判断するのが難しい。火星へのロケット打ち上げや小惑星からの資源採取は、1492年のコロンブス交換後に匹敵するような形で宇宙の経済開拓の道を開くかもしれない。一方で、高くつく無駄な取り組みに終わる可能性もある。

 個人のインスピレーションはいつの時代も称賛に値する。しかし、人類は賭けの対象を広げる必要もある。ブリン、マスク両氏のような人々は、自分たちの知的探求を行う一方で、若い時のエジソンのように、がらくたとアイデアだけで発明に取り組むことを余儀なくされている人たちのことを考えてやるべきだ。

 イノベーションは究極的に確率のゲームである。賢明な世界は、多くのアイデアを花咲かせるようにするものだ。

 


 

台本から逸れるオランダとポルトガル
欧州経済に必要な新しい寓話
2013年08月20日(Tue) Financial Times
(2013年8月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 先週発表された欧州の経済指標を詳細に吟味し、ユーロ圏全体としては景気後退を脱したというニュースの裏側をのぞいてみよう。すると、欧州の政治家たちが説教の根拠にしてきた台本を欧州経済がどれほど頑なに無視しているかが分かる、2つの国の物語が浮かび上がってくる。

 ここで言う2つの国とは、ポルトガルとオランダのことである。通貨同盟の「南」と「北」、あるいは「周縁」と「中核」をそれぞれ象徴する中堅国だ。

 この2国は、懐疑論者が通貨ユーロの先天的な欠陥と見なしている軸で対極に位置している。競争力のある裕福な国々が域内の為替レートの固定化により構造的な倹約家になった一方、競争力のない貧しいいとこたちは以前からの浪費癖がユーロ導入でさらにひどくなったという非対称性を如実に示している、という意味だ。

二日酔いに苦しむポルトガルとドイツ以上にドイツ的なオランダ

 ポルトガルはユーロの導入以来ずっと大幅な財政赤字を計上しており、危機の最悪期にはその国内総生産(GDP)比が2ケタに達した。また、ギリシャやスペイン、アイルランドを苦境に陥れた持続不能な好景気を謳歌することもなかった。ポルトガル経済はユーロ導入後の10年間は右往左往するばかりで、パーティーに出たことすらなかったのに、今ではひどい二日酔いの治療に努めているのである。

 オランダはこれとは対照的に、ドイツを質素な輸出主導型経済モデルと呼ぶ根拠になっている指標の多くで、そのドイツを凌駕する実績を残してきた。経常収支黒字幅のGDP比は、ユーロ導入後はほぼ毎年ドイツを上回っており、財政赤字も危機の前は一貫してドイツより小規模だった。

 経済政策に対する姿勢でもオランダはドイツ以上にドイツ的であることが多く、ポルトガルなど赤字国は金融支援を受ける対価として痛みを伴う財政赤字削減を実行すべきだと、ドイツよりも声高に主張している。

 ユーロ圏の政策のかじ取り役である欧州委員会や債権国をここまで導いてきた道徳劇に従うなら、オランダは経済的成功というご褒美を授かり、ポルトガルはその罪滅ぼしが終わるまで財政の煉獄に留め置かれるということになるのだろう。

 またこれとは別の、通貨統合に懐疑的な論者たちの寓話に照らして言うなら、両国はそもそも通貨を共有すべきではなかったのだし、両国の今後の見通しが異なるのは、ユーロを維持するために北から南への恒久的な富の移転が必要になることと同じくらい避けられないことだ、ということになる。

 確かに、先日まではそうだと思われた。しかし、欧州経済はこれらの物語が認める以上に複雑である。あたかもそのことを立証したかったかのごとく、欧州経済はこれまでの想定から外れ始めた。

 第2四半期のポルトガルのGDP伸び率は、年率換算で4.5%という欧州連合(EU)では最も高い値になった。片やオランダ経済は縮小が続いており、第2四半期のGDP伸び率はマイナス0.2%(年率換算でマイナス0.8%)にとどまっている。

 1四半期のデータから確固たる教訓を引き出す時には慎重になるべきだ。ポルトガル経済の急成長は、トレンドの変化よりも一過性の要因による部分が大きいと見て間違いない。それでも、第2四半期にポルトガルとオランダが見せた好対照からは、ユーロ圏について最も広く語られてきた物語が実はいかに貧弱なものであるかが垣間見える。

貧弱だった物語

 財政規律が何よりも大事なのだと説いてきた人々にオランダの足元の景気後退が示しているのは、公的財政が健全であっても(そして、あまり認識されていないが)経常収支が大幅な黒字であっても、崩壊後に景気を落ち込ませる信用バブルを防ぐには十分でないということだ。

 オランダは現在、完全に自ら引き起こしたと言える住宅バブルの後始末に苦しんでいる。家計が抱える債務残高は年収の250%に相当する額で、住宅価格は21%も下落している。そのため、背伸びをしてしまった住宅所有者――その30%は住宅の現在価値を上回る債務を抱えている――は消費を減らさざるを得ない。

 そこに財政赤字の削減が加われば(ポルトガルなどを縛る財政協定を熱心に支持したオランダは、自らにも財政赤字の削減を課した)、景気が落ち込むことは避けられない。

 これは、アイルランドやスペインで起きている事態のマイルドなものでしかない。確かに、この2国では経常収支の赤字がバブルの拡大に一役買ったが、現在のオランダの状況は、純債権国であっても自国の住宅市場をめちゃくちゃにし得ることを示している。

 言い換えれば、多くのユーロ導入国を襲った危機は、資本収支の不均衡よりも国内のお粗末な信用規制の方により深く関係していたのである(確かに、資本収支の不均衡がお粗末な国内政策を助長したことは否定できないが)。

 このことの明るい面は、通貨ユーロは言われているほど欠点だらけではないということだ。非対称的な資本の流れは、健全な経済と全く相いれないわけではない――豊かな国から貧しい国に民間の資金が貸し出されることは望ましいことである。

 ただし、そのような貸し出しは生産的な投資に向けられなければならない。そのためには、もっと優良な銀行が必要だ。これまでいろいろな対策を試してきたユーロ圏の指導者たちは、本当に大事な問題にようやく取り組み始めているのである。

By Martin Sandbu


03. 2013年8月20日 07:11:28 : MG6bq1OhtD
う〜ん、3周回遅れって感じ・・・
何だろう、日本の経済アナリストのレベルを確認するのにはいいかもしれない。
そう言う記事として参照にさせてもらった。

04. おじゃま一郎 2013年8月20日 11:09:10 : Oo1MUxFRAsqXk : y2meHEf7wI
アメリカはQE3でMBS(住宅担保証券)を毎月400億ドル買っている。
アメリカが長期金利上昇しているのに、何でバブルが再燃するんだ。

05. 2013年8月20日 23:08:55 : KO4C9oEhYU
投稿者さんはこれからバブルが発生すると書いておられるが私はすでにバブルではないかと懸念している。そのバブルは株高に支えられていると思われる。株が下がると同時にバブルははじけるだろう。日本の株価が上がるのと期を一にしてダウも12000から15000にあがった。この3000分がバブル要因だ。心配していた事つまり15000を切って14000に落ちればふくらましてパンパンに張ったフーセンが一気にはじけて爆発するだろう。日本が必死で買い支えたらそれは全てロスとなって跳ね返って来るだろう。株で11兆利益が出ている、もっと益出ししよう、年金郵貯もつぎ込もうという声が竹中あたりから出ていたがこれが一番怖い事だ。政府に勝手な事をさせてはならない。国民は1円2円に血眼になって買い物をしているのに政府がほんのささやきに乗って何10兆円というお金を失うのを許してはならない。もちろんアメリカが破裂すると日本にも伝染する。日本株も破裂しアベノミクスは終わりだ。
日銀が垂れ流した何10兆円と言うお金もどこかに消えてしまうだろう。安倍や竹中や黒田の首をもらっても汚いだけで何の足しにもならない。今すぐにでもお金を垂れ流す事を止めねばならない。アメリカの道連れにされてしまう。アメリカヨーロッパが傾き一番健全だった日本も傾いてしまう。それでTPP参加が中止になったり消費税増税が中止になったりしたらけがの功名かもしれない。一人勝ちアメリカの株価動向は心配だ。マグマが動いている。

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