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「黒田バズーカ」は空砲だった (ニューズウィーク日本版) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/308.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 9 月 05 日 21:46:00: igsppGRN/E9PQ
 

            (図)日銀当座預金残高と予想インフレ率(BEI)出所:日銀 


「黒田バズーカ」は空砲だった
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130905-00010002-newsweek-bus_all
ニューズウィーク日本版 9月5日(木)17時18分配信


 4月4日に黒田東彦氏が日銀総裁に就任し、「量的・質的金融緩和」を打ち出して5ヶ月になる。彼の目標は「マネタリーベース(日銀券の量)を2年で2倍にして、2年後に2%のインフレ目標」を実現することだから、その1/4近い期間がたったわけだ。そろそろアベノミクスの目玉である「異次元の金融政策」の効果が出始めてもいいころだが、どうだろうか?

 8月末に発表された7月の消費者物価指数(CPI)は0.7%プラスになったが、この最大の原因は原油価格と電気代が8%も上がったことで、これを除いた「コアコアCPI」は−0.1%と、まだデフレだ。この調子で、あと1年半で2%のインフレ目標を実現するのは、かなり高いハードルである。

 黒田氏の政策の目玉は、彼がインパクトのある緩和を発表して「インフレ予想」を起こすことだった。このため、緩和政策の発表では図が多用され、「2年でマネタリーベースを2倍の270兆円にする」という大胆な政策に市場は驚き、株価は急上昇した。

 このように予想に働きかける理論は、副総裁になった岩田規久男氏の発想したものだ。金利がゼロに貼りついている状態では、日銀が政策金利を下げて金融緩和することができないので、マネタリーベースを積み上げて「世の中にたくさん金が出回っている」という感じを出せば、国民がインフレになると思うだろう、という理論である。

 しかしこの理論には、具体的な波及経路が欠けている。たとえば利下げなら、それによって銀行の資金コストが下がり、今まで貸せなかった企業への貸し出しが増えることが期待できる。しかしマネタリーベースの多くは銀行の日銀当座預金として、そのまま「ブタ積み」になり、市場には出ていかない。資金需要がないからだ。

 波及経路としては、余った資金が株式や不動産などに流れて資産インフレが起こることは考えられるが、これはインフレとは別である。資産市場は相場心理で上がったり下がったりするので、それによって実体経済が改善する保証はないし、日銀がコントロールすることもできない。現に5月下旬から日経平均は暴落し、黒田総裁の就任時と同じぐらいまで戻ってしまった。

 だから金融政策が人々の予想に与える経路は、もっぱら心理的なものしかない。普通は、人々はデフレがずっと続いていればデフレを予想するので、それをインフレに転換することは何か大きな変化がなければむずかしい。それが岩田氏の主張するレジーム・チェンジである。「日銀は徹底的に緩和する」という意志を示すことによって人々の心理を変えようというのだ。

 しかしその予想インフレ率はどうやってわかるのだろうか。予想インフレ率=名目金利−実質金利なので、名目金利が上がるときは予想インフレ率も上がると考えられるが、定量的に計測するのはむずかしい。その代理変数としてよく使われるのが、物価連動国債のブレークイーブン・インフレ率(BEI)で、岩田氏はこれが予想インフレ率を反映していると考え、日銀当座預金との間に次のような線形の関係があると主張した。

 BEI上昇率=日銀当座預金増加率×0.044

 つまり日銀当座預金が10%ポイント増えると、予想インフレ率(BEI)が0.44%ポイント上がる、という相関関係があるというのだ。これが事実だとすると、日銀当座預金が倍増すると、BEIは4.4%ポイント上がることになる。この岩田理論に従って、日銀は激しく準備預金を増やしたのだが、結果はどうだったろうか。

 上の図の青い線が当座預金残高で、2月の38兆円から6月の75兆円までほぼ倍増した。岩田理論によれば、赤の点線のようにBEIは4.5%以上になるはずだが、実際には赤の実線のように異次元緩和が始まったあと下がり始め、今は黒田氏が総裁になったときとほぼ同じ1.5%程度である。つまり黒田総裁の「念力」でインフレ予想を起こす実験は、失敗に終わったのだ。

 この点は岩田氏も正直に認め、「今は調整過程なので、もう少し長い目で見てほしい」といっている。しかし4.5%に上昇するはずの予想インフレ率が1.5%に下がったのは、単なる調整ではなく、岩田氏の理論が間違っていた証拠である。その原因は、BEIは予想インフレ率の指標として適切ではないからだ。

 そのもとになる物価連動国債の残高は10兆円と国債市場の1%ぐらいしかなく、ここ5年は発行されていない。その価格はむしろ日経平均と連動する市況商品なので、日銀はこれまで指標としてつかわなかった。黒田総裁もBEIをインフレ予想の指標に使っているが、こんないい加減な数字を頼りにしてマネタリーベースを倍増させるのは危険だ。

 おりしも中東ではシリア爆撃の危機が迫り、ペルシャ湾で戦争が起こってホルムズ海峡が封鎖されると原油の供給が止まり、価格が大幅に上がるだろう。金利が上がると巨額の日銀準備預金が市中に出て行き、70年代の石油危機のような数十%のインフレが起こるかもしれない。「黒田バズーカ」は空砲だったばかりでなく、日本経済を破壊する自爆攻撃になるおそれもある。有害無益な異次元緩和からは早めに撤退すべきである。

池田信夫(経済学者)


 

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コメント
 
01. 2013年9月05日 22:21:03 : nJF6kGWndY

>BEI上昇率=日銀当座預金増加率×0.044

基本的にマネタリーベースが増えるほど、BEIへの影響が小さくなることは、過去の緩和からもわかっていた

だから岩田理論では間違うことは、最初から予想されていたこと

(そもそも固定相場制での金利0の状況では、QE(量的緩和)による緩和効果はない)

ただ実際の為替は変動相場なので、円安経路を通じた、つまり円安投機による刺激効果はあり、それは市場の期待という非常に不安定なものに依存する

市場の期待、つまり投機は、QEが起こる前に既に開始し、実際にQEが開始すると、終わるのが通常だし、
当然、日本の国内要因だけではなく中国金融危機や欧州危機、中東危機にも大きく影響される

だから、岩田や黒田の主張(膨大なQEはインフレを招き、投資を刺激)は、原理的には正しいが、定量的には間違いであり、しかも、財政リスクを孕んでいるということだ

池田の批判は、その意味では、一面的過ぎると言えるし、他の無責任な批判者同様、彼に関しても、政治的に実現可能な、現実的な対案を出さないという意味では、あまり評価はできない


02. 2013年9月05日 22:38:46 : KO4C9oEhYU
他の投稿でアメリカがQEをやりまくって借金だけが残ったと書いてあった。アメリカはその間増税はしていないと思う。その実績を無視して増税するなどとんでもない話だ。つまり黒田はイロハのイの字も知らない無知無能者である。それが東大卒日銀総裁とは聞いてあきれる。大学を出て以来全く勉強をせずすでに痴呆がきているのではないか。そして今日はびっくりした。予定通りやらないと国債が棄損するとか全てがおかしくなると国民を脅しているのだ。消費税を上げよと国民を脅しているのだ。金利が上がり国債が棄損する原因は異次元金融緩和ではないか。国民を愚弄するのもいい加減にして欲しい。

03. 2013年9月06日 02:03:25 : MBD1umCKSk
ノビーがまともに見えるくらい今の日銀はひどいということか

04. 2013年9月06日 03:24:43 : RufpgDo1AM
「もう少し長い目で見てほしい・・・」
と言い訳する経営者が少なくないが
そういう企業って、そのうち倒産するとか身売りするとかが
ほとんどなんだよな。

まあ、日銀なら超親方日の丸、なので
何を言っても、どうってことない、
か・・・。


05. 2013年9月06日 08:29:02 : i3jc9NgPZs
黒田東彦氏は東アジア共同体論者。
即ち大東亜共栄権を目指されている方ですので、
A級戦犯で処刑された方々同様、
日本を中国、南北朝鮮の為に生贄にされようとしている方ですね。
一億三千万人総玉砕させようとされています。

06. 2013年9月06日 09:03:04 : 7OpGsifAXA
日本のデフレといわれるものは実際はデフレではない。国際市場価格との平準化が起きているのである。日本はながらく1円のものを1万円で売る消費経済を続けることで大量の潜在的失業者を食わせてきたが、これは閉鎖市場でしか通用しない。
そこにきてインフレ気分にさせる、つまりインフレになると思い込ませて消費させる、つまり騙そうってことだが、いったい消費する原資はどこにあるんだ?

さらに消費税増税だ。この、価格が高くなる前に買う衝動より将来の出費増に備える不安が勝るだろう政策を黒田は支持している。そして増税して経済減速するようならさらなる緩和をすればいい、と黒田は言う。
これが黒田の発想の限界だ。国内経済に留まる経済政策、しかも四半世紀前の認識に留まっている。なぜこんなアナクロを選んだのか知らないが、政権自体がアナクロだからか。
需要が無いところに投資できるとすれば先行投資としてのものだが、その対象は日本ではあるまい。だから五輪を誘致しようと必死なんだろうが、これまた時代錯誤だね。
悪くすると昭和30年代の発想のままだ。


07. 2013年9月07日 01:51:34 : DOzD2dJtWA

池田信夫が根本的に間違っていることは、時間概念をインフレ率と比例関係に近いと考えているところだろう。
2年経過の過程でいろいろな経済的要素が複雑に絡み合いインフレ率が上昇する。
直ぐに効果が現れる場合もあれば、1年後から効果が現れる場合もある。
相場と同じようなものである。

金融緩和の効果が早く現れるのは、為替と株である。
これらに関しては、現実に効果が出ているのである。

QEをやると言った時点で、インフレ期待は上昇している。上昇過程での踊り場でこのような結論を導き出すのは経済エコノミストとしては失格であろう。
ピンボケもいいところだ。


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