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国際問題化するブラック企業〜今後日本で解消どころか、ますます広がると“確信”する理由(Business Journl) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/341.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 9 月 08 日 14:31:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130908-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 9月8日(日)6時11分配信


 ブラック企業が問題になっている。経済の潮流から考えると、今後ブラック企業はなくなっていくのだろうか? それともさらに増えていくのだろうか?

 その疑問に答えてくれそうなドキュメンタリー番組がNHK-BS1で放送された。『低価格時代の深層』(原題は『The Age of Cheap』<2012年放送>)というフランス制作のドキュメンタリー番組だ。

 EU諸国では市場統合後、激安な商品やサービスが提供されることになる一方で、提供する側の企業で働く従業員の待遇は、限界まで劣悪になってきているという。そのヨーロッパの巨大企業のブラックぶりを見ていると、日本で問題になっているブラック企業など、まだまだの存在に見えてくる。

 ヨーロッパでおきた変化を経営学的観点から眺めてみると、EU統合後のブラック企業の増加は必然である。言い換えれば、このまま自然な市場原理に任せてしまうと、日本の労働環境はヨーロッパ化していくかもしれない。実際、その可能性は高い。

 そのような観点から、番組で紹介された欧州企業のブラックぶりを具体的に紹介することで、日本の職場の未来がどうなるのか考える材料を提供したい。このまま進むと、おそらく日本の職場は全体的に今以上にブラックになると私は思う。なぜ日本も今後そうなっていくのかについては、この記事の最後でコメントさせていただくことにする。

 番組の冒頭で撮影スタッフは、フランスの大手自動車会社から発売された5000ユーロのセダンに乗ってヨーロッパ全土の取材の旅に出発する。5000ユーロというと現在の為替レートで65万円だが、昨年までの超円高時代のレートでは50万円を切る値段だ。大手自動車会社からなぜこんなに安い乗用車が発売されるのかという理由は、番組最後のパートで明らかになる。

 最初に番組クルーが向かうのはアイルランド。ここにはヨーロッパ最大のLCC(格安航空会社)がある。旅行者からはその格安な料金に対して絶大な支持を得ているが、番組に登場する元CA(キャビンアテンダント)や元パイロットの証言は衝撃的だ。

 元CAの証言によれば、彼女たちの最初の一年間は毎月30ユーロが制服代として給料から差し引かれる。

 業務当日の早朝5時35分、フライトの45分前には空港に集まり、乗務前の打ち合わせをし、そして機内設備を点検する。その後、大急ぎで乗客を搭乗させる。搭乗に25分以上かかるとエアラインに追加コストがかかるので、追い立てるように乗客を機内に案内する。

 驚くべき点は、ここまではCAに賃金が支払われないということだ。フライト時間が1時間20分なら、支払われる賃金はそれだけ。搭乗前の一番忙しい45分にも、着陸後乗客を降ろす25分にも賃金は支払われないというのだ。

 ちなみに時給は16ユーロ20セント(2100円)、生活費が不足する分は歩合給の機内販売で賄うことになるが、その歩合も2.5%とわずかな金額で、機内販売の売上が収入のプラスになるというよりも、販売ノルマが精神的にきつくなる側面のほうが強かったそうだ。

 失業手当も退職金もない。番組に搭乗した元CAの女性は2年3カ月で辞めたというが、それは平均的な在職期間だという。

 元パイロットの証言では、この航空会社では毎年、労働条件が悪いほうへと変更されていったそうだ。そのたびに新しい規則が増え、働くことがつらくなっていったという。この航空会社のパイロットの多くは、派遣会社経由で働いている。経営者によれば、社員の一定量を派遣社員にすることで、労働組合をつくらせない効果があるというのだ。

 アイルランドの法律では、社員にすると給与の10.75%を社会保障費として納付しなければならない。この水準はEUの他の加盟国に比較してかなり低いほうだが、派遣社員の場合はこのコストすら回避することができる。

 どちらの側面にしても、経営者がコストを抑えリスクを下げるために、派遣パイロットを増加させるインセンティブが働いているのである。

●ハードディスカウントストアの裏側

 次に取材クルーは、ドイツで発展して最近ではフランス各地に増えてきたハードディスカウントストアに向かう。コンビニをかなり大きくしたような小売り業態で、地場の小売店と比べて圧倒的に価格が安いことで多くの消費者から支持されている。フランスでは08年に法改正されて以来、このようなハードディスカウントストアが増加している。番組にはそのチェーンの元店長と元地域マネジャー(スーパーバイザー)が出演して証言している。

 元店長の証言では、この会社のマネジメント業務のキーワードは人件費と労務管理で、それをいかに低く抑えるかが管理職としての課題だったという。

 従業員は2人体制が基本で、店内の清掃業務からレジ打ち、配送トラックへの対応から駐車場管理まで、彼らに担わせている業務は多岐にわたる。店長の仕事にはそれに加えて経理やスタッフの勤務時間の管理、セキュリティの業務が加わる。現場には、とにかくこなさなければならない仕事が数多く存在していたという。

 その店長たちを管理する地域マネジャーが、そのコストを下げる方法について証言してくれた。この会社の生産性を上げるための考え方は、従業員に、「ここにいるのは頭を使うためではなく職務を遂行するためだ」ということを徹底させることだった。いかに従業員が考える時間を減らし、実行に専念するかがポイントで、それを目的にすべての業務がマニュアル化されていたという。

 店長が守るべき規則は53あって、すべてマニュアル化されているという。日本では当たり前の荷物検査や抜き打ち検査も、フランスでは従業員にプレッシャーを与えるための手段だと認識されていたという。

 店長の管理業務のマニュアルには、「分不相応に贅沢をしている従業員はいませんか?」「頻繁にトイレに行く従業員はいませんか?」といったチェック項目が並ぶ。聞いただけで嫌になる気分がする項目なのだが、実はこのようなマニュアルを店長に渡す別の意味があるというから面白い、いや恐ろしい。

●経営戦略としてのブラック企業

 番組に登場する弁護士の証言では、このようなブラック企業の問題は、権限の乱用にあるという。すべての階層に脅しやいじめが存在する。会社の中は恐怖が蔓延している。従業員は何をしていても「解雇されるのではないか」と、いつも怯えている。

 これらの点は、番組に登場するさまざまなブラック企業に驚くほど共通する点だ。つまり問題は、それが偶然ある会社に起きていることではなく、じっくり練り上げられた経営戦略であるという点なのだと、この弁護士は強調している。

 そのような恐怖政治を敷き、組織のあらゆる階層に支配者がいて、お互いの信頼がないほうがマネジメントしやすい。彼らの目的は仕事上の人間関係をできるだけ分断することで、集団としての結びつきが生まれるのを避けることだという。ひとりひとりを孤立させることを目的に、仕組みがつくられている。そのほうが労働争議が起きるために必要な一定規模の集団が生まれない。そのためにブラック企業というマネジメントスタイルを選択するのが、その企業にとっての経営戦略だというのだ。

 実際これらの企業の仕組みを作った元幹部の証言では、従業員に求める人物像として、質素な生活をしていることや、称賛を求めないこと、安定した家庭がある一方であまり社交的ではないという点まで、決められていたという。つまり徒党を組んで反旗を翻す可能性が少ない性格で、反旗を翻すと生活に支障を来す人材を選んで採用しているのである。

 番組最後に撮影クルーは、ルーマニアの自動車工場で働く労働者のもとを訪れる。ルーマニアはEUに加盟しながらユーロには参加しないという、独特で有利なポジションにいることで、EU内の低価格労働需要を支えることに成功している。この工場ではフランスの自動車ラインをそのまま移転してきて、そこでルーマニアの賃金水準で働く従業員を活用している。ルーマニアでは熟練工の月給がユーロ換算で400ユーロ程度(約5万円)と、同じEU圏の中でも労働コストが非常に安い。地続きのヨーロッパにこのような低コストの労働力が出現したからこそ、冒頭でお伝えした5000ユーロのセダンがフランス国内で市販されるようになるのである。

●TPPがブラック企業問題を深刻化?

 さて、なぜヨーロッパの企業がここまでブラック企業になっていったのか、私なりに総括してみよう。

 キーワードはEU統合にある。同じ経済域内にヨーロッパ各国が統合された結果、法律や労働ルールについて、企業側にとっての“いいとこどり”が進んでしまっている。パイロットやCAはアイルランドの労働法規にのっとって会社と不利な契約を行い、ドイツで開発された軍隊的な労務マネジメントの仕組みがフランスに輸入される。フランスの工場労働者は、ルーマニアの工場労働者が作る商品と競争を余儀なくされている。

 これは日本にとって対岸の火事なのであろうか?

 私はそうは思わない。先日も、TPPに中国が加盟するというニュースが流れたばかりだ。基本的に関税だけでなく非関税障壁までなくす巨大な経済圏が、アメリカ、オーストラリア、中国と日本の間で結ばれれば、アメリカや中国の労務ルールを採用している会社が日本企業のダイレクトな競争相手になる。ないしは日本の労働者が日本国内で働いているにもかかわらず、アメリカや中国の労働契約に実質的に基づいて雇用されることが合法と見なされる可能性もある。

 実際、日本にあるアメリカの大手ネット通販企業の物流施設における労働環境が劣悪だという報道がなされているが、同社日本法人は日本国内で事業を行っておらず、法人税も払わなくていいことになっている。日本の労働法規に日本の労働者が守られている現在ですら、このように外資企業は、ある種のアンタッチャブルな特権を振りかざしている。

 その状況を前提にして、日本が今後、大きな経済圏の中に呑みこまれていく未来を考えれば、ブラック企業問題は大きくなることはあれ、解決する方向にはない。「なぜならブラック企業の問題は国際問題なのだから」と私は考えているが、みなさんの考えはどうだろうか?
.
鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役


 

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コメント
 
01. 2013年9月08日 17:15:52 : pbGtlhns2o
ここで取り上げられているルーマニアの自動車メーカーは、オートモビル・ルノーに支配されているダチアである。

ダチア (自動車)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%81%E3%82%A2_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)

車種は、多分これだろう。

ダチア・ロガン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%AC%E3%83%B3

写真はこちら。
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dacia_Logan_II_(front_quarter).JPG

スペックは以下の通り。

駆動方式は前輪駆動。
エンジンはガソリンが0.9ℓと1.2ℓ。ディーゼルは1.5ℓ。
変速機は5段マニュアルだけ。

車体重量 974 kg
最高速度 162 km/h
加速能力 0〜100 km/hに達する時間。 14,5秒。
燃料消費 100km走行に使用する燃料 5.8ℓ
CO2排出量 1km走行あたり135g
●これ、欧州やオーストラリアなどで販売される自動車に表示が義務付けされています。

全長 4 346 mm × 全幅 1 733 mm × 全高 1 517 mm
ホイールベース 2 634 mm

●欧州安全基準EURO CAPに対応するため、欧州車は最低価格帯車種であっても幅が広くなるばかり、これだと日本じゃ3ナンバーですよ。おまけにATもCVTもありません。生産コストを抑えるためです。

この車種はロシア、ブラジル、アルゼンチンでも生産、販売されているようです。また、日産自動車はルノーの支配を受けているため、この車種をメキシコで生産しており、日産ブランドで販売しています。

右ハンドル仕様はインド国内で現地資本が生産しているだけで、オーストラリアやニュージーランドでは販売されていませんね。フランス領タヒチやニューカレドニアでは販売しているようです。鉄板が安いから、錆びが早いらしい。

西欧諸国の自動車メーカーは次々と労働コストの安い東欧に小型車の生産拠点を移しており、プジョー・シトロエングループはチェコに、フィアットはセルビアに生産拠点があります。その一方で本国の工場は閉鎖したり縮小する。仕事がなくなりつつあります。

それから西欧諸国では自動車の価格が高いね。ガソリンも高いし、自動車を維持するのは並大抵ではありません。


02. 2013年9月09日 10:22:20 : nJF6kGWndY

景気が回復し、雇用が増えて売り手市場になれば、ブラック企業は淘汰される

不景気で倒産が増え買い手市場なら増える

不況なのに労働規制が厳しくなれば、ブラック企業は減るが、さらに失業者は増える

それだけ


03. 2013年9月11日 04:03:58 : 3PJAqRzx3M
>>02
景気が一方的に上昇し続けることはなく循環的なものだとすれば、
いずれ不景気が来るから同じ事。

04. 2013年9月12日 16:06:51 : niiL5nr8dQ
全員正社員!女子95%で成長する秘訣
クロスカンパニー 石川社長が語る女性活用
秦 卓弥:東洋経済 記者2013年9月12日
「アースミュージック&エコロジー」。
女優・宮崎あおいさんが異国で出会った人と、流暢な現地語でクールなやり取りを繰り広げる――。印象的なテレビCMに見覚えがある人も少なくないだろう。これを展開するレディスアパレルが、クロスカンパニーだ。基幹ブランド「アースミュージック&エコロジー」を中心に現在、国内で500店舗以上を展開し、今年度(2014年1月期)に売上高1000億円の大台を達成する見込みである。
実はクロスカンパニーは、創業時から「全員正社員」を掲げ、その95%が女性、しかも平均年齢25歳と“女子”が活躍する企業でもある。日本で初めて「4時間正社員」制度を導入するなど、積極的に働く女性の支援を行っている。
女子力を活かす経営とは、そして今後の成長戦略は?石川康晴社長に聞いた。

人は「調整弁」じゃない

――クロスカンパニーはなぜ「全員正社員」を掲げているのでしょうか。

僕は3年間大手紳士服チェーンで下積みをしたあと、23歳で小さなセレクトショップを開いて独立しました。身の丈をコンセプトにたった4坪の小さなテナントを借りて、1人で買い付けから接客までやっていましたが、2年目には事業が軌道に乗り始め、社員を雇う必要が出てきました。

当時、僕もまだ若造だったから、いろんな経営者のところへ「これから中長期的に大事な経営哲学や鉄則はないですか?」と、学びにいきました。その時、大先輩の経営者の10人中10人が言ったのが、「人は調整弁だ。いつでも切れるようにしておけ」、「特に小売業は上がり下がりが激しいから、固定費なんて抱えていたらすぐに会社はつぶれるぞ」という教えです。

それを聞いて、僕は「そんな考えを持つ経営者しかいないから、日本の小売業界というのはグローバルにならないし、シュリンクしていくんだ」と思ったんです。僕が決心したのは「正社員という概念を倒産する瞬間まで貫いていこう」という逆の考え。人に経営資源を向け、人に投資をしていこうと。

だからクロスカンパニーは創業2年目で初めて社員を雇って以来、全員を正社員で雇用して、気がつけば今期連結売上高1000億円まできました。約20年間、正社員という基盤を整えたことで、社員が安定して働いてくれたおかげだと思います。


石川 康晴 クロスカンパニー社長●1970年岡山市生まれ。94年クロスカンパニーを創業。99年に「earth music&ecology」を立ち上げ、現在では他ブランド含め、国内店舗数は約500店舗まで拡大。宮崎あおいを起用したテレビCMでも注目を集める。女性支援制度を中心とした社内制度の充実、環境活動や地域貢献活動へも積極的に取り組み、東日本大震災で被災者180人の雇用を行ったことでも話題となった。
――4時間や6時間の時短勤務制度を導入したのはなぜでしょうか。

最大のきっかけは、社員番号2番の女性社員(石川社長が1番)が結婚を機にやめてしまったことですね。彼女は創業メンバーで、いまでも彼女を超えるマネージメント能力がある人はいないぐらい優秀でしたが、「8時間労働の中で強い権限、意思決定を背負う仕事を両立できる自信がない」と言われ、引き止めることができませんでした。

その時、僕たちに制度がなくて社員に保証ができなかったために、彼女のノウハウが社内に蓄積できなかったわけです。クロスカンパニーは95%が女性社員です。しかも平均年齢は25歳とまだ若い。今後、彼女たちが結婚してママになっても会社に残ってもらうためにはどうしたらいいかと思いました。

それから同じような境遇の社員を、3人ほど会議室に呼んでヒアリングをしました。「どういう仕組みがあると仕事を辞めずに頑張れるか、今やっていけない背景には何があるのか」と聞いたら、「お姑さんが、『女は家で味噌汁を作って待っているもんだ。旦那より遅く帰るとは何事だ』と言う」なんて話が出てくるんですよ。それを覆すのはなかなかできない。

教科書どおりの制度ではダメ

だったら6時間勤務で朝9時に出勤して16時に帰れば、お姑さんが言うリクエスト、すなわち16時半にはスーパーに行って、17時半から味噌汁を炊いて、旦那さんが18時に帰ってくるのを待ち構えられるんじゃないのかと。そしたら「そんなことができたら、頑張れます」という返事をもらった。それで2011年8月からまず「6時間正社員」の制度を導入しました。

一番のポイントは、教科書に書いてある制度を持ってきたのではなくて、社員の声を繰り返し聞き続けたということです。各企業には様々な文化があるので、まずは内部に存在する不満を持っている社員を、何度も何度もインタビューするところから制度設計は始まります。これをしないかぎり、企業文化にマッチしない使用率の悪い制度になってしまいます。

――成長の過程で女性活用が必要だったわけですね。

いわゆる労働力確保の面でも経営戦略上必要でした。例えばイオンモールとかららぽーとが大型商業施設を開発しても、ただでさえ若者がいない上に、モールの中で人材獲得競争になって、その地域で完全に雇いきれない状態になります。私たちも実は中央で採用した人を「Uターンキャリア」で1年間だけ郊外に派遣して、なんとか大量出店の成長戦略を続けていましたが、とにかく苦労していました。


ところが、まず岡山県だけで4、6時間勤務の営業員募集を実験的にやってみたら、8時間の正社員募集を圧倒的に上回る3倍の履歴書が届きました。潜在的なニーズが強いと実証できたものですから、すぐに全国に求人募集を拡大すると、約4カ月で1000人を超える応募が来たのです。

全員が同じことを言います。「やりがいのある仕事をやりたかった」と。だけど、これまで彼女たちが活躍する労働市場がなかった。そこに「4時間正社員」という安定感と、ある程度の権限がある充足感、「安定」と「責任」の二つが目の前に降って湧いてきたら当然飛びついてきます。みんなすごくはつらつと頑張ってくれている、というのが現状です。

短時間勤務制度の利用者は現在165人。郊外型ショッピングセンター(SC)の店舗を中心に、2〜3店に1店の割合で4時間か6時間正社員が入っています。これを将来的には1店舗に2人入れて、1000人くらいを雇いたいと考えています。

短時間勤務でも生産性に問題なし

――現場に負担はありませんか。

これはやってみてから気が付いたのですが、逆に4時間正社員は1時間当たりの労働生産性が高いんです。彼女たちはローカル要員として配置していますので、保育園や幼稚園のママ友を連れてきてくれます。地域の行事の話ができたりもするので、顧客1人当たりの単価やリピート率がとにかく高く出ています。

もう1つ面白い事例は、「グリーンパークス」というブランドで意図的にほぼ女性だけの事業部を作ってみました。ターゲットはアラサー(30歳前後)のヤングママ、部署も顧客と同じにしようと30代女性を集めてみました。

女性目線のブランド構築が当たり、このブランドは20%成長を続けて、通期売上高は今期220億円ぐらいになる見込みです。営業利益率は15%とすでに基幹ブランドの「アースミュージック&エコロジー」を超える数字を叩き出しています。現在はグリーンパークスの出店が一番多いですから、この2〜3年でアースに並ぶブランドに成長するでしょう。

私たちはCSR(企業の社会的責任)という視点ではなくて、会社の利益になるから女性支援をしているということをいちばん言いたい。女性活用が企業の成長に必要だということを理解してやっているワケです。

――男性側の理解はどう進めたらよいでしょう?

11月からは男性社員向けの育児休暇制度も新たに導入します。ただ、普通の制度ではなくて、クロスカンパニー流の「強制イクメン休暇」(仮称)です。子どもがいる家庭において男性は月に1日公休をプラスするので、強制で取得してパートナーのために家事・育児を手伝わなければならないというものです。

当然、奥さんに「会社が作った制度はあなたが楽になるために作った制度だから、旦那さんをお迎えや買い物に行かせるのに使ってください」とコミットメントさせる。奥さんのサインをもらって、会社の目的を通達します。娯楽に使われたら困りますので(笑)。男性にも強制するというのがミソで女性の育休に抵抗をなくすのが狙いです。日本の事例になっていくのではないかと期待しています。

女性活用は「国よし、家族よし、企業よし」

――今後の成長のためにも女性活用は必要?

これ何回、取材で言ってもカットされちゃうんですけど、女性活用は「国よし、家族よし、企業よし」の三方よしなんですよ(笑)。国は所得税が増えて税収があがる、家庭も可処分が増えて豊かになる、企業も労働力を確保できるうえ生産性が高まります。


日本は少子化で市場もシュリンクして、優秀な人材を世界から調達しないといけない中で、欧米並みの女性活用の基準がない限り、人事面でもガラパゴス化していきます。日本は女性の中間管理職比率はわずか11%、欧米は30%を超えている。日本では男性がマーケティングや組織戦略を意思決定しますが、そこにガバナンスが効いていません。

日本企業がグローバル化に苦戦しているのも、女性活用の遅れが一つの要因なのは間違いありません。海外に打って出て行くためにも女性支援は不可欠です。女性の活用が会社に利益をもたらすことを、誰よりもトップが理解して制度化していかなければならないと思います。

――事業についても教えてください。2014年1月期は売上高1000億円の大台を突破する計画です。

昨年末に120億円投資をしてレディスアパレルの「キャン」を買収しました。役員総出で大型のM&A案件を抱え込みましたので、マーケティング戦略が弱まり、前年度は既存店が苦戦しました。ですが、足元では基幹ブランドのアースが回復し始めてきています。


――今後の目標は。

まずは2017年までにレディスアパレル第3位を目指します。ポイント(9月1日からアダストリアHD)さん、パルさんなどが当面の競合となってきます。われわれは中国で今期40店舗、来期60店舗と出店にアクセルをかけていきますので、今後はアジアの出店で差がついていくでしょう。

それ以降の成長戦略については、8月末から雑貨業態「メゾン・ド・フルール」を開始するほか、新規のグローバルブランドを来期に立ち上げ、多ブランド展開を進めていきます。柳井さんほど高い目標は掲げませんが、最終的には「ZARA」や「H&M」など現在のグローバルSPAと同じくらいの売上高1兆5000億円、純利益1000億円が目標です。M&Aもまだ模索しています。

株式公開の可能性は「否定しない」

――資金調達手段として、株式上場という選択肢はありませんか。

五分五分ですね。IPO(新規株式公開)の可能性も否定はしません。これまでは実質無借金のビジネスモデルでなんとかやってきました。ただ、これからは年間100店舗の出店を続けながら、グローバルで事業展開していかないといけません。そのためには人材と資金調達の両面で必要になってきます。

大型調達が必要であれば、近年中にIPOの可能性もあると思います。まあ、この1〜2年で、その判断をしなければならないと思います。監査法人も5〜6年前から入れているので粛々とどちらにも転べるように準備はしています。

(撮影:尾形 文繁)


05. 2013年9月12日 16:10:56 : nJF6kGWndY

>>03

上に書いた通り、

景気や規制の状況に応じて、増えたり 減ったりする

それだけ


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