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中国経済に回復の兆し? (在野のアナリスト) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/379.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 9 月 11 日 00:15:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52511479.html
2013年09月10日 在野のアナリスト


安倍首相が9月中に経済対策パッケージをまとめ、消費税増税による落ち込みへの対策とする方針を、閣僚に指示したと伝わります。しかしここには大きな矛盾があり、増税できるほど景気が強いことが、増税の前提であるはずです。新たに景気対策が必要なほど、回復が脆弱なら、本来は増税すべきではありません。しかも復興需要、五輪需要、国土強靭化計画と財政出動は目白押しで、逆にいえば景気対策が利きにくい環境であることも、このパッケージに懐疑的にならざるを得ません。特に、低所得者に1人1万円? なる案で、何が景気対策かもさっぱり分かりません。

読売が、消費税増税に反対の社説をうちましたが、理由は軽減税率の導入が間に合わないこと、です。しかしこれも大いに矛盾しています。増税だけ先に決め、中身は後で決めるからあのときは賛成でした、は通りません。こういう形でなければ賛成できない、それが正論の主張です。スケジューリングは決まっており、議論が間に合わないことも予想できたことです。自分たちのロビー活動が上手くいかず、新聞に軽減税率適用がないから反対、といっているようにしか聞こえません。

最近、中国の経済指標に好調なものが目立ちます。今日の8月鉱工業生産指数も10.4%増と市場予想9.9%増を上回ってきました。1-8月固定資産投資は前年同期比20.3%増、不動産投資は19.3%増でした。さらに広義の資金調達である社会融資規模は1.57兆元と、前年同月比25%も上回っています。

しかし警戒も必要です。習体制になってから、一時期は不動産投資などに規制をかけ、投機を抑制した結果、想定以上に景気が落ち込んでしまったため、今はその巻きなおしの動きが起きている、とみるのが一般的です。しかし一度落ち込んだ景気が、そう簡単にもどることがないのは、経験則です。中国のような共産主義体制に当てはめるのは危険ですが、今回は中央からの号令で、地方の統計局が好調な数字を報告した結果である、という公算も強い。本当に鉱工業生産が伸びたとすれば、在庫投資の側面が強く、消費の弱さからも国内外において過剰在庫の懸念があります。

もう一つ気になるのが、社会融資規模の伸びです。シャドーバンキングは、個人や中小などが一度手をだせば、通常の金融機関の融資対象とはならない、それが鉄則です。シャドーバンキングの実態はつかみにくいですが、仮に100兆円程度としても、1月で25兆円も伸びれば、融資対象が被っている可能性が高い。つまり金融機関が資産の劣化を覚悟で、ムリして融資したとしか思えないのです。

数字の信憑性が低いので何ともいえませんが、不動産投資にしろ、価格の伸びは一部の回転取引によって押し上げられている側面もあります。いくつかの主体が、買いをくり返して値を吊り上げている。鬼城のように、無人の都市ができている現状で、相対的に価格が押し上げられているとすれば、投機対象としての価値しかなく、値を飛ばすことで双方が資産を増やしている。これは金融取引としては、極めて危険なやり方です。ここもとの中国経済は、回復というより終わりの始まり、としか見えず、実態がみえたときの中国経済は、矛盾だらけで修復不能になりかねないのでしょうね。


 

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コメント
 
01. 2013年9月11日 08:40:25 : niiL5nr8dQ
工場としての中国の魅力が薄れているのは確かです

チャイナリスク再考(第3回)

2013年9月11日(水)  菅野 寛

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。
 9月のテーマは、日本企業が直面する「チャイナリスク」。2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化してから1年。中国国民の間でくすぶり続ける反日感情は、現地に進出している日本企業の事業活動にどのような影響を及ぼしているのか。また、賃金の高騰などによって、「世界の工場」としての中国の位置づけは変わりつつあると言われるが、実態はどうなのか。国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。
 今回から2回にわたって、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の菅野寛氏の論考を紹介する。チャイナリスクを「世界の工場」としてのリスク、「巨大成長市場」としてのリスクの2つに分け、それぞれのリスクが高まっている要因や日本企業が考慮すべきポイントなどを指摘していただく。
(構成は小林佳代=エディター/ライター)
 2012年9月11日の尖閣諸島国有化をきっかけとして、日中関係が緊張し、激しい反日デモが繰り広げられた後、「チャイナリスク」は一種の流行語のようになっています。ですが、このチャイナリスクという言葉が表すものは人によってバラバラ。議論の内容もアバウトなものが多いように見受けられます。今回は、言葉そのものを定義しながら、中国ビジネスにおけるリスクを考察していきましょう。

 当然のことですが、ビジネスにリスクはつきものです。リスクを取ってリターンを得るのがビジネス。中国に限らず、どんなビジネスにもリスクはあります。ことさら、チャイナリスクが指摘されるようになったのは、以前に比べ、よりリスキーになったと判断されているためです。

 では、チャイナリスクと言った時、「何に対するリスク」「何に起因するリスク」なのでしょうか。

 何に対するリスクかは、大きく分けて2つあります。

 第1に「世界の工場」として中国が抱えるリスク、第2に「巨大成長市場」としての中国が抱えるリスクです。今回はまず、世界の工場としての中国のリスクを見てみましょう。

 世界の工場としての中国にリスクが指摘されるようになったのは、何が原因でしょうか。

 中国が世界の工場として君臨したのは、安価で豊富な労働力があるからでした。しかし、今では労働力は安価でもなく、豊富でもなくなりつつあります。

 この数年、中国労働者の賃金上昇傾向が続いています。人民元が値上がりしていることも影響し、米ドルベースで見ると、平均賃金はこの10年間に3倍以上に上昇しています。

 労働力の供給不足も表面化しています。理由は3つほどあります。

 第1に、以前のように、貧しい内陸部から豊かな沿岸部に仕事を求めて人が出てこなくなったこと。経済成長に伴い、内陸部も発展しつつあり、生活水準が向上したため、沿岸部への移動の量とスピードがスローダウンしています。

 第2に、人口抑制のために導入した一人っ子政策の影響。既に2012年には生産年齢人口(15〜59歳)が前年比で初めて減少しました。2020年代後半には、65歳以上の人口が15歳未満の人口を逆転すると見られるなど、急速に高齢化が進んでいます。生産年齢人口はさらに減少することが予想されます。

 第3に、一人っ子政策の下、モノと教育に恵まれて育った若者の気質の問題があります。1980〜90年代生まれの「ジェネレーションY」と呼ばれる世代はワガママで苦労を嫌う。きつくて汚い工場の仕事は「やりたくない」と考えがちです。

 このように、この十数年で、中国の「安価で豊富」という中国の労働力神話は崩壊しました。

精緻に調査・分析を行い、個別解を探る

 経営指標で言うと、リスクという観点で問題になるのは、投資した額に対して、どれだけ利益を生み出せるかを表す「ROI(投資利益率)」です。この数値が低かったり、不安定だと認識されると、リスキーと判断されます。

 世界の工場として中国を見た場合、10年前の中国に比べ、相対的に投資によりコストがかかるようになっています。つまり、ROIが悪化している。以前に比べ、よりリスキーになったという認識は正しいでしょう。

 ただ、他国と比較した時には、いまだに中国の優位性はあります。

 1つには、労働力の質の問題があります。1人当たりの生産性を見ると、中国はミャンマーやカンボジア、ベトナムなどほかのアジア新興国に比べてまだまだ高い。こうした新興国も急速に力をつけてきていますから、今後、その差は徐々に縮まるとは思います。ただ、今の時点でエモーショナルに「中国はダメだ」と言うのは早計です。


一橋大学大学院国際企業戦略研究科の菅野寛教授(写真:都築 雅人)
 欧米企業の中には、リスクが高まった中国から早々に撤退したところもあります。が、冷静に考えれば、必ずしもそれが得策とも言えません。

 日本企業が取るべきアクションとしては、「中国一本足」から脱却するということです。例えば、これまで製品全体の8割を中国で生産していたなら6割に減らし、残りの2割を別の国に移管するといった対応が考えられます。

 現に中国への投資は継続しつつ、並行して他国にも拠点を構える「チャイナ・プラスワン」、「チャイナ・プラスアルファ」の動きが活発化しています。中国に進出する日本企業は、精緻な調査・分析を行い、最適解を探るべきでしょう。

 どの企業にも有用な一般解はありません。生産している製品の種類、重量、仕入れから販売に至るサプライチェーンの距離、関税などの法制度・規制、顧客のニーズ、自社の製品のポートフォリオなどの要素を論理的に分析し、各社なりの個別解を探る必要があります。私が見るところ、多くの企業が、横着していて、こうした調査・分析をしなさすぎる。

 いくつかシナリオを書いて、シミュレーションをしてみることです。賃金や規制、製品ポートフォリオなどの要素が変わった場合、どうなるかを探ってみる。起こり得る未来がだいたい見えてきたら、そのうえで、ベストな解を見いだす。個々の企業が、地道にその作業を続けるしかないと思います。

高品質な労働力を求めてラオスに進出した例も

 個別解の参考となる例として、手術用縫合針、歯科用治療器具などの医療機器を製造するマニー(栃木県宇都宮市)の取り組みを紹介しましょう。

 医療に使う繊細な針を製造する際には、人間の目でチェックすべき工程があります。1分間で数十本ほどの針をチェックするという負荷の高い作業で、今や中国では労働者の確保が難しい。とはいえ、医療用に使う器具ですから、ミスは許されません。丁寧に綿密にチェックする質の高い労働力が必要です。

 そういう労働力を求めてマニーはアジア各国を回っているうちに、ラオスにたどり着きます。ある村で出会った村長さんを指導力も統率力もあると見込み、「おたくの村に工場を造りたいから、娘さんを数十人確保してほしい」という具合に直談判し契約を取り付けます。

 田舎の村の娘さんたちは、マニーが求める細かい作業を実に几帳面にやり遂げます。

 余談ですが、こういう根を詰める作業は、男性よりも女性の方が圧倒的にパフォーマンスが高い。ノウハウや技術の習得は男性よりも時間がかかるのですが、ゆっくりと能力を高め、最終的には非常に正確・確実にやり遂げるようになります。

 このようにマニーは高品質な労働力を求めて中国以外の国に出て行った結果、中国よりも低賃金で、しかも高い技能の労働力を確保することができたわけです。

 一方、精密機械の分野で、時計のムーブメントなどはかなりの部分で自動化が進んでいます。こうなると、低賃金とか大量の労働力を求める必要がなくなる。むしろ高度に自動化された工場のラインを管理できる優秀なマネジャーが求められます。

 それが確保できるのはどこか。極端なことを言えば、中国から日本に戻るという選択があってもいいのかもしれません。あるいは中国に残るのもいいかもしれません。賃金が高く、わがままになってきているとは言っても、中国には大学の工学部を卒業した高度な技術者が日本よりも1ケタ多く存在するからです。

 部品である時計のムーブメントは世界共通。売る市場によって開発を変える必要はありませんから、市場までの輸送費などを考慮して、工場の場所を決めていくことになるでしょう。

 今回、世界の工場としての中国の魅力が薄れてきたという話を紹介しましたが、これは、10年前から連続的に起きている出来事です。本質的な問題だとは思いますが、今、チャイナリスクとしてホットなイシューとなっているのは、世界の市場としての中国のリスク。次回は、その点を考察します。

(次回は明日に菅野教授の論考の後編を公開します)

このコラムについて
MBA看板教授が読むビジネス潮流

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を国内有数のビジネススクールの看板教授たちが読み解き、新たなビジネス潮流を導き出していく。


02. 2013年9月12日 03:12:46 : L3oWjvNiyM
>しかも復興需要、五輪需要、国土強靭化計画と財政出動は目白押しで、逆にいえば景気対策が利きにくい環境であることも、
--------

この意味、分からん

  復興需要、五輪需要、国土強靭化計画と財政出動は目白押し

これって景気を押し上げるんじゃなぃにょ? とくに内需を



03. 2013年9月12日 10:04:21 : niiL5nr8dQ

村上尚己「エコノミックレポート」 

2013年9月11日
安定成長実現に本気の中国政府〜中国出張報告〜
今週、北京・香港において、現地の当局者や金融市場関係者を訪問し、中国経済や政策・市場動向についてミーティングを行っている。2013年前半は中国経済の停滞が鮮明になり、日本など先進国とは対照的に、新興国株は調整し、新興国・資源国通貨も下落してきた。

その根幹には、中国経済の停滞が長期化、それが資源輸出国だけでなく昨年まで好調だったASEANにまで及んでいることがあった。「シャドーバンキング問題」が表面化、メディアを賑わせたことも、中国経済への投資家の不信感を強めた。

習近平体制となり政治体制が落ち着けば、経済政策も強化されるという期待も、昨年から一部ではあった。実際には、成長率の低下が止まらず、このまま停滞が浮き彫りになるシナリオに対しての懸念が強まり、株式・為替市場における「新興国売り」が進んだ。

ただ、中国の経済指標は、春先まで景気減速を示すものばかりだったが、底打ちのシグナルが夏場になって増えている。最も速報性が高い製造業PMIが2ヶ月連続で改善しているだけではなく、輸出や生産指数も上昇している(グラフ参照)。

李克強首相がGDPより重視していると発言した、貨物輸送や電力消費関連の数字も、最近、2、3ヶ月改善を示している(グラフ参照)。これらの経済指標の動きについて、筆者が面談者に質問すると、程度や継続性にニュアンスの違いはあるが、これらの動きを景気復調のサインとポジティブに評価する見方がほとんどであった。

中国経済底入れの兆候は、実は7月の李首相の発言から見えていた。7月初旬に、李首相は「経済成長率の下限を下回るのは許さない」と発言、その後「雇用確保には7.5%の経済成長が必要」「成長率の下限は7%」と具体的に言及。そして、2013年下期の経済政策の方針は、「適度に微調整を行い、経済の安定を保つ」とされた。

リーマンショック以降中国は景気回復を果たしてから、経済構造調整を進めることが、経済運営の基軸に据えられてきた。この方針は保たれているが、一方で安定的成長にも強く配慮をする、ということである。

7月に李首相が発言した時は、6月に短期金融市場で金利が急騰した直後で、首相の発言に対して解釈が分かれていた。ただその後、実際景気回復を示す指標が続いていることもあり、「安定成長への配慮」という政策転換で、これまでの減速が止まり安定成長のフェーズに入った、というのが、これまでの面談者でほぼ一致した見解である。

8月19日レポートで、新興国通貨が売られている中で、中国やブラジル株が底入れしていることに注目すべきと紹介した。この時のレポートでは、これは世界経済安定を反映していると考えた。それに加えて、安定成長に配慮する中国政府の政策転換という国内要因も、中国株反発の一因になっている。

http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/er/economic.htm


 

 


 


http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/20130911_123012.html

新興国通貨が大幅安 ルピー過去最安値



9月相場は乱気流入りか 安全ベルトの点検を

 日経新聞は先月19日、「9月相場は乱気流入りか、安全ベルトの点検を」と題した記事を掲載しました。アベノミクスをはやしたてたマクロ系ヘッジファンドの大半が、すでに日本市場から撤退したとする証券会社のコメントを紹介し、来年4月からの消費税率引き上げの最終判断など、9月になると相場は一変する可能性があるとしています。

 9月、10月は例年荒れ相場となりますが、今回は安倍首相が消費増税について9月に判断すると言っており、そのことは大きな相場変動要因となります。オリンピック開催地が決まることも大きな相場の変動要因となります。(※注:撮影日後、オリンピック開催地は東京に決定)

 基本的なマーケット指標を見ると、ドル円、日経平均、そして新発10年債利回りはそれぞれ一応安定しているものの、大きくここから変動し、荒れ模様の9月に突入するということになります。


新興国通貨が大幅安 インドルピー:過去最安値

 先月19日の外国為替市場で、インドルピーが過去最安値を更新したほか、インドネシアルピア、ブラジルレアルが、約4年ぶりの安値に下落しました。アメリカの金融緩和縮小が見込まれる中、新興国市場からの資金の引き上げが続いている現状が示されました。

 9月が荒れるもう一つの原因は、アメリカのQE3終焉に向けた第一弾が、9月に起こると言われているからです。バーナンキFRB議長は違うことを言っていますが、そう言いながら発表があればその影響も大きいと思われるので、サプライズでやろうとしているという説が根強く、9月が荒れ相場になるもう一つの要因と考えられています。QE3の終焉に向けて、なんらかの行動を9月に取るだろうと一般に言われているのです。

 そうなると新興国に持っていった資金を、アメリカのドルキャリー分は戻さないといけなくなります。いわゆる今までの新興国ブームが終焉しつつあるわけです。インド、ブラジル、BRICsなどが特に影響を受けていますが、インドネシアもこれによって為替が売られました。日本は安定してインドネシアに投資していますが、あぶく銭がドルキャリーで来た投資は戻っていくわけです。それにより4年ぶりの安値をつけたのです。インドルピーにいたっては過去最安値です。


 ただ、主な新興国の対米ドル相場の推移を過去5年間でみると、大騒ぎをしている割にはそれほど大きく下落しているという印象はありません。ブラジルレアルとインドルピーが特にここ数週間大きく反応を見せていますが、インドネシアはそこまでいっていません。

 インドについては、ビジネスウィーク誌が面白い記事を載せています。インドはタマネギが世界一の消費量ですが、今年はタマネギが不作で危機となっているというのです。カレーに入れるなど世界最大の消費国であるインドはタマネギがないと成り立たないようで、タマネギ騒動という事態になっているという記事が出ています。

 また為替のテーマでは、タイム誌に、ドイツとユーロに関する記事が出ています。ユーロを救うことはドイツにとっても重要であるということで、ドイツは自分たちがユーロ支援を止めれば、ドイツの強さもどこかへ行ってしまうというのです。当たり前ですが、ユーロを守ることはドイツ自身にとっても必要なことだという話です。

 何故ドイツがユーロを救わないといけないのか、実はこれは製造業に関連があります。ドイツは今非常に労働力が払底していて、旧西ドイツではほぼ完全雇用に近い状態です。そして、ドイツでは製造業の比率が22.6%と非常に高く、この製造業部門は、ユーロ圏にいるからこそ製造したものの買い手があり、調子が良いのです。日本は輸出依存度が約13%ですが、ドイツではGDPの50%を輸出に頼っているので、ドイツはどうしてもユーロを救わないと、この製造業が大きなダメージを被り、GDPどころではなくなるということなのです。他の国に比べて圧倒的に製造業の比率が高いので、ユーロを救済することはドイツ自身のためでもあるということなのです。


世界の政府系ファンド資産残高約539兆円 〜米ソブリン研究所(6月末)〜

 米ソブリンウェルスファンド研究所がまとめた調査結果によりますと、6月末の世界政府系ファンドの資産残高は5兆4,890億ドル(約539兆円)でした。ヘッジファンドの運用資産の2.3倍で、総資産のうち、アジアが約4割を占めるということです。


 ソブリンウェルスファンドの保有資産額の推移を見ると、どんどん規模が拡大しています。内訳はアジアが4割、中東が35パーセント、欧州はノルウェーなどを中心に17パーセントです。ノルウェーは、石油・天然ガスからの収入が得られなくなった将来のノルウェー国民の年金資金等に備えるため、石油・ガス事業からの国の収入を積み立てている基金。次いでサウジアラビアの通貨庁も大きな資産規模を誇ります。そしてアブダビ、中国のCICと続きます。こうしたところが有名なソブリンウェルスファンドです。

 そうしたソブリンウェルスファンドの中で、カタールはその金で多くの海外の企業を買っているという記事がフォーチュン誌に出ています。ドイツ、イギリス、スイスなどの企業が多く、金融関係の企業もイギリスを中心に買収しています。カタールの国策ファンドはM&Aが非常に活発なのです。



講師紹介




ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一


04. 2013年9月12日 10:07:51 : niiL5nr8dQ
JBpress>海外>The Economist [The Economist]
インド中銀新総裁:ラジャン氏にかかる期待と圧力
2013年09月12日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年9月7日号)

高名なエコノミストを1人選ぶ。その人物に新興国の中央銀行の運営を任せる。そして沸騰させる。

中央銀行、インフレ抑制策として短期金利を6.0%に引き上げ - インド
インド準備銀行(中央銀行、RBI)はインドで最も優れた機関と言われる〔AFPBB News〕

 政府の大物がラグラム・ラジャン氏に電話をかけ、ルピーがいくらで取引されているか尋ねていることから、ラジャン氏がインドで重要な人物になったことが分かる。

 ラジャン氏がブラックベリーやパソコンをチェックすることなく、ルピーの為替レートを小数第1位まで答えていることから、インドが窮地に陥ったことを同氏が心配していることが分かる。

 ラジャン氏は9月4日、恐らくインドで最も優れた機関であるインド準備銀行(RBI)の第23代総裁に就任した。退任する総裁は、新興国の中央銀行が機能する仕組みを再定義するようラジャン氏に求めていた。

 ラジャン氏は就任初日、然るべく近代化を進める基調を打ち出し、インドの金融システムを自由化すると約束し、フェイスブックで多くの「いいね!」を獲得することは期待していないと付け加えた。

1991年の危機以来最悪の経済混乱

 だが、ラジャン氏の最初の仕事は、1991年の危機以来最悪のインド経済の混乱に対処することだ。経済成長率は4〜6月期に4.4%まで低下しており、経常赤字は規模が大き過ぎる。新興国市場の総崩れ状態はルピーに大きな打撃を与え、対ドル相場は年初来18%下落した。インドの銀行システムは揺らいでいる。

 ラジャン氏の優れた才能を疑う人はほとんどいないが、同氏がRBIの仕事にふさわしい資質を持っているか疑問を抱く人はいる。ラジャン氏はインド生まれだが、主にシカゴ大学を拠点とする花形エコノミストとして知られている。金融政策の専門家ではない。

 同氏の著作は自由市場の信念に関するもので、その論調は投資家がどれほど理性的なのかという疑念と規制の意図せぬ結果に関する懸念を帯びている。

 2005年、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めていた時には、ワイオミング州ジャクソンホールでの年次会合で世界の中央銀行家を前に悲観的な講演を行った。それはサブプライム危機を予測するエコノミストの珍しい例だった。ラジャン氏の著書『Fault Lines(邦題:フォールト・ラインズ「大断層」が金融危機を再び招く)』は、エコノミストがサブプライム危機を説明する最も優れた例の1つだ。

 だが、ラジャン氏は西側の多くの人が思っている以上にインドの政策立案に近いところにいた。2007〜08年にはインドの金融部門の自由化を推進する委員会の長を務めた。2008〜12年には、マンモハン・シン首相の非公式のアドバイザーを務めており、世界危機に関するメモを首相に定期的に送ったり、時々話をしたりしていた。

 過去1年間は、政府の首席経済顧問を務めていた。このポストのラジャン氏の前任者は、デリーにある植民地時代の大建造物ノースブロック(政府庁舎)の奥深くで苦しんだ。

 ラジャン氏はパラニアッパン・チダムバラム財務相の側近の1人として、財務相の隣に座っていた。そこはシカゴの講堂とは遠くかけ離れた場所だ。ラジャン氏は8月のある日、正式に「後進地域」と分類し直される可能性の高いオリッサ州の政治家たちと議論する姿を目撃されている。

 ラジャン氏は、インドの官僚制度は「時として驚くほど効果的」であり、この1年、危機を防ぐための財務省の活動が助けになったと話している。「驚くほどの財政縮小」が行われたと言う(州政府を含め、インドの財政赤字はピークの国内総生産=GDP=比約10%から約7%まで減少している)。「我々は経常収支に問題が起きていることを早くから認識していた」

 だが、投資家は依然、悲観的だ。ラジャン氏は新しい仕事で、切迫したジレンマに直面している。同氏はインドネシアやブラジルが行ったように、通貨を安定させるために金利を引き上げるべきなのだろうか? 多くの人は、利上げは産業の力を失わせ、銀行の不良債権を悪化させると心配している。

 RBIは今のところ小手先の対策に終始しており、金融市場から流動性を吸い上げ、居住者に対する資本規制を強化し、石油輸入業者にRBIのドル準備へのアクセスを与えた。

 ラジャン氏がインドに戻ってくる前だったら、同氏が不介入を支持し、ルピーが自ずと相場水準を見つけるようにした可能性が高かったろう。今はインドの政策立案者に典型的な現実主義の姿勢を示している。

 「市場が到達する均衡が妥当なものであると我々が確信していたなら、そうした立場を取っていただろう」とラジャン氏。「だが、我々が直面する2つのリスクは、短期的には経常赤字が比較的非弾力的であることだ。市場は赤字が縮小するのを辛抱強く待ってくれるかどうか、そして2番目に、市場を過剰反応させる投機は起きていないか、ということだ」

ラグーのレシピ――ラジャン氏の処方箋

 ラジャン氏がRBIにいる今、こうした巧みに調整されたスタンスが続きそうだ。ラジャン氏は就任初日、例えば銀行がドルで借り入れを行うことを容易にするなど、矢継ぎ早に調整策を発表した。ラジャン氏の目的は恐らく、ルピーの動きをなだらかにしながら、利上げを避け、超えてはならない線を引かないことだった。

 インドの外貨準備は限られている。インドネシアはルピアを守ろうとして外貨準備の5分の1を使い果たしたが、目に見える効果は上がっていない。そして、ラジャン氏自身の信用も無限ではない。「彼は市場に話しかけることに慣れていない。彼は自信過剰だ」と、ある外国人投資家は言う。

 ラジャン氏は、ルピー安の最終的な解決策が、弱い製造基盤や危なっかしい財政政策、途方もなく多額に上る金輸入に対処する政府の行動であることを理解している。そうした点で、RBIにできることには限りがある。

 RBI総裁を退任したドゥブリ・スバラオ氏がはっきり述べていたように、これは金融政策についても言えることだ。2008年から2011年にかけての多額の財政赤字は需要をかき立て、投資にはほとんど資金が使われなかった。農業やサプライチェーンの改革は無視され、補助金が農村部に注ぎ込まれた。食品価格は高騰した。産業は煩雑な手続きと汚職のせいで活力を失った。

 その結果、インド経済はいわば二重人格になっている。非公式経済に属する企業と農村部は活況を呈している。サービスと食品に偏っている消費者物価上昇率は10%に達している。都市部と産業部門の経済は低迷しており、製品価格はわずか3%しか上昇していない。RBIは、その両方のために金利を設定しなければならず、しばしば、金融政策の過度な緩和と過度な引き締めを同時に批判される。

 ラジャン氏は言う。「インドは二重経済を抱えており、それが本当の問題だ・・・2つの経済のために1つの手段を使っているのだ」

 7月と8月の大雨で農業生産高が増加し、食品価格は一時的に緩和されるはずだ。だが、インドの構造的問題が対処されるまでは、ラジャン氏も前任者と同様、受け入れられるコストでインフレを抑えるのに苦労するだろう。

救世主に非ず

 ラジャン氏なら、首相と財務相に働きかけ、もっと良い政策を取るよう促せると期待する向きもある。ラジャン氏は創造性に富み、説得力があるが、恐らくそれは同氏――および首相と財務相―の影響力を過大評価している。政府内の改革論者は少数派だ。2014年5月に選挙が予定されているため、与党インド国民会議派の実権を握る名門一族のソニア・ガンジー総裁は票集めに専念している。

 むしろ圧力は反対方向に流れ、ラジャン氏はRBIの独立を守らなければならないかもしれない。政府はRBIに、強力なコネを持つ大物実業家に銀行免許を与えてもらいたいと思っている。ラジャン氏は賢明にもこれに反対しており、もっと小さな銀行が設立されることを望んでいる。

 政府が任命する外部者が多数派を占める新たな委員会の手に金融政策を委ね、金融の安定性に関する権限をRBIではなく財務相に与えるよう求める正式な提案が出回っている。ラジャン氏は両方の提案と戦うべきだ。

 ラジャン氏がRBIの仕事に就いたのは、インドにとって幸運だ。同氏はポピュリズムに対する防波堤になり、また、自由化の擁護者になるだろう。だが、ラジャン氏の最も難しい仕事は、救世主と称されるのを避けることだ。インドの経済的な未来は主に、中央銀行ではなく政府の手に委ねられている。大臣が次に電話をかけてくる時、ラジャン氏は彼らにそのことを思い出させるべきだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38678


05. 2013年9月12日 10:22:06 : niiL5nr8dQ

中国は「しがみついてでも残るべき市場」です

チャイナリスク再考(第4回)

2013年9月12日(木)  菅野 寛

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。
 9月のテーマは、日本企業が直面する「チャイナリスク」。2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化してから1年。中国国民の間でくすぶり続ける反日感情は、現地に進出している日本企業の事業活動にどのような影響を及ぼしているのか。また、賃金の高騰などによって、「世界の工場」としての中国の位置づけは変わりつつあると言われるが、実態はどうなのか。国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。
 今回も、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の菅野寛氏に登場していただく。「巨大成長市場」として中国が抱えるリスクを読み解いたうえで、規模、成長性を考慮すれば、日本企業にとっては依然、可能性の大きな有望な市場であると説く。
(構成は小林佳代=エディター/ライター)
 前回に説明したように、チャイナリスクには「世界の工場」として中国が抱えるリスクと「巨大成長市場」としての中国が抱えるリスクの2つがあります。今回は、巨大成長市場としての中国が抱えるリスクについて考察します。

 中国市場のリスクとして第1に挙げられるのは「経済成長鈍化」、第2が「成長に伴うひずみ」、第3が「政治リスク」、第4が「反日リスク」です。

 第1〜第3までのリスクは、日本企業に限るものではなく、すべての国の企業に共通するリスクです。尖閣諸島国有化をきっかけに勃発した激しい反日デモの影響で、第4の反日リスクが、エモーショナル、センセーショナルに誇張され、多くの人が過大に見る傾向にありますが、本質的には第1〜第3のリスクの方が大きいと言えます。

 チャイナリスクを判断するには、これら4つのリスクを冷静に分析していくことが必要です。

 第1の経済成長鈍化リスク。高度成長を遂げていた中国経済がスローダウンし、今年から来年にかけて、何らかの「調整」局面が起きる可能性があります。バブルがはじけるようにハードランディングするのか、ゆっくり安定成長に移行するソフトランディングできるのかは、中国政府のさじ加減次第。経済合理的に予測するのは難しい。ここにリスクがあると考えられています。

 中国経済の成長は10年前に比べ、確かにスローダウンはしています。けれど、今も7%台の成長を続けている。欧米、日本は3%未満ですから、それに比べれば信じられない高成長です。インド、ブラジルなどほかの新興国に比べても成長性の上で何らそん色はありません。世界第2位の経済大国と規模も大きいうえに、まだまだ非常に魅力的な市場。手を引くことはあり得ず、むしろ投資してリターンを取りに行くべきだと私は思います。

 第2のリスクが成長に伴うひずみ。その典型例が大気汚染などの公害問題です。水、食品などの安心・安全にかかわるリスクも懸念が高まっており、北京市に駐在していた外国人ビジネスマンと家族は、半分以上が帰国したと言われています。

 しかし、こうしたひずみは、過去、経済成長に伴って、あらゆる国で起きてきたことです。日本でも1950年代半ばから70年代半ばの高度経済成長時代には、水俣病、四日市ぜんそくなど公害の問題が生じました。産業革命の時の英国、米国も同様です。当たり前の、いつか通る道を中国もたどっているということです。

 日本企業から見ればむしろビジネスチャンスでもあります。高度成長時代に直面した公害問題に対処した経験から、日本は中国が必要とする技術やノウハウを備えているからです。

 安心・安全に関しては、中国国民も非常に不安視しています。きちんとした対策を打たない政府への不信感もものすごく強い。国内企業は信用できないということで、外国ブランドの人気が高まっています。中国国民は安心・安全な日本製品が大好きです。化粧品、食品、赤ちゃん用品など、中国製品には不信感がある一方で、日本製品をものすごく高く評価しています。

 三菱樹脂が中国で立ち上げつつある植物工場なども注目されています。大気汚染の心配のない密封された空間の中で、安心できる日本のテクノロジーで作られた野菜は、高くても喜んで買う消費者がいるのです。

 環境や安心・安全面だけではありません。中国の賃金が高くなる中、少ない工員で効率的に生産する日本企業の技術やノウハウは間違いなく必要とされます。また、やがて到来する高齢化社会では、日本企業が工夫しながら開発してきた高齢者向けサービスや高齢化社会のビジネスモデルが中国で受け入れられることでしょう。

日本は中国に必要なものを補完できる

 距離的にこれほど近い国で、こんなに都合の良い、強力な補完関係が成立する。しかも、相手からそれを求められている。これを逃す手はないと思います。


一橋大学大学院国際企業戦略研究科の菅野寛教授(写真:都築 雅人)
 第3の政治リスクでは、政治汚職や経済格差に対する国民の不満が非常に高まっています。不正に資産をため込んで、資産と妻子を先進国に移し、タイミングを見計らって本国から逃げ出そうとする高官も多く、「裸官」という言葉が一般に浸透しているぐらいで、汚職に対する目は非常に厳しい。成長している時には表面化しない不平等の問題も、成長が鈍化した途端、噴き出すと考えられます。

 インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及により、情報は一般市民にも広く浸透し、政府は情報をコントロールできなくなりつつあります。政府は国民の不満を抑えるのに四苦八苦しています。デモも頻発し、今や国内治安維持費は国防費を上回っているほどです。

 共産党一党支配の国ですから、当局が、こういう国民の不満を汲んで産業政策を恣意的に変更することもあり、進出企業は振り回される可能性があります。

 けれど、こうした政治リスクは、中国だけに特異なものではありません。ロシア、インド、ブラジル、中東、アフリカなど、ほとんどの新興国は行政指導の不透明さや腐敗等の政治リスクを抱えています。

 心地良いビジネスができる欧米諸国は低成長。これらの先進国相手にビジネスをしていて、企業の将来があるとは思えません。成長を期するのであれば、政治リスクのある新興国に出ていくことは必須です。リスクをいかにマネージするかが問われます。

 第4の反日リスク。尖閣事件後には反日デモが史上最大規模となり、日本製品の不買運動が激化しました。けれど、こうした反日の動きは、中国以外の国でも起き得ることです。

 例えば、かつて、米国との間でも日米貿易摩擦が起きました。反日感情が高まり、論理的根拠に基づいてではなく、政治的理由で米国から様々な要求を受けました。それに対し、日本企業は米国で現地生産するなどの手立てを打ち、乗り越えてきたわけです。

 中国と米国の間でも、同様のことは起きています。米国が人権問題などで中国を非難するたびに、中国が米国企業に対して、経済合理性では説明できない締め付けをすることがあります。

 2006年には中国の検査当局がマックスファクターの化粧品「SK-U」から禁止成分を検出したとして販売禁止としました。日本、韓国、シンガポール、台湾などでも大騒ぎになりましたが、各国政府は、「SK-Uは安全である」と宣言しています。1カ月後に中国もあいまいな安全宣言を出して収束させています。

 マックスファクターは米P&G傘下の企業。ちょうど、中国がSK-Uを販売禁止にしたのは米国が人権問題で中国を叩いた時期の出来事だったため、その報復ではないかという見方が出ました。

 何が起きるかを合理的に予測できないいらだたしさはあります。が、中国ではある程度の頻度で、こういう事態が起きることを織り込んだうえで、ビジネスを考えるべきだと思います。

一時的に2〜3割売り上げが落ちることはあり得るが

 2012年の尖閣諸島問題の後、自動車、家電、化粧品、日用品など日本企業の消費財の売り上げは下がりました。けれど、1年たって、かなり回復しています。

 日本と中国の政治的関係は冷え込んでいますから、再び、尖閣事件のような衝突も起こり得ます。一時的に2〜3割売り上げが落ちることもあるでしょう。

 けれど、最終的には経済合理性が勝つと見ています。中国は日本企業にとって魅力的な市場。そして中国は日本企業を必要としている。日中は補完関係にあるのですから、それを危うくするレベルにまで日中関係を悪化させることは、双方とも考えていないはずです。

 「反日感情で一時的に売り上げが落ちることがある」と覚悟して、どれぐらいの頻度で起きるのか、どれぐらいの期間で売り上げが戻るのか、起きた時にはどう対応するのかということをマネージしていくことが必要です。

 中国市民は歴史の授業などで、反日的な教育を受けていますから、底流に反日感情があるのは致し方ないことです。中国でビジネスを進める際には、それを踏まえた工夫をすることも必要です。

 まずは行政当局と良好な関係を築くことに力を注ぐこと。賄賂を贈れというわけではありません。「あなたの市民に貢献しようとしている」ということをしっかり伝え、そのために一緒にやっていこうと地道に呼びかけるのです。

 当局はエスカレートする市民の不満を逸らすため、時々、“日本カード”を切りたいという誘惑に駆られてしまう。それを防ぐには、良好な人的関係を構築しておくことが重要です。

 例えば、大連市はずいぶん前から日本企業を誘致することで経済を発展させてきた経緯があり、尖閣事件の時もほとんど問題が起きませんでした。日本企業と市当局が良好な関係を築いていることが良い結果につながっていると考えられます。

時には日本名を隠すしたたかさも必要

 市民に対しても、「我々は中国市場を大切に思っている」「中国人のための中国企業になっていく」とアピールし、中国人消費者を「日本びいき」にすることが必要です。

 例えば、トヨタ自動車は中国で設立した合弁会社に中国人幹部をどんどん登用しています。また、反日デモで、日本車であるがために傷つけられた場合、無償で修理し、「顧客を大切にする企業」というイメージを高めることに成功しています。

 また、LIXILは、買収したばかりの米アメリカンスタンダードのブランドを中国市場で使う戦略を講じています。日本企業であることをあえて見せない戦略です。

 オムロンヘルスケアの体温計・血圧計の中国での販売は尖閣諸島問題の影響を全く受けませんでした。これは、オムロンヘルスケアの製品が既にナンバーワンのマーケットシェアを取っており、揺るぎない信頼を勝ち得ていたからです。

 さらに加えて、これは全くの偶然ですが、中国ではオムロンの会社名は「欧姆龍」という漢字を当てて「オムロン」と読ませています。中国の消費者は「欧」、すなわち欧州の企業であると思っているらしい。

 これは、台湾企業が欧州市場でビジネスをする時によく使う方法です。欧州で台湾製品は「安かろう、悪かろう」と思われている。そこで欧州企業にしか見えない製品名や企業名を付け、本社をブリュッセルに構えたりしています。

 日本企業だってそれをやればいい。ネガティブなイメージを持たれているのなら、それを変える努力をする。中国市場や中国国民のためと思ってやっていることはきちんと宣伝する。一方で日本色を薄めることにも注力するのです。台湾企業の名前を借りたっていいし、中国企業と合弁会社を作って、中国企業を前面に出してもいい。

 日本企業の中には、「そんなことはプライドが許さない」「日本人なのだから、堂々と日本名を名乗りたい」という意見もあります。私からすれば、それは感情論であって、ビジネス論ではない。身を捨てて実を取るしたたかさも必要です。

 中国は世界第2位の経済大国。ほかの新興国に比べて特別にリスクが高いわけではありません。しかも、日本が持っているもので、中国が必要としている技術・ノウハウは多く、日本企業にとっては大きなビジネスチャンスがあります。

 前回、世界の工場としての中国のリスクを考えた際、「中国一本足からの脱却」が必要と指摘しました。もちろん、市場としての中国を考えた時にも同様に、多角化は必要です。ただし、中国市場から撤退するとか、中国の優先順位を極端に下げるという選択はあり得ない。中国は「しがみついてでも残るべき魅力的市場」だと私は思います。

(次回は、9月18日水曜日に早稲田大学商学学術院の太田正孝教授の論考を公開する予定です)

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