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ほとんど問題にされない巨大な経済格差、"法外な幸運"を享受する産油国の実態[橘玲の世界投資見聞録] 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/467.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 9 月 15 日 21:03:29: AtMSjtXKW4rJY
 

世界最大のショッピングモール、ドバイ・モール(2008年末完成)     (Photo:©Alt Invest Com)


http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130915-00041600-diamond-nb
ダイヤモンド・オンライン 2013/9/15 16:30 橘玲


 2011年9月に“We are 99%”のプラカードを掲げた若者たちがウォール街を占拠したとき、アメリカ人は「格差社会」に本気で怒っていた。

 サブプライムバブルが崩壊し、2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻すると失業率は10%に迫り、19歳から20代前半の若者の失業率は4割を超えた。2009年3月、米国政府から総額1800億ドル(約18兆円)の公費を投入された大手保険会社AIGが、幹部社員400人に対して総額2億1800万ドル(約210億円)、一人あたり平均5億円のボーナスを支払ったことが判明し、全米の怒りが爆発した。AIG側は「ボーナスは金融危機前から契約で決まっていた」「報酬を払わずに幹部社員に大量退職されると会社再建が頓挫し、結果的に公的資金が毀損する」と述べたが、そんな説明が受け入れられるはずもなく、幹部社員の自宅には抗議団体がバスで乗りつけ、脅迫や嫌がらせも相次いだ。

 米国市場のその後の回復でAIGに投入された公的資金は完済されたものの、これが「グローバル資本主義」のモラルハザードを象徴する事件であることは間違いない。

 その一方で、世界にはさらに巨大な経済格差がある。だが不思議なことに、それについてはほとんど問題にされることはない。

● 高級スポーツカーを導入したドバイ警察

 ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)のひとつで、1980年代に大型港湾を備えた経済特区と近代的な空港、フラッグキャリアとしてのエミレーツ航空などのインフラを整備し、2000年代に入ると中東における商業・貿易の中心として、さらには金融センターとして空前の繁栄を謳歌した。

 世界一の超高層ビルであるブルジュ・ハーリファや“7つ星ホテル”バージュ・アル・アラブなど、ひとたびドバイに降り立てばそのゆたかさは一目瞭然だが、それに加えて今年4月、ドバイ警察がイタリアの高級スポーツカー、ランボルギーニをパトカーに導入したというニュースが世界を驚かせた。そればかりか、“ランボルギーニ・パト”が大きく報道されたことで気をよくしたドバイ警察は、フェラーリ、アストンマーチンと次々とスーパーカーを導入し、ついには世界でもっとも高価なブガッティヴェイロンの“16.4スーパースポーツ”の採用も決めた。2010年に時速431.072kmの最高速を計測し、ギネスブックの量産車世界最高速記録に認定されたこの車の価格は日本円で約2億円という。

 何カ月か前の新聞に、中東の産油国に招聘された欧米人サッカーコーチの嘆きが掲載されていた。

 若いサッカー選手は、有名になって成功するために必死に努力する。しかしこの国ではサッカーチームは王族の持ち物で、プレイが気に入られると褒美が与えられるのだという。

 サッカーコーチはこう語っていた。

 「彼らの自宅の車庫には(王族からもらった)フェラーリが何台も置いてあるんだ。世界の一流選手より金持ちの無名選手をどうやってモチベイトしたらいいか、僕にはわからないよ」

 ウォール街の所業のなかにはたしかに道義に反するものがあるが、大手金融機関の幹部となって年収数億円を稼ぐ立場にたどり着くには激烈な競争を勝ち抜かなければならないのもたしかだ。ウォール街のホームレスをゴールドマンサックスに連れていっても、いきなりビッグディールができるわけではない(だからといって高額報酬を正当化するわけではないが)。

 だが一部の産油国に生まれれば、能力に関係なく誰でも無条件で大金持ちになれる。どちらがより理不尽で道義にもとる「格差」なのかは考えるまでもないだろう。

● 「主権独立」と「内政不干渉」では解決不可能な現実

 ウォール街の高額報酬にアメリカ人が激怒するのは、金融機関がアメリカの会社で、その社員が「自分たちと同じ」アメリカ人だからだ(実際には外国籍の社員も多いが)。それに対して中東の産油国に住んでいるのは「自分たちとはちがう」ひとたちで、彼らがどれほど恵まれた生活をしていようが、自分たちとは直接の関係がないように感じる。

 ひとは自分の「なわばり」についてはものすごく敏感になるが(だから領土問題はあれほどこじれる)、「なわばり」の外の出来事には概して無関心で、シリアで化学兵器が使用されたことも、ドバイでランボルギーニのパトカーが走っていることも、日々のニュースのひとつにすぎない。

 こうした傾向をさらに助長するのが近代の「主権国家」というシステムだ。

 中世のヨーロッパは日本でいう戦国時代の状況で、いつまでたっても“天下”が統一されないまま多数の国が覇を競っていた。そのうえカトリックとプロテスタントのあいだで宗教戦争が始まったことでヨーロッパ全土を「帝国」として統一する望みは絶たれ、このままでは延々と無益な殺し合いがつづくほかないことが誰に目にも明らかになった。

 こうして1648年に、30年戦争の講和条約として、ヨーロッパのほとんどの大国が参加するウエストファリア条約がドイツのミュンスターで締結された。この条約によって、対等な「主権」を有する相互に独立した諸国家が(主権独立)、国内の統治を他国から干渉されないこと(内政不干渉)を条件として、「国際秩序」を形成する時代を迎えることになったのだ。

 現代社会も、基本的に、300年以上前のこの「近代」の枠組みのなかで動いている。だが急速なグローバル化の進展のなかで私たちは、「主権独立」と「内政不干渉」の原則だけでは解決不可能な現実を突きつけられることになった。

 その象徴がたとえばタックスヘイヴンで、(内政不干渉の原則に立てば)民主的な国家がどのような税制を採用しようが自由なはずだが、これを野放図に認めてしまうと他国の税収が大きな打撃を受けるので、大国連合(OECD)が小国の税制に「内政干渉」することが当然だと考えられるようになった。

 だがヨーロッパ内部でもオランダやアイルランドのように経済振興策として“タックスヘイヴン税制”を採用するところがあり、またイギリスのように他国の税制を利用した企業の税逃れを批判しながら、自身は自治領や旧植民地をタックスヘイヴン化してグローバルな金融ネットワークを構築している国もある。

 いずれにせよ、単純な「主権独立」と「内政不干渉」の原則だけではこの難問を解決できないのは明らかだ。

 主権の独立を突き崩すもうひとつの要因が「人権」だ。

 1970年代までは南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)は内政不干渉の名のもとに見て見ぬ振りをされていたが、今日では国家が明らかな人権侵害を行なうことは許されなくなった。旧ソ連圏や文化大革命下の中国、ポルポトのカンボジアなどで、国家権力が自国民に対してどれほど残虐な暴力を行使するかが明らかになったからであり、また1990年代に旧ユーゴスラビアやルワンダでの虐殺が広く報道されたからでもある。

 こうして、主権国家による制度的な矛盾や人権侵害に対しては国際社会によるなんらかのルールづくりが必要だというコンセンサスが生まれつつある(実際に新しいルールができるまでは数世代に及ぶ長い時間がかかるだろうが)。

 だが主権国家の“法外な幸運”はいまだ野放しのままだ。

●  法外な幸運 を享受するドバイ

 中東産油国の王族が莫大な富を有するようになったのは第二次世界大戦後、帝国主義諸国が民族自決の権利を認めて植民地の権益を放棄してからだが、とてつもない富の集積が始まったのは2004年以降のことだ。この年に、これまで20〜30ドル台で推移していたWTI原油価格が40ドルを超えた。

 その後、原油価格は右肩上がりに高騰をつづけ、2005年に60ドル、2008年に100ドルに達し、同年6月には史上最高値の147ドルまで高騰した。世界金融危機で翌年2月には40ドルまで反落したものの、その後はふたたび騰勢を強め100ドル前後で高値安定している。

 原油価格は2000年代に入るまでは長期的に低落傾向で、1980年代から90年代にかけては20ドル前後だった。

 それに対して原油生産コストは、IEA(国際エネルギー機関)の推計によると、1バレルあたり平均12.5ドルだ(原油の探鉱・開発コストが4.8ドル、生産・操業コストが7.7ドル)。産油国は、10ドルで生産した原油を20ドルで売って、その差額を利益にしていた。

 ところが大規模で埋蔵量豊富な油井を持つ中東の産油国はそれよりずっと生産コストが安く、サウジアラビアで3ドル(開発コスト1.5ドル+操業コスト1.5ドル)、その他の中東産油国の生産コストも5ドル以下とされている。この生産コストの安さが、アラブの国々の富の源泉だった(角和昌浩「シェール革命が進むも原油価格の大暴落は起こらない」〈水野和夫+川島博之編著『世界史の中の資本主義』所収〉。

 アラブの大富豪たちはこれまで、1バレルあたり5ドルで生産した原油を20ドルで売っていた。それでもあれだけゆたかだったのが、わずか数年のあいだに同じ生産コストで売値だけが100ドル超に上がったのだ。単純計算で利益は約7倍となり、使い切れないほどの富が流れ込んできた。そこで彼らは、まずは自分の国に超高層ビルや豪華ホテルを建て、次いでロンドンで不動産バブルを起こし、プレミアリーグのサッカーチームを買収し、スーパーカーのパトカーを走らせるようになった。

 駆け出しのサッカー選手の例でわかるように、いまでは裕福なのは一部の王族だけではない。国民のすべてが、毎年1億円の宝くじに当たるような異常な世界になっているのだ。

 もちろん私は、このことをもって「石油資源を共有にして世界の貧しい人々に分配せよ」という極論を述べるつもりはない(それではフセインと同じになってしまう)。しかしその一方で、同じ資源価格の高騰がエジプトで政治的混乱を引き起こし、シリア内戦のきっかけをつくったことも間違いない。

 [参考記事]●商品価格の高騰がアラブの革命を引き起こした

 虚飾に満ちたドバイのゆたかさを目にすると、「近代」が生み出したとてつもない矛盾に思わず考え込んでしまう。そしてこの「格差」を解消する方途を、私たちはなにひとつ持っていないのだ。

 

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コメント
 
01. 2013年9月16日 11:55:23 : hH7pThDSOw
べらぼうに設けた人の消費行動は中東に限らず、どこでもアホみたいなもの。

見栄張り商品に、スイートルームに宝飾品。

しょせん、自慢したい、差をつけたい、威張りたいという人間の下劣な欲望を満たすだけの消費。人間死ぬ時に金を持っていけるわけでもない。


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