★阿修羅♪ > 経世済民82 > 672.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
文化板リンク:リアル!?「半沢直樹」 銀行員「正論は言いにくい」 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/672.html
投稿者 gataro 日時 2013 年 9 月 27 日 10:51:55: KbIx4LOvH6Ccw
 

リアル!?「半沢直樹」 銀行員「正論は言いにくい」 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/675.html
投稿者 gataro 日時 2013 年 9 月 27 日 10:47:02: KbIx4LOvH6Ccw

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年9月27日 12:43:45 : Drf8OBQihs
銀行業界のみならず他業種にも言えるだろ。

02. 2013年9月27日 14:04:45 : niiL5nr8dQ
外資金融の半沢直樹が企む、100分の1返し
若手バンカーが語る、投資銀行業務の悲哀(上)
ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家2013年9月27日

エリートたちの憧れの職場として知られる投資銀行。その実態とはいかに?写真はゴールドマンサックスのニューヨーク本社(写真:Newscom/アフロ)
「書類のフォントのサイズが違うとか、グラフの色が少し濃いとか、会社のロゴを少し小さくしてくれとか、矢印の向きをもうすこし傾けてくれとか・・・・深夜遅くまで連日無駄な作業を振ってくるクソ上司には、倍返し、いや、半返し、いや、10分の1返し・・・この際思い切って、100分の1返しだ!!!」

あれ、なんかこのセリフ、聴いたことがあるようなないような・・・なにやら人気ドラマ“半沢直樹”に出てきそうなセリフだが、復讐の迫力がどんどん尻つぼみになってしまっている。

そう、ここはドラマ“半沢直樹”の舞台となった国内メガバンクよりもさらに輪をかけて激務で社内政治が蠢くとされる、外資系投資銀行の若手社員の叫び声だ。

前回コラムでもう半沢直樹ネタは打ち止めと申し上げたのに、その後も日本の経済紙は私の警告を無視して、半沢直樹人気便乗ネタで埋め尽くされている。私は断固そんな安易な風潮に流されまい、と柔らかく決意していたのだが、たまたま某外資系投資銀行で働く若手アナリストの後輩からメールが入り、それがことのほか面白い。

そこでメガバンクよりもさらに労働環境の厳しい“外資系投資銀行”の半沢直樹を目指すアナリストの本音を、ここで紹介させていただくことにした。

以下は某米系投資銀行に勤める若手インベストメントバンカー(六本木界隈が東京オフィス)が私に送ってくれた、“投資銀行部に入ってよかったこと、悪かったこと”のリストである。

【某大手米系投資銀行若手バンカーからのメール】

大石(仮名)です。下記、深夜のテンションにて、この2年間(もうそんなに経ったのですね……)で私が投資銀行に入って感じた、よかったこと、悪かったことを思うままに記載しております。深夜のテンションで書きなぐっていますので、MECEでも何でもないですが、何かのご参考になれば幸いです。

<外資系投資銀行に入って、よかったこと>

人に語れる苦労話が増えた

・まずは、ムーギーさんと交流が持てたこと。というより繰り返しになりますが、この業界に入れたのは完全にムーギーさんのおかげです(グローバルエリート注釈:彼の就職活動時、私がその就職相談にのっていた)。

・Executionの経験が積めたこと。具体的にはM&A、Equity Financeの提案から執行、クロージングに至るプロセスを経験できたこと。

・さらに具体的にいえば、クライアントへの提案の仕方、実際のExecutionにおける各パーティとのかかわり方、投資銀行として提供するFairness Opinion, Valuation Presentationおよびそのベースとなる財務分析・モデリング、SPA締結に向けたドキュメンテーションプロセスにおける弁護士とのコミュニケーション。そしてなんといってもクロージング後にクライアントから感謝されたこと。

・きれいごとを抜きにして、上記を経験できることは投資銀行の魅力だと思います。私の場合、2年間で4件クロージングまでたどり着けたという運のよさもあったかもしれません。若手でもガンガン客前でプレゼンさせてもらえます。

・あとは、ミスをした際に全力でしかってくれた先輩の存在でしょうか。自分の全力をぶつけることができる相手がいるのは幸せなことです。

・人に語れる苦労話が増えたこと(次ページ参照)。転職活動での面接で相手が元バンカーの場合、とりあえずなんとかなります。

<外資系投資銀行に入って、悪かったこと>

超多忙な割につまらない仕事が多く、給料は減る

・とにかく忙しい、時間がない。「時間はつくるものだ」と昔の偉い人は言いましたが、1日はどう頑張っても24時間しかありません。さらにアソシエイト、ヴァイスプレジデントなどは「自分の時間を作るため」にアナリストに仕事を振ってきます。「週末は休まなきゃだめだよー」とか言っている本人が仕事を振っているのですから、どうしようもないです。

・つまらない仕事が多いが、絶対反抗できない。「どんな仕事にも面白さはある」と昔の偉い人その2は言いましたが、上司の出張先のレストラン予約を10件こなすことの面白みを、ぜひ教えていただきたい。私にできている復讐と言えば、あえて上司の嫌いな料理をセレクトするなどでしょうか。ただ私が日頃受けている虐待や人権蹂躙に比べたら、私にできることは上司が出張の時に評判の悪い運転手さんを手配するとか、100分の1返しが関の山ですが。

・ずるがしこい人が多い。さすがに投資銀行の世界でもまれてきた人たちだけあって、仕事の振り方は天下逸品です。アソシエイトから「分担して仕事をしよう。これ君のパートね。ページ数的には僕も同じくらい作業するからさ」と言われて渡された内容は、たいてい仕事の分量的には1対20くらいの割合です。そのくせ、上司への報告はそのアソシエイトがまとめてするので、なんだかなぁもう、という感じです

・リクルーティングで嘘をつきすぎ。「投資銀行といってもクオリティ・オブ・ライフはしっかりしているし、みんなしっかり仕事して休んでいるよ。仕事の内容も刺激的だし、仮にまた就職活動をするとしても僕は投資銀行を選ぶね!」とかいっている上司が、その上の上司とソリが合わず転職活動に精を出していることを、私は知っています。

・リクルーティングであからさますぎ。きれいな女子プレミアムは確かに存在します。

・給料が減っているらしい。「ベースが上がっているからさ、トータルで見たらむしろ上がっているんだよ!」とフロアの偉い人は言いますが、確実に入社前にイメージしていたものとは違う現実があります。

・理不尽に怒られることがたまにある。「死ね!」って久し振りに言われました。

・あまりグローバル感がない。ニューヨーク研修くらいでしょうか。クロスボーダー案件でも基本的には東京オフィスからの電話会議です。そもそもグローバルとはなんぞやという話はおいておきます 。

……と、本来であれば、「悪かったこと」のボリュームが「よかったこと」の20倍くらいになる予定だったのですが、いざ言葉にしてみるとそうでもなかったことが意外でした。やはり投資銀行とは恵まれた環境なのでしょうか。「もう1回1年生からよろしく!」といわれても、二度と働く気にはなりませんが。

引き続きよろしくお願い致します!

【メール引用終了】

グローバルエリートからの講評

さて、大石君はたいへん正しいことに、私を持ち上げることからメールを始めているわけだが、その後書きつづられた生々しいコメントの数々は、日々18時間労働を週末も正月休みもなく繰り返している本人の言葉だけに、極めて重い。

彼は私が就職相談にのっているときに「めでたく内定したら、もものゼリーとか、とらやの羊羹とか、茶菓子のひとつでも持ってきて報告するように!」と言ったのを真に受けて、私と会うたびに茶菓子を包んで持ってくるたいへん立派な人物である。

大石君はM&Aを担当しているのだが、実は投資銀行部門の中ではこのエクセキューション経験がいちばんその後の転職に生きるので、今から入る人で、激務可能で正確で迅速な人にはぜひお勧めしたい。ピッチ(マーケティング)の資料作りといったパワポの世界から、モデルの作成に際するエクセルのショートカットを覚えまくる基礎的なトレーニングに加え、彼の所属する投資銀行はトップバンクの一角なので、日本でも比較的ディールを多くこなせるのは“激務の最中の報酬”であろう。

そこでは弁護士の先生とのやり取りやら、クライアントとのやり取りやら、規制当局とのやり取りやら、諸々のドキュメンテーション作成やら、その後プライベートエクイティへの転職で雇い手が重視する経験を豊富に積むことができる。

新卒時代の彼に私がアドバイスしたことの一つは、投資銀行に入るなら、世界的なブランドネームがあっても自分の部署はピッチばかりやっている――みたいな会社に入るのではなく、仮にゴールドマンに比べたら名前が多少劣ったとしても、ディールエクセキューションを担当できる仕事に就け、ということである。

尊敬できる上司のいる会社を選ぶ

次に大石君は自分の面倒を見、成長を支援してくれる熱い先輩に恵まれていることに感謝している。これも投資銀行などに限らず“幸せなキャリア”にはたいへん重要なポイントだ。大石君の昇進は直属の上司がどれだけ押してくれるかにかかっているうえ、一緒に日々働く上司が自分の成長を考えた仕事を振ってくれるとやりがいもでき、仕事へのモチベーションも強くなるものである。実際に多くのプロフェッショナルの転職理由の“本音編”の1位は、大抵“社内人間関係”が挙げられているのだから。

逆に「この人の仕事を助けてあげたい」と思わせてくれる上司がおらず、「こういう人にだけはなりたくない」という上司しかいなければ、自然と仕事へのコミットメントも弱まり、自分自身の成長カーブも緩くなってしまうものなのだ。

したがって就職活動中の面接では、「この上司のために働きたいか」という自分とチームのフィットを見抜くことも、その後のキャリアの成功のために非常に重要な要素である。

ただし残念ながら、入った頃にはその上司が辞めて競合他社に行ってしまっていることが多いのだが……。「ウチはゴールドマンみたいな、軍隊みたいなやりかたとは違うからいいんだ!」とか新卒の説明会で豪語していた先輩が、往々にしてその3カ月後にゴールドマンのバイスプレジデントとして転職していたりするのである。

若い頃の苦労は、カネを出してでも買え

最後に大石君は「人に語れる苦労話が増えた」と彼は書いているが、昔の偉い人はうまいこと言ったもので、若い頃の苦労はカネを出してでも買え、というのは“学ぶものがあり将来につながる”という条件付きで、本当の話である(ちなみに、ここには単なるブラック企業は含まれない)。

自分の適性とか将来ビジョンとか、訳もわかっていない20代前半で歩んだキャリアが、総じて賢く勤勉な人たちに囲まれて、仕事のスピードも速く、完成度も高く、労働時間も恐ろしく長い職場で、社会人としてのスタートダッシュを切ることのキャリア観への影響は大きい。

「そもそも仕事とはこのくらいの量を、このくらいのスピードで、このくらいの長時間やるものだ」という厳しい認識が、新卒で入った会社によって職業観のデフォルト設定がなされるのだ。

おかげさまで、その後出くわす大抵の仕事が、早送りか3倍速でDVDを見た直後に普通のスピードで再生したお笑い番組を見たときと同じような感覚を覚えることがある。

まだ頭脳も柔らかく吸収力の高い20代前半・中盤で、たとえ理不尽なことが多くても、学ぶことの多い職場で働けることは、毎月もらえる多少高めのサラリーや毎年のボーナスよりも、貴重な報酬ということができるだろう。20代は目先の給料よりも“何を学べる職場か”というのを重視すべきなのは、30代になったら大抵、“何をこなせるか”でしか転職ができないからでもある。

今回は字数の都合でここらでお暇させていただくが、次回は皆様お待ちかねの、「半沢直樹もビックリ!こんなに過酷な環境で酷い上司が多いのに、土下座をするのは大和田常務ではなく結局私・・・・」編をお送りさせていただきたい。

※ 続編は10月2日(水)に掲載します
http://toyokeizai.net/articles/print/20445

 


 

 


 

半沢直樹もたまげる、究極の「出向先」
大手70社が出資・賛助する、“追い出し部屋”の正体
武政 秀明:東洋経済記者2013年9月23日

JR東京駅近辺に勤務する人ならピンと来るかもしれない。ここが、本記事で取り上げる内容の重要な舞台である(詳細は記事後半で明かします) (撮影:尾形 文繁)
「おい半沢、聞いたか?近藤の出向先がタミヤ電機に決まったぞ」

及川光博さん演じる渡真利忍が、主人公の半沢直樹(堺雅人さん)に語りかける。今年最大のヒットとなったテレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)で、印象的だったシーンの一つだ。

9月22日(日)に最終回を迎えた『半沢直樹』では、銀行から外部企業への「出向」をめぐる、悲喜こもごもの人間模様が最後の最後まで描かれた。衝撃のラストシーンも大きな話題となっているが、出向については論争も巻き起こっている。ドラマが大ヒットした反動で、出向についてネガティブなイメージが多くの視聴者に刷り込まれたかもしれないが、実際の出向とは「出向元(元の会社)との労働契約を維持しつつ、出向先の指揮命令の下で就労する」仕組み。銀行に限らず一般企業では特段珍しいことでもない、という主張が出るのももっともである。

だが、こんな出向の通告を受けたら、さすがの半沢直樹もぶったまげるかもしれない。

富士電機子会社が下した、仰天の「出向命令」

「君の出向が決まった」

「外部企業に?出向先で何の業務に従事するのでしょうか?」

「君の転職先を見つけてほしい」

「私が自分で?」

「そうなる。行き先が見つかるまでの給料は会社が保証するから」

2011年7月。東京・八丁堀のオフィスで、そのやり取りは始まった。重電5社の一角であり、名門・富士電機の子会社である富士電機ITソリューション(FSL、現在は東京・外神田に本社移転)に勤務する40代男性の松木さん(仮名)は、上司からの通告とともに、会社から書面を受け取った。それには、主に以下の事項が記されていた。

出向先:株式会社 関東雇用創出機構(※編集部註:当時の社名、現在は日本雇用創出機構)

所在地:東京都千代田区

形態 :FSLに在籍のまま、他企業に勤務し、その指揮・命令・監督を受けて業務に従事する

業務内容:@自身の転職に向けた再就職活動

     A再就職活動中の給与・賞与は100%支給し、

     再就職支援会社への手数料は会社負担とする

期間 :半年間。但し、再就職先が決定した時点で会社都合退職とする

    (やむを得ない場合は出向期間を延長することがある)

目を疑った。これが意味するのは出向先への“片道切符の島流し”、つまるところ事実上の退職勧奨ではないか――。松木さんはその場での承諾を避け、会社側に再考を訴えた。だが、会社の方針は覆らない。その後も直属の部長や人事部長、取締役などと、約3カ月、延べ20回以上にわたる面談が続いた。「君は勤務成績が悪い。10月にオフィスを移転する予定だが物理的にも君の席はない」などとも伝えられた。

前後して社内で同様の出向を命じられた同僚が、複数いることも知った。「納得いかない面もあるが、自分は転職も考えていたので承諾した」。ある同僚は言った。しかし、松木さん自身は会社を辞めることなど望んでいない。成績が悪いといっても、松木さんは間接部門に在籍しており、評価基準や業績への貢献度も分かりづらい。そもそも、こんな形態の出向など聞いたことがない。

「異議をとどめて、現地に赴く」

松木さんは最後まで抵抗を試みたが、最終的には業務命令違反で自分の立場が不利になることを避けるため、「納得も合意もしていないが、業務命令なので、異議をとどめて、現地に赴く」との文書を会社に渡し、関東雇用創出機構へ出向した。2011年10月のことだ。

関東雇用創出機構のオフィスでは、自分専用のテーブルとパソコンを貸与された。カウンセラーとして常駐している関東雇用創出機構の社員から、履歴書の書き方や面接の注意事項などが記された資料を受け取り、時には助言なども受けたが、「インターネットで転職情報サイトに自分で登録して、転職先を探して自分で面接に行くなど、転職活動は基本的に自分が主体で活動することが前提でした。求人情報の一部提供はあったが、転職そのものを仲介されるようなことはなかった」と松木さんは振り返る。スキルアップを図る研修を受けた記憶はない。

(※編集部註:2011年11月、関東雇用創出機構は関西雇用創出機構と統合し、日本雇用創出機構に社名を変更した。以後の表記は日本雇用創出機構に統一する)

松木さんは日本雇用創出機構に「出勤」し、自分の転職先を探す「業務」を続けた。当初の期間だった半年間では決まらず、出向は都度延長された。その前後で、労働問題に詳しい弁護士に、この件を相談していた。そして2012年9月、松木さんは出向命令の無効や損害賠償などを求めて、FSLを東京地方裁判所に訴えた。

「出向命令権の濫用」が争点

争点は、転職を目的とする出向命令に合理性があるかどうかだ。労働契約法は14条において「使用者(会社)が労働者に出向命令を出す権利を、濫用したと認められる場合は命令そのものを無効にする」と定めている。東京地裁での審理は続いており、早ければ2013年内か2014年初めごろには一審判決が下される見通しだ。


秋葉原電気街から程近い場所にオフィスを移した富士電機ITソリューションの本社
松木さんは裁判を起こした後、2013年1月にFSLから出向を解かれたが、自宅待機を命じられ、現在も自宅待機中である。FSLは、その後も松木さんに対して、会社に出入りしている清掃会社への出向や取引先である配送会社への出向を命じたりしており、松木さんを元の職場に戻すことには否定的だ。

東洋経済はFSLの広報窓口である親会社の富士電機に、一連の件について取材を申し込んだが、「係争中の案件のため、この件は取材には応じられない」(富士電機広報)との回答を得ている。

松木さんのケースは最近、大手家電メーカーなどのリストラをめぐり、「戦力外」とされた中高年社員を集め、スキルアップや求職活動をさせているとして、話題になった“追い出し部屋”を想起させる。東洋経済オンラインでも、ソニーの事例として、週刊東洋経済2013年6月23日号掲載記事を、「ソニー『中高年リストラ』の現場」として配信しているので、併せてお読みいただきたい。

ソニーの“追い出し部屋”と指摘された「キャリアデザイン室」と異なるのは、リストラをしようとする企業の内部にそれはなく、外部への出向というアウトソーシングの形態を採っていることだ。これを請け負っている日本雇用創出機構とは、いったい何者なのか。


冒頭の写真は、パソナグループ本社ビル。松木さん(仮名)が「出勤」していたこともある
本社は東京都千代田区大手町2丁目。JR東京駅・日本橋口からほど近い場所にある、真新しいビル。前面は緑の植物で覆われている珍しい装いだ。人材サービス大手の一角、パソナグループの本社と同じであり、日本雇用創出機構はパソナグループ代表の南部靖之氏が会長を務めるパソナの子会社なのである。

FSLから松木さんが出向した枠組みを、日本雇用創出機構は「人材ブリッジバンク事業」と名付けて展開している。同機構の親会社であり、取材対応の窓口となるパソナに人材ブリッジバンクの詳しい中身について書面で尋ねたところ、「会員企業の従業員で希望される方を出向社員として迎え、カウンセラーによるアドバイスや様々な求人情報を提供することで転職を目指していただきます。出向期間終了日までに転職をされなかった場合、もしくは転職する意思がなくなった場合は、出向元の企業に帰任いただくことが原則となっています」(パソナグループ広報室)との回答が返ってきた。

また、一部でまるで追い出し部屋のアウトソーシングのように指摘されている点について見解を聞いたところ、「このようなご指摘をされることは誠に遺憾です」(パソナグループ広報室)との返答だった。確かに会社や仕事に対する考え方は人それぞれであり、このような形態での転職や再就職を望む人はいるかもしれない。

アルバックの「出向」をめぐってもトラブル

ただ、人材ブリッジバンクについては、半導体製造装置大手アルバックをめぐっても、直近でトラブルが生じた事例がある。神奈川県茅ヶ崎市に本社を置くアルバックは、人材ブリッジバンクを活用して、10数人の社員に日本雇用創出機構への出向を命じたが、それに一部の対象者が強く反発する騒ぎとなった。

出向の一部対象者は横浜に法律事務所を構える岡田尚弁護士に相談。岡田弁護士は、アルバックの労働組合を通じて、神奈川県の労働委員会に企業内での労使問題の仲裁を目的とする斡旋手続きを執った。どのような話し合いが行われたのかの詳細は不明だが、アルバックはその後、当該の出向を打ち切った。岡田弁護士は東洋経済の取材に、「追い出しに手を貸すなんて、パソナのような企業がやるべきことではない」と話している。

パソナ側の人材ブリッジバンクの説明と、松木さんやアルバックのケースで食い違うのは、「希望される方」「転職する意思がなくなった場合」の部分。もともと、出向を希望しておらず、転職する意思もなかったはずの人たちが、半ば強制的に送り込まれたことに端を発して、トラブルが発生しているのだ。


パソナグループの代表を務める南部靖之氏(撮影:尾形 文繁)
それ以上に引っかかるのが、前述したパソナの説明に出てきた「会員企業」の存在である。人材ブリッジバンクには富士電機グループやアルバック以外にも、利用企業がいるということになる。実は日本雇用創出機構のホームページには、「参画企業」として、株主と賛助会員である約70社の企業が紹介されている。いずれも名だたる大手ばかり。富士電機とアルバックの名前も記されている。

では、これらの企業で、人材ブリッジバンクが日常的に使われているのだろうか。場合によって、トラブルを招くようなビジネスにこれだけ多くの企業が参画したり、お墨付きを与えたりしているのか――。取材を進める過程で、そんな疑問が沸いてきた。

もちろん、パソナに聞いてみた。パソナの返事は「各会員企業様のご利用状況についての回答は控えさせていただきます」。それもそうだろう。客先の情報を、おいそれと明かせるはずもない。ならば直接聞くしかない。

東洋経済が株主・賛助会員企業70社に直接調査

東洋経済は、日本雇用創出機構のホームページに記載されている「参画企業」約70社のすべてに人材ブリッジバンクの利用状況と、その考え方についてアンケートを依頼した。一部は回答期限までに返答のない企業もあったが、調査対象の9割以上から回答を得られた。結果は、次ページの図表のとおりだ(一部、追記も入れています。東洋経済オンラインサイト上のみで公開)。

以下が、日本雇用創出機構の株主もしくは賛助会員である「会員企業」による人材ブリッジバンクの利用状況である。

※「アンケートの回答期日(原則として2013年9月20日21時)までに返答なし」に記載している企業の一部などからの補足回答などを踏まえて、図表を修正しています(9月24日11時20分更新)

※なお、江崎グリコからは記事配信後、「人材ブリッジバンクそのものは利用しているが、日本雇用創出機構の人材ブリッジバンクは使ったことがない。質問内容を誤解していた」(江崎グリコグループ広報部)という補足説明がありましたので、この点を付け加えます(9月24日20時30分更新)


利用は少数派、必要性を感じず停止したケースも

富士電機とアルバックについては、周辺取材がほぼ立証された回答となった。それ以外について個別の評価は避けるが、回答内容をざっと見たところ、人材ブリッジバンクの利用実績がない企業が大半で、かつて利用していた企業でも、必要性を感じずに利用を停止しているケースも見られる。では、なぜこれだけの大手企業が、日本雇用創出機構の株主や賛助会員となっているのか。

日本雇用創出機構はもともと「『中高年人材の雇用創出』を目指して」(パソナグループ広報室)、前身となる関西雇用創出機構(2002年)、関東雇用創出機構(2003年)がそれぞれ設立され、そこに賛同した大手企業が出資した経緯がある。「豊富な知識や経験、技術等を持つ企業の定年退職者や中高年人材の活躍の機会を広げることを目的に、『人材ブリッジバンク事業』や、『特別選考技術調査推進・支援事業』、『ビジネスサポート事業』など、様々な事業を通じて、人と企業を元気にするプラットフォームの構築に取り組んでいます」(パソナグループ広報室)とはパソナ側の説明だ。

ただ、ある株主企業の人事担当役員は、「あまり積極的に付き合っているワケではない。当初は大手企業同士の中高年人材を融通するような枠組みを進めようとしたが、うまく行かず、立ちゆかなくなってパソナが主導して再編した。その際に出資金の300万円は減資されて今は1円相当になっている」と明かす。

大手70社従業員の大半は存在を知らない?

出資時と違って、現在の日本雇用創出機構の人材ブリッジバンクが、どんな使われ方をしているのかを、詳しく知らない株主企業の関係者は多い。名だたる約70社の大手企業従業員のうち、人事部門担当者以外は、名前も聞いたことのない人が大半と推測される。

人材ブリッジバンクを利用している企業の中でも、“追い出し部屋”のように使わずに、労使合意の下、円満に活用されている例もあるだろう。企業によっては希望退職を募る際、再就職支援の選択肢の一つとして利用した例もある。ただ、「利用を希望した人は少数派だった」(ある株主企業の関係者)。この枠組みは慎重に扱うべきで、乱暴に使うと深刻な労使紛争を招きかねない。表に出てきていないだけで、富士電機グループやアルバック以外にも、トラブルが隠れているかもしれない。

リストラは一般的に承認されている経営の立て直し手段であり、それ自体は悪とは言えない。整理解雇も条件を満たせば適法である。その際に、日本では解雇に関する訴訟は長期化しがちであり、結局争いになると一件一件、社会的相当性の有無などを判断せざるをえず、会社にとっては有効か無効かの予見可能性がない。

その点で、大企業が“追い出し部屋”のような法の抜け道に走ってしまうという面はある。“追い出し部屋”についても、いきなり解雇せずに温情を与えているという反論もある。それでも、従業員の心を無視した不当なリストラが許されていいはずはない。人材ブリッジバンクの存在に驚いた読者が大半のはずだ。

「出向」というキーワードを、世の中に広く認知させた大ヒットドラマ『半沢直樹』は、池井戸潤さんが描いた小説「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」(文芸春秋)が原作だ。事実を基にしているといっても、これはフィクション。出向についても脚色した部分もあるかもしれないが、現実世界では、退職させるための転職活動を業務命令として、半ば強制的に外部企業に送り込む、という何とも奇怪に映る出向が存在する。「事実は小説よりも奇なり」ということわざは、まさにそのとおりである。


 


 

ソニー「中高年リストラ」の現場
「キャリアデザイン室」で何が行われているか?
岡田 広行:東洋経済 記者2013年3月25日

「東京キャリアデザイン室」が置かれているソニー旧本社ビル(撮影:今井康一)
東京・品川のソニー旧本社ビル──。現在、「御殿山テクノロジーセンター NSビル」と改称された8階建てのビルの最上階に、問題とされる部署はある。

「東京キャリアデザイン室」。かつて大賀典雄名誉会長が執務室を構え、役員室が置かれていた由緒正しきフロアは今、社内で「戦力外」とされた中高年の社員を集めてスキルアップや求職活動を行わせることを目的とした部署に衣替えしている。

Aさん(50代前半)も東京キャリアデザイン室への異動を命じられた一人だ。午前9時前に出勤すると、自身に割り当てられた席に着き、パソコンを起動させる。ここまでは普通の職場と変わりない。

違っているのが“仕事”の中身だ。会社から与えられた仕事はなく、やることを自分で決めなければならない。「スキルアップにつながるものであれば、何をやってもいい」(Aさん)とされているものの、多くの社員が取り組んでいるのは、市販のCD−ROMの教材を用いての英会話学習やパソコンソフトの習熟、ビジネス書を読むことだ。

Aさんも英会話に励んでいるが、「自分が置かれている境遇のことで頭がいっぱいになる。いくら勉強しても身にならない」と打ち明ける。

「隣の人との会話はなく、電話もかかってこない。まるで図書館のような静けさ。時々、孤立感や言いようのない焦燥感にさいなまれることがある」ともAさんは言う。

社内で「キャリア」と略して呼ばれる同室は、品川のほかに神奈川県厚木市の「ソニー厚木第二テクノロジーセンター」、宮城県多賀城市の「ソニー仙台テクノロジーセンター」内にも設けられている。関係者によれば、3カ所合計で250人前後が配属されているとされ、人数自体も増加傾向にあるという。

ノルマも残業もなく人事評価は最低レベル

ソニーは2012年3月期まで4期連続の最終赤字となっており、業績回復が急務だ。12年度にグループで1万人の人員を削減する計画で、昨年5月、9月、そして今年2月末を期限として「勤続10年以上かつ満40歳以上」の社員を対象に3度にわたり早期退職者の募集が行われた。

キャリアデザイン室が人員削減のための部署であることは、社員ならば誰もが知っている。この部署がほかと大きく異なる点は、配属された社員の人事評価が、多くの場合に「最低レベル」となり、在籍期間が長くなるほど、給与がダウンする仕組みになっていることだ。というのも、仕事の内容がソニーの業績に直接貢献するものではなく、他社への転職を含めて本人の「スキルアップ」を目的としているためだ。

同じくキャリアデザイン室に所属するBさん(40代)によれば、「ノルマや課題もなく、残業もない」という。「何をやっていてもいい」とはいうものの、「社外で英会話を学ぶ場合には自分で授業料を払わなければならず、近場での無料の講習会に参加する際に交通費が出る程度。社内の仕事を斡旋してくれることも皆無に等しく、自分で探し出さなければならない」(Bさん)。

しかし、大規模な人員削減が続く社内では新たな仕事を見つけることは困難で、必然的に転職のための活動を余儀なくされる。「上司」に当たる人事担当者とは1〜2週間に1度の個別面談があり、その際に「他社への就職活動はきちんとやっているか」などと説明を求められる。

もし社内に踏みとどまろうとすれば、誰でもできる単調な仕事しか与えられない。「仕事が見つからずにキャリアデザイン室に在籍して2年が過ぎると、子会社への異動を命じられ、そこでは紙文書のPDFファイル化など、ひたすら単純作業をやらされる」(ソニー関係者)。

キャリアデザイン室に送り込まれる前の段階であっても、早期退職の勧奨が熾烈さを増している。

ソニーから生産子会社に出向中のCさん(50代前半)も度重なる早期退職の勧奨を受けた一人だ。

Cさんへの退職勧奨は、昨年11月、部長による面談から始まった。

電子メールで呼び出しがあり、指定された会議室に入ると、上司から開口一番、次のように告げられた。

「来年も今の仕事を続けるのは厳しい。社内か社外で仕事を探してください。期限は13年3月末です」

そして3度目に当たる3週間後の面談で、「13年3月いっぱいであなたの仕事はなくなります」と言われた。

「今の仕事は本当になくなるのですか」と問い返すCさんに、上司は「ほかの人がやる」と返答。納得がいかなかったCさんがさらに尋ねると、「事業規模に見合った人数にするためです。近隣の事業所に異動先はないので、社内募集に手を挙げてください」と促された。

Cさんはやむなく社内募集のエントリーシートに必要事項を記入して提出したものの、12月末には「書類審査で通らなかった」との回答があった。年をまたいだ1月の5回目の面談では、「2月末が早期退職募集の期限だから、早く社内の仕事を見つけてください」と言われた。

だが、Cさんは仕事を見つけることができなかった。会社が指定した再就職支援会社の面接も受けたが、求人内容は年収が大幅にダウンするものばかりで、これまでの経験を生かすことができる仕事はなかった。

そうした中、6回目に当たる2月の面談で、前出の上司から来年度の事業計画での戦力外を通告される。そのうえで「身の振り方を決めていないのはあなただけです」と暗に退職を求められた。その翌日の人事担当者との面談でも「あなたに合う社内募集はない。2月末が早期退職の期限なので、急いで経歴書を作ってください」と催促された。

結局、会社にとどまることを希望して早期退職を拒否したCさんは、3月に入っても次の異動先が提示されないままだ。Cさんは「不安な日々が続いている」と言う。

縮小する一途のソニー 巧妙なリストラ話法

Dさん(50代前半)も昨年11月に上司から「あなたの仕事はなくなる。キャリアを生かせる場所をほかで探してほしい」と告げられた。

その後も上司との面談が続けられたが、今年1月の面談では「(辞めないのなら)下請け会社での清掃業務や九州など遠隔地の子会社への異動もありうる」との説明があった。

CさんやDさんは「退職を強要されている」と受け止めている。だが、ソニー広報センターは本誌に「退職強要の事実はない」と説明。少数組合のソニー労働組合が問題視しているキャリアデザイン室についても、「異動先が未定の社員が次のキャリアを速やかに見つけるための調整部署。(「追い出し部屋」との)指摘のような事実はない」としている。

CさんやDさんによれば、上司は「仕事がない」と繰り返す一方で、「辞めてください」とは決して言わないという。また、「早期退職という方法がある」と話すものの、「申し込んだらどうか、とも言わない」ともいう。Cさんが「退職を勧奨しているのですか」と聞いたところ、上司は「違います。あくまでキャリアについての面談です」と返答。それでもCさんは「退職を強く促されている」と感じている。

そして退職勧奨されている社員が最も恐れているのが、キャリアデザイン室への異動だ。Cさん、Dさんとも、「絶対に行きたくない」と口をそろえる。

Cさんは、面談を受けた再就職支援会社の担当者から、次のようにアドバイスされた。

「あそこ(=キャリアデザイン室)にいると働こうとする気持ちが失せてしまい、グループ外の企業に応募しても合格しなくなる。在籍するにしても、せいぜい半年にとどめておいたほうがいいと思います」

11年当時にキャリアデザイン室に在籍していた同僚からも、「何もしないというよどんだ空気が嫌だ。今回は退職勧奨を受けたので会社を辞める。あの部屋にだけは絶対に戻りたくない」という言葉を聞いた。

ソニーの生産子会社の期間社員として勤務した後、雇い止め撤回のための団体交渉で再就職となり、ソニーの孫会社の正社員となった3人の社員も、疎外感を抱いている。

3人は昨年7月に孫会社への就職が実現した。しかし、「キャリア育成グループ」に配属されて7カ月が経った現在も、「仕事ではほかの社員と区別され、朝のミーティングへの参加も認められていない」(3人の一人のEさん)という。

疎外感を抱く孫会社の社員たち

Eさんによれば、「担当する清掃業務に必要ない」という理由でパソコンは支給されていない。そのため、紙の勤務記録表に手書きで出退勤時間を書き込んでいる。

また、パソコンがないために社内のホームページを見ることができず、「監督者」としてソニー本社から派遣されている上司から情報を得るしかない。ところが、この上司がしばしば情報伝達を失念するために、締め切り直前まで健康診断や予防接種の連絡がなかったという。

3人の社員は今年2月、上司に処遇の是正を求めたが、上司は「仕事の内容が違うのだから、ミーティングをほかの社員と一緒にやる必要はない。パソコンも支給しない」との考えを変えなかった。

ソニー広報センターは「雇用確保のために外部委託していた仕事を取り込むことで採用したため、(孫会社の)事務職の社員とは職場環境が異なる。同社では首都圏でも直接雇用の清掃職が存在しているが、(3人と)就業条件には差がない」と説明している。3人が具体例を挙げて嫌がらせや差別を受けていると語っていることについては、「指摘のような事実は確認していない」と本誌に回答している。

労働法が専門の西谷敏・大阪市立大学名誉教授は、「嫌がらせの有無や程度にもよる」としたうえで、「退職勧奨やキャリアデザイン室への異動、孫会社での処遇が、嫌気が差して辞めるようにしむけることが目的であるならば、法的に許された域を超えてくる」と指摘する。

企業のメンタルヘルス問題に詳しい生越照幸弁護士は、「度重なる退職勧奨によって、社員本人が精神疾患を発症した場合、企業が労働契約法に基づく安全配慮義務違反を問われる可能性がある」と分析する。

企業のリストラ策にはさまざまな手法がある。中には、ある日突然、職場への出入りを禁止する「ロックアウト型」の解雇や本人に過大なノルマを課して辞めさせる手法など、ソニーのやり方をはるかにしのぐものもある。

ソニーだけでなく日本企業の多くが、中高年世代の余剰人員を抱えている。企業からすれば人員スリム化は理由のあることかもしれない。だが、企業業績の悪化→中高年への退職勧奨を続けるかぎり、ビジネスパーソンはつねに不安を抱えながら働くことになる。

 


 


 
「半沢直樹」に熱狂する、バブル世代の悲愁
本当に倍返ししたら、4倍返しでクビになるだけ
ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家2013年9月19日

※ 過去の対談はこちら

その1:40代の”成功”と”失敗”を分かつもの

(司会:佐々木紀彦、構成:長山清子)

――グローバルエリートは見ているかどうかわかりませんが、ドラマ「半沢直樹」が大人気じゃないですか。あれを見ているのは、たぶん40代のビジネスパーソンが中心でしょう。主人公の半沢直樹からして、40歳ぐらいでしょうか。

城:彼はバブル入行という設定なんですよ。

――じゃあもう40代後半ですか。

城:でもドラマの原作が書かれたのが2000年代前半なので、物語の中では30代後半。37〜38歳ですね。

――そうしたら半沢直樹は、そろそろ40歳を迎える年頃ですね。

ムーギー:最近、また東洋経済オンラインが色気を出してね、「半沢直樹」に関するコラムを書いてくれ、書いてくれ、言うわけですよ。絶対にアクセス数を稼げまっせということで。

――言ってないですよ、そんなこと(笑)。

ムーギー:言ってない。あっ、そう。城さん、あのドラマ、ご存じですか。

城:見ていますよ。僕もいろいろなところからあのドラマについて書いてくれと言われているんだけど、まだ完結してないから書かないと言ってるんです。

ムーギー:完結するまでは書かないと。さすがですね。僕は10分間、ウワサ話を聞いただけで今回、4000字ぐらい書くつもりです。

城:あのドラマはよくできているんだけど、周囲の反応がまちまちで面白い。日本の会社に勤めている人は半沢の活躍に快哉を叫ぶけれど、外資やベンチャーの人はすごく冷めていて、そもそも「そんなにひどい会社、なんで辞めないの?」ってすごく不思議に思うらしいのです。


城繁幸(じょう・しげゆき)
作家、人事コンサルタント
1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。人事部門にて新人事制度導入直後からその運営に携わり、同社退職後に執筆活動を始める。雇用問題 のスペシャリストとして、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各メディアで発信中。最新著書に『若者を殺すのは誰か?』
ほかにも見ていて不思議なことが多いようで、たとえば同僚が、ある日突然、真っ青な顔になって、田舎の会社に出向させられると言うんだけど、どうして今生の別れだ、みたいな感じになるのかがよくわからない。特に前半最大のピンチは、半沢がフィリピンのマニラの工場に出向させられそうになるという話なのですが、結局は半沢が勝って、代わりに半沢の敵の上司がフィリピンに飛ばされわけです。

そこで上司と上司の奥さんが手を取り合って、「向こうで頑張りましょう」みたいにちょっとほんわかムードで終わるんだけど、そういうのがまったく理解できないみたい。流動性の高い世界に生きている人からすると、イヤならなんでさっさと辞めないの?ということになるんですよ。

ムーギー:ちょっともう現代からするとパラダイムが非現実的というか、浮世離れしているというか。

城:ところが日本企業、特に銀行みたいに古いところは、やっぱりあのドラマの世界そのものなのです。流動性が低くて30歳を超えると転職できないので、ああなるしかない。

ムーギー:あれは原作が書かれたのが10年前だからああなるんじゃないんですか。今は「きみ、フィリピン行きなさい」「じゃ、辞めますんで。どうも、まいど。さいなら〜」という感じになってないんですか。

城:今でもたぶんなってない。辞めるのは30歳前後の若い人間だけであって、35歳を超えたらたぶん辞められないです、銀行なんて。

――なんで辞められないのでしょうか。

ムーギー:せっかく優秀な方が多いのに、多いがために、一部を除き行き先がないから。誰も雇ってくれない。

城:「地方の銀行で35歳まで融資やっていました、もうすぐ40歳」なんていう人、採らないでしょ。どこの銀行だってその世代は余っているのだから。

――昨日たまたまメガバンクの広報の人と食事をして、まさにその話をしましたが、やっぱり統合併の間に辞めた人はいっぱいいる。それで残った人たちは外資に行った人たちの10年間のキャリアパスを見てきているわけですよ。それを見ていると、そこで成功を目指すよりは、中の出世競争に勝ち残ったほうが、最終的な生涯賃金などを考えたら得だとみんな考えているようです。

ムーギー:なるほど。外資に行くのは、やっぱり生涯賃金の割引率が圧倒的に高くなりますからね。キャッシュフローが向こう30年、割引率2%とかで予想できた邦銀のキャリアと、生涯賃金が3年なのか5年なのかわからずに、おまけにそのリスクが高いから、もう割引率なんか200%みたいな。「リスク・アジャスティッド・サラリー」というのを考えると、決して割に合わないということも多いですからね。

しかし「半沢直樹」がこんなに共感を呼んでいるということは、やっぱりみんな会社から出られないんだ。

城:そう。みんな我慢しているんだけど、その中で痛快に勝ち上がっていく姿がたぶん共感を呼んでいるんですよ。現代の中のサラリーマンの中のヒーローですよ。特にバブル世代が支持しているんじゃないかな。

ムーギー:日本のサラリーマンの硬直的というか不公平というか、好ましくない上司による不条理とかに耐えていかなくちゃいけない現実の中で、せめてドラマの中だけでもカタルシスを経験したいと。つまりプロレスを見たいのと同じ願望だ。

城:僕は「水戸黄門」って呼んでます。サラリーマンの「水戸黄門」。

ムーギー:ということは本質的には、「水戸黄門」であり「遠山の金さん」であり、日本人が好きな勧善懲悪パターンがちょっと現代版にアレンジされただけと。

――あんなかっこいい男でなくても、ああいうドロドロはどこの会社でもしょっちゅう起こっているはずです。それだけにみんな共感するのではないでしょうか。

ムーギー:うん。ほかに人気が出た原因は何なのですか。……(独り言のように)私、見てないのに、なんで半沢について対談してんの。ネットでまた、怒りのスレッドが3本くらい立ちそうやな(笑)。

城:僕は最初の1回を見て、もうはまっちゃって。

ムーギー:城さんもはまったんや。どこではまったんですか、城さんほどの方が。

城:サラリーマンの閉塞感を描いたリアリティと、それを突破する痛快さの両方があるんです。それがひとつめの理由。もうひとつは、1話ごとに起承転結がはっきりしているんですよ。今期はもうひとつ『Woman』というすごく評価が高いドラマがあるんですが、こちらはどん底状態のままで引っ張って引っ張って、という旧来ながらのスタイル。最後に起承転結がワーッとくるみたいな。

ムーギー:なるほどね。でも今の視聴者はそんなに待ってくれないから。

城:そう。ところが「半沢直樹」は1話ごとにちゃんと起承転結があるんですよ。

――「倍返し」はどう思います? 「倍返し」といえば、半沢とセットで語られるキーワードじゃないですか。

城:倍返しという発想を入れているのはポイントかもしれないですね。組織の中にいると、押して忍んで忍んで、最後に引き上げてもらえばいいやという感じでしょ。だから、倍返しというアイデア自体、組織の中では絶対ありえないんですよ。

ムーギー:本当に倍返ししたら、4倍返しでクビになりますもんね。無邪気な視聴者があれを見て興奮して、本当に上司に倍返ししようとしないことを祈りますよ。でも人間の持っている復讐欲を満たしてあげるというか、攻撃的な本能を体現してやることで人気をとっているのかも。

城:今までの日本のヒーローは、倍返しなんかしないでしょう。自分が折れて折れて、最後は相手がわかってくれるという感じだから。自分が受けたダメージ以上に殴り返すという発想がなかった。逆に言えば、それくらい今の40歳は閉塞感が強いのだと思います。

ムーギー:なるほどね。これは日本のいろんな社会現象に共通しているかもしれませんね。

城:人事部だった経験から言うと、バブル世代って今40代後半ですよね。物語の中の半沢と同じ世代なんだけど、バブル世代はその過半数がヒラ社員のまま終わっているんですよ。課長昇格って、だいたい40歳ぐらいで白黒ついちゃうから。20代の頃、ずっと滅私奉公をしてきたにもかかわらず、自分は報われないんだということがはっきりしてくる。そのせいか、あの世代はうつ病などのメンタルトラブルが非常に多い。「半沢直樹」というドラマは彼らに対して届いているという気がします。

<グローバルエリートの講評>

今回の対談ではドラマ「半沢直樹」について語ったわけだが、その人気の本質として会社との“御恩と奉公”を信じて滅私奉公してきたものの、奉公が報われなかった不遇な社員が、社内不正義と闘い倍返しにするという、伝統的勧善懲悪ドラマの“懲悪”比重を高めた面白さについて語ってきた。

これは長期的な会社からの“御恩”を信じて完全忍耐型だった一昔前の日本のサラリーマン像から、会社の不当をメディアや裁判で訴えて倍返し、10倍返し、下手したら100倍返しくらいしている“懲悪型社員さん”が増えていくだろうことの表れでもあり、世にはびこるブラック企業の皆さんは戦々恐々としているかもしれない。

ただし冒頭の城さんとの対談でもあったよう、「半沢直樹」氏はバブル入行であり、実際に会社で起こっていることも半沢氏の対応の仕方も、一昔前のバブル崩壊直後くらいの時代のコンテクストを前提にしたものである感がぬぐえない。特にフィリピンの工場への転勤とか言い渡されても、今なら単に退職してドラマは5分で終わってしまうだろうし、仮に半沢直樹氏が倍返ししようとしても、その前に簡単に解雇されてしまうことだろう。

そこで次回の城さんとの対談の3回目では、40代を取り巻くコンテクストを2013年の9月に移して、われらが東洋経済オンライン”グローバルエリートは見た!”の”すっかり忘れられている主旨”に従って、グローバルキャリアを進む心得や、伝統的なローカルキャリアとグローバルキャリアでの違いについて、引き続き城さんとの対談に臨みたい。

(撮影:梅谷秀司)

※続きはこちら:英語が下手なだけで、IQは3割ダウン?
http://toyokeizai.net/articles/-/19661


 


 


 
英語が下手なだけで、IQは3割ダウン?
クビになって一番役立たずは、ローカルエリート?
ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家2013年9月20日

※ 過去の対談はこちら

その1:40代の”成功”と”失敗”を分かつもの

その2:「半沢直樹」に熱狂する、バブル世代の悲愁

(司会:佐々木紀彦、構成:長山清子)

――ところで話は変わりますが、城さん、雇用とか働き方について、最近、目立ってきた新しい傾向はありますか?

城:そうですねえ。

ムーギー:ちまたにこういう失礼なことを言う人がいるんですよ。確かに年功序列の撤廃とか正社員をクビにせなあかんって話はもっともやけど、そろそろ評論家の皆さんも、10年近く同じことを言い続けてるんちゃうかと。そろそろほかのこと言うたらどうやと。僕が言うてるんと違いますよ。

――その点、今は城さんが10年前に思っていた方向に変わりましたか。それとも全然、変わっていませんか?

ムーギー:正社員の解雇は明らかにめちゃめちゃ増えているでしょう。不況になると一部の企業はうれしいんですってね。特に製造業みたいに伝統的に労働組合が強くてクビを切れないところは、不況が続くのを待っているところがある。つまり、大不況であればあるほどクビ切りを正当化できるから。でも、実質的にリストラが許されるようになってきているから、陰湿に正社員をクビに追い込むみたいことは減っているんですか。

城:ああ、リストラに応じない人を集めた部署「追い出し部屋」とかね。その制度は全然変わっていないけれど、空気はすごく変わっていますね。「解雇ルールを明文化したうえで、企業規模を問わずに解雇OKにするべきだ」ということは、2006年ぐらいにたぶん僕が最初に言い出したんだけど、そのときはネットやメディアですごくタブー視されて風当りが強かった。

でも今はむしろ支持者のほうが多いくらいです。半年ぐらい前にフジの「報道2001」という地上波の番組でアンケートを取ったら、解雇ルールに則ったうえでの正社員の解雇は致し方なしという人が多かったんですよ。

ムーギー:それは、城さんが言い続けてきた効果ですかね。

城:まあそれも多少はあるでしょう。変わってきたのは間違いない。ついでに言うと、先の衆院選の結果では、労働市場の流動化、つまり金銭解雇ルールを導入しようとマニフェストに書いている政党が実は76%以上を占めたんですね。具体的にいうと自民、みんなの党、維新の3党です。だから実はすごく情勢は変わってきていて、追い風が来ているんですよ。

ただ、その追い風を帆に受けて進む安倍政権があんまり煮え切らなくて。本当は3本目の矢でバーンと出すはずだったんだけど、あまりにも風が強風なので「三本目打たなくても何とかなるんじゃないか」と日和見している状況です。でも今、節目にあることは間違いない。

武器を持たず海外に出る日本人

――やっぱり解雇は嫌だという人が多いのでしょうか。

城:そこはちょっと違うんですよ。有権者ではなく、厚生労働省や連合が反対している。

ムーギー:今の議論って、人を切っただけで終わってしまっているから、なんだか不足感があるんですよね。切った後の人たちをどういうふうに統合するのか。そのハウ・トゥ・インテグレートの議論が十分に、もしくは全然なされてない。

たぶん、解雇緩和の言説が広まった現段階において次に重要になるのは、クビになった人を社会に復帰させるためのスキームやオプションについて議論することじゃないですか。今のままでは教育バウチャー(教育補助金制度)とか、ハローワークで職業訓練をやれとか、どうみても効果のない、単にハローワークのおじさんの無駄な仕事を増やすだけ、みたいな方向に行っちゃう。最悪なのが、リストラに耐えてくれた企業にはこれだけ補助金あげます、みたいな制度。これは行政が逆に食い物にされちゃっている。

今後は正社員、正規社員を切れという話がある中で、切られた人にどんなことをやってあげたら、もしくはどんなことをサポートしてあげたら、結果的に国の労働力も雇用も高まり、労使の需給ギャップが縮まって、よりよい状態になるのかを考えるべきでしょう。そのアイデアがないのに切ることばっかり進めたって仕方ないですよね。別に正社員を切ることを駄目だと言っているわけじゃなくて、その後に来るパッケージも含めて提案しないといけないでしょうね。

――前回は「半沢直樹」で盛り上がりましたが、あのドラマが扱うのは、「社内でいかにうまくやっていくか」という社内政治の話ばかりです。ただ、外資でも社内政治はたくさんあるわけですよね。

ムーギー:日系だろうが外資だろうが、会社で出世するかどうかは、ポリティカルなことはかなり大きいでしょう。いくつかの会社で世界各国の“社内政治の猛者たち”に接すると、「あー、そうそう、俺にはこれが足りんかったか」とか、「確かにこいつが出世したのはこうだからだな」というポリティカルパワーバトルが透けて見えてきますね。

こういうことはグローバルになるとますます重要になるわけですが、日本のビジネスパーソンが不幸なのは、社内ポリティクスやパワーポリティクスなどのマネジメントを学ぶ機会があまりないこと。たとえばMBAに行くと、「パワーアンドポリティクス」なんていって、どうやって社内政治を勝ち抜くかということを世界中から来るエリートの皆さんに教えるわけです。

その点日本とかアジアだと、“一生懸命働いて、黙って上の判断に任せる”が美徳とされ、仕事をアピールすると嫌われる文化ですよね。そういう社内政治の機微に関するトレーニング機会がないまま、武器を持たずに海外に放り出されている日本人エリートが多いなという気がするんですよね。

グローバルエリートと日本型エリートの違い

――日本企業で行われている社内政治的なものと海外のそれとでは、また全然レベルが違うものなのでしょうか。

ムーギー:まあ、グローバルになってくると、そもそも本部の偉い人とは日頃、会わないわけでしょ。いちばん偉い人はロンドンの本社にいて、その下に東アジア一帯を見るリージョナルマネジャーがいて、その下にジャパンマネジャーがいて、その下に部長がいて、その下に自分がいて、となると最終的なパワーを持つロンドンの本社に情報が行くまでに、壁が4つ5つある。

だから自分の優秀さを実績だけで上に認めてもらおうなんて思うのは、酔狂ざたですよ。直属の上司のフィードバック以外、上の人たちはほぼみてくれないので、静かに黙々と働いていたところで、ボスに嫌われたら一発アウトです(そのボスが、そのまたボスに嫌われて首にならない限り)。

僕、最近、MBAの学生にアンケートを取ったんです。「過去5〜6年、コンサルタントなり投資銀行なりで働いた中で、5年前の自分にアドバイスしたいことは何か」って。これ読んでいるマスコミの方、データが欲しかったら私に言うてくださいね。高値で売りますから。

それでね、すごく面白かった回答があるんです。この人はグーグルを経て某金融会社で働いた人なのですが、その人いわく、「自分がいい仕事をしたら、それで認められて引き上げてもらえるなんて思うたら絶対あかん」と。もちろんいい仕事をすることも大事だけれど、その倍ぐらいの力を、いかに自分がいい仕事をしたかをアピールすることに注ぐべきだと。

もちろんアピールしすぎたら、それはそれでちょっとキズがつくんだけど、それは自分のキャリア形成のうえで不可欠な当然の努力。それができてないのに、コツコツやってさえいれば周りが認めてくれると思うのは大間違いだと。日本の場合、アピールすることを悪いとする文化があるじゃないですか。いい仕事さえしていれば、周りは必ず見ていてくれる、お天道様は今日もどこかで見てくれるみたいな。今やそこに雲が4重5重にかかっているのに、まだお天道様を信用しているんですよね。

――うまいこと言いますね。

ムーギー:また対談に、呼んでや(笑)。

やっぱりネイティブ英語は強い

ムーギー:あとグローバルエリートと日本のエリートの違いでいえば、やっぱり“コミュニケーション能力”の問題がある。

楽天の三木谷浩史さんが面白いことを言っています。楽天は別に英語のできる会社になろうとしてへん。ただ、下手な英語ができる会社になろうとしているのだと。つまり最低限の英語をできるようにしたいってことですね。そのレベルで十分なケースもあるのですが、いかんせんグローバルな金融とかコンサルティングのような世界では、どれだけ流暢にネイティブのように話せるかが、重要になってくる。そして何よりも、多少発音が悪くても、少なくともクリアにアーティキュレイトすることが非常に大切。

たとえばノルウェーのように何十兆円と持っている政府系のめちゃくちゃ大きいファンドや、ブリティッシュの企業年金ファンドのようなところには、うちに預けてくださいといって世界中からアセットマネジメント会社が殺到しますよね。でも金融の世界では、商品にそれほど差がない。そうなるとどこを選ぶかは、その人の印象、コミュニケーション能力がものすごく重要なのです。

関西弁がなまったような気合い系イングリッシュのオジサンが、よくわからないあいまいなことをぶつぶつつぶやくよりは、やっぱりソフィスティケートなロイヤル・ブリティッシュ・アクセントのネイティブな人たちが、明確に論理的に話すほうが選ばれる。だから綺麗な英語、クリアな英語と、何よりもクリアな論理が非常に大切。それがあってこそ、明確に相手が考えていること、言っている事を把握できますから。

商品自体での差別化が難しい業界では、なおさらコミュニケーション能力の差別化が重要になってきます。英語が下手で論理が不明瞭なだけで、IQは3割ぐらい低く見られますから。

――城さん、どう思われますか?日本型エリートに足りないものって何でしょうか。みんなが海外に出て行く必要はありませんが、日本で生き残るにも、今のままでは不充分ですよね。

城:本来なら日本のエリートとグローバルのエリートのあり方が違うのはおかしいわけですよね。英語とかインフラ面の条件は違うかもしれないけど、求められる資質は同じでしょう。


城繁幸(じょう・しげゆき)
作家、人事コンサルタント
1973年生まれ。東京大学法学部卒業 後、富士通に入社。人事部門にて新人事制度導入直後からその運営に携わり、同社退職後に執筆活動を始める。雇用問題 のスペシャリストとして、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各メディアで発信中。最新著書に『若者を殺すのは誰か?』
ただ日本の場合、働いたご褒美を組織なりお上なりが与えてくれるものだという意識がどこかにある。たとえば40歳ぐらいまで頑張ったら、自分はもっと上のポストに行ける、お給料も千何百万円になるはずで、もしそうならなかったらそれは組織が悪い、政治が悪いという発想です。

よく不況だから政府が財政出動をしなきゃいけないとか、中央銀行はもっとリスクを取って量的緩和をするべきだなどという意見が出てきますが、学者はともかく、一般大衆が政府頼みの意見をこれだけ支持する国は、世界でも非常に珍しいと思う。僕の友達のエリートにも、口癖のように会社が悪い、政治が悪いというやつがいます。それを聞くたびに「おまえが何かすればいいんじゃないの」と思いますけどね。

――自分で何かしようとか、変えようとは思わない。そもそも、変えられると思っていないということですか。

城:自分の「個」を確立してないというか、未熟というか。すごく優秀だし大企業で役職にも就いているんだけど、やっぱりその辺が抜けている人は多い。

――ほかには東大法学部時代の同期は今、どういう感じに見えますか。

城:完全に割れてますね。大企業で本社の管理職に昇格しているヤツ、外資に転職してそこそこ頑張っているやつもいれば、干されて音信不通のやつとか。うーん、どっちかというと後者のほうが多いかな。

ムーギー:ローカルエリートのなれの果ては、音信不通なんだ。

超マジメなのに報われない日本型エリート

城:もうひとつは、最初に入った大企業にずっといるけれど、ヒラ社員確定でくすぶっているというパターン。だから会っても面白くないから、もう会わない。

ムーギー:音信不通になる人が多いのは、たぶん構造的なものですよ。国内では管理職のポストがどんどんなくなっているのに、サプライだけは相変わらず一定程度あるから、ヒラ社員のままくすぶってしまう。これがグローバルマーケットなら、どこかのマーケットが成長していたりするから、探せばポストもある。

ところが国内でしか通用しないエリートになっちゃうと、結局、落ちぶれた姿をかつての同級生に見せたくない、という感じになってしまう。はっきり言って日本のエリートは、グローバルエリートよりもよっぽど努力してきた超マジメなタイプが多い。でも構造上、過当競争に陥っているから、報われないんですよ。

ローカルエリートのほうが向いている人もいるので、一概には言えないですが、グローバル市場を目指したほうが金融に関して言えば、キャリア展開の選択肢が増えるので、交渉力が高まります。逆にこの業界でのオプションを自発的に増やしていかないと、つねに会社側と強者と弱者の関係の弱者側に立たされ、マージンスクィーズを食らってその行く末は惨めなものです。

特にわれわれのような金融の仕事をしてきた人間は、たとえばレストランのウエーターをやれと言われても、本当に役立たずでしょ。すぐ「立ちっぱなしで足が痛いから座っていいですか」とか言うし、「もうちょっと空調の温度を下げてほしいんですけど」なんて文句ばっかり言うわりに働かない。私なんかきっと、“まかない”だけ食べて、1週間でお皿を”やっとこさ3枚くらい”拭いて、そのうち2枚は割ってしまって、首になると思います。

この手のキャリアを歩んできた人は、いざそこから外れちゃうと、世の中の誰より役に立たない人になってしまう可能性、つまり失業から抜け出せない可能性が高いですから。

<グローバルエリートからの講評>

さて、第3回の今回のポイントは社内政治と、お上に頼らない自己責任、また英語でクリアに説明する(そしてそれ以前に、クリアに英語で考える)コミュニケーション能力、そしてグローバルに選択肢と市場を広げることで交渉力を高める重要性について語ってきた。

この中で城さんは「日本ほど個が確立していなくて、お上頼みの社会はない」「お前が何かしろと思う」とおっしゃっていたが、今はまだ“お上頼み”でなんとかなった時代と、自己責任で自分のキャリアを開発し、アピールしていかなければならない時代の長い過渡期と言えるのかもしれない。

また昔のようにお上に任せて耐えれば何とかなった時代が終わったからこそ、不当なお上であるろくでもない上司に倍返し、10倍返しを試みる「半沢直樹」氏に人気が集まっているのであろう。

昔のように会社任せで運に左右されながら、与えられた仕事を黙々とこなしてきた時代から、自分でイニシアティブをとってキャリアの選択肢を増やす時代に変遷する中、不幸にして同僚に半沢直樹氏がおらず上司への倍返しどころか、半返しもままならない一般のサラリーマン達は40代になる前にやっておかなければならない準備はどんなことなのだろうか。

次回の対談最終回では、会社に盲従して40歳になって切られて路頭に迷わないよう、主体的に選択肢を増やすキャリア設計について、城さんと議論させていただきたい。

※ 続きはこちら:英語が下手なだけで、IQは3割ダウン?

(撮影:梅谷秀司)


40歳の明暗を分ける“運”を管理せよ
ブラック人材もホワイト人材も、”運”に翻弄されすぎ?
ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家2013年9月21日


※ 過去の対談はこちら

その1:40代の”成功”と”失敗”を分かつもの

その2:「半沢直樹」に熱狂する、バブル世代の悲愁

その3:英語が下手なだけで、IQは3割ダウン?

(司会:佐々木紀彦、構成:長山清子)

城:40歳手前というのは、本当に明暗が分かれる年代ですね。僕が見ていても、大企業にいても課長以上に上がれた人と、ずっとヒラでくすぶっている人にかっきり割れています。後者はキャリア的にもそうだけど、人材的にも行き詰まっているなという気がしますね。

ムーギー:その分かれ目って、いったいどこにあるのでしょうね。僕の知り合いでも36歳くらいでゴールドマンのパートナーになった人もいれば、大きいファンドのパートナークラスがどんどん出てきている。その一方、底辺でくすぶっている人もいる。転職貧乏というか、キャリアのデフレスパイラルに陥っているような人。

僕が思うに、分かれ目は入社して最初の数年にあるような気がします。社会人になって最初の数年で努力してパフォーマンスを見せて、プロモーションして、周りから認知されるというサイクルを早めに経験すると、それが癖になるんですよ。「自分はこうやったら認知されるから頑張ろう」という好循環に入れる。

ところが初めの数年、ずっと鳴かず飛ばずだと、「俺は鳴かず飛ばずがお似合いなんだ」という、自分のアイデンティティの下方修正が起きてしまう。東洋経済オンラインでコラムを連載しているミセスパンプキンがおっしゃっていたんですが、子どもの教育も同じで、早いうちから成功体験を積ませるとか、得意分野を見つけるのをサポートしてやるのが子育ての肝なんだって。キャリアのスタートのときも同じようなことが言えるんですよ。

城:弁護士になった人ってわりとそうですよ。35歳そこそこなのに渉外事務所でパートナーに上がってくるような人たちは、そんな感じです。最初に自分でいいサイクルをつくっているんですね。ただ大企業で上に行く人と、その場にとどまってしまった人の分かれ目は、たぶん運だと思うのね。

ムーギー:運ですか。

城:だって、どんな仕事を与えられるかでキャリアが形成されるでしょ。それに人事評価も相対評価だから、上司の政治力で決まるわけ。上司の声が大きくてベテランで、「俺の部下は全員Aだ」って言ったら、そいつらがAになるのを僕はずっと見ていたから。

ムーギー:おっと、古巣の富士通に追撃をくらわせました。でも本当にそんなもんですよね。伝統的大企業はものすごくセクショナリズムが強いでしょう。どこの企業でも、全体最適じゃなくて、省庁縦割りみたいに部分最適を追求している。自分の部門だけ、自分のチームさえよければいいというメンタリティが強いから、上に行くべき人が行かないんですよ。

僕が官僚の友達に「官僚のマネジメントでいちばん腹立つことって何?」と聞いたら、「なんでこいつが出世するんだという上司ばっかり上に行って、優秀な人から辞めていくことだ」と言ってました。金融の世界でも、「なんであの人が、という人がクビになって、なんでおまえがという人が残っているんだ」という愚痴をしょっちゅう耳にする。

ところがいざ自分が上の立場になってみると、やっぱり自分に忠誠を尽くす人を引き立てたくなるんですよ。だってそうでしょ。賢くて仕事できるけど僕の悪口ばかり言う人よりは、多少アホでも、笑顔でついてくるやつのほうがかわいいに決まってる。それで評定評価のときに、前者を「こいつは業績はまあまあいいけど協調性がない」とかいって、評価を下げてしまう。こういうポリティカルにつるむ人間の群れ意識というか、その弱さが組織をどんどん歪めていくような気がしますね。

逆に上に上がっていく人は、単に仕事ができるだけでなくて、こういう社内ポリティクスの機微を熟知して組織で生き残っていくというか。それにはまず、直属の上司とたまたま気が合い、その人がどんどん社内で出世していく、とかそういったことがかなり大切になってくるわけですが。


城繁幸(じょう・しげゆき)
作家、人事コンサルタント
1973年生まれ。東京大学法学部卒業 後、富士通に入社。人事部門にて新人事制度導入直後からその運営に携わり、同社退職後に執筆活動を始める。雇用問題 のスペシャリストとして、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各メディアで発信中。最新著書に『若者を殺すのは誰か?』
城:だから、日本企業では、上に行くか行かないかは運なんですよ。

――何%が運ですか。

城:9割ぐらい。

――「日本の出世は運が9割」だと。

城:運だと思う。最初にどこに配属されるかで、たぶん5割ぐらい決まって、その後、どういう上司の下に行くかで完全に決まる。さらに言うと、会社によって違うけれど、自分が組織の中で上に上がるタイミングってあるんですよ。その上がりやすいタイミングのときに上のポストが空くかどうかが重要。

そういうことの繰り返し。だから、僕がいろんな人を見ていて思うのは、やっぱり運。これは恐ろしいですよ。だから今20〜30代の人は、何もかも運に任せてちゃいけない。上から下りてくる仕事だけをこなしているような受け身の姿勢で、全部げたを預けていては駄目。キム君が言ったみたいに、自分である程度、設計するように意図しておかないといけない。

サイコロを振れば、ほとんどの人がゾロ目じゃないけど、10以上が出たような時代だったらいいけど、今はもうたぶん3か4しか出ない時代なんだから、そこはやっぱり覚悟しておかないといけないと思いますよ。

プレミアム人材に申し上げたいこと

ムーギー:僕は出世する人は2パターンあると思うのね。こいつはどう考えても運と社内政治で上に行ったなというパターンと、もうひとつは、数は少ないけれど金融でもコンサルでも、MBAでも、その中のトップ10%ぐらいの人材は、さすがに出世すべくしている。

どんなにつまらない小さな仕事をさせても期待以上のクオリティとスピードで、しかも、コンスタントにやってくれる。どんなときでもいい仕事をしてくれるという信頼感があるから、上司は「こいつに任せておけば、俺はもっと付加価値の高い仕事に専念できる」と思って、どんどん権限委譲していく。そうやって出世するタイプもいるんです。

それができるプレミア人材に申し上げたいのは、仕事に対して自分がオーバースペックになるようなキャリアを歩いていたらあかんということ。本来、自分ひとりでやったらもっとできるにもかかわらず、なまじ評価されるだけに居心地がよくなって、そこに安住しちゃって、潜在能力が開花せずに終わるというパターンを何人か見てきたな。

城:組織の中で、ポストなり処遇なりが果たして降ってくるかどうかは、サイコロの目のようなものだから自分では変えられない。ただ、努力をしておくことによって、組織を出るという選択肢は作れるじゃないですか。それが結局40歳をどう迎えるかということにつながると思います。

僕の知り合いに、エンジニアのような理系の専門職ではなく、人事とか総務畑を歩いてきた事務屋の人で、40歳を過ぎて独立した人が何人かいますが、みんなそんな感じです。昔から、理系の専門職は独立できても、事務屋は転職できない代表みたいに言われていましたが、最近は事務屋でも独立する人が増えているんですよ。

そういう人たちの話を聞くと、必ずしも組織の中ですごく評価されていたわけではないけれど、自分で横のつながりとか会社間のネットワークを作ったりして、業界全体で、自分のやっている人事とか総務などの仕事がどこまで標準化できるかを試みているのです。

ホームパーティという必殺技

ムーギー:結局40代になると、「出される」リスクに対しては、「自分から出る」というオプションで対抗せえ、ということなんですかね。たくましい中国人の話とも共通するけれど、出されるリスクがあるのだから、いつでも出られるように、ほかの会社に行く準備なり、もしくは自分で独立する準備なり、ネットワークなり準備しておく。

インベストメントバンクの連中とかでも、確かにクビになっても平気な人っているんですよ。彼らは転職するたびにつねに給料が1.3倍ぐらいになっている。なぜかというと、そういう人は土曜日とか木曜日とかによくホームパーティをやるんです。そしてそれに業界中の友達を呼ぶ。それで仲良くなっといたら、何かあったときに、声をかけてもらえるじゃないですか。だからネットワークが肝心な金融の世界において、「俺は人とつるむのが嫌いだ」とか「ひとりで過ごすのが好きやから」とか言ってる人は、ダウンサイドリスクが大きいことに気づかなくちゃいけない。

これもまた「いい仕事さえしたら、お天道様は見ていてくれる」世界と一緒。お天道様は見てくれないんだから、自分でさんざん売り込んで、周りの人に「俺はこんなバリューがあるよ」と知らせて、自分のディストリビューションチャネル(販売経路)であるネットワークをつねに築いておかないと、結局、自分のスキルや労働力を買ってくれるマーケットを作るしかない。マーケットはあるんじゃなくて、作るものなんですよ。

城さん、もう時間らしいです。本日はありがとうございました。私は今から、“グローバルエリートは見た!”の講演会が90分あって、その後、本当に開催される“グローバルエリート恋のから騒ぎ”でまた90分話すことになっていますので、よかったらご一緒ください。今日は8時間しゃべりっぱなしで、レッドブル5本目です。城さん、本日はお忙しいところお時間いただき、重ね重ねありがとうございました。次回の来日時もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

<グローバルエリートの講評>

最終回の第4回は、グローバルエリートとローカルエリートの違いなどに関し城さんと議論したが、印象に残っているのは城さんが“会社での出世は運が大きい”と強調されていた点だ。

これは運の定義によって変わってくると思うのだが、私は自分がやりたい上、向いている仕事を探して他人に勝てる分野で戦い、120%の仕事をして、そのパフォーマンスをプロアクティブにコミニュケーションしていくことで出世が早まるのを目にしてきた。しかし伝統的な国内の大企業だと上司の腹一つできまってしまい、また頑張ってもその努力が報われない横並びの体質だったのがこの世界観の違いに反映されているのだろうか。

なお“運”の定義を、自分が向いている仕事にありつけるか、自分と気の合う上司と巡り合えるか、自分がモチベーションを感じる仕事を見つけられるか、という範囲にまで広げるなら、運が出世を大きく左右するというのには同意である。ただし運はある程度、自分でマネッジできると思ってはいるが。

また、黙ってお天道様が見てくれるのを待つモデルの企業文化なのか、それとも自分のパフォーマンスを明確にコミュニケーションしてアピールしなければいけない社内文化なのかの違いを把握して、うまく立ち振る舞わなければならない。

なお最も重要なのは、何を決めるにしても多くの選択肢と、それらから選択する確固たる基準を自分で持っておかなければならないということである。私は”向いている人”には、選択肢を増やすために海外に出てグローバルにオプションを増やすことをお勧めするが、それが向いていない人も確かにいるので、その場合は国内でどのようにオプションを増やせるか考えよう。最悪なのがほかの選択肢を持つ努力をせずに、会社の言いなりになって、最後に切られて露頭に迷うパターンである。

Cultural Sensitivityを磨け

なお最後にグローバルエリートとローカルエリートの違いで重要なポイントだが、城さんは双方で本質的に求められるものは同じはずとおっしゃられたが、総じてそれに賛成するわけだが、大きな違いは“Cultural sensitivity”である。

数十カ国から違う文化・言語で育った人達が集まる中で一緒に仕事をするとき、日本という同質性の強い文化圏の“空気を読む文化”で“あ・うんの呼吸”求め、本音と建前の違いを想像してくれることを期待するやり方では、驚くほど相手に真意が伝わっていないことが多いのだ。

また知らず知らず他国の、多文化で育った人に対してのタブーを犯してしまっていることもしばしばある。そんなことでは多様なバックグラウンドの人々と信頼関係を築くことはかなわず、社内政治以前の段階でグローバル企業ではぽつんと浮いてしまうことだろう。

今回は4回にわたって、私が尊敬する城繁幸さんと40代のキャリアに関して対談してきたわけだが、城さんがおっしゃるように“運”がキャリアを左右することもたいへん多いので、「貴方がブラック人材だったとしてもホワイト人材だったとしても、“いつ運悪く解雇されるかわからないのだから、出される前に出れるオプションを増やしておこう”というのを締めくくりの一言として、この対談シリーズを終えさせていただきたい。

そして最後に、長文をお読みいただき、ありがとうございました。

(撮影:梅谷秀司)
http://toyokeizai.net/articles/print/20053


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧