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アメリカはQE継続で中国の金融危機に対処するー米国債を握る中国の巨大政府ファンドは出口戦略に関与するー
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/756.html
投稿者 DOMOTO 日時 2013 年 10 月 01 日 01:13:07: VRQtq/0DZtRLQ
 

DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735

目次
 ■ T 中国の政府系ファンドとアメリカ経済
 ■ U 中国の金融危機に米国は資金注入するか
 ■ V 周総裁の発言と構造改革に対する強気派の見方
 ■ W 金融安定理事会(FSB)と中国のシャドーバンキング
 ■ X 中国に関与される米国の出口戦略
 ■ 結 尖閣問題と米国債のリンケージ


 産経の編集委員の田村秀男氏が7月19日付の記事で最後に次のようなことを述べていた。

「バーナンキ議長はQEの継続を口にしているが、年内には、北京が最も恐れる「QE縮小」宣言の日がやってくる。」

田村氏によると、FRBの「QE縮小」は中国の意向にはお構いなく進められ、それを北京が最も恐れているという状況の認識である。

(「米中戦略対話で見えた中国の“危機”」)
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130719/chn13071910030001-n1.htm

この見方は大変おかしく、大きな論理的矛盾をあらわにしている。なぜなら、膨大な米国債を保有する中国との連携なしで米国が出口戦略を実施できるはずはないからだ。
FRBの「QE縮小」は中国の意向を無視して進められる性格のものではなく、FRBと中国人民銀行、つまりアメリカと中国は連絡をとり合いながら連携して進んでいると推測される。


      ■ T 中国の政府系ファンドとアメリカ経済

米中が金融政策の転換を図ろうとしているこの時期に、膨大な米国債をめぐり米中間で何が行われているかを知りたかったら、冒頭の記事で田村氏が持ち出した米中戦略・経済対話(7月10‐11日)について手掛かりを調べてみればいい。

China Investment Corporation: Recent Developments in Performance, Strategy, and Governance
(米中経済安保調査委員会 6月13日/ 2013 PDFファイル)
http://www.uscc.gov/Research/china-investment-corporation-recent-developments-performance-strategy-and-governance

この米国の報告書は中国の政府系ファンドを分析している。その中でもこの報告書が焦点を絞って問題にしているのが中国投資有限責任公司(China Investment Corporation)だ(◆ 以後、CICと表記)。

米財務省が公開した中国の米国債保有残高の改定値は2010年末時点で1兆1601億ドル(共同通信)。これをCICが提出した年次報告書の資料で同じ2010年末(直近)の数字と突き合わせてみると一致する(冒頭グラフ)。つまり中国の保有する米国債のすべてはCICが売買し、保有している。
CICの資産は3.1〜3.7兆ドルと推定されるが、米国債へそのほかの米国の債券と有価証券を加えた米国全体への投資資産の額は、CICが投資するすべての国の投資の合計資産の額の5割前後を占める。
なお、米財務相が発表する最新の米国債の国別保有残高のデータは下記のリンクの通り。

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
http://www.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Documents/mfh.txt

中国の巨大な政府系ファンドの米国国内での経済活動は、連邦準備制度理事会(FRB)、証券取引委員会(SEC)、CFIUS、国税庁の4つの監視機関によって調査や監視が行われる。FRBとSECが金融セクター内の監視を行い、CFIUSは金融セクターの外部での監視を行う(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the United States)。

CFIUSは国家の安全保障の理由から外国の投資を選別し、米国の企業の支配権の取得(乗っ取り、買収など)を阻止したり差し止めたりする権限が認められている。

米中経済安保委員会が議会へ提出した報告書で委員会は、中国の政府系ファンドに懸念を表明している。その理由は、「中国政府と中国共産党の目的、戦略、そしてそれらから起こりうる影響効果が不確実性をもつため、金融市場の安定性と国家の安全保障への影響が懸念される」からである。その報告書では、中国の政府系ファンドがアメリカ経済のなかで大幅で長期的なプレゼンスを確立させるだろうと予測もしている。

第5章の「米国国内での規制対処」を読むと、中国の政府系ファンドを米国にとって「国家安全保障を損なう」重大な懸念だと考えていることが読み取れる(“impair the national security”)。

以上の内容以外で、この報告書(資料を除いて本文44ページ)の中から、本投稿との関連で重要だと思われる点をまとめてみた。

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(要約開始) 
                   
CICは2009年以来詳細な年次報告書を公表している(※ 中国政府によって公開された報告書であり、全容を示したものでない―第5章―)。その年以来、中国の巨大な政府系ファンドは世界中で多くの研究者によって研究されている。

     ◆ @ CICと中国の政府系ファンドの概要 (※ 主に第1章から) 

中国の外貨準備高は世界最大である。中国の政府系ファンドは、世界の政府系ファンドの総資産の4分の1を占める。
第1章の「中国の経済政策における政府系ファンド」では、CICの資産の圧倒的な規模を強調している。2007年のCIC設立以来、2000億ドルから推定5000億ドルまでに増加した。これは世界の政府系ファンドの中で5番目の大きさであるが、CIC以外の中国の政府系ファンドを合計すると世界第1位の大きさである。中国の政府系ファンドの全体では、2011年までの世界の政府系ファンドの総資産の4分の1を占める。これらの政府系ファンドの背後には世界で圧倒的に大きな外貨準備高がある。

中国は米国債の最大の保有者でもある。中国の巨大な経済のサイズと比較してさえ、米国債の蓄積額は異常に高い。
CICが設立された2007年以来、中国の外貨準備高の増加の伸びは(徐々に)鈍ってきているが、中国は投資のための莫大な余剰資金を持ち続けている。

政府系ファンドの戦略的方向性ははっきりしない(※注1)。米国債のほとんどを保有するCICは、中国の膨大な外貨準備高の非常に少ない一部分を運用しているに過ぎない。今の財務相の楼継偉は、このCICの前会長兼CEOであった。楼継偉は今年3月に全人代で財務相に選出された。

CICの上層部による運用のプレゼンスは、少なくてもファンドの決定のいくらかの部分が政治化されたものであることを示している。さらに、国有企業と連携した戦略部門の取り組みと経済外交は、CICの目的が必ずしも商業的なものだけではないことを示している。

      ◆ A 米国の金融業に根を張る中国の政府系ファンド

中国の幾つかの政府系ファンドは、現在世界で最大にランク付けされる。
それらのファンドは米国の株式市場で、米国のファンド・マネージャー達と手を組んで株式を購入してきた。そして米国の金融業やエネルギー企業のなかに大きな利害関係を獲得してきている。米国への投資は、中国政府系ファンドによるグローバル投資の小さな部分に過ぎない。

2007年、CICを含む中国のいくつかの政府系ファンドがウォール街の銀行での株式を買収したとき、米国当局の懸念は増大した。CICはブラック・ストーンと投資銀行モルガン・スタンレーに数十億を投資した。ブラック・ストーンはプライベート・エクイティ・ファンドである(導入部)。  

2010年のCICによる報告では、CICが利害関係を獲得した企業として、テック・リソース、モルガン・スタンレー、ブラック・ロックのほかAIG、アップルなどの名前が挙がっている(第5章)。   

FRBはその役割として2つの分野でCICを検査する。一つはCICが、米国に拠点のある金融機関の株式を買収する際の検査。もう一つはCICが計画する、中国の銀行による米国国内での取引の検査。中国の銀行はCICの子会社 “Central Huijin”を通して、CICによって間接的にコントロールされている。

今までにFRBによって検査され認可されたCICを含む4つの事例のなかに、モルガン・スタンレーの事例がある。CICは、2007年に購入したモルガン・スタンレーの株式を議決権株式へ転換することを2010年8月に許可された(第5章)。
         
≪CICのほかでも、中国の政府系ファンドは国際的なファンド・マネージャー達と密接に連動して動いている。≫ その一部を表した表2-5では、CICは米国のカーライル・グループとブラック・ストーン(両方ともプライベート・エクイティ・ファンド)と連携して動いていることを示している(第2章 24-25ページ)。

資料リストA-6(50ページ)は、CICとの資金の受け渡しのあった主な金融企業をまとめたものだが、資金供給先のリストを見るとその多くが米国の大手金融業やエネルギー投資企業であることがわかる。著名なところを挙げれば、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ブラック・ストーン、ブラック・ロック、ステート・ストリート、米国石油基金などである。ファンド・タイプでは未公開株式、投資銀行業務、商品ファンド(エネルギー関連など)が多い。

また、CICが株式を取得した主な金融企業のリストをみると、米国ではモルガン・スタンレー、ブラック・ストーン、ブラック・ロック、ドイツ銀行(New Germany Fund Inc.)で株式保有比率の引き上げを進めていたことがわかる。

結論部では中国の政府系ファンドがアメリカ経済に及ぼす問題について5つの解決策を提示しているが、その最後の項目として「ヘッジファンドとほかのファンド・マネージャー達を規制監督すること」を挙げ、以下のように述べている。

「中国の政府系ファンドが(米国の)資金運用会社に外注し、その資金運用会社で株式を買うのと同時に、アメリカ政府はこれらの協働関係の実態についての情報を把握しているべきである。それは『シャドー・バンキング』システムの中でのソブリン資金の蓄積資本から、先手を打って損害を阻止するためである(訳注:この場合の「シャドー・バンキング」は国際的な定義上のもの)。」

      ◆ B CICの米国人アドバイザー (※ 第4章から)

CICは現在、米国人の4人のアドバイザーを持っている。4人の主な経歴と職位は次の通りである。

ジョン・L・ソーントン: ゴールドマン・サックス・グループ前社長、ブルッキングス研究所の理事会会長、HSBC北アメリカのNonexecutive chairman、清華大学教授

ジョン・J・マック: モルガン・スタンレー名誉会長、元最高経営責任者(CEO)

ジェームズ・D・ウォルフェンソン: 元世界銀行総裁(第9代)、シティグループ国際諮問委員会の元委員長

メリット・E・ジェイノー: ナスダック会長、WTO上級委員会の元委員、コロンビア大学教授

(要約終了)
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【※注1】:中国の政府系ファンドの戦略性について

「@ CICと中国の政府系ファンドの概要」の節で、「政府系ファンドの戦略的方向性ははっきりしない」という箇所と同様な記述は導入部や結論部などに何回か見られた。「中国政府は、まだ政府系ファンドの投資のためのはっきりと見える戦略を持っていない」とか「戦略的方向性ははっきりしないままである」とか「戦略は調整されたものとは程遠い」などの記述が見られる。

私はこれらの表現は、この問題に対する議会、特に野党である共和党の攻勢を意識した表現技法であると思う。具体的な戦略的事象が目に見えた形で現れていなくても、いつでも戦略的行動を起動させうる潜在的な環境を作っておくことも基本的な戦略だからである。このような表現技法は緩衝材の役目をする。しかしそれとは裏腹にこの報告書は読み手に、(状況次第では)中国の政府系ファンドが今後米国へ仕掛けてくるであろう戦略をあれこれと考えさせるだろう。その筆頭に挙げられるのが、米国債をめぐる状況だ。

                        ◆

7月の米中戦略・経済対話では米中間での投資協定についても話し合われたが、この米中対話に出席していた中国の財務相の楼継偉は前述したように、このCICの前会長であった。6月にバーナンキ議長が早くて9月からの出口戦略の実施を示唆したあと、膨大な米国債を握っている中国が、この7月の経済対話で米国債についての何らかの重要な協議を行わなかったはずはない。


     ■ U 中国の金融危機に米国は資金注入するか

これらの事から私は、中国が現在推し進めている経済改革について、米国が何らかの経済支援を今後行うことになるだろうという漠然とした予想は持っていた。しかし、8月下旬に「プロジェクト・シンディケイト」に掲載された、UBS・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、アレキサンダー・フリードマン氏の記事には驚かされてしまった。

(※ 「プロジェクト・シンディケイト」は、世界の一流のエコノミストが多く寄稿することで知られる著名サイトである。学者・研究者の寄稿が多く、投資に関する短期的な金融分析などは扱わない。経済・金融の動きの基礎を成す方向性や政策論を考えるのには非常に有効だ。)

China’s American Bailout? (8月22日 Project Syndicate)
http://www.project-syndicate.org/commentary/why-the-fed-may-bail-out-china-s-financial-system-by-alexander-friedman

USBのフリードマン氏は、アメリカと中国の語のスペルを組み合わせ、その<共生関係を表した造語 Chimerica>を使って米中関係を説明する。これは米国の経済学者ニール・ファーガソン氏の造語だ。私はファーガソンの著作は読んでいないが、以前自身のブログで同氏の記事をとりあげたことがある。

ウィキペディアによれば、2010年3月にファーガソン氏は、「チャイメリカ」(Chimerica)はまもなく解体するだろうと予測していたそうだ(※注2)。フリードマン氏はギリシャ神話の怪獣キメラ(chimera)と重ね合わせ、ファーガソン氏らによるチャイメリカ(Chimerica)崩壊の予測が、現在現実化しつつあるように見えると述べている。フリードマン氏はこの比喩を使った説明で現在の悲観的状態を述べ、結論部分ではアメリカによる中国への資金注入の必要を述べているのである。

怪獣キメラは頭がライオン、体がヤギ、尾は大蛇だそうだが、「チャイメリカ」は<米国債でつながる巨大な双頭竜>といったところだろう。
この部分を除いたフリードマン氏の記事の、全体的な抄訳を以下に記した。

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(抄訳開始)

今まで、米国債の大量売却は中国の利益にならないと考えられてきた。それにより人民元のドルに対する為替レートは跳ね上がり、中国の準備高の国内での価値は減少し、輸出部門の競争力は低下する。<昨年の>アメリカ国防総省の、中国による米国債保有についての報告書では次のように結論づけられている。

「中国が米国債を威圧的手段として使った場合の効果は、限定的なものになってきており、おそらくそのような手段はアメリカよりも中国により損害を及ぼすだろう」

しかし、長年積み上げてきた外貨準備の長期的効果が、国内経済へ確実に現れてきている<この今>(※注3)、外貨準備を大量に売ることは中国の利益となる状況になっている(訳注:“selling off foreign-exchange reserves”)。

現在の中国でのシャドーバンキング、不良債権問題など、金融改革での中国指導部の努力はやがて金融危機の引き金を引いてしまうことが考えられる。そのような危機では、政府は銀行システムへ大規模な資本注入を始めることを要求されるだろう。
最も起こりそうに思える銀行部門への資本注入の手段は、人民元建ての国債を注入することだろう。細部にわたる議論にもあるが、カルメン・ラインハートとケネス・ロゴフの結論である「高い債務比率(対GDP比)は経済成長を阻害する」という考えは広く一般に認められている。それゆえ対GDP債務比率を100%へ増やすことは中国にとって長期的利益とはならないだろうから、債務比率を中国が増やすようなことは起こりそうもない。

たとえ指導部にそのような資本注入の戦略を進めるための、必要に迫られた財政的な自由度があったとしても、中国の指導部はそのような戦略を採らないだろう。なぜならインフレのリスクが社会的騒乱を起こす可能性があるからだ。インフレ・リスクにはたぶん、どんなほかの経済的変数よりも社会的騒乱を起こす可能性がある。

このように考えると中国の金融危機が起こった場合、中国は十中八九、大量の米国債の売却を始めるしかほかはなくなる。幸いにも、そのような経済的変動から中国が受けるネガティブな影響は、以前に考えられていたよりも、おそらくずっと少なくて済むだろう。

確かに中国の保有する米国債の銀行部門への注入とそれによる(ドルから)人民元への交換は、中国の通貨をやはり強くするだろう。しかし人民元の上昇はおおかた資本流出によって相殺されるだろう。より緩和された資本規制が預金者を金融危機から逃れることを可能にし、資本流出が起こるからだ。
さらに、たとえ人民元が短期間においてより強くなったとしても、中国はもはや、かつてのように輸出競争力を維持することに依存してはいない。現在、組立と再加工を除けば、中国のGDPに寄与する輸出の割合は5%未満である(訳注:中国経済がかつてと違い、輸出依存脱却の方向へ動いているということ)。

このような背景状況に対してFRBは「テイパリング」(緩和縮小)のみに焦点を当てるのではなく、起こりうる米国債の大量売却に備えなければいけない。FRBが資金を供給する中国の銀行システムへの資本注入は、資金の借入コストを跳ね上げ、米国のGDP成長を妨げ、これまでの金融政策の効果を無効にしてしまうことだろう。このことを考えると、FRBは中国の金融危機が起こった場合、量的緩和策を継続することがいつでもできるように準備をしておくべきだ。

アメリカ経済を金融危機の結末から救い出すために費やされたこの数年の後、FRBはついに中国の銀行も救済することを余儀なくされる可能性がある。このことは根本的に米中関係の見直しを迫っている。そして願わくば、このことで米中関係を再び調和させてほしい。

(抄訳終了)
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【※注2】Chimerica
http://en.wikipedia.org/wiki/Chimerica

【※注3】中国経済は7月から経済指標で好転を表す数字が出始め、8月の統計では「復調を示す指標が目立っており」(日経 9月10日)、前年同月比で高い伸びを示している。これらの統計は中国国家統計局や中国税関総署などのものが多いが、信頼性が高いとされる英金融大手HSBCの製造業指数(PMI)でも、好不況の節目となる50を2カ月連続で上回った数字(わずかながらではあるが)が出ている。

中国の景況感、改善続く 製造業指数9月も50超え (9月23日 日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2300E_T20C13A9000000/?dg=1

「中国の8月の工業生産高、前年同月比10.4%増・DJ 市場予想は9.9%増」(9月10日 日経)
「中国の8月の小売売上高、前年同月比13.4%増・DJ」(9月10日 日経)  
「中国、8月の輸出は7.2%増 2カ月連続プラス」(9月8日 日経)  


      ■ V 周総裁の発言と中国の構造改革に対する強気派の見方

UBS・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、フリードマン氏のこの記事を読んで読み取れることは、フリードマン氏は中国政府が行う金融改革に対しては「やがて金融危機の引き金を引いてしまう」と見ているが、今後の中国経済については楽観的な見方をしていることである。

「中国はもはや、かつてのように輸出競争力を維持することに依存してはいない」 「そのような経済的変動から中国が受けるネガティブな影響は、以前に考えられていたよりも、おそらくずっと少なくて済むだろう」 「しかし、長年積み上げてきた外貨準備の長期的効果が、国内経済へ確実に現れてきている<この今>、外貨準備を大量に売ることは中国の利益となる状況になっている」

比較的早く出た少数派の楽観的見方で、7月15日の日経のインタビュー記事(下記)も同じくUBSの投資責任者との取材によるものだ(UBS:スイスに本拠を置く世界有数の規模を持つユニバーサル・バンク)。

「中国発の金融危機は来るか 信用調整はむしろ健全」 (7月15日 日経)
UBSグローバル・アセット・マネジメントアジア太平洋地域最高責任者 カイ・ソトープ氏
http://www.nikkei.com/article/DGXDASDF09002_Z00C13A7NN1000/

今後の中国経済の展望として楽観的な見方をしているということは、いま世界が注目している構造改革を建設的なものとして捉え、楽観的な見方をしているということである。ウォールストリート・ジャーナルによれば9月に入り米欧の経済アナリストで、中国の構造改革に対して楽観的な見方をする人たちが増えてきているそうだ。今回の投稿ではこれらの見方についての検討も含めるつもりであったが、時間上の制約などでまとめることができなかった。

9月6日、中国人民銀行の周小川総裁は、「FRBが金融緩和の縮小に踏み切っても、中国は起こり得る衝撃に対処できる」との考えを示し、「中国には十分な対応策があり、最初から一定の準備をしてきた」と述べた。

中国、米QE縮小への対処可能=人民銀総裁 (9月6日 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE98501U20130906

中国が米国の出口戦略の実施をにらみ、そのために周総裁が言うように「最初から一定の準備をしてきた」ことは構造改革の内容を見ていくとうなずける。中国の構造改革は理念的には、「不安定な高成長から持続可能な安定した成長へ」という経済成長モデルの根本的な転換であると同時に、米国の出口戦略が始まることで起きる世界経済の混乱と不安定化に備えるものであると言える。

中国が米国の出口戦略の実施をにらみ、「最初から一定の準備をしてきた」と強く思わせるような主張を早くからしていたのが、元モルガン・スタンレー・アジア会長で中国経済の専門家でもあるスティーブン・S・ローチ氏だ。投資銀行モルガン・スタンレーと中国の政府系ファンドである中国投資(CIC)とは資金面で深いつながりを持っている(※注4)。(ローチ氏は現在、米エール大学ジャクソン国際情勢研究所の上級フェロー。)

ローチ氏は6月下旬の短期市場での金利の混乱の直後に、グローバル経済のなかでの中国で始まった新しい経済・金融改革の歩みを力強く述べ、それに建設的で肯定的な高い評価を与えていた。また7月の記事では、「中国経済についての懐疑論者は、またしても中国の経済的バイタル・サイン(生命徴候)を読み違えている」といって懐疑論に反論していた。

Misreading Chinese Rebalancing (7月29日 プロジェクト・シンディケイト)
http://www.project-syndicate.org/commentary/the-mismeasure-of-china-s-rebalancing-by-stephen-s--roach

Breaking Bad Habits (6月27日 プロジェクト・シンディケイト)
http://www.project-syndicate.org/commentary/the-normalization-of-us-and-chinese-monetary-policy-by-stephen-s--roach

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【※注4】第T節「中国の政府系ファンドとアメリカ経済」を参照。


     ■ W 金融安定理事会(FSB)と中国のシャドーバンキング

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G20「影の銀行」の監視強化 中国念頭に合意へ (9月3日 共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013090301002138.html

 ロシアで5日から開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合が、ヘッジファンドやノンバンクなど銀行を通さない金融取引である「影の銀行」の監視強化で合意する見通しであることが3日、分かった。
 主要国が協調して影の銀行の実態を調査、金融不安の再発を防ぐ狙い。影の銀行を通じた取引の不良債権化が懸念される中国の金融問題への対処も念頭にあるとみられる。
 新たに合意する監視強化策は、G20を含む25カ国・地域の金融監督当局でつくる金融安定理事会(FSB)の加盟国に対し、損失を吸収できるよう一定程度の資本を持つことを義務付けるなど業態ごとに必要な規制を定めるよう求める。
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この記事の終りにある金融安定理事会(FSB)は2010年のG20金融サミット(ソウル)において、国際的なシャドーバンキング・システムの規制と監督の強化についての提言の策定をG20から要請されている。今年「7月にモスクワで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では、中国を念頭に、影の銀行に対する『規制・監視強化を期待する』と明記された」(産経)。

世界経済を脅かす中国の金融危機への懸念に対して、国際的な枠組みで取り組みが始まろうとしている。金融安定理事会(FSB)と国際金融機関は今後、中国の金融システムの安定への取り組みに大きく乗り出す時が来るだろう。

なお日経ウェブサイトがまとめた9月6日のG20首脳宣言の要旨では、中国のシャドーバンキングは特に明記されなかったようだ。中国の金融システム問題について習近平主席は「制御可能な範囲」主張し、議論が進まなかったそうだ(9月7日 日経)。マスコミはほぼ、シリア問題で一色であった。
「金融安定理事会(FSB)は、金融安定化フォーラム(FSF)が発展して2009年に発足した組織。国際金融に関する規制、監督、措置、政策提言などの役割を担う。G20を含む25カ国・地域の金融監督当局のほかに、国際機関のメンバーとして国際決済銀行 (BIS)、国際通貨基金 (IMF)、経済協力開発機構 (OECD)、世界銀行、バーゼル銀行監督委員会 (BCBS)などで構成される。本部はスイスのバーゼルにある国際決済銀行内におかれている。」(Wikipedia)
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FSBは、国際的な金融規制・監督やその他の金融セクター政策の策定・実施促進を目的に、各国当局・基準設定主体の作業を国際レベルでコーディネートする役割を有する。また、国際機関との協働により、金融システムに影響を及ぼす脆弱性を特定し、対処する役割を担っている。
(中略)
FSBは、G20サミット(またはG20財務相・中央銀行総裁会合)の下、活動を行っている。FSBメンバー間で合意された提言や報告書はG20へと提出され、G20における合意や要請を受け、国際的な合意事項/コミットメントとして、各国・地域毎の法制化・実施へと移行される。」

(「国際金融規制のコーディネーター: FSBの役割」 8月2日/ 2013年 大和総研)
http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20130802_007505.pdf
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国際決済銀行 (BIS)、IMF、 OECD、世界銀行、バーゼル銀行監督委員会などとFSBとの協働関係のイメージは上に挙げた大和総研のレポート(6ページ)を参照されればと思う。

また「早期警戒取組」(EWE)では、国際通貨基金 (IMF)とFSBはその実施に協力する。アメリカはFSBやIMFなど国際金融機関を使って、何としても中国の金融危機を食い止めようとするだろう。


     ■ X 中国に関与される米国の出口戦略

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政府系投資ファンド中国投資有限責任公司(CIC)は、米QEの縮小が元安につながる可能性があると予測。これが国内の資産バブルの崩壊を引き起こす可能性があるため、長期的な金融市場の不安定などに備える準備が必要だと強調した。
  
(「東南アジア:「米QE縮小不安」に陥り、長期化の可能性も=中国メディア」 8月28日 財経新聞 記事提供元:フィスコ
http://www.zaikei.co.jp/article/20130828/148122.html
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9月18日のバーナンキ議長のQE縮小見送りの最大の理由はこれだろう(FOMCの委員はまちまちな事を言っているが)。7月の米中戦略・経済対話で「米中が金融安定化に向けた協力で合意」しておきながら、FRBが中国経済のバブル崩壊のボタンを押すわけにはいくまい。

このFOMC会合の結果の十日ほど前の9月6日、中国人民銀行の周小川総裁は、「QE縮小に踏み切っても、中国は起こり得る衝撃に対処できる。中国には十分な対応策がある」と述べている。ロイターはその「具体的な対応策には触れなかった」と伝えているが、A・フリードマン氏(第2節参照)が予見するように、その「十分な対応策」とは米国債の大量の売却を示唆したものである可能性は高い。なぜなら現況の中国の経済状態や金融・経済改革の進み具合から見て、それ以外に「十分な対応策」と呼べる策など見当たらないからだ。この中国政府の「対応策」は、非公式にバーナンキ議長やオバマ大統領に伝えられたと推測する。もしこれが本当だとすればアメリカは事情迂闊としかいいようがないが、そもそもオバマ政権というのは歴代政権のなかでは政策能力は高い方ではない。

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中国、米QE縮小への対処可能=人民銀総裁 (9月6日)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE98501U20130906

[北京 6日 ロイター]中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の縮小に踏み切っても、中国は起こり得る衝撃に対処できるとの考えを示した。

前日公表された論評のなかで述べた。
総裁は「中国には十分な対応策があり、最初から一定の準備をしてきた」と指摘。「国際金融市場において急激な変動が起きれば、中国も影響を免れない」と述べた。具体的な対応策には触れなかった。
中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ(BRICS)は前日、為替市場安定を目的に創設する外貨準備基金の規模を1000億ドル程度とすることで合意した。世界最大規模の外貨準備を保有する中国が同基金の大半を拠出する。
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米中戦略・経済対話(7月10‐11日)での「米中のせめぎ合い」のなかで、中国側の先鋒は元CIC会長の楼継偉財政相だったそうだ。1兆ドル以上の米国債を運用してきたこの元最高責任者が、バーナンキ議長の前言(6月19日)を撤回させる注文をつけたことは想像に難くない。
ちなみに産経はこのニュースを、楼継偉財政相が米国側へ「(QE縮小の)影響は米国のみにとどまらず、十分注意すべきだと注文をつけた」と伝えているが、注文というよりも1兆2000億ドルの米国債保有を矛にして、迂闊な米国側を恫喝する場面すらあったかもしれない。

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米中戦略・経済対話では、経済分野で焦点の金融システムをめぐる米中のせめぎ合いがみられた。「影の銀行(シャドーバンキング)」問題が沈静化したと強調する中国に対し、米側は改革の継続を要請。逆に中国は米国の量的緩和の縮小について「時期尚早」とくぎを刺した。
(中略)だが、米側はこの問題を「戦略対話の主要議題」(政府高官)として狙いを定めていた。「シャドーバンキングに伴う問題を改善せよ」と迫るバイデン副大統領に押されたのか、中国の汪洋副首相も「米中は金融安定化に向けた協力で合意した」と表明せざるを得なかった。
(中略)中国側も米国発の金融リスクを突いた。米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の年内縮小を打ち出し、世界の金融市場が動揺する中、中国の楼継偉財政相は「高い失業率を考えれば時期尚早」と牽制(けんせい)し、「影響は米国のみにとどまらず、十分注意すべきだ」と注文をつけた。

経済でもせめぎ合い 「影の銀行」で応酬 (7月12日 産経)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130712/fnc13071222090017-n1.htm
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米国が困難な出口戦略の実施を考えているこの今、中国が困難な金融改革を進めねばならないこの今、「米中が金融安定化に向けた協力で合意した」とおり、FRBと中国人民銀行は連携して動く必要性が生じている(CICはもちろん)。それは両者が米国債をもって一体化し、ファーガソン氏がいうチャイメリカ(Chimerica)の関係にあるためだ。しかしながら、FRBと中国人民銀行の連携の関係はこの場合、中国の都合中心に傾いたものになるかもしれない。

9月18日の会見でバーナンキ議長は、QE縮小を見送った理由として幾つもの理由を挙げた。その中の一つとして予算案をめぐる与野党対立による政府機関の閉鎖の恐れなどを挙げた。バーナンキ議長や連銀の総裁たちが、議会によって株価大暴落や世界恐慌の引き金が直接引かれるという、現実離れした「杞憂」に一応配慮したというのは一つの理由でもあるだろう(IMFは、米政府がたとえ一時的にでも債務返済に支障を来せば、米経済と世界経済に壊滅的な影響が及ぶと警告している−9月27日 WSJ)。

みずほ証券のエコノミストである上野泰也氏はQE縮小見送りの理由として、この議会対立の債務上限問題などの理由を過大視していると思うが、議会に対する配慮よりももっと大きな理由に中国の要因が考えられる。上野氏は「中央銀行当局者の発言がクリアカットでない場合、<政治関連の問題>が裏にある場合が少なくない」と述べているが、あの横柄で積極的な中国政府こそ、QE縮小に対して<政治的に>押し黙っているわけがない。

コラム:米QE維持の背後に潜む「政治的事情」 (9月25日 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE98O04T20130925?sp=true


米国の出口戦略を考えるときに、それを米国の国内要因だけで説明しようという考え方は実情に適合しない。

上野氏とは対照的にロイターのアナリストである田巻一彦氏は、QE維持の最大の要因として「中国を含めた新興国の経済情勢に対するFRBの予想外に大きな懸念」があるという見方をしている。日本の多くのエコノミストとは違い、「シャドーバンキングという火薬庫」とFRBの出口戦略をきちんと結びつけて考えている。「FRBが量的緩和縮小を先送りしている間に、新興国が時間を稼いでマクロ状況を改善できればFRBにとっても望ましい」という部分は中国を念頭においているのだろう。

田巻氏はこの要因を含む背景からFRBの次期議長にハト派の起用を予想し、それによってQE縮小が大幅に先送りされる可能性を指摘している。

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一連の流れを見ていると、18日のバーナンキ議長の発言は、市場の一部で広がっている「縮小時期の小幅先送り」ではなく、大幅な先送りにつながる可能性がある。(中略)

FRBが金融政策の方向性をよりハト派的に修正しようとしている要因については、大きく2つあると考える。
1つは米経済の成長力に対する見方の修正だ。(中略)

さらに大きな要因は、中国を含めた新興国の経済情勢だと類推される。会見でバーナンキ議長は新興国に関連し「米国、また他の先進国の長期金利の変動が、新興国市場に一定の影響を及ぼし、一定の資本流出入につながるのは事実だ。特に、為替レートを固定しようとしている国がそうだ」と述べた。(中略)

新興国がつまずけば、世界経済全体に動揺を与え、米経済にも大きな下押し要因として働きかねない。特にシャドーバンキングという火薬庫を抱える中国の動向は、米政策当局にとっても無視できない要因であると思われる。
FRBが「量的緩和縮小」を先送りしている間に、新興国が時間を稼いでマクロ状況を改善させることができれば、それはFRBにとっても望ましい展開であるだろう。

コラム:米量的緩和縮小、年明けに大幅先送りの可能性も(9月20日 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE98J02J20130920?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true
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      ■ 結び:尖閣問題と米国債のリンケージ

FRBを中央銀行にもつ米国は、景気回復が進むのならば困難な出口戦略を実施せねばならない。米国がQEを縮小・終了させる理由は、制御が困難なインフレを回避するためである。経済指標が確かに好転を見せ始めてきたら、できるだけ早くQEを終了させなければ、「出口」から脱出できずにインフレの波が押し寄せてくる。

FRBの金融政策については、また、稿を改めたいと思う。

日本の国の借金の残高は2013年6月末時点で1000兆円を突破したが、安倍政権はますます超巨大な債務爆弾を膨張させている。日銀の黒田総裁は8月30日の消費税増税についての意見を聴く「集中点検会合」で、増税を先送りすれば国債が暴落し、その場合には政府も日銀も対応できないと述べたそうだ。これに関連した取材を行った朝日新聞によると、黒田総裁は日銀スタッフにこう語ったそうである。

「いったん国債の信認がなくなれば、いまやっている日銀の買い入れは意味がなくなる。そうなれば2%の物価上昇目標の達成もデフレ脱却もできない」

「黒田日銀の半年:1 トラウマ、国債急落 異例の増税要請」 (9月25日 朝日)
 http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309240571.html

黒田総裁は9月、日銀の出口戦略の展望をきかれて「まだ示す段階ではない」と答えたそうだ。
黒田総裁も安倍首相も自民党も出口戦略など持ってはいない。ドイツ連銀のバイトマン総裁やメルケル首相などからは、日本と日銀には出口戦略の当てなどなく、その金融・経済政策は「片道切符の刹那主義」でしかないことをしっかりと見抜かれているはずだ。

いま、尖閣問題で中国は海上から日本の実効支配に揺さぶりをかけている。
オバマ政権は2期目では最初から「50%政権」と言われるほど指導力を欠いたものであり、政策能力も高い方ではない。
中国は兵法の発達した国だ。戦いにおいて最善の策は戦争を避け、「調略」で領土を拡大させることである。
米国債の問題での米国との駆け引きで、中国が尖閣問題と米国債をリンケージさせてくることは当然想定しておくべきだろう。


 

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コメント
 
01. ゴル吾 2013年10月02日 03:09:18 : 7jKWxNQUIF88E : jazGOgVIqs
米連邦政府機関が半壊してるのに、ゴールドがCOMEX開始と同時に30分で30ドルの暴落を演じてるんですね。この必死さには各紙とも説明放棄状態ですね。でもこれって中国にゴールドを安くプレゼントするためなんですかね? ちなみに1995-6年のシャットダウン時は、最初はゴールドが下げ、その後暴騰してましたね。

02. DOMOTO 2013年10月03日 22:09:01 : VRQtq/0DZtRLQ : HOOBqJbB6M
この日のロイターは「手仕舞い売りの勢いが強まった」って解説してますね。日経は、

「債務上限引き上げ問題などの先行き不透明感が強く、金先物市場では中長期的な相場の方向を読みづらいとして、持ち高を傾ける投資家は少なかった」

と解説してます。手元に2011年7月のデータがあるんですけど、中国はその時からまったく金の保有量を増やしていません。その代わり下落しているゴールドを買い込んでいるのはロシアで、来年には中国を抜くようです。世界経済が混乱すれば金の出番は出てくると思いますよ。


03. ゴル吾 2013年10月04日 04:55:30 : 7jKWxNQUIF88E : jazGOgVIqs
金の不自然な暴落に関する国際メインメディアの解説はいつも決まっていて、「市場が」「投資家が」です。割と誠実そうな人でさえ「ヘッジファンドが仕かけ、あとはストップロスで自動的にああなったのだ」くらいしか言うことができません。一方、kings World News、GATAなどの反体制メディアは、暴落が10/1ではなく、かなり後の10/2のCOMEX開始と同時に「ドルインデックスが80を割った」直後に起きたことを指摘し、この背後にはヘッジファンド・レベルを超えた国家レベルの勢力によるドル防衛のための操作(manipulation)があったと指摘しています。4/12などですでにやられているので、今回は論評も素早く出ました。どちらを信じるかは個人の自由ですが、私は後者の方が信憑性があると思います。

04. DOMOTO 2013年10月05日 12:52:30 : VRQtq/0DZtRLQ : HOOBqJbB6M
>>02で中国政府のゴールドの保有量について述べましたが、これはワールド・ゴールド・カウンシルの統計でした。中国政府の金保有量についてはWGCの数字はほとんどあてになりません。それは政府が保有量を公表しないことの方が多いためで、2009年4月に管理局が公表した1054トンは、その時まで掲載されていたWGCの数字600トンを500トン近く上回っています。そして2013年9月もWGCでは1054トン。

最初にゴル吾さんが触れた中国は、ロシアとともに下落しているゴールドを買い込んでいる可能性はかなり高いと思います。「ドル防衛のための操作」という説明はしっくりきますね。


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