１５日の米国株は急反落。ニューヨークの市場関係者も「万が一」に備え始めたのか（ＡＰ）

米国債格下げへ　デフォルトなら世界に破滅的な影響　消えないドル暴落リスク
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131016/ecn1310161810011-n1.htm
2013.10.16　夕刊フジ

　米国債のデフォルト（債務不履行）危機が緊迫の度合いを高めている。１７日の連邦債務の上限引き上げ期限を前に、上院の与野党は来年２月まで期限を先送りすることで合意に近づいたが、野党の共和党が支配する下院の動向は予断を許さない。米国債の格下げ方向や米国株急落など市場も懸念を示す。合意にこぎ着けても「危機が先送りされるだけ」（エコノミスト）で、米国債やドルの暴落リスクは残ったままだというのだ。

　米上院の与野党トップは１５日、連邦債務の上限引き上げと政府機関の再開をめぐる財政協議を進めた。独自案採決を模索する下院の動きが頓挫したことを受けて、同日中にも上院として暫定合意を発表する可能性が高まった。

　暫定合意は、政府に新たな借り入れを認め、債務上限の引き上げ期限を来年２月７日まで先送りするとともに、１月１５日までの暫定予算を策定して政府の当面の資金繰りを付ける内容。米国債のデフォルト回避と政府機関の正常化を目指す。

　協議が妥結すれば、上院は１５日夜にも暫定合意を反映させた法案採決の手続きに入る。可決されれば焦点は野党、共和党が支配する下院に移るが、影響力の強い保守派が反対し独自案を探る動きが残っており、法案の行方は依然不透明だ。

　欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスは同日、米国債の格付けを最上位の「トリプルＡ」から引き下げる方向で見直すと発表。ニューヨーク株式市場のダウ工業株３０種平均は１３３・２５ドル安の１万５１６８・０１ドルと急落するなど市場の警戒感は高まった。

　「確率は低いが、起きた場合は深刻な影響を伴う」。国際通貨基金（ＩＭＦ）のチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏はロイター通信に対し、米国債がデフォルトした場合、世界経済に破滅的な影響を与えると警告を発した。

　アルゼンチンやギリシャなどはこれまでに何度もデフォルトを起こしているが、仮に欧米主要国のデフォルトとなると、ヒトラーが首相となった１９３３年のドイツ以来という極めて異例の事態だ。

　麻生太郎副総理兼財務相は、米国債がデフォルトすれば「（政府の）資産が影響を受ける。経済成長しつつあるところに与える影響も大きい」と指摘する。日本の米国債保有額は７月末で１兆１３５４億ドル（約１１１兆７３００億円）で、中国と並ぶ巨大債権者だ。また、メガバンク３行も計約８兆円規模の米国債を保有するほか、生保各社も米国債での運用を行っている。米国債がデフォルトを起こして暴落した場合、政府や金融機関が巨額の損失を抱えることになってしまう。

　もっとも、米国は国債の利払いができないためデフォルト危機に陥っているのではなく、法律で定める債務の上限額が政争の具となっており、米議会で合意すればデフォルト危機は遠のく。

　共和党のベイナー下院議長は上限引き上げに失敗してデフォルトを引き起こすことは「間違っている」と述べた。

　東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏も与野党の協議の行方について「楽観的だ」と話す。「自分たちで作ったルールで自分たちの首を絞めることはない。当面、２月まで混乱を避けるだろう。債務の上限を設定しているのは、ある意味で健全なこと。日本の方が無責任ともいえる」と評価する。

　一方、ニッセイ基礎研究所専務理事の櫨（はじ）浩一氏は、「数カ月先送りしても、再び同じようなことが繰り返されるだけだ」と指摘する。

　米国の債務はこれまでに何度も上限に達している。大きな騒動になった２０１１年夏もデフォルト危機を迎えたが、土壇場で回避された。ただ、問題の先送りだけでは、根本的な解決にはつながらないという。

　「先送りを続けるたびに国債やドルに対する信認がなくなってゆくのは危険だ。世界的にデフォルトリスクが意識され、米国債を保有することに不安を持つ人が増えることで、米国債の下落やドル安圧力がかかる」（櫨氏）

　協議の行方は日本市場の先行きも左右する。国内系証券の株式ストラテジストはこう分析する。

　「問題が解決すれば、１ドル＝１００円台、日経平均株価は１万５０００円を目指す展開になるが、協議が決裂した場合円高株安になる。２００８年のリーマン・ショックで円相場は２カ月足らずで約１５％の円高、日経平均は３分の２にまで下落した。同程度の影響だったとしても１ドル＝８０円、日経平均は９０００円台と、安倍政権発足前の水準まで逆戻りする恐れがある」

　米国発の金融不安は尾を引きそうだ。

コメント
01. 2013年10月16日 20:59:36 : Rc2XwXqNt6 デフォルト回避期限迫る、米共和党が最後のカギ握る 　アメリカ政府が借金を返せなくなるいわゆるデフォルト危機は、回避の期限が日本時間の１７日午後１時に迫っています。世界経済に深刻な影響を与えるデフォルトを回避できるかは、野党・共和党がカギを握っています。 　アメリカ政府は１７日には債務不履行＝デフォルトに陥る可能性が高く、それを回避するためには債務の上限を引き上げる法律を成立させる必要があります。しかし、これに議会下院の共和党が反対しています。 　「（共和党強硬派は）自分の主張が、１００％あるいはほとんどが通らなければ、民主党と交渉しようとしないので下院で法案が停滞している」（アメリカ オバマ大統領） 　下院・共和党は、オバマ大統領の医療保険改革をめぐり、国民負担の軽減を求めていて「無条件の債務上限引き上げ」には強い難色を示しています。 　主要メディアによりますと、議会上院は、年末までに国民負担軽減の結論を出すかわりに政府債務の上限を４か月分ほど引き上げるという妥協案を用意。上院では現地時間１６日の早い段階で妥協案の関連法案が通され、即座に下院に送付される見込みです。 　デフォルトが回避できるかは、下院共和党が党内の強硬派を抑えて、１７日の期限を迎えるまでに法案を可決・成立させられるかどうかにかかっています。（16日17:02） http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2031343.html
02. 2013年10月16日 23:47:23 : aQq0UGoaxY 最近、米国債のデフォルト対応について心配している振りをしたマスコミが多く出現している。 世界中を相手に脅しを掛けているように見える。 米国がやったなら、ハゲタカの暗躍や恐慌を防ぐために、即座にドルと自国通貨の交換を一時的に禁止すればよいだけだ。 事態が安定するまで通貨に関することを全て管理状態に置いてしまえば、余計な混乱を防ぐことができる。 米国はデフォルト詐欺をやってみればよいのだ。
03. 2013年10月17日 18:43:36 : BnPrTFBl8k それでもトリプルＡだとさ。 軍事力だけが頼りの評価。

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