★阿修羅♪ > 経世済民83 > 261.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ハウステンボスが公海上でカジノ運営を先行開始 立命館大学・川口清史総長が目指すグローバル化とは
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/261.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 17 日 00:59:06: rUXLhToetCnYE
 

JBpress>海外>アジア [アジア]

ハウステンボスが公海上でカジノ運営を先行開始

アジアのカジノ先進国に続け(後篇)

2013年10月17日(Thu) 末永 恵
 昨日の前篇では、シンガポールのランドマーク、マリーナ・ベイ・サンズをご紹介したが、シンガポールを代表するもう一つの統合型リゾート(以下IR)、リゾート・ワールド・セントーサも、メイン・アトラクションがユニバーサル・スタジオ・シンガポールで、世界最大のパノラマ型水族館マリーナ・ライフ・パーク等を併設している。

IRの先駆者、マレーシアのゲンティン・ハイランド「雲の上のカジノ」


世界のIRの先駆者、ゲンティン・グループの創業者、故・林梧桐氏(右)。60歳を過ぎても、開発中のジャングル現場を訪れ、工夫たちとともにシャベルを握ったというほどの現場主義者。左は林梧桐氏の次男でグループ現会長の林国泰氏(写真提供:筆者、以下同)
 特筆すべきは、このリゾート・ワールドを開発したマレーシア・クアラルンプールに本社を置くゲンティン・グループ。今でこそアジアやラスベガスを中心に注目される世界的なIR施設だが、それを半世紀前にクアラルンプールのジャングルで発案、建設。

 現在の“IRの生みの親” と言われるのが同グループの創業者、故・林梧桐(リム・ゴートン)氏。

 当時ジャングルだった標高約2000メートルの荒地を開拓、今では「マレーシアのラスベガス」とも称される高原リゾート、「ゲンティン・ハイランド(Genting Highland、中国語:雲頂高原)」、すなわち「リゾート・ワールド・ゲンティン」を大成功させたアジアのビジネス界で知る人ぞ知る起業家の神様でもある(中国語名=雲頂の意味は「雲の上」)。

 1937年、19歳のときに中国・福建省から無一文で、叔父を頼り、マレーシアに船で渡ってきた林氏。大工見習いから始めて、建設業に携わり、一心不乱に働きつめて、ふと仕事で立ち寄った高原で、アイデアが浮かんだ。


クアラルンプール郊外にある標高2000メートルの熱帯の高原リゾート「ゲンティン・ハイランド(中国語:雲頂高原)」。その名の通り、“雲の上のカジノ”。100万年の太古の熱帯雨林に抱かれた高原リゾートには、何千という希少な動物や植物も生息する
 「常夏のマレーシアだが、ここ高原は涼しくて気持ちがいい」、ダム建設で訪れた高原で、酷使した体を癒やしてくれたのが、100万年の太古の熱帯雨林に抱かれた壮大な自然だった。

 手つかずのジャングルの開発は不可能と言われたが、途中数多くの困難に遭遇しながらも諦めずに開発を遂げたゲンティン・ハイランドは、マレーシアで唯一の政府公認のカジノを付設。現在でも世界的に稀な熱帯にある高原リゾートとして、世界からの観光客が後を絶たない。

 今では、英国、米国、香港、フィリピン、シンガポールなどでもIRリゾート開発を展開し、ほかにも石油・天然ガス開発、造船、不動産開発など、アジアでも屈指の大財閥グループとして成長したマレーシアの巨大グローバル企業だ。

カジノ産業で経済成長を図りさらに進化するアジアのIR事情

 ゲンティン・グループが保有するゲンティン・ハイランド(リゾート・ワールド・ゲンティン)は、カジノ、ゴルフコース、遊園地、コンベンションセンター、コンサート施設等がある一大高原統合リゾート、IRだ。


下界から高原リゾートまでは、東南アジア最長のロープウエイ「スカイウェイ」が運行。空中散歩で、“雲の上”までエンジョイできる
 子供からお年寄りまで家族で楽しめ、また、イスラム国家でギャンブルができないマレー系のマレーシア人にも高原を楽しんでもらいたいという創業者・林氏のマレーシア流「お・も・て・な・し」だったのかもしれない。

 クアラルンプールから北に約50km、車で50分ほどで到着するゲンティン・ハイランド。標高2000メートルという高地なので、交通手段は車やバスだが、アジアで最長のロープウエイも直結しており、原生林を眼下におさめながらの“空中散歩”もなかなか見ごたえ満点(高所恐怖所の方は熟慮の上・・・)。


ゲンティン・ハイランドに開設されている「ゲンティン・ギャラリー」。ジャングルを切り開いて造られたカジノのこれまでの写真やミニチュア模型=写真=が公開されている。50年前の壮大なプロジェクトの一端を垣間見ることができる
 熱帯でありながら、ここゲンティン・ハイランドだけは、年間の気温が14〜25度でとても涼しい。熱帯の中の冷涼な気候から、高原自体がすっぽり雲に隠れることが多い。

 「ゲンティン・ハイランド(中国語:雲頂高原)」の名前の由来もそこから来ている。ここは、熱帯の涼風が吹く、まさしく「雲の上のカジノ」、楽園なのだ。

 またこのほどゲンティン・ハイランドに、2016年の完成予定で米映画制作会社大手・20世紀FOXによる映画を主題にした世界初のテーマパークが建設されることが明らかにされた。


英国から独立後就任したマレーシアの初代首相を支え、歴代首相ら政界と太いパイプを築いたゲンティンの創業者、林氏。右は、マハティール元首相
 ゲンティンの創業者の次男でもある林国泰(リム・コックタイ)会長は、新テーマパークの完成で屋外遊園地への年間訪問客数を現在の約300万人から倍増させる計画を発表。「ゲンティン・ハイランドを世界の主要観光地にしていきたい」と、未来型IRへの進化を目指している。

 このように、アジアはカジノ事業を主体としたIRの先進国で、特に韓国、フィリピンなどでは観光振興の切り札と位置づけており、フィリピンでは今後、売り上げを5年で10倍に増加させる計画だ。

 世界最大のカジノ都市、マカオは中国人観光客を取り込み、年率2桁の成長を続ける。また、ベトナムやカンボジアもカジノに参入、マカオに対抗し、中国人観光客の争奪戦を繰り広げている。

カジノ合法化を睨んで先手を打つハウステンボス

 こういったIR先進国のアジアと対抗、アジアからの観光客を狙い、すでに“日本企業”がカジノ合法化を前に、豪華カジノビジネスを7月末から先行スタートさせた。

 ハウステンボス(長崎県佐世保市、澤田秀雄社長)の子会社、HTBクルーズが運航する国際旅客船「オーシャンローズ」が、長崎市と中国の上海市を結ぶ航路の“公海上”でカジノ営業を始めた。カジノ営業の“船出”というわけだ。

 実は、「オーシャンローズ」はパナマ船籍。ハウステンボスがパナマ籍の中古船を購入したもので、ハウステンボスクルーズが設立したパナマの現地法人が所有。よって、公海上はパナマの法律が適用され、カジノの営業は問題なくできる。

 現在、日本国内でのカジノ営業は違法だが、国内法が及ばない公海上でなら営業可能。また、日本の領海航行中のときだけ、カジノを閉鎖すれば、これもまた法律上、全く問題ないというわけだ。

 しかし、カジノ船の真の狙いは、「ハウステンボスのカジノ誘致」にある。東京五輪を見据えたカジノ解禁をにらみ、合法下の公海上でカジノ営業を先行させ、運営ノウハウを習得しながら、先手必勝につなげたいといったところだ。

 現在、全国でカジノ誘致に名乗りを上げている自治体は、東京都、大阪府、沖縄県などがあるが、ハウステンボスへのカジノ誘致を目指す長崎県は、他都府県と比較し、官民一体の誘致活動が成熟、先行している。

 もともと、石原慎太郎氏が「お台場構想」を打ち立てる前から、カジノ合法化に積極的だった超党派の国際観光産業振興議連会長の古賀一成衆院議員(民主党、九州比例選出)は、長崎県のハウステンボスは、「カジノ特区」の候補と言明している。

 澤田社長は、投資が大都市に集中するより、地方都市への誘致で観光や雇用につながれば、それこそ日本経済の底上げ、活性化につながるとみているようだ。

 カジノ先進国のアジアの観光客誘致の目玉として、特にハウステンボスは“カジノ景気”を見込み、敷地内のホテルヨーロッパに富裕層ターゲットのカジノを開設、ホテルも新規オープンする予定など、カジノビジネスで急成長するアジアマネーの獲得にすでに動き出した。

ハゲタカ外資に牛耳られない、日本の独自性を生かしたカジノ市場創設を

 しかしカジノ誘致には、推進派と反対派がいるように、「メリット」「デメリット」の両面性が見え隠れする。メリットは言うまでもないが、デメリットは、ギャンブル依存症の増加、犯罪率上昇、若年層への悪影響。また、最近の大王製紙の御曹司、井川意高前会長のカジノスキャンダルが、カジノ合法化への向かい風となっているのは事実。

 一方で、カジノ運営については、こうしたカジノの「負」の部分を軽減するリスクマネジメントを実施することも可能だ。カジノの成功例で挙げられるシンガポールでは、カジノは限定された特区内だけで、外国人は無料だが、現地人のカジノでの依存症などを防ぐため、入場料を100ドル(約8000円)徴収するなど、特に低所得者層や若年層がギャンブル依存症に陥るのを防ぐ対策を練っている。

 韓国でも外国人専用のカジノが儲けられ、また「カジノ特区」を都心でなく沿海側や、地方に設けるなどの対策が考慮されている。個人的にはギャンブルはしないし、カジノは好きではないが、IRとしての多種複合施設の規制緩和で日本経済を活性化させるポテンシャルは否定しない。

 しかし、公設か、私設かの課題もあるが、日本でカジノリゾートを開設するとなると、日本にはそのノウハウがない。現状でも、すでに日本の上空をハゲタカ外資が旋回し、熾烈なカジノ市場の受注パイ争いを展開してる。

 「カジノ王」と呼ばれているラスベガスのスティーブ・ウィンやマカオのスタンレー・ホーがすでにラブコールを日本に送っているように、肝心な部分を、日本の良さや文化を習得していない外資にむさぼりとられては、日本にとって大事な旨味の部分がなくなってしまうことになる。

 欧米のシンクタンクが予測するように、カジノの規模ではラスベガスを抜き世界2位に躍り出るかもしれないが、それだけでなく、日本は幸いにも世界的に誇れる食、文化、伝統という優れた観光資源に恵まれている。

 そういった日本の強みや利点を最大限に有効活用してこそ、未来型の「IR立国」をリードし、世界にアピールできる「日本のカジノ」を誕生させ、印象づけることができるのではないか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38877


立命館大学・川口清史総長が目指すグローバル化とは

大学は「MOOC」には置き換わらない

2013年10月17日(木)  白壁 達久

 立命館大学は2000年に大分県に「立命館アジア太平洋大学(APU)」を創設した。現在、世界78の国と地域からの留学生が2420人に上り、APUの全学生に占める留学生比率は43%にもなる。
 APUを創設した2000年に立命館大学は、東京大学が今回成し得なかった「秋入学」も既に導入済み。今年9月25日には28の国と地域から167人の外国人新入生を迎え入れた。そして昨年、グローバル化への取り組みをさらに一歩進めて、「キャンパス・アジア」を立ち上げた。日本と中国、韓国のキャンパスを学生が移動しながら学ぶというもので、立命館文学部、中国の広東外語外貿大学、韓国の東西大学校からそれぞれの10人ずつ学生を集めた。
 立命館が大学のグローバル化にこだわるのはなぜか。その理由を同大学の川口清史総長に聞いた。
「立命館アジア太平洋大学(APU)」にとどまらず、「キャンパス・アジア」など矢継ぎ早に国際化に向けた取り組みをしている。どのような危機感があって立命館は改革を推進しているのか。

川口:経済におけるグローバル化が叫ばれて久しいが、大学が真に国際化を迫られてきたのは、ここ10年くらいだ。おそらく、ほかの大学はそのあたりから本腰を入れているだろうが、立命館は違う。実に30年近く取り組んできている。


川口 清史(かわぐち・きよふみ)立命館大学総長
1945生まれ、68歳。京都大学経済学部卒業、修士、博士課程を経て、76年に立命館大学社会学部助教授に。87年に同教授。94年に政策科学部教授。2004年に政策学部長などを歴任し、2007年から立命館大学総長に就任。(写真:菅野 勝男)
 その背景には、1980年代中頃の危機があった。当時の立命館は存在感が薄く、関西の私大の中でも地位が下がりつつあった。このままではいけない。何とかして特色を打ち出し、中長期的に大学の未来を考えて何をすべきかを必死に模索した。その答えが国際化だ。

 国際化を掲げる国内大学の多くのは、「ほかの国内大学に優秀な人材を取られないようにする」ことが目的となっている。だが、立命館の目的はそこにはない。海外、それもアジアから優秀な人材を呼んでくることにある。つまり、ライバルは国内ではなく、海外の大学であり、ほかの国内大学とはそもそもの競争意識が異なる。

 国際化を標榜しても、一朝一夕で成し遂げることはできないだろう。国際化が進んでいると言われる立命館でさえ、教授会を含めて大学の改革を理解してもらうのは難しいのだから。改革にはどうしても時間が必要だ。一発逆転の満塁ホームランなどない。地道にやっていかなければ、反動が来て本来成し遂げたい改革という果実は、むしろ遠ざかっていってしまうだろう。

中韓と緊張関係にある今だから、日中韓で合同キャンパスを作った

昨年、試験的に導入した「キャンパス・アジア」は日中韓の学生30人が、それぞれの国において現地の言葉で現地の文化や慣習を学ぶ。このプログラムが意図することは何なのか。

川口:世界の大学で共通する課題はやはり、教育だ。しかし、多くの大学は研究に力を注ぐあまり、人間教育の場でなくなっている。教授が学生に対して一方的に話して知識を埋め込む日本の講義スタイルはもちろん、海外であっても、教育に対してもっと力を入れなければならないと考えている大学は少なくない。

 グローバル化が進み、国境を越えて多様な人材とコミュニケーションを取り、お互いに理解して物事を決めていかなければならない時代になっている。だが、島国である日本の中に閉じこもり、教科書を読んでいるだけでは、学生は新しい時代の課題に対する対処法を見出せないだろう。それを見つけるには、異なる国の学生と直接触れ合って、話して、一緒に時間を過ごすことで、お互いを知ることが近道だ。

 日中韓の3国をキャンパスとして1年で回るこのプログラムは、隣国との関係が決して良いとは言えない今、リスクもある。だが、逆に今こそお互いを知らなければならない時代とも言える。

 お互いの思考に溝があったとき、相手の考えに迎合したり拒絶したりするのではなく、まずは、その溝が埋めがたいものだと理解するだけでも大きな意味がある。その上で、どうしてそのような溝ができてしまったのか、その考えに至った背景を知ることも重要だ。

 そのため、日本では日本語で日本の近代史などの講義をし、中国では中国の、韓国では韓国がそれぞれ現地の言葉と教材で授業をする。日本で学んだこととは違う話にもたくさん出会うだろう。しかし、そうした日本とは違う環境の中で、自分で考え、その考えを異国の人に伝える試行錯誤の過程こそが、学生に国際感覚を育む上で重要だと考えている。

国境を越えるネットの時代に、あえて1つの場所で共同生活

「MOOC(ムーク=大規模公開オンライン講座)」と呼ばれる、ウェブ上で世界のどこからでも海外のトップ大学の講義を無料で受けられるサービスが流行している。既に、数百万人レベルの登録者がいるが、オンライン化によって大学における国境といった概念が崩れつつある。3カ国のキャンパスをリアルに回るプログラムは、世界のオンライン化の流れとはまさに逆行しているように見える。

川口:オンライン化の流れは止まらないだろう。著名な大学の最先端の講義が無料で聞けるとなれば、優秀な人材もオンラインに流れ込む。ただ、すべてがオンラインに取って代わられるかというと、違う。むしろ、オンライン化が進めば進むほど、リアルな教室で顔を突き合わせた講義の重要性が増してくる。

 オンライン講義で海外を知れば知るほど、学生は実際に海外に飛び出したくなるだろう。インターネットが国境を壊せば、いろんなルーツを持つ人が一緒になって物事を考える機会が増える。だが、自分とは違う環境で育った相手とネット上で出会ったとき、多くの人は相手の考えや行動を上手く理解できずに、そこでつまずいてしまうのではないか。ネットが国境を壊すからこそ、リアルなコミュニケーションをどれだけ積み重ねてきたかということが、今後、大きな価値になる。

 キャンパス・アジアでは、立命館に中国と韓国の学生が来た際、30人の学生が1つ屋根の下で共同生活をする。一緒にご飯を作ったり、自由な時間に語り合ったりする。そこでどのような議論が起こったのかを学生に聞いてみた。

 日中韓が微妙な関係にある今、領土問題を討議するのかと思いきや、大激論を交わしたのは「ごみの出し方」だとか。日本人の分別の細かさや、逆に中国や韓国の大雑把さなどについて、喧嘩に近いほど熱い議論を交わしたという。高尚な話でなくてもいい。むしろ、身近なところから、文化の違いを感じてくれたらいい。

 この成果を見て、現在、留学生向けに建てている寮の設計を変更し、シェアハウスのように寮生が顔を突き合わせる空間を意図的に創るようにした。オンライン化が進む今だからこその工夫だ。

将来は中韓だけではなく、ほかのアジア諸国にも広げたい

キャンパス・アジアは実験的な試みだが、今後も続けていく計画か。その場合、今は中韓だけではなく、ほか国や地域にも対象を広げていく考えはあるか。

川口:現在、このプログラムは文部科学省の認定事業として、政府に支援してもらっている。実際、大学が単独で実施するには、学生が負担しなければならない費用が多大になるため、短期化するなどの工夫が必要だ。ただ、一過性のチャレンジで終わらせるつもりはない。

 キャンパス・アジアの名の通り、今後は入学したのが立命館だとしても、アジアのいろんな国で授業を受けて単位を取り、別の国で卒業認定を受けてもいいような仕組みにできないかと考えている。

 入口と出口が同じ国である必要はない。これからはそういった大学があってもいいと思う。注目している国はベトナムだ。

アジアを広域なキャンパスにする壮大な計画を実現するには、どのような課題を克服しなければならないか。

川口:まず、講義の質や学生の評価軸を、提携する大学間で均一にしなければならない。今回のプログラムでも、教員や職員が何度も韓国や中国の大学と折衝したと聞く。例えば、日本の大学は絶対評価だ。75点を取ればみんな単位がもらえる。だが、韓国は相対評価が基本。極端な話をすると、75点を取ろうが、ほかの全員が100点を取れば単位がもらえないことになる。

 このように各大学で評価軸が異なる環境で、どのようにして単位を認定していくか。あるいは、どのように講義の質を均一にするか。これは大学の教員や職員全体に問われている課題だ。今回も良い刺激になったと聞いている。

これからの大学に求められる「人間教育」とは

 もう1つ、越えなければならない課題は、交換留学は原則、2つの大学による単位の相互認定だという点にある。これは法律で定められている。キャンパス・アジアのような3つの大学間での単位の相互認定は想定されていない。今回は特別に認めてもらっているが、3校で単位を認め合うというのは、現時点の法律では不可能だ。このあたりの法律などの改正も必要になる。

 もちろん、留学も素晴らしいのだが、1つの国に渡るだけでは、新たな価値観は生まれにくいのではないか。今回は中国と韓国という2つの国に行く。中国へ留学する学生や韓国へ留学する学生は多いが、1度に2つの国の言葉や文化を学ぶと、自分が希望した国以外も同時に知ることができるので、これまでの自身の概念が大きく覆されるだろう。こういった体験が、真のグローバル人材として今後の社会に必要とされるのではないかと考えている。

今後、世界の大学における課題はどこにあると考えるか。

川口:私は毎年、「グローバル・ユニバーシティー・サミット」に自ら足を運び、海外の大学が今、何に悩み、何をしようとしているのかを直接聞いている。そこで話されるのは、やはり学生の人格形成をいかにするかという、教育に関するものが多い。

 特に、大学生である学士課程での教育が問題視されている。日本の大学生は勉強しないと言われている。確かにそうだ。それでも、大学を卒業した時点では、海外の学生と比べて遜色がないくらいのレベルを保っている。それは、高校生までの教育レベルの高さにある。一方、海外では、高校生までの教育レベルが均等でなく、あまり高くないところが多い。だからその分、大学に入って一生懸命勉強しなければならない。

 こうした教育システムの違いがある中で、日本の大学が学生の潜在能力をさらに引き出すためには、単なる知識を与えるためだけの教育ではなく、「人間教育」を強化することが大切だろう。それは、与えられた知識を生かして、これまでにない、新たな価値を生み出せる人間を育てるための教育だ。そのためこれからの大学は、研究機関としてだけでなく、教育機関としての存在価値を、これまで以上に問われてくることになる。

 立命館はそういった激しい大学の国際競争の中で、アジアの大学教育を引っ張る存在になりたいと考えている。そのためには、国際化を推進するための手綱を緩めるわけにはいかない。

このコラムについて
世界のトップ大学

世界の大学が今、大きな変化に直面している。ハーバード大学など世界のトップ校の講義が無料で受けられる「MOOC(大規模公開オンライン講座)」や、アジアなどの新興大学が台頭してグローバル競争が加速。日本の大学も、この潮流に乗り遅れまいと改革に着手した。世界のトップ大学で始まった「教育革命」の最前線を追う。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131015/254593/?ST=print  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年10月17日 10:04:55 : nJF6kGWndY

>シンガポールでは、カジノは限定された特区内だけで、外国人は無料だが、現地人のカジノでの依存症などを防ぐため、入場料を100ドル(約8000円)徴収するなど、特に低所得者層や若年層がギャンブル依存症に陥るのを防ぐ対策

日本もカジノはさっさと合法化し、日本人に対しては、パチンコや競馬競輪なども入場料を取るといい

その代り、警察の闇を取り締まらないとダメだが



02. 2013年10月17日 17:21:55 : AQDMRiqBuk
高級公務員、国会議員、全国の首長を入場禁止にしなくては、なるまい。

カジノは、ワイロ・ロンダリングの場と化す。


03. 2013年10月17日 17:40:24 : e0k3K1A4qI

   外国人はOK、日本人は個人納税1億円以上の特権にしてやれ。


04. 2013年10月17日 17:48:05 : 1geRdsjJSg
船名はエスポーワール号というのかい?
船内の様子をTV中継したら面白いのではなかろうか。

05. 2013年10月17日 21:55:09 : pbGtlhns2o
カジノって、早い話、賭場でしょ。

賭場
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%AD%E5%A0%B4
●賭場(とば)とは、博打を行う場所のこと。

カジノ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%8E
●カジノ(casino)は、ギャンブルを行う施設の一つ。ルーレットやブラックジャックなどのゲームで金銭を賭ける場所。日本で言う賭場。

語源は家を指すイタリア語の「Casa」[2]に縮小の語尾「-ino」が付いたものである。英語では「カシノ」と発音するが、日本語では「カジノ」と発音する。

●正しくは、カシノですよ。当方、これでオーストラリアとニュージーランドで恥をかきました。外人妻が不思議がってた。

ところで「賭場」と言うと、「賭場荒らし」がつきものだねぇ。

賭場荒らし
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%AD%E5%A0%B4%E8%8D%92%E3%82%89%E3%81%97

こうなると、彼に登場してもらわなくちゃ話が進まない。

水戸黄門 風車の弥七
http://www.youtube.com/watch?v=4P0zAZbVS54


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民83掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民83掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧