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2016年までタックスヘイヴンへの逆風は続く  じつは、経済が自由でいいなんて、そうは問屋が卸さない!?
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投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 18 日 00:55:55: rUXLhToetCnYE
 

2013年10月17日 橘玲

2016年までタックスヘイヴンへの逆風は続く

[橘玲の世界投資見聞録]

 前回、ジャージー島の金融機関から送られてきた手紙を例に、タックスヘイヴンをめぐる国際環境が大きく変わりつつあることを書いた。

[参考記事]
●イギリス、ジャージー島の金融機関が情報開示へ EU居住者のタックスヘイヴンのメリットが消滅

 今回は、ロナン・パラン、リチャード・マーフィー、クリスチアン・シャヴァニュー『[徹底解明]タックスヘイブン――グローバル経済の見えざる中心のメカニズムと実態』(作品社)を紹介しながら、この問題を考えてみたい。


プライベートバンクのメッカ・スイス・チューリッヒの街並み 
 本書の著者のうちパラン、シャヴァニューには『タックスヘイブン――グローバル経済を動かす闇のシステム』(作品社)という共著があり、本書はそれに新しい知見と調査結果を加えたタックスヘイヴン研究の決定版だ。

 著者たちは税の公正な執行を求める立場からタックスヘイヴンに批判的だが、その叙述は偏向したイデオロギーにはとらわれず、客観的なデータに基づき、中立的な立場から「税の楽園」の謎に迫ろうとしている。

世界最大のタックスヘイヴンはイギリスとアメリカ

 本書を一読すればタックスヘイヴンの歴史から現状、将来までを俯瞰できるが、400ページを超える大著に目を通す余裕のあるひとばかりではないだろうから、著者たちの主張を要約してみよう。

(1)タックスヘイヴンはグローバル経済の中心であるが、その事実はこれまで隠蔽されてきた

 タックスヘイヴンはヨーロッパの小国やカリブの島国、香港・シンガポールといった都市国家(地域)など“周縁”の問題だとされてきたが、「世界のマネーストック(通貨残高)の半分はオフショアを経由している」「外国直接投資(FDI)総額の約30%がタックスヘイヴンを経由して投資されている」との専門家が指摘があるように、タックスヘイヴンこそがグローバル経済の隠された中心だ。

 一例をあげれば、中国に対する最大の投資国は香港、2位は英領ヴァージン諸島で、その後に韓国と日本が続く(2007年)。また日本からの証券投資がもっとも多いのは米国向けの約94兆円だが、第2位はケイマンの約15兆円だ(2012年)。


ケイマン・ジョージタウン  (Photo:©Alt Invest Com)
 同書では、2004年6月現在、全銀行の預金総額14兆4000億ドルのうち5分の1の2兆7000億ドルがオフショアに保有されているというデータも紹介されている。

(2)世界最大のタックスヘイヴンはアメリカとイギリスだ

 アメリカはスイスやケイマンなどの低税率と守秘性(銀行秘密法)を厳しく批判しているが、非居住者による米国への投資には税の優遇措置があり、デラウエア州やネヴァダ州はきわめて企業に有利な法体系を有している。

 イギリスはジャージー島、ガーンジー島、マン島の王室属領、ケイマンやジブラルタルなどの海外領土、シンガポール、キプロス、バヌアツのようなイギリス連邦加盟国、香港などの旧植民地がタックスヘイヴンのグローバルネットワークを形成しているほか、ロンドンのシティ自体がイギリスの金融政策から事実上独立したタックスヘイヴンになっている(この問題はきわめて興味深いのであらためて書くことにする)。

 この両国(地域)に次ぐタックスヘイヴンとしては、スイスや香港、シンガポール、ドバイのほかに、グローバル企業に法人税の優遇措置を提供するオランダとアイルランドがある。


(3)タックスヘイヴンを生み出したのは先進国の金融機関と法律・税務の専門家集団だ

 典型的なタックスヘイヴン(カリブの島国)は人的資源に乏しく、金融や税務の専門家もおらず、政治家はまったくの素人だ。彼らはウォール街やシティの金融機関、大手法律事務所や会計事務所が考案した税の最小化に最適な政策・法律パッケージを受け入れて、(形式上)民主的な手続きによってそれを実現する。

 タックスヘイヴンとは場所(国)のことではなく、こうした専門家集団が「国家主権」を利用して生み出した特殊な法域(Jurisdiction)のことだ。

(4)タックスヘイヴンの最大の優位性は税率が低いことではなく、銀行秘密法などの守秘性にある

 たんに税率が低いだけでは世界じゅうの富を集めることはできない。資金の真の所有者(受益者)が開示されれば、その居住国の税法によって課税されるからだ。そう考えれば、タックスヘイヴンの最大の魅力は、居住国の税務当局から課税情報を秘匿する銀行秘密法などの守秘性にあることがわかる。

 たとえばアジア金融危機後の2001年、リー・クアン・ユーの息子で当時はシンガポール副首相、財務大臣、金融管理局長官を兼務していたリー・シェンロン(現首相)は、タックスヘイヴンとしての優位性を確立するためになにをすべきかを徹底的に研究し、スイスよりもはるかに厳しい秘密保持条項を持つよう銀行法を改正した。シンガポールでは、銀行口座の秘密を第三者に提供した者は最高12万5000シンガポールドル(約1000万円)の罰金ないし禁固3年、もしくはその両方を科せられる。

 アメリカのFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)やEUの貯蓄課税協定が金融機関・タックスヘイヴンに口座情報の全面的な開示を求めていることも、この文脈から理解できるだろう。

(5)タックスヘイヴンの真の問題は個人の脱税ではなく、グローバル企業の租税回避だ

 タックスヘイヴンというと個人の脱税や(武富士元会長の長男のような)租税回避にばかり注目が集まるが、先進国の税体系を歪める元凶は企業誘致のための法人税引き下げ競争(底辺への競争)と、租税条約などを利用して納税額を最小化しようとするグローバル企業の税務対策(条約あさり)だ。移転価格や過小資本を利用した高税率国から低税率国への資金移動や、有利な租税条約を組み合わせた節税法の多くは現行法では適法とされている。この問題に切り込まず、個人の脱税や一部有名企業の過少な税額をバッシングしているだけではタックスヘイヴン問題は解決できない。

 ちなみに著者らは、グローバル企業に国別の財務・会計情報を開示させて、売上げに応じて納税する制度を提唱している。


 

次のページ>> 米国の政権交代がタックスヘイヴンの逆風に

(6)タックスヘイヴンは貧しい国から富を流出させることでより貧しくしている

 アフリカなど資源国の多くが世界の最貧国なのは、資源を売って得た資金がタックスヘイヴンに流出して自国のインフラや教育に再投資されないからだ。タックスヘイヴンはこうした国の独裁者や富裕層にキャピタルフライトの機会を与えることで、結果的に貧しい国々のひとびとを苦しめている。

 こうした批判は最近よく見かけるが、これについてはそのまま受け入れるには疑問がある。

 中国では汚職が蔓延し、国家や地方政府の共産党幹部は巨額の裏資金を国外に逃避させている。しかしこうした資金の多くは、香港やBVI(英領ヴァージン諸島)を経由してふたたび中国国内に投資されている。これは考えてみれば当たり前で、資金の投資先を考えたとき、もっともよく知っているのは自分の国だからだ。

 最貧国に資金が還流しないのはそもそも国内に投資機会がないからで、この問題はタックスヘイヴンを絶滅させたとしても解決しないだろう。

米国の政権交代でタックスヘイヴン対策が進んだ

「タックスヘイヴン対策」として、これまでOECD(経済協力開発機構)やFATF(金融活動作業部会)が有害税制のブラックリストを公表したり(名前を公表して恥をかかせる戦略)、二国間の租税情報交換協定(TIEA)を締結することが行なわれてきたが、ほとんど効果がなかった。

 ブラックリストに載せられた国は最低限の法改正をしてリストから逃れ、香港をリストに載せようとすれば中国が強硬に反対し、「最大のタックスヘイヴン」であるアメリカやイギリスはOECDの主要加盟国なのでそもそも議論の対象にすらならない。

 租税情報交換協定は、追及する側の税務当局が提供を求める情報を特定しなければならず、それへの対応もそれぞれの国に任されている。かたちだけ協定を結んで、実際はサボタージュすることがかんたんにできてしまうのだ。

 こうしたことから著者たちは、タックスヘイヴン対策にきわめて懐疑的だった。しかし2008年を境に流れは大きく変わりはじめた。これには3つの要因がある。

(1)世界金融危機とリーマンショック、ユーロ危機によって先進諸国で経済格差が拡大し、ひとびとが税の不公正を強く意識するようになった。


(2)それを追い風として、EU加盟国のうちドイツやフランスが域内(ヨーロッパ内)のタックスヘイヴンに対して強硬な姿勢を示すようになり、貯蓄課税協定の運用強化で口座情報の自動開示へ道を開いた。


(3)米国で、タックスヘイヴンを黙認する共和党(ブッシュ)政権から税の公正を掲げる民主党(オバマ)政権へと政権交代が起きた。

 本書の著者たちは、とりわけ米国の政権交代が与えたインパクトが大きいとする。G20やOECDをはじめとして、国際政治はいまも米国が主導しているからだ。

 ブッシュ政権の財務長官ポール・オニールは2001年5月、「アメリカはいかなる国に対してもその国そのものの税率あるいは税制がどうあるべきかについて命令するような取組みを指示せず、世界の税制を調和させようとするいかなるイニシアチブにも参加しない」と宣言した。これでOECDのタックスヘイヴン対策は頓挫したが、タックスヘイヴンを「不道徳」として攻撃するオバマ政権の誕生で息を吹き返した。逆にタックスヘイヴン国は、後ろ盾を失って土俵際まで追い詰められている。

 こうした見方に立てば、すくなくとも次の米大統領選がある2016年までは、タックスヘイヴンに対する国際社会の逆風は続くことになるだろう。

<執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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【第16回】 2013年10月18日 佐々木一寿 [グロービス出版局編集委員]

じつは、経済が自由でいいなんて、そうは問屋が卸さない!?

――自由主義経済の理論の限界1

麹町経済研究所のちょっと気の弱いヒラ研究員「末席(ませき)」が、上司や所長に叱咤激励されながらも、経済の現状や経済学について解き明かしていく連載小説。嶋野と末席からケンジへの熱いレクチャー。いよいよ話は自由市場経済理論の限界へと入っていきます。(佐々木一寿)

 大学生のケンジは、うっかり経済学部に入学することになったおかげで、引き続き、叔父が務める麹町経済研究所で経済学のレクチャーを受けている。

「自由な取引がみんなにとってためになる、というアイデアが、本質的には搾取的である重商主義経済よりもクールだ、ということで自由主義が出てきた、というのはわかったんですが……*1」

*1 前回の要約。絶対主義王政と結託した重商主義に疑問を感じた人たちが、自由な取引によるメリットを中心に据えた自由主義経済を標榜しはじめた。アダム・スミス、フランソワ・ケネーなど

 ケンジは、この連載の長いブランクを埋めるように、アタマを整理しながら続ける。

「じゃあ、それでうまくいくのなら、もう経済学なんていらないじゃないですか。だって、みんなやりたいことやって、それを交換すれば、みんな今よりもハッピーになるっていうのなら、それ以上、難しいことを考えなくたって…」

 ケンジくんも、さっき研究所に遊びに来たばかりだと思っていたら*2、とうとうここまで来たか…。末席研究員は感慨深げに口を開いた。

「そうですね、もし、それでうまくいくのであれば、もう経済学を意識する必要はないかもしれません、それでみなハッピーなのですから」

*2 じつはケンジくんは連載に登場して1年以上たつが、連載形式では、1話のなかで15秒しか話が進まない、といったことはよく起こる cf.『キャプテン翼』高橋陽一著

「しかし、そうは問屋が卸さなかったのじゃ!」

 ケンジの叔父で当研究所の主任研究員、嶋野は、時代劇風にツッコミをいれるが、これも甥が退屈をしないための心遣いのようなのだが、肝心の甥へのウケはイマイチのようだ。

 笑いにうるさい末席は、こういう場合は、厳しく対応する。

「そんな。三河屋か越後屋かしりませんが、悪徳商人が出てくる重商主義のパートは前回で終わっているんですが…*3、こんどはなんだっていうんですか」

*3 世界的にはフランスのジャン=バティスト・コルベール(1619-1683年)が有名

 ケンジも自由主義が気に入ったせいか、末席に加担する。

「叔父さんには釈迦に説法ですが、卸さない問屋は、自由主義的には問題なのでは。それだと取引がスムーズに行かない…」

 ケンジの機嫌を損ねないように、嶋野は慌ててフォローする。

「いや、それは言葉のアヤなんだよ…。もちろん、いつだって取引が自由に出来て、すべてのものが売り買いされれば理想的だ*4。ただ、言いたかったのは、それこそ卸すべき問屋が卸さないように、取引がいつもスムーズにいくとはかぎらない、ということなんだよ」

*4 いわゆる「セイの法則」が成り立っている状態。ジャン=バティスト・セイの著書の記述をきっかけに発展した概念で、「供給したものは、かならず需要される(作ったものは必ず売れる)」という前提のこと。自由主義経済の理論は、このセイの法則の下では、非常に精緻かつ調和的に整合する

 末席は、甥になんとかわかってほしいと思っている嶋野の気持ちを察して、フォローを試みる。

「なるほど。取引がいつでもきちんと機能すれば、もう経済学なんていらない(というか完成してしまった)といえるほどハッピーですが、じつはそんなこともなかった、ということなんでしょうか」

「そんな…。みんながハッピーになるっていうのに、なんでその問屋は取引しないんだよ…」

 いまやすっかり自由主義になってしまったケンジは、そのような問屋に納得がいかないようだ。

 末席は、ケンジの問屋へのこだわりに、内心、笑いをこらえながら回答を試みる。

「たとえば、卸さない問屋にも言い分があるかもしれない。ケンジくんがもし問屋だとして、卸したくないときもあるかもしれませんよ」

「うーん。問屋になったことはないけど、この服を古着屋さんに買い取ってもらおうと思った時に、『え、買取価格って、こんなに低いの?』と思って、売るのをやめたことならあります」

 服好きのケンジは、なかなかいいブランドの服をけっこう持っているのだが、小声で言ったところを見ると、主な供給元は叔父であるようだ。

 そんなことはまったく気にしない嶋野は、逆に甥の理解に安堵して言った。

「自由な取引が機能しにくいことは、思っているよりも広範に起こっている、というのが実際の経済の姿なんだよ。取引されればお互いハッピーになるが、なかなかそうもいかないことも多い」

「そんな…。みんながハッピーになれそうなのに、それみんなでやらないなんて…、もったいないよ…」

 ケンジは悔しそうにつぶやいた。

 ケンジくんはやはり、いいヤツだな、そう好感しながら末席は答える。

「ま、早い話が、疑心暗鬼だとそうなっちゃうんですね。相手が信用ならない、となると、取引が滞ってしまう」

 嶋野もそれを受けて続ける。

「それは、お互いが比較優位理論を理解していたとしても、そうなってしまう。つまり、アタマではわかっていても、ココロが動かない、そんなことが起こりうる」

 末席もそれを受けて続ける。

「そのことは、最新の経済学でも盛んに研究実証されていることですが、ざっくりいうと、自由主義経済は理想的に働けばスゴいけれど、実際はやっぱり理想通りはなかなかいかない(ことが多い)、ということがわかってきています*5」

*5 いわゆる、「セイの法則」をめぐる議論は、形を変えつつ現在進行形で続いている。cf.古くは古典派vs.マルクス派、代表的なところでは古典派vs.ケインズ派、最近のものでは新古典派vs.新ケインズ派など

 ケンジは、経済的ゲンジツに直面するとはこういうことか、と打ちひしがれながら、唸って言った。

「みんなが疑心暗鬼になって、多くの取引が滞ってしまうと、どうなってしまうんですか?」

 末席は、おいしい決めゼリフを嶋野に促すように、手のひらを上にして嶋野に差し向けた。嶋野は、経済学的帰結を簡潔に述べる。

「まあ、そんなたいしたことでもないが、恐慌が起こります*6。歴史的には、戦争も起こりやすくなるかな*7」

*6 19世紀から10年周期で起きていた恐慌(突如の急激な不況)の原因を、カール・マルクスは自由主義経済(近代資本主義)のメカニズム自体に根本的に内在するものと分析した。とくに自由主義経済の理論が前提とする「セイの法則」に関して、その現実的には成立しにくい様を、「商品は貨幣に恋をする。しかし、その恋路は滑らかではない」というふうに表現しているcf.『経済学をめぐる巨匠たち』小室直樹著

*7 1929年の米国ウォール街で起きた「大恐慌」は、金融危機を引き起こしつつ、貿易が密接な世界各地の経済圏に広がっていき、世界大恐慌と呼ばれる。ヨーロッパ、とくに第一次世界大戦でダメージを受けていたドイツなどにも深刻な影響を与え、旧戦勝国であっても「ブロック経済」化を進めることとなる。その困窮と衝突といった混乱が、後の第二次世界大戦につながった、という分析は数多い。ちなみに当時、共産主義経済だったソ連への影響は軽微だったという

 なんということだ! というか、たいしたこと大ありだし…。みんながハッピーになるために生まれた自由主義経済が、恐慌を引き起こすなんて・・・。ショックを受けて言葉を失っているケンジを、嶋野と末席は、次のフォロー(連載)まで暖かく見守った。

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