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金利上昇で金融機関に損失の針小棒大報道 メディアは報告書を読んでいるのか? 高橋洋一(ZAKZAK) 
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/529.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 10 月 30 日 10:16:27: AtMSjtXKW4rJY
 

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131030/dms1310300730001-n1.htm
2013.10.30 「日本」の解き方


 金利が1%上昇した場合、国内の金融機関に生じる損失は総額で7・9兆円にのぼるという報道があった。保有する国債など債券の価格が下落するというのがその理由だ。ただし、この報道は現象の一面しかみておらず、まったく不十分だ。

 マスコミがこうした経済に関する数字について報道するときには、独自で調べた結果というのはまずない。どこかの数字を引用しているだけだ。前出の損失額も、日銀が半年ごとに公表している「金融システムリポート」に出ており、10月号が23日に公表されたので、24日に報道されたという流れだ。マスコミは、この報告書を全部読んでいないだろう。日銀からレクチャーを受けて、そのまま記事にしている可能性もある。

 報告書は70ページぐらいだが、びっしり数字や分析が書かれており、なかなか秀逸だ。いろいろな金融市場の特色や分析の後に、金融機関のリスクの話がある。信用リスク、金利リスク、株式リスク、資金流動性リスクとリスクを網羅的に書いている。

 その中で、金利リスク量として、債券、貸出、調達(預金)のそれぞれの金利リスクが書かれており、金利上昇時の債券時価損失について報道された数字が表記されている。報道では「金利1%上昇」というが、すべての年限の金利が1%上昇するパラレルシフトという状態で、大手行約2・9兆円、地域銀行約3・2兆円、信用金庫約1・9兆円で計約7・9兆円の損失というわけだ。

 ただし、今のように日銀が量的緩和をしている状況では、短期金利まで1%上昇するとは考えにくい。せいぜい長期金利だけが上昇するのだろう。リポートでは、長短の金利差が開くスティープ化の場合、金融機関の総損失額は5・0兆円にとどまる。

 そもそも債券だけのリスクを取り上げるのも問題だ。リスク管理をやっている者であれば、損失額は、「保有額」×「金利上昇幅」×「平均償還期間」になることを知っている。大手行の債券保有額は120兆円、平均償還期間は2・5年なので、金利上昇1%でだいたい3兆円の損失となる。また、調達(預金)の金利は低いままであるので、金利上昇はプラスになる。

 結局、資産面の平均残存期間と負債面の平均残存期間の差であるミスマッチの大きさで金融機関の金利リスク量は決まってくる。

 このあたりは、日銀の金融システムリポートでは、十分に分析されており、金融機関の資産負債の両面でリスクをみれば問題ないとされている。その上で、債券時価損失というところで、報道されているような数字が紹介されているわけだ。報道では全体の話が省かれており、木を見て森を見ずとなっている。

 この裏には、財政再建しないと金利上昇が大変になるという、財政当局の脅しにも似た表現が見え隠れする。しかし、金利が一時的ではない上昇をみせるときは、まず景気が回復する局面である。景気回復効果のほうが経済全体にとって大きいことが忘れられている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


 

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コメント
 
01. 2013年10月30日 11:16:56 : CiFcXC3kMA
調達(預金)の金利が低いままなら、円安と円資産の海外逃避が起こるから、量的緩和分は外国の金融機関にとって願ってもないことだ。国内の金融機関の収益を犠牲にして、外国に格安の金利で資金提供して日本が復活できると思っているのが滑稽だ。

02. 2013年10月30日 21:37:55 : ArLVW38Mhw
「金利が一時的ではない上昇をみせるときは、まず景気が回復する局面である。景気回復効果のほうが経済全体にとって大きいことが忘れられている。」

これを単純化すれば、金利の上昇=景気回復=経済全体にプラスとなる。しかし、そう単純な話ではないことは、以下の点を指摘する事によって明らかとなる。

1. 「景気」とは何か。また何をもって「景気」の回復とみなすべきか。例えば株価の上昇局面を景気回復とみなせば、すべての(投機現象である)バブルは景気回復であるということになる。そうであれば、そのような「景気回復」は回避されなければならない。

2. 「一時的でない」金利の上昇は厳密には有り得ない。すべての金利の上昇はある時点で必ず下落に転じる。つまりすべての金利上昇は一時的である。ある程度長期にわたる継続的上昇、というなら有り得るが、それでも数学的・自然科学的厳密さをもって、どの程度なら「一時的」でどの程度以上で「一時的でない」などと決定する事は不可能。

3. 「景気回復効果のほうが経済全体にとって大きい」という言葉を投げかける前に、まず如何なる「一時的でない」金利上昇が如何なる「景気」の回復を忠実に反映するものであるかが、明らかにされねばならない。また、今出ている各種の指標によって、果たして「実態・実体・実感」に基づく景気回復局面にあることを結論付けられるか。

高橋氏の論は、金利上昇のリスクを矮小化して、逆に金利上昇=景気回復という図式をさりげなく刷り込み、異次元金融緩和擁護の意図をもった、結論ありきの論であると私には読める。


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