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「デフレ」表現4年ぶり削除へ=物価上昇踏まえ―月例経済報告(時事通信) 
http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/522.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 12 月 19 日 14:53:29: AtMSjtXKW4rJY
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131219-00000071-jij-pol
時事通信 12月19日(木)12時58分配信


 政府は19日、24日に公表する12月の月例経済報告で、物価動向に関して「デフレ」の表現を4年2カ月ぶりに削除する方針を固めた。最近の消費者物価の上昇を踏まえ、物価が持続的に下落する状況ではなくなったと判断した。ただ、再びデフレに逆戻りする懸念は残るため、明確な「脱却宣言」とはしない方針だ。

 政府は2009年11月の月例経済報告で「緩やかなデフレ状況にある」として、デフレに逆戻りしたことを公式に宣言。13年8月からは「デフレ状況ではなくなりつつある」と表現を変えていた。


 

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01. 2013年12月19日 16:26:19 : niiL5nr8dQ
家焦点:日銀は景気判断維持の見通し、3年目以降の緩和めぐる議論注目

2013年 12月 19日 08:49 JST

[東京 19日 ロイター] -日銀は19─20日に開く金融政策決定会合で、4月に導入した資金供給量(マネ

タリーベース)を2倍に引き上げる「異次元緩和」の継続を決める。景気・物価は順調に回復しつつあるが、輸出

・設備投資に加速感がなく、国内景気の現状判断は「緩やかに回復している」とした表現を据え置く方向で議論す

る。

日銀は物価上昇率を2年で2%に引き上げる目標を達成するため、毎月約7兆円の国債を金融機関から買い取り、

期待インフレ率の引き上げと名目金利の押し下げで実質金利の低下を促す景気刺激策を続けている。10月の消費

者物価は前年同月比で0・9%上昇し、黒田東彦総裁は物価目標達成への「道筋を順調にたどっている」と繰り返

している。

ただ、9人の政策委員のうち4人が物価目標の達成に慎重な見方を示している。4人の委員の間でも、目標達成が

難しい場合「ちゅうちょせず追加緩和すべき」との白井さゆり委員に対して、佐藤健裕委員は追加緩和について「

逆効果となりかねない」と慎重な姿勢で、今後の金融政策の展開をめぐっては、幅広い意見が存在している。

また、黒田総裁は今月2日の名古屋市での講演で、異次元緩和を3年目の2015年以降も続ける可能性を示唆し

た。

政府関係者の間でも現行の大規模な資産買入れは14年末までとの解釈もあり、発言の真意をめぐり多様な思惑が

交錯している。来年4月の消費増税後の景気落ち込みを見越した追加緩和期待も、政界や市場関係者の間で広がり

つつある。

景気判断は、回復ペースの鈍い輸出や設備投資動向を中心に点検する。18日に公表された11月貿易統計速報で

は、輸出が前年比18.4%増、数量で同6.1%増だったが、実質ベースでは前月比0.1%増にとどまった。

円安基調にもかかわらず、一部産業の競争力低下や現地生産化の動きなどで、輸出数量の伸びが過去の円安局面と

比べ鈍くなっている。

設備投資は、12月日銀短観で中小企業を中心に高めの計画が確認された。ただ、7─9月期国内総生産(GDP

)の設備投資は、前期比横ばいにとどまっており、引き続き力強さはみられない。内需を中心とした景気の前向き

な動きは継続しているが、「緩やかな回復」という判断は維持される可能性が大きい。

(伊藤純夫、竹本能文 編集:田巻一彦)


 
計金融資産が過去2番目の高水準、9月末1598兆円
2013年 12月 19日 12:08 JST
[東京 19日 ロイター] -日銀が19日に公表した2013年7─9月期の資金循環統計によると、株高・円

安を背景に9月末の家計の金融資産残高が1598兆円に拡大し、過去2番目の高水準となった。収益増に伴い、

企業が保有する現預金も224兆円と過去最高に膨らんだ。

国債の保有状況は、異次元緩和で大規模な国債買い入れを継続している日銀が170兆円となり、保険に次ぐ2番

目の保有主体になった。

9月末の家計の金融資産は前年比5.9%増加した。1598兆円は2007年6月末の1602兆円に次ぐ規模

。株高・円安を背景に保有株式や投資信託などの時価が上昇したことが主因だ。9月末の株式・出資金は前年比4

3.8%増の135兆円となった。もっとも、増加は時価の上昇によるもので、取引ベースでは若干の売り越しに

なっている。投資信託の残高は33.0%増の75兆円。時価の上昇とともに新規の資金流入も残高を押し上げた

。最大のウエートを占める現預金は同2.1%増の856兆円で、これも資産の拡大に寄与している。

負債は住宅ローンの増加などを背景に同1.4%増加したが、資産の増加額が上回ったことから、家計の純資産残

高は1242兆円と過去最高となった。

企業の資産は同13.2%増の863兆円に拡大。好調な収益環境を背景に現預金は5.9%増の224兆円とな

り、過去最高に膨らんだ。株高に伴って株式・出資金が194兆円と53.2%の増加。対外直接投資は63兆円

と初めて60兆円を超えており、企業の積極的な海外投資を裏付ける内容となった。

<国債保有額、日銀が異次元緩和で銀行上回る>

国庫短期証券や財融債を含む国債発行残高は同3.2%増の980兆円で、過去最高を更新。保有者の内訳をみる

と、大規模な国債買い入れを進めている日銀が同62.1%増の170兆円となり、193兆円を保有する保険に

次ぐ規模となった。

一方、国内銀行や中小企業金融機関などは保有を減らしており、それぞれ残高は136兆円、167兆円となって

いる。これまで残高を積み上げてきた海外は79兆円と前年比でみて2四半期連続で減少。日本国債の海外保有の

増加に一服感が見られる。

(伊藤純夫 編集:山川薫)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BH07J20131218
米FOMC声明全文
2013年 12月 19日 07:43 JST
[18日 ロイター] - 10月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、経済活動が緩やかなペ

ース(at a moderate pace)で拡大していることを指し示している。

労働市場の状況は一層の改善(furtherimprovement)を示した。失業率は低下したが、高止まりしたままだ。家計

支出と企業の設備投資は伸びたが、住宅部門の回復はここ数カ月間でやや減速した。財政政策は経済成長を抑制し

ている。ただその度合いは小さくなっている(diminishing)ようだ。インフレ率は委員会の長期的な政策目標を下

回っているが、長期的なインフレ期待は安定的にとどまった。

委員会は法律上与えられた責務に従って、最大限の雇用と物価安定の促進を目指す。委員会は適切な政策緩和によ

って、経済成長が最近のペースから上向き、失業率は委員会が2つの責務と合致していると判断する水準に向けて

ゆっくり低下すると予測する。経済および労働市場の見通しに対するリスクは一段とほぼ安定した状態(more

nearly balanced)に近づいたとみている。委員会は目標の2%を恒常的に下回るようなインフレ率は経済成長にと

ってリスクとなり得ると認識しており、中期的にはインフレ率が目標に向かって戻るだろうという根拠を求めてイ

ンフレ動向を注意深く見守っている。

現行の資産購入が始まって以来の連邦財政の削減の程度を考慮しても、その間により広範な経済の潜在的な力強さ

が増すのと一致する形で経済活動と労働市場の状況が改善していると委員会はみている。最大雇用に向けた累積的

な進展(cumulative progress)と労働市場状況の見通し改善に鑑み、委員会は資産購入のペースを幾分(modestly

)減速させることを決定した。1月から委員会は保有するエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)を月額40

0億ドルではなく350億ドルのペースで、米長期国債は月額450億ドルではなく400億ドルのペースで追加

購入することを決めた。委員会は、保有している政府機関債とMBSから得る償還資金をMBSに再投資し、米国

債の償還資金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。委員会が保有する長期国債は相当の量(sizable)に上

り、依然増え続けている。このことは長期金利に引き下げ圧力をかけ、住宅ローン市場を支援し、より広範な金融

状況をさらに緩和する上で役立ち、ひいてはより力強い景気回復を進めるともに、インフレが時間とともに二大責

務に最も一致した水準になることを促すはずだ。

委員会は今後数カ月間に入手する経済、金融の動向に関する情報を注意深く見守るとともに、物価安定の下で労働

市場の見通しが著しく改善するまで米国債とMBSの購入を継続し、必要に応じてほかの政策手段を行使する。も

し入手する情報が、労働市場の改善が進み、インフレ率が長期的な目標に向かって戻るという委員会の見通しを広

範に裏付けるならば、委員会は今後の会合でさらに慎重な足取り(further measured steps)で購入ペースを縮小

するだろう。資産購入にはあらかじめ定まった道筋はない。委員会のペース決定は予測される資産購入の効率とコ

ストの評価だけでなく、委員会の労働市場とインフレの見通しにも従うことになるだろう。

最大雇用と物価安定を目指した改善継続を支援するため、委員会は本日、資産購入が終了し景気回復が強まった後

も相当な期間、極めて緩和的な金融政策の運営姿勢が適切であり続けるとの見解を再確認した。委員会は、0%か

ら0.25%という異例の低水準である現行のフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導の範囲が、少なくとも

失業率が6.5%超にとどまり、1─2年先のインフレ上昇予測が長期目標の2%から0.5ポイント以内の上振

れに収まり、長期的なインフレ期待が引き続き十分に抑制されている限り、適切であるとの見通しも改めて確認し

た。

極めて緩和的な政策運営姿勢を維持する期間を決める際には、労働市場の状況に関する追加的な指標、インフレ圧

力とインフレ期待の指標、金融情勢の状況などほかの情報も考慮する。委員会は、こうした要因の評価を基に、と

りわけ予測されるインフレ率が2%の長期的な目標より低くとどまるようなら、失業率が6.5%を下回っても相

当の期間(well past the time)、現行のFF金利の目標誘導レンジを維持することが適切になる公算が大きいと

現時点で予測している。委員会が金融緩和の解除着手を決める時には、長期的な政策目標である最大雇用と2%の

インフレ率に合致したバランスのとれた対応をとるだろう。

FOMCの金融政策行動に賛成したのはベン・バーナンキ委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ジェームズ・

ブラード、チャールズ・エバンス、エスタ−・ジョージ、ジェローム・パウエル、ジェレミー・スタイン、ダニエ

ル・タルーロ、ジャネット・イエレンの各委員。政策行動に反対したのはエリック・ローゼングレン委員で、失業

率は高止まりしインフレ率がFF金利の誘導目標水準を大きく下回っている中で、潜在率を上回って持続的な経済

成長が見込まれることを入手情報がより明確に示すまでは、購入プログラムの変更は時期尚早だと主張した。

<10月30日>

9月のFOMC会合以降に入手した情報は全般的に、経済活動が引き続き緩やかなペース(at a moderate pace)

で拡大していることを示唆している。労働市場に関する指標は幾分のさらなる改善(some further improvement)

を示しているが、失業率は依然高止まりしている。入手可能なデータは、家計支出や企業による固定投資が増加し

た一方、住宅セクターの回復が最近数カ月間で幾分減速(slowed somewhat)したことを示唆している。財政政策が

経済成長の制約となっている。エネルギー価格の変化に伴う変動を除けば、インフレはFOMCの長期目標を下回

る水準で推移しているが、長期インフレ期待は引き続き安定している。

法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和

政策により経済成長が最近のペースから加速し、失業率はFOMCが2つの責務と整合すると考える水準に向けて

段階的に低下すると予想している。経済と労働市場の見通しに対する下方リスクは昨秋以降、全体として後退した

と考える。FOMCは2%の目標を一貫して下回るインフレ率が経済活動へのリスクとなる可能性があることを認

識しているが、中期的にインフレ率はFOMCの目標水準に向かって回帰すると想定している。

過去1年にわたる連邦政府の緊縮財政の程度を踏まえると、資産買い入れプログラム開始以降の経済活動と労働市

場の改善は広範な経済のすう勢が力強さを増していることと整合していると考える。だがFOMCは資産買い入れ

ペースを調整する前に、この進展が持続するとのさらなる証拠を見極めることを決定した。そのためFOMCは、

月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450億ドルの長期財務省証券の追加購入

を継続することを決めた。またエージェンシー債(政府機関債)とエージェンシー発行MBSの元本償還資金をエ

ージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札でロールオーバーする既存の政策を維持する

。こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を支援するとともに、より広範な金融状況を一

段と緩和的にする一助となるだろう。同様に、より力強い景気回復を促し、インフレが時間の経過と共に確実にF

OMCの2つの責務と最も整合的な水準になることを支援する見通しだ。

FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく

(substantially)改善するまで、FOMCは財務省証券とエージェンシー発行MBSの購入を継続し、その他の政

策手段を適宜活用する。資産買い入れ縮小時期の決定に当たりFOMCは、雇用市場が継続的に改善しインフレが

長期目標に向かって戻るとのFOMCの見方が、入手する情報によって引き続き裏付けられるかどうか今後の会合

で判断する。資産買い入れはあらかじめ決められた軌道にはなく(not on a preset course)、買い入れペースに

関する決定は引き続きFOMCの経済見通し、および想定される効果とコストに関する判断に左右される。

最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買い入れプログラムが終了し景気回復

が強まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が

引き続き適切になるとの見方を再確認した。具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標

水準をゼロ─0.25%に据え置くことを決定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとどまるととも

に、向こう1─2年のインフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まり、長期

インフレ期待が引き続き十分抑制(well anchored)されている限り、FF金利を異例の低いレンジ

(exceptionally low range)とすることが適切になると現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンス

をどの程度の期間維持するか決定するに当たっては、労働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力および

インフレ期待を示す指標、金融動向の見通しを含むその他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、

最大雇用と2%のインフレ率という長期目標に沿うバランスの取れたアプローチを採る。

今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、ブラード、エバンズ、パウエル、ロー

ゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはジョージ委員で、高水準の金融緩和の

継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、時間とともに長期インフレ期待の加速を招く恐れがあ

るとの懸念を示した。

<9月18日>

7月のFOMC会合以降に入手した情報は、経済活動が緩やかなペース(at a moderate pace)で拡大しているこ

とを示唆している。雇用市場に関する一部指標は、最近数カ月の一段の改善を示しているが、失業率は依然高止ま

りしている。家計支出や企業による固定投資は増加し、住宅セクターは力強さを増しているが、住宅ローン金利は

一段と上昇(have risen further)し、財政政策が経済成長の制約となっている。エネルギー価格の変化に伴う変

動を除き、インフレはFOMCの長期目標を下回る水準で推移しているが、長期インフレ期待は引き続き安定して

いる。

法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和

政策により経済成長が最近のペースから加速(pick up from its recent pace)し、失業率はFOMCが2つの責

務と整合すると考える水準に向けて段階的に低下すると予想している。

経済と労働市場の見通しに対する下方リスクは昨秋以降、全体として(on net)後退したと考える。だが過去数カ月

に金融状況の引き締めが見受けられ、継続すれば経済および雇用市場の改善ペースを減速させる可能性がある。

FOMCは2%の目標を一貫して下回るインフレ率が経済活動へのリスクとなる可能性があることを認識している

が、中期的にインフレ率はFOMCの目標水準に向かって回帰すると想定している。

連邦政府の緊縮財政の影響を踏まえると、1年前に資産買い入れを開始した以降の経済活動、雇用市場の改善は、

広範な経済のすう勢が力強さを増していることと整合すると考える。だがFOMCは資産買い入れペースを調整す

る前に、この進展が持続するとのさらなる証拠を見極めることを決定した。

そのためFOMCは、月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450億ドルの長期

財務省証券の追加購入を継続することを決めた。またエージェンシー債(政府機関債)とエージェンシー発行MB

Sの元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札でロールオーバーする

既存の政策を維持する。

こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を支援するとともに、より広範な金融状況を一段

と緩和的にする一助となるだろう。同様に、より力強い景気回復を促進し、インフレが時間の経過と共に確実にF

OMCの2つの責務と最も整合的な水準になることを支援する見通しだ。

FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく

(substantially)改善するまで、FOMCは財務省証券とエージェンシー発行MBSの購入を継続し、その他の政

策手段を適宜活用する。

資産買い入れ縮小時期の決定に当たっては、FOMCは今後の会合で、入手する情報が、現在の雇用市場の改善が

継続しインフレが長期目標に向かって戻るとのFOMCの見方を引き続き裏付けるものかどうか判断する。

資産買い入れはあらかじめ決められた軌道にはなく(not on a preset course)、買い入れペースに関する決定は

引き続きFOMCの経済見通し、および想定される効果とコストに関する判断に左右される。

最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買入プログラムが終了し景気回復が強

まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き

続き適切になるとの見方を再確認した。

具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置くことを決

定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとどまるとともに、向こう1─2年のインフレ見通しがFO

MCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まり、長期インフレ期待が引き続き十分抑制(well

anchored)されている限り、FF金利を異例の低いレンジ(exceptionally low range)とすることが適切になると

現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンスをどの程度の期間維持するか決定するに当たっては、労

働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力およびインフレ期待を示す指標、金融動向の見通しを含むその

他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、最大雇用と2%のインフレ率という長期目標に沿うバラ

ンスの取れたアプローチを採る。

今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、ブラード、エバンズ、パウエル、ロー

ゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはジョージ委員で、高水準の金融緩和の

継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、時間とともに長期インフレ期待の加速を招く恐れがあ

るとの懸念を示した。

<7月31日>

6月のFOMC会合以降に入手した情報は、経済活動が上期に控えめな(modest)ペースで拡大したことを示唆し

ている。雇用市場の状況は全体として、ここ数カ月間に一段の改善を見せているが、失業率は依然高止まりしてい

る。家計支出や企業による固定投資は増加し、住宅セクターは力強さを増しているが、住宅ローン金利は幾分上昇

(risen somewhat)し、財政政策が経済成長の制約となっている。インフレは、一時的な影響を一部反映してFO

MCの長期目標を下回る水準で推移しているが、長期インフレ期待は引き続き安定している。

法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和

政策により経済成長が最近のペースから加速(pick up from its recent pace)し、失業率はFOMCが2つの責

務と整合すると考える水準に向けて段階的に低下すると予想している。経済と労働市場の見通しに対する下方リス

クは昨秋以降、後退した(diminished since the fall)と考える。FOMCは2%の目標を一貫して下回るインフ

レ率が経済活動へのリスクとなる可能性がある(could pose risks)ことを認識しているが、中期的にインフレ率

はFOMCの目標水準に向かって回帰すると想定している。

一段と力強い景気回復を支援し、インフレが時間の経過と共に確実にFOMCの2つの責務と最も整合的な水準に

なるよう支えるために、FOMCは月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450

億ドルの長期財務省証券の追加購入を継続することを決定した。またエージェンシー債(政府機関債)とエージェ

ンシー発行MBSの元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札でロー

ルオーバーする既存の政策を維持する。こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を支援す

るとともに、より広範な金融状況を一段と緩和的にする一助となるだろう。

FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく

(substantially)改善するまで、FOMCは財務省証券とエージェンシー発行MBSの購入を継続し、その他の政

策手段を適宜活用する。雇用市場またはインフレの見通しの変化に応じ適切な政策緩和を維持するため、FOMC

は買い入れのペースを拡大もしくは縮小する用意がある。資産購入の規模、ペース、構成を決定するに当たっては

、想定される効果とコスト、および経済目標に向けた進ちょく度合いを引き続き適切に考慮する。

最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買入プログラムが終了し景気回復が強

まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き

続き適切になるとの見方を再確認した(reaffirmed)。具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金

利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置くことを決定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとど

まるとともに、向こう1─2年のインフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収

まり、長期インフレ期待が引き続き十分抑制(well anchored)されている限り、FF金利を異例の低いレンジ

(exceptionally low range)とすることが適切になると現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンス

をどの程度の期間維持するか決定するに当たっては、労働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力および

インフレ期待を示す指標、金融動向の見通しを含むその他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、

最大雇用と2%のインフレ率という長期目標に沿うバランスの取れたアプローチを採る。

今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、ブラード、デューク、エバンズ、パウ

エル、ラスキン、ローゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはジョージ委員で

、高水準の金融緩和の継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、時間とともに長期インフレ期待

の加速を招く恐れがあるとの懸念を示した。

<6月19日>

5月のFOMC会合以降に入手した情報は、経済活動が緩やかな(moderate)ペースで拡大していることを示唆し

ている。雇用市場の状況は全体として、ここ数カ月間に一段の改善(further improvement)を見せているが、失業

率は依然高止まりしている。家計支出や企業による固定投資は増加し、住宅セクターは一段と力強さを増したが、

財政政策が経済成長の制約となっている。インフレは、一時的な影響を一部反映してFOMCの長期目標を幾分下

回る水準で推移しているが、長期インフレ期待は引き続き安定している。

法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和

政策により経済成長が緩やかな(moderate)ペースで進み、失業率はFOMCが2つの責務と整合すると考える水

準に向けて段階的に低下すると予想している。経済と労働市場の見通しに対する下方リスクは秋以降、後退した

(diminished since the fall)と考える。またインフレは中期的に、FOMCの目標である2%かそれを下回る水

準で推移する公算が大きいと想定している。

一段と力強い景気回復を支援し、インフレが時間の経過と共に確実にFOMCの2つの責務と最も整合的な水準に

なるよう支えるために、FOMCは月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450

億ドルの長期財務省証券の追加購入を継続することを決定した。FOMCはエージェンシー債(政府機関債)とエ

ージェンシー発行MBSの元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札

でロールオーバーする既存の政策を維持する。こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を

支援するとともに、より広範な金融状況を一段と緩和的にする一助となるだろう。

FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく

改善するまで(improved substantially)、FOMCは財務省証券とエージェンシー発行MBSの購入を継続し、

その他の政策手段を適宜活用する。雇用市場またはインフレの見通しの変化に応じ適切な政策緩和を維持するため

、FOMCは買い入れのペースを拡大もしくは縮小する用意がある。資産購入の規模、ペース、構成を決定するに

当たっては、想定される効果とコスト、および経済目標に向けた進ちょく度合いを引き続き適切に考慮する。

最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買入プログラムが終了し景気回復が強

まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き

続き適切になると予想している。具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ

─0.25%に据え置くことを決定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとどまるとともに、向こう

1─2年のインフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まり、長期インフレ期

待が引き続き十分抑制(well anchored)されている限り、FF金利を異例の低いレンジ(exceptionally low

range)とすることが適切になると現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンスをどの程度の期間維持

するか決定するに当たっては、労働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力およびインフレ期待を示す指

標、金融動向の見通しを含むその他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、最大雇用と2%のイン

フレ率という長期目標に沿うバランスの取れたアプローチを採る。

今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、デューク、エバンズ、パウエル、ラス

キン、ローゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはブラード、ジョージ各委員

で、ブラード委員は、最近のインフレ指標の低さを踏まえFOMCとしてインフレ目標を守る姿勢を一段と強く示

すべきと主張。ジョージ委員は、高水準の金融緩和の継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、

時間とともに長期インフレ期待の加速を招く恐れがあるとの懸念を示した。

<5月1日>

3月のFOMC会合以降に入手した情報は、経済活動が緩やかなペースで拡大している(has been expanding at a

moderate pace)ことを示唆している。雇用市場の状況は全体として、ここ数カ月間に改善の兆しを見せている

(have shown signs of improvement)が、失業率は依然高止まりしている。家計支出や企業による固定投資は増加

し、住宅セクターは一段と力強さを増した(strengthened further)が、財政政策が経済成長の制約となっている

(restraining economic growth)。インフレは、主にエネルギー価格の変動を反映した一時的な変化を除けば、F

OMCの長期目標を幾分下回る水準で推移している。長期インフレ期待は引き続き安定している。

法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和

政策により経済成長が緩やかなペースで進み(will proceed at a moderate pace)、失業率はFOMCが2つの責

務と整合すると考える水準に向けて段階的に低下すると予想している。FOMCは依然、経済見通しに下方リスク

があるとみている。またインフレは中期的に、FOMCの目標である2%かそれを下回る水準で推移する公算が大

きいと想定している。

一段と力強い景気回復を支援し、インフレが時間の経過と共に確実にFOMCの2つの責務と最も整合的な水準に

なるよう支えるために、FOMCは月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450

億ドルの長期財務省証券の追加購入を継続することを決定した。FOMCはエージェンシー債(政府機関債)とエ

ージェンシー発行MBSの元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札

でロールオーバーする既存の政策を維持する。こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を

支援するとともに、より広範な金融状況を一段と緩和的にする一助となるだろう。

FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく

改善するまで(until the outlook for the labor market has improved substantially)、FOMCは財務省証券

とエージェンシー発行MBSの購入を継続し、その他の政策手段を適宜活用する。雇用市場またはインフレの見通

しの変化に応じ適切な政策緩和を維持するため、FOMCは買い入れのペースを加速もしくは減速させる用意があ

る(prepared to increase or reduce the pace of its purchases)。資産購入の規模、ペース、構成を決定する

に当たっては、想定される効果とコスト、および経済目標に向けた進ちょく度合いを引き続き適切に考慮する。

最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買入プログラムが終了し景気回復が強

まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き

続き適切になると予想している。具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ

─0.25%に据え置くことを決定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとどまるとともに、向こう

1─2年のインフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まり、長期インフレ期

待が引き続き十分抑制(well anchored)されている限り、FF金利を異例の低いレンジ(exceptionally low

range)とすることが適切になると現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンスをどの程度の期間維持

するか決定するに当たっては、労働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力およびインフレ期待を示す指

標、金融動向の見通しを含むその他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、最大雇用と2%のイン

フレ率という長期目標に沿うバランスの取れたアプローチを採る。

今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、ブラード、デューク、エバンズ、パウ

エル、ラスキン、ローゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはジョージ委員で

、高水準の金融緩和の継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、時間とともに長期インフレ期待

の加速を招く恐れがあるとの懸念を示した。

*過去の声明を追加 して再送します。

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【第5回】 2013年12月19日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
円安による原材料費増は誰が負担しているか?
 円安は輸入価格を上昇させるので、これがどう負担されるかは大きな問題である。
 転嫁がどの程度なされたか、負担はどの程度増えたか等に関する定量的な把握が必要だ。以下では、これについての分析を行なうこととする。
円安の収支計算
 2012年10月から13年9月までの輸入額は77.0兆円、輸出額は67.1兆円だ。
 為替レートは、12年10月の1ドル=79.8円から13年9月の98.2円まで円安になった(18.7%の減価)。仮に79.8円のままなら、輸入額は77.0×(79.8/98.2)=62.6兆円になっていただろう。だから、円安による増加分は14.4兆円と評価される。(1)
 他方、輸出は54.5兆円になっていたはずだから、円安による増加分は12.6兆円だ。(2)
 ここで、輸入額のほうが約10兆円多いので、増加額には約2兆円の差があることに注意が必要だ。
 では、輸入の増加分は、誰が負担するか?最終財に転嫁された分を計算しよう。
 12年10−12月期から13年7−9月期までの1年間の各需要項目の合計額は、下記のとおりだ。
 ・民間最終消費支出は、290.9兆円
 ・投資支出は、民間住宅が14.8兆円、民間企業設備が64.3兆円、公的固定資本形成(公共投資)が22.4兆円。合計で101.5兆円だ。
 民間最終消費支出については、消費者物価指数で評価する。全国の総合指数は、12年10月の99.6から13年9月の100.6まで、1.0%上昇した。これによる民間最終消費支出の増加額は、290.9×1%=2.91兆円だ。(3)
 投資支出については、企業物価指数のうちの資本財の価格指数で評価する。この指数は、12年10月の97.0から13年9月の98.5まで、1.5%上昇した。
 これによる投資支出の増加額は、101.5兆円×1.5%=1.52兆円だ。(4)
 したがって、輸入額の増加のうち転嫁された分は、(3)と(4)の合計である4.43兆円である。(5)
(なお、原理的には輸出への転嫁もありうるが、ここではないものとする。)
 残り、14.4−4.4=10兆円が企業負担になっているはずだ。(6)
 結局、企業の1年間の利益増は、(2)と(6)から、2.6兆円だ。(7)
法人企業統計:全産業
 以上のことを法人企業統計によって企業側から見ると、どうか?
 全産業(除く金融保険業)の営業利益は、2012年7−9月期の9.1兆円から、13年7−9月期の11.4兆円に2.3兆円増加した。これを4倍して年間ベースにすれば、9.2兆円だ。これは、(7)の2.6兆円に比べてかなり多い。
 それは、利益は円安以外の要因で増えているからだ。主要なものを列挙すれば、つぎのとおりだ。
 [1]リストラ。これは、電機産業で顕著だ。利益増=2820億円
 [2]電力の利益が昨年小さかったことの影響。利益増=3690億円
 [3]住宅の駆け込みで不動産業の売上げが増えている影響。利益増=748億円
 [4]公共事業が増えているため、建設業の売上げが増えている影響。利益増=2710億円
 以上の合計は、約1兆円である。これを除くと、13年7−9月期の利益は、11.4兆−1兆=10兆円となる。したがって、12年7−9月期からの増加は、約0.9兆円、年間ベースで約3.6兆円だ。(8)
 (8)は(7)よりまだ大きいが、ほぼ照合する。
 円安以外の利益増加要因はこれ以外にもあると思われるが、円安がかなり大きな比重を占めていることがわかる。
 全産業の(原価−人件費)の総額は、13年7−9月で約207兆円である。年間ベースでは約800兆円になる。
 上記(6)で述べた負担増10兆円は、この1.25%程度であり、あまり大きなものではない。
 こうなるのは、企業の売上げや原価には重複があるからだ。すなわち、ある企業の売上げが他の企業の原価に入ることがある。実際、全産業の売上げの総額、年約1200兆円は、GDPの3倍近い。
 個々の企業や業種をとっても、円安による変化は、(原価−人件費)に比べて小さいことが多い(ただし、後で見る石油精製業などの例外がある)。
 円安による輸入価格上昇分を負担しているのは、素材産業や、食料品加工のように輸入原料で製品が内需の場合と思われるが、データからはわからない可能性がある。
 ただし、負担増10兆円は、利益には有意な影響を与える。利益は重複計算がない項目だからだ。全産業の営業利益は、年間約40兆円だ。したがって、10兆円は4分の1であり、大きい。転嫁の程度は、利益に大きな影響を与える。
 ただし、利益は他の要因によっても変動する。鉄鋼のようにリストラで減る場合がある。その影響のほうが大きく、円安の原価アップが隠れる可能性がある。食品のように、売上げが減少する場合も同じだ。
業種別転嫁の度合い:製造業
・製造業全体
 12年7−9月から13年7−9月まで、売上原価も(原価−人件費)もほとんど変わらなかったが、売上高がわずかに増加した。このため、営業利益が45.0%という大幅な伸びを示した。
 製造業全体を見ると、(原価−人件費)の総額は13年7−9月で約65兆円である。年間ベースでは約250兆円になる。
 上記(6)で述べた負担増10兆円は、この4%程度であり、あまり大きなものではない。
(原価−人件費)の中には輸入原材料も含まれているはずなので、これがほとんど増加しなかったのは、一見すると不思議なことである。
 これは、輸入原材料の比重が高いと思われる食料品製造業、繊維工業、鉄鋼業、および輸入部品の比率が高いと思われる電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業において、売上高が縮小したためである。
 これらの業種においては、リストラなどのために生産が縮小した。このため、製造業全体の(原価−人件費)の増加を抑えたと考えられる。
 業種別に状況を見ると、つぎのとおりだ。
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・輸送用機械器具製造業
 円安による利益増がもっとも顕著に見られるのは、輸送用機械器具製造業である。
(原価−人件費)が1%しか増加していない。これには、輸入原材料がほとんどないことが影響していると思われる。
 売上高増加率は5%で、それほど高くはないのだが、原価が増加しないため、利益が91%も増えている。
 製造業の利益増加額1兆1608億円の39.6%がこの部門で生じている。営業利益そのものを見ると、この業種の比率は、12年7−9月で19.4%、13年7−9月で25.7%なのだから、この部門の円安による利益増がいかに大きいかがわかる。
・その他の機械器具製造業
 生産用機械器具製造業も、輸送用機械器具製造業と同様の傾向だ。ただし、ここでは、原価が減少している。このため、売上げがほとんど増加していないにもかかわらず、利益が41.8%も増えている。
 はん用機械器具製造業、業務用機械器具製造業では、売上げは減少している。これは、輸出が伸び悩み、または減少していることの影響だろう。それにもかかわらず、利益は2桁の伸びを示している。これは、原価が減少しているためである。輸出の減少に対応してリストラが行なわれているのであろう。
・電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業
 電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業においては、はん用機械器具製造業、業務用機械器具製造業で起きている現象が、もっと拡大した形で生じている。すなわち、売上げが減少しているにもかかわらず、利益がきわめて高い伸び率を示しているのだ。これは、原価が大きく削減されているためだ。12年3月期決算で巨額の赤字を計上したことから、リストラが行なわれていることの反映と考えられる。
 ここでは、円安の影響よりも、リストラによって12年のきわめて低い利益水準から抜け出したことの効果が表れている。
・石油製品・石炭製品製造業
 これは、ガソリン精製などである。
 まず、(原価−人件費)の増加率は、18.0%だ。これは、上で計算した円安率にほとんど等しい。つまりこの産業の原価はほとんど輸入原油であり、それが円安によって増加したわけだ。
 原価のほとんどが原油であることは、(原価−人件費)/(売上高)が約95%であって、他の業種に比べて著しく高いことからもわかる。しかも、その値は、(原価)/(売上高)とほとんど等しい。つまり、装置産業であるために、人件費の比率は非常に低いのだ。
 ところで、売上高増加率は、18.1%であり、(原価−人件費)の増加率にほぼ等しい。したがって、原価増加をほとんど完全に転嫁していることがわかる。これは、売上増と(原価−人件費)の増がほぼ等しいことを見てもわかる。
 これがガソリン価格を高め、消費者物価を上昇させている。
・鉄鋼業、非鉄金属製造業
 鉄鋼業、非鉄金属製造業も、石油製品・石炭製品製造業と同じ装置産業だ。このことは、(原価−人件費)/(売上)が80%程度と、他の業種に比べて高いことからわかる。
 鉄鋼業では、売上げが減少し、かつ原価の削減が行なわれている。これは、電機産業と同じく、12年の低利益に対処しようとするリストラの結果であろう。利益は著しく高い伸びを示しているが、それは、12年の利益が低かったからだ。
 (原価−人件費)の減少率(マイナス9.2%)は、売上高の減少率(マイナス5.4%)より大きい。鉄鋼業は素材産業なので、円安による原材料費高騰の影響が出るはずなのだが、リストラのために、それがデータには表れていない。
・食料品製造業、繊維工業
 食料品製造業、繊維工業では、売上げが前年同期比マイナス7%程度とかなり減少している。原価も削減されているが、利益は減った。
 この業種では、円安による輸入原材料高騰の影響が大きいはずであるが、ここの統計データからは、それは読み取れない。
業種別転嫁の度合い:非製造業
・非製造業、全体の傾向
 建設、陸運、電気の利益増で全体の利益増の半分を占める。ただし、これらには、いずれも特殊事情がある。
 建設は住宅駆け込み需要や公共事業の増加という一時的要因で増えている。また、電気業の利益増が大きかったのは、昨年が赤字だったからだ。
 これらがなければ、利益増加率は8%程度になっていたはずである。
 業種ごとに状況を見ると、つぎのとおりだ。
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・電気業
(原価−人件費)の増加率は4.8%だが、売上増加率は9.5%だ。
 したがって、表面的には100%以上の転嫁が行なわれた。これは、燃料費調整が時間遅れを伴って行なわれたことの影響と考えられる。利益が増加したのはそのためだ。
・ガス・熱供給・水道業
(原価−人件費)の増加率は、19.6%と高い。これは、ほぼ円安率に等しい。また、売上高の増加と(原価−人件費)の増加額がほぼ等しい。したがって、円安によるコストアップは、ほぼ転嫁したと見られる。
・陸運業
(原価−人件費)の増加率は、19.3%と高い。これは、ほぼ円安率に等しい。燃料費の増加だと考えられる。
 利益が減っていないのは、価格転嫁したからだ。
・宿泊業、飲食サービス業
 宿泊業、飲食サービス業には、円安の影響が見られる。ただ、両者で正反対だ。
 宿泊業の利益は、77.2%増加している。外国人旅行客を受け入れるホテルは、輸出産業と似た面があるのだ。
 一方、飲食は、27.8%の減だ。これは、原材料が上がったからだ。他方で需要は国内だ。これは、製造業における食料品製造業と似た構造だ。
これまでの転嫁と今後の見通し
(1)企業からの転嫁
 以上の検討から、電力、ガス、ガソリン(軽油を含む)、陸運については、当該業種からは転嫁されていることがわかった。
 消費者購入分は消費者に転嫁され、企業購入分は企業に転嫁された。企業購入分がそれ以後の段階に転嫁されているかどうかは、不明である。
 その他の原材料価格上昇分は、素材産業などの川上産業の負担になっている分が多いと思われるが、データで定量的に確認することはできなかった。円安が企業負担になっている分約10兆円は、企業全体の原価に比べれば約1%に過ぎず、あまり大きくないためだ。原価ないしは(原価−人件費)は、売上減など他の要因の影響で動く部分が大きい。
 すでに述べたように、企業負担分10兆円は、企業全体の営業利益約40兆円に比べれば4分の1であり、大きい。これが転嫁されるかどうかは、企業の利益には大きな影響を与える。
 ただし、今後転嫁されるのかどうかも不明だ。最終需要への転嫁は難しいかもしれない。
(2)消費者物価による推計との照合
 電力、ガス、ガソリンの転嫁額は、これらの産業の売上増加分であると考えれば、つぎのようになる(陸運業、水運業については、ガソリン転嫁額と重複すると考えられるため、入れない)。
 電気業、売上増加額      486(10億円)
 ガス等、売上増加       141
 石油製品等、売上増加額    812
            合計  1439
 この半分が消費者分であると考え、それを4倍して年ベースにすると、約2.8兆円となる。これは、先に消費者物価から推計した結果(2.92兆円)とほぼ完全に一致する。
 このことは、消費者への転嫁は、上記エネルギー価格の上昇を通じて行なわれていること、需要の半分が消費者分であると考えてもよいことを示している。
(3)消費者物価はさらに上がるか?
 上で述べたように、消費者への転嫁のほとんどは、エネルギー価格の上昇を通じるものである。そして、これについては、すでに転嫁が行なわれている。
 その他の財・サービスについて、現在企業が負担している分が消費者に転化される可能性は低いと考えられる。
 したがって、今後の消費者物価の上昇は、今後さらに円安が進んだ場合に限られるだろう。
 約2割の円安によって消費者物価が1%ポイント上がったのだから、これがさらに1%ポイント上がるためには、さらに2割程度の円安が進む必要があろう。しかし、そうなる可能性は低いのではあるまいか。
________________________________________
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〈主な目次〉
第1章 異次元金融緩和で金融市場が混乱
第2章 実体経済は改善しない
第3章 円安下で拡大する貿易赤字
第4章 実態を伴わない企業利益
第5章 国債暴落と金利高騰の危険
第6章 既得権を保護して成長はありえない
第7章 ビジネスモデルの抜本改革が必要
第8章 人材育成が最も重要な成長戦略
終 章 投機に翻弄される日本経済
http://diamond.jp/articles/print/46189


[12削除理由]:関連が薄い長文


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