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生産年齢人口6000万人割れに −2040年の日本、衝撃のシミュレーション(1) (PRESIDENT) 
http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/851.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2014 年 1 月 10 日 11:17:15: AtMSjtXKW4rJY
 

http://president.jp/articles/-/11641
PRESIDENT 2013年10月14日号 伊藤博之=文


これから日本は急速な「生産年齢人口の減少」「後期高齢者の増加」の時代を迎える。そうしたなかで一体どういったことが起きるのか? 社会保障給付費の負担増にともなう現役世代の苦しい生活の姿が垣間見えてくる。

“確かな将来予測の指標”として中長期のシミュレーションに利用されているのが「人口予測」。人は30年後まで生きていれば、確実に30歳年をとる。人はいつ死ぬかわからないが、調査する対象者の数を増やしていけば、過去の実績をもとに各年齢での死亡率が高い精度で予測できるからだ。

わが国では、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が5年に1度の国勢調査の結果などをベースに「日本の将来推計人口」を発表している。「以前は出生率を甘く見積もりがちとの指摘もありましたが、最近は固めの数字を使い、信頼できるデータとなっています」(みずほ総合研究所上席主任研究員・堀江奈保子さん)と評価は高い。

最新のデータを見ると、2010年に1億2806万人だった総人口は、40年に1億728万人となって2078万人も減る見通しだ。そうした数値をもとに日本の潜在成長率を推計した第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんは次のように語る。

「15歳から64歳の生産年齢人口がそれ以外の年齢の人口に占める割合を示す人口ボーナスの下落速度が遅くなることなどを受けて、1%台割れだった潜在成長率は10年代後半から20年代後半にかけて2%前後まで回復していくでしょう。しかし、その後は下落に転じ、社人研が想定する低位の水準の出生率で推移したケースでは、39年にマイナス圏へ落ち込みます」

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確かに日本の先行きは厳しそうだが、潜在成長力は生産活動に必要な資本や労働などの全要素を使った場合に、GDP(国内総生産)を生むのに必要な供給能力をどれだけ増やせるかを示したもの。必ずしも「供給増=需要増」とは限らない。そこで15〜64歳の現役世代からなる「生産年齢人口」の変化に注目しているのが、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんだ。

図1と図2は最新の将来推計人口から藻谷さんが作成した5歳刻みによる年齢別の人口である。10年時点での生産年齢人口は、1947〜49年生まれの“団塊の世代”と、その子どもたちで71〜74年に生まれた“団塊ジュニア”が含まれていたこともあって、8174万人をキープしていた。しかし、30年後の40年になると団塊ジュニアも定年を迎え、生産年齢人口は5787万人に減ってしまう。

「過去のデータから計算した就業者と生産年齢人口の相関関数は0.8で、両者はほぼ連動しています。マクロ経済学では就業者数の増減は景気に左右されるものとなっていますが、ファクトベースで見ると生産年齢人口の増減で決まっているのです。これから生産年齢人口の減少にともなって就業者数が減るということは、勤労所得のある人が減っていくわけで、当然、消費にも大きな影響を及ぼしてきます」

そう指摘する藻谷さんは、私たちがよく口にする「デフレ」の正体について「主として現役世代を市場にしている商品の過剰による値崩れにほかならないのです」と喝破する。その値崩れを起こしている代表的なものが、土地や住宅、そして家電、自動車、家具などである。そうした供給不足ではなくて需要不足の現状だからこそ、生産年齢人口を通した需要の面から見た将来予測を重視しているのだ。

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そして、図3のグラフは97年度時点を100とした場合の、生産年齢人口、就業者数、小売り販売額、雇用者報酬、名目GDPの推移を示したもの。80年代は現役世代である就業者数の伸びを上回る勢いで伸びてきた小売り販売額と名目GDPだが、90年代半ば以降は就業者数の動きに連動するようになっていることがわかる。

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そこで気になるのが今後の就業者数だ。図4は各年代の就業者数をベースに試算したもの。10年に5960万人いた就業者は、40年には4480万人へ25%もの減少が予測される。その動きに名目GDPが連動していくのなら、12年度の実績値である480兆21億円をベースに単純計算すると、40年には360兆15億円へ縮小することになる。

そうした就業者数の減少によって所得報酬の減少がもたらされ、消費総額の減少、そして国全体の付加価値総額である名目GDPの縮小に連鎖していく“負のスパイラル”が引き起こされた結果、一体何が起きるのだろう。

税収が減り、1000兆円を超える国の借金の返済に赤信号が灯り始める。すると、道路、上下水道などの社会インフラのメンテナンスにも手が行き届かなくなる。そして、次第に人のいない空き家や空きビルが増えていき、市街地のゴーストタウン化が進んでいくことになるのかもしれない。

■東京の後期高齢者は約214万人へ急増

もう1つ大きな問題として忘れてはならないのが、65歳以上の高齢者がこれから急増していくことである。そういうと「高齢化は過疎化が進んでいる地方の問題であり、これまで人口が増えてきた都市部には関係のない話だろう」と反論する人がいるはずだ。

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グラフを見てほしい。まずは解答を示すと、A=下條村、B=大潟村、C=世田谷区、D=三鷹市、E=練馬区である。東京都内という人口の密集したエリアで、これから急速に高齢者の数が増えていくことに驚いた人が多かったのではないだろうか。

一方、不思議なことに代表的な過疎地である大潟村は、これからは高齢者の数が増えない。その理由は、大潟村では過疎化によって以前から人口が減っていた分だけ“高齢者予備軍”の数も減り、高齢者の絶対数が大都市に先んじて平準化していくからである。ちなみに下條村は20年前から若者の定住、子育て支援を行ってきたことで知られる村で、人口の構成のバランスが取れていくようになることがわかる。

半面、都市部は人口の集中によって増えた高齢者予備軍が、これからどんどん高齢者の仲間入りを果たしていくことになる。こうしたことが突き付ける課題として藻谷さんがあげるのが、(1)医療福祉の需要増加に対応した財源と人手の確保が難しくなる、(2)首都圏などの自治体の財政が困窮化して、地方に回す財源が枯渇してしまう、(3)高齢者が終の棲み家をどう確保するか――などだ。さらに「とくに注意が必要なのは、75歳以上の後期高齢者が急増していくことです」と藻谷さんは気になる一言を発する。

要介護・要支援の認定率は70〜74歳が6.3%なのに対して、75〜79歳ではほぼ倍の13.7%に跳ね上がる。そして80〜84歳では26.9%にもなり、4人に1人が認定される。また、認知症の発症率も70〜74歳が3.6%なのに対して、75〜79歳は倍の7.1%へ、80〜84歳だと14.6%まで上昇する。

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図5は都道府県別に見た10年と40年時点での後期高齢者の数。東京都は10年の123万4000人から40年には213万9000人に急増する。この数字に75〜79歳の認知症の発症率7.1%を掛け合わせると、40年に認知症の人は少なくても15万1000人になるものと推測される。09年末時点で東京都には特別養護老人ホームへの入所待機者が4万3746人もいるが、今後さらに増えていくことになる。このほか年金や医療での給付も膨らんでいくわけで、都市部を中心に大きな問題になるのは火を見るよりも明らかだ。

しかし、13年8月に報告書をまとめた社会保障制度改革国民会議では、一部の高齢者の医療費の窓口負担の増加や、現役世代並みの収入のある高齢者の介護保険料の引き上げなどを提言しただけで、年金支給開始年齢の引き上げ、財源の範囲内で給付水準を自動調整するマクロ経済スライドの強化など、抜本的な改革は先送りしてしまった。


 

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コメント
 
01. 2014年1月10日 11:33:11 : nJF6kGWndY

生産性を上げて国内産業を効率化し、高齢者や農民などの非合理的な既得権を排除し、適切な再分配政策を実施できれば、

一人当たりGDPが伸びるから、大して貧困化は進まないが

現実には、そうはならないだろうな


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