昨日の午后、交響曲を繰り返し聴いていた。耳が慣れるに従って好い曲になる。
全般的には誰かの指摘していたマーラーの模倣というメロディーより、私の好きな、
ブルックナーの和声進行に近親性を感じさせるが、この曲の独自性は疑いようが無いと思った。
“和製ベートーヴェン”とかの呼称は自称ではなく他人がつけたものゆえ佐村河内氏の責任はない。
ＣＤの演奏集団の質も、熱意の籠った迫力が聴く者を圧倒し、充分賞賛に値するものだ。

俳優さんに聞けば同じ答えが返ると思うが、障害者を演じるのは本当に難しい。
一時の舞台、一期の映画ですら持てる演技力の全てを注ぎ込まねば、演じ切れないと言う。
佐村河内氏が全くの健常者だったのなら、カレは障害度２級の重度障害者演じ切るのに、
どれほとの精進努力を積み上げたのだろう。この交響曲を世に問うためだけに…？
評価され成功したのは結果の幸いである。共同製作の初の時は無評価無価値に等しかった。

注文から１年、作曲の出来からさらに１０年、伝記的創作をし、重度障害者を自らのモノとし、
世間に受け入れられ賞賛され人々の感動を巻き起こした。詐欺？　金返せ？　非情な世間だ。
私はよう言わん。私は佐村河内氏の苦悩に同情し、新垣氏の苦悩にまた同情したいと思う。
小泉氏は土俵の上で「感動した！」と大音声されたが、私は佐村河内氏に「感動した！」

付言、心身の障害は消長がある。周期的に反復するものや一生に１度の波のような病態も。
私も一時、身体の全運動機能を喪失した。２週目に介護申請し要介護４に指定された。
今は自転車に乗って買い物に行けるが要介護度は４のままだ。年金は無いが。
障害者年金なんて小額だ。一生障害者を演じ切るなんて、私には考えもつかない。

あのフロイト博士も著作集にある有名な『フロイト自伝』はフィクションだった、と言う話、
詳細な研究書があり、翻訳書もある。ならば、フロイト大先生は詐欺師か？　治療費返せ？
この先、佐村河内作品を聞けないのは、残念だなぁ…と、コレは本心。　細川さん頑張れ！